しかしながら、上記の遊技機では、払出条件が成立したときにのみ、遊技媒体の払出しが行われるものであるため、遊技媒体を獲得するための遊技内容が単調であり、興趣に乏しいものであった。
本発明は、上記実状に鑑みてなされたものであり、遊技媒体を獲得するための遊技内容を多様化することができ、興趣に優れた遊技機の提供を課題とするものである。
上記課題を解決するための有効な手段を以下に示す。なお、必要に応じて、その作用効果についても説明する。
手段1:遊技媒体によって遊技が行われ、遊技に基づく払出条件の成立により遊技媒体の払出しを行う遊技機であって、遊技に基づく貯蓄条件の成立により前記遊技媒体を貯蓄する貯蓄手段と、遊技に基づく放出条件の成立により、前記貯蓄手段に貯蓄された遊技媒体のうち、遊技の実状に応じた量の遊技媒体を放出する放出手段とを備えることを特徴とする遊技機。
ここで、「貯蓄条件」は、「パチンコ機等の遊技機において、遊技球を遊技領域内に打ち込む」、「スロットマシン等の遊技機において、メダルを投入してリールを回転させ、停止させる」等の遊技に基づいて成立される条件であればよく、特に限定するものではないが、以下のような種々の条件を例示することができる。なお、以下に例示するように、貯蓄の対象となる遊技媒体としては、遊技を行うに際して費やされる遊技媒体であってもよく、或は、払出しのために排出される遊技媒体、貯蓄のために専用に排出される遊技媒体等、遊技機の内部にて排出される遊技媒体であってもよい。また、貯蓄手段としては、遊技媒体の実物を貯蓄する貯蓄タンク等の貯蓄部を用いて、遊技媒体を現実的に貯蓄するものであってもよく、或は、コンピュータのカウンタやランプの点灯個数等により数値を加減して記憶する記憶装置を用いて、遊技媒体を、実物ではなく、仮想的に貯蓄するものであってもよい。
(1)遊技球やメダル等の遊技媒体が、貯蓄用の入口等、特定領域に到達すると成立する条件。なお、この条件が成立した場合に、特定領域に実際に到達した遊技媒体を直に貯蓄することとしてもよく、或は、別途に所定数量の遊技媒体を遊技機内部にて排出し、この排出された遊技媒体を貯蓄することとしてもよい。また、上記の条件の成立により、所定数値を記憶装置に加算して、遊技媒体を数値的に貯蓄することとしてもよい。
(2)パチンコ機等において遊技球が入賞口に入賞したり、スロットマシン等において役が成立する等して、遊技媒体の払出条件が成立すると、これに併せて成立する条件。ここで、複数種類の払出条件がある場合には、特定の払出条件が成立したり、同種の払出条件が適宜回数、連続して成立する等、成立した払出条件が特定の態様である場合に成立する条件としてもよい。なお、この条件の成立によって、払出しのために排出された遊技媒体の一部或は全部を貯蓄することとしてもよく、或は、払出しとは別途に、適宜数量の遊技媒体を排出して貯蓄したり、適宜数値を記憶装置に加算して貯蓄することとしてもよい。さらに、複数種類の払出条件の夫々に対応した貯蓄条件等、複数種類の貯蓄条件がある場合には、各貯蓄条件の成立に応じて、一律、同数量の遊技媒体を貯蓄するようにしてもよく、或は、貯蓄条件の種類に応じた適宜数量の遊技媒体を貯蓄するようにしてもよい。
(3)特定領域への遊技媒体の到達タイミングやスタートレバー等の操作部の操作タイミング等、種々のタイミング、或は、特定領域での遊技媒体の行方等、適宜の手法により抽選を行う抽選手段を設け、この抽選手段による抽選の結果が、貯蓄の当選となったり、或は、ある種の抽選結果が連続する等、抽選結果が特定の態様となると成立する条件。ここで、パチンコ機等における「大当り」や、スロットマシン等における「ボーナス成立」等、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させるための抽選を行う特別遊技状態用の抽選手段を備えた遊技機では、この特別遊技状態用の抽選手段を、貯蓄条件用の抽選手段として兼用してもよく、或は、特別遊技状態用の抽選手段とは別途に貯蓄条件用の抽選手段を設けてもよい。なお、貯蓄に関しては、上記の貯蓄条件の成立によって、遊技機内部にて、適宜数量の遊技媒体を排出し、この排出された遊技媒体を貯蓄したり、適宜数値を記憶装置に加算して貯蓄すればよい。
また、「放出条件」としては、「パチンコ機等の遊技機において、遊技球を遊技領域内に打ち込む」、「スロットマシン等の遊技機において、メダルを投入してリールを回転させ、停止させる」等の遊技に基づいて成立される条件であればよく、特に限定するものではないが、以下のような種々の条件を例示することができる。
(1)遊技球やメダル等の遊技媒体が特定領域に到達すると成立する条件。
(2)遊技媒体の特定領域への到達に応じて、到達タイミング等により電子的に抽選を行ったり、或いは、遊技媒体の以降の行方等により物理的に抽選を行う等の抽選手段を備えた遊技機において、前記抽選手段による抽選結果が放出の当選となったり、或は、ある種の抽選結果が連続する等、抽選結果が特定の態様となると成立する条件。
(3)遊技媒体の投入タイミング、遊技の操作タイミング等、種々のタイミングによって抽選を行う抽選手段を備えた遊技機において、前記抽選手段による抽選結果が放出の当選となったり、或は、ある種の抽選結果が連続する等、抽選結果が特定の態様となると成立する条件。
(4)遊技に費やされた遊技媒体が所定個数に達すると成立する条件。
(5)遊技回数が所定回数に達すると成立する条件。
(6)継続して行われた遊技の時間が所定時間に達すると成立する条件。
(7)貯蓄部に貯蓄された遊技媒体が所定量に達した場合に成立する条件。
(8)パチンコ機等における「大当り」や、スロットマシン等における「ボーナス成立」等、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させるための抽選を行う抽選手段を備えた遊技機において、前記抽選手段の抽選結果が、「大当り」や「ボーナス成立」の当選のうち、特定の態様の当選結果となったり、当選以外の特定の結果となると成立する条件。ここで、具体的に、特定の態様の当選結果としては、「大当り」となった場合に、表示装置にて「大当り」用の図柄を表示するパチンコ機等において、複数種類の「大当り」用の図柄のうち、特定の図柄を表示する態様、「ボーナス成立」となった場合に、ボーナスインさせるための複数種類の図柄のうち、特定の図柄でボーナスイン可能となり、この図柄でボーナスインされた態様等を例示することができる。また、当選以外の特定の結果としては、「大当り」用の図柄に至る前段階で「外れ」となる「外れリーチ」用の図柄を表示装置にて現出するパチンコ機等において、「外れリーチ」用の図柄が例えば3回等、適宜回数連続して現出する態様、メダルの投入なしに再度遊技を行うことができる「リプレイ」を現出するスロットマシン等において、「リプレイ」が例えば3回等、適宜回数連続して現出する態様等を例示することができる。
また、遊技媒体の放出量を決定する「遊技の実状」とは、遊技により得られた結果や、実際に遊技が行われている状況等、遊技に基づく事象であって、遊技媒体の放出量を変動できるように参照することができる事象の状態の広範を指すものである。そして、遊技媒体の放出量を「遊技の実状」に応じた量とする具体的な態様としては、以下のようなものを例示することができる。
(1)遊技の実行中に、表示装置、ランプ、スピーカー等の種々の演出手段によって、表現する内容や継続時間等の態様が異なる複数種類の演出を行う場合に、演出を実行する演出手段の種類や演出の種類等に応じて放出する量を異ならせる態様。
(2)放出条件として、複数種類の条件がある場合において、成立した放出条件の種類に応じて放出する量を異ならせる態様。
(3)放出条件の成立により、貯蓄した遊技媒体の全てを放出する態様。ここで、遊技媒体の貯蓄量は、遊技中において逐次、変動するため、貯蓄した全ての遊技媒体を放出することで、「遊技の実状」に応じた量の遊技媒体が放出されることとなる。なお、この態様では、放出する遊技媒体の数量の上限を定めることとしてもよい。例えば、放出する上限を「500個」と設定し、貯蓄された遊技媒体の数量が「500個」に満たない場合には、貯蓄された全ての遊技媒体を放出する一方で、貯蓄された遊技媒体の数量が「500個」以上の場合であっても、「500個」の遊技媒体を放出することとしてもよい。多量の遊技媒体が貯蓄されていても、上限を超えた遊技媒体を放出しないことから、遊技者の射幸心を無用に煽ることを抑制することができる。
本手段によれば、遊技者が遊技を行うことにより、遊技媒体が貯蓄される。そして、放出条件が成立すると、貯蓄された遊技媒体が放出され、これにより、遊技者は遊技媒体を獲得できる。よって、遊技者にとっては、払出条件の成立による払出しに加えて、放出条件の成立による放出によっても遊技媒体を獲得できることから、遊技媒体を獲得するための遊技内容が多様化し、遊技機としての興趣を向上させることができる。また、遊技内容として、遊技媒体の貯蓄も加わるため、遊技媒体の獲得ばかりでなく、遊技媒体を貯蓄するといった新たな楽しみを遊技者に与えることもできる。
さらに、遊技媒体が貯蓄されることから、例えば、遊技者が遊技場に赴いて遊技を開始したときに、遊技者が遊技を行う前に、他の遊技者の遊技により、既に多量の遊技媒体が貯蓄されており、放出条件の成立によって多量の遊技媒体を思いがけず獲得することができる、といったことが起きる可能性もある。よって、遊技者にとっては、遊技場に設置された多数の遊技機の中から、遊技媒体の貯蓄量を確認して、或は、予測して遊技機を選択する楽しみも生じ、この理由からも、興趣を向上させることができる。
加えて、本手段では、遊技の実状に応じた量の遊技媒体が放出される。よって、遊技の多様な実状に応じて、遊技媒体の放出量が異なり、遊技者が獲得できる遊技媒体の数量が変動する。このため、遊技媒体を獲得するための遊技内容が、より一層、多様化し、遊技機としての興趣を、さらに向上させることができる。
手段2:手段1の遊技機において、遊技中に多様な演出を行う演出手段を備え、該演出手段による演出に応じた量の遊技媒体を放出することを特徴とする遊技機。
ここで、演出手段によって演出を行う具体的な態様としては、特に限定するものではないが、液晶ディスプレイ等の表示装置にて多様な図柄を表示したり、種々のキャラクターを登場させて様々なアクションを行う様子を描写する等して演出を行う態様、遊技機に設けられた各種のランプを多様に点滅させたり、点灯の回数や強さを多様に変化させて演出を行う態様、スピーカーから多様な効果音や音声を出力して演出を行う態様、ハンドル等の操作部を振動させて演出を行う態様等、種々の態様を例示することができる。
また、演出に応じた量の遊技媒体を放出する態様としては、表現する内容や継続時間等、適宜の要素が異なる複数種類の演出がある場合には、演出の種類に応じて遊技媒体の放出量を異ならせる態様、演出を実行する演出手段として表示装置やスピーカ等、複数種類のものがある場合には、演出を行う演出手段の種類に応じて遊技媒体の放出量を異ならせる態様、たとえ放出条件が成立していたとし
ても、演出の種類や演出手段の種類によっては、放出量を「0」とする、すなわち、放出を行わないこととする態様等、種々の態様を例示することができる。
本手段では、演出に応じて遊技媒体の放出量が異なることとなるので、遊技者に、放出条件の成立ばかりでなく、現出する演出についても大きな興味を抱かせることができる。よって、遊技機としての興趣を、より一層向上させることができる。
手段3:手段2の遊技において、前記演出手段は、継続時間が異なる多様な演出を行うものであり、単位時間当たりに一定量の遊技媒体を放出する放出手段を備え、前記演出手段による演出の継続時間に応じて前記放出手段の作動時間を変動させることを特徴とする遊技機。
放出手段は、単位時間当たりに一定量の遊技媒体を放出するものであるため、放出手段の作動時間が長くなればなる程、多量の遊技媒体が放出されるのであるが、本手段では、演出の継続時間に応じて放出手段の作動時間が変動する。よって、遊技者に、演出の継続時間についても大きな興味を抱かせることができ、遊技機としての興趣を、より一層向上させることができる。
なお、演出の開始後に、或は、適宜のタイムラグ経過後に、放出手段を作動させると共に、演出の終了時に、或は、適宜のタイムラグ経過後に放出手段を停止させる等して、演出の継続時間が長いと、放出手段の作動時間が長くなるようにしてもよく、また、演出の継続中に放出手段の作動時間をカウントダウンすると共に、演出の終了後に、カウントダウンして決定された作動時間で放出手段を作動させる等して、演出の継続時間が長いと、放出手段の作動時間が短くなるようにしてもよい。演出の継続時間が長いと放出手段の作動時間が長くなる態様では、遊技者は、演出が長く続くことを願って遊技を行うのであるが、演出の継続時間が長いと放出手段の作動時間が短くなる態様では、遊技者は、演出が短く終わることを願って遊技を行う。よって、上記各態様では、相反する趣向でもって、
遊技の興趣を向上させることができる。
手段4:手段2または手段3の遊技機において、遊技に基づいて抽選を行う抽選手段と、該抽選手段の抽選結果を表示する表示装置とを備え、前記抽選手段の抽選結果が当選であると、前記表示装置に特定内容を表示すると共に遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる遊技機であって、前記演出手段は、前記表示装置であり、該表示装置にて抽選結果を確定して表示するまでに前記演出を行うものであることを特徴とする遊技機。
ここで、特別遊技状態とは、通常の遊技状態よりも遊技者に有利な状態を指すものである。そして、この特別遊技状態としては、以下のような種々の状態を例示することができる。
(1)パチンコ機等の遊技機において、開閉駆動される入賞口を、所定回数繰り返し開閉させたり、所定時間、或いは、遊技球が所定個数入賞するまで継続して開放させて、遊技媒体である遊技球が多量に入賞口に入賞し易くした状態、所謂「大当り状態」。
(2)パチンコ機等の遊技機において、大当り状態が発生する確率を通常よりも高確率とした状態、所謂「確率変動状態」。
(3)パチンコ機等の遊技機において、遊技媒体である遊技球の入賞や通過により大当り状態を発生させるか否かの抽選を行う抽選用領域を、通常よりも遊技球が入賞や通過し易い状態とし、大当りの抽選が通常よりも頻繁に行われるようにした状態、所謂「時間短縮状態」。
(4)スロットマシン等の遊技機において、ボーナスインする態様でリールを停止可能とした状態、所謂「ボーナス成立状態」。
(5)スロットマシン等の遊技機において、所定ゲーム数の間、役を成立させるためのリールの停止順序や図柄を案内して、役の成立を手助けする状態、所謂「アシストゲーム状態」。
(6)スロットマシン等の遊技機において、ボーナス成立状態やアシストゲーム状態が発生する確率を通常よりも高確率とした状態、所謂「確率変動状態」。
また、表示装置に表示される抽選結果の内容としては、特に限定するものではないが、例えば、数字、文字、キャラクター、種々の物品等の絵柄、レースや競技等の成り行きの結果に意味のあるストーリーの描写等を例示することができる。そして、抽選結果が当選である場合には、「特定内容」として、当選用の絵柄を表示したり、当選用のストーリー展開を描写する等すればよい。
なお、表示装置は、抽選手段による抽選が行われる毎に、この抽選の結果を表示するものであってもよく、或は、抽選手段による抽選が行われた場合に、適宜頻度で、この抽選の結果を表示するものであってもよい。
本手段では、特別遊技状態に関する抽選結果を表示する表示装置での表示に関して、抽選結果の表示ばかりでなく、抽選結果が確定して表示されるまでの演出に応じて遊技媒体の放出量が異なるため、この演出に対しても、大きな興味を抱かせることができ、遊技者に、表示装置での表示を十分に堪能させることができる。
手段5:手段1から手段4までのいずれか一つの遊技機において、前記貯蓄手段は、貯蓄した遊技媒体の数量を記憶する記憶装置を有してなることを特徴とする遊技機。
本手段では、貯蓄手段が、遊技媒体の実物を貯蓄するものではなく、貯蓄した遊技媒体の数量を記憶する記憶装置を用いてなるため、遊技機内部に、実物の遊技媒体を貯蓄するための領域を確保する必要がなく、遊技機をコンパクトに納めることができる。また、遊技機内部にて、実物の遊技媒体を機械的に移動させて貯蓄する必要がないため、遊技媒体の貯蓄に関する処理を、電子的な処理によって、簡便に行うこともできる。
手段6:手段1から手段4までのいずれか一つの遊技機において、前記貯蓄手段は、実物の遊技媒体を貯蓄する貯蓄部を有してなることを特徴とする遊技機。
本手段では、実物の遊技媒体を貯蓄部に貯蓄するため、遊技媒体の数量を記憶装置により記憶させて仮想的に貯蓄する無味乾燥的な貯蓄とは異なり、現実味のある貯蓄を実現することができる。よって、例えば、貯蓄量を遊技者に視認可能とした態様等では、遊技中に遊技者が貯蓄量の増減を確認することができ、貯蓄量によって遊技に対する情熱が変化するため、興趣を向上させることができる。また、通常の遊技中では遊技者が貯蓄量を視認不能とした態様であっても、遊技場のサービス等によって遊技機内部を公開した際に、一見して遊技者が貯蓄量を確認できるようにすることで、興趣を向上させることができ、遊技場にとって、多様なサービスを実現することができる。しかも、遊技場の開店前に、初期設定として適宜数量の遊技媒体を貯蓄させておきたい場合には、貯蓄部に遊技媒体の実物を投入しさえすればよく、或は、閉店後に貯蓄量を確認したい場合には、貯蓄された遊技媒体を実物にて確認すればよいことから、遊技機の管理操作に不慣れな従業者等によっても、上記の作業を容易になすことができ、管理作業の簡便な遊技機とすることもできる。
手段7:手段6の遊技機において、前記貯蓄部は、遊技に費やされる遊技媒体を貯蓄することを特徴とする遊技機。
本手段は、貯蓄の対象となる遊技媒体を具体的に特定したものである。ここで、「遊技に費やされる遊技媒体を貯蓄する態様」としては、特に限定するものではないが、「パチンコ機等の遊技機において、遊技領域内に貯蓄用の入口を設け、この入口に遊技球が入ると、貯蓄条件が成立したとして、入口から入った遊技球を貯蓄する態様」、「スロットマシン等の遊技機において、特定の役が成立すると、貯蓄条件が成立したとして、その回の遊技にて投入されたメダルの少なくとも一部を貯蓄する態様」等を例示することができる。
本手段によれば、遊技に費やされる遊技媒体が貯蓄されるため、遊技者が遊技を行うにつれて徐々に遊技媒体が貯蓄され、遊技が長時間に及ぶと多量の遊技媒体が貯蓄されることになる。よって、遊技者は、放出条件の成立による遊技媒体の放出に大きな期待を抱くようになり、たとえ払出しによって十分な量の遊技媒体を獲得できていない不利益な状況下であっても、遊技に対する情熱を低下させることなく、遊技に興じることができる。
手段8:手段6の遊技機において、前記貯蓄部は、前記払出条件の成立によって払い出しを行うべく排出された遊技媒体を貯蓄することを特徴とする遊技機。
本手段も、貯蓄の対象となる遊技媒体を具体的に特定したものである。ここで、払い出しを行うべく排出される遊技媒体を貯蓄する態様としては、特に限定するものではないが、以下のような態様を例示することができる。なお、本手段では、払い出しを行うべく排出される遊技媒体を貯蓄するため、払出条件が成立すると、貯蓄条件が成立することとすればよい。また、複数種類の払出条件がある場合には、特定の種類の払出条件が成立すると、貯蓄条件が成立することとしてもよい。
(1)遊技媒体を排出する排出装置から遊技媒体の払出しを行う払出口までの経路に、ソレノイド等により駆動される振分け装置を設け、通過する遊技媒体を払出口と貯蓄部とに振り分けることで、遊技媒体を払出すと共に貯蓄する態様。
(2)払出口側に遊技媒体を排出する払出用の排出装置と、貯蓄部側に遊技媒体を排出する貯蓄用の排出装置とを個別に設け、各排出装置を適宜作動させることで、遊技媒体を払出すと共に貯蓄する態様態様。
(3)遊技媒体を排出する排出装置を、払出口に遊技媒体を排出する作動態様と貯蓄部に遊技媒体を排出する作動態様との複数の態様で作動するものとし、排出装置を適宜態様で作動させることで、遊技媒体を払出すと共に貯蓄する態様。
貯蓄する遊技媒体の対象を、遊技に費やされる遊技媒体とすると、遊技機で遊技を行った全ての遊技者に対し、遊技時間に比例して、一様に遊技媒体の貯蓄を行うことになる。ところが、遊技を行った遊技者の中には、払出条件の頻繁な成立により多量の遊技媒体を獲得できた幸運な遊技者がいるのに対し、払出条件があまり成立せず、遊技媒体をほとんど獲得できなかった不運な遊技者もいることから、全ての遊技者から一様に遊技媒体の貯蓄を行うことは、不運な遊技者にとって不公平感が否めないことがある。
これに対して、本手段によれば、払出条件の成立によって払出しを行うべく排出される遊技媒体が貯蓄されるため、頻繁に遊技媒体の払出しを受けることができた遊技者からは、多量の遊技媒体が貯蓄され、あまり遊技媒体の払出しを受けることができなかった遊技者からは、少量の遊技媒体しか貯蓄されない。よって、両者間の不公平感が是正される。なお、頻繁な払出しを受けた遊技者には、遊技媒体の貯蓄が多量に行われても、払出しによって多量の遊技媒体を獲得できることから、大きな不利益を生じない。
手段9:手段8の遊技機において、前記払出条件として、複数種類のものがあり、前記貯蓄部は、払出条件の種類に応じた数量の遊技媒体を貯蓄することを特徴とする遊技機。
本手段によれば、払出条件の種類に応じて、貯蓄される遊技媒体の数量が異なることになる。よって、遊技媒体を貯蓄する態様が多様化され、貯蓄についての興趣を向上させることができる。なお、例えば、頻繁に成立する払出条件では、少量の遊技媒体が貯蓄されることとし、頻繁に成立しない払出条件では、多量の遊技媒体が貯蓄されることとする等、払出条件の成立する確率に応じて、貯蓄される遊技媒体の数量を異なるようにすれば、遊技媒体の貯蓄量が加味されて、払出条件の成立に対する期待感に変化を持たせることができ、より一層、興趣を向上させることができる。
手段10:手段8または手段9の遊技機において、前記貯蓄部は、排出された遊技媒体の数量に応じた数量の遊技媒体を貯蓄することを特徴とする遊技機。
遊技機では、払出条件の種類に応じて、払出しを行うべく排出する遊技媒体の数量を多様に設定することができる。ここで、排出された遊技媒体の数量に拘わらず、一律、所定数量の遊技媒体を貯蓄することとすると、遊技者にとって不快感を与える虞がある。例えば、排出された遊技媒体の数量が少ないにも拘わらず、その中から所定数量の遊技媒体を貯蓄すると、実質的に払出される遊技媒体の数量が極端に少なくなることがあり、これにより、遊技者は不快な思いすることがある。また、逆に、排出された遊技媒体の数量が少なければ、実質的に払出される遊技媒体の数量が極端に少なくなっても仕方がないとあきらめる一方で、排出された遊技媒体の数量が多いにも拘わらず、所定数量が貯蓄されることにより、実質的に払出される遊技媒体の数量が大きく目減りすると、これにより、遊技者は不快な思いすることがある。
これに対して、本手段によれば、払出しを行うべく排出された遊技媒体の数量に応じて、貯蓄される遊技媒体の数量が異なることになるため、排出する遊技媒体の数量に対して、的確な数量の遊技媒体を貯蓄することができ、遊技者に不快感を与え難くすることができる。なお、貯蓄する数量としては、排出する数量に応じて適宜設定すればよい。例えば、排出する数量に対して一定割合の遊技媒体を貯蓄することとしてもよく、排出する数量が多ければ多い程、多数の遊技媒体を貯蓄することとしてもよく、或は、逆に、排出する数量が少なければ少ない程、多数の遊技媒体を貯蓄することとしてもよい。
手段11:手段8から手段10までのいずれか一つの遊技機において、前記払出条件の成立及び遊技媒体の払出しに関する制御処理を行う第1制御部と、該第1制御部とは別途に、前記貯蓄条件の成立、前記貯蓄部による遊技媒体の貯蓄、前記放出条件の成立、または、貯蓄部に貯蓄された遊技媒体の放出の少なくとも一つに関する制御処理を行う第2制御部とを備えることを特徴とする遊技機。
本手段は、遊技機での制御処理を行う構成を具体的に特定したものである。払出条件の成立及び遊技媒体の払出しに関する制御処理を行う第1制御部にて、遊技媒体の貯蓄や放出に関する制御処理も併せて行うこととすると、第1制御部での処理量が増加することで第1制御部の負担が大きくなり、バグの発生や不正介入の余地の増大等、種々の支障を来し易くなる。そこで、本手段では、貯蓄条件の成立、貯蓄部による遊技媒体の貯蓄、放出条件の成立、または、貯蓄部に貯蓄された遊技媒体の放出の少なくとも一つに関する制御処理を、第1制御部とは別途の第2制御部にて行うこととする。これにより、第1制御部での処理量を軽減して、上述のような不具合を生じ難くすることができる。
なお、貯蓄条件の成立に関する制御処理、及び、貯蓄部による遊技媒体の貯蓄に関する制御処理、すなわち「貯蓄」に関する制御処理を第2制御部にて行うこととしたり、放出条件の成立に関する制御処理、及び、貯蓄部に貯蓄された遊技媒体の放出に関する制御処理、すなわち「放出」に関する制御処理を第2制御部にて行うこととしてもよい。また、「貯蓄」及び「放出」に関する全ての制御処理を第2制御部にて行うこととしてもよい。ここで、「貯蓄」及び「放出」に関する制御処理の全てを第2制御部にて行うこととすれば、第1制御部として、遊技媒体の貯蓄及び放出を行わないタイプの遊技機のものを使用することができ、遊技機を構成する部品の汎用性を向上させることができる。そして、このような態様では、払出しを行うべく遊技媒体を排出する排出装置以降の遊技媒体の経路に、上述の振分装置等の貯蓄装置を設け、この貯蓄装置により遊技媒体を貯蓄することとすれば、排出装置までの構成部品としても、遊技媒体の貯蓄及び放出を行わないタイプの遊技機のものを使用することができ、遊技機を構成する部品の汎用性を、より一層、向上させることができる。
手段12:手段1から手段11の遊技機において、前記貯蓄手段に貯蓄された遊技媒体の数量を案内する案内手段を備えることを特徴とする遊技機。
ここで、「案内手段」としては、「遊技媒体の実物を貯蓄する貯蓄タンク等の貯蓄部に窓等の公開部を設け、この公開部を通じて貯蓄部内部を視認可能として、遊技者が貯蓄部内の遊技媒体の数量を確認することができるようにし、これにより、貯蓄部に貯蓄された遊技媒体の数量を案内するもの」、「貯蓄部に貯蓄された遊技媒体の数量を、数値や量として表示する表示装置を別途設け、これにより、貯蓄部に貯蓄された遊技媒体の数量を案内するもの」、「記憶装置に記憶された遊技媒体の数量を表示する表示装置を別途設け、これにより、貯蓄された遊技媒体の数量を案内するもの」等を例示することができる。
また、「案内手段」としては、貯蓄部に貯蓄された遊技媒体の数量を正確に案内するものに限らず、概ねの量を案内するものであってもよい。例えば、ランプを点灯や点滅、装飾品を作動等により、貯留された遊技媒体の数量を、「少量」「中量」、「多量」等と、複数段階にて概ねの量を案内するものであってもよい。
さらに、「案内手段」としては、上述のように、遊技者に視覚的に案内するものに限らず、スピーカーから音声や効果音を出力させることにより、聴覚的に案内するものであってもよく、或いは、遊技者が遊技機を操作するために触れる操作部等を振動させることにより、触感的に案内するものであってもよい。
本手段によれば、貯蓄された遊技媒体の数量が案内されるため、この案内された遊技媒体の数量が、遊技者にとって遊技の継続や遊技機の選択を判断する上での新たな材料となる。これにより、遊技の楽しみ方が多様化するため、遊技としての興趣を、さらに向上させることができる。
手段13:手段1から手段12までのいずれか一つの遊技機において、パチンコ機であることを特徴とする遊技機。
本手段は、遊技機としてパチンコ機を対象としたものであり、本手段によれば、パチンコ機において、上述した各手段の作用効果を得ることができる。
手段14:手段1から手段12までのいずれか一つの遊技機において、スロットマシンであることを特徴とする遊技機。
本手段は、遊技機としてスロットマシンを対象としたものであり、本手段によれば、スロットマシンにおいて、上述した各手段の作用効果を得ることができる。
手段15:手段1から手段12までのいずれか一つの遊技機において、パチンコ機とスロットマシンとを融合させてなることを特徴とする遊技機。
本手段は、遊技機としてパチンコ機とスロットマシンとを融合させてなるものを対象としたものである。ここで、パチンコ機とスロットマシンとを融合させてなる遊技機とは、遊技媒体として、メダルの代わりに遊技球を用いるスロットマシンである。本手段によれば、パチンコ機とスロットマシンとを融合させてなるものにおいて、上述した各手段の作用効果を得ることができる。
なお、本発明の遊技機としては、以上のようなパチンコ機、スロットマシン、パチンコ機とスロットマシンとを融合させてなる融合機等を挙げることができるが、この他、アレンジボール、スマートボール、各種のコインゲーム等、種々の遊技機を対象とすることもできる。
以上のように、本発明によれば、遊技媒体を獲得するための遊技内容を多様化することができ、興趣に優れた遊技機を提供することができる。
以下、本発明をパチンコ機に具体化した一実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。
図1に示すように、パチンコ機10は、遊技盤11の表面に形成された遊技領域12を備えており、遊技者がハンドル13を操作して、発射装置(図示しない)から遊技領域12に遊技球を打ち出すことによって遊技を行うものである。そして、このパチンコ機10では、詳細は後述するが、種々の入賞口への遊技球の入賞等によって適宜個数の遊技球が払出される。ここで、遊技球の払出しは、払出口14から上皿15へと払出される。また、上皿15が満杯になると、上皿15から溢れた遊技球は、下部払出口16から下皿17へと払出される。
また、このパチンコ機10では、種々の入賞口への遊技球の入賞等によって遊技球が払出されるに際して、内部にて払出しのために排出された遊技球の一部を後述する貯蓄部80(図3及び図4参照)に貯蓄し、遊技に応じて行われる抽選の結果等に基づいて、貯蓄した遊技球の一部を放出する。ここで、貯蓄部80から放出される遊技球は、下部払出口16から下皿17へと放出される。また、貯蓄部80は、透明な樹脂によりタンク状に形成されており、その正面の一部が、パチンコ機10の前面下部に設けられた窓80Mを通じて視認可能となっている。よって、遊技者は、窓80Mを通じて、貯蓄部80の内部の様子を確認することができ、貯蓄部80に貯蓄された遊技球の数量を把握することができる。このような構成は、貯蓄された遊技媒体の数量を案内する案内手段の一例を示すものである。
図2に示すように、遊技領域12には、複数の普通入賞口20、普通絵柄始動口21、特別絵柄始動口22、大入賞口23、普通絵柄表示装置30、及び特別絵柄表示装置40等が設けられている。普通入賞口20に遊技球が入賞すると、所定数(例えば10個)の賞球が払出装置53(図3参照)から排出されて、貯蓄分を減じた数の遊技球が実質的に遊技者に払出される。普通絵柄始動口21を遊技球が通過すると、特別絵柄始動口22を開放させるか否かの抽選、所謂「当り」の抽選が行われる。また、この抽選の結果は、ランプの点灯により「○」または「×」のいずれかを表示する普通絵柄表示装置30によって、「当り」であると「○」として、「外れ」であると「×」として表示される。さらに、普通絵柄表示装置30の近傍には、「当り」抽選用の4つの保留ランプ31が設けられており、「当り」に関する抽選結果の表示は、最大で4回分が保留され、保留状態では、保留回数分の保留ランプ31が点灯される。
特別絵柄始動口22は、ソレノイド等により開閉駆動されるチューリップ型の電動入賞口として構成されており、開放状態では、閉鎖状態に比して、遊技球が入賞し易くなる。特別絵柄始動口22に遊技球が入賞すると、所定数(例えば5個)の賞球が払出装置53から排出されて、貯蓄分を減じた数の遊技球が実質的に遊技者に払出される。また、この入賞に応じて、大入賞口23を開放させるか否かの抽選、所謂「大当り」の抽選が行われる。この特別絵柄始動口22への遊技球の入賞に応じて抽選を行う構成は、特別遊技状態である「大当り状態」を発生させるか否かの抽選を行う手段の一例を示すものである。そして、この抽選の結果は、特別絵柄表示装置40に表示される。
特別絵柄表示装置40は、特別遊技状態に関する抽選結果を表示する「表示装置」を構成するものである。この特別絵柄表示装置40は、数字、文字、図形、キャラクター等の種々の絵柄を変動して表示するものであり、液晶ディスプレイ、CRT、発光ダイオード、エレクトロルミネセンス、ドットマトリックス、蛍光表示管等を用いて構成されている。また、特別絵柄表示装置40の上方には、「大当り」抽選用の4つの保留ランプ41が設けられており、「大当り」に関する抽選結果の表示は、最大で4回分が保留され、保留状態では、保留回数分の保留ランプ41が点灯される。
特別絵柄始動口22への遊技球の入賞により行われた抽選の結果が「大当り」、すなわち「当選」であると、特別絵柄表示装置40に「大当り」の絵柄を表示し、ソレノイド等の駆動により開閉される大入賞口23を開放して、多量の遊技球が大入賞口23に入賞し易い状態、所謂「大当り状態」が形成される。そして、大入賞口23に遊技球が入賞すると、所定数(例えば15個)の賞球が払出装置53から排出されて、貯蓄分を減じた数の遊技球が実質的に遊技者に払出される。一方、抽選の結果が「大当り」でない場合には、特別絵柄表示装置40に「外れ」の絵柄を表示し、この場合では、「大当り状態」が形成されず、通常の状態のままに維持される。
また、特別絵柄表示装置40は、多様な絵柄を複数列で表示するものであり、本実施例では、絵柄として「0」〜「9」の10種類の数字を、第1列40a、第2列40b、及び第3列40cの3列の絵柄列ごとに、縦方向にスクロールして個別に変動させた後に、第1列40a、第2列40b、第3列40cの順で停止させるといった演出を伴って表示する。そして、抽選結果が「大当り」であると、大当りの絵柄として、各絵柄列に同一の数字を表示する。例えば、「7,7,7」と表示する。ここで、第1列40a、第2列40b、及び第3列40cの各絵柄は、絵柄列ごとに順次停止して表示されるため、1番目に停止される第1列40aと2番目に停止される第2列40bの各絵柄列に同一の絵柄が停止表示されると、残りの第3列40cにも同一の絵柄が停止表示されれば「大当り」となる状態、所謂「リーチ状態」となる。
よって、この特別表示装置40では、第1列40aの絵柄と第2列40bの絵柄とが異なり、「リーチ状態」を形成しないで単純に外れとなる「外れ」の表示態様、第1列40aの絵柄と第2列40bの絵柄とは同じなのであるが第3列40cの絵柄が異なり、「リーチ状態」を経て外れとなる「外れリーチ」の表示態様、第1列40aの絵柄と第2列40bの絵柄と第3列40cの絵柄とが全て同じで、「リーチ状態」を経て大当りとなる「大当り」の表示態様といった、3種類の態様の表示がなされる。
特別絵柄表示装置40では、前回の抽選結果として確定された表示内容を変動して、今回の表示内容を表示するのであるが、単純な「外れ」を表示する態様では、各絵柄列40a,40b,40cにて絵柄の変動を開始し、その後、適宜のインターバルを経て順次停止させ、最終の絵柄の停止によって表示内容を確定するといった演出を行う。そして、表示内容の変動開始から確定表示までの演出の継続時間は、11秒に設定されている。
また、「リーチ状態」を経て外れとなる「外れリーチ」、及び、「リーチ状態」を経て大当りとなる「大当り」を表示する態様では、各絵柄列40a,40b,40cにて絵柄の変動を開始し、第1列40aの絵柄と第2列40bの絵柄とを順次停止させて「リーチ状態」を形成した後、第3列40cの絵柄の停止によって、「外れリーチ」または「大当り」の表示内容を確定するといった演出を行うのであるが、さらに上記演出と共に、「ノーマルリーチ」、「スーパーリーチ」及び「スペシャルリーチ」の3態様の演出を適宜確率で選択して行うこととしてある。
「ノーマルリーチ」は、順次停止される各絵柄列40a,40b,40cの絵柄のうち、最後に停止される第3列40cの絵柄の変動時間を「外れ」の場合より長くして、「リーチ状態」を適度に持続させた演出を行うものである。そして、この「ノーマルリーチ」を伴なう演出は、表示内容の変動開始から確定表示までの継続時間が18秒に設定されている。「スーパーリーチ」は、「リーチ状態」から最後の絵柄が停止されるまでの間に、種々のキャラクターを登場させて様々なアクションを行わせたり、既に停止されている絵柄や変動中の絵柄に多様な動きを与えて、「リーチ状態」の演出についての趣向を凝らしたものである。そして、この「スーパーリーチ」を伴なう演出は、表示内容の変動開始から確定表示までの継続時間が25秒に設定されている。「スペシャルリーチ」は、上記の「スーパーリーチ」の演出をさらに発展させて、より一層趣向を凝らした演出を行うものであり、表示内容の変動開始から確定表示までの演出の継続時間が35秒に設定されている。
そして、「外れリーチ」を表示する場合には、「ノーマルリーチ」、「スーパーリーチ」、「スペシャルリーチ」の順で出現頻度が高く設定してある一方で、「大当り」を表示する場合には、「スペシャルリーチ」、「スーパーリーチ」、「ノーマルリーチ」の順で出現頻度が高く設定してあり、「ノーマルリーチ」が現出しても、「大当り」に対する期待感はさほど高まらないが、「スーパーリーチ」が現出すると、「大当り」に対する期待感が高まり、さらに「スペシャルリーチ」が現出すると、「大当り」に対する期待感はより一層高まるように、趣向が凝らされている。
大当り状態での大入賞口23の開放は、例えば、所定時間(例えば30秒)経過するか、或いは、所定数(例えば10個)の遊技球が入賞するといった所定の条件が満たされると終了され、大入賞口23は、初期の遊技球が入賞不能な状態に閉鎖される。また、大入賞口23には、Vゾーン24が設けられており、大入賞口23の開放中に遊技球がVゾーン24を通過すると、「大当り状態」を継続する権利が取得されて、大入賞口23の閉鎖後、再度、大入賞口23が開放される。この大入賞口23の開閉は、所定回数(例えば初回の開放を含めて15回)を上限として繰り返される。
ところで、普通絵柄始動口21による抽選は、遊技球の通過タイミングによって当たり判定用の乱数カウンタから値が取得されることにより行われる。そして、取得された値が特定の値である場合に「当り」であるとして、普通絵柄表示装置に「○」を表示させると共に、特別絵柄始動口22を開放させる。なお、上記の抽選結果が「当り」となる確率は、1/2に設定されている。また、特別絵柄始動口22は、普通絵柄始動口21を遊技球が通過して、上記の抽選結果が「当り」であると、遊技球の通過から30秒程度経過した後に、0.5秒程度の時間で開放される。
一方、「大当り状態」は、特別絵柄始動口22への遊技球の入賞によって行われる抽選の結果が「大当り」であると発生される。ここで、上記の抽選は、遊技球の入賞タイミングによって大当り判定用の乱数カウンタから値が取得されることにより行われる。そして、取得された値が特定の値である場合に「大当り」であるとして、特別絵柄表示装置40に大当りの絵柄を表示すると共に、大入賞口23を開放させ、「大当り状態」を発生させる。なお、上記の抽選結果が「大当り」となる確率は、1/300に設定されている。
前述した「大当り状態」が、遊技者にとって有利な特別遊技状態であるが、本実施例のパチンコ機10では、「大当り」の種類として、「通常大当り」と「特別大当り」との2種類のものが用意されている。そして、特別絵柄表示装置40の3列の絵柄列全てに揃って表示された絵柄が、「0」及び偶数の数字であれば「通常大当り」とし、奇数の数字であれば「特別大当り」とする。
「通常大当り」は、「大当り状態」を実行し、この「大当り状態」終了後には、通常の遊技状態に復帰させるものである。そして、「特別大当り」は、「大当り状態」を実行し、加えて、この「大当り状態」終了後に、通常の遊技状態よりも遊技者に有利な第2特別遊技状態を付与するものである。
第2特別遊技状態では、特別絵柄始動口22への遊技球の入賞による抽選の結果が「大当り」となる確率を1/60として、通常の遊技状態よりも高確率に変更した状態、所謂「確率変動状態」を実行する。また、加えて、特別絵柄始動口22は、普通絵柄始動口21を遊技球が通過して、これによる抽選の結果が「当り」である場合に、遊技球の通過から5秒程度経過した後に2秒程度開放され、この開放が3回繰り返される。これにより、特別絵柄始動口22の開閉頻度を多発させ、且つ開放時間を長くして、通常の遊技状態よりも特別絵柄始動口22に遊技球が入賞し易く、頻繁に「大当り」の抽選が行われるようにした状態、所謂「時間短縮状態」を実行する。なお、本実施例における第2特別遊技状態は、「確率変動状態」及び「時間短縮状態」の双方を実行するものであるが、「確率変動状態」または「時間短縮状態」のいずれか一方を実行するものであってもよい。
図3に示すように、パチンコ機10は、背面に、補給装置(図示しない)からの遊技球の補給を受けて多量の遊技球を蓄えるタンク部50と、タンク部50から遊技球を整列させながら導くレール部51と、レール部51から供給された遊技球を一列状態に整列して待機させる待機部52と、待機部52から遊技球を排出する排出装置53とを備えている。
ここで、本実施例のパチンコ機10は、球貸し機(図示しない)を備えるものとして構成されており、貸し球を払出す貸し球用排出装置53aと、賞球を払出す賞球用排出装置53bとの2つの排出装置53を備えている。貸し球用排出装置53aは、遊技者が球貸し機にカードを挿入し、貸し球ボタンを押す等して遊技球の貸出しを要求することにより、所定数の遊技球を排出するものである。また、賞球用排出装置53bは、普通入賞口20、特別絵柄始動口22、大入賞口23への遊技球の入賞等により、所定数の遊技球を排出するものである。
また、パチンコ機10は、遊技球の排出装置53から払出口14に至る経路に、振分機構を用いて構成された貯蓄装置81を備えている。貯蓄装置81は、普通入賞口20等の各種入賞口への遊技球の入賞に基づいて遊技球の払出しが行われるに際して、排出装置53から排出された遊技球の一部を貯蓄部80に貯蓄するために、遊技球の振分けを行うものであり、ソレノイド等によって駆動される。そして、貯蓄装置81によって貯蓄部80側に振分けられた遊技球は、図示省略する通路を経て貯蓄部80内に貯蓄され、残りの遊技球は、払出口14から遊技者へと払出される。
また、貯蓄部80は、傾斜する底面を備えたタンク状に形成されており、図4に示すように、底面のもっとも高くなった部分である側端部には、適宜数量の遊技球が載ると押動されてONとなる貯蓄量検出スイッチ80Sが設けられている。貯蓄された遊技球が貯蓄部80内にて満杯になると、この貯蓄量検出スイッチ80SがONして、貯蓄された遊技球が所定量に達したと判定する。そして、貯蓄部80ではこれ以上の遊技球を貯蓄することができなくなるので、放出条件が成立したとして、放出手段としての放出装置82を駆動して、貯蓄された遊技球のうち、例えば10個等、適宜個数を、放出用通路16bを通じて下皿17に放出する。また、詳細は後述するが、上記とは別途の放出条件が成立した場合にも、適宜の作動態様で、適宜個数の遊技球を放出する。なお、放出用通路16bは、上皿15から溢れた遊技球を下皿17へと導く溢れ用通路16aとは個別に設けられている。
図5に示すように、本例では、放出装置82が、モータにより回転駆動され、貯蓄部80から順次供給される遊技球Bを凹部に1個づつ収容して搬送する羽根車82aを備えるものとして構成されている。ここで、この放出装置82では、羽根車82aの回転速度が一定であり、単位時間当たりの遊技球Bの放出量が、例えば10個/秒等と、一定となっている。よって、この放出装置82は、作動時間が長くなれば長くなる程、多量の遊技球Bを放出する。
次に、パチンコ機10において、遊技球の貯蓄と、貯蓄された遊技球の放出とを行う具体的な態様を説明する。遊技者が遊技を行うことによって、普通入賞口20、特別絵柄始動口22、または大入賞口23に遊技球が入賞すると、予め設定された所定数の遊技球が賞球用排出装置53bから排出され、これに伴い、貯蓄装置81により、払出口14及び貯蓄部80への遊技球の振分けが行われる。
詳しくは、図6に示すように、特別絵柄始動口22に遊技球が入賞すると、賞球となる5個の遊技球が賞球用排出装置53bから排出され、このうちの1個の遊技球が貯蓄部80に貯蓄され、残りの4個の遊技球が払出口14から実質的に払出される。そして、普通入賞口20に遊技球が入賞すると、賞球となる10個の遊技球が賞球用排出装置53bから排出され、このうちの2個の遊技球が貯蓄部80に貯蓄され、残りの8個の遊技球が払出口14から実質的に払出される。また、大入賞口23に遊技球が入賞すると、賞球となる15個の遊技球が賞球用排出装置53bから排出され、このうちの3個の遊技球が貯蓄部80に貯蓄され、残りの12個の遊技球が払出口14から実質的に払出される。
ここで、貯蓄部80に貯蓄される遊技球の個数は、賞球用排出装置53bから排出される遊技球の個数に応じて、換言すれば、払出条件の種類に応じて設定されているため、遊技者に大きな不利益を与えない範囲内で、遊技球の貯蓄を行うことができる。また、遊技者は、貯蓄部80内での遊技球の貯蓄量を、パチンコ機10の前面に形成された窓80Mを通じて視認することができるため、この貯蓄量を、遊技の継続や遊技機の選択する上での判断材料とすることができる。
貯蓄部80に貯蓄された遊技球の放出は、前述したように、貯蓄量が所定量に達した場合に放出条件が成立したとして行われる他、「大当り」に関する抽選を行う乱数カウンタや別途の乱数カウンタを用いた抽選手段によって抽選を行い、抽選結果が放出の当選となった場合にも、放出条件が成立したとして、実行される。また、遊技中に多様な演出を行う演出手段としての特別絵柄表示装置40にて、「大当り」に関する抽選結果を表示する際における表示内容の変動開始から確定して表示するまでに、多様な演出を行うこととしてあり、この演出に応じた態様で放出装置82を作動させ、演出に応じた量の遊技球を放出することとしてある。なお、「貯蓄量が所定量に達した場合に成立する放出条件」及び「抽選結果が放出の当選となった場合に成立する放出条件」は、共に、「遊技の実状に応じた量の放出」を行うための放出条件であるが、夫々を区別するため、以降、前者を「満杯放出条件」と称し、後者を「特別放出条件」と称す。
次に、特別放出条件の成立によって演出に応じた量の遊技球を放出する具体的な態様を説明する。特別絵柄表示装置40に「外れ」の図柄を表示する場合には、表示内容の変動開始時点から放出装置82を作動させ、表示内容が確定されると放出装置82を停止させる。ここで、放出装置82は、10個/秒の放出速度で遊技球を放出し、「外れ」の図柄を表示に伴なう演出が11秒に設定されているため、しめて110個の遊技球が放出されることになる。また、「外れリーチ」や「大当り」の図柄を表示する場合も同様に、表示内容の変動開始時点から放出装置82を作動させ、表示内容が確定されると放出装置82を停止させるのであるが、「ノーマルリーチ」の演出を伴なう場合には、演出の継続時間が18秒であるため、しめて180個の遊技球が放出されることになり、「スーパーリーチ」の演出を伴なう場合には、演出の継続時間が25秒であるため、しめて250個の遊技球が放出されることになり、「スペシャルリーチ」の演出を伴なう場合には、演出の継続時間が35秒であるため、しめて350個の遊技球が放出されることになる。
なお、遊技球の放出は、「大当り」に関する抽選と共に放出に関する抽選が行われた回の表示において開始することとしてもよいが、適宜回数の表示を行った後に開始することとしてもよい。例えば、特別放出条件が成立した場合に、特別放出条件が成立した回の「大当り」に関する抽選結果の表示に際して放出を行うこととせず、その回の表示では、放出を決定した旨、及び、放出を実行する回の予告回数を、表示等により案内し、次回以降に繰り返し表示が行われる毎に上記の予告回数をカウントダウンして、カウントダウンが終了した回の表示にて放出を開始することとしてもよい。このような態様では、遊技者とって、放出が開始される回の表示に対して、「大当り」への期待を抱きつつ遊技を行うばかりでなく、継続時間の長い演出を伴なう表示態様が現出することを願いつつ遊技を行うことができ、興趣が向上する。
また、特別放出条件は、上記に限らず、「大当り」の抽選結果が特定の態様の当選であると成立することとしてもよい。具体的には、抽選結果が当選、すなわち「大当り」であり、しかも、大当り絵柄として「7,7,7」を表示する態様であると、特別放出条件が成立したとして、遊技球の放出を行うこととしてもよい。このような態様では、放出された遊技球が、「大当り」により獲得される遊技球の付加的な価値となる。また、抽選結果が「大当り」であれば、上述のように演出の継続時間に応じた数量の遊技媒体を放出する一方で、特に、「大当り」の抽選結果が特定の態様の当選であると、演出の継続時間に拘わらず、貯蓄された遊技球のうち、所定数量の遊技球、或は、全部の遊技球を放出することとしてもよい。このような態様では、「大当り」の付加価値を多様に変化させることができる。
次に、パチンコ機10の電気的構成について、図7に基づき説明する。
パチンコ機10は、遊技に関する主な制御を行う主制御基板60を備えている。そして、主制御基板60は、各種の処理プログラムを記憶したROM61と、データを一時的に記憶するRAM62と、各種の演算を行うCPU63と、所定周波数のパルス信号を出力するクロック回路64とを備えている。ここで、主制御基板60は、普通入賞口20等の各種入賞口への遊技球の入賞による払出条件の成立に関する制御処理、及び、払出条件の成立により排出装置53を駆動して適宜数の遊技球を排出することで払出しを行う遊技球の払出しに関する制御処理を行うものであり、第1制御部を構成するものである。
主制御基板60のCPU63には、入出力ポート65を介して、表示制御基板40K、ランプ制御基板70K、音声制御基板71K、払出制御基板72K、普通入賞口スイッチ20S、特別絵柄始動口駆動装置22A、大入賞口駆動装置23A、普通絵柄表示装置30、普通絵柄始動口スイッチ21S、特別絵柄始動口スイッチ22S、大入賞口スイッチ23S、Vゾーンスイッチ24S、及び他の入出力装置90が接続されている。
表示制御基板40Kは、主制御基板60からの信号を受けて特別絵柄表示装置40の作動を制御し、特別絵柄表示装置40に「大当り」に関する抽選の結果を表示させるものである。また、表示制御基板40Kには、貯蓄量検出スイッチ80S、貯蓄装置81及び放出装置82が接続されている。この表示制御基板40Kは、第2制御部を構成するものであり、貯蓄部80への遊技球の貯蓄に関する制御処理、及び、貯蓄部80からの遊技球の放出に関する制御処理を行う。具体的には、主制御基板60から払出制御基板72Kに賞球の払出しの信号が送られると、この表示制御基板40Kでも払出しの信号を受け、払出しの信号を受けることによって貯蓄条件が成立したとして、貯蓄装置81を駆動し、賞球数に応じた数量の遊技球を貯蓄部80に貯蓄する。また、貯蓄量検出スイッチ80Sにより貯蓄部80に貯蓄された遊技球が所定量に達したことが検出されると、満杯放出条件が成立したとして、放出装置82を駆動して、適宜量の遊技球を放出する。さらに、主制御基板60から特別放出条件が成立した信号が送られると、この信号を受けることによって、放出装置82を駆動し、表示に際しての演出に応じた量の遊技球を放出する。
ランプ制御基板70Kは、主制御基板60からの信号を受けて、パチンコ機10に設けられた各種ランプ70を制御するものである。音声制御基板71Kは、主制御基板60からの信号を受けて、スピーカー71を制御するものである。払出制御基板72Kは、賞球用排出装置53bに内蔵された払出モーター72を制御するものであり、各種入賞口への遊技球の入賞により払出条件が成立した際に、主制御基板60からの信号を受けて、払出モータ72を駆動し、賞球に応じた数量の遊技球の払出しを行うものである。特別絵柄始動口駆動装置22Aは、ソレノイド等の駆動装置からなり、主制御基板60からの信号を受けて、特別絵柄始動口22を開閉駆動するものである。大入賞口駆動装置23Aは、ソレノイド等の駆動装置からなり、主制御基板60からの信号を受けて、大入賞口23を開閉駆動するものである。普通絵柄表示装置30は、主制御基板60からの信号を受けて、普通絵柄始動口21の遊技球の通過による抽選結果を表示するものである。
また、普通入賞口スイッチ20Sは、普通入賞口20に設けられたものであり、普通入賞口20への遊技球の入賞を検知して、主制御基板60に検知信号を送るものである。普通絵柄始動口スイッチ21Sは、普通絵柄始動口21に設けられたものであり、普通絵柄始動口21での遊技球の通過を検知して、主制御基板60に検知信号を送るものである。特別絵柄始動口スイッチ22Sは、特別絵柄始動口22に設けられたものであり、特別絵柄始動口22への遊技球の入賞を検知して、主制御基板60に検知信号を送るものである。大入賞口スイッチ23Sは、大入賞口23に設けられたものであり、大入賞口23への遊技球の入賞を検知して、主制御基板60に検知信号を送るものである。Vゾーンスイッチ24Sは、大入賞口23内のVゾーン24に設けられたものであり、Vゾーン24への遊技球の通過を検知して、主制御基板60に検知信号を送るものである。
次に、パチンコ機10での処理、特に主制御基板60及び表示制御基板40Kで行われる各種処理について、図8〜18に基づき説明する。
主制御基板60は、図8に示すように、メイン処理にて、先ず電源投入後に、各種のデータを初期化したり、各種機器の状態を整える立ち上げ処理を実行し(S1)、電源復帰処理を実行する(S2)。そして、その後、変動パターン用乱数更新処理を、閉ループにて繰り返し実行する(S3)。ここで、変動パターン用乱数は、特別絵柄表示装置40での表示に際して行われる演出の種類を決定するために用いられるものである。そして、変動パターン用乱数更新処理(S3)では、図9に示すように、変動パターン用カウンタC5の値を更新し(S4)、更新した値を変動パターンバッファに格納して(S5)、処理を終了する。
また、主制御基板60では、上述のメイン処理に対して、クロック回路64からのパルス信号に基づき、例えば4msで、図10に示す割込み処理を行う。
図10に示す割込み処理では、先ず外れ絵柄更新処理を行い(S10)、次に各種乱数更新処理を行い(S20)、次に始動入賞処理を行い(S30)、次に絵柄変動処理を行い(S40)、次に大当り処理を行い(S50)、最後にその他処理を行って(S60)、割込み処理を終了する。
外れ絵柄更新処理(S10)では、図11に示すように、先ず第1絵柄用カウンタC4aの更新を行い(S101)、S102の処理に移行する。第1絵柄用カウンタC4aは、特別絵柄表示装置40に「外れ」の絵柄を表示する際に、絵柄列の第1列40aに表示される絵柄を決定するのに用いられるカウンタである。本実施例では、第1絵柄用カウンタC4aの値を、「0」〜「9」までは1づつ加算して更新し、最大値に達した後には、再び「0」に戻す。そして、特別絵柄表示装置40の第1列40aには、第1絵柄用カウンタC4aの値に対応して、同じ数字が表示される。
S102の処理では、第1絵柄用カウンタC4aの値が「0」であるか否かを判定し、「0」であれば、S103の処理に移行する。一方、第1絵柄用カウンタC4aの値が「0」でなければ、S106の処理に移行する。
S103の処理では、第2絵柄用カウンタC4bの更新を行い、S104の処理に移行する。第2絵柄用カウンタC4bは、特別絵柄表示装置40に「外れ」の絵柄を表示する際に、絵柄列の第2列40bに表示される絵柄を決定するのに用いられるカウンタである。本実施例では、第2絵柄用カウンタC4bの値を、「0」〜「9」までは1づつ加算して更新し、最大値に達した後には、再び「0」に戻す。そして、特別絵柄表示装置40の第2列40bには、この第2絵柄用カウンタC4bの値に対応して、同じ数字が表示される。
S104の処理では、第2絵柄用カウンタC4bの値が「0」であるか否かを判定し、「0」であれば、S105の処理に移行する。一方、第2絵柄用カウンタC4bの値が「0」でなければ、S106の処理に移行する。
S105の処理では、第3絵柄用カウンタC4cの更新を行い、S106の処理に移行する。第3絵柄用カウンタC4cは、特別絵柄表示装置40に「外れ」の絵柄を表示する際に、絵柄列の第3列40cに表示される絵柄を決定するのに用いられるカウンタである。本実施例では、第3絵柄用カウンタC4cの値を、「0」〜「9」までは1づつ加算して更新し、最大値に達した後には、再び「0」に戻す。そして、特別絵柄表示装置40の第3列40cには、この第3絵柄用カウンタC4cの値に対応して、同じ数字が表示される。
S106の処理では、第1絵柄用カウンタC4aの値と第2絵柄用カウンタC4bの値とが、同じであるか否かを判定する。各値が同じ値であれば、第1列40aと第2列40bの各絵柄列に同じ数字が表示され、「リーチ状態」の表示態様が形成されることになるので、S107の処理に移行する。一方、各値が同じ値でなければ、「リーチ状態」の表示態様は形成されず、また、「大当り状態」の表示態様も形成されないことになるため、第1絵柄用カウンタC4a、第2絵柄用カウンタC4b、及び第3絵柄用カウンタC4cの各値を、「外れ絵柄」を決定する値として、外れ絵柄バッファに格納して(S108)、外れ絵柄更新処理を終了する。
S107の処理では、第1絵柄用カウンタC4aの値と第3絵柄用カウンタC4cの値とが、同じであるか否かを判定する。各値が同じ値であれば、第1列40a、第2列40b、及び第3列40cの各絵柄列に同じ数字が表示され、「大当り状態」の表示態様が形成されることになる。ここで、「大当り状態」の表示態様は、後述する別の処理(S201)にて決定されるので、本処理では、各値をそのままとし、外れ絵柄更新処理を終了する。一方、各値が同じ値でなければ、「大当り状態」の表示態様は形成されず、「リーチ状態」の表示態様ではあるが「大当り状態」の表示態様ではない、所謂「外れリーチ状態」の表示態様が形成されることになるため、第1絵柄用カウンタC4a、第2絵柄用カウンタC4b、及び第3絵柄用カウンタC4cの各値を、「外れリーチ絵柄」を決定する値として、外れリーチ絵柄バッファに格納して(S109)、外れ絵柄更新処理を終了する。
各種乱数更新処理(S20)では、図12に示すように、当否判定用カウンタC1、リーチ判定用カウンタC2、及び大当り絵柄用カウンタC3を更新し(S201)、更新した各値C1,C2,C3を、夫々対応するバッファである当否判定バッファ、リーチ判定バッファ、大当り絵柄バッファに格納する(S202)。
ここで、当否判定用カウンタC1は、「大当り」を発生させるか否かの判定に用いられるものであり、本実施例では、「0」〜「299」までを順に1づつ加算して更新し、最大値に達した後には、再び「0」に戻す。なお、当否判定用カウンタC1の値として、「7」の値が取得されると、「大当り」と判定する。よって、本実施例では、1/300の確率で「大当り」が発生される。
リーチ判定用カウンタC2は、「外れリーチ状態」を発生させるか否かの判定に用いられるものであり、本実施例では、「0」〜「9」までを順に1づつ加算して更新し、最大値に達した後には、再び「0」に戻す。なお、リーチ判定用カウンタC2の値として、「7」の値が取得されると、「外れリーチ」を発生させると判定する。よって、本実施例では、1/10の確率で「外れリーチ」が発生される。
大当り絵柄用カウンタC3は、「大当り」の抽選結果が当選である場合に表示する絵柄の種類を決定するために用いられるものであり、本実施例では、「0」〜「9」までを1づつ加算して更新し、最大値に達した後には、再び「0」に戻す。そして、特別絵柄表示装置40の第1列40a、第2列40b、及び第3列40cには、この大当り絵柄用カウンタC3の値に対応して、同じ数字が表示される。
始動入賞処理(S30)では、図13に示すように、先ず特別絵柄始動口22に遊技球が入賞したか否か、すなわち、入賞か否かを判定する(S301)。この判定は、特別絵柄始動口スイッチ22Sが遊技球を検出したか否かによって行われる。そして、入賞であれば、S302の処理に移行する。一方、入賞でなければ、S306の処理に移行する。
S302の処理では、「大当り」の抽選を保留する保留数Nの値が「4」未満であるか否かを判定し、保留数Nの値が「4」未満であれば、S303の処理に移行する。一方、保留数Nの値が「4」未満でなければ、これ以上の抽選を保留することはできないため、S306の処理に移行する。
S303の処理では、保留数Nとして、「1」を加算した新たな値をセットする。そして、以降の処理では、「大当り」抽選用の保留ランプ41を1つ点灯し(S304)、対応するバッファに格納されている当否判定用カウンタC1の値、リーチ判定用カウンタC2の値、大当り絵柄用カウンタC3の値、及び変動パターン用カウンタC5の値を、第1保留エリア、第2保留エリア、第3保留エリア、及び第4保留エリアのうち、保留数Nに対応する空き記憶エリアに格納し(S305)、S306の処理に移行する。
S306の処理では、保留数Nの値が「0」よりも大きいか否かを判定し、保留数Nの値が「0」よりも大きければ、S307の処理に移行する。一方、保留数Nの値が「0」よりも大きくなければ、そもそも入賞がないことになるので、以降の処理をスキップして、始動入賞処理を終了する。
S307の処理では、特別絵柄表示装置40が変動中であるか否か、また、大当り中であるか否かを判定する。特別絵柄表示装置40が変動中でなく、且つ大当り中でなければ、特別絵柄表示装置40を変動させることができるので、変動許可フラグF1に「1」の値をセットして(S308)、始動入賞処理を終了する。一方、特別絵柄表示装置40が変動中であるか、或いは、大当り中であると、特別絵柄表示装置40を変動させることができないので、以降の処理をスキップして、始動入賞処理を終了する。
絵柄変動処理(S40)では、図14に示すように、先ず変動許可フラグF1の値が「1」であるか否かを判定し(S401)、変動許可フラグF1の値が「1」であれば、S402の処理に移行する。一方、変動許可フラグF1の値が「1」でなければ、以降の処理をスキップし、S408の処理に移行する。
S402以降の処理では、「大当り」抽選用の保留ランプ41を1つ消灯し(S402)、保留数Nとして、「1」減じた新たな値をセットし(S403)、記憶エリアのデータ、すなわち、第1保留エリア、第2保留エリア、第3保留エリア、及び第4保留エリアの各記憶エリアに記憶された当否判定用カウンタC1の値、リーチ判定用カウンタC2の値、大当り絵柄用カウンタC3の値、及び変動パターン用カウンタC5の値を、実行エリア側の記憶エリアにシフトする(S404)。すなわち、第1保留エリアの各値を実行エリアに、第2保留エリアの各値を第1保留エリアに、第3保留エリアの各値を第2保留エリアに、第4保留エリアの各値を第3保留エリアに、夫々シフトする。そして、詳細は後述する表示コマンド決定処理を行い(S405)、決定された表示コマンドを表示制御基板40Kに送信し(S406)、変動許可フラグF1に「0」の値をセットし(S407)、S408の処理に移行する。
S408の処理では、大当り中であるか否かを判定し、大当り中でなければ、S409の処理に移行する。一方、大当り中であれば、以降の処理をスキップし、絵柄変動処理を終了する。なお、大当り中とは、「大当り状態」の実行中と、この「大当り状態」終了後に、所定時間、パチンコ機10の状態を整える状態とを含むものである。
S409の処理では、特別絵柄表示装置40に変動表示されている絵柄の変動時間が終了したか否かを判定する。特別絵柄表示装置40では、後述する種々の変動パターンで絵柄を変動表示するのであるが、この変動パターンごとに設定された変動時間により、上記の判定がなされる。そして、変動時間が終了していれば、変動表示されている絵柄を停止させるため、及び、停止表示される絵柄の確認のため、確定コマンドを表示制御基板40Kに送信して(S410)、絵柄変動処理を終了する。一方、変動時間が終了していなければ、絵柄の停止処理を行わず、以降の処理をスキップして、絵柄変動処理を終了する。
絵柄変動処理(S40)中に実行される表示コマンド決定処理(S405)は、図15に示すように、先ず実行エリアに格納されている「大当り」抽選用の当否判定用カウンタC1の値が「大当り」の値であるか否かを判定する(S451)。そして、「大当り」の値であれば、特別絵柄表示装置40に表示される停止絵柄として、大当り絵柄バッファに格納されている大当り絵柄用カウンタC3の値に応じた大当り絵柄を設定する(S452)。そして、この大当り絵柄を停止させるまでの変動パターンとして、実行エリアの記憶エリアに記憶されている変動パターン用カウンタC5の値に応じた変動パターンを決定し(S453)、表示コマンド決定処理を終了する。一方、当否判定用カウンタC1の値が「大当り」の値でなければ、S454の処理に移行する。
S454の処理では、実行エリアに格納されているリーチ判定用カウンタC2の値が「外れリーチ状態」を発生させる値であるか否かを判定する。そして、「外れリーチ状態」を発生させる値であれば、特別絵柄表示装置40に表示される停止絵柄として、外れリーチ絵柄バッファに格納されている第1絵柄用カウンタC4a、第2絵柄用カウンタC4b、及び第3絵柄用カウンタC4cの各値に応じた外れリーチ絵柄を設定する(S455)。そして、この外れリーチ絵柄を停止させるまでの変動パターンとして、実行エリアの記憶エリアに記憶されている変動パターン用カウンタC5の値に応じた変動パターンに決定し(S456)、表示コマンド決定処理を終了する。一方、リーチ判定用カウンタC2の値が「外れリーチ状態」を発生させる値でなければ、S457の処理に移行する。
S457の処理では、特別絵柄表示装置40に表示される停止絵柄として、外れ絵柄バッファに格納されている第1絵柄用カウンタC4a、第2絵柄用カウンタC4b、及び第3絵柄用カウンタC4cの各値に応じた外れ絵柄を設定する(S457)。そして、この外れ絵柄を停止させるまでの変動パターンとして、実行エリアの記憶エリアに記憶されている変動パターン用カウンタC5の値に応じた変動パターンに決定し(S458)、表示コマンド決定処理を終了する。
上述のような表示コマンド決定処理(S405)によって、特別絵柄表示装置40に最終的に停止表示される大当り絵柄、外れリーチ絵柄、及び外れ絵柄の各種の絵柄が決定される。また、各絵柄を変動して停止する際に、変動時間を異ならせたり、登場するキャラクターを異ならせたり、変動する絵柄の大きさや色を異ならせる等、種々の演出を行うための変動パターンも決定される。
大当り処理(S50)では、図16に示すように、先ず実行エリアに格納されている当否判定用カウンタC1の値が「大当り」の値であるか否か、すなわち、大当りであるか否かを判定し(S501)、大当りであれば、開放回数カウンタCRに「15」の値をセットし(S502)、入賞個数カウンタCEに「0」の値をセットし(S503)、開放回数カウンタCRの値を「1」減じて(S504)、大入賞口23を開放し(S505)、S506の処理に移行する。一方、大当りでなければ、以降の全ての処理をスキップして、大当り処理を終了する。
ここで、開放回数カウンタCRは、繰り返し開放される大入賞口23の開放回数をカウントダウンするためのものであり、本実施例では、開放回数の上限が15回であるため、最初に「15」の値がセットされ、大入賞口23の開放前に「1」減算される。また、入賞個数カウンタCEは、大入賞口23の1回の開放中に入賞した遊技球の入賞個数をカウントするためのものであり、大入賞口23が開放される前に、リセットのために「0」の値がセットされ、大入賞口23の開放中においては、大入賞口スイッチ23Sが遊技球を検知するごとに、「1」加算される。
S506の処理では、入賞個数カウンタCEの値が「10」より大きいか否かを判定し、大きくなければ、S507の処理に移行する。一方、大きければ、S507の処理をスキップし、大入賞口23を閉鎖し(S508)、S509の処理に移行する。これにより、大入賞口23は、1回の開放中に遊技球が10個入賞すると、閉鎖される。
S507の処理では、大入賞口23の開放時間が閉鎖時期に達したか否かを判定し、閉鎖時期に達していなければ、S506の処理に戻る。一方、閉鎖時期に達していれば、大入賞口23を閉鎖し(S508)、S509の処理に移行する。これにより、大入賞口23は、1回の開放中に遊技球が10個入賞しなくても、開放時間が閉鎖時期に達すると閉鎖される。
S509の処理では、開放回数カウンタCRの値が「0」であるか否かを判定し、「0」でなければ、S510の処理に移行する。一方、「0」であれば、大入賞口23の開放回数が上限の15回に達したことになるので、以降の処理をスキップし、大当り処理を終了する。
S510の処理では、大入賞口23のVゾーン24を遊技球が通過したか否か、すなわち、V入賞ありか否かを判定する。この判定は、大入賞口23の開放中にVゾーンスイッチ24Sが遊技球を検知したか否かよって行われる。「V入賞あり」であれば、大入賞口23を繰り返し開放させるための権利が取得されたものとして、S503の処理に戻り、以降の処理を繰り返し実行する。一方、「V入賞あり」でなければ、大入賞口23を繰り返し開放させるために権利が取得されなかったものとして、大当り処理を終了する。
割込み処理におけるその他処理(S60)では、特別絵柄始動口22を開放させるための「当り」の抽選処理、パチンコ機10の各種の機器を制御するための処理等、各種の処理が行われる。なお、その他処理(S60)については、本発明に直接的に関わるものではないため、詳細は省略する。
次に、表示制御基板40Kにて行われる貯蓄及び放出に関する処理について説明する。貯蓄処理では、図17に示すように、先ず貯蓄条件が成立したか否かを判定する(S601)。ここで、具体的には、主制御基板60から賞球の払出しの信号を受けると、貯蓄条件が成立したと判定する。そして、貯蓄条件が成立していれば、適宜数量の遊技球を貯蓄部80に貯蓄すべく、貯蓄装置81を駆動して(S602)、処理を終了する。一方、貯蓄条件が成立していなければ、貯蓄条件が成立するまで、この判定を繰り返し行う。
また、放出処理では、図18に示すように、先ず貯蓄部80が満杯か否かを判定する。ここで、この判定は、貯留量検出スイッチ80SがONされたか否かを検出することによってなされる(S701)。そして、貯蓄部80が満杯であれば、貯蓄部80にこれ以上の遊技球を貯蓄することができないことになるので、満杯処理として、放出装置82を1秒間作動させて、適宜数量の遊技球を貯蓄部80から放出し(S702)、S703の処理に移行する。一方、満杯でなければ、貯蓄部80に遊技球を未だ貯蓄することができることになるので、遊技球の放出は行わず、S702の処理をスキップして、S703の処理に移行する。
S703の処理では、特別放出条件が成立したか否かを判定する。この判定は、主制御基板60から特別放出条件の成立信号を受けたか否かによってなされる。そして、特別放出条件が成立していれば、特別放出処理を実行して(S704)、放出処理を終了する。ここで、特別放出処理では、主制御基板60から表示コマンド(図14のS406参照)を受けて、放出装置82の作動を開始し、確定コマンド(図14のS410)を受けて、放出装置82の作動を停止する。これにより、特別絵柄表示装置40において表示内容の変動を開始した時点から表示内容を確定した時点まで、放出装置82が作動され、抽選結果を表示するに際しての演出の継続時間と同調して、放出装置82が駆動される。一方、特別放出条件が成立していなければ、以降の処理をスキップして、放出処理を終了する。
このように、本実施例では、遊技に基づく普通入賞口20、特別絵柄始動口22、及び大入賞口23への遊技球の入賞によって、所定数の遊技球が適宜貯蓄部80内に貯蓄され、貯蓄された遊技球の所定量への到達、または、遊技に基づく抽選の結果に応じて、貯蓄された遊技球が放出される。このため、遊技者は、入賞口への遊技球の入賞といった払出条件の成立による遊技球の払出しに加えて、貯蓄された遊技球の放出にも期待を寄せることとなるため、遊技に対する期待感を多様化させることができる。また、放出条件の成立によって放出される遊技球の数量は一定でなく、遊技の実状に応じて異なるため、放出によって獲得できる遊技球の数量に対する期待感が多様化し、興趣を、より一層、向上させることができる。
また、遊技球の貯蓄及び放出は、遊技球の経路における排出装置53以降に設けられた貯蓄装置81、貯蓄部80及び放出装置82によって行われるため、本例パチンコ機10における排出装置53までの構成を、遊技球の貯蓄及び放出を行わない従来のものと同様の構成とすることができる。このため、種々のタイプの遊技機において、構成部品の共用化を図ることができる。また、制御処理に関しても、遊技球の貯蓄及び払出の制御処理を行う表示制御基板40K以外、主制御基板60や払出制御基板72K等の種々の基板は、遊技球の貯蓄及び放出を行わない従来のものと同様の構成とすることができる。このため、制御処理を行う基板についても、共用化を図ることができる。
さらに、本発明の遊技機は、従来から提案されている「遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる成立条件を複数設けたもの」とは異なり、「払出条件及び放出条件といった、遊技球を獲得するための直接的な条件を複数設けたもの」であり、しかも、「貯蓄」及び「放出」なる着想は、全く斬新なものである。よって、遊技球を獲得するための直接的な条件として、従来にはない「貯蓄」及び「放出」といった新たな遊技内容が付加されて、この新たな遊技内容が「特別遊技状態に伴なう払出しに関する遊技」に相俟って遊技内容を多様化する。従って、今までにない新たな趣向でもって、遊技を行う楽しみを遊技者に与えることができる。
ところで、特別絵柄表示表示装置40における「大当り」に関する抽選結果の表示に際して行われる演出は、その継続時間が長くなればなる程、「大当り」への期待感を増加させるように設定されている。そして、本例では、加えて、演出の継続時間が長くなればなる程、遊技球の放出量が増加する。よって、特別絵柄表示装置40での表示に対して、遊技者は、演出の実行中に、「大当り」への期待感と、遊技球の多量な放出への期待感とが相俟って、直ぐに表示内容が確定せず、演出が長く継続することを願いつつ表示に注視し、この表示を堪能することができる。このため、長時間に渡って無用に助長された演出によって、遊技者が辟易してしまう、といった不具合が生じることを抑制することができる。また、継続時間の長い演出が現出した結果、「大当り」に至らなかった場合には、高揚した期待感から大きく落胆して、その後の遊技に対する情熱が低下してしまう虞があるが、本例では、たとえ「大当り」には至らなかったとしても、継続時間の長い演出の現出によって、多量の遊技球を獲得できることから、落胆の感を緩和させることができ、遊技に対する情熱が大きく低下することを抑制することができる。
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明はこの実施形態に限定されるものではなく、以下に示すように、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可能である。
上記実施形態では、遊技球を貯蓄する態様として、入賞口への遊技球の入賞等によって排出される遊技球の一部を貯蓄するものを示したが、これに限定するものではなく、遊技領域内に貯蓄用の入口を別途設け、この入口に入った遊技球を適宜貯蓄するようにしてもよい。このようにすれば、遊技者が遊技を行うにつれて徐々に遊技球が貯蓄され、長時間遊技を行うと多量の遊技球が貯蓄されるため、この間、遊技球をそれ程獲得できなかった遊技者は、この多量の遊技球の放出に期待するようになり、遊技に対する期待感が向上される。
上記実施形態では、遊技球の振分けにより貯蓄部80に遊技球を貯蓄させる貯蓄装置81を示したが、遊技球を排出する排出装置として、遊技球を貯蓄するための貯蓄用の排出装置を別途設け、この貯蓄用の排出装置の駆動によって、遊技球を貯蓄するようにしてもよく、或は、排出装置を、例えば正逆双方向に回動して作動するものとし、回動方向を切り換えることで、遊技球の払出し及び貯蓄の双方を行うことができるようにしてもよい。
貯蓄部80としてはタンク状のものに限らず、遊技球を整列して収容するレール状のものや、平面的に収容する皿状のもの等、遊技媒体である遊技球等の実物を収容して貯蓄することができるものであればよい。また、貯蓄手段としては、遊技媒体の実物を貯蓄するものに限らず、遊技媒体を数値として貯蓄する記憶装置等を用いて、遊技媒体を仮想的に貯蓄するものであってもよい。
遊技媒体の放出量に拘わる演出としては、「大当り」に関する抽選結果を表示する表示装置による演出に限らず、その他の表示装置や、ランプ、スピーカ等による演出であってもよい。また、役物内での遊技媒体の不定的な継続時間の挙動による演出であってよい。具体的には、例えば、図19に示すように、パチンコ機において、遊技領域に設けられた役物100に遊技球Bが侵入してスタートチェッカー101を通過すると、放出条件が成立したとして、放出装置82の駆動を開始させ、貯蓄された遊技球Bの放出を行う。そして、遊技球Bが、スロープ102を経て、皿103(所謂「クルーン」)上を不定的な継続時間で回遊する演出を行った後、役物下部の入賞口104に入賞すると、放出装置82の作動を停止させるようしてもよい。このように、遊技媒体自体によって行われる演出に応じた量で、遊技媒体を放出することとしてもよい。
さらに、遊技媒体の放出量に関する「遊技の実状」は、上記のような種々の演出に限らず、遊技媒体の放出量を変動させるために参照することができる種々の事象の状態を適用することもできる。
以上の他、遊技機として、スロットマシン、アレンジボール、スマートボール、各種のコインゲーム等、他の遊技機とすることもできる。