JP2009238940A - フォトダイオード及びそれを含む撮像素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡易な構造でリーク電流を低減しつつ、光検出効率を向上させること。
【解決手段】このフォトダイオード1は、シリコン基板2と、基板2上に形成された埋め込み絶縁層3と、埋め込み絶縁層3上の領域Aに形成された半導体層5と、半導体層5上に形成されたゲート絶縁層6と、ゲート絶縁層6上に形成されたゲート電極層7と、埋め込み絶縁層3上において領域Aを挟んで半導体層5に隣接して形成されたp型半導体層8及びn型半導体層9とを備え、ゲート電極層7には、入射光に応じた表面プラズモンによって近接場光を発生させる周期的な凹凸構造が、表面に沿って形成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、入射光を検出するフォトダイオード及びそれを含む撮像素子に関する。
蛍光寿命の測定、DNA分析、共焦点顕微鏡を用いた分析や、量子情報通信分野、高エネルギー物理分野等の研究において、単一光子レベルの微弱光検出技術が広く用いられており、近年では感度向上や検出の高速化が求められてきている。これまで様々な光検出方式が検討されているが、半導体内での光電変換現象を利用したフォトダイオードは、量産性に優れ、1次元及び2次元のアレー状に配列して撮像素子を構成することが容易であるという点で広く用いられている。
一般に、フォトダイオードによる光電変換作用を用いて電子又は正孔を大きな電圧信号に変換して単一光子レベルの高感度な動作を行わせるためには、フォトダイオードの並列容量を小さくする必要がある。また、並列容量を小さくすることは動作速度を向上させる結果にもつながる。並列容量を小さくするためには、フォトダイオードのpn接合面積を小さくする方法と、半導体中の不純物濃度を下げて空乏層幅を広げる方法があるが、後者の方法は電子(正孔)の走行時間を増加させてしまうため動作速度がかえって低下する傾向にある。
さらに、図13に示す従来のフォトダイオード901は、p型半導体基板902中に広がっている空乏層が絶縁物903と半導体との界面に接しているため、界面準位を原因とするリーク電流(暗電流)が生じる問題がある。このリーク電流を減少させるには、接合面積を小さくする方法と、絶縁物と半導体との界面が空乏化しないように不純物を添加して界面から離れたところにダイオードを埋め込む方法があるが、後者の場合は構造が複雑化する傾向にある。
そのため、光検出時に高感度、高速度を実現し、リーク電流を防止するためには、図13に示すようなダイオードにおいてpn接合面積(W01×W02)を小さくすることが考えられるが、その場合には受光面積も小さくなるために光を効率よく検出することができないという問題が生じる。このような問題に対処するためのフォトダイオードの構造としては、下記特許文献1のものが知られている。このフォトダイオードは、SOI(Silicon On Insulator)上に形成されたn半導体層及びn半導体層と、n半導体層に接して設けられた金属周期構造体とを有し、この金属周期構造体に入射光が入射することにより表面プラズモンを励起し、周期構造によって入射光と表面プラズモンとの共鳴状態を作る。
国際公開WO2005/098966号
しかしながら、上述した従来のフォトダイオードにおいては、高度な微細加工が必要であり、基板に埋め込まれたn半導体層から表面に電極を引き出す必要があるため構造が複雑になる。加えて、ショットキー接合はリーク電流が比較的大きいため、検出感度を単一光子レベルに向上させることは困難である。一方、pn接合では表面付近で発生した電子(正孔)が有効に利用できないため光の検出効率が低下してしまう。さらに、このフォトダイオードでは、空乏層が絶縁物と半導体との界面に接するため、界面準位を原因とするリーク電流の発生の問題が依然として存在する。
そこで、本発明は、かかる課題に鑑みて為されたものであり、簡易な構造でリーク電流を低減しつつ、光検出効率を向上させることが可能なフォトダイオード及びそれを含む撮像素子を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明のフォトダイオードは、半導体又は金属から成る基板と、基板上に形成された埋め込み絶縁層と、埋め込み絶縁層上の所定領域に形成された半導体層と、半導体層上に形成されたゲート絶縁層と、ゲート絶縁層上に形成されたゲート電極層と、埋め込み絶縁層上において所定領域を挟んで半導体層に隣接して形成されたp型半導体層及びn型半導体層とを備え、ゲート電極層には、入射光に応じた表面プラズモンによって近接場光を発生させる周期的な凹凸構造が、表面に沿って形成されている。
このようなフォトダイオードによれば、基板に積層された埋め込み絶縁層上に半導体層が形成され、基板面に沿って半導体層を挟んでp型半導体層とn型半導体層とが配置されるので、pn接合面積は半導体層の厚さとp型半導体層及びn型半導体層の幅で決まる。これにより、高度な微細加工を必要とせずに容易にpn接合面積を小さくすることができる。また、ゲート電極層の表面には周期的な凹凸形状が形成されているので、表面プラズモンを利用した近接場光増強層として光検出効率を向上させることができるとともに、半導体層とゲート電極層との間にはゲート絶縁層が存在するためリーク電流も低減することができる。さらに、基板上にpn接合が配置されるため電極を表面に取り出すための構造を付加する必要も無くなり構造が簡素化される。
また、ゲート電極層は、所定間隔及び所定幅で周期的に形成された凸部を表面に有することが好ましい。こうすれば、入射光の波長及び偏波方向に対する検出感度を容易に制御することができる。
さらに、p型半導体層の所定領域との境界の幅が、n型半導体層の所定領域との境界の幅とは異なるように設定されていることも好ましい。この場合、入射光を受ける半導体層の面積を小さくすることなく接合面積を小さくすることができる。その結果、入射光の検出感度を効果的に向上させることができる。
またさらに、ゲート絶縁層に接する半導体層の界面における電子又は正孔の密度が半導体層中の真性キャリア密度よりも大きく、かつ埋め込み絶縁層に接する半導体層の界面における電子又は正孔の密度が半導体層中の真性キャリア密度よりも大きくなるように、ゲート電極層及び基板に電圧が印加されることも好ましい。このように電圧を印加すれば、ゲート絶縁層及び埋め込み絶縁層と半導体層との界面における電子(正孔)の濃度を上げて界面の空乏化を防止することで、リーク電流をより一層低減することができる。
或いは、本発明の撮像素子は、上述したフォトダイオードを有する。このような撮像素子によれば、検出感度及び検出速度が高く、リーク電流も低減された撮像素子を実現することができる。
また、フォトダイオードのカソード電極又はアノード電極である浮遊電極にゲートが接続されたバッファトランジスタと、バッファトランジスタに直列に接続された画素選択用トランジスタとをさらに有することが好ましい。
さらに、バッファトランジスタのゲートが、浮遊電極にゲート絶縁層を介して静電的に結合されていることも好ましい。この場合、浮遊電極における寄生容量をさらに小さくすることができ、単位電荷あたりの出力信号をより大きくすることができる。
本発明のフォトダイオードによれば、簡易な構造でリーク電流を低減しつつ、光検出効率を向上させることができる。
以下、図面を参照しつつ本発明にフォトダイオード及び撮像素子の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
図1は、本発明の好適な一実施形態にかかるフォトダイオード1の積層方向に沿って切断した断面図、図2は、図1のフォトダイオード1の平面図、図3は、図1のフォトダイオード1の拡大断面図である。同図に示すフォトダイオード1は、入射光強度に応じた出力信号を生成するための半導体受光素子であり、撮像素子の一部を構成する素子である。
図1及び図2に示すように、フォトダイオード1は、シリコン基板2上に酸化シリコン等の埋め込み絶縁層3と半導体層5,8,9が積層されたSOI(Silicon On Insulator)構造4を有している。この埋め込み絶縁層3上の矩形状の領域Aには、半導体層5が設けられている。この半導体層5は、領域Aの範囲において深さ方向の大部分が空乏化して受光層として機能するように、シリコン等の半導体に低濃度でボロンやリン等のp型不純物又はn型不純物が添加されて構成されている。この半導体層5上には、領域Aを覆うように酸化シリコン等から成るゲート絶縁層6が形成され、このゲート絶縁層6上に透光性材料から成るゲート電極層7が形成されている。すなわち、ゲート電極層7は、ゲート絶縁層6を介して半導体層5上の領域Aを覆っており、半導体層5から絶縁されている。
上記半導体層5のp型不純物濃度N又はn型不純物濃度Nは、以下のように設定されている。すなわち、半導体層5の厚さts、半導体層5の比誘電率es、真空の誘電率eo、電子の単位電荷q、半導体層5のフェルミレベルと真性フェルミレベルの差ffに対して、NA<4eseo|ff|/(qts 2) 、又はND<4eseo|ff|/(qts 2)となるように設定される。このフェルミレベルの差ffは、p型半導体の場合は、ff=(kT/q)ln(NA/ni)、n型半導体の場合ff=-(kT/q)ln(ND/ni)で求められる(kはボルツマン定数、niは真性キャリア濃度)。
また、埋め込み絶縁層3上において領域Aを両端から挟むように、半導体層5とほぼ同一の膜厚でp型半導体層8及びn型半導体層9が形成されている。このp型半導体層8及びn型半導体層9は、それぞれ、シリコン等の半導体に高濃度(1019cm−3以上)でボロン等のp型不純物及びリン等のn型不純物が添加されて構成されており、半導体層5に隣接するように設けられることでアノード電極及びカソード電極として機能する。
なお、上記構成におけるpn接合面積は、半導体層5の設けられた領域Aのp型半導体層8及びn型半導体層9との接合面に沿った方向の幅をW、半導体層5の厚さをtとすると、W×tによって計算される。従って、膜厚tはリソグラフィ等の半導体加工技術によらずに容易に小さくできる(例えば、100nm以下)ので、pn接合面積を容易に小さくできることがわかる。例えば、膜厚tとしては、半導体層5の光吸収係数をαとすると、ゲート電極層7及びゲート絶縁層6を伝搬してきた入射光が99%吸収される厚さよりも薄くなるように、t<4.6/αに設定される。
このようなフォトダイオード1によって入射光を検出する際には、ゲート電極層7にゲート電圧Vが、シリコン基板2に基板電圧Vsubが印加される。ゲート電圧V及び基板電圧Vsubを調整することで、半導体層5の上下の界面における電子又は正孔の密度を広範囲で制御することができる。特に、ゲート電圧V及び基板電圧Vsubは、下記のように、ゲート絶縁層6に接する半導体層5の界面と、埋め込み絶縁層3に接する半導体層5の界面における電子又は正孔の密度が半導体層5の真性キャリア密度よりも十分に大きくなるように設定されることが好ましい。
具体的には、ゲート電極層7と半導体層5との間の仕事関数差をfms1、シリコン基板2と半導体層5との間の仕事関数差をfms2、ゲート絶縁層6の容量をCox、半導体層5の容量をCs、埋め込み絶縁層3の容量をCbox、半導体層5中の不純物電荷をQsとすると、ゲート絶縁層6と半導体層5の界面を反転状態又は蓄積状態に設定するための閾値ゲート電圧又はフラットバンドゲート電圧は、以下のように求められる。
半導体層5と埋め込み絶縁層3の界面が蓄積状態にある時のしきい値ゲート電圧は、下記式(1);
Figure 2009238940

により計算され、半導体層5と埋め込み絶縁層3の界面が反転状態にある時のしきい値ゲート電圧は、下記式(2);
Figure 2009238940

により計算される。また、半導体層5と埋め込み絶縁層3の界面が蓄積状態にある時のフラットバンドゲート電圧は、下記式(3);
Figure 2009238940

により計算され、半導体層5と埋め込み絶縁層3の界面が反転状態にある時のフラットバンドゲート電圧は、下記式(4);
Figure 2009238940

によって計算される。
同様に、埋め込み絶縁層3と半導体層5の界面を反転状態又は蓄積状態に設定するための閾値基板電圧又はフラットバンド基板電圧は、次のように求められる。半導体層5とゲート絶縁層6の界面が蓄積状態にある時のしきい値基板電圧は、下記式(5);
Figure 2009238940

によって求められ、半導体層5とゲート絶縁層6の界面が反転状態にある時のしきい値基板電圧は、下記式(6);
Figure 2009238940

によって求められる。また、半導体層5とゲート絶縁層6の界面が蓄積状態にある時のフラットバンド基板電圧は、下記式(7);
Figure 2009238940

によって求められ、半導体層5とゲート絶縁層6の界面が反転状態にある時のフラットバンド基板電圧は、下記式(8);
Figure 2009238940

によって求められる。
従って、半導体層5がp型半導体である場合は、2つの界面における電子又は正孔の密度が半導体層5の真性キャリア密度よりも十分に大きくなるように、下記式(9)〜(12)のいずれかの条件を満たすように、ゲート電圧V及び基板電圧Vsubが設定される。
Figure 2009238940

Figure 2009238940

Figure 2009238940

Figure 2009238940
上記式(9)は、半導体層5とゲート絶縁層6の界面が反転状態にあり、かつ半導体層5と埋め込み絶縁層3の界面が反転状態にある条件であり、上記式(10)は、半導体層5とゲート絶縁層6の界面が反転状態にあり、かつ半導体層5と埋め込み絶縁層3の界面が蓄積状態にある条件であり、上記式(11)は、半導体層5とゲート絶縁層6の界面が蓄積状態にあり、かつ半導体層5と埋め込み絶縁層3の界面が蓄積状態にある条件であり、上記式(12)は、半導体層5とゲート絶縁層6の界面が蓄積状態にあり、かつ半導体層5と埋め込み絶縁層3の界面が反転状態にある条件である。
同様に、半導体層5がn型半導体である場合は、下記式(13)〜(16)のいずれかの条件を満たすように、ゲート電圧V及び基板電圧Vsubが設定される。
Figure 2009238940

Figure 2009238940

Figure 2009238940

Figure 2009238940
上記式(13)は、半導体層5とゲート絶縁層6の界面が蓄積状態にあり、かつ半導体層5と埋め込み絶縁層3の界面が蓄積状態にある条件であり、上記式(14)は、半導体層5とゲート絶縁層6の界面が蓄積状態にあり、かつ半導体層5と埋め込み絶縁層3の界面が反転状態にある条件であり、上記式(15)は、半導体層5とゲート絶縁層6の界面が反転状態にあり、かつ半導体層5と埋め込み絶縁層3の界面が反転状態にある条件であり、上記式(16)は、半導体層5とゲート絶縁層6の界面が反転状態にあり、かつ半導体層5と埋め込み絶縁層3の界面が蓄積状態にある条件である。
ここで、フォトダイオード1では、pn接合面積を小さくするために半導体層5の膜厚tを小さく設定したことによる入射光の検出効率の低下をカバーするために、ゲート電極層7が近接場増強層として用いられている。近接場増強層は、入射光の波長と同程度もしくはそれ以下の寸法の微細構造を有するプラズモン活性媒質からなり、入射光から変換された表面プラズモンによって近接場光(エバネッセント光)を発生させる。プラズモン活性媒質とは、比誘電率の実部が負値をとる誘電体媒質である。このゲート電極層7で発生した近接場光が効率よく半導体層5に吸収される。
詳細には、ゲート電極層7は、導電性を有するプラズモン活性媒質であるAgやAu等からなり、その表面に周期的な凹凸構造が形成されている。より具体的には、ゲート電極層7の表面には、所定の間隔P及び所定の幅Wで直線状に複数の凸部10が、互いに平行になるように形成されている(図3)。このようなゲート電極層7の凹凸構造によれば、入射光の吸収効率の波長依存性を間隔P及び幅Wによって調整し、入射光の偏波方向に対する吸収効率も凸部10の形成方向(図2においてゲート電極層7に引かれている縦線の方向)によって制御することができる。
また、このフォトダイオード1においては、ゲート絶縁層6を直接トンネル電流が流れない程度に薄く(例えば3.5から10nmに)することで近接場光の損失を小さくすることができる。
次に、本実施形態に係るフォトダイオード1を含む撮像素子における画素ユニットについて説明する。
図4(a)は、撮像素子における各画素を構成する画素ユニット101の平面図、図4(b)は、画素ユニット101の回路図である。この画素ユニット101では、フォトダイオード1のカソード電極が浮遊電極として働き、そのカソード電極は初期化用トランジスタ102を介して初期化電位VDDに設定される。そして、フォトダイオード1のカソード電極には、バッファトランジスタ104のゲート電極が接続され、バッファトランジスタ104には、画素選択用トランジスタ103が直列に接続されている。浮遊電極の電圧信号は、画素選択用トランジスタ103を導通させることにより、バッファトランジスタ104を介して読み出される。このような画素ユニット101を1次元あるいは2次元のアレー状に配列することにより撮像素子を構成することができる。なお、初期化用トランジスタ102、バッファトランジスタ104、及び画素選択用トランジスタ103としては、nチャネルMOSFETを用いているが、pチャネルMOSFETを使用してフォトダイオード1のアノード電極を浮遊電極に設定してもよい。
また、図5(a)は、本実施形態の変形例である画素ユニット201の平面図、図5(b)は、画素ユニット201の回路図である。この画素ユニット201では、フォトダイオード1のアノード電極に正の初期化電圧を印加してフォトダイオード1を導通状態にすることにより浮遊電極の電圧を初期化する。このような構成により、初期化用トランジスタを省略することができ、浮遊電極の周りの寄生容量を低減させて単位電荷あたりの出力信号を大きくし画素面積に占める受光面積の割合を増加させて入射光を有効利用することができる。また、絶縁層3上に形成されたフォトダイオード1を用いることでアノード電極の電圧を独立に設定するための構造が簡略化される。なお、バッファトランジスタ104、及び画素選択用トランジスタ103としては、nチャネルMOSFETを用いているが、pチャネルMOSFETを使用してフォトダイオード1のアノード電極を浮遊電極に設定してもよい。
また、図6(a)は、本実施形態の別の変形例である画素ユニット301の平面図、図6(b)は、画素ユニット301の回路図である。この画素ユニット301では、フォトダイオード1のアノード電極を浮遊電極として用いて、バッファトランジスタ104のゲートが、MOS容量105を介して浮遊電極に静電的に結合されている。ここで、ゲート電極303下の半導体層を反転させるために、バッファトランジスタ104側はnチャネルに、浮遊電極側はpチャネルとなっている。この画素ユニット301を受光動作させる際にはカソード電極に正電圧が印加され、初期化の際にはカソード電極に負電圧が印加される。このようにバッファトランジスタ104のゲートがMOS容量105のゲート絶縁層を介して浮遊電極に静電的に結合されるような構成を採ることにより、浮遊電極に生じる寄生容量をさらに低減し、単位電荷あたりの出力信号を大きくすることができる。なお、バッファトランジスタ104、及び画素選択用トランジスタ103としては、nチャネルMOSFETを用いているが、pチャネルMOSFETを使用してフォトダイオード1のカソード電極を浮遊電極に設定してもよい。
以上説明したフォトダイオード1によれば、シリコン基板2に積層された埋め込み絶縁層3上に半導体層5が形成され、基板面に沿って半導体層5を挟んでp型半導体層8とn型半導体層9とが配置されるので、pn接合面積は半導体層5の厚さtとp型半導体層8及びn型半導体層9に対する接合面の幅Wとで決まる。これにより、高度な微細加工を必要とせずに容易にpn接合面積を小さくすることが可能になり、光電効果によって生じた電子(正孔)に対する感度を向上させるとともに動作速度も向上させることができる。また、ゲート電極層7の表面には周期的な凹凸形状が形成されているので、表面プラズモンを利用した近接場光増強層として光検出効率を向上させることができるとともに、半導体層5とゲート電極層7との間にはゲート絶縁層6が存在するためリーク電流も低減することができる。その結果、検出可能な入射光の最小光電力を下げることができる。さらに、基板上にpn接合が配置されるため電極を表面に取り出すための構造を付加する必要も無くなり構造が簡素化される。
また、ゲート電極層7は、所定間隔P及び所定幅Wで直線状に形成された凸部10を表面に有するので、入射光の波長及び偏波方向に対する検出感度を容易に制御することができる。図7は、間隔P及び幅Wを変化させた際の入射光の半導体層5における吸収効率を示すグラフである。この結果により、W/P=0.7で一定として、間隔Pを変化させると、間隔Pが大きくなるに従ってより大きな波長に感度のピークが移動していることがわかる。また、図8は、入射光の偏光方向を変化させた場合の入射光の半導体層5における吸収効率を示すグラフである。このグラフにおいて偏光角度とは、ゲート電極層7の表面に垂直な方向に入射する入射光の磁界と凸部10の形成方向(図2におけるゲート電極層7に引かれている縦線の方向)とがなす角を示しており、入射光の波長が550nm、間隔Pが200nm、幅Wが140nmのときの吸収効率の変化を示している。この結果から、吸収効率は、偏光角度が増加するに従って減少していることがわかる。このように、ゲート電極層7の凹凸構造の間隔及び幅を調整することによりフォトダイオードの波長感度を様々に制御することができ、凹凸構造の形成方向によっても入射光の偏光角度に対する感度を設定することができる。
またさらに、ゲート絶縁層6に接する半導体層5の界面における電子又は正孔の密度が半導体層5中の真性キャリア密度よりも大きく、かつ埋め込み絶縁層3に接する半導体層5の界面における電子又は正孔の密度が半導体層中の真性キャリア密度よりも大きくなるように、ゲート電極層7及びシリコン基板2に電圧が印加されるので、ゲート絶縁層6及び埋め込み絶縁層3と半導体層5との界面における電子(正孔)の濃度を上げて界面の空乏化を防止することで、リーク電流をより一層低減することができる。
なお、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではない。例えば、図9及び図10に示す本発明の変形例であるフォトダイオード21に示すように、ゲート電極層27の表面には同心円状の周期的な凸部30を含む凹凸構造が形成されてもよい。このようなゲート電極層27の表面には中心の凹部31(図10参照)の近傍にのみ強い近接場光が生じるため、それに対応して半導体層5の幅Wを小さくすることができ、一層の並列容量及びリーク電流の低減が実現される。また、この様なゲート電極層27の場合には、吸収効率が偏光角度に依存しない点も用途によっては好ましい。
また、図11に示す本発明の別の変形例であるフォトダイオード41に示すように、半導体層5の設けられた領域Aとp型半導体層48及びn型半導体層49との接合面(境界)のそれぞれの幅W,Wが、W>Wとなるように、p型半導体層48及びn型半導体層49が形成されてもよい。このような構造により、pn接合面積を半導体層5の受光面積を減らすこと無しに小さくすることができる。同様に、W<Wとなるように、p型半導体層48及びn型半導体層49が形成されてもよいことは言うまでもない。
また、図12に示す本発明の別の変形例であるフォトダイオード61に示すように、ゲート電極層7の上方にマイクロレンズ62等の集光機構を設けて、このマイクロレンズ62によって入射光をゲート電極層7の所定領域に入射させてもよい。
また、シリコン基板2の代わりにステンレスやアルミニウム等の金属から成る基板を用いてもよい。また、半導体層5の材料としては不純物を添加しない半導体を用いてもよい。
本発明の好適な一実施形態にかかるフォトダイオードの積層方向に沿って切断した断面図である。 図1のフォトダイオードの平面図である。 図1のフォトダイオードの拡大断面図である。 (a)は、本発明の実施形態である画素ユニットの平面図であり、(b)は、(a)の画素ユニットの回路図である。 本発明の変形例である画素ユニットの平面図であり、(b)は、(a)の画素ユニットの回路図である。 本発明の別の変形例である画素ユニットの平面図であり、(b)は、(a)の画素ユニットの回路図である。 凹凸構造の間隔及び幅を変化させた際の入射光の半導体層における吸収効率を示すグラフである。 入射光の偏光方向を変化させた場合の入射光の半導体層における吸収効率を示すグラフである。 本発明の変形例にかかるフォトダイオードの平面図である。 図10のフォトダイオードの積層方向に沿って切断した拡大断面図である。 本発明の別の変形例にかかるフォトダイオードの平面図である。 本発明の別の変形例にかかるフォトダイオードの積層方向に沿って切断した断面図である。 (a)は、従来例にかかるフォトダイオードの積層方向に沿って切断した断面図であり、(b)は、(a)のフォトダイオードの平面図である。
符号の説明
1,21,41,61…フォトダイオード、2…シリコン基板、3…絶縁層、4…SOI構造、5…半導体層、6…ゲート絶縁層、7,27…ゲート電極層、8,48…p型半導体層、9,49…n型半導体層、10,30…凸部、31…凹部、62…マイクロレンズ、101,201,301…画素ユニット、102…初期化用トランジスタ、103…画素選択用トランジスタ、104…バッファトランジスタ、105…MOS容量、901…従来構造のフォトダイオード、902…半導体基板、903…絶縁物。

Claims (7)

  1. 半導体又は金属から成る基板と、
    前記基板上に形成された埋め込み絶縁層と、
    前記埋め込み絶縁層上の所定領域に形成された半導体層と、
    前記半導体層上に形成されたゲート絶縁層と、
    前記ゲート絶縁層上に形成されたゲート電極層と、
    前記埋め込み絶縁層上において前記所定領域を挟んで前記半導体層に隣接して形成されたp型半導体層及びn型半導体層とを備え、
    前記ゲート電極層には、入射光に応じた表面プラズモンによって近接場光を発生させる周期的な凹凸構造が、表面に沿って形成されている、
    ことを特徴とするフォトダイオード。
  2. 前記ゲート電極層は、所定間隔及び所定幅で周期的に形成された凸部を表面に有する、
    ことを特徴とする請求項1記載のフォトダイオード。
  3. 前記p型半導体層の前記所定領域との境界の幅が、前記n型半導体層の前記所定領域との境界の幅とは異なるように設定されている、
    ことを特徴とする請求項1又は2記載のフォトダイオード。
  4. 前記ゲート絶縁層に接する前記半導体層の界面における電子又は正孔の密度が前記半導体層中の真性キャリア密度よりも大きく、かつ前記埋め込み絶縁層に接する前記半導体層の界面における電子又は正孔の密度が前記半導体層中の真性キャリア密度よりも大きくなるように、前記ゲート電極層及び前記基板に電圧が印加される、
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のフォトダイオード。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のフォトダイオードを有することを特徴とする撮像素子。
  6. 前記フォトダイオードのカソード電極又はアノード電極である浮遊電極にゲートが接続されたバッファトランジスタと、
    前記バッファトランジスタに直列に接続された画素選択用トランジスタと、
    をさらに有することを特徴とする請求項5記載の撮像素子。
  7. 前記バッファトランジスタのゲートが、前記浮遊電極にゲート絶縁層を介して静電的に結合されている、
    ことを特徴とする請求項6記載の撮像素子。
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