JP2009242389A - ジオレフィン化合物、エポキシ樹脂、及び硬化性樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
またコンポジット材、車の車体や船舶の構造材として、近年、その製造法の簡便さからRTMが使用されている。このような組成物には、カーボンファイバー等へ含浸させやすいことから低粘度のエポキシ樹脂が望まれている。
すなわち本発明は
(1)下記式(1)
で表されるジオレフィン化合物、
(2)式(1)における全てのRが水素原子である前項(1)に記載のジオレフィン化合物、
(3)前項(1)又は(2)に記載のジオレフィン化合物を酸化することにより得られるエポキシ樹脂、
(4)酸化の際に過酸化水素又は過酸を用いる前項(3)に記載のエポキシ樹脂、
(5)前項(3)又は(4)に記載のエポキシ樹脂と、硬化剤又は硬化触媒を必須成分とする硬化性樹脂組成物、
(6)前項(5)に記載の硬化性樹脂組成物を硬化してなる硬化物、
(7)下記式(6)
で表される化合物と下記式(7)
(8)前項(7)に記載の製造法で得られたジオレフィン化合物を、過酸化水素または過酸を用いて酸化することを特徴とするエポキシ樹脂の製造法、
に関する。
シクロヘキセンカルボン酸誘導体としてはシクロヘキセンカルボン酸、メチルシクロヘキセンカルボン酸(メチル基の置換位置は特に指定されない)が挙げられる。
過酸による酸化の手法としては、具体的には特開2006−52187号公報に記載の手法などが挙げられる。
過酸化水素水を用いて酸化を行う場合、特開昭59−108793号公報、特開昭62−234550号公報、特開平5−213919号公報、特開平11−349579号公報、特公平1―33471号公報、特開2001−17864号公報、特公平3−57102号公報等に挙げられるような種々の手法が適応できる。
本発明のエポキシ樹脂の製造方法は特に限定されず、いかなる手法を用いて製造しても構わないが、低粘度のエポキシ樹脂が得られることから過酸化水素を用いる方法がより好ましい。以下に過酸化水素を用いる酸化の手法の一例を記載する。
タングステン酸類としては、タングステン酸、タングスト燐酸、ケイタングステン酸などのタングステン系の酸、およびその塩が挙げられる。これらの塩のカウンターカチオンの具体例としては、テトラメチルアンモニウムイオン、ベンジルトリエチルアンモニウムイオン、トリデカニルメチルアンモニウムイオン、ジラウリルジメチルアンモニウムイオン、トリオクチルメチルアンモニウムイオン、トリアルキルメチル(オクチル基とデカニル基の混合タイプ)アンモニウムイオン、トリヘキサデシルメチルアンモニウムイオン、トリメチルステアリルアンモニウムイオン、テトラペンチルアンモニウムイオン、セチルトリメチルアンモニウムイオン、ベンジルトリブチルアンモニウムイオン、トリカプリルメチルアンモニウムイオン、ジセチルジメチルアンモニウムイオンなどの4級アンモニウムイオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン等のアルカリ土類金属イオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、セシウムイオン等のアルカリ金属イオンなどが挙げられるがこれらに限定されない。
有機化されたタングステン酸類は、タングステン系の酸あるいはその塩と4級アンモニウム塩とを反応させることにより製造することができる。4級アンモニウム塩の具体例としては、トリデカニルメチルアンモニウム塩、ジラウリルジメチルアンモニウム塩、トリオクチルメチルアンモニウム塩、トリアルキルメチル(アルキル基がオクチル基である化合物とデカニル基である化合物の混合タイプ)アンモニウム塩、トリヘキサデシルメチルアンモニウム塩、トリメチルステアリルアンモニウム塩、テトラペンチルアンモニウム塩、セチルトリメチルアンモニウム塩、ベンジルトリブチルアンモニウム塩、ジセチルジメチルアンモニウム塩、トリセチルメチルアンモニウム塩、ジ硬化牛脂アルキルジメチルアンモニウム塩などが挙げられるがこれらに限定されない。これら4級アンモニウム塩のうち、総炭素数が10以上、好ましくは25〜100の4級アンモニウム塩が好ましく、そのアルキル鎖が全て脂肪族鎖であるものが特に好ましい。4級アンモニウム塩の炭素数が100を上回ると、疎水性が強くなりすぎて有機層への溶解性が悪くなる場合があり、また炭素数が10以下であると、親水性が強くなりすぎて同様に有機層への相溶性が悪くなる場合があり、好ましくない。
また前記4級アンモニウム塩におけるアニオン種に特に限定はなく、例えばハロゲン化物イオン、硝酸イオン、硫酸イオン、硫酸水素イオン、アセテートイオン、炭酸イオン等が挙げられる。
具体的には、タングステン酸類を溶解した水溶液を攪拌しながら4級アンモニウム塩を添加する。反応の進行が遅い場合は40〜90℃程度まで加熱すると反応が進行しやすい。反応により生成した有機化されたタングステン系の触媒は水層に析出する。析出した塩をろ過、あるいは有機溶剤で抽出及び分液することにより、目的とするタングステン系の触媒が得られる。尚、得られた触媒の形状は、反応に用いたタングステン酸類と4級アンモニウム塩との組み合わせにより、結晶状或いは樹脂状など様々である。
またこの際、工程の簡略化のために、得られた触媒を単離せずそのまま前記式(1)で示されるオレフィン化合物他の成分を加えて酸化反応を行っても構わない。
前記の手法で得られるタングステン系触媒の構造は明確ではないが、タングステン酸類のカウンターカチオンにプロトン、4級アンモニウムカチオン、pH調整に使用した緩衝液の金属イオンが関与するような構造になるものと推定される。
尚、燐酸−燐酸塩水溶液を加えてpHを調整する方法は何ら限定されないが、簡便的には、反応に使用する過酸化水素に対して0.1〜10モル当量の燐酸(あるいは燐酸二水素ナトリウム等の燐酸塩)を加えた後に、塩基性化合物(たとえば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム等)でpHを微調整する方法をとっても良い。
尚、過酸化水素は添加時に発熱する場合が多いことから、各成分を添加した後に徐々に添加する方法でも構わない。あるいは先に過酸化水素、タングステン系の触媒、pH調整溶液、必要に応じて溶剤を加えた後に、式(1)で示されるジオレフィン化合物を徐々に添加する方法でも構わない。
またタングステン系の触媒は予め作成したものを添加することも、反応系中で作成した後、そのまま反応に使用することもできる。
塩基性化合物の使用量は、水あるいは有機溶剤(例えば、トルエン及びキシレン等の芳香族炭化水素、メチルイソブチルケトン及びメチルエチルケトン等のケトン類、シクロヘキサン、ヘプタン及びオクタン等の炭化水素、メタノール、エタノール及びイソプロピルアルコール等のアルコール類など、各種溶剤)に溶解するものの場合には、過剰分の過酸化水素のモル数に対し通常0.01〜20倍モル、より好ましくは0.05〜10倍モル、さらに好ましくは0.05〜3倍モルである。これらは水あるいは有機溶剤(前述)の溶液として添加しても単体で添加しても構わない。
水あるいは有機溶剤に溶解しない固体塩基を使用する場合には、系中に残存する過酸化水素の量に対し重量比で1〜1000倍の量を使用することが好ましい。より好ましくは10〜500倍、さらに好ましくは10〜300倍である。水や有機溶剤に溶解しない固体塩基を使用する場合には、後に記載する水層と有機層の分離の後にクエンチ処理を行っても構わない。
得られた有機層は必要に応じてイオン交換樹脂や金属酸化物、活性炭等で処理を行う。本発明においては特に金属酸化物が好ましく、その具体例としてはMgO、CaO、SrO、BaO、BeO、ZnO、CeO2、Ce2O3、Al2O3、TiO、Ti2O3、TiO2、TiO3、Ti3O5、SiO2、ZrO2、FeO、Fe2O3、Fe3O4、ZrO2、NiO、CoO、Co3O4、CuO、Cu2O、AgO、Ag2O、TiO2−Al2O3、TiO2−SiO2、TiO2−ZrO2、TiO2−MgO、TiO2−Al2O3、TiO2−WO3、TiO2−MoO3、ZnO−SiO2、Al2O3−SiO2、Al2O3−ZrO2、SiO2−MgO、SiO2−WO3、SiO2−ZrO2、シャバサイト、エリオナイト、オフレタイト、モルデナイト、フェリエライト、クライノタイロライト、アナルサイム、カンクリナイト、ジスモンディン、グメリナイト、ローモンタイト、リュウサイト、スコレサイト、ソーダライト、トムソナイト、フィリップサイト、ハーモトーム、メルリノイト、アミサイト、ガローナイト、ポーリンジャイト、ユガワラライト、レビナイト、マッザイト、ホージャサイト、ナトロライト、メソライト、トムソナイト、ゴンナルダイト、エディングトナイト、ダッキャルダイト、エピスティルバイト、ピキタイト、ヒューランダイト、クリノプチロライト、スティルバイト、ステレライト、バレライト、バリューステライト、カウレサイト、ワイラカイト、ポルーサイト、アシュクロフィン、モレキュラシーブス、モンモリロナイト、ハロイサルト、アタパルジェイド、セピオライト、アロフェン、酸性白土、活性白土、ケイソウ土などが挙げられる。これらの金属酸化物は天然または合成のいずれでも良く、一種のみで、または複数種を混合して使用することができる。本発明においてはメソポーラス体やその活性体(例えば活性SiO2等)が好ましい。金属酸化物による処理は有機溶剤中に残存する触媒の量を低減させるのに効果がある。得られた有機層より溶剤を留去することで目的とするエポキシ樹脂を得ることができる。場合によってはさらに蒸留により精製しても構わない。蒸留方法としては薄膜、回転式分子蒸留等の手法により蒸留することができる。
で表される構造の化合物を主成分とするが、式(3)
に示すような様々な構造の化合物が混在する。
本発明の硬化性樹脂組成物は本発明のエポキシ樹脂を必須成分として含有する。本発明の硬化性樹脂組成物は、硬化剤を含む熱硬化性樹脂組成物(硬化性樹脂組成物A)と酸性硬化触媒を含むカチオン硬化性樹脂組成物(硬化性樹脂組成物B)に大別される。
これらエポキシ樹脂としては、シクロヘキセンカルボン酸とアルコール類とのエステル化反応あるいはシクロヘキセンメタノールとカルボン酸類とのエステル化反応(Tetrahedron vol.36 p.2409 (1980)、Tetrahedron Letter p.4475 (1980)等に記載の手法)、あるいはシクロヘキセンアルデヒドのティシェンコ反応(特開2003−170059号公報、特開2004−262871号公報等に記載の手法)、さらにはシクロヘキセンカルボン酸エステルのエステル交換反応(特開2006−052187号公報等に記載の手法)によって製造できる化合物を酸化した物などが挙げられる。
アルコール類としては、アルコール性水酸基を有する化合物であれば特に限定されないがエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノールなどのジオール類、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、2−ヒドロキシメチル−1,4−ブタンジオールなどのトリオール類、ペンタエリスリトールなどのテトラオール類などが挙げられる。またカルボン酸類としてはシュウ酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などが挙げられるがこれに限らない。
これらエポキシ樹脂の具体例としては、ERL−4221、UVR−6105、ERL−4299(全て商品名、いずれもダウ・ケミカル製)、セロキサイド2021P、エポリードGT401、EHPE3150、EHPE3150CE(全て商品名、いずれもダイセル化学工業製)及びジシクロペンタジエンジエポキシドなどが挙げられるがこれらに限定されるものではない(参考文献:総説エポキシ樹脂 基礎編I p76−85)。
これらは単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
硬化性樹脂組成物A(硬化剤による熱硬化)
本発明の硬化性樹脂組成物Aが含有する硬化剤としては、例えばアミン系化合物、酸無水物系化合物、アミド系化合物、フェノール系化合物、カルボン酸系化合物などが挙げられる。用いうる硬化剤の具体例としては、ジアミノジフェニルメタン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジアミノジフェニルスルホン、イソホロンジアミン、ジシアンジアミド、リノレン酸の2量体とエチレンジアミンより合成されるポリアミド樹脂、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、無水ナジック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、ブタンテトラカルボン酸無水物、ビシクロ[2,2,1]ヘプタン−2,3−ジカルボン酸無水物、メチルビシクロ[2,2,1]ヘプタン−2,3−ジカルボン酸無水物、シクロヘキサン−1,3,4−トリカルボン酸−3,4−無水物、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フルオレンビスフェノール、テルペンジフェノール、4,4’−ビフェノール、2,2’−ビフェノール、3,3’,5,5’−テトラメチル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジオール、ハイドロキノン、レゾルシン、ナフタレンジオール、トリス−(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、フェノール類(フェノール、アルキル置換フェノール、ナフトール、アルキル置換ナフトール、ジヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシナフタレン等)とホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、o−ヒドロキシベンズアルデヒド、p−ヒドロキシアセトフェノン、o−ヒドロキシアセトフェノン、ジシクロペンタジエン、フルフラール、4,4’−ビス(クロロメチル)−1,1’−ビフェニル、4,4’−ビス(メトキシメチル)−1,1’−ビフェニル、1,4’−ビス(クロロメチル)ベンゼン又は1,4’−ビス(メトキシメチル)ベンゼン等との重縮合物及びこれらの変性物、テトラブロモビスフェノールA等のハロゲン化ビスフェノール類、イミダゾール、トリフルオロボラン−アミン錯体、グアニジン誘導体、テルペンとフェノール類の縮合物などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらは単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
酸性硬化触媒を用いて硬化させる本発明の硬化性樹脂組成物Bは、酸性硬化触媒として光重合開始剤あるいは熱重合開始剤を含有する。さらに、希釈剤、重合性モノマー、重合性オリゴマー、重合開始補助剤、光増感剤等の各種公知の化合物、材料等を含有していてもよい。また、所望に応じて無機充填材、着色顔料、紫外線吸収剤、酸化防止剤、安定剤等、各種公知の添加剤を含有してもよい。
重合開始補助剤の具体例としては、ベンゾイン、ベンジル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノールプロパン−1−オン、N,N−ジメチルアミノアセトフェノン、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−アミルアントラキノン、2−イソプロピルチオキサトン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、アセトフェノンジメチルケタール、ベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、ミヒラーズケトン等の重合開始剤が挙げられる。重合開始剤等の重合開始補助剤の使用量は、樹脂成分100質量部に対して0.01〜30質量部、好ましくは0.1〜10質量部である。
撹拌機、還流冷却管、撹拌装置、ディーンスターク管を備えたフラスコに、窒素パージを施しながらトルエン100部、3−シクロヘキセン−1−カルボン酸126部、トリシクロデカンジメタノール98部、p−トルエンスルホン酸3部を加え、還流条件下、ディーンスターク管を用いて脱水しながら15時間反応を行った。反応終了後、トリポリ燐酸ソーダ5部を加え、100℃で1時間攪拌した。室温まで冷却後、メチルイソブチルケトン300部を加え、水300部で3回水洗を行い、得られた有機層にシリカゲル100部、活性炭1部を加え、室温で2時間攪拌した後、ろ過を行った。得られたろ液より、溶剤等を除去することで下記式(4)
得られた化合物をGCにて分析した結果、その主たるピークは13.9分、14.1分、14.2分、14.4分のリテンションタイムを有していた(数種類の異性体を有するため一部ピークの重なっている部分があり、また小さなピークは省いている)。さらにGC−MS(EI)による測定においては412に親ピークが現れ、前記式(4)と一致することを確認した。またその25℃における粘度は950mPa・sであった。
撹拌機、還流冷却管、撹拌装置を備えたフラスコに、窒素パージを施しながら水12部、12−タングストリン酸0.38部、燐酸0.56部、炭酸ソーダを加え、pHを4.7に調整した。更にトリオクチルメチルアンモニウムクロライド0.6部(東京化成製)を加え、タングステン酸系触媒を生成させた後、トルエン50部、実施例1で得られた式(4)で表される化合物41部を加え、さらに再度攪拌することでエマルジョン状態の溶液を得た。この溶液を50℃に昇温し、激しく攪拌しながら30%過酸化水素水24.8部を加え、50℃に保ったまま15時間攪拌して反応を行った。GCで反応の進行を確認したところ、反応終了後の基質のコンバ−ジョンは99%以上であり、原料に起因するピークは消失していた。
ついで、この反応液に1%苛性ソーダ水溶液20部、20%チオ硫酸ソーダ水溶液10部を加えて1時間攪拌を行った。静置後2層に分離した反応液から有機層のみを取り出し、残った水層に30部のトルエンを加えて水層中の有機物を抽出した後に再度静置、分離を行い有機層のみを取り出した。この有機層からの抽出・分離操作をさらに2回繰り返し、得られた有機層を混合した後にシリカゲル20部を加えて室温で1時間攪拌を行った。ろ過により取り出したシリカゲルをトルエン50部で洗浄後、洗浄液からロータリーエバポレータを用いて有機溶剤を留去することで、下記式(5)
エポキシ樹脂(EP−1)をGCにて分析した結果、その主たるピークは16.3分、16.5分、16.7分、16.8分、17.0分、17.2分、17.4分、17.7分、17.9分のリテンションタイムを有していた(数種類の異性体を有するため一部ピークの重なっている部分があり、また小さなピークは省いている)。さらにGC−MS(EI)による測定においては444に親ピークが現れ、前記式(5)と一致することを確認した。またその25℃における粘度は45Pa・s、エポキシ当量は233g/eq.であった。さらにGPCを測定したところ、重量平均分子量が288であることを確認した。
実施例2で得られたエポキシ樹脂(EP−1)15部に対してシリカゲル(商品名 ワコーゲルC−300、和光純薬製)105部を使用し、酢酸エチル:ヘキサン=1:4の展開溶媒を用いてカラムクロマトグラフィーにより精製を行いエポキシ樹脂(EP−2)12部を得た。エポキシ樹脂(EP−2)は、GPCの測定結果より、前記式(5)の骨格の化合物を98%以上含有していることを確認した。さらに、GC測定においては純度約99%であった。また、エポキシ当量は205g/eq.であった。
実施例2及び3で得られた本発明のエポキシ樹脂(EP−1及びEP−2)について、硬化剤としてメチルヘキサヒドロフタル酸無水物(商品名 リカシッドMH700G、新日本理化(株)製、以下H1と称す)、シクロヘキサン−1,2,4−トリカルボン酸−1,2−無水物(商品名 H−TMAn、三菱瓦斯化学株式会社製、以下H2と称す)、硬化促進剤としてヘキサデシルトリメチルアンモニウムヒドロキシド(東京化成工業(株)製、25%メタノール溶液、以下C1と称す)を使用し、下記表1に示す配合比(質量部)で配合して20分間脱泡を行い、本発明の硬化性組成物を得た。
実施例4〜6で得られた硬化性樹脂組成物に真空脱泡を20分間施した後、横7mm、縦5cm、厚さ約800μmの試験片用金型に静かに注入し、金型上部にポリイミドフィルムでフタをした。その注型物に120℃×2時間及び160℃×2時間の加熱処理を施すことで硬化させて得た動的粘弾性用試験片を用いて、下記に示した条件で動的粘弾性試験を実施した。結果を表1に示す。
測定条件
動的粘弾性測定器:TA−instruments製、DMA−2980
測定温度範囲:−30℃〜280℃
昇温速度:2℃/分
試験片サイズ:5mm×50mmに切り出した物を使用した(厚みは約800μm)。
解析条件
Tg:DMA測定に於けるTanδのピーク点をTgとした。
実施例4〜6で得られた硬化性樹脂組成物に真空脱泡を20分間施した後、テフロン(登録商標)製のφ2mmチューブにて注型し、その注型物を耐熱特性試験に用いたサンプルと同じ条件で硬化させて得た試験片を用いて、下記の条件で熱機械特性試験(TMA試験)を実施した。結果を表1に示す。
測定条件
熱機械測定器:真空理工(株)製 TM−7000
測定温度範囲:40℃〜250℃
昇温速度:2℃/分
試験片サイズ:φ2mm×15mmに切り出した物を使用した。
実施例4〜6で得られた硬化性樹脂組成物に真空脱泡を20分間施した後、30mm×20mm×高さ1mmになるように耐熱テープでダムを作成したガラス基板上に静かに注入し、120℃×3時間の予備硬化の後150℃×1時間で硬化させ、厚さ1mmの透過率用試験片を得た。
これらの試験片を用い、150℃のオーブン中に96hr放置前後における透過率(測定波長:400nm)を分光光度計により測定し、透過率の保持率を算出した。結果を表1に示す。
実施例3で得られた本発明のエポキシ樹脂(EP−2)、比較例として3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−(3,4−エポキシ)シクロヘキシルカルボキシレート(商品名 ERL−4221、ダウ・ケミカル社製、エポキシ当量140g/eq.、以下EP−3と称す)について、硬化剤としてH1、H2を使用し、下記表2に示す配合比(質量部)で配合して20分間脱泡を行い、本発明及び比較例の硬化性組成物を得た。
実施例7及び比較例1で得られた硬化性樹脂組成物に真空脱泡を20分間施した後、シリンジに充填し精密吐出装置を使用して、発光波長465nmを持つ発光素子を搭載した表面実装型LEDに注型した。注型物に120℃×2時間及び140℃×2時間の加熱処理を施すことにより得られた試験用LEDを用いてリフロー試験及びヒートサイクル試験を行った。結果を表2に示す。
試験用LEDを30℃×70%RHの湿熱条件下で24時間吸湿させた後、高温観察装置(SMT Scope SK−5000、山陽精工株式会社製)を用いて、下記のリフロー条件下でのクラックの発生の有無を目視で観察した。各試験用LEDについてn=3で試験を行い、クラックの発生しなかった数で評価した。
リフロー条件:2℃/秒で25℃から150℃まで昇温して150℃で2分間保持し、次いで2℃/秒で260℃まで昇温して260℃で10秒間保持した後、1.3℃/秒で室温まで冷却。
試験用LEDに、ヒートサイクル試験機(TSA−41L−A、エスペック株式会社製)を用いて下記の条件でヒートサイクル試験を行い、クラックの発生の有無を目視で観察した。
ヒートサイクル試験条件:−40℃×15分間/+120℃×15分間の500サイクル(昇温及び降温に要する時間はいずれも2分間)。
実施例2で得られた本発明のエポキシ樹脂(EP−1)、比較例として特許文献1に記載の下記式(6)で表されるエポキシ樹脂(エポキシ当量 207g/eq.、25℃における粘度4200mPa・s、以下EP−4と称す)について、硬化剤としてH1、硬化触媒としてC1を使用し、下記表3に示す配合比(質量部)で配合して本発明及び比較例の硬化性組成物を得た。
実施例8、比較例2で得られた硬化性樹脂組成物に真空脱泡を20分間施した後、テフロン(登録商標)製のφ2mmチューブにて注型し、その注型物を耐熱特性試験に用いたサンプルと同じ条件で硬化させて得た試験片を用いて、下記の条件でTMA試験を実施し、50〜220℃における線膨張量の比較を行った。結果を表3に示す。
測定条件
熱機械測定器:真空理工(株)製 TM−7000
測定温度範囲:40℃〜250℃
昇温速度:2℃/分
試験片サイズ:φ2mm×15mmに切り出した物を使用した。
Claims (8)
- 式(1)における全てのRが水素原子である請求項1に記載のジオレフィン化合物。
- 請求項1又は2に記載のジオレフィン化合物を酸化することにより得られるエポキシ樹脂。
- 酸化の際に過酸化水素又は過酸を用いる請求項3に記載のエポキシ樹脂。
- 請求項3又は4に記載のエポキシ樹脂と、硬化剤又は硬化触媒を必須成分とする硬化性樹脂組成物。
- 請求項5に記載の硬化性樹脂組成物を硬化してなる硬化物。
- 請求項7に記載の製造法で得られたジオレフィン化合物を、過酸化水素または過酸を用いて酸化することを特徴とするエポキシ樹脂の製造法。
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