JP2009242333A - ペルオキシソーム増殖剤応答性受容体活性化剤、及びそのペルオキシソーム増殖剤応答性受容体活性化剤を配合した皮膚外用剤、化粧料、医薬部外品、飲食品 - Google Patents

ペルオキシソーム増殖剤応答性受容体活性化剤、及びそのペルオキシソーム増殖剤応答性受容体活性化剤を配合した皮膚外用剤、化粧料、医薬部外品、飲食品 Download PDF

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聡 阪本
Kiichi Sano
貴一 佐野
Yasuhiro Yoshida
康弘 吉田
Koichi Nakaoji
浩一 仲尾次
Kazuhiko Hamada
和彦 濱田
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Abstract

【課題】特異性の高いPPARβ/δの活性化剤を提供するとともに、アクアポリンやコラーゲン、ヒアルロン酸等、皮膚の水分量や弾力に関わるタンパク質、多糖の合成能を向上し、また皮脂腺細胞、脂肪細胞における脂質代謝を制御することにより、皮膚の乾燥、肌荒れ、シワ、タルミを予防・改善し、若々しい肌を実現させ、さらには過度の皮脂産生による化粧崩れ、毛穴の目立ちを予防、改善し、効果を持続させる皮膚外用剤、化粧料、医薬部外品、飲食品を提供することを課題とする。
【解決手段】ペルオキシソーム増殖剤応答性受容体活性化剤に、甘草葉エキス、レイシエキス、リョウヨウイリョウサイエキス、マロニエエキスから選ばれる1種又は2種以上を含有させたことを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、ペルオキシソーム増殖剤応答性受容体の活性化剤、さらに詳しくは、アクアポリン、コラーゲン、ヒアルロン酸等、皮膚の水分量や弾力性と関連しているタンパク質や多糖類の合成能を向上させ、或は皮脂腺細胞、脂肪細胞における脂質代謝を制御することができるペルオキシソーム増殖剤応答性受容体の活性化剤と、そのペルオキシソーム増殖剤応答性受容体活性化剤を配合した皮膚外用剤、化粧料、医薬部外品、飲食品に関する。
核内受容体は、リガンド誘導性の転写制御因子であり、ヒトでは48種類存在していることが知られている。核内受容体は、古典的なステロイド/甲状腺ホルモンなどの脂溶性のリガンドと結合することにより、それぞれ特定の遺伝子群の発現を転写レベルで調節している。ペルオキシソーム増殖剤応答性受容体(Peroxisome Proliferator Activated Receptor、以下PPARと略す場合もある)は核内受容体の一つであり、他の核内受容体と同様に転写因子として働くことが知られている。
PPARは3つのサブタイプ(α、γ、β/δ)に分類されており、PPARαは、肝臓や褐色脂肪組織、骨格筋において脂肪酸酸化を亢進し、中性脂肪含有量を低下させることにより、インスリンの抵抗性を改善することが知られている。また、PPARγは、白色脂肪組織、骨髄、免疫系、胎盤等に主に発現し、その活性化は脂肪細胞の分化を誘導し、白色脂肪組織における脂肪蓄積を促進することから、高脂血症、インスリン抵抗性を伴う糖尿病の改善薬のターゲットとして期待されている。一方、PPARβ/δは、生体のあらゆる組織に普遍的に存在しており、これまでのところ抗炎症作用、肥満改善作用が動物実験等により確認されている(非特許文献1乃2参照)。
PPARβ/δは、皮膚において表皮角化細胞や真皮線維芽細胞、脂肪細胞等において発現していることが知られている。表皮角化細胞においては、PPARβ/δの活性化は、紫外線照射後の皮膚の炎症を抑える効果や分化調節等の効果を有することが明らかにされている(非特許文献3参照)。また最近、シワやニキビへの高い改善効果が知られているレチノイン酸が、PPARβ/δを活性化することにより、その効果を発揮している可能性が報告されている(非特許文献4参照)。さらには、皮脂腺細胞や脂肪細胞において、脂肪の蓄積や燃焼を調整することが明らかにされている(非特許文献5参照)。
こうしたことが明らかにされたことから、肌荒れや皮膚炎症、皮膚バリア機能低下の改善・予防を目的に下記特許文献1、あるいは特許文献2のような特許出願がなされており、PPARを活性化する植物抽出エキスや化合物などが報告されている。しかしながら、これらの活性化剤は、PPARβ/δに対する特異性が低く、或いは活性自体が低いため、十分な効果が得られず、肌荒れや皮膚炎症等の皮膚トラブルを満足しうる程度まで改善することは困難である。
医学のあゆみ, 220(1), 10−20,2007 Cell,113,159−170,2003 Journal of Investigative Dermatology,123,305−312,2004 Cell, 129, 723−733,2007 Journal of Investigative Dermatology,121,441−447,2003 特開2007−119430 特開2007−119431
本発明は上記のような問題点を解決するためになされたもので、特異性の高いPPARβ/δの活性化剤を提供するとともに、アクアポリンやコラーゲン、ヒアルロン酸等、皮膚の水分量や弾力に関わるタンパク質、多糖の合成能を向上し、また皮脂腺細胞、脂肪細胞における脂質代謝を制御することにより、皮膚の乾燥、肌荒れ、シワ、タルミを予防・改善し、若々しい肌を実現させ、さらには過度の皮脂産生による化粧崩れ、毛穴の目立ちを予防、改善し、効果を持続させる皮膚外用剤、化粧料、医薬部外品、飲食品を提供することを課題とする。
本発明者等は前記従来技術の課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、甘草葉エキス、レイシエキス、リョウヨウイリョウサイエキス、マロニエエキスが優れたPPARβ/δの活性化作用を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、甘草葉エキス、レイシエキス、リョウヨウイリョウサイエキス、マロニエエキスから選ばれる1種又は2種以上を含有することを特徴とするペルオキシソーム増殖剤応答性受容体活性化剤を提供するものである。
また本発明は、上記のようなPPARβ/δ活性化剤を有効成分として配合することを特徴とする皮膚外用剤、化粧料、医薬部外品、飲食品を提供するものである。
本発明によって、優れたPPARβ/δ活性化作用をもつPPARβ/δ活性化剤を提供することが可能となった。また、このようなPPARβ/δ活性化剤を配合することにより、皮膚の乾燥、肌荒れ、シワ、タルミを予防・改善し、若々しい肌を実現させ、また過度の皮脂産生を抑制し、化粧崩れ、毛穴の目立ちを予防、改善することができ、且つ安全性の高い皮膚外用剤、化粧料、医薬部外品を提供することが可能となった。また、上記のようなPPARβ/δ活性化剤を配合することで、たとえばダイエット用等、体内の脂肪の蓄積や燃焼を調整することのできる、いわゆる機能性食品や機能性飲料等を提供することも可能となる。
以下、本発明の実施形態について説明する。本発明のPPARβ/δ活性化剤は、上述のように、甘草葉エキス、レイシエキス、リョウヨウイリョウサイエキス、マロニエエキスから選ばれる1種又は2種以上を含有するものである。ここで「含有する」とは、本発明のPPARβ/δ活性化剤が、甘草葉エキス、レイシエキス、リョウヨウイリョウサイエキス、マロニエエキスから選ばれる1種又は2種以上からなるものである場合の他、これら以外のものが含有されていてもよいことを意味する。
本発明で用いるエキスは、甘草の葉、又はレイシの子実体、リョウヨウイリョウサイ、マロニエの全草、又はそれらの葉、茎、根、果実、種子および花のうち一部又は2つ以上の箇所を乾燥し、又は乾燥することなく粉砕した後、低温又は室温ないし加温下に溶媒により抽出するか、又はソックスレー抽出器などの抽出器具を用いて抽出することにより得られる各種溶媒抽出液、その希釈液、その濃縮液、或いはその乾燥末等のものである。
抽出に用いる溶媒としては、通常の植物の抽出に用いられる溶媒であれば任意に用いることができる。たとえば、水、メタノール、エタノール、プロピレングリコール、1、3−ブチレングリコール、グリセリン等のアルコール類、含水アルコール類、クロロホルム、ジクロルエタン、四塩化炭素、アセトン、酢酸エチル、ヘキサン等の有機溶媒類等であり、それらは単独あるいは組み合わせて用いることができる。
本発明の皮膚外用剤において有効な効果を得るために、甘草葉エキス、レイシエキス、マロニエエキス、又はリョウヨウイリョウサイエキスの配合量は、通常乾燥固形分として0.0001〜50重量%とすることが好ましい。0.0001重量%未満では本発明の効果が充分に得られない可能性があり、一方、50重量%を超えても、その増量に見合った効果の向上は認められないからである。この観点から、0.001〜20重量%がより好ましい。
本発明の皮膚外用剤中には本発明の効果を損なわない範囲において、一般に化粧料で用いられ、あるいは医薬部外品、医薬品等の皮膚外用剤に用いられる各種任意成分を必要に応じて適宜配合することができる。このような任意成分として、たとえば、精製水、エタノール、油性成分、保湿剤、増粘剤、防腐剤、乳化剤、薬効成分、粉体、紫外線吸収剤、色素、香料、乳化安定剤等を挙げることができる。
本発明の皮膚外用剤の形態は、液状、乳液、軟膏、クリーム、ゲル、エアゾール、石けん等皮膚に適用可能な性状のものであれば問うものではなく、必要に応じて適宜基剤成分等を配合して所望の形態の皮膚外用剤を調製することができる。また、本発明の皮膚外用剤は、医薬品、医薬部外品又は化粧品等の多様な分野において適用可能である。
本発明のPPARβ/δ活性化剤は、皮膚の乾燥、肌荒れ、シワ・タルミを予防、改善し、若々しい肌を実現させ、また過度の皮脂による化粧崩れ、毛穴の目立ちを予防、改善する効果を保持することが可能であるが、ここに示した効果は例示であり、これらの皮膚症状に本発明のPPARβ/δ活性化剤、及びそのPPARβ/δ活性化剤を含有する皮膚外用剤、化粧料、医薬部外品の適用が限定されるものではない。
以下、本発明の実施例について説明する。
(実施例1)
本実施例は、甘草葉エキスからなるPPARβ/δ活性化剤の実施例である。甘草葉エキスの調製は次のようにして行う。すなわち、先ず甘草の葉を乾燥して細かく砕いたもの10gに、含水濃度50容量%エタノール100mlを加える。次に、25℃にて5日間抽出を行った後、濾過することによって、甘草葉エキスを得た。このとき、乾燥固形物量は、1.39重量%であった。
(実施例2)
本実施例は、レイシエキスからなるPPARβ/δ活性化剤の実施例である。レイシエキスの調製は次のようにして行う。すなわち、レイシの子実体を乾燥して細かく砕いたもの10gに、含水濃度50容量%エタノール100mlを加え、25℃にて5日間抽出を行った後、濾過し、レイシエキスを得た。乾燥固形物量は、1.43重量%であった。
(実施例3)
本実施例は、マロニエエキスからなるPPARβ/δ活性化剤の実施例である。マロニエエキスの調製は次のようにして行う。すなわち、マロニエの全草を乾燥して細かく砕いたもの10gに、含水濃度50容量%エタノール100mlを加え、25℃にて5日間抽出を行った後、濾過し、マロニエエキスを得た。乾燥固形物量は、1.45重量%であった。
(実施例4)
本実施例は、リョウヨウイリョウサイエキスからなるPPARβ/δ活性化剤の実施例である。リョウヨウイリョウサイエキスの調製は次のようにして行う。すなわち、リョウヨウイリョウサイの全草を乾燥して細かく砕いたもの10gに、含水濃度50容量%エタノール100mlを加え、室温にて5日間抽出を行った後、濾過し、リョウヨウイリョウサイを得た。乾燥固形物量は、1.57重量%であった。
(試験例1)PPARβ/δ活性化作用試験
核内受容体は、リガンドとの結合によりその立体構造が変化し、転写共役因子と相互作用することが知られている。本試験例は、この原理を利用したPPARβ/δ結合活性測定キットNuLigandシリーズ−PPARβ/δ・CBP−BAP(有限会社マイクロシステムズ製)を用いたPPARβ/δ結合活性試験である。
96wellプレートの各wellに、PPARβ/δ溶液を100μl分注し、プレートシールを貼った上、アルミホイルで全体を包み、4℃で一晩静置した。PPARβ/δ溶液を除去した後、0.5μM DTTを含むリン酸緩衝生理食塩水(120μl)で3回洗浄した。CBP−BAP液100μlを各wellに添加し、下記実施例1〜4
のPPARβ/δ活性化剤を含む試料溶液及びポジティブコントロールの試料溶液をそれぞれ1μlずつ添加した。
4℃で1時間静置した後、0.5μM DTTを含むリン酸緩衝生理食塩水(120μl)で3回洗浄した。これに基質液(NPPを溶解した1M Tris−HCl(pH8.0))を各wellに100μl分注した。37℃で3時間反応させた後、0.5N NaOHを各wellに25μl加えて反応を停止させ、405nmの吸光度を測定した。
試験は、上記実施例1の甘草葉エキス、実施例2のレイシエキス、実施例3のマロニエエキス、実施例4のリョウヨウイリョウサイエキスの濃度(容量%)を変えて行った。具体的には、試験溶液中での最終濃度が、それぞれ1容量%、0.1容量%、0.01容量%となるように、予めDMSOにて調製し、試験に供した。また、ポジティブコントロールには、PPARβ/δの活性化リガンドとして近年注目されているGW501516を、DMSOにて1μM、100nM、10nMに調製したものを用いた。
試験結果を表1に示す。表1からも明らかなように、実施例1〜4のPPARβ/δ活性化剤については、405nmの吸光度が、PPARβ/δの活性化リガンドとして近年注目されているGW501516と同程度であり、この結果、甘草葉エキス、レイシエキス、リョウヨウイリョウサイエキス、マロニエエキスはいずれもPPARβ/δ活性化作用を有することがわかった。特に、実施例1〜4のそれぞれのエキスの濃度が高くなるほど、405nmの吸光度が高くなり、PPARβ/δ活性化作用が高まることがわかった。
Figure 2009242333
(試験例2)アクアポリン産生促進試験
本試験例は、正常ヒト新生児包皮由来表皮角化細胞NHEK(クラボウ社製)を用いたアクアポリン生成促進試験である。
正常ヒト新生児包皮由来表皮角化細胞NHEKの培養には、NHEK培養用基礎培地KB2(クラボウ)に、ハイドロコーチゾン (0.5μmol/ml)、インシュリン(5μg/ml)、EGF(上皮細胞成長因子:10ng/ml)、BPE(牛脳下垂体抽出液)、及び抗生物質からなる添加剤セット(クラボウ)を添加したNHEK培養用培地KG2を用いた。
35mm組織培養用ディッシュ(IWAKI)の各wellに、2.5×10-5(cell/ml)の細胞数でKG2に懸濁したNHEKを2ml播種した。培養は、CO2インキュベーター(95容量%空気、5容量%二酸化炭素)内、37℃の条件下で行い、培養2日目に下記実施例1乃至4のPPARβ/δ活性化剤を混合した培地と交換し、さらに24時間培養した。
ウェスタンブロティングに用いる細胞溶解液は、以下の手順で調製した。NHEKを冷
PBS(−)で洗浄し、細胞Lysis buffer(PBS tablet、1容量% Triton X−100、0.5重量% デオキシコール酸ナトリウム、0.1重量% SDS)を加え、氷上に30分間静置した。セルスクレーパーを用いて溶解した細胞を遠心チューブに回収した後、4℃、10000gで10分間遠心分離し、得た上清を細胞溶解液とした。
細胞溶解液に同量のSample buffer(125mM Tris−HCl緩衝液(pH6.8)、4重量% SDS、20容量%グリセリン、5容量%メルカプトエタノール)を加え、電気泳動を行った。ゲル上のタンパク質をニトロセルロースメンブレン(バイオラッド社製)に転写し、3%脱脂粉乳を含むTBS buffer(20mM Tris、137mM NaCl)に1時間浸漬し、ブロッキングした。0.05容量%のTween20を含むTBS bufferで洗浄後、一次抗体であるアクアポリン3抗体(サンタクルーズ社製)を含むTBS bufferに交換して一晩浸した後、二次抗体であるHRP標識抗体(サンタクルーズ社製)を含むTBS bufferに1時間浸漬した。
0.05容量%のTween20を含むTBSバッファーで洗浄後、ニトロセルロースメンブレンにHRPの基質(ミリポア社製)を反応させ、フィルムに露光させて得られたスポットを解析ソフトATTO Lane&Spot Analyzer (アトー社製)を用いて解析した。アクアポリン生成促進作用は、KG2のみで培養した場合のアクアポリン産生量を100とした場合の比率で示した。
アクアポリン生成促進作用の試験は、上記実施例1〜4のPPARβ/δ活性化剤の濃度(容量%)を変えて行った。具体的には、培養液中での最終濃度が、それぞれ1容量%、0.1容量%、0.01容量%となるように甘草葉エキス、レイシエキス、リョウヨウイリョウサイエキス、マロニエエキスの濃度を調整した。試験結果を表2に示す。
表2からも明らかなように、KG2のみで培養した場合のアクアポリン産生量に比べて、実施例1〜4のPPARβ/δ活性化剤を添加した場合は、アクアポリン産生量が増加しており、甘草葉エキス、レイシエキス、リョウヨウイリョウサイエキス、マロニエエキスはいずれもNHEKのアクアポリン生成を促進させることが分かった。特に、実施例1〜4のそれぞれのPPARβ/δ活性化剤の濃度が高くなるほど、アクアポリン生成促進作用が高まることがわかった。
Figure 2009242333
(試験例3)ヒアルロン酸産生促進試験
本試験例は、NHEKを用いたヒアルロン酸産生促進試験である。NHEKの培養には、NHEK培養用基礎培地KB2(クラボウ)をベースとし、ハイドロコーチゾン (0.5μmol/ml)、インシュリン(5μg/ml)、EGF(上皮細胞成長因子:10ng/ml)、BPE(牛脳下垂体抽出液)、及び抗生物質からなる添加剤セット(クラボウ)を添加し、表皮細胞培養用培地KG2を用いた。
35mm組織培養用ディッシュ(IWAKI)の各wellに、2.5×10-5(cell/ml)の細胞数でKG2に懸濁したNHEKを2ml播種した。培養は、CO2インキュベーター(95容量%空気、5容量%二酸化炭素)内、37℃の条件下で行い、培養2日目に下記実施例1乃至4のPPARβ/δ活性化剤を混合した培地と交換し、さらに24時間培養後に培養上清を採取し、培養上清中のヒアルロン酸量を測定した。
培養上清中のヒアルロン酸量の測定は、ヒアルロン酸測定キット(生化学工業株式会社製)を用い、同説明書に従って次のように行った。すなわち、ヒアルロン酸固相化マイクロプレートに上記実施例1乃至4のPPARβ/δ活性化剤を含む各培養上清を50μlずつ分注するとともに、スタンダードとして上記ヒアルロン酸測定キット付属の検量線作成用のヒアルロン酸標準液50μlを分注し、これにビオチン標識したヒアルロン酸結合タンパク質溶液50μLを加えて1分間しんとうして混和した後、37℃で60分間静置した。60分間静置後、プレート内の溶液を除去した後、0.02容量%のTween20を含むリン酸緩衝生理食塩水400μlで3回洗浄した。
これにペルオキシダーゼ標識ストレプトアビジン溶液100μlを分注した後、37℃で60分間静置した。60分間静置後、プレート内の溶液を除去した後、0.02容量%のTween20を含むリン酸緩衝生理食塩水400μlで5回洗浄した。これに酵素基質溶液100μlを分注した後、アルミホイルで遮光し、25℃で30分間静置した。これに反応停止液100μlを添加した後、492nmにおける吸光度を測定した。スタンダードの各濃度における吸光度から検量線を作成し、それぞれの条件における培養上清中のヒアルロン酸産生量を算出した。
また、ヒアルロン酸測定と同時に細胞数を計測し、その計測した細胞数と、上記のように算出したヒアルロン酸産生量とから、細胞あたりのヒアルロン酸量を算出した。ヒアルロン酸の産生促進効果は、PPARβ/δ活性化剤を添加していない時の細胞あたりのヒアルロン酸量を100とした値で示した。
上記実施例1〜4のPPARβ/δ活性化剤の濃度(容量%)を変えて行った。具体的には、培養液中での最終濃度が、それぞれ0.1容量%、0.25容量%、0.5容量%となるように甘草葉エキス、レイシエキス、リョウヨウイリョウサイエキス、マロニエエキスの濃度を調整した。その結果を表3に示す。
Figure 2009242333
表3からも明らかなように、KG2のみで培養した場合のヒアルロン酸量に比べ、実施例1〜4のPPARβ/δ活性化剤を添加した場合は、ヒアルロン酸産生量が増加しており、甘草葉エキス、レイシエキス、リョウヨウイリョウサイエキス、マロニエエキスはいずれもNHEKのヒアルロン酸産生を促進させることが分かった。特に、実施例1〜4のそれぞれのPPARβ/δ活性化剤の濃度が高くなるほど、ヒアルロン酸産生促進作用が高まることがわかった。
(試験例4)
本試験例は、モデル動物における肌荒れ改善効果試験である。上記実施例1、2のPPARβ/δ活性化剤の肌荒れに対する改善効果を評価するため、肌荒れモデルを作成したモルモットを使用し、試料の適用試験を実施した。試料は実施例1、2にて得られた各抽出物を含水濃度50容量%エタノールで希釈して、固形分濃度0.1重量%となるように調製した。また比較例1として含水濃度50容量%エタノールのみについても同様に試験を行った。
背部を除毛したハートレー系モルモット(雌性、5週齢、1群3匹)に、3重量%ラウリル硫酸ナトリウムを含む白色ワセリン0.2gを3日間連続解放塗布して肌荒れを作成した。肌荒れ作成部位を4等分し、各試料0.1mlを1日1回、5日間連続塗布し、肌荒れの状態を観察した。肌荒れの程度は定められた基準に従って判定し、各群の平均スコアで示した。結果を表4に示す。
Figure 2009242333
尚、本試験例における肌荒れ状態の判定基準は次のとおりである。
肌荒れ状態の判定基準 スコア
紅斑、落屑ともほとんどみられない 1
紅斑を伴わない軽度の落屑 2
紅斑を伴わない中等度の落屑 3
弱い紅斑を伴った落屑 4
中等度の紅斑を伴った落屑 5
著しい紅斑を伴った落屑 6
表4からも明らかなように、実施例1及び2のPPARβ/δ活性化剤ともに、比較例1に比べて平均スコアが小さく、肌荒れ改善作用が優れていることがわかった。
(処方例1)
本処方例は、上記実施例1のPPARβ/δ活性化剤である甘草葉エキスを化粧料の一例としてのクリームに配合した場合の処方例である。
クリームの調製は次のようにして行った。すなわち、スクワレン、セチルイソオクタノエートおよびマイクロクリスタリンワックスを加熱溶解後、粘土鉱物およびPOEグリセロールトリイソステアリン酸エステル(界面活性剤)を加え、70℃に調整し、これらを均一に分散、溶解させて油性ゲルを得た。次に、甘草葉エキスを所定濃度精製水に溶解し、油性ゲルの中へ、十分に攪拌しながらゆっくりと添加した。ホモミキサーで均一に混合した後、脱気、ろ過し、30℃まで冷却し、クリームを得た。得られた処方例1のクリームの組成および配合比は以下の通りである。
組成 配合比(重量%)
スクワレン 20.0%
セチルイソオクタノエート 8.5%
マイクロクリスタリンワックス 1.0%
粘土鉱物 1.3%
POEグリセロールトリイソステリン酸エステル 0.2%
甘草葉エキス 1.0%
水 残量
(処方例2)
本処方例は、上記実施例2のPPARβ/δ活性化剤であるレイシエキスを化粧料の一例としてのクリームに配合した場合の処方例である。クリームの調製は上記処方例1と同様に行った。得られた処方例2のクリームの組成および配合比は以下の通りである。
組成 配合比(重量%)
スクワレン 20.0%
セチルイソオクタノエート 8.5%
マイクロクリスタリンワックス 1.0%
粘土鉱物 1.3%
POEグリセロールトリイソステリン酸エステル 0.2%
レイシエキス 1.0%
水 残量
(比較例2)
比較例2として、PPARβ/δ活性化剤である甘草葉エキス又はレイシエキスが配合されていないクリームを調製した。比較例2のクリームの組成および配合比は以下の通りである。
組成 配合比(重量%)
スクワレン 20.0%
セチルイソオクタノエート 8.5%
マイクロクリスタリンワックス 1.0%
粘土鉱物 1.3%
POEグリセロールトリイソステリン酸エステル 0.2%
水 残量
(試験例5) 皮膚バリア機能改善試験
上記のように調製した処方例1及び2のクリーム、並びに比較例2のクリームを用いて皮膚バリア機能改善試験を行った。
すなわち、女性パネル30名(32から65歳)をランダムに3グループに分け、それぞれのグループに処方例1、処方例2、比較例2のクリームを、毎日朝と夜の2回、3ヶ月間にわたり洗顔後の顔面に塗布した。
皮膚バリア機能の指標としては、試験開始前および終了後の経皮水分蒸散量を測定した。皮膚バリア機能の改善効果は、試験開始前の経皮水分蒸散量を100とした時の試験終了後の経皮水分蒸散量の比の平均値をグループ毎に算出し、評価した。試験結果を表5に示す。
Figure 2009242333
表5から明らかなように、処方例1及び2では、比較例2と比べて、経皮水分蒸散量を大きく低下させ、皮膚バリア機能改善効果が高いことが分かった。
(試験例6)シワ改善試験
試験例5の女性パネル30名に対して試験終了後にシワの改善に関するアンケートを実施した。シワの改善度は、以下に示す基準で回答してもらい、処方例1、処方例2、及び比較例2毎にシワが「明らかに改善した」、「改善した」と回答した人数を表6に示した。
尚、本試験例におけるシワの改善に関する評価基準は次のとおりである。
明らかに改善した
改善した
わずかに改善した
変化なし
Figure 2009242333
表6から明らかなように、処方例1及び2では、比較例2と比較して、シワが「明らかに改善した」、「改善した」と回答した人数が明らかに多く、皮膚のしわ改善効果が大きいことがわかった。

Claims (5)

  1. 甘草葉エキス、レイシエキス、リョウヨウイリョウサイエキス、マロニエエキスから選ばれる1種又は2種以上を含有することを特徴とするペルオキシソーム増殖剤応答性受容体活性化剤。
  2. 請求項1記載のペルオキシソーム増殖剤応答性受容体活性化剤を配合したことを特徴とする皮膚外用剤。
  3. 請求項1記載のペルオキシソーム増殖剤応答性受容体活性化剤を配合したことを特徴とする化粧料。
  4. 請求項1記載のペルオキシソーム増殖剤応答性受容体活性化剤を配合したことを特徴とする医薬部外品。
  5. 請求項1記載のペルオキシソーム増殖剤応答性受容体活性化剤を配合したことを特徴とする飲食品。
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