JP2009242966A - オフセット印刷用紙の製造方法およびその製造方法により得られたオフセット印刷用紙 - Google Patents

オフセット印刷用紙の製造方法およびその製造方法により得られたオフセット印刷用紙 Download PDF

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Abstract

【課題】ツインワイヤフォーマーを備えた抄紙機を用いて、地合の改善と紙料の歩留まりの改善が同時に可能となり、裏抜けが少なくかつインキ着肉性に優れたオフセット印刷用紙の製造方法、および、その製造方法により得られたオフセット印刷用紙を提供する。
【解決手段】それぞれループ状に形成された2つのワイヤー2,3を有し、かつ少なくとも1つの真空脱水可能なサクションボックス8,9を有するツインワイヤフォーマーを備えた抄紙機を用いたオフセット印刷用紙の製造方法であって、前記2つのワイヤー2,3の間または一方のワイヤー2,3上にヘッドボックス1から紙料懸濁液を噴出し初期脱水を行った後、前記サクションボックス8,9の少なくとも1つにおいて真空圧10kPa以上で真空脱水することを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明はツインワイヤフォーマーを備えた抄紙機で抄紙するオフセット印刷用紙の製造方法に関し、特にオフセット印刷用中性新聞用紙の製造に適した製造方法、および、その製造方法により得られたオフセット印刷用紙に関する。
近年、オフセット印刷用紙は環境に配慮した印刷用紙の提供、および軽量で印刷品質に優れた印刷用紙への要望が高まっている。例えば新聞用紙についていえば、従来の米坪49g/mであったものが、46g/m、43g/m、さらに一部では40.5g/mの超々軽量新聞が使用されているのが現状であり、今後はさらなる軽量化への移行が予想される。また、環境に配慮した印刷用紙の提供の面では、省資源化、古紙利用の観点から脱墨古紙パルプの高配合化が進み、例えば新聞用紙についていえば、配合率70%を超える場合も少なくない。
しかし、これら軽量化や環境負荷への配慮は、印刷用紙の品質で最も骨格となる地合に悪影響を及ぼすことになる。軽量化や脱墨古紙パルプの高配合化は、抄造時やオフセット印刷時に重要とされる強度の低下につながる。軽量でかつ脱墨古紙パルプ高配合の場合でも十分な強度を付与させるためには、例えば内添薬品にポリアクリルアミドや変性澱粉、また、ポリアミドエピクロロヒドリンなどに代表される紙力増強剤などを高添加することが挙げられ、低下した強度を維持する最も一般的な方法であると考えられる。しかし、これら紙力増強剤などの内添薬品を高添加する方法は、十分な強度が付与出来る反面、繊維のフロックを局所的に過剰に生成するため、良好な地合を得ることが出来ない。紙の地合は、均一な紙料分散が重要であり、局所的な凝集、フロックの巨大化、大小さまざまなフロックの点在、またそれらによる紙料むらが地合を悪化させてしまう原因になる。
一方、オフセット印刷用紙の製造では、生産効率の向上等の面から抄紙機は大型、高速化の傾向にあり、最新の抄紙機においても同様な傾向がみられる。現在のオフセット印刷用紙の抄紙機では、抄速が1000m/分以上であることは一般的であり、世界的にみても1500m/分クラスの抄紙機も珍しくない。このような抄紙機の高速化に伴い、原料となる繊維等にかかる剪断力は非常に強くなるため、強度低下や紙料歩留りが著しく低下するなどの問題が生じる。低下した強度や歩留りを維持するには、上述したように内添薬品の高添加が考えられるが、地合を悪化させてしまうというデメリットの問題もある。
また、抄紙機の大型化、高速化の傾向がある一方、抄紙機の形式も大きく変化している。従来のような長網抄紙機から、ツインワイヤー方式への転換が進んでおり、特にオフセット印刷用紙に代表される新聞用紙で用いられる抄紙機の多くは、ツインワイヤー方式の中でもギャップフォーマーと呼ばれる、紙料懸濁液がヘッドボックスからループ状に形成された2枚のワイヤー間に生じるギャップ(ワイヤー間の隙間)に噴出され、直後に両側から一気に脱水する方式が採用されることが多くなっている。しかし、このギャップフォーマーでは紙層構造形成と同時に脱水が行われるため、歩留まりの低下が極めて大きい。
特に、ツインワイヤー方式での新聞用紙の製造においては、近年、抄紙系が従来の酸性抄紙から中性抄紙へ変化していることも、歩留まり悪化の一因となっている。酸性抄紙では硫酸バンドを多用することが可能であり、この無機凝結剤である硫酸バンドと合成高分子系歩留り向上剤の添加とにより、紙料中の微細パルプ繊維、古紙由来の微細粒子、填料などの微細粒子の歩留りは問題ないレベルに維持されていた。これに対し、中性抄紙法では填料として炭酸カルシウムを配合することが一般的であり、硫酸バンドを添加するとこれと反応して硫酸カルシウムを生成し、抄紙系内で析出して系内の汚れや穴などの紙面欠陥を生じたり、断紙の原因となるため、硫酸バンドの使用量が制限される。その結果、紙料中の微細粒子の歩留りが低下しやすい。さらに、中性新聞用紙においては、高白色度、高不透明度、高印刷不透明度などの品質面で優れた機能を紙に付与できることから、炭酸カルシウムが増配され、高灰分化が進められている。炭酸カルシウムとしては、粒子径が小さい多くの種類のものを入手可能であるが、このような炭酸カルシウムは抄紙工程で紙への歩留りが低下するという問題が起こる。
従来、地合を改善する方法として、例えば、2個のフォーミングワイヤループと、フォーミングワイヤループのうちの一方の内側に配置されて形成中のウェブから水を除去する少なくとも1個の脱水ボックスと、フォーミングワイヤループのうちの他方の内側に該ワイヤと接触させてかつ前記脱水ボックスと対向させて配置された少なくとも1個の負荷ブレードとを含み、脱水ボックスは少なくとも3個の脱水領域を含む抄紙機のツインワイヤフォーマーにおいて、脱水ボックスの領域の1つおきの領域は真空であり、1つおきの領域は非真空であり、負荷ブレードが他方のワイヤーループの内側の非真空領域と対向する位置に配置され、非真空領域の前後に非真空領域を設けることが知られている(特許文献1)。
また、ツインワイヤフォーマーを備えた抄紙機で抄紙速度が1,000m/分で抄造して新聞用紙を製造する際に、紙料中の微細パルプ繊維、古紙由来の微細粒子分、填料などの微細成分のワイヤー上での歩留りを改善するために、歩留り向上剤として極限粘度法による重量平均分子量が1500万以上のエマルション型のカチオン性ポリアクリルアミド系物質を紙料に添加することが知られている(特許文献2)。
特開2002−220791号公報 特開2006−016716号公報
上記したように、近年のオフセット印刷用紙に対する軽量化や環境負荷への配慮は、印刷用紙の品質で最も骨格となる地合に悪影響を及ぼしているが、この地合の悪化は、様々な品質に悪影響を及ぼす。紙の白紙品質においては、不透明度の低下、強度や剛度の低下、また坪量むらや紙厚むらを引起こし、皺の発生や変動の大きい紙となってしまう。また、印刷品質においては、印刷した際にインキの染み出しが大きくなり裏抜けの低下、インキ着肉性が均一とならず印面むらによる着肉不良などが生じてしまう問題がある。
この地合を改善する方法として、上記特許文献1に示すツインワイヤフォーマーを備えた抄紙機を用いることで、地合が改善されることは知られているが、中性抄紙法により新聞印刷用紙を抄造する場合に、微細粒子や上記した粒子径が小さい炭酸カルシウムを填料として用いているので、ワイヤー上での歩留りが低下するという問題がある。また、上記特許文献2に示されているツインワイヤフォーマーを備えた抄紙機は、抄紙速度が1,000m/分で抄造しているが、それ以上に速度が速くなると紙料歩留りが著しく低下するなどの問題が生じる。
そこで、本発明は、ツインワイヤフォーマーを備えた抄紙機を用いて、地合の改善と紙料の歩留まりの改善が同時に可能となり、裏抜けが少なくかつインキ着肉性に優れたオフセット印刷用紙の製造方法およびその製造方法により得られたオフセット印刷用紙を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、請求項1に係る発明のオフセット印刷用紙の製造方法は、それぞれループ状に形成された2つのワイヤーを有し、かつ少なくとも1つの真空脱水可能なサクションボックスを有するツインワイヤフォーマーを備えた抄紙機を用いたオフセット印刷用紙の製造方法であって、前記2つのワイヤーの間または一方のワイヤー上にヘッドボックスから紙料懸濁液を噴出し初期脱水を行った後、前記サクションボックスの少なくとも1つにおいて真空圧10kPa以上で真空脱水することを特徴とする。
同様に、請求項2に係る発明のオフセット印刷用紙は、前記オフセット印刷用紙の製造方法により得られたことを特徴とする。
本発明によればツインワイヤフォーマーを備えた抄紙機において、高い歩留りを維持しながら非常に良好な地合を形成することができる。また、良好な地合形成により、印刷品質において重要な裏抜けやインキ着肉性が非常に良好なオフセット印刷用紙が得られる。特に、中性新聞用紙のように軽量で紙中填料率が高い場合などに、本発明を適用すると発明の効果が非常に大きい。
1.抄紙条件
(ツインワイヤフォーマー)
本発明では、ツインワイヤフォーマーを備えた抄紙機(以下、「ツインワイヤー抄紙機」と称する。)でオフセット印刷用紙を製造する。
フォーマーとは、抄紙機を構成する各パートのうち、ヘッドボックスから噴出された紙料懸濁液をワイヤーを介して脱水するワイヤーパート工程の形式、あるいは、ヘッドボックスとワイヤーパートとを合わせた工程の形式をいう。そして、ツインワイヤー方式とは、それぞれループ状に形成された2つのワイヤーの間に紙料を挟んで湿紙を搬送する方式である。代表的には、ギャップフォーマー型とハイブリッド型(オントップ型)と呼ばれる2つのタイプがある。
ギャップフォーマー型は、2つのワイヤーを重ね合わせ、#1ワイヤーと#2ワイヤーとの間に形成したギャップ内に紙料を供給して脱水するものであり、ブレードフォーマ、ロールフォーマ、ロール+ブレードフォーマ等の形式がある。
オントップ型は、ボトムワイヤー上にトップワイヤーを配置し、ヘッドボックスからボトムワイヤー上に供給した紙料を、ボトムワイヤー側のプレ脱水ゾーンで脱水してからトップワイヤーと重ね合わせて脱水するものであり、ロールフォーマ、固定シューフォーマ(ロール+ブレード)、ブレードフォーマ等の形式がある。
本発明ではいずれの形式も使用できるが、特に、ヘッドボックスから噴出された紙料懸濁液を2枚のワイヤーで直ぐに挟み込み、両側から脱水を行うギャップフォーマー型がより効果的である。
また、紙料懸濁液を噴出するヘッドボックスの種類や形状等は、特に制限されるものではなく、製紙分野で従来公知のものを適宜選択し使用出来る。紙料懸濁液は、後述するパルプ原料や内添薬品、填料、および必要に応じて各種添加剤を混合して調製したスラリーであり、調製後はストックインレットに送られる。固形分濃度は0.5〜1.5%程度である。
(脱水装置)
ワイヤーパートには数多くのロールが使われている。最初のロールがブレストロールで、最後のものはクーチロールといわれる。ツインワイヤフォーマーでは、この2つのロールの他にもその間に様々な脱水エレメントや脱水装置が配置されて、脱水が行われる。
例えば、フォーミングロール、フォーミングシュー、フォーミングボックス、フォーミングボード、フォーミングブレード、ハイドロフォイル、ローディングブレード、ウォーターデフレクタ、バキュームデフレクタ、サクションボックスなどが挙げられる。さらにオントップ型の場合には、トップワイヤー側からの脱水装置などがある。本発明においては、これら脱水エレメントや脱水装置の種類、配置に関し特に限定するものではなく、所望の品質に応じて適宜組み合わせて設計すればよいが、ワイヤーパートの後半に少なくとも1つの真空脱水可能なサクションボックスを有することが必須である。
本発明における脱水パターンの例を図1、図2に示す。なお、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。
図1は、ギャップフォーマー型の一形態である。ヘッドボックス1から噴出された紙料懸濁液はまず、#2ワイヤー2の内側に設けられたブレストロール4、フォーミングシュー6、および#1ワイヤー3の内側に設けられたフォーミングロール5により初期脱水が行われる。この過程で、徐々に脱水が促進されるとともに、紙層構造が形成されていく。また、これらの脱水装置で発生する適度なマイクロタービュランス(適度な撹乱)は、ワイヤー上の繊維フロックを再分散し、地合形成の根幹となる一旦を担っている。#1ワイヤー3の内側に設けられたウォーターデフレクタ7は、デフレクタをワイヤーに押し当てて脱水圧力を得るものであり、脱水された水分がワイヤー上に飛散することを防ぐこともある。そして、紙層が形成されるにつれて脱水抵抗が増大するため、#1ワイヤーサクションボックス8と#2ワイヤーサクションボックス9の片方または両方において強制的な真空脱水が行われて、地合の基盤が形成される。次いで、バキュームデフレクタ10、クーチロール11を経て、プレスパート工程に移送される。
図2は、オントップ型の一形態である。ヘッドボックス21から噴出された紙料懸濁液はまず、ボトムワイヤー22の内側に設けられたブレストロール24、フォーミングボード26、(ハイドロ)フォイル25により初期脱水が行われる。その後、フォーミングボックス27と対向する位置でありかつトップワイヤー23の内側に設けられたトップサクションボックス28において、強制的な真空脱水が行われる。次いで、フォーミングボード26,フォーミングロール29、クーチロール30を経て、プレスパート工程に移送される。
なお、上記した図1のギャップフォーマー型および図2のオントップ型は、それぞれループ状に形成された2つのワイヤー(ギャップフォーマー型の符号2、3およびオントップ型の符号22、23)を有し、かつ少なくとも1つの真空脱水可能なサクションボックス(ギャップフォーマー型の符号8、9およびオントップ型の符号28)を有しており、前記2つのワイヤーの間にヘッドボックス(ギャップフォーマー型の符号1)から紙料懸濁液を噴出し、#1ワイヤー3の内側にフォーミングロール5が設けられており、または、一方のワイヤー上にヘッドボックス(オントップ型の符号21)から紙料懸濁液を噴出し、ボトムワイヤー22の内側にブレストロール24、フォーミングボード26、(ハイドロ)フォイル25が設けられており、これらの部材により初期脱水が行われていることが分かるであろう。
(脱水条件)
本発明においてサクションボックスは、真空脱水可能なものであって1つ以上設置される。ヘッドボックスから紙料懸濁液を噴出し初期脱水後、少なくとも1つのサクションボックスにおいて、真空圧が10kPa以上の真空脱水をすることにより、良好な地合形成が可能となる。この良好な地合が何故形成されるかは明らかではないが、サクションボックスの真空度を上げる程、ワイヤー水分が低下し、その際の脱水量の変化が地合改善に寄与するものと考えられる。さらに好ましい真空圧は13kPa以上で効果的である。上限は制限されるものではないが、現在の機器の特性上、16kPa程度である。また、サクションボックスにおける真空脱水は、初期脱水直後に行うことが好ましい。この何故好ましいかも明らかではないが、初期脱水ゾーンであるフォーミングシュー等による紙料の再分散直後の高真空脱水が、地合に大きく影響し、この領域での水分変化が地合改善に寄与するものと考えられる。なお、初期脱水直後とは、ヘッドボックスの開口部から紙料噴出後0.5秒以内をいう。
サクションボックスの種類や配置については、特に限定されるものではないが、サクションボックスが2機以上片側直列または両側直列に設置されている場合には、もっとも最初のサクションボックスにおける真空圧が10kPa以上であることが好ましく、さらには13kPa以上であることが好ましい。例えば、サクションボックスが3機片側直列に設置されている場合には、最初のサクションボックスの真空圧が10kPa以上であることが好ましいが、3機のサクションボックスの何れか一つ真空圧が10kPa以上であれば良く、他の2機のサクションボックスの真空圧が10kPa以下であっても良い。同様に、サクションボックスが3機両側直列に設置されている場合には、両側の3機のサクションボックスの何れか一つ真空圧が10kPa以上であれば良い。
また、サクションボックスでは、真空脱水後のドライネス(固形分濃度)が15%以下となるように脱水することが好ましく、より好ましくは20%以下、さらに好ましくは25%以下の紙料状態において良好な地合形成が可能となる。言い換えると、水分は75〜85%とすることが望ましい。
(ワイヤーと紙料ジェットの速度比)
ワイヤー速度とヘッドボックスから紙料懸濁液を噴出する際の紙料ジェット(スライスジェット)速度の速度比(J/W比)は重要なものであり、紙層構造、繊維の縦横比、地合に大きく影響する。ワイヤー速度を基準として紙料ジェットが遅い場合は引き地合、早い場合は押し地合とされ、一般に最良のシート形成は引き地合の時であるとされる。しかし、抄紙機の形態や抄紙条件、原料などで大きく変わるため一概にはいえない。本発明では、J/W比が1.10から0.85の範囲が好ましく、より好ましくは1.07から0.90、さらに好ましくは1.05〜0.95で本発明の効果が大きい。
(抄速)
抄速については、抄紙機の規模や大きさ、抄造する紙によっても大きく異なるが、本発明の効果が大きいのはツインワイヤフォーマーを備えた高速な抄紙機であり、抄速は800m/分以上が好ましく、より好ましくは900m/分以上、さらに好ましくは1000m/分以上である。なお、本発明において抄速はこれらに限定されるものではない。また、今後もさらに抄紙機の大型化、高速化が進んでいくと予想されるので、抄紙速度の上限は設定されない。
2.抄紙機
(ワイヤーパート)
ワイヤーパート工程を構成するツインワイヤフォーマーについては上述した通りであり、用いられるプラスチックワイヤーは、種類によって地合や歩留まりに大きく影響する重要な抄紙用具であるが、本発明においては特に限定されるものではなく、市販のワイヤーを適宜選択し使用出来る。
(プレス)
抄紙機のプレスパート工程におけるプレスの形式は、例えばストレートスルー型プレス、リバース型プレス、インバープレス、ツインバープレス、ピックアッププレス、ユニプレス、トライニッププレス、トライベントプレス、シュープレス、ミニシュープレス等、特に限定されるものではないが、公知のプレス装置を用いることが出来る。またプレス条件についても特に限定はなく、通常の操業範囲で適宜設定出来る。
(ドライヤー)
抄紙機のドライパート工程におけるドライヤーの形式は、特に限定されるものではなくプレドライヤー、アフタードライヤー等の公知の装置を用いることが出来る。また、乾燥条件についても特に限定はなく、通常の操業範囲で適宜設定出来る。
(サイズプレス)
プレドライヤーとアフタードライヤーの間には、表面塗工装置を設置することができる。公知のものであれば特に限定されるものでないが、例えばサイズプレス、ビルブレード、ゲートロールコーター、プレメタリングサイズプレス、ロッドメタリングサイズプレス、ブレードコーター、バーコーター、エアーナイフコーター、カーテンコーター、リバースロールコーター等が用いられる。
これら表面塗工装置を用いて、本発明の効果を阻害しない範囲で澱粉、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、表面サイズ剤等を塗工することも可能である。また、塗工用の顔料であるカオリン、クレー、タルク、二酸化チタン、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、酸化亜鉛、珪酸、珪酸塩、コロイダルシリカ、サチンホワイトなどの無機顔料、プラスチックピグメントなどの有機顔料等を必要に応じて、単独または2種類以上併用して使用してもよい。
また、その他の接着剤や添加剤として、スチレン・ブタジエン系、スチレン・アクリル系、エチレン・酢酸ビニル系、ブタジエン・メチルメタクリレート系、酢酸ビニル・ブチルアクリレート系等の各種共重合体(ラテックス)、無水マレイン酸共重合体、アクリル酸・メチルメタクリレート系共重合体等の合成接着剤カゼイン、大豆蛋白、合成蛋白などの蛋白質類、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体など接着剤や、消泡剤類、スライムコントロール剤類、染料類、分散剤類、増念剤類、保水剤類、耐水化剤などの添加剤を適宜配合しても差し支えない。また本発明は、片面または両面の表面塗工を行っても良いし、バイパスして表面塗工しなくても良い。
(カレンダー等)
カレンダー装置の種類と処理条件は特に限定されるものではないが、例えば、マシンカレンダー、スーパーカレンダー、金属ロール処理のチルドカレンダー、高温ソフトニップカレンダー等で平滑化処理を行ってもよい。特に、100KN/m以下の軽度のカレンダー条件であることが好ましい。ただし、所望の品質のオフセット印刷用紙が得られれば、いずれのカレンダー処理、あるいは未カレンダー処理でもよい。
また、カレンダー処理後の調湿、加湿のための水塗り装置、静電気加湿装置、蒸気加湿装置等を適宜組み合わせて使用することも可能である。
3.オフセット印刷用紙
(パルプ)
本発明で用いられるパルプとしては、化学パルプ(NBKP、LBKP等)や機械パルプ(GP、CGP、RGP、PGW、TMP等)、脱墨古紙パルプ(DIP)を任意の割合で混合して使用することができる。本発明で用いられるパルプの配合率については、特に限定されるものではないが、環境面への配慮から脱墨古紙パルプを50重量%配合することが望ましい。
(内添薬品)
内添で用いられる薬品としては、従来から使用されているアルキルケテンダイマー(AKD)系サイズ剤、アルケニル無水コハク酸(ASA)系サイズ剤、中性ロジンサイズ剤等の公知の内添サイズ剤や、各種のノニオン性、カチオン性の歩留まり向上剤、濾水度向上剤、紙力向上剤、嵩高剤等の製紙用内添薬品が必要に応じて適宜選択して使用される。また、例えば、硫酸バンド、塩化アルミニウム、塩基性塩化アルミニウム、塩基性ポリ水酸化アルミニウム等の塩基性アルミニウム化合物等が内添されてもよい。その他製紙用補助剤として各種澱粉類、ポリアクリルアミド、尿素樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミド、ポリアミン樹脂、ポリアミン、ポリエチレンイミン、ポリアミドエピクロロヒドリン、ポリアミンエピクロロヒドリン、植物ガム、ポリビニルアルコール、ラテックス、ポリエチレンオキサイド、親水性架橋ポリマー粒子分散物及びこれらの誘導体あるいは変成物等の各種化合物を使用できる。更に、染料、蛍光増白剤、pH調整剤、消泡剤、ピッチコントロール剤、スライムコントロール剤等の抄紙用内添薬品を用途に応じて適宜添加することも可能である。
(填料)
填料としては、炭酸カルシウム、ホワイトカーボン等のシリカ、炭酸カルシウム−シリカ複合物、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、カオリンクレー、焼成カオリン、デラミカオリン、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化珪素、非晶質シリカ等の無機填料や、尿素−ホリマリン樹脂、ポリスチレン樹脂、フェノール樹脂、微小中空粒子等を単独または適宜2種類以上を組み合わせて使用してもよい。中でも、裏抜け等の品質に優れることから炭酸カルシウムが好ましい。填料の添加量は制限されないが、新聞用紙の場合、紙中填料率として5〜25重量%になるように添加することが好ましい。なお、この紙中填料率とは、添加されたフレッシュな填料と脱墨古紙パルプ由来の灰分との合計である。
(歩留まり向上剤)
好ましくは歩留まり向上剤を使用してもよい。中でも、カチオン性歩留まり向上剤として、極限粘度法による重量平均分子量が1000万以上のエマルション型のカチオン性ポリアクリルアミド系物質が好ましい。より好ましくは重量平均分子量が1200万以上のものである。このエマルション型のカチオン性ポリアクリルアミド系物質は公知の方法で乳化重合されるが、好ましくは油中水型の逆相エマルション化法で合成される。この具体的な組成としては、該物質中にアクリルアミドモノマーユニットを構造単位として含むものであれば特に限定はないが、例えば、アクリル酸エステルの4級アンモニウム塩とアクリルアミドとの共重合物、あるいはアクリルアミドとアクリル酸エステルを共重合させた後、4級化したアンモニウム塩が挙げられる。なお、この超高分子量のエマルション型のカチオン性ポリアクリルアミド系物質のカチオン電荷密度は特に限定されるものではないが、本発明では、0.5meq/g以上が好ましく、さらには1.0meq/gが好ましい。この重量平均分子量が1000万以上のエマルション型のカチオン性ポリアクリルアミド系物質は市販されている物質の中から適宜選択して使用することが出来る。
また、前記カチオン性ポリアクリルアミド系物質の添加後に、アニオン性物質を添加することもできる。アニオン性物質としては、従来から歩留まり向上剤として使用されてきたものを使用することができる。具体的には、アニオン性ポリアクリルアミド系物質、コロイダルシリカ、ベントナイトが挙げられる。これらから少なくとも1種類を適宜選択して使用することができる。なお、アニオン性ポリアクリルアミド系物質は公知のものを使用することができ、その分子量や電荷密度に限定はない。
抄紙機前工程では、パルプ原料と内添薬品をミキサー等で混合した紙料懸濁液に、フォンポンプ前でフレッシュな填料が添加され、均一混合されるのが一般的である。本発明では、重量平均分子量1000万以上のエマルション型のカチオン性ポリアクリルアミド系物質の添加場所は、このフレッシュな填料の添加後から抄紙機のストックインレット前の間である。該カチオン性ポリアクリルアミド系物質と無機凝結剤を併用する場合においては、無機凝結剤の添加場所はミキサー以降、該カチオン性ポリアクリルアミド系物質添加前である。また、前記アニオン性物質の添加場所は、該カチオン性ポリアクリルアミド系物質添加後から抄紙機ストックインレット前の間である。
該カチオン性ポリアクリルアミド系物質の添加量は、紙料の性状や抄紙速度、抄紙機に応じて適宜決定されるので一概にはいえないが、通常は、紙料固形分重量に対して50ppmから750ppmであり、より好ましくは100ppmから600ppmである。添加量が50ppm未満であると地合としては良好となるが、紙料歩留まりが極端に低下し、抄造が非常に不安定なものとなる。また、750ppmを超えて添加すると、過剰に凝集してしまい地合が非常に悪化してしまう。アニオン性物質としてアニオン性ポリアクリルアミドを使用する場合の添加量は50から750ppm、コロイダルシリカを使用する場合の添加量は50から1000ppm、ベントナイトを使用する場合の添加量は500から3000ppmである。
(地合指数)
本発明の方法で製造されるオフセット印刷用紙の地合指数は、光学式透過型地合計による吸光度の変動係数の値が6.0%以下であることが好ましく、より好ましくは5.5%以下が好ましい、さらに好ましくは5.0以下が好ましい。なお、この地合指数は値が小さいほど、紙の地合が良好であることを示す。また、この地合指数に0.5%の差があると、肉眼でも地合の差として認識することができるレベルである。
(紙の種類)
本発明の抄紙方法は、オフセット印刷に供される上質印刷用紙、中質印刷用紙、新聞印刷用紙、電話帳用紙、塗工原紙、板紙等の製造に使用することができる。その中でも新聞用紙や電話帳用紙のような薄物で印刷品質に地合の影響が大きい印刷用紙にとりわけ適している。特に、中性抄紙法により新聞用紙を製造する場合、さらにその中でも、紙中填料率が高い中性新聞用紙を製造する場合に好適である。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、勿論これらの例に限定されるものではない。尚、特に断らない限り例中の%はそれぞれ重量%を示す。また、本発明によって得られたオフセット印刷用中性新聞用紙については以下に示すような評価法に基づいて試験を行い、結果を表1に示した。
<評価法>
(1)灰分 : JIS P 8251に準拠した(温度525℃で3時間を適用した)。
(2)ベック平滑度 : JIS P 8119に準拠した。
(3)地合指数 : 光学式透過型地合計(FMT-MIII/野村商事)で測定した吸光度の変動係数の値を地合指数とした。この地合指数の値が小さい程、紙の地合が良好である。
(4)紙料歩留り : ヘッドボックスから噴出される前のストックインレット原料と、ワイヤー下に抜け落ちた白水(ワイヤー下白水と記述)とについて、それぞれ固形分濃度を測定した。下記計算式により紙料歩留まりを測定した。
紙料歩留り=100×(A−B)/A (%)
A : ストックインレット原料の固形分濃度
B : ワイヤー下白水の固形分濃度
(5)インキ着肉と裏抜け : オフセット印刷機(B2T−600/東芝製)を用いて、湿し水膜厚0.7μm、印刷面濃度1.15(墨インキ : NewsKings/東洋インキ)、印刷速度900rpmの条件で6万部印刷した際の、墨ベタ面の裏面のインキの抜け具合を目視にて5段階評価した。インキ着肉は、6万部印刷した際の墨ベタ部および網点部の着肉性を目視にて5段階評価した((良)◎・○・△・×・××(劣))。
<実施例1>
(紙料懸濁液の調製)
メカニカルパルプ15%、脱墨古紙パルプ85%の割合で混合し、カナダ標準型フリーネス(CSF)180ccに調製したパルプスラリーに、填料として炭酸カルシウムを絶乾重量当たり5%添加し、その他の薬品として硫酸バンドを2.5%添加し、さらに歩留り向上剤として量平均分子量2000万のエマルション型のカチオン性ポリアクリルアミド系物質(ソマール株式会社製、リアライザーR300、カチオン電荷密度1.96meq/g)を、ファンポンプ吸引側で、紙料固形分重量当たり280ppm添加し、固形分濃度0.9%の紙料懸濁液を調製した。
(抄紙条件)
ギャップフォーマー型のツインワイヤー抄紙機において、抄速1110m/分で、坪量が43g/mとなるように、上記で得られた紙料懸濁液をJ/W比0.98でワイヤー上に噴出し、ブレストロール、フォーミングシュー、およびフォーミングロールで初期脱水を行い、その直後に直列に2基設置された真空脱水可能なサクションボックスにおいて、初め#1サクションボックスにて16kPaの真空脱水を行い、その次に設けられた#2サクションボックスにて16kPaの真空脱水を行った後、プレス工程、ドライヤー工程、サイズプレス工程、カレンダー工程等を経て、オフセット印刷用中性新聞用紙を得た。なお、サイズプレス工程では、ヒドロキシルエチル化澱粉を原紙重量当たり両面で0.6g/mの塗工量となるように濃度調製した表面処理剤塗工液を、ゲートロールコーターにて両面塗工を行った。また、カレンダー工程では、ソフトニップカレンダー(線圧15kN/m、温度100℃)により平滑化処理を行った。
<実施例2>
実施例1において、#1サクションボックスの真空圧を13.3kPa、#2サクションボックスの真空圧を13.3kPaとした以外は、実施例1と同様にしてオフセット印刷用中性新聞用紙を得た。
<実施例3>
実施例1において、#1サクションボックスの真空圧10kPa、#2サクションボックスの真空圧10kPaとした以外は、実施例1と同様にしてオフセット印刷用中性新聞用紙を得た。
<実施例4>
実施例1において、#1サクションボックスの真空圧16kPa、#2サクションボックスの真空圧8.5kPaとした以外は、実施例1と同様にしてオフセット印刷用中性新聞用紙を得た。
<実施例5>
実施例1において、#1サクションボックスの真空圧8kPa、#2サクションボックスの真空圧16kPaとした以外は、実施例1と同様にしてオフセット印刷用中性新聞用紙を得た。
<比較例1>
実施例1において、#1サクションボックスの真空圧8kPa、#2サクションボックスの真空圧8.5kPaとした以外は、実施例1と同様にしてオフセット印刷用中性新聞用紙を得た。
<比較例2>
実施例1において、#1サクションボックスの真空圧6.5kPa、#2サクションボックスの真空圧6.5kPaとした以外は、実施例1と同様にしてオフセット印刷用中性新聞用紙を得た。
<比較例3>
実施例1において、#1サクションボックスの真空圧9.5kPa、#2サクションボックスの真空圧9.5kPaとした以外は、実施例1と同様にしてオフセット印刷用中性新聞用紙を得た。
表1の実施例および比較例の結果から以下のことが示される。
(1)本発明の実施例1〜5と比較例1〜3から、少なくとも1つのサクションボックスの真空圧が10kPa以上であると、地合が非常に優れたものとなっている。また、本発明の実施例の方が紙料歩留りも高く、インキ着肉性、裏抜けなどの印刷品質に関しても優れたものとなっている。これらの実施例と比較例とでは、平滑度がほぼ同等であるが、本発明の実施例では地合が良好なことから、印刷時のインキ着肉性が向上したと考えられる。
(2)実施例1〜3から、サクションボックスの真空圧は高い程、地合および紙料歩留まりが良化する。また、最初に設置されたサクションボックス(#1)の真空圧が高い実施例4の方が、後段のサクションボックス(#2)の真空圧が高いより実施例5よりも、地合は良好となっている。
(3)実施例1〜5および比較例1〜3の灰分の値は、ほぼ同じ値を示しているにもかかわらず、実施例1〜5は裏抜けに優れている。
ギャップフォーマー型ツインワイヤー抄紙機におけるワイヤーパートの本発明の一実施形態を示す。 オントップ型ツインワイヤー抄紙機におけるワイヤーパートの本発明の一実施形態を示す。
符号の説明
1、21 ヘッドボックス
2、22 #2ワイヤー、ボトムワイヤー
3、23 #1ワイヤー、トップワイヤー
4、24 ブレストロール
5、29 フォーミングロール
6 フォーミングシュー(#1〜#9)
7 ウォーターデフレクタ
8、9 ワイヤーサクションボックス(#1、#2)
10 バキュームデフレクタ
11、30 クーチロール
25 フォイル
26 フォーミングボード
27 フォーミングボックス
28 トップサクションボックス

Claims (2)

  1. それぞれループ状に形成された2つのワイヤーを有し、かつ少なくとも1つの真空脱水可能なサクションボックスを有するツインワイヤフォーマーを備えた抄紙機を用いたオフセット印刷用紙の製造方法であって、前記2つのワイヤーの間または一方のワイヤー上にヘッドボックスから紙料懸濁液を噴出し初期脱水を行った後、前記サクションボックスの少なくとも1つにおいて真空圧10kPa以上で真空脱水することを特徴とするオフセット印刷用紙の製造方法。
  2. 請求項1に記載のオフセット印刷用紙の製造方法により得られたオフセット印刷用紙。
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