JP2009241490A - シール装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】シール性が良好で、加硫容器内の圧力が変化してもゴム被覆ホースとの接触による摩擦力を適正に保持し得て、ゴム被覆ホースを出口から滑らかに導出させることができ、またシール部材によってゴム表面を傷付けてしまうのを防止することのできるシール装置を提供する。
【解決手段】ゴム被覆ホース10を加圧下で加硫処理する連続加硫装置の出口40をシールするシール装置を、中心孔にゴム被覆ホース10を通して中心孔62の内周面をゴム被覆ホース10の外面に弾性接触させ、シールを行うリング状のシール部材53-1,53-2と、シール部材53-1,53-2に接する状態にセットされ、それらを後側からバックアップするリング状のバックアップリング54-1,54-2とを備えて構成する。そのバックアップリング54-1,54-2はテーパ形状となして、加硫容器内の内圧の作用でシール部材53-1,53-2を変形させて、変形部分を逃し込む逃し空間68-1,68-2を形成するものとしておく。
【選択図】 図4

Description

この発明は、ゴム被覆ホースを連続加硫する際に用いられるシール装置に関する。
従来ゴム被覆ホースの加硫装置として、筒形の加硫容器の内部を加圧状態に保持しつつ、加硫容器の軸方向一端側の入口からゴム被覆ホースを加硫容器の内部に導入して、加硫容器内部を通過させ、軸方向他端側の出口から外部に導出させることによって、ゴム被覆ホースを加硫処理する連続加硫装置が公知である。
この種連続加硫装置では、水封装置によって出口を水封状態とする。
例えば下記特許文献1にこの種の連続加硫装置が、また出口を水封装置にて水封するようになした点が開示されている。
この種連続加硫装置では、ゴム被覆ホースが導出する出口の部分に、加硫容器内部の内圧を保持し、また封水の漏れを抑制するためにシール装置を設けることが必要である。
但し特許文献1には、そうしたシール装置について具体的には開示されていない。
ところで特許文献1では、電線を芯体としてこれをゴムで被覆したもの、即ち中心部に金属の芯体を有するゴム被覆ホースを例示しており、このような金属製の芯体が中心に入ったゴム被覆ホースでは、内部の芯体にてゴム被覆ホースが実質的に伸びを有しないものであり、また特許文献1のように上記の連続加硫装置にてゴムホースを完全加硫するようなものにおいては、加硫容器の出口を通過する段階で、ゴムは完全加硫により十分に硬くなっており、従ってその出口に設けたシール装置のシール部材による接触によって、ゴム被覆ホースが伸びを生じたり(即ち径が細径化してしまったり)、また最外層の被覆ゴムがシール部材によって傷付けられてしまう恐れもない。
しかしながら、例えば中に芯体が入っておらず、伸びを生じ易いゴム被覆ホースであったり、或いは連続加硫装置そのものが、ゴム被覆ホースを完全加硫するものでなく、僅かな加硫度まで予備加硫するに過ぎないものであったりする場合、シール部材の如何によってはゴム被覆ホースが伸び変形を生じ、そのことによって外径が本来の径から細径化してしまったり、またシール部材によって被覆ゴムの外面が傷付けられてしまったりする恐れが生ずる。
またシール部材の如何によっては、内圧の作用でシール部材が、出口を通過するゴム被覆ホースとの間の接触による摩擦力に基づいてゴム被覆ホース側に噛み込んでしまったりする恐れがある。
この場合シール部材とゴム被覆ホースとの間の摩擦力が大となって、ゴム被覆ホースがそこで詰まりを生じ、出口から円滑に導出できなくなってしまう問題を生ずる。
そうなるとゴム被覆ホースを連続加硫することができず、ラインストップの事態を招いてしまう。
例えば、通常一般に用いられるUパッキン,Vパッキン,ダストシール等をシール部材として用いた場合、内圧の作用でシール部材が容易にゴム被覆ホース側に変形を伴って押し付けられてしまい、その変形によってシール部材がゴム被覆ホース側に噛み込んだ状態となって、上記のような問題を発生させてしまう。
この現象は、加硫容器内の圧力が高ければ高いほど生じ易くなる。
例えば加圧,加熱媒体として蒸気を用い、スチーム加硫する連続加硫装置では、加硫温度を高くしようとすると必然的に内圧も高くなってしまう。
このとき上記の従来一般に用いられているシール部材の場合、その高い内圧によって容易に変形を生じ、その変形によってシール部材がゴム被覆ホース側に噛み込んでしまう現象を生じ易い。
尤もシール部材として硬いものを用いれば、ある程度そうした現象は回避可能であるが、一方でその場合、シール部材が硬いことによって、出口の部分で未だ十分に加硫されておらず、従って軟らかい状態の被覆ゴムに対して、シール部材が表面に傷を付け易く、またシール性の点でも低下してしまい、水封装置による封水の漏れが多くなって、加硫容器内部の圧力を適正にコントロールすることが難しくなってしまう。
従って、例えばゴム被覆ホースが連続加硫装置の出口を通過する段階で伸びを有し、また連続加硫装置がゴム被覆ホースを完全加硫するものでなく、僅かな程度だけ加硫処理するもので、出口の段階でゴム被覆ホースの被覆ゴムが未だ軟らかいものであるような場合の上記のシール装置としては、シール部材として材質の軟らかいものを用い得、また内圧が低いときはもとより、高い場合であっても通過するホースとの接触による摩擦抵抗を適正に保持し得て、ホースを円滑に出口から導出させることができ、更にシール性も良好であるとともに、変形によってゴム被覆ホース側への噛込みを生じず、ゴム被覆ホースの連続した移動即ち流れを停止させてしまうものでないことが求められる。
現状ではこのような機能を備えたシール装置は提供も提案もされていない。
特開2006−187879号公報
本発明は以上のような事情を背景とし、シール性が良好で、加硫容器内の圧力が変化してもゴム被覆ホースとの接触による摩擦力を適正に保持し得て、ゴム被覆ホースを出口から滑らかに導出させることができ、またシール部材によってゴム表面を傷付けてしまうのを防止することのできるシール装置を提供することを目的としてなされたものである。
而して請求項1のものは、筒形の加硫容器の内部を加圧状態に保持しつつ、該加硫容器の軸方向一端側の入口からゴム被覆ホースを該加硫容器の内部に導入して該加硫容器内部を通過させ、水封装置にて水封された軸方向他端側の出口から外部に導出させることによって、前記ゴム被覆ホースを加硫処理する連続加硫装置の前記出口をシールするシール装置であって、(イ)リング状をなして前記出口の筒状部にセットされ、中心孔に前記ゴム被覆ホースを通して、該中心孔の内周面を該ゴム被覆ホースの外面に弾性接触させ、シールを行う弾性を有するシール部材と、(ロ)前記ゴム被覆ホースの前記導出方向の後側に、且つ前記シール部材に接する状態に前記筒状部に内嵌状態にセットされ、該シール部材を後側でバックアップするリング状のバックアップリングと、を有しており、該バックアップリングは、前記シール部材に接する前側の外周部に、前記加硫容器内の内圧の作用により前記シール部材を変形させて、その変形部分を逃し込む逃し空間を形成していることを特徴とする。
請求項2のものは、請求項1において、前記バックアップリングは、前記シール部材側の外周面が、前記後側に進むにつれて漸次大径化する形状となしてあることを特徴とする。
請求項3のものは、請求項2において、前記バックアップリングは、前記シール部材側の外周面がテーパ面となしてあることを特徴とする。
請求項4のものは、請求項1〜3の何れかにおいて、前記連続加硫装置は、蒸気等を加熱媒体として前記ゴム被覆ホースを加圧加硫処理するものであることを特徴とする。
請求項5のものは、請求項1〜4の何れかにおいて、前記連続加硫装置は、前記ゴム被覆ホースを無加圧で連続加硫する後段の本加硫装置の前段で、該本加硫装置による無加圧での本加硫の際にエアによる発泡,エア膨れが発生するのを防止可能な加硫度まで該ゴム被覆ホースを予備加硫するものであることを特徴とする。
発明の作用・効果
以上のように本発明は、連続加硫装置の出口をシールするシール装置を、リング状をなして出口の筒状部にセットされ、中心孔にゴム被覆ホースを通して、中心孔の内周面をゴム被覆ホースの外面に弾性接触させ、シールを行うシール部材と、その後側でこれをバックアップするリング状のバックアップリングとを含んで構成し、そしてそのバックアップリングの、シール部材に接する前側の外周部に、上記加硫容器内の内圧の作用でシール部材を変形させて、その変形部分を逃し込む逃し空間を形成するようになしたものである。
本発明のシール装置では、加硫容器内の内圧の作用を受けるシール部材を、その変形を伴って、上記の逃し空間に逃すことができる。
その際、内圧が高くなればなるほどシール部材をより大きな変形を伴って逃し空間に逃すことができる。
これにより、シール部材が加硫容器内の内圧の作用で加硫容器の出口を通過するゴム被覆ホースに過剰に強く押し付けられたり、場合によりシール部材がゴム被覆ホース側に大きく変形してゴム被覆ホース側に噛み込んでしまい、そのことによってゴム被覆ホースの詰まり、即ちゴム被覆ホースが円滑に出口を通過できなくなってしまう現象を防止することができる。
また本発明ではシール部材を、外周側の逃し空間に逃し、そのことによってゴム被覆ホース側への噛込みを防止できるため、シール部材として軟らかい材質のものを用いることが可能となり、ゴム被覆ホースの外面をシール部材によって傷付けてしまうのも防止することができる。
またホース外面の凹凸や押出し外径のばらつきなどもシール部材にて良好に吸収することができる。
更にシール部材をゴム被覆ホースに対して適正な摩擦力で弾性接触させた状態とすることができるため、水封装置における封水の、シール部材を通過しての外部への漏出を少なく抑制でき、そのことにより、水封装置にて加硫容器内の圧力を適正圧力に容易に制御することができる。
本発明において、上記バックアップリングは、シール部材側の外周面をゴム被覆ホースの導出側である後側に進むに連れて漸次大径化する形状の面となしておくことができる(請求項2)。
このようにすることによって、外周側に向って漸次広くなる形状の空間をバックアップリングにて形成することができ、これにより加硫容器内の内圧の増大に連れてシール部材を外周側に向って変形し易くし、またその変形量を増大させることができ、ゴム被覆ホースに対するシール部材の摩擦力及びシール性を適正な摩擦力,シール力に維持することができる。
この場合においてバックアップリングは、シール部材側の前側の外周面をテーパ面となしておくことができる。
この場合において、そのテーパ角度は、30〜70°の範囲となしておくことが望ましい(請求項3)。
テーパ角度が下限値の30°よりも小さいと効果が小さく、また逆に上限値よりも大き過ぎるとシール性に悪影響を及ぼす恐れがある。
本発明では、上記連続加硫装置を、蒸気等を加熱媒体としてゴム被覆ホースを加圧加硫処理するものとなしておくことができる(請求項4)。
また本発明では、上記連続加硫装置を、ゴム被覆ホースを無加圧で連続加硫する後段の本加硫装置の前段で、本加硫装置による無加圧での本加硫の際にエアによる発泡,エア膨れが発生するのを防止可能な加硫度までゴム被覆ホースを予備加硫するものとなしておくことができる(請求項5)。
即ち本発明は、このような予備加硫装置としての連続加硫装置のシール装置に適用して効果の大なるものである。
この請求項5によれば、次のような効果も得られる。
即ち、前段の予備加硫としての連続加硫装置を設けず、無加圧の本加硫装置だけでゴム被覆ホースを加硫する場合、その無加圧に起因してエアによる発泡,エア膨れが多発し、製品とならなくなってしまう。
一方で上記の加圧による連続加硫装置だけで本加硫まで行うようになした場合、エアによる発泡,エア膨れについては防止できるものの、必然的に加硫時間が長くなってしまい、またこれに伴って連続加硫装置の筒形の加硫容器も長いものとなってしまい、設備的にも大掛りで高価となり、一度据え付けたらレイアウト変更が困難で作業性も悪くなる。
しかるに加圧状態で加硫を行う連続加硫装置を、単にエアによる発泡,エア膨れを防止するためだけのものとして構成し、本来の加硫を、その後段に設けた無加圧で連続加硫を行う本加硫装置で行うようにすれば、無加圧で加硫を行う本加硫装置が、設備的に簡単なもので済み(複雑なシール装置が不要)、また予備加硫だけを行う加圧の連続加硫装置も小型化できるため、全体として装置に要するコストも安価となすことができる。またレイアウト変更も容易かつ作業性もよくなる。しかもそのような簡単な設備で、ゴム被覆ホースを連続加硫処理することが可能となり、ゴム被覆ホースの製造コストを下げることができる。
この場合において上記の加圧の連続加硫装置は、ゴム被覆ホースを加硫温度150〜168℃,加硫時間40〜90秒の加硫条件で短時間加硫するものとなしておくことができる。
次に本発明の実施形態を図面に基づいて詳しく説明する。
図1において、10は本実施形態の適用対象であるゴム被覆ホース(以下単にホースとする)で、樹脂チューブ12と、その外面を覆う被覆ゴム14とを有している。
ここで被覆ゴム14は樹脂チューブ12を保護するプロテクタとしての働きを有するもので、樹脂チューブ12に対して接着されておらず、単に樹脂チューブ12を被覆しているだけのものである。
但しこの被覆ゴム14は、樹脂チューブ12を全長に亘って被覆している。
この実施形態において、樹脂チューブ12はポリアミド(PA12)等の樹脂からなる。
また被覆ゴム14はここではEPDMゴムから成っている。
この実施形態において、ホース10は内径dがφ6mm,外径dがφ11.2mmのものである。
この実施形態のものは燃料輸送用ホースとして用いられるものであるが、本発明は他の用途,形態,サイズのゴム被覆ホース一般に適用可能なものである。
図2において、16はホース10の製造装置を示している。
この製造装置16は、被覆ゴム14の押出機18,加圧式の連続加硫装置20,無加圧の連続加硫式の本加硫装置22を有している。
この製造装置16では、受皿24上に巻かれた樹脂チューブ12を、受皿24から連続的に繰り出しながら押出機18のヘッド26に通し、そのヘッド26からゴム材料を押し出して、樹脂チューブ12の外面に被覆ゴム14を連続的に押出成形する。
そしてその後、未加硫のホース10を加圧式の連続加硫装置20に通して、そこで予備加硫処理を行い、続いて連続加硫装置20を出たホースを、冷却することなくそのまま後段の無加圧の本加硫装置22に通してそこで本加硫処理する。
この無加圧の本加硫装置22は、容器30内部で熱風による加熱によって、容器30を通過するホース10に対し本加硫処理を行う。
尚ここで本加硫処理とは、必ずしも完全加硫を意味するものではない。具体的にはここでは無加圧の本加硫装置22によってホース10を半加硫する。
ここで無加圧の本加硫装置22によって半加硫状態とするのは、後においてホース10を所定寸法に切断した後、曲り形状をなす成形枠型にはめ込み、その状態で最後の完全加硫を行い、曲り形状のホースとするためである。
但しこの本加硫装置22にて完全加硫状態まで加硫するようになすことも勿論可能である(同様に連続加硫装置20にて完全に加硫するようになすことも可能)。
本加硫装置22を出たホース10は、引取機32にて受皿34上に受けられ、その受皿34上に巻き取られて行く。
上記説明から明らかなように、加圧式の連続加硫装置20は、本加硫装置22の前段にあって、未加硫のホース10(詳しくは未加硫の被覆ゴム14)を本加硫装置22による本加硫に先立って、予備的に加硫処理しておくものである。
ここで予備加硫とは、本加硫装置22による無加圧状態での加硫の際に、その無加圧に起因してエアが発泡したり或いは樹脂チューブ12と被覆ゴム14との間にエアが追い出されて、そこで被覆ゴム14の膨れを生じない程度まで、予めホース10の被覆ゴム14を加圧加硫処理することを意味している。
そのために必要な加硫は極く僅かで済み、具体的にはここでは例えば165℃で70秒程度ホース10を短時間加硫するだけである。
尚本加硫装置22では、例えば約150℃の温度で、10分かけて加硫処理を行う。
その程度の短時間加硫で、被覆ゴム14は後の本加硫装置22による本加硫に際して気泡やエア膨れを生じない程度まで硬化する。
逆に言えば被覆ゴム14を僅かに硬くしておくだけで、後の本加硫装置22による本加硫によって気泡やエア膨れを生じない。
この製造装置16では、前段で加圧式の連続加硫装置20により軽度にホース10を予備加硫しておくことで、後の本加硫装置22において、無加圧状態で連続的に本加硫処理を行うことが可能となり、そしてそのことによって、本加硫装置22を設備的に簡単なものとすることができ(無加圧であるため複雑なシール装置を必要としない)、尚且つ気泡やエア膨れ等生ぜしめることなく、ホース12を良好に加硫処理することが可能となる。
図3に予備加硫装置としての加圧式の連続加圧装置20の構成が具体的に示してある。
図において、36は筒形をなす加硫容器で、押出機18のヘッド26から出たホース10は、入口38から加硫容器36内に連続的に導入され、そして加硫容器36を通過して出口40から連続的に導出されて行く。
ここで加硫容器36は、入口側の端部がヘッド26に連結されており、この入口38では樹脂チューブ12の外面を被覆したゴム材料、即ち被覆ゴム14そのものによってシールが行われる。
この連続加硫装置20は、蒸気を媒体として加圧及び加熱を行うもので、42はその蒸気の供給口を示している。媒体としては蒸気以外の空気や窒素ガスを用いてもよい。
図3中44は水封装置で、容器36の出口40はこの水封装置44によって水封されている。
水封装置44は水槽46を有しており、この水槽46内の水がポンプ48にて所定の吐出圧で送出路50を通じて容器36内に供給される。また一方、過剰の水が戻り路52を通じて水槽46に戻され、更に出口40から漏出した水が水槽46へと戻される。
図4に、出口40の内部の構造が示してある。
図4において、49は出口40を構成する筒状部で、51はその内側に形成されたホース10の通過路である。
53-1,53-2は、この通過路51に沿って配置されたシール部材で、54-1はシール部材53-1をその後側、詳しくはホース10の導出側である後側からバックアップするバックアップリングであり、また54-2はシール部材53-2を後側からバックアップするバックアップリングである。
ここでシール部材53-1,53-2は、ここでは軟質のシリコンゴムが用いられている。ここでシリコンゴムはスポンジ状をなしている。
本実施形態において、これら軟質のシール部材52-1は硬度25〜35(JIS K 6253)程度の軟らかいものである。
一方バックアップリング54-1は、シール部材53-1,53-2に対して硬質のもので、実質的に変形を生じないものである。ここではバックアップリング54-1,54-2としてフッ素樹脂製のものが用いられている。
尚、56は筒状部49の先端の開口部に装着された栓体で、ねじ部58において筒状部49に螺合され、取り付けられている。
上記シール部材53-1,53-2及びバックアップリング54-1,54-2は、この栓体56にて下側から支持されている。
60はスペーサリングで、このスペーサリング60の高さを変えることで、一対のシール部材53-1,53-2に対する軸方向の締付力を調節することができる。
図6に示しているように、シール部材53-1,53-2は外周面,内周面ともに軸方向にストレート形状をなす、長さの短い円筒形状をなすリング状の部材で、ここでは図6(B)中の内径dが14mm、外径dが30mm、高さdが10mmである。
尚62は、シール部材53-1,53-2における貫通の中心孔を表している。
一方バックアップリング54-1,54-2は、図5に示しているように概略円錐台形状をなしている。
詳しくは、このバックアップリング54-1,54-2は、中心部に内周面が軸方向にストレート形状をなす中心孔64を有し、また外周面は概略全体に亘ってテーパ形状をなしている。
より詳しくは、バックアップリング54-1の場合、シール部材53-1側の外周面がテーパ面66とされ、また反対側のシール部材53-2側の部分が、軸方向にストレート形状をなす面とされている。
またバックアップリング54-2は、シール部材54-2側の大部分が同じくテーパ面66とされ、また栓体56側の僅かな部分が軸方向にストレート形状をなす面とされている。
この実施形態において、バックアップリング54-1,54-2は内径dが14.5mm,図中下端の外径dが28mm,上端の外径dが18mmとされている。
さらに軸方向の高さd10が10mmとされ、更にテーパ面66の軸方向長dが8mmとされている。
即ちこの実施形態では、図4にも示しているようにシール部材53-1,53-2の内周が、バックアップリング54-1,54-2の内周よりも僅かに径方向内方に突出している。
一方シール部材53-1,53-2の外周は、バックアップリング54-1,54-2よりも径方向外方に突出している。
また図4からも明らかなように、シール部材53-1,53-2は当初の状態即ち非変形状態で、その内周面とホース10の外周面との間に所定の微小なクリアランスを生ぜしめている。
加硫容器36内の封水55は、このシール部材53-1,53-2とホース10との間の微小なクリアランス即ち間隙を通じて、加硫容器36から外部へと漏出し、水槽46へと戻される。
但しその間隙は微小なものであるため、そこでの流動抵抗によって、更にはポンプ48による水槽46の水の加硫容器36内への供給によって、封水55が加硫容器36内で一定量に保持される。
上記のようにバックアップリング54-1,54-2はそれぞれの外周面、詳しくは対応するシール部材53-1,53-2側の部分が、図中の各上端から下方に進むにつれて、即ち対応するシール部材53-1,53-2側の端から、ホース10の導出方向である後方に離れるにつれて、漸次大径化する形状のテーパ面66となしてあり、そのテーパ面66によって、対応するシール部材53-1,53-2を加硫容器36内の内圧の作用で変形させ、その変形部分を逃し込む逃し空間68-1,68-2をそれぞれ形成している。
尚本実施形態において、バックアップリング54-1,54-2におけるテーパ面66のテーパ角度θはここでは60°である。
図7は一対のシール部材53-1,53-2及びバックアップリング54-1,54-2を含む本実施形態のシール装置の作用を示している。
この実施形態では、加硫容器36内に蒸気を導入して加硫容器36内を加圧状態としたとき、シール部材53-1,53-2に対してもその内圧が図7中下向きに作用する。
このときシール部材53-1,53-2は、その内圧の作用によって内周側がホース10に向って径方向内方に突出し、その内周面をホース10の外面に弾性的に接触せしめ、ホース10との間でシール作用する。
図8の比較例図に示しているように、バックアップリング54-1A,54-2Aがテーパ面66を有していないものである場合、即ち外周側に図4に示す逃し空間68-1,68-2を形成しないものである場合、図8(B)に示しているようにシール部材53-1,53-2は、これに作用する内圧が高くなると、径方向内方への突出量を多くしようとし、その結果シール部材53-1A,53-2Aのホース10の外面に対する接触力、即ち摩擦力が内圧の増大に応じて強くなる。
その結果ホース10の移動に対する抵抗力が大となって、ホース10の円滑な移動が妨げられるようになる。
また場合によって、そのような大きな摩擦力の下でホース10が図8中下向きに移動すると、これに伴ってシール部材53-1A,53-2Aの内周側の部分が、ホース10に連れられて下向きに曲り変形し、シール部材53-1A,53-2Aがホース10側に噛み込んだ状態、詳しくは図中下側のバックアップリング54-1A,54-2Aとホース10との間の隙間に噛み込んだ状態となる。
そのようになるとホース10の移動に対する抵抗は急激に増大し、場合によってホース10の移動が阻止されてしまう。即ちホース10が詰まりを生じて移動できなくなってしまう。
しかるに本実施形態のシール装置では、図7に示しているように一対のシール部材53-1,53-2のそれぞれに対応する、図4中下側のバックアップリング54-1,54-2が、それぞれ外周側に逃し空間68-1,68-2を形成しているため、シール部材53-1,53-2は、内圧が増大すると変形を伴ってそれら逃し空間68-1,68-2へと逃げることができる。
即ちシール部材53-1,53-2の有するボリュームをそれら逃し空間68-1,68-2へと逃すことができる。
またシール部材53-1,53-2の変形量、即ち逃し空間68-1,68-2への逃げ量は内圧の増大に伴って多くなる。
これによりシール部材53-1,53-2は、内圧が増大しても径方向内方への突出量を特に多くせず、そのことにより内圧の増大にも拘らず、各シール部材53-1,53-2はホース10に対する摩擦力を特に高めることもなく、ホース10との間に適正な接触力即ち摩擦力を保持し、ホース10との間を適正にシールしつつ、ホース10の円滑な図中下向きの移動を許容する。
因みに図10は、本実施形態のシール装置において、内圧を変化させたときのホース10の下向きの移動抵抗の変化を測定した結果を比較例とともに示したものである。尚測定は図9に示す方法にて行った。
ここで比較例は、図8に示す形状のバックアップリング、即ちテーパ面を全く有しない円筒形状のバックアップリング54-1A,54-2Aを用いたものである。
尚比較例のその他の寸法については、本実施形態のものと同様である。
図9の測定方法は、円筒容器70の内部にシール部材53-1,53-2及びバックアップリング54-1,54-2を入れて、これを支持部材72で支持し、そして加圧治具74にてこれを下向きに加圧し、且つその加圧の荷重を変化させて、ホース10を図中下向きに引き取り、その際の引取抵抗(引取荷重)を測定することにより行った。
また比較例については、バックアップリング54-1,54-2に代えて、図8に示す円筒形状のバックアップリング54-1A,54-2Aを用いて同様の測定を行った。
図10の結果に示しているように本実施形態のシール装置では、加圧治具74による負荷荷重を変えた場合においても、ホース10の引取抵抗(引取荷重)は、ほぼ一定で低い値を示しているが、比較例のものについては、加圧治具74にて加えた負荷荷重が大となると、ホース10の引取抵抗もこれに応じて高くなってしまう。
表1は、実際の連続加硫装置20にシール装置をセットして、内圧の加圧限界を調べた結果を示している。
尚このときのホース10の引取荷重は5Nとした。
表1に示しているように、比較例のものは0.5MPa(温度は163℃)でホース10の詰まり(ホース10の移動停止)を生じてしまったのに対し、本実施形態のものでは内圧0.66MPa(温度172℃)までホース10を支障無く円滑に連続加硫装置20から引き抜くことが可能であった。
尚、表1にはその際の外観キズの評価、及びホース10の伸び変化についても評価を行っている。
Figure 2009241490
本実施形態のものは、ホース10の引抜きに対する抵抗が特に大きくならないことに起因して、ホース10が伸び変形し、ホース10が細径化する不具合は特に生じなかった。
これに対し比較例のものは、ホース10の引取り抵抗が増大する結果、ホース10が細径化し、ホース10が伸び変形を生じていた。
尚ここでは、ホース10における樹脂チューブ12の当初の外径は8mmで、それに対する外径の変化を数値で表している。
以上のような本実施形態においては、加硫容器36内の内圧の作用時、シール部材53-1,53-2を変形を伴って外周側の逃し空間68-1,68-2へと逃すことができるため、シール部材53-1,53-2が、加硫容器36内の内圧の作用によりホース10の外面に強く押し付けられ、そのことによってホース10の詰り、即ちホース10が円滑に出口40を通過できなくなってしまう現象を有効に防止することができる。
また本実施形態によれば、シール部材53-1,53-2として軟らかい材質のものを用いることができ、ホース10をシール部材53-1,53-2にて良好にシールしつつ、またホース10の外面の凹凸を吸収しつつ、内圧の変動にも拘わらず円滑にホース10を出口12から外部へと導出させることができる。
またシール部材53-1,53-2として軟らかい材質のものを用い得ることから、ホース10の外面がシール部材53-1,53-2との接触によって傷付いてしまうのも良好に防止することができる。
以上本発明の実施形態を詳述したが、これはあくまで一例示である。
例えば本発明は被覆ゴムがその内側の樹脂その他の層に対して加硫接着されているタイプのゴム被覆ホースの製造にも適用可能である等、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた形態で構成可能である。
本発明の適用対象の一例であるゴム被覆ホースを示した図である。 図1に示すホース10の製造装置を示した図である。 図1における加圧式の連続加硫装置をその前後とともに示した図である。 本実施形態のシール装置を周辺とともに示した図である。 図4におけるバックアップリングを示した図である。 図4におけるシール部材を示した図である。 本実施形態の作用説明図である。 比較例を示した比較例図である。 実施形態の効果確認のために行った試験方法の説明図である。 図9に示す試験方法にて得られた結果を示した図である。
符号の説明
10 ホース(ゴム被覆ホース)
20 連続加硫装置
36 加硫容器
40 出口
44 水封装置
49 筒状部
53-1,53-2 シール部材
54-1,54-2 バックアップリング
62,64 中心孔
68-1,68-2 逃し空間

Claims (5)

  1. 筒形の加硫容器の内部を加圧状態に保持しつつ、該加硫容器の軸方向一端側の入口からゴム被覆ホースを該加硫容器の内部に導入して該加硫容器内部を通過させ、水封装置にて水封された軸方向他端側の出口から外部に導出させることによって、前記ゴム被覆ホースを加硫処理する連続加硫装置の前記出口をシールするシール装置であって、
    (イ)リング状をなして前記出口の筒状部にセットされ、中心孔に前記ゴム被覆ホースを通して、該中心孔の内周面を該ゴム被覆ホースの外面に弾性接触させ、シールを行う弾性を有するシール部材と、
    (ロ)前記ゴム被覆ホースの前記導出方向の後側に、且つ前記シール部材に接する状態に前記筒状部に内嵌状態にセットされ、該シール部材を後側でバックアップするリング状のバックアップリングと、を有しており、
    該バックアップリングは、前記シール部材に接する前側の外周部に、前記加硫容器内の内圧の作用により前記シール部材を変形させて、その変形部分を逃し込む逃し空間を形成していることを特徴とするシール装置。
  2. 請求項1において、前記バックアップリングは、前記シール部材側の外周面が、前記後側に進むにつれて漸次大径化する形状となしてあることを特徴とするシール装置。
  3. 請求項2において、前記バックアップリングは、前記シール部材側の外周面がテーパ面となしてあることを特徴とするシール装置。
  4. 請求項1〜3の何れかにおいて、前記連続加硫装置は、蒸気等を加熱媒体として前記ゴム被覆ホースを加圧加硫処理するものであることを特徴とするシール装置。
  5. 請求項1〜4の何れかにおいて、前記連続加硫装置は、前記ゴム被覆ホースを無加圧で連続加硫する後段の本加硫装置の前段で、該本加硫装置による無加圧での本加硫の際にエアによる発泡,エア膨れが発生するのを防止可能な加硫度まで該ゴム被覆ホースを予備加硫するものであることを特徴とするシール装置。
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