≪第1の実施形態≫
次に、本発明の第1の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。図1には、本実施形態に係る携帯端末装置としての携帯電話100の内部構成が示され、図2には、図1の携帯電話100の外観が示されている。
図1に示されるように、携帯電話100は、通信アンテナ1と、無線回路2と、符号復号処理回路3と、マイク4と、レシーバ5と、操作部6と、CPU7と、CPUバス8と、メモリ9と、デジタルアナログコンバータ(DAC)10と、スピーカ11と、ビデオインターフェイス(I/F)12と、補正部13と、ビデオI/F14と、表示部15とを備えている。
通信アンテナ1は、送受信アンテナである。通信アンテナ1は、無線回路2から出力された高周波電気信号を電波に変換して図示しない基地局に向けて発信するとともに、その基地局から発信され、空中を伝送される電波を受信する。通信アンテナ1で受信された電波は、高周波電気信号に変換され、無線回路2に入力される。
無線回路2は、符号復号処理回路3からの出力信号を変調し、高周波電気信号に変換して通信アンテナ1に出力するとともに、通信アンテナ1から出力された高周波電気信号を復調し、符号復号処理回路3へ出力する。
符号復号処理回路3には、マイク4と、レシーバ5とが接続されている。符号復号処理回路3は、マイク4から出力された音声信号を符号化して、無線回路2に出力するとともに、無線回路2からの出力信号を復号化し、復号化してレシーバ5に出力する。
マイク4は、集音した音声を電気信号に変換して符号復号処理回路3に出力する。また、レシーバ5は、符号復号処理回路3から出力された電気信号を音声に変換して出力する。
図2に示されるように、マイク4は、携帯電話100の筐体下端に設けられており、レシーバ5は、その筐体上端に設けられている。すなわち、マイク4は、ユーザが携帯電話100を用いて通話を行う際に、そのユーザの口付近に位置するように設けられており、ユーザの音声を効率良く集音することができるようになっている。また、レシーバ5は、ユーザが携帯電話100を用いて通話を行う際に、そのユーザの耳付近に位置するように設けられており、ユーザがレシーバ5から出力される音声を聞き取りやすくなっている。
操作部6は、ユーザに対する入力インターフェイスである。図2に示されるように、操作部6は、ユーザが携帯電話100を把持したときに、その親指で押せる位置に配置されている。操作部6には、ユーザが操作可能な操作キーが複数設けられている。操作キーには、上下左右キー61、テンキー62、決定キー63などがある。図1に示されるように、各種操作キーの操作信号は、操作部6からCPU7に入力されている。
映像信号処理部、パラメータ変更部及びパラメータ決定部としてのCPU7は、操作部6から入力された操作信号等に従って、携帯電話100全体を統括制御する。例えば、無線回路2及び符号復号処理回路3は、CPU7によって制御されている。すなわち、無線回路2は、CPU7の制御の下で、信号の変復調を行っており、符号復号処理回路3は、CPU7の制御の下で、信号の符号化及び復号化を行っている。CPU7は、例えば、無線回路2及び符号復号処理回路3を制御して着信待ちを行う。また、CPU7は、操作部6からの操作信号が、発信指令である場合には、無線回路2及び符号復号処理回路3を制御して発信を行う。
CPUバス8は、CPU7と、メモリ9、DAC10、スピーカ11とを接続する内部バスである。メモリ9には、CPU7によって実行されるプログラムが格納されている。CPU7は、CPUバス8を介してメモリ9からプログラムを読み込み、そのプログラムを実行することにより、携帯電話100全体を統括制御する。
DAC10は、CPU7から出力されたデジタル信号をアナログ信号に変換する。スピーカ11は、DAC10で変換されたアナログ信号を音声に変換して出力する。
ビデオI/F12は、CPU7と補正部13とを接続している。CPU7で生成された映像信号を、ビデオI/F12を介して補正部13に出力する。
補正部13は、CPU7からビデオI/F12を介して入力された映像信号を、その補正特性に従って補正する。
図3には、補正部13の構成が示されている。図3に示されるように、補正部13は、YUV変換回路132と、彩度・色相変換回路133と、彩度補正回路134と、色相補正回路135と、色差変換回路136と、ブライト補正回路137と、コントラスト補正回路138と、ガンマ補正回路139と、RGB変換回路1310と、色温度補正回路1311と、補正パラメータレジスタ131と、を備えている。
YUV変換回路132は、CPU7からビデオI/F12を介して入力された映像信号としてのRGB形式の信号(RGB信号)R1、G1、B1を、以下の式(1)〜式(3)に示される演算式を用いて、輝度信号Y1、色差信号U1、色差信号V1に変換して出力する。
Y1=0.290×R1+0.5870×G1+0.1140×B1 …(1)
U1=(-0.1687)×R1+(-0.3313)×G1+0.5000×B1 …(2)
V1=0.5000×R1+(-0.4187)×G1+(-0.0813)×B1 …(3)
YUV変換回路132から出力された輝度信号Y1は、ブライト補正回路137に入力される。ブライト補正回路137は、入力された輝度信号Y1にオフセットαを加算することにより、輝度信号Y1を補正する。補正された輝度信号Y1は、輝度信号Y2として出力される。図4には、輝度信号Y1と輝度信号Y2との関係の一例が示されている。図4に示されるように、ブライト補正回路137の補正により、輝度信号Y1に対して輝度信号Y2は、オフセットαだけシフトする。オフセットαの値が0であるときには、輝度信号Y2は、輝度信号Y1と同一となる。以下では、このオフセットαを、ブライト補正パラメータαと呼ぶ。このブライト補正パラメータαが、ブライト補正回路137の補正特性を規定する補正パラメータである。後述するように、ブライト補正パラメータαは、その値を変更することができるようになっている。
ブライト補正回路137から出力された輝度信号Y2は、コントラスト補正回路138に入力される。コントラスト補正回路138は、輝度信号Y2のコントラストを補正する。コントラストが補正された輝度信号Y2は、輝度信号Y3として出力される。図5には、輝度信号Y2と輝度信号Y3との関係の一例が示されている。図5に示されるように、輝度信号Y2と輝度信号Y3とは、比例係数βで示される比例関係にある。この比例係数βが1であれば、輝度信号Y3は、輝度信号Y2と同一となる。比例係数βが1より大きくなれば、表示画像のコントラストは大きくなり、比例係数βが1より小さくなれば、表示画像のコントラストは小さくなる。この比例係数βを、コントラスト補正パラメータβと呼ぶ。以下では、この比例係数βを、コントラスト補正パラメータと呼ぶ。このコントラスト補正パラメータβが、コントラスト補正回路138の補正特性を規定する補正パラメータである。後述するように、コントラスト補正パラメータβは、その値を補正することができるようになっている。
コントラスト補正回路138から出力された輝度信号Y3は、ガンマ補正回路139に入力される。ガンマ補正回路139は、輝度信号Y3に対してガンマ補正を行う。ガンマ補正された輝度信号Y3は、輝度信号Y4として出力される。図6(A)、図6(B)には輝度信号Y3と輝度信号Y4との関係、すなわちガンマ補正回路139の補正特性の一例が示されている。図6(A)、図6(B)に示されるように、ガンマ補正回路139の補正により、輝度信号Y3と輝度信号Y4との関係は非線形となる。
ガンマ補正回路139の補正特性は、補正パラメータとしての第1ガンマ係数γ1、第2ガンマ係数γ2によって規定される。図6(A)には、第1ガンマ係数γ1によって規定される補正特性が示されている。第1ガンマ係数γ1が、0である場合には、輝度信号Y3と輝度信号Y4との関係は線形となる。第1ガンマ係数γ1の値が+方向に大きくなればなるほど、輝度信号Y3と輝度信号Y4との関係を示す曲線は、中間輝度を中心にして上側に持ち上げられ、大きくカーブするようになる。また、第1ガンマ係数γ1の値が−方向に大きくなればなるほど、その曲線は、中間輝度を中心にして下側に折れ曲がり、大きくカーブするようになる。
図6(B)には、第2ガンマ係数γ2によって規定される補正特性が示されている。第2ガンマ係数γ2は、低輝度側と高輝度側とで、補正特性に変化をつけるために設けられている。第2ガンマ係数γ2が0である場合には、低輝度側と高輝度側とで補正特性に変化はない。第2ガンマ係数γ2の値が+方向に大きくなればなるほど輝度信号Y3と輝度信号Y4との関係を示す曲線は、低輝度側が上に持ち上げられ、高輝度側が下に折り曲げられるようになる。また、第2ガンマ係数γ2の値が−方向に大きくなればなるほど輝度信号Y3と輝度信号Y4との関係を示す曲線は、高輝度側が上に持ち上げられ、低輝度側が下に折れ曲がるようになる。
後述するように、第1ガンマ係数γ1、第2ガンマ係数γ2は、その値を変更することができるようになっている。
図3に戻り、YUV変換回路132から出力された色差信号U1、色差信号V1は、彩度・色相変換回路133に入力される。彩度・色相変換回路133は、YUV変換回路132から出力された色差信号U1、V1を、彩度信号S1と色相信号H1に変換する。
図7(A)、図7(B)には、色差信号U1、V1と彩度信号S1、色相信号H1との関係を説明するための特性図が示されている。図7(A)において、縦軸は、色差信号U1(B−Y信号)のレベルを表し、横軸は、色差信号V1(R−Y信号)のレベルを表している。
色差信号U1、V1のベクトル和は、彩度・色相を表すベクトルとなる。すなわち、そのベクトルの大きさが彩度(すなわち彩度信号S1)となり、角度が色相(すなわち色相信号H1)となる。したがって、彩度・色相変換回路133は、以下の式(4)、式(5)を用いて彩度信号S1及び色相信号H1を算出して出力する。
彩度・色相変換回路133から出力された彩度信号S1は、彩度補正回路134に入力され、色相信号H1は、色相補正回路135に入力される。
彩度補正回路134は、彩度信号S1を補正する。補正された彩度信号S1は、彩度信号S2として色差変換回路136に出力される。図8には、彩度信号S1と彩度信号S2との関係の一例が示されている。図8に示されるように、彩度信号S1と彩度信号S2とは、比例関係にある。彩度補正回路134は、彩度信号S1に比例係数a1を乗算して、彩度信号S2に変換する。すなわち、彩度補正回路134では、比例係数a1が補正パラメータである。この比例係数a1を、彩度補正パラメータa1とも呼ぶ。彩度補正パラメータa1の値は、後述するように変更することができるようになっている。
色相補正回路135は、色相信号H1を補正する。補正された色相信号H1は、彩度信号H2として色差変換回路136に出力される。図9には、色相信号H1と色相信号H2との関係の一例が示されている。図9に示されるように、彩度補正回路134は、色相信号H1に角度オフセットa2を乗算して、色相信号H2に変換する。すなわち、色相補正回路135では、角度オフセットa2が補正パラメータである。この角度オフセットa2を、色相補正パラメータa2とも呼ぶ。色相補正パラメータa2の値は、後述するように変更することができるようになっている。
本実施形態では、このようにして彩度信号S1、色相信号H1に分離し、彩度補正回路134、色相補正回路135に入力することにより、彩度と色相とを個別に補正している。
彩度信号S2及び色相信号H2は、色差変換回路136に入力されている。色差変換回路136は、彩度補正回路134からの彩度信号S2と、色相変換回路135からの色相信号H2を、以下の式(6)、式(7)を用いて色差信号U2、V2に変換して出力している。
U2=S2・COS(H2) …(6)
V2=S2・SIN(H2) …(7)
図7(B)には、彩度信号S2、色相信号H2と、色差信号U2、V2との関係が示されている。以上述べたように、彩度・色相変換回路133、彩度補正回路134、色相補正回路135、色差変換回路136を介して、図7(A)に示される色差信号U1、V1が、図7(B)に示される色差信号U2、V2に変換される。
RGB変換回路1310は、ガンマ補正回路139から出力された輝度信号Y4と、色差変換回路136から出力された色差信号U2、V2とを、RGB信号R2、G2、B2に変換して出力する。このRGB変換には、以下の式(8)〜式(10)が用いられる。
R2=Y4+1.402×V2 …(8)
G2=Y4+(-0.34414)×U2+(-0.71414)×V2 …(9)
B2=Y4+1.772×U2 …(10)
RGB信号R2、G2、B2は、色温度補正回路1311に入力される。色温度補正回路1311は、RGB信号R2、G2、B2を補正する。補正されたRGB信号R2、G2、G2は、RGB信号R3、G3、B3として、出力される。より具体的には、色温度補正回路1311は、RGB信号R3、G3、B3各々に対して個別にレベルシフトやゲイン調整を行ってRGBの輝度バランスを補正する。
色温度補正回路1311の補正特性を規定する補正パラメータのうち、調整可能な補正パラメータとして、Rゲイン補正パラメータと、Bゲイン補正パラメータとがある。図10には、RGB信号R2、G2、B2と補正後のRGB信号R3、G3、B3との関係が示されている。図10に示されるように、色温度補正回路1311は、信号R2にRゲイン補正パラメータKRを乗算して、信号R3に変換する。また、色温度補正回路1311は、信号B2にBゲイン補正パラメータKBを乗算して、信号B3に変換する。このようにして、RGBの輝度バランスが所望の状態に調整される。Rゲイン補正パラメータKR、Bゲイン補正パラメータKBの値は、後述するように変更することができるようになっている。
このように、補正部13は、ブライト補正パラメータα(図4)と、コントラスト補正パラメータβ(図5)と、ガンマ係数γ1、γ2(図6(A)、図6(B))と、彩度補正パラメータa1(図8)と、色相補正パラメータa2(図9)と、Rゲイン補正パラメータ、Bゲイン補正パラメータ(図10)という複数の補正パラメータを有している。補正部13は、これらの複数の補正パラメータによって規定される補正特性に従って、CPU7から出力される映像信号(RGB信号)を補正して、表示部15に出力する。
補正パラメータレジスタ131には、補正部13における画像処理に用いられる上述した複数の補正パラメータα、β、γ1、γ2、a1、a2、KR、KBの設定値が設定されている。ブライト補正回路137、コントラスト補正回路138、ガンマ補正回路139、彩度補正回路134、色相補正回路135、色温度補正回路1311は、補正パラメータレジスタ131に設定値を参照し、その設定値で定まる補正特性に従って、入力された信号を補正している。
図1に戻り、ビデオI/F14は、補正部13と表示部15とを接続している。補正部13によって補正された映像信号は、ビデオI/F14を介して表示部15に入力される。
図2に示されるように、表示部15は、携帯電話100の上部筐体に設けられたディスプレイである。表示部15として、例えば、液晶表示装置や自発光型の有機ELディスプレイが用いられる。表示部15は、ビデオI/F14を介して入力された映像信号に対応する画像を表示する。
ところで、メモリ9には、上記プログラムの他、固定パターンの画像データや着信時に再生されるメロディ等の着信音データ、電話番号やメールアドレスが設定される電話帳、アドレス帳等の個人情報、ダウンロードした着信音データ、及び動画、静止画などの画像データ等が格納されている。
CPU7は、無線回路2及び符号復号処理回路3を制御して着信待ちを行っている。着信時には、CPU7は、メモリ9の電話帳から発信者の名前や着信メロディ、着信画像を読み出す。そして、CPU7は、その着信メロディを、DAC10を介してスピーカ11から出力するとともに、相手の電話番号や名前、画像データをビデオI/F12、補正部13、第2のビデオI/F14を介して表示部15に表示する。
操作部6の操作により、通話が選択されると、CPU7は、無線回路2及び符号復号処理回路3を制御して通話を開始する。この後、CPU7の制御の下、無線回路2における変復調、符号復号処理回路3における符号化及び復号化などにより、通話が行われる。
また、発信時には、操作部6の操作により、CPU7は、メモリ9の電話帳から相手先の電話番号を読み出して、ビデオI/F12、補正部13、ビデオI/F14を介して、表示部14に表示させる。さらに、操作部6の操作により、発信が選択されると、CPU7は、無線回路2及び符号復号処理回路3を制御してその電話番号の相手先に向けて発信を行う。この後、CPU7の制御の下、無線回路2における変復調、符号復号処理回路3における符号化及び復号化により、通話が行われる。
さらに、携帯電話100では、電子メールの送受信が可能である。符号復号処理回路3は、無線回路2からの信号を、文字や画像のデータ信号に復号化し、CPU7に出力する。CPU7は、その文字や画像を、ビデオI/F12、補正部13、ビデオI/F14を介して表示部15に表示させる。ユーザは、その表示画像を見て、電子メールの内容を理解する。
また、表示部15に電子メールの編集画面が表示された状態で、ユーザは、表示部15の表示画面を見ながら、操作部6を操作して編集した文字や画像データを入力することにより、電子メールを作成することができる。電子メールの送信時には、CPU7は、作成された電子メール等を、符号復号処理回路3に出力する。符号復号処理回路3は、その文字や画像データを、符号化して、無線回路2に出力する。
このようにして、ユーザは、表示部15に表示された画像を見ながら、操作部6を操作することにより、通話や電子メールの送受信が可能となる。したがって、表示部15に表示される画像の画質は、ユーザがそれを見やすいように調整されているのが望ましい。
図11に示されるように、メモリ9には、調整用画像データ51と、補正部13で使用する補正パラメータの設定値が設定された補正パラメータテーブル52とが格納されている。調整用画像データ51としては、例えば、風景や人物等の自然を写した自然画像のデータが用いられる。自然画像には、木々の緑や海の青、林檎の赤などは、記憶色と呼ばれる色が含まれている。表示部15では、これら記憶色が正常に表示できるようになっているのが望ましい。また、これらの記憶色は、ユーザが最も違いを識別し易い色である。このような観点から、調整用画像データ51として、自然画像のデータが用いられる。
CPU7は、調整用画像データ51をメモリ9から読み込んで、その調整用画像データ51に基づくRGB信号を生成し、補正部13に出力する。このRGB信号は、画質調整中は、補正部13に出力されつづける。補正部13は、補正パラメータレジスタ131に設定値に対応する補正特性に基づいて、映像信号を補正し、表示部15に出力する。表示部15は、補正部13により補正された映像信号に対応する調整用画像を表示する。
また、本実施形態では、操作部13の特定の操作キーを操作することにより、補正パラメータレジスタ131に設定された補正パラメータの値を変更することができるようになっている。操作部6の操作入力により、画質調整が選択されると、CPU7は、表示部15に、調整メニューを表示させる。ユーザが、操作部6の上下左右キー61及び決定キー63の操作により、調整メニューの中から調整対象を選択すると、CPU7は、選択された調整対象に対応する補正パラメータの値を変更可能な状態となる。
操作部13の特定の操作キーが操作されると、CPU7は、その操作内容に従って、補正部13の補正パラメータレジスタ131内のその補正パラメータの値を変更する。この後、補正部13は、値が変更された補正パラメータにより規定される補正特性に基づいて、CPU7から出力される映像信号を補正する。表示部15には、新しい補正特性に従って補正された映像信号に対応する調整用画像が表示されるようになる。
次に、本実施形態に係る携帯電話100における画質調整動作について説明する。この画質調整動作では、目標とする画質のリファレンスとして調整用画像と同一の画像の写真が使用される。ユーザは、この写真と、表示部15に表示された調整用画像とを対比して、表示部15に表示される画像の画質の調整を行う。このような写真としては、製品に添付したもの、製品の箱に印刷したものを使用することができる。人間の目は、明るさや色の差については識別能力が高いため、写真を見ながら調整を行うことにより、高精度な画質の調整が可能となる。
図12には、画質調整動作のフローチャートが示されている。図12に示されるように、まず、ステップS61において、CPU7は、各補正パラメータの設計値(初期値)を、メモリ9の補正パラメータテーブル52から読み込んで補正パラメータレジスタ131に設定し、メモリ9に格納されている調整用画像を、表示部15に表示させる。この補正パラメータの初期値は、例えば、工場出荷時にメーカによって設定されていた値である。
次のステップS62では、ブライト、コントラスト調整が行われる。ブライト、コントラスト調整は、表示部15に表示された調整メニューの中から、ブライト・コントラスト調整が選択されることにより、開始される。
図13には、ブライト補正パラメータαとコントラスト補正パラメータβの調整例をまとめた表が示されている。図13では、ブライト、コントラスト調整に用いられる操作部6の操作キーと、トーンカーブと、表示画像とが、対応づけて示されている。トーンカーブは、補正部13に入力される映像信号の入力階調と、補正部13から出力される映像信号の出力階調との関係を示している。すなわち、トーンカーブは、ブライト補正パラメータαの値と、コントラスト補正パラメータβの値とを変更することにより、CPU7の出力信号に対して、表示部15に入力される出力信号が、どのように変化するかを示している。
本実施形態では、操作部6の上下左右キー61を用いてブライト、コントラスト調整が行われる。
まず、No.1に示されるように、上下左右キー61の上側(以下「上キー」とする)が押下される度に、CPU7は、現在、補正部13の補正パラメータレジスタ131に設定されているブライト補正パラメータαの設定値を1ステップずつ増加させる。これにより、ブライト補正回路137では、設定値が1ステップ増加したブライト補正パラメータαによって規定される補正特性に従って、輝度信号Y1が補正される。この結果、トーンカーブは、全体的に上に1段階シフトするようになり、表示部15には、一様に明るくなるように調整された表示画像が表示されるようになる。
逆に、No.2に示されるように、上下左右キー61の下側(以下「下キー」とする)が押下される度に、CPU7は、補正部13の補正パラメータレジスタ131に設定されているブライト補正パラメータαの設定値を1ステップずつ減少させる。これにより、ブライト補正回路137では、設定値が1ステップ減少したブライト補正パラメータαによって規定される補正特性に従って、輝度信号Y1が補正される。この結果、トーンカーブは、全体的に下に1段階シフトするようになり、表示部15には、一様に暗くなるように調整された表示画像が表示されるようになる。
次に、No.3に示されるように、上下左右キー61の右側(以下「右キー」とする)が押下される度に、CPU7は、補正部13の補正パラメータレジスタ131に設定されているコントラスト補正パラメータβの設定値を1ステップずつ増加させる。これにより、コントラスト補正回路138では、設定値が1ステップ増加したコントラスト補正パラメータβによって規定される補正特性に従って、輝度信号Y2が補正される。この結果、トーンカーブの傾きが大きくなり、表示部15には、暗い部分はより暗くなるように調整され、明るい部分はより明るくなるように調整された表示画像が表示されるようになる。
逆に、No.4に示されるように、上下左右キー61の左側(以下「左キー」とする)が押下される度に、CPU7は、補正部13の補正パラメータレジスタ131に設定されているコントラスト補正パラメータβの設定値を1ステップずつ減少させる。これにより、コントラスト補正回路138では、設定値が1ステップ減少したコントラスト補正パラメータβによって規定される補正特性に従って、輝度信号Y2が補正される。この結果、トーンカーブの傾きが小さくなり、表示部15には、暗い部分は若干明るくなるように調整され、明るい部分は若干暗くなるように調整された表示画像が表示されるようになる。
ユーザは、このように、図13に示される要領で、上下左右キー61を操作して、ブライト補正パラメータα、コントラスト補正パラメータβの値を変更し、画像のローライト、ハイライトが写真とのそれらと同じになるようなブライト補正パラメータα、コントラスト補正パラメータβの最適値を探索する。そして、最適値が探索されると、ユーザは、決定キー63を押下する。この操作により、補正パラメータレジスタ131に設定されている設定値が、最適値として確定される。
次のステップS63では、ガンマ調整が行われる。ガンマ調整は、表示部15に表示された補正パラメータの調整メニューの中から、ガンマ調整が選択されることにより、開始される。
図14には、補正パラメータとしてのガンマ係数γ1、γ2の調整例をまとめた表が示されている。図14では、ガンマ調整に用いられる操作部6の操作キーと、トーンカーブと、表示画像とが、対応づけて示されている。本実施形態では、操作部6の上下左右キー61を用いてガンマ調整が行われる。
まず、No.1に示されるように、上キーが押下される度に、CPU7は、補正部13の補正パラメータレジスタ131に設定されているガンマ係数γ1の設定値を1ステップずつ増加させる。これにより、ガンマ補正回路139では、設定値が1ステップ増加したガンマ係数γ1によって規定される補正特性に従って、輝度信号Y3が補正される。この結果、トーンカーブは、その中間輝度を中心にさらに上に1段階持ち上げられるようになり、表示部15には、低輝度側の階調変化が急峻で高輝度側の階調変化がなだらかな画像が表示されるようになる。
逆に、No.2に示されるように、下キーが押下される度に、CPU7は、補正パラメータレジスタ131に設定されているガンマ係数γ1の設定値を1ステップずつ減少させる。これにより、ガンマ補正回路139では、設定値が1ステップ減少したガンマ係数γ1によって規定される補正特性に従って、輝度信号Y3が補正される。この結果、トーンカーブは、その中間輝度を中心にさらに下に1段階下げられるようになり、表示部15には、低輝度側の階調変化がなだらかで高輝度側の階調変化が急峻な画像が表示されるようになる。
次に、No.3に示されるように、右キーが押下される度に、CPU7は、補正パラメータレジスタ131に設定されているガンマ係数γ2を1ステップずつ増加させる。これにより、ガンマ補正回路139では、設定値が1ステップ増加したガンマ係数γ2によって規定される補正特性に従って、輝度信号Y3が補正される。この結果、トーンカーブは、低輝度側が持ち上げられ、高輝度側が下げられるようになり、表示部15には、低輝度側と高輝度側の階調変化が急峻で、中間輝度の階調変化がなだらかな画像が表示されるようになる。
逆に、No.4に示されるように、左キーが押下される度に、CPU7は、補正パラメータレジスタ131に設定されているガンマ係数γ2を1ステップずつ増加させる。これにより、ガンマ補正回路139では、設定値が1ステップ減少したガンマ係数γ2によって規定される補正特性に従って、輝度信号Y3が補正される。この結果、トーンカーブは、その低輝度側が下げられ、高輝度側が持ち上げられるようになり、表示部15には、低輝度側と高輝度側の階調変化がなだらかで、中間輝度付近の階調変化が急峻な画像が表示されるようになる。
このように、ステップS63では、ユーザは、図14に示される要領で、上下左右キー61を操作して、ガンマ係数γ1、ガンマ係数γ2の値を変更し、表示画像と写真の階調表現が同じになるようなガンマ係数γ1、ガンマ係数γ2の最適値を探索する。そして、最適値が探索されると、ユーザは、決定キー63を押下する。この操作により、補正パラメータレジスタ131に設定されている設定値が、これらの最適値として確定される。
次のステップS64では、色温度の調整が行われる。色温度調整は、表示部15に表示された補正パラメータの調整メニューの中から、色温度調整が選択されることにより、開始される。図15には、色温度補正回路1311におけるRゲイン補正パラメータKR,Bゲイン補正パラメータKBの調整例をまとめた表が示されている。図15では、色温度調整に用いられる操作部6の操作キーと、トーンカーブと、表示画像とが、対応づけて示されている。本実施形態では、操作部6の上下左右キー61を用いて色温度の調整が行われる。
まず、No.1に示されるように、上下左右キー61の上側(上キー)が押下される度に、CPU7は、Rゲイン補正パラメータKRを1ステップずつ増加させる。これにより、色温度補正回路1311では、R成分のトーンカーブの傾きが、他の成分のトーンカーブの傾きに対して、大きくなる。この結果、表示部15には、R成分が増加した画像が表示されるようになる。
逆に、No.2に示されるように、下キーが押下される度に、CPU7は、Rゲイン補正パラメータKRを1ステップずつ減少させる。これにより、色温度補正回路1311ではR成分のトーンカーブの傾きが、他の成分のトーンカーブの傾きに対して小さくなる。この結果、表示部15には、R成分が減少した画像が表示されるようになる。
次に、No.3に示されるように、右キーが押下される度に、CPU7は、Bゲイン補正パラメータKBを1ステップずつ増加させる。これにより、色温度補正回路1311ではB成分のトーンカーブの傾きが、他の成分のトーンカーブの傾きに対して大きくなる。この結果、表示部15には、B成分が増加した画像が表示されるようになる。
逆に、No.4に示されるように、左キーが押下される度に、CPU7は、Bゲイン補正パラメータKBを1ステップずつ減少させる。これにより、色温度補正回路1311では、B成分のトーンカーブの傾きが、他の成分のトーンカーブの傾きに対して小さくなる。この結果、表示部15には、B成分が減少した画像が表示されるようになる。
このように、ステップS64では、ユーザは、図15に示される要領で、上下左右キー61を操作して、Rゲイン補正パラメータKR、Bゲイン補正パラメータKBの値を変更し、表示画像と写真の階調表現が同じになるようなRゲイン補正パラメータKRの最適値と、Bゲイン補正パラメータKBの最適値とを探索する。そして、これらの最適値が探索されると、ユーザは、決定キー63を押下する。この操作により、補正パラメータレジスタ131に設定されている設定値が、最適値として確定される。なお、この調整により、画像の色かぶりや、バックライトの色付きなども補正することができる。
次のステップS65では、彩度・色相の調整が行われる。彩度・色相調整は、表示部15に表示された補正パラメータの調整メニューの中から、操作部6の操作によって、彩度・色相調整が選択されることにより、開始される。図16には、彩度補正回路134及び、色相補正回路135での補正パラメータの調整例をまとめた表が示されている。図16では、彩度・色相の調整に用いられる操作部6の操作キーと、トーンカーブと、表示画像とが、対応づけて示されている。本実施形態では、操作部6の上下左右キー61を用いて彩度・色相の調整が行われる。
まず、No.1に示されるように、上キーが押下される度に、CPU7は、彩度補正パラメータa1を1ステップずつ増加させる。これにより、彩度補正回路134では、彩度信号S1に対する彩度信号S2の傾きが大きくなる。この結果、表示部15には、鮮やかさが増加した画像が表示されるようになる。
逆に、No.2に示されるように、下キーが押下される度に、CPU7は、彩度補正パラメータa1を1ステップずつ減少させる。これにより、彩度補正回路134では、彩度信号S1に対する彩度信号S2の傾きが小さくなる。この結果、表示部15には、鮮やかさが低減した画像が表示されるようになる。
また、No.3に示されるように、右キーが押下される度に、CPU7は、色相補正パラメータa2を1ステップずつ増加させる。これにより、色相補正回路135では、色相信号H2が、色相信号H1に対して時計回りに角度a2だけ補正される。この結果、表示部15には、色相が、全体的にR成分からB成分の方向に調整された画像が表示されるようになる。
また、No.4に示されるように、左キーが押下される度に、CPU7は、色相補正パラメータa2を1ステップずつ減少させる。これにより、色相補正回路135では、色相信号H2が、色相信号H1に対して反時計回りに角度a2だけ補正される。この結果、表示部15には、色相が、全体的にR成分からG成分の方向に調整された画像が表示されるようになる。
このように、ステップS65では、ユーザは、図16に示される要領で、上下左右キー61を操作して、彩度補正パラメータa1、色相補正パラメータa2の値を変更し、表示部15に表示される画像の彩度、色相が写真のそれと同じになるような彩度補正パラメータa1、色相補正パラメータa2の最適値を探索する。そして、最適値が探索されると、ユーザは、決定キー63を押下する。この操作により、補正パラメータレジスタ131に設定された値がこれらの最適値として確定される。
次のステップS66では、CPU7は、これまでに確定した各補正パラメータの最適値をメモリ9の補正パラメータテーブル52に格納する。以降、補正部13では、補正パラメータレジスタ131に設定された補正パラメータの設定値を用いて映像信号が補正され、階調や色を正確に表現することができるようになる。
なお、本実施形態では、メーカによってメモリ9に格納されている調整用画像データに基づく画像と、携帯電話100の販売時に添付されていた写真とを比較することによって、補正パラメータを調整したが、本発明は、これに限られるものでない。例えば、ユーザは、カメラで撮影した画像やネットワークからダウンロードした画像がプリントされたものを用いて、補正パラメータを調整するようにしても良い。
また、調整用画像を、自宅のPC(パーソナルコンピュータ)やテレビに表示して、その画質と同じになるように各補正パラメータを調整するようにすれば、携帯電話100の表示画像の画質を、PCやテレビの画質に合わせることができる。
また、調整用画像は、1枚の画像である必要はなく、例えば、図17(A)、図17(B)に示されるように、画像A、画像B、画像Cという複数の画像を調整用画像として同時に表示して、補正パラメータの調整を行うようにしても良い。同時に表示される複数の画像をそれぞれ、明るい画像、暗い画像、色鮮やかな画像とすれば、複数の画像のうちのいずれかは、各補正パラメータの変化に対して感度が高い画像となるため、ユーザが、各補正パラメータの最適値を見つけやすくなる。この結果、ユーザが、さらに効率良く補正パラメータを調整することができる。また、図17(B)に示されるように、グレイスケールやカラーバーと言ったテストパターン画像と、自然画像としての画像A、画像Bとともに同時に表示させるようにすれば、複数の画像のうちのいずれかは、各補正パラメータの変化に対して感度が高い画像となるため、各補正パラメータの最適値を見つけやすくなる。この結果、ユーザが、さらに効率良く補正パラメータを調整することができる。
≪第2の実施形態≫
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。図18には、本実施形態に係る携帯端末装置としての携帯電話101の概略的な構成が示されている。図18に示されるように、本実施形態に係る携帯電話101は、補正部13の代わりに、9個(9系統)の補正部13A〜13Iを備えている点と、セレクタ16を備えている点が、上記第1の実施形態に係る携帯電話100と異なっている。本実施形態では、上記第1の実施形態に係る携帯電話100の構成要素と同一の構成要素には、同一符号を付し、重複する説明は省略する。
補正部13A〜13Iの内部構成は、上記第1の実施形態に係る補正部13と同じである。
本実施形態では、CPU7は、メモリ9に格納された調整用画像51の縦横の比率をそれぞれ1/3に縮小し、縮小された調整用画像に基づく映像信号を、補正部13A〜13Iにそれぞれ入力する。補正部13A〜13Iは、内部の補正パラメータレジスタ131に設定された補正パラメータの設定値を用いて、映像信号を補正する。
セレクタ16は、表示部15の縦横3×3の9つのエリアにそれぞれ補正部13A〜13Iの出力信号に基づく画像が表示されるように、補正部13A〜13Iの出力信号を選択して、表示部15に出力する。これにより、表示部15には、3×3個の縮小された調整用画像が、同時に表示されるようになる。
画質調整時には、補正部13A〜13Iの補正パラメータレジスタ131には、特定の補正パラメータの値としてそれぞれ異なる値が設定されている。したがって、表示部15に表示された9つの調整用画像は、それぞれ画質が異なるようになる。
すなわち、本実施形態に係る携帯電話101によれば、補正部13A〜13Iにそれぞれ異なる補正パラメータを設定することによって、1枚の調整用画像内の9つのエリアA〜Iに補正パラメータ値が異なる画像を同時に表示させることができるようになっている。
図19には、本実施形態に係る携帯電話101の主要部の構成が模式的に示されている。ここでは、ブライト補正パラメータα、コントラスト補正パラメータβを調整する場合について説明する。ここで、メモリ9のブライト補正パラメータα、コントラスト補正パラメータβの値として、それぞれm、n(m、nは整数)が設定されているものとする。
本実施形態では、CPU7は、メモリ9からの補正パラメータα、βの値m、nを読み込んで、この値m、nに基づいて、補正部13A〜13Iの補正パラメータレジスタ131の補正パラメータα、βの値を設定する。前述のように、補正部13A〜13Iの補正パラメータレジスタ131には、補正パラメータの値としてそれぞれ異なる値が設定されるようになるが、それらの値には、規則性がある。図19に示されるように、CPU7は、補正部13A、13B、13Cのブライト補正パラメータαの値としてm+1を設定し、補正部13D、13E、13Fのブライト補正パラメータαの値としてmを設定し、補正部13G、13H、13Iのブライト補正パラメータαの値として、m−1を設定する。また、CPU7は、補正部13A、13D、13Gのコントラスト補正パラメータβの値としてn−1を設定し、補正部13B、13E、13Hのコントラスト補正パラメータβの値としてnを設定し、補正部13C、13F、13Iのコントラスト補正パラメータβの値として、n+1を設定する。
また、セレクタ16の動作により、補正部13A〜13Iの出力信号に基づく画像は、それぞれ、表示部15の表示画面のエリアA〜Iに表示されるようになっている。
したがって、表示部15のエリアAには、補正パラメータα=m+1、補正パラメータβ=n−1で規定された補正特定に基づいて補正された映像信号に基づく調整用画像が表示されるようになる。以下、エリアBには、α=m+1、β=n、エリアCには、α=m+1、β=n+1、エリアDには、α=m、β=n−1、エリアEには、α=m、β=n、エリアFには、α=m、β=n+1、エリアGには、α=m−1、β=n−1、エリアHには、α=m−1、β=n、エリアIには、α=m、β=n+1で補正された映像信号に基づく調整用画像が表示されるようになる。
ここで、m=0,n=0であるものとする。図20には、この場合における、ブライト補正パラメータα、コントラスト補正パラメータβの調整中に表示部15に表示される調整用画像の一例が示されている。図20に示されるように、中段のエリアD〜Fには、ブライト補正パラメータαの値を0として補正された映像信号に対応する画像が表示される。また、上段のエリアA〜Cには、ブライト補正パラメータαの値を、1ステップ増加させて(+1として)補正された映像信号に対応する画像が表示される。また、下段のエリアG〜Iには、ブライト補正パラメータαの値を、1ステップ減少させて(−1として)補正された映像信号に対応する画像が表示される。
また、中央のエリアB、E、Hには、コントラスト補正パラメータβの値を0として補正された映像信号に対応する画像が表示される。また、右側のエリアC、F、Iには、コントラスト補正パラメータβの値を、1ステップ増加させて(+1として)補正された映像信号に対応する画像が表示される。また、左側のエリアA、D、Gには、ブライト補正パラメータαの値を、1ステップ減少させて(−1として)補正された映像信号に対応する画像が表示される。
要するに、表示部15では、縦方向にブライト補正パラメータα、横方向にコントラスト補正パラメータβを1ステップずつ変えた画像が表示されている。表示部15には、補正に用いられた補正パラメータの値に従った順序で、複数の画像が表示されるようになる。このため、各画像を対比して、どの画像が、写真の参照用画像に近いかを判別することができるようになり、ユーザが、補正パラメータの最適値の探索方向の見当をつけやすくなっている。
本実施形態においても、操作部6の操作入力により、補正部13A〜13Iの補正パラメータの値を変更することができる。これにより、補正部13A〜13Iの補正パラメータの値は、連動して変更される。
まず、上下左右キー61の上キーが押下された場合には、図21(A)に示されるように、CPU7は、全ての補正部13A〜13Iのブライト補正パラメータαを1ステップ増加させる。この結果、すべてのエリアA〜Iにおいて、一様に明るくなるように調整された表示画像が表示されるようになる。
また、上下左右キー61の下キーが押下された場合には、図21(B)に示されるように、CPU7は、全ての補正部13A〜13Iのブライト補正パラメータαを1ステップ減少させる。この結果、すべてのエリアA〜Iにおいて、一様に暗くなるように調整された表示画像が表示されるようになる。
また、上下左右キー61の右キーが押下された場合には、図21(C)に示されるように、CPU7は、全ての補正部13A〜13Iのコントラスト補正パラメータβを1ステップ増加させる。この結果、すべてのエリアA〜Iにおいて、暗い部分はより暗くなるように補正され、明るい部分はより明るくなるように調整された表示画像が表示されるようになる。
また、上下左右キー61の左キーが押下された場合には、図21(D)に示されるように、CPU7は、全ての補正部13A〜13Iのコントラスト補正パラメータβを1ステップ減少させる。この結果、すべてのエリアA〜Iにおいて、暗い部分は若干明るくなるように補正され、明るい部分は若干暗くなるように調整された表示画像が表示されるようになる。
そして、上記第1の実施形態と同様に、ユーザは、表示部15に表示された9つの画像と写真とを対比して、表示部15の画面中央のエリアEに表示された画像の画質が、他のエリアに表示された画像よりも写真の画像に近いと判断すると、操作部6の決定キーを押下する。これにより、エリアEに対応する補正パラメータα、βの値が、最終的な補正パラメータの最適値として全ての補正部13A〜13Iの補正パラメータレジスタ131に設定される。画質調整動作終了後は、補正部13A〜13Iは、ブライト補正パラメータα、コントラスト補正パラメータβに関して、同一の値で映像信号の補正を行うようになる。
このように、本実施形態によれば、上下左右キー61と補正パラメータの変化を対応させることにより、最終的に保存される常に画面中央のエリアEに表示し、その周辺のエリアに、ブライト補正パラメータα及びコントラスト補正パラメータβを1ステップ変化させた時の画像を同時に見ることができるため、そのうちのどの画像が、写真に近いかを判別することにより、補正パラメータの最適値の探索方向の見当を付けやすくなる。この結果、ユーザが、画質をより調整しやすくなる。
また、本実施形態によれば、操作部6の上下左右キー61の操作方向と、表示部9に表示される調整用画像の補正パラメータの増減方向とが、一致しているため、ユーザは、画質の調整がさらに容易となる。
その他の補正パラメータである、ガンマ係数γ1、ガンマ係数γ2、色温度、彩度、色相についても同様にして調整される。
なお、本実施形態では、最終的に保存される補正パラメータの値が、エリアEに適用されているものであることをユーザに認識させるため、図22(A)に示されるようにエリアEの外周に枠を表示させたり、図22(B)に示されるように、他のエリアに対して、エリアEの調整画像を大きく表示したりするようにしても良い。
また、本実施形態に係る携帯電話101は、9系統の補正部13A〜13Fを備えているが、本発明はこれに限られるものでない。表示部15の画面を分割し、補正に用いられた補正パラメータの値が異なる調整用画像を複数同時に表示できるようになっていれば、補正部は、1系統であってもよい。例えば、補正パラメータの値がそれぞれ異なる複数の調整用画像のマトリクス画像を、CPU7のシミュレーション機能によって作成できるようにし、そのマトリクス画像を、表示部15に表示させるようにしても良い。
なお、本実施形態では、9系統の補正部を設け、上述のようにして調整された補正パラメータの最適値を9系統の補正部に設定し、その後は、9系統の補正部すべてを用いて、表示部15の画像を表示させるようにしたが、これには限られず、9系統の補正部のうち、1系統の補正部、例えば補正部13Eだけを用いて、映像信号を補正するようにしてもよい。
≪第3の実施形態≫
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。図23には、本実施形態に係る携帯電話102の概略的な構成が示されている。本実施形態に係る携帯電話102の構成は、照度センサ18が設けられている点が、上記第1の実施形態に係る携帯電話100の構成と異なっている。上記第1の実施形態に係る携帯電話100の構成要素と同一の構成要素には、同一符号を付し、重複する説明を省略する。
図24には、照度センサ18の回路構成が示されている。図24に示されるように、照度センサ18は、電源端子181と、フォトIC182と、抵抗183と、接地184と、出力端子185とを備えている。電源端子181には、電源電圧+Vが印加されている。電源端子181と、接地184との間には、フォトIC182が接続され、出力端子185は、抵抗183を介して接地184に接続されている。フォトIC182に周辺の光が入射すると、抵抗183に電流が流れ、出力端子185から周囲の照度に応じた電圧が出力される。この出力電圧は、CPU7に出力される。図25には、照度センサ18における検出照度と出力電圧の関係が示されている。図25に示されるように、照度センサ18の出力電圧と、周囲の照度とは、線形関係にある。
CPU7は、照度センサ18の出力電圧によって周囲の照度を検知する。CPU7には、検知された周囲の照度に応じて、補正部13に設定される補正パラメータの値を変更することができるようになっている。
本実施形態では、図25に示されるように、10lx以下を、第1の照度範囲L1とし、10lxから10000lxまでを第2の照度範囲L2とし、10000lx以上を第3の照度範囲L3とする。そして、CPU7は、周囲の照度が第1の照度範囲L1に属するときと、第2の照度範囲L2に属するときと、第3の照度範囲L3に属するときとで、補正部13に設定される補正パラメータの値を切り替える。
本実施形態に係る携帯電話102の画質調整動作について説明する。図26には、この画質調整動作のフローチャートが示されている。
まず、ステップS71において、CPU7は、照度センサ18の出力(出力電圧)を読み込む。次のステップS72では、CPU7は、出力電圧(すなわち検出照度)の属する照度範囲について既に補正パラメータが記憶されているか否か、すなわち調整済みであるか否かを判定する。ここで、その出力電圧が0.05Vであったとする。図25に示されるように、0.05Vは、第1の照度範囲L1に属する。そこで、CPU7は、第1の照度範囲L1が調整済みであるか否かを判定する。CPU7は、この判定が肯定されれば処理を終了し、否定されればステップS73に進む。
ステップS73では、CPU7は、照度範囲L1に対応するコメントの入力待ちとなる。操作部6の操作入力によりコメントが入力されると、CPU7は、そのコメントをメモリ9に格納する。ここでは、コメントとして「寝室」と入力されるものとする。
次のステップS74では、上記第1の実施形態と同様に、図12に示される画像調整動作を行って、補正パラメータの最適値を求める。次のステップS75では、CPU7は、求められた最適値を、第1の照度範囲の補正パラメータの値としてメモリ9に格納する。ステップS75の後は、処理を終了する。
本実施形態では、上述したような動作が、様々な照度条件、すなわち、照度センサ18により検出された照度が、第2の照度範囲L2に属する場合と、第3の照度範囲L3に属する場合とでそれぞれ行われる。これにより、メモリ9上には、例えば、図27に示されるような照度範囲に対応した補正パラメータテーブル52’が作成されるようになる。この補正パラメータテーブル52’では、第2の照度範囲L2のコメントに、「リビング」が設定され、第3の照度範囲L3のコメントに、「屋外」が設定されている。
これ以降、CPU7は、照度センサ18の出力に応じて、図27に示される補正パラメータテーブル52’に設定された補正パラメータを読み出して補正部13に設定する。すなわち、照度センサ18の検出値が、第1の照度範囲L1に属する場合には、CPU7は、図27の補正パラメータテーブル52’において、「寝室」に対応する補正パラメータの値を読み出して、補正部13の補正パラメータレジスタ131に設定する。また、照度センサ18の検出値が、第2の照度範囲L2に属する場合には、CPU7は、図27の補正パラメータテーブル52’において、「リビング」に対応する補正パラメータの値を読み出して、補正部13の補正パラメータレジスタ131に設定する。また、照度センサ18の検出値が、第3の照度範囲L3に属する場合には、CPU7は、図27の補正パラメータテーブル52’において、「屋外」に対応する補正パラメータの値を読み出して、補正部13の補正パラメータレジスタ131に設定する。これにより、表示部25には、常に、周囲の照度環境に応じた最適な画質で画像が表示されるようになる。
なお、本実施形態における画質調整動作では、ステップS72において、調整済みであると判定された場合には、その動作を終了させたが、本発明は、これに限られるものではない。その照度範囲がすでに調整済みであっても、CPU7は、記憶されている補正パラメータの値を削除して、新たに補正パラメータの最適値を探索するか否かを確認するメッセージを、表示部15に表示させるようにしてもよい。そして、操作部6により、新たに探索する旨の操作がされた場合には、CPU7は、記憶されている補正パラメータを削除し、新しい補正パラメータの最適値を探索すべく、ステップS74に進み、画像調整動作を実行するようにしても良い。
また、ステップS74において、画質調整中に、周囲の照度が変化した場合には、画質を適切に調整できない場合が生じ得る。そこで、ステップS74の画質調整中に、照度センサ18の検出値が、調整対象の照度範囲を超えた場合には、CPU7は、表示部15に、照度を安定させるように促すメッセージを表示するようにしてもよい。
以上詳細に説明したように、上記各実施形態によれば、上下方向又は左右方向に並んで配設された一対の操作キーの操作入力に従って、補正特性を規定する複数の補正パラメータのうち、一の補正パラメータの値が増減され、増減した値が反映された表示画像が、表示部15に表示される。このように、一対の操作キーの操作入力により、一つの補正パラメータの値を増減させることで映像信号の補正特性を調整できるようにすれば、簡単な操作で、映像信号の補正特性を、すべての階調に渡って包括的に調整できるようになる。これにより、エンドユーザが、表示画像の画質を、容易に調整することができるようになる。
また、上記各実施形態によれば、画像の輝度を計測するセンサを必要としないので、そのようなセンサの検出値に基づく画質の調整作業が必要とはならない。また、センサを製品に同梱する必要がないので、直材費を低減することができる。さらに、製造時にそのような調整作業が必要とならないので、製造コストを低減することができる。
また、上記各実施形態では、上キーを操作すれば、補正パラメータの値が増加し、下キーを操作すれば、補正パラメータの値が減少するようになっている。一対の操作キーを用いた補正パラメータの増減による補正特性の調整動作は、エンドユーザが、操作の熟練度を必要とせずに、直感的に成し得る操作である。また、このような調整方法は、人間工学の観点からいっても至極妥当なものである。この結果、エンドユーザの操作性をさらに高めることができる。
なお、上記各実施形態では、ブライト補正パラメータαと、コントラスト補正パラメータβとを、上下左右キー61で同時に調整可能としたが、これらは、別々に調整可能としても構わない。このように、上記各実施形態では、上キー及び下キーの組み合わせで、一の補正パラメータを増減させ、右キー及び左キーの組み合わせで、他の補正パラメータを増減させるようにしたが、どちらか一方の組み合わせのみで、補正パラメータを増減させる用にしても構わない。もっとも、このように、縦横で2つの補正パラメータを、同時調整できるようにした方が、効率的であるのは勿論である。
また、上記第2の実施形態によれば、表示部15に、補正パラメータの値が異なる複数の画像を同時に表示させた。このようにすれば、エンドユーザが、補正パラメータの値が異なる複数の画像を同時に見ることができるので、補正パラメータの最適値の見当を付けやすくなる。この結果、画質の調整がさらに容易となる。
また、上記第2の実施形態によれば、複数の画像は、補正パラメータの値に従った順序で、上下方向及び左右方向に並べて表示されている。このようにすれば、補正パラメータの値の変動に応じて、表示画像がどのように変化するかを、エンドユーザが把握することができるようになる。この結果、補正パラメータの最適値を探索し易くなるので、画質の調整がさらに容易となる。
また、上記第2の実施形態によれば、複数の画像にそれぞれ対応する補正パラメータの値を連動して増減させる。このようにすれば、補正パラメータの値の変動に対する表示画像の変化を、さらに長い範囲で、エンドユーザが把握することができるようになる。この結果、補正パラメータの最適値を探索し易くなるので、画質の調整がさらに容易となる。
また、上記第2の実施形態によれば、補正パラメータを増減させる操作キーの操作方向と、複数の画像における補正パラメータの値の増減方向とを一致させているので、エンドユーザが、操作を迷うことなく、表示される画像を見ながら補正パラメータの値を変更することができるようになる。この結果、補正パラメータの最適値を探索し易くなるので、画質の調整がさらに容易となる。
また、上記第2の実施形態によれば、表示部15の中央に表示されたエリア5の画像に対応する補正パラメータの値が最適値として決定される。この携帯電話101では、ユーザは、その中央に表示された画像と、補正パラメータの値が±1ステップ異なる前後の画像とを同時に見ることができる。ここで、その中央に表示された画像に対応する補正パラメータの値が、最適値であったとすると、前後の画像の画質と比較して、中央に表示された画像の画質が、参照画像の画質に最も近いことを、ユーザが直に識別することができるようになる。したがって、中央に表示されたエリア5の画像に対応する補正パラメータの値が最適値として決定されるようにしておけば、補正パラメータの最適値を、より確実に見つけることができるようになる。この結果、補正パラメータの最適値を探索し易くなるので、画質の調整がさらに容易になる。
また、上記第3の実施形態によれば、自宅のリビングや寝室などの周囲の照度に応じて補正パラメータの最適値を変更することができるので、表示部15に表示された画像の画質を、常に、周囲の環境に適したものとすることができるようになる。
なお、上記各実施形態では、ブライト・コントラスト調整、ガンマ調整、色温度調整、彩度・色相調整をこの順に行ったが、この調整の順番は、どのような順番であってもかまわない。また、それぞれの調整を単独で行ってもよい。
なお、上記各実施形態では、補正パラメータの値を変更する操作キーを上下左右キー61としたが、これには限られず、テンキー62の幾つかのキーを一対の操作キーとして組み合わせて、補正パラメータの値を変更するようにしてもよい。また、一対の操作キーは、上下左右方向だけでなく、斜め方向に並んで配置されていても構わない。
なお、上記各実施形態では、映像信号を、RGB信号としたが、これには限られず、YUV信号であってもよいし、その他の映像信号であってもよい。すなわち、本発明は、映像信号の規格には限定されない。
なお、上記各実施形態では、携帯電話100について説明を行ったが、本発明は、これには限られず、例えばPHS(Personal Handy−phone System)、PDA、ノート型PC(Personal Computer)、携帯型TV、携帯型の映像記録装置、再生装置等の映像表示が可能な携帯端末装置全般に適用可能である。
1・・・音声アンテナ、2・・・無線回路、3・・・符号復号処理回路、4・・・マイク、5・・・レシーバ、6・・・操作部、7・・・CPU、8・・・CPUバス、9・・・メモリ、10・・・デジタルアナログコンバータ(DAC)、11・・・スピーカ、12・・・ビデオインターフェイス(I/F)、13、13A〜13I・・・補正部、14・・・ビデオインターフェイス(I/F)、15・・・表示部、16・・・セレクタ、18・・・照度センサ、51・・・調整用画像データ、52、52’・・・補正パラメータテーブル、61・・・上下左右キー、62・・・テンキー、63・・・決定キー、100、101、102・・・携帯電話、181・・・電源端子、182・・・フォトIC、183・・・抵抗、184・・・接地、185・・・出力端子、131・・・補正パラメータレジスタ、132・・・YUV変換回路、133・・・彩度・色相変換回路、134・・・彩度補正回路、135・・・色相補正回路、136・・・色差変換回路、137・・・ブライト補正回路、138・・・コントラスト補正回路、139・・・ガンマ補正回路、1310・・・RGB変換回路、1311・・・色温度補正回路