JP2009242319A - 多官能含フッ素化合物及び該化合物の製造方法 - Google Patents

多官能含フッ素化合物及び該化合物の製造方法 Download PDF

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義人 田中
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卓司 石川
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Abstract

【課題】多官能含フッ素化合物、該化合物の製造方法、該化合物からなる架橋剤、該化合物を含む硬化性組成物及び該組成物を硬化させた硬化物を提供する
【解決手段】一般式(1)
CX=CF−Z−O−A−M−C(=O)−NH− (1)
[式中、Mは−CX O−又は−CX −であり、Xは同一又は異なってH、F、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよい含フッ素アルキル基であり、Xは同一又は異なってH、F、OH、COOH、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよい含フッ素アルキル基であり、Aは炭素数1〜40の含フッ素アルキレン基又は炭素数2〜100のエーテル結合を有する含フッ素アルキレン基であり、Xは同一又は異なってH又はFであり、Zは−CF−又は単結合である。]
で表される基を2以上有する化合物
【選択図】なし

Description

本発明は、多官能含フッ素化合物、該化合物の製造方法、該化合物からなる架橋剤、該化合物を含む硬化性組成物及び該組成物を硬化させた硬化物に関する。
分子内にフッ素原子を有する含フッ素化合物は、光の透過性や光に対する耐久性に優れており、含フッ素化合物を含む材料は、塗料の架橋剤、光デバイス関連の封止部材用材料等として使用されている。これらの用途に使用される含フッ素化合物は、他の成分と反応する官能基を分子内に複数有することが望まれる。
しかしながら、含フッ素化合物の合成は分子内には、フッ素原子を有する特殊な原料が必要である。また、含フッ素化合物の反応性は一般的な有機化合物とは異なることが多いので、通常の有機合成の手法によって合成が難しい。
分子内に複数の官能基を有する多官能含フッ素化合物は合成が容易ではなく、特に、官能基数が3以上になると、市販されているものは皆無の状況である。
国際公開WO2004/016689パンフレット
本発明は、多官能含フッ素化合物、該化合物の製造方法、該化合物からなる架橋剤、該化合物を含む硬化性組成物及び該組成物を硬化させた硬化物を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、末端に水酸基又はカルボキシル基を有する含フッ素アリル化合物と多価イソシアネートとを反応させるか、又は末端に水酸基又はカルボキシル基を有する含フッ素ビニルエーテル化合物と多価イソシアネートとを反応させることにより、容易に末端に不飽和二重結合基を2個以上有する新規多官能含フッ素化合物が得られることを見出した。得られた多官能含フッ素化合物は、末端に複数の炭素−炭素二重結合を有するので、架橋剤として好適に使用できる。また、末端に複数の炭素−炭素二重結合を有する本発明の多官能含フッ素化合物を硬化性組成物とし、これを硬化させて硬化物を製造することもできる。本発明はこの様な知見に基づき、さらに検討を重ねて完成されたものである。
本発明は、下記項1〜9に示す新規な多官能含フッ素化合物、該化合物の製造方法、該化合物からなる架橋剤、該化合物を含む硬化性組成物及び該組成物を硬化させた硬化物を提供する。
項1. 一般式(1)
CX=CF−Z−O−A−M−C(=O)−NH− (1)
[式中、Mは−CX O−又は−CX −であり、Xは同一又は異なってH、F、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよい含フッ素アルキル基であり、Xは同一又は異なってH、F、OH、COOH、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよい含フッ素アルキル基であり、Aは炭素数1〜40の含フッ素アルキレン基又は炭素数2〜100のエーテル結合を有する含フッ素アルキレン基であり、Xは同一又は異なってH又はFであり、Zは−CF−又は単結合である。]
で表される基を2以上有する化合物。
項2. 一般式(1a)
Figure 2009242319
[式中、Tは多価イソシアネート化合物のイソシアネート基を除く部位であり、pは2以上の整数であり、A、X、M及びZはそれぞれ同一又は異なって前記に同じである。]
で表される項1に記載の化合物。
項3. XがHであり、Mが−CX O−であり、XがHであり、Zが−CF−である項2に記載の化合物。
項4. XがFであり、Mが−CX O−であり、XがHであり、Zが単結合である項2に記載の化合物。
項5. XがHであり、Mが−CX −であり、XがHであり、Zが−CF−である項2に記載の化合物。
項6. XがFであり、Mが−CX −であり、XがHであり、Zが単結合である項2に記載の化合物。
項7. 一般式(1b)
CX=CF−Z−O−A−CX O−C(=O)−NH− (1b)
[式中、Xは同一又は異なってH、F、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよい含フッ素アルキル基であり、Aは炭素数1〜40の含フッ素アルキレン基又は炭素数2〜100のエーテル結合を有する含フッ素アルキレン基であり、Xは同一又は異なってH又はFであり、Zは−CF−又は単結合である。]
で表される基を2以上有する化合物の製造方法であって、多価イソシアネート化合物と一般式(2)
CX=CF−Z−O−A−CX OH (2)
[式中、X、X、Z及びAは前記に同じ。]
で表される化合物を反応させることを特徴とする製造方法。
項8. 一般式(1c)
CX=CF−Z−O−A−CX −C(=O)−NH− (1c)
[式中、Xは同一又は異なってH、F、OH、COOH、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよい含フッ素アルキル基であり、Aは炭素数1〜40の含フッ素アルキレン基又は炭素数2〜100のエーテル結合を有する含フッ素アルキレン基であり、Xは同一又は異なってH又はFであり、Zは−CF−又は単結合である。]
で表される基を2以上有する化合物の製造方法であって、多価イソシアネート化合物と一般式(3)
CX=CF−Z−O−A−CX COOH (3)
[式中、X、X、Z及びAは前記に同じ。]
で表される化合物を反応させることを特徴とする製造方法。
項9. 項1〜6のいずれかに記載の化合物からなる架橋剤。
多官能含フッ素化合物
本発明の多官能含フッ素化合物は、下記一般式(1)
CX=CF−Z−O−A−M−C(=O)−NH− (1)
[式中、Mは−CX O−又は−CX −であり、
は同一又は異なってH、F、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよい含フッ素アルキル基であり、
は同一又は異なってH、F、OH、COOH、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよい含フッ素アルキル基であり、
Aは炭素数1〜40の含フッ素アルキレン基又は炭素数2〜100のエーテル結合を有する含フッ素アルキレン基であり、
Xは同一又は異なってH又はFであり、
Zは−CF−又は単結合である。]
で表される基を2以上有する化合物である。
一般式(1)のMにおいて、−CX O−のXは同一又は異なってH、F、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよい含フッ素アルキル基である。
該Xにおいて、「置換基を有していてもよいアルキル基」のアルキル基としては、炭素数1〜12の直鎖、分岐鎖又は環状のアルキル基が挙げられる。例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、シクロペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル、オクチル、シクロデシル等の炭素数1〜12のアルキル基が挙げられる。より好ましくは、炭素数1〜8のアルキル基である。該アルキル基は置換されていてもよく、該置換基としては、本発明に悪影響を与えないものであれば特に限定はない。該置換基としては、例えば、−OH、−COOCH、−COOCHCH、−COOCHCF等が挙げられる。該アルキル基は、これらの群から選ばれる少なくとも一種で1〜3個置換されていてもよい。
該Xにおいて、「置換基を有していてもよい含フッ素アルキル基」の含フッ素アルキル基は、炭素数1〜12の直鎖、分岐鎖又は環状の含フッ素アルキル基が挙げられる。例えば、−CF、−CHCF、CHCFCF、−CFCFCF等の炭素数1〜12の含フッ素アルキル基が挙げられる。より好ましくは、炭素数1〜8の含フッ素アルキル基である。該含フッ素アルキル基は置換されていてもよく、該置換基としては、本発明に悪影響を与えないものであれば特に限定はない。該置換基としては、例えば、−OH、−COOCH、−COOCHCH、−COOCHCF等が挙げられる。該含フッ素アルキル基は、これらの群から選ばれる少なくとも一種で1〜3個置換されていてもよい。
一般式(1)のMにおいて、−CX −のXは同一又は異なってH、F、OH、COOH、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよい含フッ素アルキル基である。
該Xにおいて、「置換基を有していてもよいアルキル基」のアルキル基としては、炭素数1〜12の直鎖、分岐鎖又は環状のアルキル基が挙げられる。例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、シクロペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル、オクチル、シクロデシル等の炭素数1〜12のアルキル基が挙げられる。より好ましくは、炭素数1〜8のアルキル基である。該アルキル基は置換されていてもよく、該置換基としては、本発明に悪影響を与えないものであれば特に限定はない。該置換基としては、例えば、−OH、−COOCH、−COOCHCH、−COOCHCF等が挙げられる。該アルキル基は、これらの群から選ばれる少なくとも一種で1〜3個置換されていてもよい。
該Xにおいて、「置換基を有していてもよい含フッ素アルキル基」の含フッ素アルキル基は、炭素数1〜12の直鎖、分岐鎖又は環状の含フッ素アルキル基が挙げられる。例えば、−CF、−CHCF、CHCFCF、−CFCFCF等の炭素数1〜12の含フッ素アルキル基が挙げられる。より好ましくは、炭素数1〜8の含フッ素アルキル基である。該含フッ素アルキル基は置換されていてもよく、該置換基としては、本発明に悪影響を与えないものであれば特に限定はない。該置換基としては、例えば、−OH、−COOCH、−COOCHCH、−COOCHCF等が挙げられる。該含フッ素アルキル基は、これらの群から選ばれる少なくとも一種で1〜3個置換されていてもよい。
一般式(1)のAは炭素数1〜40の含フッ素アルキレン基又は炭素数2〜100のエーテル結合を有する含フッ素アルキレン基である。
一般式(1)のAにおいて、「炭素数1〜40の含フッ素アルキレン基」の含フッ素アルキレン基は、炭素数1〜20の含フッ素アルキレン基が好ましく、炭素数1〜10の含フッ素アルキレン基がより好ましい。該含フッ素アルキレン基は、直鎖、分岐鎖又は環状のいずれであってもよい。
Aにおいて、「炭素数2〜100のエーテル結合を有する含フッ素アルキレン基」の含フッ素アルキレン基は、炭素数2〜50のエーテル結合を有する含フッ素アルキレン基が好ましく、炭素数2〜25のエーテル結合を有する含フッ素アルキレン基がより好ましい。該含フッ素アルキレン基は、直鎖、分岐鎖又は環状のいずれであってもよい。
一般式(1)のAの具体例としては、例えば、下記一般式
Figure 2009242319
[式中、l及びmは同一又は異なって1〜10の整数であり、s、t及びuは同一又は異なって0又は1であり、nは0〜5の整数であり、n、n及びnは同一又は異なって0以上の整数であって、n+n+n=1〜10であり、X、X、X及びXは同一又は異なってF又はCF3であり、X、X及びX6は同一又は異なってH又はFであり、各繰り返し単位はこの順に限られず、ブロックでもよくランダムでもよい。]
等が挙げられる。
一般式(1)において、Aはこれらの中でも、下記一般式で表されるものが好ましい。
Figure 2009242319
[式中、nは前記に同じ。]
一般式(1)CX=CF−Z−O−A−M−C(=O)−NH−の中でも、XがHであり、Mが−CX O−であり、XがHであり、Zが−CF−である下記一般式
CH=CF−CF−O−A−CHO−C(=O)−NH−
で表される基を2以上有する化合物、XがFであり、Mが−CX O−であり、XがHであり、Zが単結合である下記一般式
CF=CF−O−A−CHO−C(=O)−NH−
で表される基を2以上有する化合物、
XがHであり、Mが−CX −であり、XがHであり、Zが−CF−である下記一般式
CH=CF−CF−O−A−CH−C(=O)−NH−
で表される基を2以上有する化合物及び
XがFであり、Mが−CX −であり、XがHであり、Zが単結合である下記一般式
CF=CF−O−A−CH−C(=O)−NH−
で表される基を2以上有する化合物が好ましい。
一般式(1)で表される化合物の中でも、下記一般式(1a)
Figure 2009242319
[式中、Tは多価イソシアネート化合物のイソシアネート基を除く部位であり、
pは2以上の整数であり、
A、X、M及びZはそれぞれ同一又は異なって前記に同じである。]
で表される化合物が好ましい。
一般式(1a)において、A、M、X及びZはそれぞれ同一又は異なり、上記一般式(1)で表される化合物のものと同じである。
また、一般式(1a)で表される化合物において、式:CX=CF−Z−O−A−M−C(=O)−NH−で表される基は、p個(pは2以上の整数)存在し、それぞれ同一又は異なる。
一般式(1a)において、pは2以上の整数であり、好ましくは2〜10の整数、より好ましくは2〜6の整数である。
Tは多価イソシアネート化合物のイソシアネート基を除く部位である。すなわち、一般式(1a)で表される化合物は、2以上のイソシアネート基(O=C=N−)を有する多価イソシアネート化合物のイソシアネート基が式:CX=CF−Z−O−A−M−C(=O)−NH−で表される基でp個置換された化合物である。
一般式(1a)のTにおいて、多価イソシアネート化合物のイソシアネート基を除く部位を有する多価イソシアネート化合物としては、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネート、4−クロロキシリレン−1,3−ジイソシアネート、2−メチルキシリレンジイソシアネート、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4'−ジフェニルプロパンジイソシアネート、4,4'−ジフェニルヘキサフルオロプロパンジイソシアネート、1,4−ナフタレンジイソシアネート、3,3'−ジメトキシビフェニルジイソシアネート、3,3'−ジメチルジフェニルメタン−4,4'−ジイソシアネート等の芳香族2官能イソシアネート、1,3−トリメチレンジイソシアネート、プロピレン−1,2−ジイソシアネート、ブチレン−1,2−ジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキシレン1,2−ジイソシアネート、シクロヘキシレン1,3−ジイソシアネート、シクロヘキシレン1,4−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添m−キシリレンジイソシアネート、水添p−キシリレンジイソシアネート、水添4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,5−ジ(イソシアナトメチル)ノルボルナン等の脂肪族2官能イソシアネート等の2官能イソシアネート、又は上記2官能イソシアネートとエチレングリコール、ビスフェノール類等の2官能アルコール、フェノールとの付加反応物等が挙げられる。
3官能以上のイソシアネートとしては、例えば、前述の2官能イソシアネートを主原料とし、これらの3量体(ビウレットあるいはイソシアヌレート)、トリメチロールプロパン等の3官能アルコールとの付加物、フロログリシン等の3官能フェノールとの付加物あるいは、ベンゼンイソシアネートのホルマリン縮合物(ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート)、メタクリロイルオキシエチルイソシアネート等の重合性基を有するイソシアネート化合物の重合体、リジントリイソシアネート等が挙げられる。さらにブロック化されたイソシアネート類等が挙げられる。
これらの多価イソシアネート化合物は、従来公知のものであり、市販品が容易に入手可能な化合物である。市販品としては、住化バイエルウレタン株式会社製のスミジュールN3300、三菱化学ポリウレタン株式会社製のタケネートD−140N等が挙げられる。
製造方法
[第一の製造方法]
本発明の第一の製造方法は、多価イソシアネート化合物と一般式(2)
CX=CF−Z−O−A−CX OH (2)
[式中、X、X、Z及びAは前記に同じ。]
で表される化合物を反応させて一般式(1b)
CX=CF−Z−O−A−CX O−C(=O)―NH− (1b)
[式中、X、X、Z及びAは前記に同じ。]
で表される基を2以上有する化合物を得ることを特徴とする。
本発明の製造方法で使用する多価イソシアネート化合物としては、前記に記載の多価イソシアネート化合物が挙げられる。これらの多価イソシアネート化合物は、従来公知の方法により製造することができ、市販品を使用してもよい。
一般式(2)CX=CF−Z−O−A−CX OHで表される化合物において、X、X、Z及びAは一般式(1)のものと同じである。
一般式(2)において、Xは同一又は異なってH、F、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよい含フッ素アルキル基である。
一般式(2)のXにおいて、「置換基を有していてもよいアルキル基」のアルキル基としては、炭素数1〜12の直鎖、分岐鎖又は環状のアルキル基が挙げられる。例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、シクロペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル、オクチル、シクロデシル等の炭素数1〜12のアルキル基が挙げられる。より好ましくは、炭素数1〜8のアルキル基である。該アルキル基は置換されていてもよく、該置換基としては、本発明に悪影響を与えないものであれば特に限定はない。該置換基としては、例えば、−OH、−COOCH、−COOCHCH、−COOCHCF等が挙げられる。該アルキル基は、これらの群から選ばれる少なくとも一種で1〜3個置換されていてもよい。
において、「置換基を有していてもよい含フッ素アルキル基」の含フッ素アルキル基は、炭素数1〜12の直鎖、分岐鎖又は環状の含フッ素アルキル基が挙げられる。例えば、−CF、−CHCF、CHCFCF、−CFCFCF等の炭素数1〜12の含フッ素アルキル基が挙げられる。より好ましくは、炭素数1〜8の含フッ素アルキル基である。該含フッ素アルキル基は置換されていてもよく、該置換基としては、本発明に悪影響を与えないものであれば特に限定はない。該置換基としては、例えば、−OH、−COOCH、−COOCHCH、−COOCHCF等が挙げられる。該含フッ素アルキル基は、これらの群から選ばれる少なくとも一種で1〜3個置換されていてもよい。
一般式(2)で表される化合物の中でも、XがHであり、XがHであり、Zが−CF−である下記一般式
CH=CF−CF−O−A−CHOH
で表される化合物、及びXがFであり、XがHであり、Zが単結合である下記一般式
CF=CF−O−A−CHOH
で表される化合物が好ましい。
一般式(2)で表される化合物において、末端の水酸基(−OH)が直接結合している炭素は、その化学結合様式から1級、2級及び3級の3種類の炭素に分類することができる。
本発明の第一の製造方法においては、多価イソシアネート化合物と一般式(2)で表される化合物と反応性の観点から、末端の水酸基(−OH)が直接結合している炭素は1級炭素であることが望ましい。
一般式(2)で表される化合物の具体例としては、例えば下記一般式で表される化合物が挙げられる。
Figure 2009242319
[式中、nは0〜5の整数であり、Xは前記に同じ。]
Figure 2009242319
[式中、X及びnは前記に同じ。]
Figure 2009242319
[式中、nは前記に同じ。]
Figure 2009242319
[式中、nは前記に同じ。]
Figure 2009242319
[式中、X及びnは前記に同じ。]
Figure 2009242319
[式中、nは前記に同じ。]
さらに、一般式(2)で表される化合物はこれらの中でも、下記一般式で表されるものが特に好ましい。
Figure 2009242319
[式中、nは前記に同じ。]
Figure 2009242319
[式中、mは1〜10の整数であり、nは前記に同じ。]
本発明の一般式(2)で表される化合物は、従来公知の製造方法によって得られる化合物であり、市販品を使用することもできる。
本発明の一般式(2)で表される化合物の製造方法としては、例えば、国際公開WO95/33782パンフレットに記載されている方法が具体的に挙げられる。
また、三共出版 「フッ素化学入門」 独立行政法人 日本学術振興会 フッ素化学 第155委員会編 に記載されている具体的な合成ルートに従い製造することができる。
本発明の第一の製造方法において、一般式(2)で表される化合物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
本発明の第一の製造方法において、多価イソシアネート化合物(分子内に2個以上のイソシアネート基を有する化合物)の使用量は、分子内のイソシアネート基の数によって異なり、イソシアネート基1つに対して一般式(2)で表される化合物が1つ反応するのに足る量を使用すればよい。本明細書においては、この量を当量という。分子内に2個イソシアネート基をもつ化合物においては、当量は分子量の1/2となり、同様に分子内に3個イソシアネート基をもつ化合物では当量は分子量の1/3となる。
多価イソシアネート化合物の使用量は、一般式(2)で表される化合物に対して、通常、0.01〜2当量程度、好ましくは0.1〜1.5当量程度、より好ましくは0.5〜1.2当量程度の量である。
換言すれば、多価イソシアネート化合物のイソシアネート基1モルに対して、一般式(2)で表される化合物を通常、0.5〜100モル程度、好ましくは0.67〜10モル程度、より好ましくは0.83〜2モル程度使用すればよい。
本発明の第一の製造方法においては、多価イソシアネート化合物と一般式(2)で表される化合物とがウレタン化反応することにより、多価イソシアネート化合物のイソシアネート基(O=C=N−)が下記一般式(1b)
CX=CF−Z−O−A−CX O−C(=O)―NH− (1b)
[式中、Xは同一又は異なってH、F、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよい含フッ素アルキル基であり、Aは炭素数1〜40の含フッ素アルキレン基又は炭素数2〜100のエーテル結合を有する含フッ素アルキレン基であり、Xは同一又は異なってH又はFであり、Zは−CF−又は単結合である。]
で表される基で置換される。
すなわち、本発明のウレタン化反応では、一般式(2)で表される化合物中に存在するOH基が、多価イソシアネート化合物中のイソシアネート基と付加反応してウレタン結合を形成する。一方、一般式(2)で表される化合物中に存在する末端二重結合は、実質的に反応せずに、本発明の多官能含フッ素化合物の反応性官能基となる。
本発明の多官能含フッ素化合物は、一般式(2)で表される化合物中に存在する上記置換基由来の反応性末端二重結合が分子内に複数存在するので、塗料の架橋剤、添加剤として好適に使用できる。また、発明の多官能含フッ素化合物を含む硬化性組成物とし、これを硬化させて硬化物を製造することもできる。
本発明の第一の製造方法のウレタン化反応によって得られる本発明の多官能含フッ素化合物中に未反応のイソシアネート基が存在する場合、該未反応のイソシアネート基は、本発明の多官能含フッ素化合物を硬化性組成物として用いた際、硬化反応基として作用する。
本発明の第一の製造方法において、多価イソシアネート化合物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
該ウレタン化反応は、多官能イソシアネート化合物と一般式(2)で表される化合物との混合物を加熱することによって容易に進行する。
該ウレタン化反応の加熱温度(反応温度)は、通常5〜90℃程度、好ましくは10〜70℃程度、より好ましくは20〜60℃程度である。
本発明の第一の製造方法においては、多価イソシアネートと一般式(2)で表される化合物に触媒を使用してもよい。該触媒は、特に限定されず、ウレタン化反応に使用される従来公知のものを使用すればよく、市販品が容易に入手可能である。
該触媒としては、例えば、テトラエチルチタネート、テトラブチルチタネート等の有機チタン系化合物、オクチル酸スズ、ジブチルスズオキサイド、ジブチルスズジラウレート等の有機スズ系化合物、塩化第一スズ、臭化第一スズ等のハロゲン系第一スズ等が挙げられる。
本発明の第一の製造方法においては、触媒を使用することにより、より短時間でウレタン化反応が進行し、目的とする多官能含フッ素化合物が得られる。
ウレタン化反応に使用する触媒の使用量は、特に限定されず、適宜調整すればよいが、例えば、一般式(2)で表される化合物100質量部に対して、通常0.0001〜3質量部程度、好ましくは0.001〜1質量部程度、より好ましくは0.01〜0.5質量部程度である。
本発明の第一の製造方法においては、さらに溶媒を使用してもよい。溶媒を使用する場合、溶媒としては、ウレタン化反応の進行を妨げない一般的に使用される従来公知の溶媒を使用すればよい。
溶媒としては、例えば、メチルイソブチルケトン(MIBK)、メチルエチルケトン(MEK)等のケトン系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;HCFC225(ジクロロペンタフルオロプロパン)等のフッ素系の溶媒等を使用すればよい。OH基を有するアルコール系の溶媒は、ウレタン化反応の進行を妨げるため好ましくない。また、系内に水があってもウレタン化反応の進行が妨げられるため、各溶媒は使用前に脱水することがより好ましい
本発明の製造方法においては、必要に応じて、さらに他の成分を添加してもよい。他の成分としては、例えば、酸化防止剤、レべリング剤、無機フィラー、有機フィラー等が挙げられる。
酸化防止剤を使用する場合、使用量は、一般式(2)で表される化合物100質量部に対して、通常0.01〜10質量部程度、好ましくは0.1〜2質量部程度、より好ましくは0.5〜1質量部程度である。
[第二の製造方法]
本発明の第二の製造方法は、多価イソシアネート化合物と一般式(3)
CX=CF−Z−O−A−CX COOH (3)
[式中、式中、X、X、Z及びAは前記に同じ。]
で表される化合物を反応させて一般式(1b)
CX=CF−Z−O−A−CX −C(=O)−NH− (1c)
[式中、X、X、Z及びAは前記に同じ。]
で表される基を2以上有する化合物を得ることを特徴とする。
多価イソシアネート化合物としては、前記に記載の多価イソシアネート化合物が挙げられる。これらの多価イソシアネート化合物は、従来公知の方法により製造することができ、市販品を使用してもよい。
一般式(3)CX=CF−Z−O−A−CX COOHで表される化合物において、X、X、Z及びAは前記一般式(1)のものと同じである。
一般式(3)において、Xは同一又は異なってH、F、OH、COOH、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよい含フッ素アルキル基である。
一般式(3)のXにおいて、「置換基を有していてもよいアルキル基」のアルキル基としては、炭素数1〜12の直鎖、分岐鎖又は環状のアルキル基が挙げられる。例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、シクロペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル、オクチル、シクロデシル等の炭素数1〜12のアルキル基が挙げられる。より好ましくは、炭素数1〜8のアルキル基である。該アルキル基は置換されていてもよく、該置換基としては、本発明に悪影響を与えないものであれば特に限定はない。該置換基としては、例えば、−OH、−COOCH、−COOCHCH、−COOCHCF等が挙げられる。該アルキル基は、これらの群から選ばれる少なくとも一種で1〜3個置換されていてもよい。
において、「置換基を有していてもよい含フッ素アルキル基」の含フッ素アルキル基は、炭素数1〜12の直鎖、分岐鎖又は環状の含フッ素アルキル基が挙げられる。例えば、−CF、−CHCF、CHCFCF、−CFCFCF等の炭素数1〜12の含フッ素アルキル基が挙げられる。より好ましくは、炭素数1〜8の含フッ素アルキル基である。該含フッ素アルキル基は置換されていてもよく、該置換基としては、本発明に悪影響を与えないものであれば特に限定はない。該置換基としては、例えば、−OH、−COOCH、−COOCHCH、−COOCHCF等が挙げられる。該含フッ素アルキル基は、これらの群から選ばれる少なくとも一種で1〜3個置換されていてもよい。
一般式(3)で表される化合物の中でも、XがHであり、XがHであり、Zが−CF−である下記一般式
CH=CF−CF−O−A−CHCOOH
で表される化合物、及びXがFであり、XがHであり、Zが単結合である下記一般式
CF=CF−O−A−CHCOOH
で表される化合物が好ましい。
一般式(3)で表される化合物の具体例としては、例えば下記一般式で表される化合物が挙げられる。
Figure 2009242319
[式中、X及びnは前記に同じ。]
Figure 2009242319
[式中、X及びnは前記に同じ。]
Figure 2009242319
[式中、nは前記に同じ。]
Figure 2009242319
[式中、nは前記に同じ。]
Figure 2009242319
[式中、X及びnは前記に同じ。]
Figure 2009242319
[式中、nは前記に同じ。]
さらに、一般式(3)で表される化合物はこれらの中でも、下記一般式で表されるものが特に好ましい。
Figure 2009242319
[式中、nは前記に同じ。]
Figure 2009242319
[式中、nは前記に同じ。]
本発明の一般式(3)で表される化合物は、従来公知の製造方法によって得られる化合物であり、市販品を使用することもできる。
本発明の一般式(3)で表される化合物の製造方法としては、例えば、国際公開WO95/33782パンフレットに記載されている方法が具体的に挙げられる。
また、三共出版 「フッ素化学入門」 独立行政法人 日本学術振興会 フッ素化学 第155委員会編 に記載されている具体的な合成ルートに従い製造することができる。
本発明の製造方法において、一般式(3)で表される化合物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
本発明の第二の製造方法においても、本発明の第一の製造方法と同じく、多価イソシアネート化合物の使用量は、分子内のイソシアネート基の数によって異なる。多価イソシアネート化合物は、多価イソシアネート化合物中のイソシアネート基1つに対して一般式(3)で表される化合物が1つ反応するのに足る量を使用すればよい。本明細書においては、この量を当量という。分子内に2個イソシアネート基をもつ化合物においては、当量は分子量の1/2となり、同様に分子内に3個イソシアネート基をもつ化合物では当量は分子量の1/3となる。
多価イソシアネート化合物の使用量は、一般式(3)で表される化合物に対して、通常、0.01〜2当量程度、好ましくは0.1〜1.5当量程度、より好ましくは0.5〜1.2当量程度の量である。
換言すれば、多価イソシアネート化合物のイソシアネート基1モルに対して、一般式(3)で表される化合物を通常、0.5〜100モル程度、好ましくは0.67〜10モル程度、より好ましくは0.83〜2モル程度使用すればよい。
本発明の第二の製造方法においては、多価イソシアネート化合物と一般式(3)で表される化合物とがアミド化反応することにより、多価イソシアネート化合物のイソシアネート基(O=C=N−)が下記一般式(1c)
CX=CF−Z−O−A−CX −C(=O)−NH− (1c)
[式中、Xは同一又は異なってH、F、OH、COOH、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよい含フッ素アルキル基であり、Aは炭素数1〜40の含フッ素アルキレン基又は炭素数2〜100のエーテル結合を有する含フッ素アルキレン基であり、Xは同一又は異なってH又はFであり、Zは−CF−又は単結合である。]
で表される基で置換される。
すなわち、本発明のアミド化反応では、一般式(3)で表される化合物中に存在するCOOH基が、多価イソシアネート化合物中のイソシアネート基と反応し、脱炭酸することによってアミド結合を有する化合物を生成する。一方、一般式(3)で表される化合物中に存在する末端二重結合は、実質的に反応せずに、本発明の多官能含フッ素化合物の反応性官能基となる。
本発明の多官能含フッ素化合物は、一般式(3)で表される化合物中に存在する上記置換基由来の反応性末端二重結合が分子内に複数存在するので、塗料の架橋剤、添加剤として好適に使用できる。また、発明の多官能含フッ素化合物を含む硬化性組成物とし、これを硬化させて硬化物を製造することもできる。
該アミド化反応は、多官能イソシアネート化合物と一般式(3)で表される化合物とを混合物することによって容易に進行する。
本発明の第二の製造方法のアミド化反応によって得られる本発明の多官能含フッ素化合物中に未反応のイソシアネート基が存在する場合、該未反応のイソシアネート基は、本発明の多官能含フッ素化合物を硬化性組成物として用いた際、硬化反応基として作用する。
本発明の製造方法において、多価イソシアネート化合物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
該アミド化反応の反応温度は、通常5〜90℃程度、好ましくは10〜70℃程度、より好ましくは20〜60℃程度である。
本発明の第二の製造方法においては、溶媒を使用してもよい。溶媒を使用する場合、溶媒としては、アミド化反応の進行を妨げない一般的に使用される従来公知の溶媒を使用すればよい。
溶媒としては、例えば、メチルイソブチルケトン(MIBK)、メチルエチルケトン(MEK)等のケトン系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;HCFC225(ジクロロペンタフルオロプロパン)等のフッ素系の溶媒等を使用すればよい。OH基を有するアルコール系の溶媒は、アミド化反応の進行を妨げるため好ましくない。また、系内に水があってもアミド化反応の進行が妨げられるため、各溶媒は使用前に脱水することがより好ましい
本発明の製造方法においては、必要に応じて、さらに他の成分を添加してもよい。他の成分としては、例えば、酸化防止剤、レべリング剤、無機フィラー、有機フィラー等が挙げられる。
酸化防止剤を使用する場合、使用量は、一般式(2)で表される化合物100質量部に対して、通常0.01〜10質量部程度、好ましくは0.1〜2質量部程度、より好ましくは0.5〜1質量部程度である。
塗料用架橋剤及び添加物
本発明の多官能含フッ素化合物は、分子内に複数の架橋性官能基を有するので、塗料の架橋剤、添加剤として好適に使用できる。
本発明の多官能含フッ素化合物を架橋剤として使用できる塗料としては、例えば、アクリル系、ウレタン系、エポキシ系、フッ素系等の塗料が挙げられる。本発明の多官能含フッ素化合物を架橋剤は、例えば、特開2004−204205号公報の実施例1に挙げられている塗料に添加して用いることができる。該実施例1ではイソシアネート系の硬化剤が使用されている。本発明の多官能含フッ素化合物を該実施例1に記載のようなイソシアネート系の硬化剤の架橋剤として使用する場合、本発明の多官能含フッ素化合物の置換基としては−OH、−CHOH、−COOH等が好ましい。置換基が−CHOH場合、添加量は塗料中の固形分に対して0.01〜20質量部程度、好ましくは0.05〜15質量部程度、より好ましくは1〜10質量部程度添加すればよい。
本発明の多官能含フッ素化合物は、特開2004−204205号公報の実施例に記載されているような通常の条件下でイソシアネート系の硬化剤との硬化架橋が進行する。
本発明の多官能含フッ素化合物は官能基を複数もつため、塗料の架橋剤、添加剤として用いると架橋密度が向上する効果が得られる。また、特開2004−204205号公報記載の官能基含有フッ素ポリマーと異なり、本発明の多官能含フッ素化合物は低分子であるため粘度が上がらないという効果も奏される。
また、本発明の多官能含フッ素化合物は室温で液状であるため、無溶剤の硬化性組成物を作製することもできる。さらに、多官能含フッ素化合物の官能基の種類を容易に変える事ができるため、各種塗料の硬化系に合わせて官能基を選択する事が可能である。例えば、ウレタン系の塗料の場合は、−OH、−CHOH、−COOH等、エポキシ系塗料の場合は−CHOH、−COOH等、アクリル系塗料の場合は−CHOH等、使用する塗料の組成に応じて適当な官能基を選択することができる。
また、高フッ素含有率の多官能含フッ素化合物を用いることにより、硬化物のフッ素含有率を高く設計できるという特徴を有する。その結果、得られた硬化物はフッ素特有の性質を併せ持つ。すなわち、本発明の多官能含フッ素化合物を架橋剤として使用することにより、硬化物に対して屈折率の低下効果、耐熱性の向上、撥水撥油性の効果、耐薬品性の向上といった特徴を付与することができる。
本発明者によれば、末端に水酸基又はカルボキシル基有する含フッ素アリル化合物又は含フッ素ビニルエーテル化合物と多価イソシアネートとを反応させることにより、容易に末端不飽和二重結合を2個以上有する新規含フッ素多価アリル化合物が得られる。得られた多官能含フッ素化合物は、末端に複数の炭素−炭素二重結合を有するので、架橋剤として好適に使用できる。また、末端に複数の炭素−炭素二重結合を有する本発明の多官能含フッ素化合物を硬化性組成物とし、これを硬化させて硬化物を製造することもできる。
以下に、本発明の実施例を挙げて、本発明を一層明らかにするが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明の実施例において、(1)フッ素含有量の測定、(2)屈折率(n)の測定、(3)赤外吸収分析(IR分析)及び(4)相溶性(溶解性)の測定は、以下の方法により行った。
(1)フッ素含有量の測定
酸素フラスコ燃焼法により試料10mgを燃焼し、分解ガスを脱イオン水20mlに吸収させ、吸収液中のフッ素イオン濃度をフッ素選択電極法(フッ素イオンメーター、オリオン社製 901型)で測定することにより、試料中のフッ素含有量を求めた(質量%)。
(2)屈折率(n)の測定
ナトリウムD線(589nm)を光源とし、アッベ屈折率計(株式会社アタゴ光学機器製作所製)を用いて25℃における試料の屈折率(nD)を測定した。
(3)赤外吸収分析(IR分析)
Perkin Elmer社製フーリエ変換赤外分光光度計1760Xを使用し、室温にて試料の赤外吸収分析を行った。
(4)相溶性(溶解性)の測定
試料とアセトンとを質量比1:1で混合し、相溶性を目視で確認した。相溶性の評価は、相溶を○、二相分離を×とした。
本実施例で使用した含フッ素アリルエーテル化合物及び多官能チオール化合物の構造式及び略称を以下に示す。
含フッ素アリルエーテル化合物
Figure 2009242319
実施例1
(1)組成物(a1)〜(a6)の調整及びIR吸収測定
以下の配合に従い、組成物(a1)〜(a6)を調製した。
組成物(a1)
(i) AEH−0 13質量部
(ii) N3300 10質量部
(iii) ジブチルスズジラウリレート 0.001質量部。
組成物(a2)
(i) AEH−1 22質量部
(ii) N3300 10質量部
(iii) ジブチルスズジラウリレート 0.001質量部。
組成物(a3)
(i) AEH−2 31質量部
(ii) N3300 10質量部
(iii) ジブチルスズジラウリレート 0.001質量部。
組成物(a4)
(i) AEH−0 7質量部
(ii) AEH−3 20質量部
(iii) N3300 10質量部
(iv) ジブチルスズジラウリレート 0.001質量部。
組成物(a5)
(i) AEHFIP−0 21質量部
(ii) N3300 10質量部
(iii) ジブチルスズジラウリレート 0.001質量部。
組成物(a6)
(i) AEHFIP−1 30質量部
(ii) N3300 10質量部
(iii) ジブチルスズジラウリレート 0.001質量部。
次に、各組成物のIR吸収測定を行った。
(2)組成物(a1)〜(a6)のウレタン化反応(含フッ素アリルエーテル化合物と多価イソシアネートとの反応)及びIR吸収測定
組成物(a1)〜(a6)を各1gずつ、それぞれ10mlのガラス製サンプル瓶に入れ、常圧下、50℃の恒温槽で1日静置した。その後、得られた各組成物のIR吸収スペクトルを測定し、熱処理前後におけるIR吸収スペクトルを比較した。熱処理前後の組成物(a2)のIR吸収スペクトル(−NCO基)を図1に示す。また、組成物(a2)に使用した含フッ素アリルエーテル化合物であるAEH−1のIR吸収スペクトルと熱処理後の組成物(a2)のIR吸収スペクトルを図2に示す。
図1において、2270cm−1付近の−NCO基の吸収が、熱処理前は明瞭であったが、熱処理後には、完全に消失した。
また、混合前のAEH−1と組成物(a2)を熱処理したサンプルのIR吸収スペクトルを比較すると、1700cm−1付近のC=C結合は維持され、1730cm−1付近のC=O結合に由来する吸収と1550cm−1付近のNHCO結合に由来する吸収が新たに観測され、含フッ素アリルエーテル化合物と多価イソシアネートとの反応が進行することを確認した。
同様に、組成物(a1)及び(a3)〜(a6)についても、IRスペクトルを測定し、含フッ素アリルエーテル化合物と多価イソシアネートとの反応が進行して多価アリル化合物が得られることを確認した。
(2)熱処理後の組成物(a1)〜(a6)のフッ素含有率、屈折率及び相溶性をそれぞれ測定した。測定結果を下表1に示す。
Figure 2009242319
熱処理後の組成物(a1)〜(a6)の粘度は、熱処理前の組成物(a1)〜(a6)の粘度に比べて、目視でわかる程度上昇していた。また、熱処理後の組成物(a1)〜(a6)は無色透明であった。
実施例2
(1)組成物(a7)〜(a9)の調整
以下の配合に従い、組成物(a7)〜(a9)を調製した。
組成物(a7)
(i) AEC−0 15質量部
(ii) N3300 10質量部。
組成物(a8)
(i) AEC−1 24質量部
(ii) N3300 10質量部。
組成物(a9)
(i) AEC−2 33質量部
(ii) N3300 10質量部。
(2)組成物(a7)〜(a9)のアミド化反応(含フッ素アリル化合物のCOOH基と多価イソシアネートの反応)及びIR吸収測定
組成物(a7)〜(a9)を各1gずつ、それぞれ10mlのガラス製サンプル瓶に入れた。各組成物は、各成分を混合したとほぼ同時に細かい気泡が発生し始め、アミド化反応が進行し、COの発生が確認できた。その後、各組成物を室温で1日静置後、さらに40℃で1日静置、50℃で1日静置し、徐々に温度を上げて反応を完結させた。
実施例1と同様に、熱処理前後における各組成物のIR吸収スペクトルを比較することによって、−NCO基の消失、C=C結合の維持、反応後のNHCO結合を確認した。
(3)組成物(a7)〜(a9)のフッ素含有率、屈折率及び相溶性の測定
組成物(a7)〜(a9)のフッ素含有率、屈折率及び相溶性をそれぞれ測定した。測定結果を下表2に示す。
Figure 2009242319
熱処理後の組成物(a7)〜(a9)の粘度は、熱処理前の組成物(a7)〜(a9)の粘度に比べて、目視でわかる程度上昇していた。また、熱処理後の組成物(a7)〜(a9)は無色透明であった。
実施例3(硬化性組成物の作製)
硬化性組成物の作製には、アクリルモノマーとしてTMPA(トリメチロールプロパントリアクリレート)、光重合開始剤としてイルガキュア907を併用した。
以下の配合で各成分を混合し、硬化性組成物を作成した。
硬化性組成物(b1)
(i) 実施例1の組成物(a2) 10質量部
(ii)TMPA 90質量部
(iii)イルガキュア907 4質量部。
硬化性組成物(b2)
(i)実施例2の組成物(a8) 10質量部
(ii)TMPA 90質量部
(iii)イルガキュア907 4質量部。
得られた硬化性組成物(b1)及び(b2)は、いずれも均一透明な溶液であった。
実施例4(塗布物の作製)
実施例3で得られた光硬化性組成物(b1)及び(b2)を表面未処理のアクリル板上にスピンコーターにより室温でコートし、室温で5分間真空乾燥した。この際、乾燥後の膜厚が1μmとなるように、スピンコーターの回転数を調整した(500〜2000回転)。また、スピンコーターによる塗布時の塗布性をつぎの基準で評価した。結果を表3に示す。
○ : 塗布ムラがない
△ : 一部に塗布ムラが認められる
× : 塗布できない。
実施例5(硬化皮膜の物性測定)
実施例4で塗布した硬化性組成物をそれぞれ乾燥し、得られた被膜に高圧水銀灯を用い、室温にて5000 mJ/cmの強度で紫外線を照射して硬化被膜を作製した。得られた硬化皮膜の物性を以下の方法で評価した。結果を表3に示す。
外観
目視で評価した。
○ : 透明均一
△ : 一部、不均一
× : 白濁。
フッ素含有率
前記の通りである。
耐薬品性
メタノールを含浸させた綿布で塗膜表面を擦った後の塗膜表面の状態(溶解又は剥離)を目視で観察した。耐薬品性の評価は以下のように行った。
○ : 変化なし
△ : 一部溶解又は剥離あり
× : 溶解又は剥離あり。
対水接触角
接触角計(協和界面化学(株)製のCA−DT)を用いて、純水を室温下で3μlの液量を基材の表面に触れさせて液滴を作った。このときに生ずる液滴と面との角度を測定し対水接触角とした。
比較例1
以下の配合に従い、組成物(c1)を調製した(光硬化系)。
硬化性組成物(c1)
(i)TMPA 100質量部
(ii)イルガキュア907 4質量部。
得られた硬化性組成物(c1)を実施例4及び実施例5と同様に塗布硬化させ、塗膜を評価した。結果を表3に示す。
Figure 2009242319
熱処理前後の組成物(a2)のIR吸収スペクトル(−NCO基) AEH−1及び熱処理後の組成物(a2)のIR吸収スペクトル

Claims (9)

  1. 一般式(1)
    CX=CF−Z−O−A−M−C(=O)−NH− (1)
    [式中、Mは−CX O−又は−CX −であり、Xは同一又は異なってH、F、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよい含フッ素アルキル基であり、Xは同一又は異なってH、F、OH、COOH、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよい含フッ素アルキル基であり、Aは炭素数1〜40の含フッ素アルキレン基又は炭素数2〜100のエーテル結合を有する含フッ素アルキレン基であり、Xは同一又は異なってH又はFであり、Zは−CF−又は単結合である。]
    で表される基を2以上有する化合物。
  2. 一般式(1a)
    Figure 2009242319
    [式中、Tは多価イソシアネート化合物のイソシアネート基を除く部位であり、pは2以上の整数であり、A、X、M及びZはそれぞれ同一又は異なって前記に同じである。]
    で表される請求項1に記載の化合物。
  3. XがHであり、Mが−CX O−であり、XがHであり、Zが−CF−である請求項2に記載の化合物。
  4. XがFであり、Mが−CX O−であり、XがHであり、Zが単結合である請求項2に記載の化合物。
  5. XがHであり、Mが−CX −であり、XがHであり、Zが−CF−である請求項2に記載の化合物。
  6. XがFであり、Mが−CX −であり、XがHであり、Zが単結合である請求項2に記載の化合物。
  7. 一般式(1b)
    CX=CF−Z−O−A−CX O−C(=O)−NH− (1b)
    [式中、Xは同一又は異なってH、F、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよい含フッ素アルキル基であり、Aは炭素数1〜40の含フッ素アルキレン基又は炭素数2〜100のエーテル結合を有する含フッ素アルキレン基であり、Xは同一又は異なってH又はFであり、Zは−CF−又は単結合である。]
    で表される基を2以上有する化合物の製造方法であって、多価イソシアネート化合物と一般式(2)
    CX=CF−Z−O−A−CX OH (2)
    [式中、X、X、Z及びAは前記に同じ。]
    で表される化合物を反応させることを特徴とする製造方法。
  8. 一般式(1c)
    CX=CF−Z−O−A−CX −C(=O)−NH− (1c)
    [式中、Xは同一又は異なってH、F、OH、COOH、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよい含フッ素アルキル基であり、Aは炭素数1〜40の含フッ素アルキレン基又は炭素数2〜100のエーテル結合を有する含フッ素アルキレン基であり、Xは同一又は異なってH又はFであり、Zは−CF−又は単結合である。]
    で表される基を2以上有する化合物の製造方法であって、多価イソシアネート化合物と一般式(3)
    CX=CF−Z−O−A−CX COOH (3)
    [式中、X、X、Z及びAは前記に同じ。]
    で表される化合物を反応させることを特徴とする製造方法。
  9. 請求項1〜6のいずれかに記載の化合物からなる架橋剤。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2021187484A1 (ja) * 2020-03-16 2021-09-23 日立金属株式会社 熱間加工用金型用鋼、熱間加工用金型およびその製造方法

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