JP2009238818A - 研磨方法および研磨用組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】基板の周端面において、下地の窒化シリコン膜に対して上層の酸化シリコン膜を選択的に研磨除去することが可能な研磨方法、およびこの研磨方法に用いる研磨用組成物を提供する。
【解決手段】表面に窒化シリコン膜3と酸化シリコン膜5とがこの順に成膜された基板1の周端面1bを、研磨パッドBに対して相対的に摺動させると共に、アミノ酸を含有する研磨用組成物Aを、周端面1bと研磨パッドBとの間の摺動部分に供給することにより、窒化シリコン膜3に対して酸化シリコン膜5を選択的に研磨除去する。研磨用組成物Aを構成するアミノ酸は、環状構造を備えている。
【選択図】図1

Description

本発明は研磨方法および研磨用組成物に関し、特には基板の周端面の研磨に関する研磨方法およびこの研磨方法に用いる研磨用組成物に関する。
半導体装置の製造においては、例えば単結晶シリコン等からなる基板エッジのベベル面を研磨する工程が行われている。この研磨工程においては、回転させた基板のベベル面に対して研磨テープを押し圧した状態で、研磨用組成物の溶液を基板面に供給する。この際に用いられる研磨用組成物は、シリカなどの研磨砥粒を含むものであり、例えば次のような組成物が用いられている。
例えば研磨速度を早めることを目的とし、酸化珪素粒子(シリカ)の粒子径と含有割合を段階的に規定し、さらにpH8.7〜10.6の範囲の緩衝溶液として調整された構成が提案されている。緩衝溶液に形成には、ホウ酸や炭酸などの弱酸や、アミン系の弱塩基、さらにはアルカリ金属の水酸化物や四級アンモニウムの水酸化物等を強塩基として用いるとしている(下記特許文献1参照)。
また特に、金属膜、酸化膜、窒化膜等が形成されたデバイスウェハのエッジ部分(周端面)の研磨速度を早め、また良好な粗さを得ることを目的とし、比表面積や粒子の長径と短径との比を所定範囲を規定したヒュームドシリカを磨砥粒として所定濃度で用いることが提案されている。この際、pH調整のための緩衝溶液に、炭酸、ホウ酸などの弱酸と、アルカリ金属の水酸化物や四級アンモニウムの水酸化物を使用するとしている(下記特許文献2参照)。
特開2003-297777号公報(段落0016等) 特開2007-13070号公報(段落0025等)
ところで、図3(1)に示すように、例えば基板1上に窒化シリコン膜3と酸化シリコン膜5とがこの順に積層成膜されている場合の基板1の周端面1bの研磨においては、酸化シリコン膜5のみを研磨して窒化シリコン膜3をそのまま保護膜として残したい場合がある。
しかしながら、上述した研磨方法では、砥粒が含有されている研磨用組成物A1を用いているため、砥粒と研磨対象物との物理的な作用によって研磨が進行し、研磨対象物の選択性は非常に低い。このため、基板1の周端面1bのような屈曲した面上の研磨においては、研磨パッドB1による研磨圧力が最も高く印加される突出部分において最も速く研磨が進行し、最表面の酸化シリコン膜5が部分的に除去されて窒化シリコン膜3が露出する。その後は、周端面1bの酸化シリコン膜5を十分に除去するまで研磨を続けると、先に露出された窒化シリコン膜3部分の研磨も進行する。このため、図3(2)に示すように、基板1の周端面1bにおいては、窒化シリコン膜3から下地の基板1が露出し易かった。
尚、このような現象は、砥粒を保持・固定させている研磨テープにおいても同様である。
そこで本発明は、基板の周端面において、下地の窒化シリコン膜に対して上層の酸化シリコン膜を選択的に研磨除去することが可能な研磨方法、およびこの研磨方法に用いる研磨用組成物を提供することを目的とする。
このような目的を達成するための本発明の研磨方法は、表面に窒化シリコン膜と酸化シリコン膜とがこの順に成膜された基板の周端面を、研磨パッドに対して相対的に摺動させると共に、アミノ酸を含有する研磨用組成物を周端面と研磨パッドとの間の摺動部分に供給することにより、窒化シリコン膜に対して選択的に酸化シリコン膜を研磨除去する方法である。また本発明は、このような研磨方法に用いる上記のアミノ酸を含有する研磨用組成物でもある。この研磨用組成物は、環状構造を備えたアミノ酸を含む水溶液からなり、砥粒を含有しないものである。
このような構成の本発明では、実施例で説明するように窒化シリコン膜に対して酸化シリコン膜を高選択比で研磨できることが分かった。このため、基板の周端面に研磨パッドを摺動させた研磨であっても、周端面の形状に依存する研磨パッドの摺動圧力の不均一性によらず、周端面に窒化シリコン膜を残してこの上部の酸化シリコン膜のみを研磨除去することができる。
以上説明したように本発明によれば、基板の周端面において、下地の窒化シリコン膜に対して上層の酸化シリコン膜を選択的に研磨除去することが可能であるため、窒化シリコン膜を基板の保護膜として残しながら、その上部の酸化シリコン膜を除去することが可能になる。
以下本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。下記実施形態においては、研磨用組成物の構成を説明し、次にこの研磨用組成物を用いた研磨方法を説明する。
<研磨用組成物>
ここで説明する研磨用組成物は、表面に窒化シリコン膜と酸化シリコン膜とがこの順に成膜された基板の周端面において、窒化シリコン膜上の酸化シリコン膜のみを選択的に研磨するために用いられるものである。
この研磨用組成物は、アミノ酸を含む水溶液である。研磨用組成物に含有されるアミノ酸は、嵩高い骨格であることが好ましい。このようなアミノ酸として、下記構造式(A)〜(E)に示す化合物が例示される。
Figure 2009238818
尚、ここで用いられるアミノ酸は、嵩高い骨格であることが望まれるため、上記で示したような炭素環構造や複素環構造を備えていることが好ましいが、環状構造は飽和であっても不飽和であっても良い。またアミノ酸構造が、炭素環構造や複素環構造の一部を構成していても良い。さらにアミノ酸は、鎖状のアミノ酸ポリマーであってもよい。
以上のようなアミノ酸化合物は、水溶液からなる研磨用組成物に0.05重量%〜10重量%の範囲で含有されていることが好ましい。尚、アミノ酸化合物が難水溶性の化合物である場合いは、アミノ酸化合物を溶解できるほどのアルコールなどの極性溶媒を添加しても良い。
またこの研磨用組成物は、pH2〜13の範囲であれば良く、必ずしもpH緩衝作用を有する必要はない。
さらにこの研磨用組成物には、ヒュームドシリカやコロイダルシリカ、酸化セリウム、酸化アルミニウムなどの微粒子状の砥粒が含有されていなくて良い。ただし、砥粒が含有されていても良い。
<研磨方法>
次に、上述した研磨用組成物を用いた基板の周端面の研磨方法を説明する。先ず研磨の対象となる基板の構成を説明する。
研磨の対象となる基板は、例えばシリコンウェハのような円板状のものである。図1(1)には研磨の対象となる基板1の端縁の拡大断面図を示す。この基板1の少なくとも一主面1a側は、複数の半導体チップ部分に区画され、各区画部分に半導体素子や電気回路がパターン形成されていることとする。また基板1の周端面(いわゆるベベル面)1bは円板の厚み方向の中間部を外側に膨らませた曲面として構成されて鏡面研磨仕上げが施されている。そして図に示すように、少なくとも基板1の一主面1a側から周端面1b側にかけては、窒化シリコン膜3で覆われ、さらにこの窒化シリコン膜3上が酸化シリコン膜5で覆われている。
このような基板1において、周端面1aの酸化シリコン膜5を窒化シリコン膜3に対して選択的に研磨除去するには、次のように行う。
図1(2)の全体図と拡大図に示すように、一主面1a側を上方に向け他状態で、基板1をスピンチャック11のステージ上に固定する。そして、基板1を面内で一方向に回転させる。この状態で、基板1の一主面1a上に、ノズル13から上述した研磨用組成物Aを供給する。これにより、基板1の遠心力によって、研磨用組成物Aを供給部から周端面1b側へ流動させる。
この状態で、基板1の回転によって一方向に回動している周端面1bに対して、研磨パッドBを押し圧する。この研磨パッドBは、研磨用の砥粒として例えばセリア(酸化セリウム)やシリカ(酸化ケイ素)粒子を含浸させて固定したものであっても良く、また砥粒を用いていないものであっても良い。このような研磨パッドBは、例えば基板1を挟んだ上下方向の支点b1,b2間に張設されており、この張設された研磨パッドB部分が周端面1bに押し圧されていることとする。また研磨パッドBは、支点b1から支点b2に向かって基板1の一主面1aに対して垂直方向に送り出しされていることとする。
以上により、研磨パッドBに対して基板1の周端面1bを相対的に摺動させると共に、アミノ酸を含有する研磨用組成物Aを、周端面1bと研磨パッドBとの間の摺動部分に供給し、周端面1bにおける酸化シリコン膜5を窒化シリコン膜3に対して選択的に研磨除去する。尚、研磨パッドBに対する基板1の周端面1bの相対的な摺動状態は、上述したような摺動状態に限定されることはない。
これにより、図1(3)に示すように、基板1の周端面1bは、上層の酸化シリコン膜5が研磨除去され、下層の窒化シリコン膜3が露出した状態となる。この窒化シリコン膜3は、周端部1bを完全に覆う保護膜として残される。
以上のような研磨方法では、研磨用組成物Aとして、砥粒を含有せずにアミノ酸を含む水溶液を用いたことにより、次の実施例で説明するように窒化シリコン膜に対して酸化シリコン膜を高選択比で研磨できることが分かった。このため、基板1の周端面1bに研磨パッドBを摺動させた研磨であっても、周端面1bの形状に依存する研磨パッドの摺動圧力の不均一性によらず、周端面1bに窒化シリコン膜3を保護膜として残しつつ、この上部の酸化シリコン膜5のみを研磨除去することが可能になる。
このような研磨の選択性は、研磨用組成物A中のアミノ酸が、研磨の進行過程において窒化シリコン膜に吸着し、窒化シリコン膜の研磨の進行を遅らせるためと考えられる。この際、アミノ酸として、炭素環構造や複素環構造を有するもの、さらには鎖状のアミノ酸ポリマー等の嵩高い物質を用いることにより、窒化シリコン膜に吸着したアミノ酸の立体障害性を高めることができ、研磨の進行を効果的に遅らせることができる。したがって、さらに窒化シリコン膜に対する酸化シリコン膜の研磨選択性を高めることが可能である。
尚、本発明においては研磨テープなどの固定砥粒が物理的除去の役割を果たすので、研磨用組成物Aとしては、砥粒が含有されていなくて良いとした。このため、研磨組成物Aは少なくともアミノ酸を含んでいれば良い構成となる。しかしながら、砥粒が含有されていても上述のように研磨選択比が保たれることからすれば、研磨用組成物Aには砥粒が含有されていても良い。研磨用組成物Aに砥粒が含有されている場合には、研磨パッドBとして砥粒を固定した物を用いなくてもある程度の研磨速度を得ることが可能である。
次に、本発明の実施例となる研磨用組成物について、以下に説明するように評価試験を行った。
表面半導体チップ部分が形成されていない評価用のシリコンウェハ(ブランケットウェハ)を基板1として複数枚用意した。これらの基板1の一主面1a上から周端面1bに掛けてを覆う状態で、窒化シリコン膜を成膜した評価基板と、酸化シリコン膜を成膜した評価基板とを作製した。
また、先の構造式(A)〜(E)で示したアミノ酸を含有する水溶液を、研磨用組成物Aとして調整した。各アミノ酸(A)〜(E)を用いた研磨用組成物は、次の通りである。
構造式(A)トリプトファン:1.0重量%(pH10.8)
構造式(B)チロシン:0.5重量%(pH6.5)、
構造式(C)2-ピロリドン-5-カルボン酸:3.5重量%(pH11.4)、
構造式(D)ヒドロキシプロリン:1.5重量%(pH9.1)、
構造式(E)のヒスチジン:5.4重量%(pH10.0)
尚、各研磨組成物のpHは、水酸化カリウム(KOH)の添加にて調整した値である。また、構造式(B)チロシンは難水性であるため、最初にメチルアルコールに溶解させた後に徐々に純水と混合させた。このときアルコールは10重量%の割合で添加した。
次に、各評価基板を基板面で回転させ、この上面に調整した研磨用組成物Aを滴下し、遠心力によって評価基板の周端面側へ研磨用組成物Aを流動させた。この状態で、セリア(酸化セリウム)粒子を含浸させた研磨パッドを、評価基板面に対して垂直方向に送りながら評価基板の周端面に押し圧し、評価基板の周端面を研磨パッドに対して相対的に摺動させた。これにより、評価基板の周端面の研磨を行った。
一定時間の研磨を終了した後、各評価基板の周端面に残された窒化シリコン膜と酸化シリコン膜の膜厚を測定し、各研磨用組成物を用いて研磨した評価基板毎に窒化シリコン膜に対する酸化シリコン膜の研磨選択比を算出した。
また、同様の評価基板を用いた比較研磨として、以下の(1)〜(3)の方式の研磨を行った。
(1)スラリー方式:砥粒を含有しKOHにてアルカリ性に調整された研磨組成物を用い、砥粒が含まれない研磨パッドを用いた研磨。
(2)固定砥粒方式:砥粒を含有せずKOHにてアルカリ性に調整された水溶液の研磨組成物を用い、砥粒が固定された研磨パッドを用いた研磨。
(3)アミノ酸の替わりにテトラメチルアンモニウムヒドロキシドを含有する研磨組成物を用い、砥粒が固定された研磨パッドを用いた研磨。
以上の(1)〜(3)の方式で一定時間の研磨を終了した後、各評価基板の周端面に残された窒化シリコン膜と酸化シリコン膜の膜厚を測定し、各方式で研磨した評価基板毎に窒化シリコン膜に対する酸化シリコン膜の研磨選択比を算出した。
図2には、上記の各方式による研磨選択比を、(2)固定砥粒方式の研磨で得られた研磨選択比を1とした相対値として示した。
図2に示すように、本発明の研磨組成物Aを用いた研磨は、他の(1)〜(3)の方式での研磨と比較して、窒化シリコン膜に対する酸化シリコン膜の研磨選択比が基準としたアミノ酸が含まれない場合の研磨選択比に比べて3倍から10倍以上高いことが分かり、本発明の効果が確認された。
本発明の研磨方法の一例を説明する工程図である。 実施例で示した実験から得られた窒化シリコン膜に対する窒化シリコン膜の研磨選択比のグラフである。 従来の研磨方法の課題を説明する工程図である。
符号の説明
1…基板、1b…周端面、3…窒化シリコン膜、5…酸化シリコン膜、A…研磨用組成物、B…研磨パッド

Claims (6)

  1. 窒化シリコン膜と酸化シリコン膜とがこの順に成膜された基板の周端面を、研磨パッドに対して相対的に摺動させると共に、
    アミノ酸を含有する研磨用組成物を、前記周端面と研磨パッドとの間の摺動部分に供給することにより、
    前記窒化シリコン膜に対して前記酸化シリコン膜を選択的に研磨除去する
    研磨方法。
  2. 前記アミノ酸は、環状構造を備えている
    請求項1記載の研磨方法。
  3. 前記研磨用組成物は、前記アミノ酸を含む水溶液である
    請求項1または2に記載の研磨方法。
  4. 前記研磨組成物は、砥粒を含有しない
    請求項1〜3のうちの1項に記載の研磨方法。
  5. 前記研磨パッドは、研磨粒子が固定されたものである
    請求項1〜4のうちの1項に記載の研磨方法。
  6. 環状構造を備えたアミノ酸を含む水溶液からなる
    研磨用組成物。
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