JP2009240935A - 除湿用シート状物及び除湿用フィルター材 - Google Patents

除湿用シート状物及び除湿用フィルター材 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、吸着熱による温度上昇を原因とする水分脱着を抑制することができる除湿用シート状物と除湿用フィルター材を提供することにある。
【解決手段】本発明のシート状物は、(a)多孔質シリカ、(b)吸湿性塩を少なくとも含有してなるシート状物であり、(a)多孔質シリカに対する(b)吸湿性塩の含有割合が20〜130質量%であることが好ましい。
【選択図】図1

Description

本発明は、吸湿と放湿が可能な除湿用シート状物及び該シート状物からなる除湿用フィルター材に関する。
デシカント空調機は、水分吸着剤によって、低湿度の空気を作り出す空調機器である。低湿度の空気の供給により、温度はそれほど低くなくても快適性を充分に得ることができる。このデシカント空調機は、室外から室内へと空気を導入するための給気用ファン、給気空気中の水分を吸着することにより除湿するための除湿ローター、除湿された空気を冷却するための冷却器、除湿ローターに吸着した水分を除去し除湿ローターを再生するための加熱器、そして室内の空気を室外へ排気するための再生用ファン等を有している。除湿ローターは、水分吸着剤を含有してなる除湿用フィルター材をローターに加工したものである。この除湿ローターが回転することによって、処理空気の水分を吸着する吸着ゾーンと、この吸着水分を高温で除去する再生ゾーンとを順次通過するようになっている。
除湿用フィルター材の水分吸着剤としては、高吸水性高分子、カルボキシメチルセルロース等の有機系水分吸着剤、セピオライト、ゼオライト、ベントナイト、アタパルジャイト、珪藻土、活性炭、多孔質シリカ、水酸化アルミニウム等の無機系水分吸着剤が用いられているが、特に多孔質シリカは、吸着量が多く、安価であるため、広く使用されている。多孔質シリカを用いた除湿用フィルター材の製造方法としては、例えば、無機繊維紙をハニカム状に成形加工した後に高温焼成して有機物を除去し、多孔質シリカを含有する塗布液中に含浸した後高温乾燥する方法や、セラミック繊維紙に水ガラスを含浸して、シリカゲルを生成させる方法等が提案されている(例えば、特許文献1及び2参照)。また、水分吸着剤と各種繊維からなるシート状物を除湿用フィルター材に加工する方法が提案されている(例えば、特許文献3〜6参照)。
しかしながら、デシカント空調機の吸着ゾーンでは、これら水分吸着剤の吸着熱によって、処理空気や除湿用フィルター材の温度が20〜35℃上昇する現象が見られるため、従来の除湿用フィルター材では、水分吸着剤が、吸着ゾーンで直ぐに水分を脱着してしまい、効率的に除湿空気を得ることができていないという問題が発生していた。
特開平6−226037号公報 特開平5−115737号公報 特開平10−212691号公報 特開平11−189999号公報 特開2003−38928号公報 特開2004−268020号公報
本発明の課題は、吸着熱による温度上昇を原因とする水分脱着を抑制することができる除湿用シート状物と除湿用フィルター材を提供することにある。
鋭意検討を重ねた結果、
(1)(a)多孔質シリカ、(b)吸湿性塩を少なくとも含有してなる除湿用シート状物、
(2)(a)成分に対する(b)吸湿性塩の含有割合が20〜130質量%である上記(1)記載の除湿用シート状物、
(3)さらに、(c)有機繊維と(d)セルロース系フィブリル化繊維とを含有してなる上記(1)記載の除湿用シート状物、
(4)(C)有機繊維として、熱融着性有機繊維を少なくとも含有してなる上記(3)記載の除湿用シート状物、
(5)(c)有機繊維として、(c1)繊度0.01dtex以上0.30dtex以下の有機繊維、(c2)繊度0.30dtexを超えて0.45dtex以下の有機繊維、(c3)繊度0.45dtexを超えて2.5dtex以下の有機繊維から選ばれる少なくとも2種を含有してなる上記(3)記載の除湿用シート状物、
(6)上記(1)〜(5)のいずれかに記載の除湿用シート状物を含有してなる除湿用フィルター材
によって、上記課題を解決できることを見出した。
本発明の除湿用シート状物は、水分吸着剤として(a)多孔質シリカを含有し、さらに、(b)吸湿性塩を含有してなる。(a)多孔質シリカが水分を吸着すると、その吸着熱による温度上昇によって、すぐに水分の脱着が始まるが、本発明の除湿用シート状物では(a)多孔質シリカの表面に存在する(b)吸湿性塩によって、(a)多孔質シリカから脱着してきた水分が保持される。また、(b)吸湿性塩は比熱が大きいので、除湿用シート状物の吸着熱による温度上昇を抑えることもできる。この2つの効果が相乗的に発現して、本発明の除湿用シート状物を含有してなる除湿用フィルター材は、例えば、デシカント空調機に使用された場合、吸着ゾーンでの水分の脱着が抑制され、効率的に除湿空気を得ることができる。
本発明の除湿用シート状物は、(a)多孔質シリカ、(b)吸湿性塩を少なくとも含有してなる。(a)多孔質シリカとしては、シリカゲル、シリカアルミナ非晶質多孔質体、メソポーラスシリカが挙げられる。(a)多孔質シリカの好ましい比表面積は400〜800m2/gであり、好ましい平均最孔径は1〜7nmであり、より好ましくは3〜7nmである。
(b)吸湿性塩としては、具体的には塩化リチウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化アルミニウム等のハロゲン化金属塩、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸亜鉛などの金属硫酸塩、酢酸カリウム等の金属酢酸塩、塩酸ジメチルアミンなどのアミン塩類、オルトリン酸などのリン酸化合物、塩酸グアニジン、リン酸グアニジン、スルファミン酸グアニジン、メチロールリン酸グアニジン、炭酸グアニジンなどのグアニジン塩、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物等を挙げることができる。このうち、ハロゲン化金属塩、グアニジン塩を使用すると、より効率的に除湿空気を得ることができる。また、塩化リチウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等の一部のハロゲン化金属塩や金属水酸化物は(a)多孔質シリカを溶解してしまうことがあるため、グアニジン塩を使用することが好ましい。
ところで、一般的に、(b)吸湿性塩は、空気中から水分を奪って潮解現象を引き起こす材料であり、除湿用シート状物から脱落したり、錆の原因となったりするという問題が発生することが知られている。しかし、本発明のように、(a)多孔質シリカと吸湿性塩を併用した場合には、水分を吸着した(b)吸湿性塩は(a)多孔質シリカの表面に効率的に保持されるため、脱落や錆を抑制することができる。
本発明の除湿用シート状物に対する(a)多孔質シリカの含有割合は、25質量%〜90質量%が好ましく、35質量%〜80質量%がより好ましく、40質量%〜70質量%がさらに好ましい。(a)多孔質シリカの含有割合が25質量%未満であると、十分な吸湿性が得られない場合があり、90質量%を超えると、除湿用シート状物の柔軟度が足りずに、除湿用シート状物をフィルター材へと加工する際に、シート状物が割れたり、崩れたりすることがある。
本発明の(a)多孔質シリカに対する(b)吸湿性塩の含有割合は、20質量%〜130質量%が好ましく、30質量%〜125質量%がより好ましく、40質量%〜75質量%がさらに好ましい。(b)吸湿性塩の含有割合が20質量%未満であると、十分な吸湿性が得られない場合がある。また、好ましい上限値の130質量%を超えると、シートの吸湿性は頭打ちとなり、結露による液だれが発生し、作業性が悪くなることがある。
本発明の除湿用シート状物は、(a)多孔質シリカ、(b)吸湿性塩の他に、(c)有機繊維、(d)セルロース系フィブリル化繊維を含有することが好ましい。(c)有機繊維を含有させると、三次元ネットワーク空間を形成して(a)多孔質シリカを保持したり、機械的強度や伸び性を除湿用シート状物に付与して、その加工性を向上させたりすることができる。比表面積が大きく、細かく分割されていて、水酸基等の表面官能基を有している(d)セルロース系フィブリル化繊維を含有させると、(a)多孔質シリカの保持性に優れ、脱離(粉落ち)抑制効果を高めることができる。
(c)有機繊維としては、例えば、オレフィン系樹脂、ポリエステル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルエーテル樹脂、ポリビニルケトン樹脂、ポリエーテル樹脂、ジエン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、フラン樹脂、尿素樹脂、アニリン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、全芳香族ポリアミド樹脂、全芳香族ポリエステル樹脂、全芳香族ポリエステルアミド樹脂、全芳香族ポリエーテル樹脂、全芳香族ポリカーボネート樹脂、全芳香族ポリアゾメチン樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリ−p−フェニレンベンゾビスチアゾール樹脂、ポリ−p−フェニレンベンゾビスオキサゾール樹脂、ポリベンゾイミダゾール樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、アクリル類等の樹脂を含有してなる有機合成繊維を挙げることができる。また、セルロース再生繊維であるレーヨン繊維、アセテート等の半合成繊維、リヨセル繊維、木材パルプ、楮(こうぞ)、三椏(みつまた)、藁(わら)、ケナフ、竹、リンター、バガス、エスパルト、サトウキビ等の植物繊維等を挙げることができる。
このうち、植物繊維は叩解して、水素結合の作用によって、各繊維が絡み合って緻密な層を形成するが、この緻密な層が通気性を悪化させて、(a)多孔質シリカへの水分の吸着を遅らせたり、阻害したりすることがある。よって、(c)有機繊維としては、半合成繊維や有機合成繊維を使用することが好ましい。植物繊維を使用する場合には、シート状物に対する含有割合を20質量%以下にすることが好ましく、15質量%以下がより好ましく、10質量%以下がさらに好ましい。また、(b)吸湿性塩を含有させると、除湿用シート状物の腰が弱くなって加工性が低下したりする場合があるが、有機合成繊維を含有させるとこれを抑制することができるので、好ましい。
(c)有機繊維の繊維長は、2mm以上20mm以下が好ましく、2mm以上15mm以下がより好ましく、3mm以上10mm以下がさらに好ましい。本発明のシート状物に対する(c)有機繊維の含有割合は、1質量%〜69質量%が好ましく、10質量%〜62質量%がより好ましく、22質量%〜55質量%がさらに好ましい。(c)成分の含有割合が1質量%未満であると、(a)多孔質シリカをシート状物内に均一に保持できなくなることがある。69質量%を超えると、シート状物の通気性が悪化する場合がある。
本発明の除湿用シート状物において、(C)有機繊維として、熱融着性有機繊維を含有させることが好ましい。熱融着性有機繊維を含有させると、シート状物の機械的強度が上昇して加工し易くなったり、(a)多孔質シリカの脱離(粉落ち)を抑えたりすることができる。また、(b)吸湿性塩によって除湿用シート状物の腰が弱くなるという現象を抑制することもできる。熱融着性有機繊維としては、単繊維のほか、芯鞘繊維(コアシェルタイプ)、並列繊維(サイドバイサイドタイプ)、放射状分割繊維などの複合繊維が挙げられる。複合繊維は、皮膜を形成しにくいので、(a)多孔質シリカや(b)吸湿性塩の表面を不必要に覆うことなく、通気性を保持したまま、機械的強度を向上させたり、粉落ちを防止したりすることができる。熱融着性有機繊維としては、例えば、ポリプロピレンの短繊維、ポリプロピレン(芯)とポリエチレン(鞘)からなる複合繊維、高融点ポリエステル(芯)と低融点ポリエステル(鞘)からなる複合繊維が挙げられる。また、ポリエチレン等の低融点樹脂のみで構成される単繊維(全融タイプ)は、シート状物の乾燥工程で皮膜を形成し易いが、特性を阻害しない範囲で使用することができる。熱融着性有機繊維の繊度は、0.45dtexを超え2.5dtex以下が好ましく、0.80dtex以上2.5dtex以下がより好ましく、1.0dtex以上2.5dtex以下がさらに好ましい。
本発明の除湿用シート状物において、(c)有機繊維は、(c1)繊度0.01dtex以上0.30dtex以下の有機繊維、(c2)繊度0.30dtexを超えて0.45dtex以下の有機繊維、(c3)繊度0.45dtexを超えて2.5dtex以下の有機繊維から選ばれる少なくとも2種以上であることが好ましい。繊度の異なる有機繊維によって形成された三次元ネットワーク空間は、(a)多孔質シリカの脱離抑制効果を高めることができる。
(c1)や(c2)は脱離抑制効果を向上させることができ、特に(c1)を含むことが好ましい。また、(c1)と(c2)を同時に含んでいると、より三次元ネットワーク空間が緻密になって、脱離抑制効果が高まる。(c3)は、除湿用シート状物の地合や柔軟性を向上させることができ、除湿用シート状物にコルゲート加工、プリーツ加工等のフィルター加工を行う場合に必要な機械的強度や伸び性等を格段に向上させることができる。
(c1)〜(c3)の組み合わせとしては、(c1)と(c2)の組み合わせ、(c1)と(c3)の組み合わせ、(c2)と(c3)の組み合わせのいずれであってもよいが、脱離抑制効果と加工性の点から、(c1)と(c3)の組み合わせがより好ましい。また、(c1)、(c2)及び(c3)を全て含むことが特に好ましい。
(d)セルロース系フィブリル化繊維とは、繊維の表面にひげ状の分岐部を有するセルロース系繊維、繊維自体が主に繊維軸と平行な方向に非常に細かく分割された微細繊維を有するセルロース系繊維を意味する。(d)セルロース系フィブリル化繊維は、ひげ状の分岐部や分割された微細繊維の少なくとも一部分の断面直径が1μm以下であることが好ましい。また、セルロース系フィブリル化繊維のアスペクト比(繊維長(長手方向の長さ)/繊維径(断面直径))は、20〜100000の範囲にあることが好ましい。また、カナダ標準ろ水度(JIS P8121)が、500ml以下であることが好ましく、200ml以下であることがより好ましい。さらに質量平均繊維長が0.1mm〜2mmの範囲にあることが好ましい。
(d)セルロース系フィブリル化繊維を製造する方法としては、例えば、
(1)高結晶性、高配向性材料であるセルロース系材料を繊維状、パルプ状又は適当な大きさのペレット状に調製した後、水中に分散させ、ビーター、コニカルリファイナー、シングルディスクリファイナー、ダブルディスクリファイナー、高圧ホモジナイザー、サンドミル等を用いてフィブリル化する方法(特開平3−174091公報参照)や、
(2)酢酸菌等の微生物から産生されるバクテリアセルロースを離解する方法(特開平7−118303号公報参照)
を挙げることができる。
上記(1)のセルロース系フィブリル化繊維の製造方法で用いることができるセルロース系材料としては、木材パルプ、楮(こうぞ)、三椏(みつまた)、藁(わら)、ケナフ、竹、リンター、バガス、エスパルト、サトウキビ等の植物繊維、セルロース再生繊維であるレーヨン繊維、アセテート等の半合成繊維、リヨセル繊維、植物の柔細胞から得られる繊維等が挙げられる。なお、植物の柔細胞は、茎の内部柔組織や葉の葉肉、果実等を粉砕することで得られる。また、食品加工工場や製糖工場等から排出される、果実からのジュースの搾り粕、サトウダイコン、サトウキビ等からの搾汁粕を用いることができる。植物の柔細胞に対して、木材からパルプを製造する際のパルプ化処理を適用することによって、繊維を得ることができる。これらのセルロース系材料は、単独で使用しても良いし、2種類以上の組み合わせで使用しても良い。
本発明の除湿用シート状物中の(d)セルロース系フィブリル化繊維の含有割合は、1質量%〜15質量%が好ましく、3質量%〜10質量%がより好ましく、5質量%〜8質量%がさらに好ましい。セルロース系フィブリル化繊維の含有割合が1質量%未満であると、(a)多孔質シリカの脱離(粉落ち)抑制効果が不十分になることがある。また、15質量%を超えると、除湿用シート状物の通気性が悪化する場合があるほか、抄紙法で除湿用シート状物を製造する場合に、濾水性が悪化したり、抄紙機のワイヤーが目詰まりしたりすることがある。
また、本発明の除湿用シート状物は、柔軟性を損なわない範囲で、ステンレスやニッケルウール等の金属繊維、炭素繊維、セラミック繊維、ガラス繊維等を含むこともできる。また、(a)多孔質シリカ以外の水分吸着剤として、高吸水性高分子、カルボキシメチルセルロース等の有機系水分吸着剤、セピオライト、ゼオライト、ベントナイト、アタパルジャイト、珪藻土、活性炭、水酸化アルミニウム、アロフェン、イモゴライト、繊維状酸化チタン等の無機系水分吸着剤を含んでもよい。
本発明の除湿用シート状物の製造方法としては、
(I)(a)多孔質シリカを含有するウェブを作製した後に、(b)吸湿性塩を担持させる方法、
(II)別に用意した紙、布帛、フィルム等の基材に、(a)多孔質シリカと(b)吸湿性塩を同時に又は別々に担持させる方法
が挙げられる。本発明の除湿用フィルター材を製造する方法としては、
(III)上記(I)や(II)で製造された除湿用シート状物をフィルター加工する方法、(IV)(a)多孔質シリカのみを含有するウェブを作製した後にフィルター加工を行い、その後、(b)吸湿性塩を担持させる方法、
(V)別に用意した紙、布帛、フィルム等の基材をフィルター加工した後、(a)多孔質シリカと(b)吸湿性塩を同時に又は別々に担持させる方法
等を挙げることができる。
方法(I)や(IV)において、(a)多孔質シリカを含有するウェブを作製する方法としては、カード法、エアレイ法等の乾式法、湿式抄造法を用いることができるが、(a)多孔質シリカが均一に分散されることから、湿式抄造法を用いることが好ましい。湿式抄造法とは、希釈した構成材料を水中に低濃度で分散させて、これを抄き上げる方法で、安価で、均一性が高く、大量製造が可能な手法である。具体的には、(a)多孔質シリカと繊維とを主体としたスラリーを調製し、これに填料、分散剤、増粘剤、消泡剤、紙力増強剤、サイズ剤、凝集剤、着色剤、定着剤等を適宜添加して、抄紙機で湿式抄造する。抄紙機としては、円網抄紙機、長網抄紙機、短網抄紙機、傾斜型抄紙機、これらの中から同種又は異種の抄紙機を組み合わせてなるコンビネーション抄紙機などを用いることができる。エアードライヤー、シリンダードライヤー、サクションドラムドライヤー、赤外方式ドライヤー等を用いて、抄紙後の湿紙を乾燥し、ウェブを得ることができる。
湿式抄造法では、(a)多孔質シリカと繊維で構成される凝集構造を安定化させるために、凝集剤を添加することができる。凝集剤としては、水酸化亜鉛、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物、アルミナ、シリカ、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム等の無機含水酸化物、硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、アニオン又はカチオン変性ポリアクリルアミド、同じくポリエチレンオキサイド系ポリマー、アクリル酸又はメタクリル酸含有共重合物等の水溶性重合体、アルギン酸又はポリビニルリン酸及びこれらのアルカリ性塩、アンモニア、ジエチルアミン及びエチレンジアミン等のアルキルアミン、エタノールアミン等のアルカノールアミン、ピリジン、モルホリン、含アクリロイルモルホリン重合物などがある。特に、アニオン又はカチオン変性水溶性ポリマー凝集剤のうち、ポリマー中にカチオン単位とアニオン単位の双方を有する両性凝集剤は優れた凝集効果を発揮することができる。
方法(I)、(II)、(IV)、(V)において、(a)多孔質シリカや(b)吸湿性塩を担持させる方法としては、コーティング法を用いる。コーティング液としては、(a)多孔質シリカと(b)吸湿性塩を、単独又は混合で含有する溶液又は分散液を使用する。媒体としては、水や水とアルコール、ケトン等の有機溶剤との混合液を好適に用いることができる。コーティングには、サイズプレス、ゲートロールコーター、エアナイフコーター、ブレードコーター、コンマコーター、バーコーター、グラビアコーター、キスコーター、スプレーコーター等の含浸又は塗工装置を使用することができる。
本発明の除湿用シート状物において、(a)多孔質シリカと(b)吸湿性塩をコーティング法で担持させる場合には、同時に担持させるか、または、(a)多孔質シリカを担持させた後に(b)吸湿性塩を担持させるのが好ましい。(b)吸湿性塩と水とを含有するコーティング液が(a)多孔質シリカ周辺部に主に集まることになって、乾燥後に(a)多孔質シリカ周辺部により選択的に(b)吸湿性塩が保持されることになるためである。
方法(II)、(V)において用いることができる基材としては、例えば、紙、フィルム、多孔質フィルム、織布、乾式不織布、湿式不織布、編物などがある。これらの基材は、単独で用いてもよいし、貼り合わせ等によって積層複合化して用いてもよい。このうち、紙、多孔質フィルム、織布、乾式不織布、湿式不織布、編物等の多孔質基材を用いることが通気性の点から好ましい。特に、不織布は空隙率が高く、フィルター加工時に不織布表面がすれたりしても、繊維マトリクス内に担持された(a)多孔質シリカや(b)吸湿性塩が脱離することがないので、特に適した基材である。また、コーティング液の塗工性・浸透性を繊維構成で向上させることもできる。
フィルムや多孔質フィルムを構成する樹脂としては、オレフィン系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルエーテル樹脂、ポリビニルケトン樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ジエン系樹脂、及びポリウレタン系樹脂等の熱可塑性合成樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、フラン樹脂、尿素樹脂、アニリン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂等の熱硬化性樹脂などを用いることができる。また、多孔質フィルムとしては、パンチングメタルシート、発泡金属シート、無機粒子の凝集体フィルムといった無機多孔質フィルムを使用することもできる。
本発明の除湿用シート状物は、その目付が、25g/m2〜250g/m2であることが好ましく、30g/m2〜200g/m2であることがより好ましく、40g/m2〜150g/m2であることがさらに好ましい。また、厚みは、36μm〜415μmが好ましく、43μm〜333μmがより好ましく、57μm〜250μmがさらに好ましい。
本発明の除湿用シート状物は、単層構造であっても良いし、多層構造であっても良い。高目付のシート状物を得ようとする場合には、多層構造とすると地合が良好になる傾向がある。例えば、目付100g/m2のシート状物を製造する場合、1層構造よりも、50g/m2+50g/m2の2層構造、30g/m2+30g/m2+40g/m2の3層構造とする方が好ましい。
フィルター加工は、プリーツ加工、コルゲート加工、積層加工、ロールコア加工、ドーナツ加工等を適宜組み合わせて行うことができる。積層加工は、本発明の除湿用シート状物同士を積層してもよいし、本発明の除湿用シート状物と紙、不織布、織布、編物、織物、フィルム、多孔質フィルム等とを積層してもよい。フィルター加工する前の基材や除湿用シート状物は、カレンダー処理などによって、表面均一性を向上させたり、厚みを調整したりしてもよい。
次に本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例に何ら限定されるものではない。なお、以下の実施例及び比較例において、特にことわりのない場合、部数、百分率は質量基準である。また、使用した材料の一部を表1に示す。
Figure 2009240935
<実施例1〜5、8〜20>
表2に示した配合比率で抄紙用スラリー(固形分濃度2質量%)を調製した。得られたスラリーに凝集剤(商品名:パーコール57、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ)を固形分に対して0.2%添加し、円網型抄紙機で坪量72g/m2に抄紙し、(a)多孔質シリカを含有するウェブを得た。さらに、得られたウェブをスルファミン酸グアニジン水溶液(商品名:サンフレーム NF−6、サンノプコ(株)製)に含浸させ、乾燥温度90℃で乾燥して(b)吸湿性塩を含有させて、シート状物を得た。スルファミン酸グアニジン水溶液の濃度は、(a)多孔質シリカに対する(b)吸湿性塩の含有割合が表3の評価2欄に記載した値となるように、各実施例において適宜調整した。
<実施例6>
表2に示した配合比率で抄紙用スラリー(固形分濃度2質量%)を調製した。得られたスラリーに凝集剤(商品名:パーコール57、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ)を固形分に対して0.2%添加し、円網型抄紙機で坪量72g/m2に抄紙し、(a)多孔質シリカを含有するウェブを得た。さらに、得られたウェブを5%塩化マグネシウム水溶液に含浸させ、乾燥温度90℃で乾燥して(b)吸湿性塩を含有させて、シート状物を得た。
<実施例7>
表2に示した配合比率で抄紙用スラリー(固形分濃度2質量%)を調製した。得られたスラリーに凝集剤(商品名:パーコール57、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ)を固形分に対して0.2%添加し、円網型抄紙機で坪量72g/m2に抄紙し、(a)多孔質シリカを含有するウェブを得た。さらに、得られたウェブをスルファミン酸グアニジン(15%)及び塩化マグネシウム(3%)を含む水溶液に含浸させ、乾燥温度90℃で乾燥して(b)吸湿性塩を含有させて、シート状物を得た。
<比較例1〜3>
表2に示した配合比率で抄紙用スラリー(固形分濃度2質量%)を調製した。得られたスラリーに凝集剤(商品名:パーコール57、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ)を固形分に対して0.2%添加し、円網型抄紙機で坪量72g/m2に抄紙し、(a)多孔質シリカを含有するウェブを得、これを比較例のシート状物とした。
<比較例4>
表2に示した配合比率で抄紙用スラリー(固形分濃度2質量%)を調製した。得られたスラリーに凝集剤(商品名:パーコール57、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ)を固形分に対して0.2%添加し、円網型抄紙機で坪量72g/m2に抄紙し、(a)多孔質シリカを含有しないウェブを得た。さらに、得られたウェブをスルファミン酸グアニジン水溶液に含浸させ、乾燥温度90℃で乾燥して、(b)吸湿性塩のみを16%含有させたシート状物を得た。
<比較例5>
表2に示した配合比率で抄紙用スラリー(固形分濃度2質量%)を調製した。得られたスラリーに凝集剤(商品名:パーコール57、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ)を固形分に対して0.2%添加し、円網型抄紙機で坪量72g/m2に抄紙し、(a)多孔質シリカを含有しないウェブを得た。さらに、得られたウェブをスルファミン酸グアニジン水溶液に含浸させ、乾燥温度90℃で乾燥して、(b)吸湿性塩のみを16%含有させたシート状物を得た。
<比較例6>
表2に示した配合比率で抄紙用スラリー(固形分濃度2質量%)を調製した。得られたスラリーに凝集剤(商品名:パーコール57、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ)を固形分に対して0.2%添加し、円網型抄紙機で坪量72g/m2に抄紙し、(a)多孔質シリカを含有しないウェブを得た。さらに、得られたウェブを塩化マグネシウム水溶液に含浸させ、乾燥温度90℃で乾燥して、(b)吸湿性塩のみを13%含有させたシート状物を得た。
Figure 2009240935
[評価1:ウェブ中の(a)多孔質シリカ含有割合]
実施例及び比較例で得られたウェブを600℃にて灰化し、ウェブ中の無機成分(SiO2)の含有割合[%]を求め、表3に示した。
[評価2:(b)吸湿性塩の含有割合]
(b)吸湿性塩のコーティング前後のウェブの質量差から、(b)吸湿性塩の付着量を算出した。評価1で求めた(a)多孔質シリカの含有率とこの付着量とから、(a)多孔質シリカに対する(b)吸湿性塩の含有割合[%]を算出し、表3に示した。
[評価3:耐水性]
(b)吸湿性塩をコーティングしたときに、ウェブの変化を目視で観察し、結果を表3に示した。
[除湿用フィルター材の製造]
実施例及び比較例で得られたシート状物を片段コルゲート加工(2.0mm段高、4.8mmピッチ)して、これを20cm幅にスリットし、さらに円柱状に巻き上げて、直径10cm、長さ20cmの除湿用フィルター材を製造した。
[評価4:加工性]
除湿用フィルター材の製造時の加工性や粉落ちの有無を表3に示した。
[評価5:保存性]
30℃、相対湿度80%(絶対水分量:24.3g)に調整した可変恒温恒湿室内において、未晒しパルプシート上に除湿用フィルター材を放置し、48時間経過後の未晒しパルプシートの濡れを観察し、結果を表3に示した。
◎:液だれが全く発生しておらず、除湿用フィルター材を放置した箇所は濡れていない。
○:液だれが少し発生していて、除湿用フィルター材を放置した箇所が濡れているが、その面積比率は45%未満である。
△:液だれが発生していて、除湿用フィルター材を放置した箇所が濡れているが、その面積比率は45%以上70%未満である。
×:液だれが発生し、除湿用フィルター材を放置した箇所が濡れていて、その面積比率は70%以上である。
[評価6〜8:吸脱着性試験]
図1に、本評価で使用した吸脱着性測定装置の断面概略図を示す。除湿用フィルター材を充填したステンレス管1(内径:12cm、長さ20cm)の上流側に、開閉弁6を介して、ステンレス管2(内径:12cm、長さ30cm)が取り付けられている。また、下流側には、開閉弁7を介して、ステンレス管3(内径12cm、長さ30cm)が取り付けられている。ステンレス管2及びステンレス管3には、温湿度計4及び5が各々挿入されていて、空気(上流側)及び空気(下流側)の温湿度を測定できるようになっている。
1.初期乾燥状態調整
まず、吸放湿測定装置を25℃、相対湿度60%(絶対水分量:13.8g)に調整した可変恒温恒湿室に入れる。開閉弁6及び7を開いて、ステンレス管2から、この空気を45℃に調整した加熱空気を、下流側面風量が2m/秒になるように流入させ、除湿用フィルター材を初期乾燥状態に調整する。
2.吸着性試験
その後、加熱空気の流入を止め、開閉弁6及び7を閉めて、30分間放置し、除湿用フィルター材の温度を25℃にまで下げる。続いて、開閉弁6及び7を開いて、ステンレス管2から、25℃、相対湿度60%の空気を、下流側面風量が2m/秒になるように流入させ、温湿度計5で測定された温湿度を6分間記録する。開閉弁6及び7を開ける直前30秒の絶対湿度の平均値からの絶対湿度変動量から吸着された水分量を算出し、開閉弁6及び7を開けた直後から15秒間及び75秒間の変動水分量を積算して、それぞれ15秒吸着量(1回目)及び75秒吸着量(1回目)とした。
3.脱着性試験
次に、一旦空気の流入を止め、開閉弁6及び7を閉める。再度、開閉弁6及び7を開いて、ステンレス管2から、25℃、相対湿度60%の空気を45℃に調整した加熱空気を、下流側面風量が2m/秒になるように流入させ、温湿度計5で測定された温湿度を6分間記録する。開閉弁6及び7を開ける直前30秒の絶対湿度の平均値からの絶対湿度変動量から放湿された水分量を算出し、開閉弁6及び7を開けた直後から75秒間の変動水分量を積算して、75秒脱着量(1回目)とした。
上記2〜3を2回繰り返し、15秒吸着量(2回目及び3回目)、75秒吸着量(2回目及び3回目)及び75秒脱着量(2回目及び3回目)を測定した。15秒吸着量を評価6、75秒吸着量を評価7、75秒脱着量を評価8として、表4に示した。単位は、gである。なお、75秒とは、実用化されているデシカント空調機の一例において、吸着ゾーンと再生ゾーンに要している時間である。
Figure 2009240935
Figure 2009240935
(a)多孔質シリカとして(a−1)を使用し、同配合の抄紙用スラリーを用いてウェブを製造した実施例1〜7及び比較例1のシート状物の15秒吸着量(評価6)を比較すると、(b)吸湿性塩を含有してなる実施例1〜7では、(a)多孔質シリカに付着している(b)吸湿性塩によって、(a)多孔質シリカが水分の吸着を開始するのが遅れる現象が見られ、裸状態にある(a)多孔質シリカが水分を吸着する比較例1の15秒吸着量の方が大きくなった。しかし、75秒吸着量(評価7)を比較すると、吸着熱による水分の脱着が始まって吸着量が伸びない比較例1に対して、実施例1〜7では、高い75秒吸着量を示すことが確認された。よって、実際のデシカント空調機では、除湿ローターが吸着ゾーンを通過する間に、実施例1〜7のシート状物の方が比較例1のシート状物よりも効率よく除湿空気を得ることができる。また、記録時間6分の間、比較例1の吸着量は75秒吸着量でほぼ飽和した状態であったが、実施例1〜7の吸着量はさらに上昇を続けた。
(b)吸湿性塩を含有してなる実施例1〜7の75秒脱着量(評価8)は、75秒吸着量より若干少ないか、または、75秒吸着量よりも多かった。これに対し、比較例1では、75秒吸着量よりも少ない水分しか脱着できないことが確認された。よって、比較例1のシート状物では、実際のデシカント空調機では除湿ローターが再生ゾーンを通過している間に、吸着ゾーンで吸着した水分を全放出できず、除湿性能が徐々に落ちてくるが、実施例1〜7のシート状物では全放出できるので、初期の除湿性能を維持することが可能になる。
また、(a)多孔質シリカとして(a−2)を使用した実施例17と比較例2との比較及び(a−3)を使用した実施例19と比較例3との比較でも、評価6〜8は上述の傾向を示し、実施例のシート状物では効率よく除湿空気を得られることが確認された。
(b)吸湿性塩を含有しているが、(a)多孔質シリカを含有していない比較例4〜6のシート状物では、吸着量と脱着量が非常に小さかった(評価6〜8)。また、評価5において、液だれが発生し、除湿用フィルター材を放置した箇所の70%以上が濡れていた。(a)多孔質シリカと(b)吸湿性塩を併用している実施例1〜20は、比較例4〜6と比べて、液だれが発生しにくかった。
実施例1〜5を比較すると、(a)多孔質シリカに対するスルファミン酸グアニジンの含有割合が高くなると、75秒吸着量(評価7)及び75秒脱着量(評価8)が大きくなることが確認された。(a)多孔質シリカに対する(b−1)の含有割合が20%未満である実施例4では、75秒脱着量が75秒吸着量よりも若干小さくなる場合があった。また、(a)多孔質シリカに対する(b−1)の含有割合が130%を超えている実施例3では、評価5において、液だれが発生し、除湿用フィルター材を放置した箇所の45%未満が濡れていた。(a)多孔質シリカに対する(b−1)の含有割合が20〜130%である実施例1、2、5では、75秒吸着量よりも大きい75秒脱着量が得られ、液だれも全くなかった。
実施例1、8〜16では、抄紙用スラリーにおける(a)多孔質シリカの配合比率が等しく、その他の繊維配合比率を変化させている。この中で、(d)セルロース系フィブリル化繊維を含有していない実施例13では、抄紙時の(a)多孔質シリカの脱落が多く、ウェブ中の(a)多孔質シリカ含有割合が低くなり(評価1)、75秒吸着量(評価7)及び75秒脱着量(評価8)が小さくなる傾向が見られた。
実施例11は、(c)有機繊維として、熱融着性繊維を含有していないため、(b)吸湿性塩のコーティング時に紙切れが起きることがあった(評価3)。また、除湿用フィルター材を製造する際に、カット面からの粉落ちも確認された(評価4)。
(c)有機繊維として、(c3)繊度0.45dtexを超えて2.5dtex以下の有機繊維と植物性繊維であるパルプとを含有している実施例10は、ウェブ中の(a)多孔質シリカ含有割合が48%であるにもかかわらず、実施例1、9、11、12、14〜16と比較して、吸着量と脱着量が小さくなる傾向が見られた(評価6〜8)。パルプの水素結合で構成される緻密な層によって、(a)多孔質シリカへの水分の吸着が抑制されるためと考えられる。実施例17と18との比較及び実施例19と20との比較においても、パルプ繊維を含有する実施例18及び20で、吸着量と脱着量が小さくなる傾向が見られた。
(c)有機繊維として、(c1)繊度0.01dtex以上0.30dtex以下の有機繊維、(c2)繊度0.30dtexを超えて0.45dtex以下の有機繊維、(c3)繊度0.45dtexを超えて2.5dtex以下の有機繊維のうち、いずれか1種のみを含有してなる実施例14〜16と比較して、いずれか2種以上を含有してなる実施例1、8、9、11〜12は、抄紙時の(a)多孔質シリカの脱落が少なく、ウェブ中の(a)多孔質シリカ含有割合が高くなった。3種を含有してなる実施例1の含有割合が最も良好であった。
(c)有機繊維として、(c3)繊度0.45dtexを超えて2.5dtex以下の有機繊維を含有していない実施例12、15及び16と比較して、実施例1、8、9、11、14は、シート状物の柔軟性に優れていて、フィルター材に加工し易かった。また、(c)有機繊維として、(c1)繊度0.01dtex以上0.30dtex以下の有機繊維、(c2)繊度0.30dtexを超えて0.45dtex以下の有機繊維、c3)繊度0.45dtexを超えて2.5dtex以下の有機繊維のうち、いずれか1種のみを含有してなる実施例14〜16において、実施例15及び16は抄紙時の(a)多孔質シリカの脱落が抑制されていた。
本発明のシート状物は、除湿用フィルター材として使用できるほか、包装材料、押入やタンス用の除湿シート、壁紙や床材等の内装材料等に使用することができる。また、本発明の除湿用フィルター材は、例えば、調湿素子や熱交換素子として使用することができる。調湿素子、熱交換素子の具体例として、除湿ローター、ビル空調気化式加湿用素子、燃料電池用加湿用素子、除湿器用除湿素子、自動販売機等の吸水蒸散素子、冷却用吸水蒸散素子、デシカント空調機の除湿ローター、全熱交換素子等を挙げることができる。
本発明の実施例で用いた吸放湿測定装置の断面概略図である。
符号の説明
1 除湿用フィルター材を充填したステンレス管
2 ステンレス管(上流側)
3 ステンレス管(下流側)
4 温湿度計(上流側)
5 温湿度計(下流側
6 開閉弁(上流側)
7 開閉弁(下流側)

Claims (6)

  1. (a)多孔質シリカ、(b)吸湿性塩を少なくとも含有してなる除湿用シート状物。
  2. (a)多孔質シリカに対する(b)吸湿性塩の含有割合が20〜130質量%である請求項1記載の除湿用シート状物。
  3. さらに、(c)有機繊維と(d)セルロース系フィブリル化繊維とを含有してなる請求項1記載の除湿用シート状物。
  4. (c)有機繊維として、熱融着性有機繊維を少なくとも含有してなる請求項3記載の除湿用シート状物。
  5. (c)有機繊維として、(c1)繊度0.01dtex以上0.30dtex以下の有機繊維、(c2)繊度0.30dtexを超えて0.45dtex以下の有機繊維、(c3)繊度0.45dtexを超えて2.5dtex以下の有機繊維から選ばれる少なくとも2種を含有してなる請求項3記載の除湿用シート状物。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の除湿用シート状物を含有してなる除湿用フィルター材。
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