JP2009242389A - ジオレフィン化合物、エポキシ樹脂、及び硬化性樹脂組成物 - Google Patents

ジオレフィン化合物、エポキシ樹脂、及び硬化性樹脂組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は強靭性にすぐれた硬化物を与える液状の脂環式エポキシ樹脂、該エポキシ樹脂の原料となるジオレフィン化合物、および該エポキシ樹脂を含有する硬化性樹脂組成物及びその硬化物を提供することを目的とする。
【解決手段】
下記式(1)
Figure 2009242389

(式中、複数存在するRはそれぞれ独立して存在し、水素原子またはメチル基を表す。)
で表されるジオレフィン化合物を酸化することにより得られるエポキシ樹脂、該エポキシ樹脂を含有する硬化性樹脂組成物及びその硬化物。
【選択図】なし

Description

本発明は新規なエポキシ樹脂及びその原料となるジオレフィン化合物、並びに該エポキシ樹脂を用いた電気電子材料用途に好適な硬化性樹脂組成物に関する。
エポキシ樹脂は種々の硬化剤で硬化させることにより、一般的に機械的性質、耐水性、耐薬品性、耐熱性、電気的性質などに優れた硬化物となり、接着剤、塗料、積層板、成形材料、注型材料、レジストなどの幅広い分野に利用されている。近年、特に半導体関連材料の分野においてはカメラ付き携帯電話、超薄型の液晶やプラズマTV、軽量ノート型パソコンなど軽・薄・短・小がキーワードとなるような電子機器があふれ、これによりエポキシ樹脂に代表されるパッケージ材料にも非常に高い特性が求められてきている。特に先端パッケージはその構造が複雑になり、液状封止でなくては封止が困難な物が増加している。例えばEnhancedBGAのようなキャビティーダウンタイプの構造になっているものは部分封止を行う必要があり、トランスファー成型では対応できない。このようなことから高機能な液状エポキシ樹脂の開発が求められている。
またコンポジット材、車の車体や船舶の構造材として、近年、その製造法の簡便さからRTMが使用されている。このような組成物には、カーボンファイバー等へ含浸させやすいことから低粘度のエポキシ樹脂が望まれている。
また、オプトエレクトロニクス関連分野においては、特に近年の高度情報化に伴い、膨大な情報を円滑に伝送、処理するために、従来の電気配線による信号伝送に変わり光信号を生かした技術が開発されていく中で、光導波路、青色LED、および光半導体等の光学部品の分野で透明性に優れた樹脂の開発が望まれている。これらの要求に対し、脂環式のエポキシ樹脂が注目されている。
特開2006−52187号公報
脂環式エポキシ樹脂は、グリシジルエーテルタイプのエポキシ樹脂と比較して電気絶縁性や透明性に優れるという特徴から、透明封止材料等に種々使用されているが、その反面で硬化物が硬く、靭性に劣るという問題点が残っており、この欠点を改良すべく検討が進められている(特許文献1)
本発明者らは前記したような実状に鑑み、鋭意検討した結果、本発明を完成させるに至った。
すなわち本発明は
(1)下記式(1)
Figure 2009242389
(式中、複数存在するRはそれぞれ独立して存在し、水素原子又はメチル基を表す。)
で表されるジオレフィン化合物、
(2)式(1)における全てのRが水素原子である前項(1)に記載のジオレフィン化合物、
(3)前項(1)又は(2)に記載のジオレフィン化合物を酸化することにより得られるエポキシ樹脂、
(4)酸化の際に過酸化水素又は過酸を用いる前項(3)に記載のエポキシ樹脂、
(5)前項(3)又は(4)に記載のエポキシ樹脂と、硬化剤又は硬化触媒を必須成分とする硬化性樹脂組成物、
(6)前項(5)に記載の硬化性樹脂組成物を硬化してなる硬化物、
(7)下記式(6)
Figure 2009242389
(式中、Rは水素原子又はメチル基を表す。)
で表される化合物と下記式(7)
Figure 2009242389
で表される化合物とを反応させることを特徴とする前項(1)に記載の式(1)で表されるジオレフィン化合物の製造法。
(8)前項(7)に記載の製造法で得られたジオレフィン化合物を、過酸化水素または過酸を用いて酸化することを特徴とするエポキシ樹脂の製造法、
に関する。
本発明は靭性に優れた硬化物を与える液状エポキシ樹脂、およびその原料となるジオレフィン化合物に関するものである。本発明のエポキシ樹脂を含む本発明の硬化性脂組成物は電気・電子材料、成型材料、注型材料、積層材料、塗料、接着剤、レジストなどの広範囲の用途、特に低着色性の要求される光学材料用途にきわめて有用である。
本発明のジオレフィン化合物は、前記式(6)で表されるシクロヘキセンカルボン酸誘導体と前記式(7)で表されるトリシクロデカンのジメタノール誘導体との反応により製造できる。具体的な手法としてはシクロヘキセンカルボン酸誘導体とトリシクロデカンジメタノールとのエステル化反応(Tetrahedron vol.36 p.2409 (1980)、Tetrahedron Letter p.4475 (1980)等の文献に記載の方法が応用できる)、或いはシクロヘキセンカルボン酸エステルのエステル交換反応(特開2006−52187号公報等に記載の方法が応用できる)によっても製造できる。
シクロヘキセンカルボン酸誘導体としてはシクロヘキセンカルボン酸、メチルシクロヘキセンカルボン酸(メチル基の置換位置は特に指定されない)が挙げられる。
一般的な手法としてはシクロヘキセンカルボン酸誘導体とトリシクデカンのジメタノール誘導体を酸性条件下、脱水反応によりエステル化するという手法が挙げられる。たとえば、トルエン、キシレンといった水と共沸しうる溶剤中、酸性触媒(硫酸、リン酸等の鉱酸類;トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸等の有機酸類;タングステン酸、モリブデン酸等のヘテロポリ酸;活性白土、無機酸、塩化第二錫、塩化亜鉛、塩化第二鉄等のその他酸性を示す有機又は無機酸塩類等が挙げられる)を添加し、共沸脱水によりエステル化を行うというものである。
このようにして合成されるジオレフィン化合物は前記式(1)の構造を有する。置換基Rは水素原子又はメチル基のいずれかから選ばれるが、本発明においては硬化性の面からすべてが水素原子であることが好ましい。得られるジオレフィン化合物はその構造上、一般に液状を呈する場合が多い。
前記式(1)で示される本発明のジオレフィン化合物を酸化(エポキシ化)することにより本発明のエポキシ樹脂とすることができる。酸化の手法としては過酢酸等の過酸で酸化する方法、過酸化水素水で酸化する方法、空気(酸素)で酸化する方法などが挙げられるが、これらに限らない。
過酸による酸化の手法としては、具体的には特開2006−52187号公報に記載の手法などが挙げられる。
過酸化水素水を用いて酸化を行う場合、特開昭59−108793号公報、特開昭62−234550号公報、特開平5−213919号公報、特開平11−349579号公報、特公平1―33471号公報、特開2001−17864号公報、特公平3−57102号公報等に挙げられるような種々の手法が適応できる。
本発明のエポキシ樹脂の製造方法は特に限定されず、いかなる手法を用いて製造しても構わないが、低粘度のエポキシ樹脂が得られることから過酸化水素を用いる方法がより好ましい。以下に過酸化水素を用いる酸化の手法の一例を記載する。
過酸化水素を用いる酸化の具体的な手法としては、タングステン酸類を触媒とし、4級アンモニウム塩を用いて酸化するというものである。
タングステン酸類としては、タングステン酸、タングスト燐酸、ケイタングステン酸などのタングステン系の酸、およびその塩が挙げられる。これらの塩のカウンターカチオンの具体例としては、テトラメチルアンモニウムイオン、ベンジルトリエチルアンモニウムイオン、トリデカニルメチルアンモニウムイオン、ジラウリルジメチルアンモニウムイオン、トリオクチルメチルアンモニウムイオン、トリアルキルメチル(オクチル基とデカニル基の混合タイプ)アンモニウムイオン、トリヘキサデシルメチルアンモニウムイオン、トリメチルステアリルアンモニウムイオン、テトラペンチルアンモニウムイオン、セチルトリメチルアンモニウムイオン、ベンジルトリブチルアンモニウムイオン、トリカプリルメチルアンモニウムイオン、ジセチルジメチルアンモニウムイオンなどの4級アンモニウムイオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン等のアルカリ土類金属イオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、セシウムイオン等のアルカリ金属イオンなどが挙げられるがこれらに限定されない。
本発明においては4級アンモニウムイオンとの塩が好ましく、ジオレフィン化合物との相溶性に優れる有機化されたタングステン酸類が特に好ましい。
有機化されたタングステン酸類は、タングステン系の酸あるいはその塩と4級アンモニウム塩とを反応させることにより製造することができる。4級アンモニウム塩の具体例としては、トリデカニルメチルアンモニウム塩、ジラウリルジメチルアンモニウム塩、トリオクチルメチルアンモニウム塩、トリアルキルメチル(アルキル基がオクチル基である化合物とデカニル基である化合物の混合タイプ)アンモニウム塩、トリヘキサデシルメチルアンモニウム塩、トリメチルステアリルアンモニウム塩、テトラペンチルアンモニウム塩、セチルトリメチルアンモニウム塩、ベンジルトリブチルアンモニウム塩、ジセチルジメチルアンモニウム塩、トリセチルメチルアンモニウム塩、ジ硬化牛脂アルキルジメチルアンモニウム塩などが挙げられるがこれらに限定されない。これら4級アンモニウム塩のうち、総炭素数が10以上、好ましくは25〜100の4級アンモニウム塩が好ましく、そのアルキル鎖が全て脂肪族鎖であるものが特に好ましい。4級アンモニウム塩の炭素数が100を上回ると、疎水性が強くなりすぎて有機層への溶解性が悪くなる場合があり、また炭素数が10以下であると、親水性が強くなりすぎて同様に有機層への相溶性が悪くなる場合があり、好ましくない。
また前記4級アンモニウム塩におけるアニオン種に特に限定はなく、例えばハロゲン化物イオン、硝酸イオン、硫酸イオン、硫酸水素イオン、アセテートイオン、炭酸イオン等が挙げられる。
タングステン酸類と4級アンモニウム塩との反応は水、もしくは水−有機層の2層系で行うことが好ましい。また特にタングステン酸類はそのpHによって構造が変化することが知られており、水層のpHを2〜6の間に調整することが好ましい。水層のpHの調整には、燐酸系や酒石酸系など一般的に使用される種々の緩衝液を使用できるが、本製法では、特にそのpH調整の簡便さやリン原子の金属塩への相性の良さから燐酸系の緩衝液を使用することが好ましい。
具体的には、タングステン酸類を溶解した水溶液を攪拌しながら4級アンモニウム塩を添加する。反応の進行が遅い場合は40〜90℃程度まで加熱すると反応が進行しやすい。反応により生成した有機化されたタングステン系の触媒は水層に析出する。析出した塩をろ過、あるいは有機溶剤で抽出及び分液することにより、目的とするタングステン系の触媒が得られる。尚、得られた触媒の形状は、反応に用いたタングステン酸類と4級アンモニウム塩との組み合わせにより、結晶状或いは樹脂状など様々である。
またこの際、工程の簡略化のために、得られた触媒を単離せずそのまま前記式(1)で示されるオレフィン化合物他の成分を加えて酸化反応を行っても構わない。
前記の手法で得られるタングステン系触媒の構造は明確ではないが、タングステン酸類のカウンターカチオンにプロトン、4級アンモニウムカチオン、pH調整に使用した緩衝液の金属イオンが関与するような構造になるものと推定される。
過酸化水素を用いて前記式(1)で示されるジオレフィン化合物の酸化を行う際の過酸化水素の使用量は、その反応系中において30質量%以下であることが好ましい。過酸化水素の濃度が30質量%を超える場合、生成するエポキシ樹脂の分解反応も進行しやすくなることから好ましくない。
該酸化反応の際、反応に使用する過酸化水素が混合された段階でのpHが、好ましくは2〜6の間に、より好ましくは3〜5の間になるように調整する目的で燐酸−燐酸塩水溶液を加える。用い得る燐酸−燐酸塩水溶液の濃度は通常0.1〜20質量%、好ましくは0.1〜10質量%である。この段階でのpHが2未満の場合にはエポキシ基の加水分解反応や重合反応が進行しやすくなり、pHが6を超える場合には反応速度が極度に遅くなることで長時間の反応が必要になるという問題が生じる。
尚、燐酸−燐酸塩水溶液を加えてpHを調整する方法は何ら限定されないが、簡便的には、反応に使用する過酸化水素に対して0.1〜10モル当量の燐酸(あるいは燐酸二水素ナトリウム等の燐酸塩)を加えた後に、塩基性化合物(たとえば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム等)でpHを微調整する方法をとっても良い。
該酸化反応の際に有機溶剤を使用しても構わない。使用し得る有機溶剤の具体的な例としてはヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン等のアルカン類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素化合物;メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール等のアルコール類が挙げられる。また、場合によっては、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、アノン等のケトン類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル、蟻酸メチル等のエステル化合物;アセトニトリル等のニトリル化合物なども使用可能である。使用し得る有機溶剤の量は、質量比で式(1)で示されるジオレフィン化合物1に対して通常10以下、好ましくは5以下、より好ましくは2.25以下である。質量比で10を超えると反応の進行が極度に遅くなることから好ましくない。
具体的な反応操作方法としては、反応容器に式(1)で示されるジオレフィン化合物、過酸化水素、タングステン系の触媒、pH調整溶液及び必要に応じて溶剤を加えて撹拌を施しながら前述の所定の反応温度まで昇温し、後述の所定時間反応を行う。撹拌速度に特に指定は無いが、静置状態では油層と水層の2層に分離している反応容器の内容物がエマルジョン化する程度以上の撹拌速度で撹拌することが好ましい。
尚、過酸化水素は添加時に発熱する場合が多いことから、各成分を添加した後に徐々に添加する方法でも構わない。あるいは先に過酸化水素、タングステン系の触媒、pH調整溶液、必要に応じて溶剤を加えた後に、式(1)で示されるジオレフィン化合物を徐々に添加する方法でも構わない。
またタングステン系の触媒は予め作成したものを添加することも、反応系中で作成した後、そのまま反応に使用することもできる。
反応温度は特に限定されないが、通常0〜90℃、好ましくは0〜75℃、より好ましくは15〜75℃である。また、反応溶液の酸性度が高い場合には、反応が進行しやすい反面加水分解反応も進行しやすいため、反応温度をある程度抑えてやることが効果的である。具体的には反応溶液のpHが概ね4.0以下である場合の反応温度は60℃以下であることが好ましい。
反応時間は反応温度、触媒量等にもよるが、工業生産という観点から、長時間の反応は多大なエネルギーを消費することになるため好ましくない。反応時間は通常1〜100時間、好ましくは3〜72時間、より好ましくは5〜48時間である。
反応終了後、過剰な過酸化水素のクエンチ処理を行う。過酸化水素のクエンチの手法としては、還元剤が使用できる他、塩基性化合物を使用しても構わない。本発明においては特にその両方で行うことが好ましい。
還元剤としては亜硫酸ソーダ、チオ硫酸ソーダ、ヒドラジン、シュウ酸などが挙げられる。還元剤の使用量は、過剰分の過酸化水素のモル数に対し通常0.01〜20倍モル、より好ましくは0.05〜10倍モル、さらに好ましくは0.05〜3倍モルである。
塩基性化合物としては、苛性ソーダ、苛性カリ、水酸化マグネシウム及び水酸化カルシウム等の金属水酸化物、炭酸ソーダや炭酸カリ等の金属炭酸塩、リン酸ナトリウムやリン酸水素ナトリウム等のリン酸塩、協和化学工業製キョーワード500のような複合金属塩、イオン交換樹脂やアルミナ等の塩基性固体が挙げられる。
塩基性化合物の使用量は、水あるいは有機溶剤(例えば、トルエン及びキシレン等の芳香族炭化水素、メチルイソブチルケトン及びメチルエチルケトン等のケトン類、シクロヘキサン、ヘプタン及びオクタン等の炭化水素、メタノール、エタノール及びイソプロピルアルコール等のアルコール類など、各種溶剤)に溶解するものの場合には、過剰分の過酸化水素のモル数に対し通常0.01〜20倍モル、より好ましくは0.05〜10倍モル、さらに好ましくは0.05〜3倍モルである。これらは水あるいは有機溶剤(前述)の溶液として添加しても単体で添加しても構わない。
水あるいは有機溶剤に溶解しない固体塩基を使用する場合には、系中に残存する過酸化水素の量に対し重量比で1〜1000倍の量を使用することが好ましい。より好ましくは10〜500倍、さらに好ましくは10〜300倍である。水や有機溶剤に溶解しない固体塩基を使用する場合には、後に記載する水層と有機層の分離の後にクエンチ処理を行っても構わない。
過酸化水素のクエンチ処理後(もしくはクエンチ処理前に)、有機層と水層を分離する。必要に応じて、有機層の水洗(有機溶剤が少なく有機層と水層が分離しない場合、もしくは有機溶剤を使用していない場合は前述の有機溶剤を添加して水洗を行う。この際使用する有機溶剤は得られる原料多価アルケン化合物に対し、質量比で0.5〜10倍、好ましくは0.5〜5倍である。)、あるいは水層より反応生成物の抽出を行う。
得られた有機層は必要に応じてイオン交換樹脂や金属酸化物、活性炭等で処理を行う。本発明においては特に金属酸化物が好ましく、その具体例としてはMgO、CaO、SrO、BaO、BeO、ZnO、CeO2、Ce23、Al23、TiO、Ti23、TiO2、TiO3、Ti35、SiO2、ZrO2、FeO、Fe23、Fe34、ZrO2、NiO、CoO、Co34、CuO、Cu2O、AgO、Ag2O、TiO2−Al23、TiO2−SiO2、TiO2−ZrO2、TiO2−MgO、TiO2−Al23、TiO2−WO3、TiO2−MoO3、ZnO−SiO2、Al23−SiO2、Al23−ZrO2、SiO2−MgO、SiO2−WO3、SiO2−ZrO2、シャバサイト、エリオナイト、オフレタイト、モルデナイト、フェリエライト、クライノタイロライト、アナルサイム、カンクリナイト、ジスモンディン、グメリナイト、ローモンタイト、リュウサイト、スコレサイト、ソーダライト、トムソナイト、フィリップサイト、ハーモトーム、メルリノイト、アミサイト、ガローナイト、ポーリンジャイト、ユガワラライト、レビナイト、マッザイト、ホージャサイト、ナトロライト、メソライト、トムソナイト、ゴンナルダイト、エディングトナイト、ダッキャルダイト、エピスティルバイト、ピキタイト、ヒューランダイト、クリノプチロライト、スティルバイト、ステレライト、バレライト、バリューステライト、カウレサイト、ワイラカイト、ポルーサイト、アシュクロフィン、モレキュラシーブス、モンモリロナイト、ハロイサルト、アタパルジェイド、セピオライト、アロフェン、酸性白土、活性白土、ケイソウ土などが挙げられる。これらの金属酸化物は天然または合成のいずれでも良く、一種のみで、または複数種を混合して使用することができる。本発明においてはメソポーラス体やその活性体(例えば活性SiO2等)が好ましい。金属酸化物による処理は有機溶剤中に残存する触媒の量を低減させるのに効果がある。得られた有機層より溶剤を留去することで目的とするエポキシ樹脂を得ることができる。場合によってはさらに蒸留により精製しても構わない。蒸留方法としては薄膜、回転式分子蒸留等の手法により蒸留することができる。
このようにして得られる本発明のエポキシ樹脂は式(2)
Figure 2009242389
(式中、複数存在するRはそれぞれ独立して存在し、水素原子、もしくはメチル基を表す。)
で表される構造の化合物を主成分とするが、式(3)
Figure 2009242389
(式(A)〜(D)中、Rは水素原子、もしくはメチル基を表す。式(3)の両末端の*は、それぞれ独立に(A)〜(D)のいずれかである。)
に示すような様々な構造の化合物が混在する。
前述の方法により得られた本発明のエポキシ樹脂は各種樹脂原料として使用できる。例えばエポキシアクリレートおよびその誘導体、オキサゾリドン系化合物、環状カーボネート化合物等が挙げられる。
以下、本発明のエポキシ樹脂を含む本発明の硬化性樹脂組成物について記載する。
本発明の硬化性樹脂組成物は本発明のエポキシ樹脂を必須成分として含有する。本発明の硬化性樹脂組成物は、硬化剤を含む熱硬化性樹脂組成物(硬化性樹脂組成物A)と酸性硬化触媒を含むカチオン硬化性樹脂組成物(硬化性樹脂組成物B)に大別される。
硬化性樹脂組成物Aと硬化性組樹脂成物Bにおいて本発明のエポキシ樹脂は単独でまたは他のエポキシ樹脂と併用して使用することが出来る。併用する場合、本発明のエポキシ樹脂の全エポキシ樹脂中に占める割合は30質量%以上が好ましく、特に40質量%以上が好ましい。ただし、本発明のエポキシ樹脂を硬化性樹脂組成物の改質剤として使用する場合は、1〜30質量%の割合で添加しても構わない。
本発明のエポキシ樹脂と併用し得る他のエポキシ樹脂としては、ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂などが挙げられる。具体的には、ビスフェノールA、ビスフェノールS、チオジフェノール、フルオレンビスフェノール、テルペンジフェノール、4,4’−ビフェノール、2,2’−ビフェノール、3,3’,5,5’−テトラメチル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジオール、ハイドロキノン、レゾルシン、ナフタレンジオール、トリス−(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、フェノール類(フェノール、アルキル置換フェノール、ナフトール、アルキル置換ナフトール、ジヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシナフタレン等)とホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、o−ヒドロキシベンズアルデヒド、p−ヒドロキシアセトフェノン、o−ヒドロキシアセトフェノン、ジシクロペンタジエン、フルフラール、4,4’−ビス(クロルメチル)−1,1’−ビフェニル、4,4’−ビス(メトキシメチル)−1,1’−ビフェニル、1,4−ビス(クロロメチル)ベンゼン又は1,4−ビス(メトキシメチル)ベンゼン等との重縮合物及びこれらの変性物、テトラブロモビスフェノールA等のハロゲン化ビスフェノール類並びにアルコール類から誘導されるグリシジルエーテル化物、脂環式エポキシ樹脂、グリシジルアミン系エポキシ樹脂、グリシジルエステル系エポキシ樹脂、シルセスキオキサン系のエポキシ樹脂(鎖状、環状、ラダー状、あるいはそれら少なくとも2種以上の混合構造のシロキサン構造にグリシジル基、あるいはエポキシシクロヘキサン構造を有するエポキシ樹脂)等の固形または液状エポキシ樹脂が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
特に本発明の硬化性樹脂組成物を光学用途に用いる場合、脂環式エポキシ樹脂やシルセスキオキサン構造のエポキシ樹脂との併用が好ましい。特に脂環式エポキシ樹脂の場合、骨格にエポキシシクロヘキサン構造を有する化合物が好ましく、シクロヘキセン構造を有する化合物の酸化反応により得られるエポキシ樹脂が好ましい。
これらエポキシ樹脂としては、シクロヘキセンカルボン酸とアルコール類とのエステル化反応あるいはシクロヘキセンメタノールとカルボン酸類とのエステル化反応(Tetrahedron vol.36 p.2409 (1980)、Tetrahedron Letter p.4475 (1980)等に記載の手法)、あるいはシクロヘキセンアルデヒドのティシェンコ反応(特開2003−170059号公報、特開2004−262871号公報等に記載の手法)、さらにはシクロヘキセンカルボン酸エステルのエステル交換反応(特開2006−052187号公報等に記載の手法)によって製造できる化合物を酸化した物などが挙げられる。
アルコール類としては、アルコール性水酸基を有する化合物であれば特に限定されないがエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノールなどのジオール類、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、2−ヒドロキシメチル−1,4−ブタンジオールなどのトリオール類、ペンタエリスリトールなどのテトラオール類などが挙げられる。またカルボン酸類としてはシュウ酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などが挙げられるがこれに限らない。
さらには、シクロヘキセンアルデヒド誘導体と、アルコール体とのアセタール反応によるアセタール化合物が挙げられる。反応手法としては一般のアセタール化反応を応用すれば製造でき、例えば、反応媒体にトルエン、キシレンなどの溶媒を用いて共沸脱水しながら反応を行う方法(米国特許第2945008号公報)、濃塩酸に多価アルコールを溶解した後アルデヒド類を徐々に添加しながら反応を行う方法(特開昭48−96590号公報)、反応媒体に水を用いる方法(米国特許第3092640号公報)、反応媒体に有機溶媒を用いる方法(特開平7−215979号公報)、固体酸触媒を用いる方法(特開2007−230992号公報)等が開示されている。構造の安定性から環状アセタール構造が好ましい。
これらエポキシ樹脂の具体例としては、ERL−4221、UVR−6105、ERL−4299(全て商品名、いずれもダウ・ケミカル製)、セロキサイド2021P、エポリードGT401、EHPE3150、EHPE3150CE(全て商品名、いずれもダイセル化学工業製)及びジシクロペンタジエンジエポキシドなどが挙げられるがこれらに限定されるものではない(参考文献:総説エポキシ樹脂 基礎編I p76−85)。
これらは単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
以下それぞれの硬化性樹脂組成物について言及する。
硬化性樹脂組成物A(硬化剤による熱硬化)
本発明の硬化性樹脂組成物Aが含有する硬化剤としては、例えばアミン系化合物、酸無水物系化合物、アミド系化合物、フェノール系化合物、カルボン酸系化合物などが挙げられる。用いうる硬化剤の具体例としては、ジアミノジフェニルメタン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジアミノジフェニルスルホン、イソホロンジアミン、ジシアンジアミド、リノレン酸の2量体とエチレンジアミンより合成されるポリアミド樹脂、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、無水ナジック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、ブタンテトラカルボン酸無水物、ビシクロ[2,2,1]ヘプタン−2,3−ジカルボン酸無水物、メチルビシクロ[2,2,1]ヘプタン−2,3−ジカルボン酸無水物、シクロヘキサン−1,3,4−トリカルボン酸−3,4−無水物、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フルオレンビスフェノール、テルペンジフェノール、4,4’−ビフェノール、2,2’−ビフェノール、3,3’,5,5’−テトラメチル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジオール、ハイドロキノン、レゾルシン、ナフタレンジオール、トリス−(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、フェノール類(フェノール、アルキル置換フェノール、ナフトール、アルキル置換ナフトール、ジヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシナフタレン等)とホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、o−ヒドロキシベンズアルデヒド、p−ヒドロキシアセトフェノン、o−ヒドロキシアセトフェノン、ジシクロペンタジエン、フルフラール、4,4’−ビス(クロロメチル)−1,1’−ビフェニル、4,4’−ビス(メトキシメチル)−1,1’−ビフェニル、1,4’−ビス(クロロメチル)ベンゼン又は1,4’−ビス(メトキシメチル)ベンゼン等との重縮合物及びこれらの変性物、テトラブロモビスフェノールA等のハロゲン化ビスフェノール類、イミダゾール、トリフルオロボラン−アミン錯体、グアニジン誘導体、テルペンとフェノール類の縮合物などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらは単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
本発明の硬化性樹脂組成物Aにおける硬化剤の使用量は、エポキシ樹脂のエポキシ基1当量に対して0.7〜1.2当量が好ましい。エポキシ基1当量に対して、0.7当量に満たない場合、あるいは1.2当量を超える場合、いずれも硬化が不完全となり良好な硬化物性が得られない恐れがある。
本発明の硬化性樹脂組成物Aにおいては、硬化剤とともに硬化促進剤を併用しても差し支えない。用い得る硬化促進剤の具体例としては2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール及び2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール類、2−(ジメチルアミノメチル)フェノールや1,8−ジアザ−ビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7等の第3級アミン類、トリフェニルホスフィン等のホスフィン類、オクチル酸スズ等の金属化合物等が挙げられる。硬化促進剤を用いる場合は、エポキシ樹脂100質量部に対して5.0質量部以下が必要に応じて用いられる。
本発明の硬化性樹脂組成物Aは、リン含有化合物を難燃性付与成分として含有することもできる。リン含有化合物としては反応型のものでも添加型のものでもよい。リン含有化合物の具体例としては、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシリレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、クレジル−2,6−ジキシリレニルホスフェート、1,3−フェニレンビス(ジキシリレニルホスフェート)、1,4−フェニレンビス(ジキシリレニルホスフェート)及び4,4'−ビフェニル(ジキシリレニルホスフェート)等のリン酸エステル類;9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイドや10(2,5−ジヒドロキシフェニル)−10H−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド等のホスファン類;エポキシ樹脂と前記ホスファン類の活性水素とを反応させて得られるリン含有エポキシ樹脂、赤リン等が挙げられるが、リン酸エステル類、ホスファン類またはリン含有エポキシ樹脂が好ましく、1,3−フェニレンビス(ジキシリレニルホスフェート)、1,4−フェニレンビス(ジキシリレニルホスフェート)、4,4'−ビフェニル(ジキシリレニルホスフェート)またはリン含有エポキシ樹脂が特に好ましい。リン含有化合物の含有量は、本発明の硬化性樹脂組成物A中のエポキシ樹脂成分の総量に対して0.6倍以下が好ましい。0.6倍を超える場合には硬化物の吸湿性、誘電特性に悪影響を及ぼす懸念がある。
さらに本発明の硬化性樹脂組成物Aは、必要に応じてバインダー樹脂を含有することが出来る。バインダー樹脂としてはブチラール系樹脂、アセタール系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ−ナイロン系樹脂、NBR−フェノール系樹脂、エポキシ−NBR系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、シリコーン系樹脂などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。バインダー樹脂の配合量は、硬化物の難燃性、耐熱性を損なわない範囲であることが好ましく、本発明の硬化性樹脂組成物A中の樹脂成分100質量部に対して通常50質量部以下、好ましくは20質量部以下が必要に応じて用いられる。
本発明の硬化性樹脂組成物Aは、必要に応じて無機充填剤を含有することができる。無機充填剤としては、結晶シリカ、溶融シリカ、アルミナ、ジルコン、珪酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化ホウ素、ジルコニア、フォステライト、ステアタイト、スピネル、チタニア、タルク等の粉体またはこれらを球形化したビーズ等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらは単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。これら無機充填剤の含有量は、本発明の硬化性樹脂組成物中Aにおいて95質量%以下を占める量が用いられる。更に本発明の硬化性樹脂組成物Aには、シランカップリング剤、ステアリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の離型剤、顔料等の種々の配合剤、各種熱硬化性樹脂を添加することができる。
前記各成分を均一に混合することにより得られる本発明の硬化性樹脂組成物Aは、従来知られている方法と同様の方法で容易にその硬化物とすることができる。例えば本発明のエポキシ樹脂と硬化剤並びに必要により硬化促進剤、リン含有化合物、バインダー樹脂、無機充填材及び配合剤とを、必要に応じて押出機、ニーダ、ロール等を用いて均一になるまで充分に混合して得られた硬化性樹脂組成物Aを、溶融後注型あるいはトランスファー成型機などを用いて成型し、さらに80〜200℃で2〜10時間加熱することにより本発明の硬化物を得ることができる。
また本発明の硬化性樹脂組成物Aをトルエン、キシレン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド及びN−メチルピロリドン等の溶剤に溶解させ、硬化性樹脂組成物ワニスとし、ガラス繊維、カーボン繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アルミナ繊維及び紙などの基材に含浸させて加熱乾燥して得たプリプレグを熱プレス成形することにより、本発明の硬化性樹脂組成物の硬化物とすることができる。この際の溶剤は、本発明の硬化性樹脂組成物と該溶剤の混合物中で通常10〜70質量%、好ましくは15〜70質量%を占める量を用いる。また液状組成物のままRTM方式でカーボン繊維を含有するエポキシ樹脂硬化物を得ることもできる。
また本発明の硬化性樹脂組成物Aをフィルム又はシート形状で用いた場合、Bステージにおけるフレキシブル性等に優れるという特性を有する。このようなフィルム又はシート形状の樹脂組成物は、本発明の硬化性樹脂組成物Aの前記ワニスを剥離フィルム上に塗布して加熱下で溶剤を除去し、Bステージ化を行うことにより得られる。このフィルム又はシート状の樹脂組成物は多層基板などにおける接着剤(層間絶縁層)として使用することが出来る。
更に、本発明の硬化性樹脂組成物Aの用途としてはエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂が使用される一般の用途、例えば、接着剤、塗料、コーティング剤、成形材料(シート、フィルム、FRP等を含む)、絶縁材料(プリント基板、電線被覆等を含む)、封止材の他、基板用のシアネート樹脂組成物や、アクリル酸エステル系レジスト用樹脂組成物における硬化剤等、他の樹脂系組成物における添加剤等が挙げられる。
接着剤としては、具体的には土木用、建築用、自動車用、一般事務用、医療用の他、電子材料用等が挙げられる。これらのうち電子材料用の接着剤としては、ビルドアップ基板等の多層基板の層間接着剤、ダイボンディング剤、アンダーフィル等の半導体用接着剤、BGA補強用アンダーフィル、異方性導電性フィルム(ACF)、異方性導電性ペースト(ACP)等の実装用接着剤等が挙げられる。
封止剤としては、コンデンサ、トランジスタ、ダイオード、発光ダイオード、IC及びLSI等に用いられるポッティング、ディッピング又はトランスファーモールド用封止剤、ICやLSI類のCOB、COF及びTAB等に用いられるポッティング用封止剤、フリップチップ等に用いられるアンダーフィル、QFP用封止剤、BGAやCSPなどのICパッケージ類実装時に用いられる封止剤(補強用アンダーフィルを含む)などを挙げることができる。
硬化性樹脂組成物B(酸性硬化触媒によるカチオン硬化)
酸性硬化触媒を用いて硬化させる本発明の硬化性樹脂組成物Bは、酸性硬化触媒として光重合開始剤あるいは熱重合開始剤を含有する。さらに、希釈剤、重合性モノマー、重合性オリゴマー、重合開始補助剤、光増感剤等の各種公知の化合物、材料等を含有していてもよい。また、所望に応じて無機充填材、着色顔料、紫外線吸収剤、酸化防止剤、安定剤等、各種公知の添加剤を含有してもよい。
酸性硬化触媒としてはカチオン重合開始剤が好ましく、光カチオン重合開始剤が特に好ましい。カチオン重合開始剤としてはヨードニウム塩、スルホニウム塩、ジアゾニウム塩等のオニウム塩を有するものが挙げられ、これらは単独または2種以上で使用することができる。該カチオン重合開始剤の使用量は、エポキシ樹脂成分100質量部に対して、好ましくは、0.01〜50質量部であり、より好ましくは、0.1〜10質量部である。
本発明の硬化性樹脂組成物Bには、カチオン重合開始剤に併用して1種または2種以上の重合開始補助剤、および必要に応じて光増感剤を使用することが出来る。
重合開始補助剤の具体例としては、ベンゾイン、ベンジル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノールプロパン−1−オン、N,N−ジメチルアミノアセトフェノン、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−アミルアントラキノン、2−イソプロピルチオキサトン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、アセトフェノンジメチルケタール、ベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、ミヒラーズケトン等の重合開始剤が挙げられる。重合開始剤等の重合開始補助剤の使用量は、樹脂成分100質量部に対して0.01〜30質量部、好ましくは0.1〜10質量部である。
また、光増感剤の具体例としては、アントラセン、2−イソプロピルチオキサトン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、アクリジン オレンジ、アクリジン イエロー、ホスフィンR、ベンゾフラビン、セトフラビンT、ペリレン、N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、N,N−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、トリエタノールアミン、トリエチルアミン等を挙げることができる。光増感剤の使用量は、エポキシ樹脂成分100質量部に対して0.01〜30質量部、好ましくは0.1〜10質量部である。
更に、本発明の硬化性樹脂組成物Bには、必要に応じて各種熱硬化性樹脂等の公知の化合物や、無機充填材、シランカップリング剤、離型剤、顔料等の種々の配合剤を添加することができる。具体的な例としては前述の通りである。
本発明の硬化性樹脂組成物Bは、各成分を均一に混合することにより得られる。また本発明の硬化性樹脂組成物Bをポリエチレングリコールモノエチルエーテルやシクロヘキサノン、γブチロラクトン等の有機溶剤に均一に溶解させた後、乾燥により溶剤を除去して使用することも可能である。有機溶剤を用いる際の使用量は、本発明の硬化性樹脂組成物Bと該溶剤の混合物中で通常10〜70質量%、好ましくは15〜70質量%である。本発明の硬化性樹脂組成物Bは、加熱及び/または紫外線照射により硬化できる(例えば、参考文献:総説エポキシ樹脂 第1巻 基礎編I p82−84)が、その際の熱量及び/または紫外線照射量は硬化性樹脂組成物Bの組成により変化するため、それぞれの組成に合わせて硬化条件が決定され、基本的には、硬化物が使用目的において必要とされる強度を発現できる硬化条件であれば良い。通常、これらエポキシ樹脂系組成物は光照射のみで完全に硬化させることが難しいため、耐熱性が求められる用途においては光照射後に加熱により完全に反応を終了させる必要がある。また、光硬化の際の照射光を細部まで透過させることが必要なため、本発明のエポキシ樹脂および硬化性樹脂組成物Bにおいては透明性の高い化合物および組成物が望まれる。
前記、光照射後の加熱は通常の硬化性樹脂組成物Bの硬化温度域で良い。例えば常温〜150℃で30分間〜7日間の範囲が好適である。熱硬化の条件は硬化性樹脂組成物Bの組成により変化するが、通常高温であればあるほど光照射後の硬化促進に効果があり、逆に低温であればあるほど長時間の熱処理を要する。このような加熱による後硬化は、硬化物中に含まれる水分や被着有機物を除去するためにも効果的である。
硬化性樹脂組成物Bを硬化させて得られる硬化物は、例えばフィルム状、シート状、バルク状などの形状とすることができるが、これらに限定されず具体的な用途に最適な形状とすれば良い。また、これら様々な形状の硬化物に成形する方法としては、例えば、キャスト法、注型法、スクリーン印刷法、スピンコート法、スプレー法、転写法、ディスペンサー方式などが挙げられるが、これらに限定されず所望の形状を得るために適当な方法を採用すればよい。成形型には研磨ガラス、硬質ステンレス研磨板、ポリカーボネート板、ポリエチレンテレフタレート板、ポリメチルメタクリレート板等を用いることができる。また、成形型と硬化性樹脂組成物Bとの離型性を向上させるためポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリテトラフルオロエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリイミドフィルム等を用いることができる。
本発明の硬化性樹脂組成物Bを、例えばカチオン硬化性のレジストとして使用する際は、ポリエチレングリコールモノエチルエーテルやシクロヘキサノン、γブチロラクトン等の有機溶剤に溶解させた硬化性樹脂組成物Bを、銅張積層板やセラミック基板、ガラス基板等の基板上にスクリーン印刷、スピンコート法などの手法によって5〜160μmの膜厚で塗布し、塗膜を60〜110℃で予備乾燥させる。得られた基板上の硬化性樹脂組成物Bに所望のパターンの描かれたネガフィルムを通して紫外線(例えば低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノン灯、レーザー光等)を照射し、ついで、70〜120℃で露光後ベーク処理を行う。その後ポリエチレングリコールモノエチルエーテル等の溶剤で未露光部分を溶解除去(現像)し、さらに必要があれば紫外線の照射及び/または加熱(例えば100〜200℃で0.5〜3時間)によって十分な硬化を行うことで硬化物を得る。このようにしてプリント配線板を得ることも可能である。尚、前述の方法はネガ型レジストの場合であるが、本発明の硬化性樹脂組成物Bはポジ型レジストとして用いることも可能である。
本発明で得られる硬化物は光学部品材料をはじめ各種用途に使用できる。光学用材料とは、可視光、赤外線、紫外線、X線及びレーザーなどの光が、その材料中を通過する用途に用いる材料一般を示す。より具体的には、ランプタイプ、SMDタイプ等のLED用封止材の他、表示体関連分野では、液晶ディスプレイの基板材料、導光板、プリズムシート、偏向板、位相差板、視野角補正フィルム、接着剤及び偏光子保護フィルムをはじめとする液晶用フィルムなどが、次世代フラットパネルディスプレイとして期待されるカラーPDP(プラズマディスプレイ)の封止材、反射防止フィルム、光学補正フィルム、ハウジング材、前面ガラスの保護フィルム、前面ガラス代替材料及び接着剤などが、LED表示装置に使用されるLEDのモールド材、LEDの封止材、前面ガラスの保護フィルム、前面ガラス代替材料及び接着剤などが、プラズマアドレス液晶(PALC)ディスプレイにおける基板材料、導光板、プリズムシート、偏向板、位相差板、視野角補正フィルム、接着剤及び偏光子保護フィルムなどが、有機EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイにおける前面ガラスの保護フィルム、前面ガラス代替材料及び接着剤などが、フィールドエミッションディスプレイ(FED)における各種フィルム基板、前面ガラスの保護フィルム、前面ガラス代替材料及び接着剤などが挙げられる。光記録分野では、VD(ビデオディスク)、CD/CD−ROM、CD−R/RW、DVD−R/DVD−RAM、MO/MD、PD(相変化ディスク)及び光カード用のディスク基板材料、ピックアップレンズ、保護フィルム、封止材及び接着剤などが挙げられる。
光学機器分野では、スチールカメラのレンズ用材料、ファインダプリズム、ターゲットプリズム、ファインダーカバー及び受光センサー部などが、ビデオカメラの撮影レンズ、及びファインダーなどが、プロジェクションテレビの投射レンズ、保護フィルム、封止材、及び接着剤などが、光センシング機器のレンズ用材料、封止材、接着剤及びフィルムなどが挙げられる。光部品分野では、光通信システムでの光スイッチ周辺のファイバー材料、レンズ、導波路、素子の封止材及び接着剤などが、光コネクタ周辺の光ファイバー材料、フェルール、封止材及び接着剤などが、光受動部品や光回路部品ではレンズ、導波路、LEDの封止材、CCDの封止材及び接着剤などが、光電子集積回路(OEIC)周辺の基板材料、ファイバー材料、素子の封止材及び接着剤などが挙げられる。光ファイバー分野では、装飾ディスプレイ用照明・ライトガイドなどが、工業用途のセンサー類及び表示・標識類などが、通信インフラ用および家庭内のデジタル機器接続用の光ファイバーなどが挙げられる。半導体集積回路周辺材料では、LSIや超LSI材料用のマイクロリソグラフィー用のレジスト材料などが挙げられる。自動車・輸送機分野では、自動車用のランプリフレクタ、ベアリングリテーナー、ギア部分、耐蝕コート、スイッチ部分、ヘッドランプ、エンジン内部品、電装部品、各種内外装品、駆動エンジン、ブレーキオイルタンク、自動車用防錆鋼板、インテリアパネル、内装材、保護・結束用ワイヤーネス、燃料ホース、自動車ランプ及びガラス代替品などが、鉄道車輌用の複層ガラスなどが、航空機の構造材の靭性付与剤、エンジン周辺部材、保護・結束用ワイヤーネス及び耐蝕コートなどが挙げられる。建築分野では、内装・加工用材料、電気カバー、シート、ガラス中間膜、ガラス代替品及び太陽電池周辺材料などが挙げられる。農業用では、ハウス被覆用フィルムなどが挙げられる。次世代の光・電子機能有機材料としては、有機EL素子周辺材料、有機フォトリフラクティブ素子、光−光変換デバイスである光増幅素子、光演算素子、有機太陽電池周辺の基板材料、ファイバー材料、素子の封止材及び接着剤などが挙げられる。
封止剤としては、コンデンサ、トランジスタ、ダイオード、発光ダイオード、IC及びLSIなどに用いられるポッティング、ディッピング及びトランスファーモールド封止、ICやLSI類のCOB、COF及びTABなどに用いられるポッティング封止、フリップチップなどに用いられるアンダーフィル、BGAやCSPなどのICパッケージ類実装時の封止(補強用アンダーフィル)などを挙げることができる。
光学用材料の他の用途としては、硬化性樹脂組成物Aが使用される一般の用途が挙げられ、例えば、接着剤、塗料、コーティング剤、成形材料(シート、フィルム、FRP等を含む)、絶縁材料(プリント基板、電線被覆等を含む)、封止剤及び他の樹脂等への添加剤等が挙げられる。接着剤としては、土木用、建築用、自動車用、一般事務用、医療用及び電子材料用が挙げられる。これらのうち電子材料用の接着剤としては、ビルドアップ基板等の多層基板の層間接着剤、ダイボンディング剤及びアンダーフィル等の半導体用接着剤、BGA補強用アンダーフィル、異方性導電性フィルム(ACF)及び異方性導電性ペースト(ACP)等の実装用接着剤等が挙げられる。
次に本発明を実施例により更に具体的に説明するが、以下において部は特に断わりのない限り質量部である。尚、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。実施例において、エポキシ当量はJIS K−7236に準じた方法で、粘度は25℃においてE型粘度計を使用して測定を行った。またガスクロマトグラフィー(以下、GC)による分析は、分離カラムにHP5−MS(0.25mm I.D.x 15m, 膜厚0.25μm)を用いて、カラムオーブン温度を初期温度100℃に設定し、毎分15℃の速度で昇温させ300℃で25分間保持する条件で、キャリヤーガスにヘリウムを用いて行った。さらにゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、GPC)の測定は、カラムにShodex SYSTEM−21カラム(KF−803L、KF−802.5(×2本)、KF−802)を、連結溶離液にテトラヒドロフランを用い、流速1ml/分、カラム温度40℃の条件で、検出にUV(254nm)を用いて行った。尚、検量線求めるための標準試薬にはShodex製標準ポリスチレンを使用した。
実施例1
撹拌機、還流冷却管、撹拌装置、ディーンスターク管を備えたフラスコに、窒素パージを施しながらトルエン100部、3−シクロヘキセン−1−カルボン酸126部、トリシクロデカンジメタノール98部、p−トルエンスルホン酸3部を加え、還流条件下、ディーンスターク管を用いて脱水しながら15時間反応を行った。反応終了後、トリポリ燐酸ソーダ5部を加え、100℃で1時間攪拌した。室温まで冷却後、メチルイソブチルケトン300部を加え、水300部で3回水洗を行い、得られた有機層にシリカゲル100部、活性炭1部を加え、室温で2時間攪拌した後、ろ過を行った。得られたろ液より、溶剤等を除去することで下記式(4)
Figure 2009242389
で表される本発明のジオレフィン化合物190部を得た。
得られた化合物をGCにて分析した結果、その主たるピークは13.9分、14.1分、14.2分、14.4分のリテンションタイムを有していた(数種類の異性体を有するため一部ピークの重なっている部分があり、また小さなピークは省いている)。さらにGC−MS(EI)による測定においては412に親ピークが現れ、前記式(4)と一致することを確認した。またその25℃における粘度は950mPa・sであった。
実施例2
撹拌機、還流冷却管、撹拌装置を備えたフラスコに、窒素パージを施しながら水12部、12−タングストリン酸0.38部、燐酸0.56部、炭酸ソーダを加え、pHを4.7に調整した。更にトリオクチルメチルアンモニウムクロライド0.6部(東京化成製)を加え、タングステン酸系触媒を生成させた後、トルエン50部、実施例1で得られた式(4)で表される化合物41部を加え、さらに再度攪拌することでエマルジョン状態の溶液を得た。この溶液を50℃に昇温し、激しく攪拌しながら30%過酸化水素水24.8部を加え、50℃に保ったまま15時間攪拌して反応を行った。GCで反応の進行を確認したところ、反応終了後の基質のコンバ−ジョンは99%以上であり、原料に起因するピークは消失していた。
ついで、この反応液に1%苛性ソーダ水溶液20部、20%チオ硫酸ソーダ水溶液10部を加えて1時間攪拌を行った。静置後2層に分離した反応液から有機層のみを取り出し、残った水層に30部のトルエンを加えて水層中の有機物を抽出した後に再度静置、分離を行い有機層のみを取り出した。この有機層からの抽出・分離操作をさらに2回繰り返し、得られた有機層を混合した後にシリカゲル20部を加えて室温で1時間攪拌を行った。ろ過により取り出したシリカゲルをトルエン50部で洗浄後、洗浄液からロータリーエバポレータを用いて有機溶剤を留去することで、下記式(5)
Figure 2009242389
で表される本発明のエポキシ樹脂(EP−1)40部を得た。
エポキシ樹脂(EP−1)をGCにて分析した結果、その主たるピークは16.3分、16.5分、16.7分、16.8分、17.0分、17.2分、17.4分、17.7分、17.9分のリテンションタイムを有していた(数種類の異性体を有するため一部ピークの重なっている部分があり、また小さなピークは省いている)。さらにGC−MS(EI)による測定においては444に親ピークが現れ、前記式(5)と一致することを確認した。またその25℃における粘度は45Pa・s、エポキシ当量は233g/eq.であった。さらにGPCを測定したところ、重量平均分子量が288であることを確認した。
実施例3
実施例2で得られたエポキシ樹脂(EP−1)15部に対してシリカゲル(商品名 ワコーゲルC−300、和光純薬製)105部を使用し、酢酸エチル:ヘキサン=1:4の展開溶媒を用いてカラムクロマトグラフィーにより精製を行いエポキシ樹脂(EP−2)12部を得た。エポキシ樹脂(EP−2)は、GPCの測定結果より、前記式(5)の骨格の化合物を98%以上含有していることを確認した。さらに、GC測定においては純度約99%であった。また、エポキシ当量は205g/eq.であった。
実施例4〜6
実施例2及び3で得られた本発明のエポキシ樹脂(EP−1及びEP−2)について、硬化剤としてメチルヘキサヒドロフタル酸無水物(商品名 リカシッドMH700G、新日本理化(株)製、以下H1と称す)、シクロヘキサン−1,2,4−トリカルボン酸−1,2−無水物(商品名 H−TMAn、三菱瓦斯化学株式会社製、以下H2と称す)、硬化促進剤としてヘキサデシルトリメチルアンモニウムヒドロキシド(東京化成工業(株)製、25%メタノール溶液、以下C1と称す)を使用し、下記表1に示す配合比(質量部)で配合して20分間脱泡を行い、本発明の硬化性組成物を得た。
(耐熱特性試験)
実施例4〜6で得られた硬化性樹脂組成物に真空脱泡を20分間施した後、横7mm、縦5cm、厚さ約800μmの試験片用金型に静かに注入し、金型上部にポリイミドフィルムでフタをした。その注型物に120℃×2時間及び160℃×2時間の加熱処理を施すことで硬化させて得た動的粘弾性用試験片を用いて、下記に示した条件で動的粘弾性試験を実施した。結果を表1に示す。
測定条件
動的粘弾性測定器:TA−instruments製、DMA−2980
測定温度範囲:−30℃〜280℃
昇温速度:2℃/分
試験片サイズ:5mm×50mmに切り出した物を使用した(厚みは約800μm)。
解析条件
Tg:DMA測定に於けるTanδのピーク点をTgとした。
(熱機械特性試験)
実施例4〜6で得られた硬化性樹脂組成物に真空脱泡を20分間施した後、テフロン(登録商標)製のφ2mmチューブにて注型し、その注型物を耐熱特性試験に用いたサンプルと同じ条件で硬化させて得た試験片を用いて、下記の条件で熱機械特性試験(TMA試験)を実施した。結果を表1に示す。
測定条件
熱機械測定器:真空理工(株)製 TM−7000
測定温度範囲:40℃〜250℃
昇温速度:2℃/分
試験片サイズ:φ2mm×15mmに切り出した物を使用した。
(熱耐久性透過率試験)
実施例4〜6で得られた硬化性樹脂組成物に真空脱泡を20分間施した後、30mm×20mm×高さ1mmになるように耐熱テープでダムを作成したガラス基板上に静かに注入し、120℃×3時間の予備硬化の後150℃×1時間で硬化させ、厚さ1mmの透過率用試験片を得た。
これらの試験片を用い、150℃のオーブン中に96hr放置前後における透過率(測定波長:400nm)を分光光度計により測定し、透過率の保持率を算出した。結果を表1に示す。
Figure 2009242389
実施例7、比較例1
実施例3で得られた本発明のエポキシ樹脂(EP−2)、比較例として3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−(3,4−エポキシ)シクロヘキシルカルボキシレート(商品名 ERL−4221、ダウ・ケミカル社製、エポキシ当量140g/eq.、以下EP−3と称す)について、硬化剤としてH1、H2を使用し、下記表2に示す配合比(質量部)で配合して20分間脱泡を行い、本発明及び比較例の硬化性組成物を得た。
(LED試験)
実施例7及び比較例1で得られた硬化性樹脂組成物に真空脱泡を20分間施した後、シリンジに充填し精密吐出装置を使用して、発光波長465nmを持つ発光素子を搭載した表面実装型LEDに注型した。注型物に120℃×2時間及び140℃×2時間の加熱処理を施すことにより得られた試験用LEDを用いてリフロー試験及びヒートサイクル試験を行った。結果を表2に示す。
(1)LEDリフロー試験
試験用LEDを30℃×70%RHの湿熱条件下で24時間吸湿させた後、高温観察装置(SMT Scope SK−5000、山陽精工株式会社製)を用いて、下記のリフロー条件下でのクラックの発生の有無を目視で観察した。各試験用LEDについてn=3で試験を行い、クラックの発生しなかった数で評価した。
リフロー条件:2℃/秒で25℃から150℃まで昇温して150℃で2分間保持し、次いで2℃/秒で260℃まで昇温して260℃で10秒間保持した後、1.3℃/秒で室温まで冷却。
(2)LEDヒートサイクル試験
試験用LEDに、ヒートサイクル試験機(TSA−41L−A、エスペック株式会社製)を用いて下記の条件でヒートサイクル試験を行い、クラックの発生の有無を目視で観察した。
ヒートサイクル試験条件:−40℃×15分間/+120℃×15分間の500サイクル(昇温及び降温に要する時間はいずれも2分間)。
Figure 2009242389
リフロー試験やヒートサイクル試験の結果から、本発明のエポキシ樹脂、および該組成物は強靭性に優れる硬化物を与えることがわかる。
実施例8、比較例2
実施例2で得られた本発明のエポキシ樹脂(EP−1)、比較例として特許文献1に記載の下記式(6)で表されるエポキシ樹脂(エポキシ当量 207g/eq.、25℃における粘度4200mPa・s、以下EP−4と称す)について、硬化剤としてH1、硬化触媒としてC1を使用し、下記表3に示す配合比(質量部)で配合して本発明及び比較例の硬化性組成物を得た。
Figure 2009242389
(熱機械特性試験)
実施例8、比較例2で得られた硬化性樹脂組成物に真空脱泡を20分間施した後、テフロン(登録商標)製のφ2mmチューブにて注型し、その注型物を耐熱特性試験に用いたサンプルと同じ条件で硬化させて得た試験片を用いて、下記の条件でTMA試験を実施し、50〜220℃における線膨張量の比較を行った。結果を表3に示す。
測定条件
熱機械測定器:真空理工(株)製 TM−7000
測定温度範囲:40℃〜250℃
昇温速度:2℃/分
試験片サイズ:φ2mm×15mmに切り出した物を使用した。
Figure 2009242389
リフロー試験やヒートサイクル試験の結果から、本発明のエポキシ樹脂、および該組成物は高温における線膨張量が少なく、寸法安定性にも優れる硬化物を与える事がわかる。
本発明のエポキシ樹脂は靭性に優れた硬化物を与えることから、本発明のエポキシ樹脂を含む本発明の硬化性脂組成物は電気・電子材料、成型材料、注型材料、積層材料、塗料、接着剤、レジストなどの広範囲の用途、特に低着色性の要求される光学材料用途にきわめて有用である。

Claims (8)

  1. 下記式(1)
    Figure 2009242389
    (式中、複数存在するRはそれぞれ独立して存在し、水素原子又はメチル基を表す。)
    で表されるジオレフィン化合物。
  2. 式(1)における全てのRが水素原子である請求項1に記載のジオレフィン化合物。
  3. 請求項1又は2に記載のジオレフィン化合物を酸化することにより得られるエポキシ樹脂。
  4. 酸化の際に過酸化水素又は過酸を用いる請求項3に記載のエポキシ樹脂。
  5. 請求項3又は4に記載のエポキシ樹脂と、硬化剤又は硬化触媒を必須成分とする硬化性樹脂組成物。
  6. 請求項5に記載の硬化性樹脂組成物を硬化してなる硬化物。
  7. 下記式(6)
    Figure 2009242389
    (式中、Rは水素原子又はメチル基を表す。)
    で表される化合物と下記式(7)
    Figure 2009242389
    で表される化合物とを反応させることを特徴とする請求項1に記載の式(1)で表されるジオレフィン化合物の製造法。
  8. 請求項7に記載の製造法で得られたジオレフィン化合物を、過酸化水素または過酸を用いて酸化することを特徴とするエポキシ樹脂の製造法。
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