JP2009234111A - レンズ成型用ガスケット、レンズ成型装置及びレンズ成型方法 - Google Patents

レンズ成型用ガスケット、レンズ成型装置及びレンズ成型方法 Download PDF

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Abstract

【課題】重合収縮による形状の不安定さを抑制し、厚さのばらつきを抑えてレンズを成型することを目的とする。
【解決手段】レンズ成型用のガスケット10に一方の面が完成光学面の型である上型モールド30と下型モールド40とを挿入する。上型モールド30はガスケット10の上型係止部14に組付ける。下型モールド40は成型初期には下型係止部18と間隔をもって初期静止部20に組付ける。注入口22から液体材料部を注入して重合を行う。重合収縮による下型モールド40の移動を安定化し、重合終了時に下型係止部18で確実に係止することによって、レンズの厚さのバラツキを抑制することができる。
【選択図】図7

Description

本発明は、注型重合法によってプラスチックレンズを成型するレンズ成型用ガスケット、レンズ成型装置及びレンズ成型方法に関し、特に一方のレンズ面が予め設計された完成光学面とされるいわゆるセミフィニッシュドレンズを成型するレンズ成型用ガスケット、レンズ成型装置及びレンズ成型方法に関する。
眼鏡用のプラスチックレンズは一般に注型重合法によって成型され、その型として円筒形で側面に注入口を有する型、いわゆるガスケットと、レンズの両面を成型する上型モールド及び下型モールドとが用いられている。そして、上下両方のモールドを予め設計された光学面の型とするいわゆるフィニッシュドレンズと、一方のモールドのみを設計値に基づく光学面の型として形成するセミフィニッシュドレンズとに大別される。
セミフィニッシュドレンズは、一方の光学面が成型時に完成されており、他方の面を受注等によって対応する度数に個々に切削して製作される。このようなレンズは、目的のレンズの形状に切り出し加工をすることから、累進屈折力レンズやプリズム処方レンズなどの特殊レンズに採用できる利点を有している。
しかしながら、セミフィニッシュドレンズは、未完成の面側は成型後に光学面を形成するために、両面が予め設計された光学面として成型されるいわゆるフィニッシュドレンズと比較して、切削代を十分に取る必要がある。また、このように切削代をより多く含むセミフィニッシュドレンズは、成型時に使用する樹脂用組成物(モノマー)がフィニッシュドレンズと比べて多くなることから、重合時の樹脂の収縮量が大きいことが問題となる。重合収縮は、厚み方向に生じるだけでなく、光学面方向にも生じる。セミフィニッシュドレンズの縁端面はその収縮現象の影響を最も受けやすいため、切削代をより広く取る必要がある。結果、セミフィニッシュドレンズの成型には、比較的多くのモノマーを要することになる。
樹脂収縮による形状の不安定さを解消する手法として、注入口に予め樹脂を残余させておき、収縮時にその樹脂を補填させる方法が用いられている。このような方法を用いると、定型的なセミフィニッシュドレンズを得ることができるので、公差の設定を少なくすることができる。しかし、注入口から流入する樹脂とキャビティー内の既存の樹脂は、重合の進度が異なる。硬化させると、その流入樹脂が筋状のわずかな歪みとして生じる恐れがある。また、注入口から、気泡が入り込む恐れもある。
重合収縮による形状の不安定さを解消する他の手法として、重合時の樹脂の収縮に追随するように、下側の型の上下の動きを妨げないように設計されている型を用いる方法が挙げられる(例えば特許文献1参照)。
この場合のレンズ成型装置100の一例の概略断面構成を図16に示す。図16に示すようにこのレンズ成型装置100は、略円筒状のガスケット110の上下から上型モールド130及び下型モールド140を挿入して内部にレンズの型となるキャビティー150を構成するものである。ガスケット110の内側には、上部開口111から挿入された上型モールド130を係止する突起状の上型係止部112が設けられる。上型係止部112に続く内側面は成型時にキャビティー150の内壁となり、すなわちレンズの周面の型となる成型部113とされる。この成型部113から下部開口115にかけては徐々に内径が大きくなり、断面が傾斜するテーパ面114とされる。また成型部113の一部にレンズ材料を注入する注入口116が設けられる。上型モールド130は、内側の面が設計に基づく光学面の型として形成され、下型モールド140は、内側の面は設計された光学面の型ではないが、重合時に移動が容易となるように凸面として構成される。
このようなレンズ成型装置100を用いるレンズ成型方法は以下の通りである。先ずガスケット110の上部開口111及び下部開口115からそれぞれ上型モールド130及び下型モールド140が挿入され、上型モールド130は上型係止部112に組付けられ、下型モールド140は所定の押し込み量をもってテーパ面114に組付けられる。そして注入口116からレンズを構成する樹脂材料等の成型材料160すなわちモノマーが注入される。成型材料160がガスケット110、上型モールド130及び下型モールド140で封止されるキャビティー150内に充填された状態で、加熱等による重合を行う。重合時の収縮によって、下型モールド140はテーパ面114に沿って矢印mで示すように、上側に移動する。重合後に、ガスケット110から成型されたレンズを取り外して、一方の面が設計に基づく光学面とされたセミフィニッシュタイプのレンズを得ることができる。このように設計されたレンズ成型装置110は、注入口116からの流入樹脂を最小限に抑えることができる。したがって、上述したような硬化時の流入樹脂による筋状の僅かな歪みの発生を効果的に防止することができる。
特開平3−231814号公報
しかしながら上述した図16に示す方法によりレンズを成型する場合、成型部113の内部と注入口116近傍とにおいて重合の収縮の度合いが異なることから、図17の矢印nで示すように、重合時に下型モールド140が傾いた状態で移動してしまう。このように下型モールド140が傾いた状態で重合が行われると、内部の樹脂に偏りが生じてしまう。この結果、レンズ成型装置100から取り外したレンズ形状は、図18に示すように、樹脂の偏りによるいわゆる片肉が生じてしまうこととなる。このように片肉したレンズ170は、一定の厚さに揃えるために、破線kの下面側の斜線を付して示す領域171を切削等により除去することとなる。すなわちこの部分のレンズ材料である樹脂が無駄となってしまい、コスト高の原因となってしまう。しかしながら現状では、このような重合後の形状の不安定さを踏まえて、レンズの厚さの公差を多く取る必要がある。
以上の問題に鑑みて、本発明は、重合収縮による形状の不安定さを抑制し、厚さのばらつきを抑えてセミフィニッシュドレンズを成型することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は、一方の面が完成光学面であるセミフィニッシュドレンズを成型するレンズ成型用ガスケットであって、上型モールドを挿入する上型リード部と、成型完了時に前記上型モールドを係止する上型係止部と、成型時に内壁を構成する成型部と、成型部に設けられて外部から成型材料を注入する注入口と、下型モールドを挿入する下型リード部と、成型完了時に前記下型モールドを係止する下型係止部と、を備える。そして、上型リード部又は下型リード部の少なくともいずれかに、上型モールド又は下型モールドの少なくともいずれかが、成型初期において上型係止部又は下型係止部と所定の間隔をもって静止する初期静止部が設けられる構成とする。
また、本発明によるレンズ成型装置は、上型モールドと下型モールドとレンズ成型用ガスケットから成るレンズ成型装置であって、上型モールドは、成型面が完成光学面の型面とされる。そしてレンズ成型用ガスケットは、上型モールドを挿入する上型リード部と、成型完了時に上型モールドを係止する上型係止部と、レンズ成型時に内壁を構成する成型部と、成型部に設けられて外部から成型材料を注入する注入口と、下型モールドを挿入する下型リード部と、成型完了時に下型モールドを係止する下型係止部と、を備える。更に、上型リード部又は下型リード部の少なくともいずれかに、上型モールド又は下型モールドの少なくともいずれかが、成型初期において上型係止部又は下型係止部と所定の間隔をもって静止する初期静止部が設けられる構成とする。
更に、本発明によるレンズ成型方法は、レンズ成型用ガスケットの上型リード部から、成型面が完成光学面の型面である上型モールドを挿入して組付ける工程と、レンズ成型用ガスケットの下型リード部から下型モールドを挿入して組付ける工程と、注入口から成型材料を注入する工程と、成型材料を重合する工程と、重合したレンズ成型体を離型する工程と、を含み、上型モールド及び下型モールドを組付ける工程において、上型モールド又は下型モールドの少なくともいずれかを、上型係止部又は下型係止部との間に間隔を有する初期静止部に組付ける。
上述の本発明によれば、一方の面が完成光学面であるセミフィニッシュドレンズを成型するにあたって、成型初期において上型モールド又は下型モールドの少なくともいずれか一方を、上型係止部又は下型係止部と所定の間隔を有する初期静止部に組付けた状態で重合を行う。このようにすることで、重合前の成型初期には、上型係止部と上型モールドとの間、又は下型係止部と下型モールドとの間、或いは両方に間隔が形成される。そして重合開始後の収縮時には、上型モールドが徐々に上型係止部に、又は下型モールドが徐々に下型係止部に移動するが、最終的には上型係止部又は下型係止部において上型モールド又は下型モールドの係止位置が定まる。すなわち、成型初期には上型モールド又は下型モールドが移動可能な位置に静止し、且つ重合終了時の位置を定めておくことで、重合収縮による上型モールド又は下型モールドの移動を安定化し、重合時の上型モールド又は下型モールドの傾きを抑制することができる。これにより、重合時に注入する組成材料を少なくできると共に、成型後のレンズの厚さのばらつきを抑えることが可能となる。
本発明によれば、重合収縮による形状の不安定さを抑制し、厚さのばらつきを抑えてセミフィニッシュドレンズを成型することが可能となる。
以下本発明を実施するための最良の形態の例を説明するが、本発明は以下の例に限定されるものではない。
図1に本発明の実施の形態に係るレンズ成型用のガスケット10の概略断面図を示す。このガスケット10は、一方の面が眼鏡の処方等に基づき設計された光学面として成型されるセミフィニッシュドレンズを成型するものである。なお、図1に示す例においては、ガスケット10に下型モールドの初期静止部のみを設ける例を示すが、本発明はこれに限定されるものではなく、上型モールドの初期静止部のみを設けてもよく、又はその両方を設ける構成とすることも可能である。
図1に示すように、この例のガスケット10本体は、例えば円筒形状の弾性を有する樹脂より成る部材であり、注型成型時には、後述する上型モールドと下型モールドとを組み合わせて成型時の型を構成する。図1に示すように、このガスケット10には、上部開口11から下部開口25にかけてその内側に上型リード部12、上型係止部14、成型部16、下型係止部18、下型リード部24が形成される。また、成型部16の上型係止部14側において、ガスケット10の内部にレンズ成型材料であるモノマー等を導入する注入部23が設けられる。この注入部23は、外部の接続部21からガスケット10の内側に貫通する管状とされ、ガスケット10の内壁に注入口22が設けられる。
ガスケット10全体は、上述したように弾性を有する樹脂より構成される。この材料としては、例えば熱可塑性ポリウレタンエラストマー等を用いることができる。熱可塑性ポリウレタンエラストマーは、例えば、ポリメリックグリコールからなるソフトセグメントと、ハードセグメントを構成する単分子鎖延長剤とジイソシアネートからなる。そして、ポリメリックグリコール、単分子鎖延長剤及びジイソシアネートの種類及び量等は、ガスケット10の形状及び成型するレンズ材料の種類等によって適宜変えることができる。またガスケットの材料としては、その他適度な弾性を有する材料であれば使用可能であり、例えば超低密度ポリエチレン、ポリオレフィンエラストマー等を好適に用いることができる。
このガスケット10の上型リード部12は、図1に示す例では円筒面としているが、その他、開口11側に僅かに広がるテーパ面として形成してもよい。このテーパ面の傾斜角度としては、円筒形の中心軸に沿う方向から1°以上5°以下、より望ましくは2°以上3°以下程度とすることが望ましい。またこの上型リード部12の内径は上型モールドの外径より小とされ、弾性を有する樹脂等より成るガスケット10が拡径方向に変形し、上型モールドが押圧される状態で上型リード部12内に挿入される。上型リード部12の上型係止部14直上における内径は、組み合わされる上型モールドの外径に対して2%以上3%以下程度小さく設計することが望ましい。上側リード部12の傾斜角度及び内径をこの範囲とすることで、重合時に良好なシール性を確保することができる。
成型部16は、上型係止部14及び下型係止部18の間の領域であり、上型リード部12及び下型リード部24から内側に突出する断面略台形状に形成される。成型部16の上型リード部12及び下型リード部24からの高さを0.5mm以上1.2mm以下程度とすることにより、上型係止部14及び下型係止部18において重合時に良好なシールドを行うことができる。また成型部16の内径を調整することによって、異なる径のレンズを成型することができる。成型部16の上下方向の幅は、成型されるレンズの側面の厚さ、いわゆるコバ厚に対応して決定される。
また成型部16の上下の上型係止部14及び下型係止部18は、重合時にそれぞれ上型モールド及び下型モールドと当接して型内を封止する部分とされる。この上型係止部14及び下型係止部18の傾斜角度は、上型モールド及び下型モールドの当接面の形状により、重合時に必要なシール性が得られる角度として形成する。
また、成型部16の上部には、図1に示すようにレンズ成型用ガスケット10の内外に連通する注入部23の注入口22が設けられる。注入部23は、図2にガスケット10の概略斜視構成図を示すように、断面が例えば横長の長方形状の孔を有する管状とされ、外側の接続部21で図示しない注入管に連通する。そしてこの接続部21は、図1に示すように、注入方向の断面において上側の面がガスケット10の外側上方に傾斜し、下側の面はそれより緩やかな傾斜面か或いは注入方向に沿う水平面とされるいわば断面台形状として形成される。接続部21の上面をこのように外側上方に傾斜する断面形状とすることによって、注入部23の孔内に発生する気泡などが型の内部に入ることを抑制することができる。
一方、下型係止部18の直下には、下型リード部24が設けられる。この下型リード部24には、成型材料を注入するときに下型モールドを静止する初期静止部20が含まれる。成型初期、すなわち重合が開始していない最も成型材料の体積が大きい時、下型モールドは初期静止部20に位置する構成とする。
なお、下型リード部24の内径は、下型モールドの外径に比して小とされ、弾性を有する樹脂等より成るガスケット10が拡径方向に変形し、下型モールドが押圧される状態で下型リード部24内に挿入される。したがって、強い押圧力をもって押し込むことで下型モールドは下型係止部18に到達可能であるが、下型係止部18に至らない位置である初期静止部20において下型モールドの押し込みを停止することで、下型モールドを下型係止部18に対して所定の間隔dをもって静止させることができる。この間隔dは、成型材料の重合収縮量に対応して適宜選定される。重合収縮量については後述する。
ここで、下型リード部24は、下型係止部18の直下の内径が最も小さく、下部開口25に向けて徐々に内径が広くなるテーパ形状の断面として形成することが望ましい。内壁の広がり角度θは、円筒形状の中心軸に沿う方向に対して1°以上3°以下が好ましく、1.5°以上2.5°以下とすることがより好ましい。
また、下型リード部24において、下型係止部18の直下から初期静止部20までの間の一部又は全部の領域に、ほぼ等しい内径で構成された円筒面の領域を設けてもよい。すなわち一定領域を円筒面として、その下部側に、徐々に内径が広がるテーパ面を設ける構成としてもよい。更に、上型リード部12においても、上型係止部14の上部に円筒面を設けてもよい。
このように、上型リード部12の上型係止部14側、及び下型リード部24の下型係止部18側をテーパ面ではなく円筒面とすることで、成型時における上型モールド及び下型モールドの側面との密着性を高めて安定に保持し、また外部からの空気の侵入による気泡の発生を抑制することができる。また組付け位置を円筒面とする場合は、テーパ面とすることによって開口側に押し出される力を抑えられるので、組付け時の安定性を保持することができる。更に、このような押し出す力を考慮してテーパ領域の傾斜角度を小さく抑える必要がなくなり、テーパ面をより大きい傾斜角度とすることが可能となる。なお、円筒面とする領域は上型モールド及び下型モールドの側面の形状によって適宜選定すればよい。上型モールド及び下型モールドの厚さを例えば5mm、円筒面とする領域の長さをそれより短い例えば1.5mm程度として形成する場合でも、上述した密着性、安定性の効果が十分得られる。
また、成型初期において上型モールドが上型係止部14に係止されている場合でも、その内側部分に隙間を設けてもよい。成型初期にこの内側の隙間部分に成型材料である樹脂を入り込ませておくことによって、重合収縮によりこの隙間が封止され、この部分の当接を確保して外部からの空気の侵入を抑制することができ、気泡が入り込む泡不良の発生を防ぐことが可能である。
なお、上述したように成型初期に上型モールドが上型係止部14に対して所定の間隔をもって静止する初期静止部を上型リード部12にも設けてもよい。また、上型リード部12のみにこのような初期静止部を設ける構成とすることも可能である。このように上型リード部12にも初期静止部を設けることによって、下型リード部24に初期静止部を設ける場合と同様の効果を得ることができる。上下両方に初期静止部を設ける場合は、より多くの重合収縮量に対応することが可能となるので、比較的厚さの大きいレンズを成型する場合に有利となる。
次に、このレンズ成型用のガスケット10と上型モールド及び下型モールドより成るレンズ成型装置1について説明する。この例においても、下型リード部のみに初期静止部を設ける例を示すが、これに限定されるものではなく、上型リード部のみ、或いは両方に初期静止部を設けてもよい。
図3は上述のガスケット10を用いたレンズ成型装置1の概略断面構成図である。図3において、図1と対応する部分には同一符号を付して重複説明を省略する。図3に示すように、このレンズ成型装置1は、上型モールド30とガスケット10と下型モールド40から構成される。上型モールド30の外径は、上型リード部12の内径よりも僅かに大きい。具体的には、上型モールド30の外径が65〜80mmの場合、上型リード部12の上型係止部14直上の内径の方が1.5〜2.5mm程度小さい形状となるようにする。したがって、上型リード部12の上部開口11から上型モールド30を挿入すると、上型モールド30の側面は、上型リード部12の内壁により締め付けられることになる。その結果、上型モールド30は、ガスケット10の上部を密封する。そして上型モールド30は上型係止部36に当接するまで押し込まれた状態で用いられる。図示しないが上型リード部12は上部開口から内部に向かって徐々に内径が小さくなるテーパ面としてもよく、また上述したように上型係止部14の直上を円筒面として、その上部から上部開口11に向かってテーパ面としてもよい。
上型モールド30は、例えば透明ガラスにより構成され、通常凸面とされる外面31と、成型されるセミフィニッシュドレンズの完成レンズ面を直接的に成型する成型面32を含む内面とを有する。成型面32は通常凹面とされる。そして上型モールド30の側面33の成型面32側の周縁部には、ガスケット10の上述した上型係止部14に当接するシール部34がテーパ状に設けられる。この上型モールド30のシール部34は、ガスケット10の上型係止部14と当接する周縁領域に例えばテーパ面として設けられる。シール部34と上型係止部14は、重合時に両者の全周に渡って当接状態が確保されるように構成される。この当接状態とは、シール部34の全面が成型初期から上型係止部14に当接する状態に限定されるものではなく、成型初期には内側に隙間が形成されていてもよい。すなわち成型初期にはシール部34の一部或いは側面33が当接状態となり、重合が進むにつれて成型材料が内側に収縮し、これに伴いシール部34が外側から上型係止部14に当接されて密封状態を保持する形状であればよい。
上型モールド30の厚さは、内面において成型面32を構成する領域で略等しくなるように設計される。成型面32の領域は、重合収縮時に型の内部方向に強く引かれる力が作用する。したがって、上型モールド30の厚さを均一にすることで、この力の作用が一点に集中することを抑制ないしは回避することができ、重合収縮時の減圧に係る作用によって生じるモールドの破損を好適に抑制することができる。
一方、下型モールド40は、例えば透明ガラスより構成され、通常凹面とされる外面41と凸面とされる成型面42とを有し、側面43に続く成型面42側の周縁部が重合時に下型係止部18に当接されるシール部44とされる。下型モールド40は、ガスケット10の下部開口25から下型リード部24に挿入され、成型初期にはシール部44の端縁が下型リード部24の初期静止部20で静止し、重合完了時にはシール部44が下型係止部18に当接するようになされる。また、下型モールド40の成型面42の厚さは、上型モールド30と同様の理由により略等しく形成される。
下型モールド40の外径は、下側開口25の内径に略等しいか、僅かに大きい径とされる。上述したように、ガスケット10の下型リード部24は、下型係止部18の直下が最も内径が小さく、下部開口25に向かって徐々に内径が大きくなる形状とされる。或いは、下型係止部18と初期静止部20との間に円筒面を設ける場合はその下部から下側開口25にかけて、内径が大きくなるように構成される。
下型係止部18の直下の内径と下型モールド40の外径とを比較すると、下型係止部18の直下の内径が、下型モールド40の外径よりも1.5mmから2.5mm程度小さい形状とすることができる。
次に、以上説明した本発明の実施の形態に係るレンズ成型装置を用いたレンズ成型方法について説明する。図4は、この成型方法の概略工程を示すフローチャートである。
図4に示すように、先ず上型モールド30をガスケット10の上部開口から挿入して組付ける。組付け位置は上型係止部14でも上型係止部14と所定の間隔を有する初期静止部でもよい。例えば、上型リード部12を経て、上型モールド30の側面33及びシール部34の少なくとも一部が上型係止部14に当接する状態として組付ける(ステップS1)。図5は、この工程で上型モールド30をガスケット10の上型係止部14の位置に組付けた後の状態を示す断面図である。図5に示すように、上型モールド30は、成型品に光学面を付与する成型面32である凹面側をガスケット10の内部のキャビティー50に向けて挿入される。図5において、図3と対応する部分には同一符号を付して重複説明を省略する。また、組付けた状態で、シール部34及び側面33の少なくとも一部と上型係止部14とが全周に渡って接触状態が確保されるようにする。このとき、ガスケット10を弾性体である樹脂等により構成し、また、上型リード部12の内径よりも上型モールド30の外径の方を大きく選定するので、上型モールド30とガスケット10の密着性は確実に確保される。
次いで、下型モールド40をガスケット10の下型リード部24から挿入して組付ける。この位置は、上型モールド30を初期静止部に組付ける場合は下型係止部18でもよく、少なくともいずれかを初期静止部に組付けることとする。この例においては、上型モールド3を上型係止部14に組付けるので、下型モールド40は初期静止部20の位置に組付ける(図4のステップS2)。このとき、ガスケット10の初期静止部20と下型係止部18の間に、間隔dを保持するように組付けを行う(図5参照)。この間隔dは、重合工程で樹脂等の成型材料が収縮する量を考慮して適宜選定することが望ましい。なお、上型モールド30及び下型モールド40を両方初期静止部に組付けることも可能である。その場合は、上下の間隔の総量に対応する容積分が、重合過程の収縮量と略同一となるように、上下の間隔を選定する。図5に示すように、初期静止部20の内径よりも下型モールド40の外径の方が大きいので、下型モールド40とガスケット10の密着性は確実に確保される。
なお、上述のステップS1及びS2は順序を入れ替えて行うことが可能である。これらステップS1及びS2の工程を経て、成型材料注入時のキャビティー50が形成される。なお、ステップS2までで形成されるガスケット10内のキャビティー50の容積は、重合後の完成成型品の設計体積に対して、下型係止部18と初期静止部20との間隔dの分だけ大きい。すなわち、このキャビティー50の容積は、重合収縮により消費される体積分とほぼ等しい容積分だけ設計体積より大きく選定される。
次いで、図6に示すように、キャビティー50内にプラスチックレンズを構成する成型材料、すなわち重合前のモノマーを注入する(図4のステップS3)。図6において、図3及び図5と対応する部分には同一符号を付して重複説明を省略する。成型材料は、ガスケット10の外部から注入部23の接続部21、注入口22を通じて導入される。上述したように注入部23の注入方向の断面形状は、上側の面がガスケット10の外側上方に傾斜し、下側の面はそれより緩やかな傾斜面か或いは注入方向に沿う水平面とされ、いわば断面が台形状として形成される。このような形状とすることで、成型材料中に不可避に入り込んだ気泡が、注入部23からキャビティー50内に入り込むことを効果的に抑制することができる。
次いで、電気炉等においてレンズ成型装置1を加熱し、重合処理を行う(図4のステップS4)。この加熱等による重合の際に、キャビティー50内の成型材料が重合収縮すると共に、上型モールド30及び下型モールド40が膨張する現象が生じる。ガスケット10は、弾性を有する材料で構成されており柔軟性があるので、上型モールド30及び下型モールド40の変形に対して高いシール性能を維持しながら、両者の形状変化に追従する。
そしてこのとき、キャビティー50内の成型材料の重合が進むにしたがい、キャビティー50の初期の容積よりも成型材料の体積が徐々に小さくなっていく。この様子を図7に示す。
下型モールド40は、図7に模式的に示すように、初期段階において二点鎖線で示すように初期静止部20に位置するが、重合収縮に伴う成型材料の縮小に追随するように、初期静止部20から矢印aで示すように徐々に上方に移動し、下型係止部18で停止する。
上述したように、下型リード部12は、上方に向けて徐々に内径が狭くなる構成とされ、また下型モールド40の外径は下型リード部12の内径よりも小さくなるように構成されている。このような組み合わせであれば、下型モールド40を組付ける際に上方に移動するとき、下型リード部24の内壁と強く接触する作用部分が下型モールド40の側面のより上部で維持される。このため、下型モールド40は、全周に渡ってほぼ均等の速度で移動することができ、組付け時に傾きを生じにくくなる。
なお、
このとき、成型部16内の注入口22近傍とそれ以外で多少重合収縮率が異なっていても、最終的に下型係止部18において下型モールド40のシール部44が係止される。この結果、下型モールド40の移動速度の偏りに起因する重合終了時の下型モールド40の傾きを大幅に抑制、ないしは回避することができる。したがって、下型モールド40が傾斜したまま重合終了時まで移動することによってキャビティー50内にエアが入り込む現象や、傾いたまま重合を終了して結果的に成型したレンズの厚さが部分的にばらつくいわゆる片肉現象が生じることを抑制することができる。下型モールド40のシール部44と下型係止部18の全周が当接した段階で、キャビティー50と成型物(セミフィニッシュドレンズ)の形状はほぼ等しくなる。
なお、成型初期において、図8に示すように、上型モールド30の方を上型係止部14から間隔をもつ初期静止部13に組付ける場合においても、上述の効果と同様の効果が得られる。同様に、図9に示すように、成型初期においてそれぞれ上型モールド30を初期静止部13に、また下型モールド40を初期静止部20に組付けて成型材料を注入し、重合を行う場合においても、同様の効果が得られる。すなわち、上型モールド30及び下型モールド40の重合後の傾きを抑制ないしは回避でき、気泡の混入や片肉減少が生じることを抑制することができる。図8及び図9において、図6と対応する部分には同一符号を付して重複説明を省略する。
次いで、重合によって硬化した成型材料を離型して、成型されたレンズを取り出す(図4のステップS5)。
なお、図示しないがレンズの離型後に、重合過程で生じたレンズ内部の歪みを除去するため、アニールを行うことが望ましい。その後、外観検査及び投影検査等の検査を行って、セミフィニッシュドレンズの完成品を得ることができる。
次に、本発明のレンズ成型装置を用いてレンズを成型する際の重合収縮量の検討と、本発明により成型作製したレンズと比較例によるレンズとにおける外径及び厚さのばらつき、泡不良の評価を行った結果について説明する。以下の各実施例、比較例共に、成型材料としてはポリチオールウレタン樹脂を用いた。
以下の実施例においては、図10に概略断面構成を示すレンズ成型用ガスケット10、上型モールド30及び下型モールド40を用いてレンズを複数個成型し、完成したレンズの評価を行った。図10においては成型初期の状態、すなわち重合前の各部の配置構成を示し、ガスケット10の中心軸cから片側半分のみを示している。
図10に示すように、このガスケット10には、上型リード部12と下型リード部24との間の成型部16が断面台形状に内側に突出する形状として設けられ、すなわち上型係止部14及び下型係止部18がそれぞれ傾斜面として設けられる。そして成型部16の上型リード部12からの高さをh1、下型リード部24からの高さをh2とする。成型初期において、下型モールド40は下型係止部18の下端から間隔d2をもった位置に静止する。また、上型モールド30についても、上型係止部14に係止した状態で、上型モールド30のシール部34の内側端と上型係止部14の成型部16側の内側端、すなわち内径側の部分に間隙が生じる形状となっている。このシール部34の下端と成型部16の上端との間隔をd1とする。更に、成型部16の上型係止部14側上端から下型係止部18側下端までの長さ、すなわち成型後のレンズの厚さ(いわゆるコバ厚)に対応する厚さをEとする。
(1)重合収縮の評価
先ず、成型するレンズの厚さの目標値となる成型部16の上端から下端までの距離を設計厚さEとして、この設計厚さEに対して重合収縮量がどのように変化するか確認した。以下の例においては、上型モールド30の直径75mmの位置から下型モールド40の側面43の下端までの距離(厚さ)をHとした。そして設計厚さE=5.5mm、8mm、10.5mm、15.5mm、18mm、21.5mmの6種のガスケット10においてそれぞれ4個ずつレンズを成型し、試料1〜24とした。各試料1〜24について、図11にレンズ70の成型面側から見た平面構成を示すように、90°間隔の位置P1〜P4における厚さHを測定した。この結果を下記の表1に示す。
Figure 2009234111
表1において、H1〜H4、H1’〜H4’は、各試料1〜24における重合前及び重合後の位置P1〜P4における厚さ(測定値)をそれぞれ示す。また重合前後でのHの変化量をΔH1〜ΔH4として示す。そして各試料1〜24それぞれの変化量の平均値(試料毎平均値)を算出し、更に設計厚さ毎に、この試料毎の平均値の平均値を収縮量として算出した。なお、各例共に、上型モールド30及び下型モールド40の外径は78mmとした。上型モールド30の曲率半径Rは136.5mm、下型モールド40の曲率半径Rは75.831mmである。上型係止部14の高さh1は0.9mm、下型係止部18の高さh2は0.98mm、上型係止部14の直上及び下型係止部18の直下に高さ2mmの円筒面領域を設けた。円筒面より上部開口側及び下部開口側はそれぞれテーパ面とし、中心軸に沿う方向からの角度θ1、θ2は共に2°とした。上側係止部14直上の円筒面での内径は、76.14mm、下型係止部18直下の円筒面での内径は、76.3mmとした。
更に、表1中の収縮量と、各設計厚さEに対応する上述の間隔d1及びd2、d1+d2、E+d1+d2を表2に示す。なお、間隔d2が下型係止部18と初期静止部20との間隔となる。
Figure 2009234111
また、上記表2に示す設計厚さEと測定した収縮量の関係を図12に実線b1として示す。図12から、設計厚さE、すなわち成形部16の厚さに対応して収縮量が略線形に変化することが分かる。またこの測定結果から近似する直線b2を算定して、収縮量を予測することができ、収縮量に基づいて間隔d2を選定することができる。収縮量を吸収するように間隔d2を選定することによって、重合時の下型モールド40の傾きを抑制し、良好に厚さのばらつき、外径のばらつきを抑えてレンズを成型することができる。
なお、表2から分かるように、上記各例においては、下型係止部18と初期静止部20との間隔d2と、上型係止部14と上型モールド30との間の間隔d1との和d1+d2が、収縮量より大となるように構成した。このように、収縮量をいわば吸収するように間隔d1、d2を選定しておくことで、より良好に気泡の混入等の不都合を抑制することができる。
(2)外径の評価
次に、設計厚さの異なるレンズについて、厚さ方向の外径のばらつきについて検討した。以下の例においては、設計厚さEが5mm、10mmのレンズをそれぞれ6ずつ、試料25〜30、31〜36として作製した。
なお、設計厚さE=5mmの試料25〜30を成型する際に用いたガスケット10の形状、上型モールド30及び下型モールド40の曲率半径は以下の通りである。
h1=0.9mm
h2=0.98mm
d1=0.08mm
d2=0.17mm
上側係止部14直上の円筒部の内径:76.15mm
下型係止部18直下の円筒部の内径:76.15mm
上型モールド30の成型面の曲率半径:141.60mm
下型モールド40の成型面の曲率半径:75.831mm
また、設計厚さE=10mmの試料31〜36を成型する際に用いたガスケット10の形状は以下の通りである。
h1=0.9mm
h2=0.95mm
d1=0.08mm
d2=0.60mm
上型係止部直上の円筒部の内径:76.15mm
下型係止部直下の円筒部の内径:76.25mm
上型モールド30の成型面の曲率半径:141.60mm
下型モールド40の成型面の曲率半径:78.83mm
各試料において、重合後の上型モールドの外径、下型モールドの外径、更に図13に示すように、センター厚Ctと、レンズ70の周面の厚さ方向、いわゆるコバ厚方向の位置p1,p2,・・・pnにおける外径を測定した。p1〜pnとして、試料25〜30では凸面側から0mm、2mm、3mm、5mmの位置で外径を測定した。また、試料31〜36では凸面側から0mm、2mm、4mm、6mm、7mm、8mm、10mmの位置で外径を測定した。そして測定値をもとに、試料毎の外径の平均値とその標準偏差、(最大値)−(最小値)を算出した。また、コバ厚方向の位置毎の外径の平均値と(最大値)−(最小値)も算出した。この結果をそれぞれ表3及び表4に示す。
Figure 2009234111
Figure 2009234111
表3及び表4の結果から、試料間の外径のばらつきは、設計厚さE=5mmの場合で0.11mm以下、設計厚さE=10mmの場合で0.16mm以下であり、外径ばらつきの誤差を0.2mm以下とすることができることが分かる。また、設計厚さ5mm、10mmの各試料におけるコバ厚方向のばらつきはそれぞれ0.04mm以下、0.09mm以下とより小さくでき、すなわち凸面側と凹面側とでのばらつきも抑えることができるといえる。このように、本発明によればセミフィニッシュドレンズの成型後の外径のばらつきを抑えることができるため、外径の差異を修正するための切削に消費される樹脂分の成型材料の量を削減することが可能となる。したがって、コストの削減を図ることができる。
(2)片肉の評価
次に、設計厚さEが10mm、15mm、20mmのガスケットをそれぞれ用意し、レンズを成型して最小厚さと最大厚さとの差を測定した。E=10mmのガスケットG1、E=15mmのガスケットG2〜G4、E=20mmのガスケットG5の形状、上型モールド及び下型モールドの曲率半径は下記の通りである。
ガスケットG1
h1=0.80mm
h2=0.7mm
d1=0.08mm
d2=0.35mm
上型係止部直上の円筒部の内径:76.3mm
下型係止部直下の円筒部の内径:76.1mm
上型モールド30の成型面の曲率半径:136.500mm
下型モールド40の成型面の曲率半径:78.831mm
ガスケットG2
h1=0.8mm
h2=0.7mm
d1=0.08mm
d2=0.56mm
上型係止部直上の円筒部の内径:76.3mm
下型係止部直下の円筒部の内径:76.1mm
上型モールド30の成型面の曲率半径:136.500mm
下型モールド40の成型面の曲率半径:78.831mm
ガスケットG3
h1=0.8mm
h2=0.8mm
d1=0.08mm
d2=0.56mm
上型係止部直上の円筒部の内径:76.3mm
下型係止部直下の円筒部の内径:76.3mm
上型モールド30の成型面の曲率半径:136.500mm
下型モールド40の成型面の曲率半径:78.831mm
ガスケットG4
h1=0.8mm
h2=0.8mm
d1=0.08mm
d2=0.56mm
上型係止部直上の円筒部の内径:76.3mm
下型係止部直下の円筒部の内径:76.3mm
上型モールド30の成型面の曲率半径:136.500mm
下型モールド40の成型面の曲率半径:78.831mm
ガスケットG5
h1=0.80mm
h2=0.8mm
d1=0.08mm
d2=0.75mm
上型係止部直上の円筒部の内径:76.3mm
下型係止部直下の円筒部の内径:76.3mm
上型モールド30の成型面の曲率半径:136.500mm
下型モールド40の成型面の曲率半径:78.831mm
この結果を下記の表5に示す。表5に示すように、ガスケットG1及びG2により成型したレンズのサンプル数は24、ガスケットG3により成型したレンズのサンプル数は28、ガスケットG4及びG5により成型したレンズのサンプル数は6である。
Figure 2009234111
表5の結果から、設計厚さが10mm、15mm及び20mmの各レンズにおいて、片肉を0.2mm以下に抑えられることが分かる。
これに対し、比較例として、下型係止部を設けず、下型リード部をテーパ状としたガスケットによりセミフィニッシュドレンズを成型し、コバ厚のばらつきを測定した。図14に、この比較例におけるガスケットの要部の概略断面図を示す。図14に示すように、このガスケット80の内面には、上部開口81に続いて比較的傾斜角度の大きいテーパ面82、更に比較的傾斜角度の緩い上型リード部83、上型係止部84が形成される。そして成型部86を挟んで傾斜角度の緩い下型リード部87が設けられ、比較的傾斜角度の大きいテーパ面88を介して下部開口89とされる。上型係止部84の高さをh81、上型係止部84の厚さ方向の長さをd8として示す。以下の例においては、成型部86の厚さ方向の長さがE0=9.5mmとされる同一形状のガスケットG6及びG7、E0=14.2mmとされる同一形状のガスケットG8及びG9を用意して、それぞれレンズを成型した。各ガスケットG6〜G9の形状と上型モールド及び下型モールドの成型面の曲率半径は以下の通りである。
ガスケットG6及びG7
h81=0.85mm
d8=0.08mm
上型係止部直上の円筒部の内径:76.3mm
下型係止部の下部の下型リード部の内径:74.6〜75.1mm
上型モールドの成型面の曲率半径:136.500mm
下型モールドの成型面の曲率半径:78.831mm
ガスケットG8及びG9
h81=0.85mm
d8=0.08mm
上型係止部直上の円筒部の内径:76.3mm
下型係止部の下部の下型リード部の内径:74.6〜75.1mm
上型モールドの成型面の曲率半径:136.500mm
下型モールドの成型面の曲率半径:78.831mm
この結果を下記の表6に示す。比較例による場合は、設計厚さが10mm、15mmの場合において共に、片肉が増加しており、最大で1mmを超える厚さのばらつきが生じていることが分かる。
Figure 2009234111
以上の結果から、本発明による場合は、従来構成の比較例の結果と比べて下型モールドの傾きによる片肉現象が好適に抑制されていることがわかる。この結果、片肉現象を見込んで予め厚めに設計する必要がなく、注入するレンズ成型材料の量を削減することができるので、コストの低減化を図ることができる。
(3)泡不良の評価
次に、重合収縮時の引き込みに伴う気泡の発生について検討した。設計厚さE=10mmに対してガスケットG10、15mmのレンズに対しガスケットG11、E=20mmに対してG12、E=5mmのレンズに対してG13のガスケット使い、セミフィニッシュドレンズの成型を行った。ガスケットG10、G11、G12、G13の形状、上型モールド及び下型モールドの曲率半径は下記の通りである。これらの例においても、上型モールドは累進屈折力レンズ用の成型モールドとし、平均曲率半径を示した。
ガスケットG10
h1=0.8mm
h2=0.7mm
d1=0.08mm
d2=0.35mm
上型係止部直上の円筒部の内径:76.3mm
下型係止部直下の円筒部の内径:76.1mm
上型モールド30の成型面の曲率半径:136.500mm
下型モールド40の成型面の曲率半径:78.531mm
ガスケットG11
h1=0.8mm
h2=0.8mm
d1=0.08mm
d2=0.56mm
上型係止部直上の円筒部の内径:76.3mm
下型係止部直下の円筒部の内径:76.3mm
上型モールド30の成型面の曲率半径:136.500mm
下型モールド40の成型面の曲率半径:78.531mm
ガスケットG12
h1=0.8mm
h2=0.8mm
d1=0.08mm
d2=0.75mm
上型係止部直上の円筒部の内径:76.3mm
下型係止部直下の円筒部の内径:76.3mm
上型モールド30の成型面の曲率半径:136.500mm
下型モールド40の成型面の曲率半径:78.531mm
ガスケットG13
h1=0.8mm
h2=0.7mm
d1=0.08mm
d2=0.17mm
上型係止部直上の円筒部の内径:76.3mm
下型係止部直下の円筒部の内径:76.1mm
上型モールド30の成型面の曲率半径:91.000mm
下型モールド40の成型面の曲率半径:75.831mm
この場合の各設計厚さのレンズに対する投入数、泡不良数、不良率を下記の表7に示す。
Figure 2009234111
以上の結果から、本発明による場合は、泡不良数が各設計厚さのレンズにおいて0となり、不良率0%という良好な結果を得た。
これに対し、片肉の発生しにくいガスケットとして、上型係止部及び下型係止部を有するガスケットを用いてレンズを成型し、泡不良数及び不良率を測定した。図15にこのガスケットの要部の概略断面構成図を示す。図15に示すように、このガスケット90は、上部開口91に続いてテーパ面92、上型リード部93及び上型係止部94が形成される。この上型係止部94は上型リード部93から斜め上方に突出する形状とし、その径方向の高さをh91、上下方向(レンズの厚さ方向)の長さをd9とする。上型係止部94の下部には成型部95に続いて下型係止部96が設けられる。この下型係止部96は、内側に径方向に突出する形状とし、その高さをh92とする。続いて下型リード部97が設けられ、テーパ面98を介して下側開口99とされる。下記のガスケットG14及び15では設計厚さをE=10.5mmとした。ガスケットG14及び15の形状、上型モールド及び下型モールドの曲率半径は下記の通りである。
ガスケットG14
h91=2.5mm
d9=1.4mm
上部開口の内径:71.5mm
及び下部開口の内径:71.5mm
上型モールドの成型面の曲率半径:77.24mm
下型モールドの成型面の曲率半径:85.143mm
ガスケットG15
h91=2.5mm
d9=1.4mm
上部開口の内径:71.5mm
及び下部開口の内径:71.5mm
上型モールドの成型面の曲率半径:98.593mm
下型モールドの成型面の曲率半径:148.99mm
これらのガスケットG14及び15を用いてセミフィニッシュドレンズを成型した。この結果を下記の表8に示す。
Figure 2009234111
表8に示すように、この場合は気泡の発生が見られ、不良率は0.3以上と高いものであった。これらの結果から、本発明による場合は、泡不良率の発生を格段に抑え、又は回避することができることがわかる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載される本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変型例または応用例を含むものであることはいうまでもない。
本発明の実施の形態に係るレンズ成型用ガスケットの概略断面構成図である。 本発明の実施の形態に係るレンズ成型用ガスケットの概略斜視構成図である。 本発明の実施の形態に係るレンズ成型装置の概略断面構成図である。 本発明の実施の形態に係るレンズ成型方法のフローチャートを示す図である。 本発明の実施の形態に係るレンズ成型方法の一工程の概略断面図である。 本発明の実施の形態に係るレンズ成型方法の一工程の概略断面図である。 本発明の実施の形態に係るレンズ成型方法の一工程の概略断面図である。 本発明の他の実施の形態に係るレンズ成型方法の一工程の概略断面図である。 本発明の他の実施の形態に係るレンズ成型方法の一工程の概略断面図である。 本発明の実施の形態に係るレンズ成型用ガスケットの要部の概略断面構成図である。 レンズの厚さ測定位置の説明図である。 レンズの設計厚さに対する収縮量の変化を示す図である。 レンズの外径測定位置の説明図である。 比較例によるレンズ成型用ガスケットの要部の概略断面図である。 比較例によるレンズ成型用ガスケットの要部の概略断面図である。 従来のレンズ成型用ガスケットを用いたレンズ成型方法の工程図である。 従来のレンズ成型用ガスケットを用いたレンズ成型方法の工程図である。 従来のレンズ成型方法により作成したレンズの断面構成図である。
符号の説明
1.レンズ成型装置、10.(レンズ成型用)ガスケット、11.上部開口、12.上型リード部、14.上型係止部、16.成型部、18.下型係止部、20.初期静止部、21.接続部、22.注入口、23.注入部、24.下型リード部、25.下部開口、30.上型モールド、31.外面、32.成型面、33.側面、34.シール部、40.下型モールド、41.外面、42.成型面、43.側面、44.シール部

Claims (8)

  1. 一方の面が完成光学面であるセミフィニッシュドレンズを成型するレンズ成型用ガスケットであって、
    上型モールドを挿入する上型リード部と、
    成型完了時に前記上型モールドを係止する上型係止部と、
    成型時に内壁を構成する成型部と、
    前記成型部に設けられて外部から成型材料を注入する注入口と、
    下型モールドを挿入する下型リード部と、
    成型完了時に前記下型モールドを係止する下型係止部と、を備え、
    前記上型リード部又は下型リード部の少なくともいずれかに、前記上型モールド又は下型モールドの少なくともいずれかが、成型初期において前記上型係止部又は下型係止部と所定の間隔をもって静止する初期静止部が設けられる
    レンズ成型用ガスケット。
  2. 前記上型リード部及び下型リード部の少なくともいずれかに、前記上型係止部及び下型係止部側から開口側にかけて徐々に内径が大きくなるテーパ面を含み、
    前記上型係止部の直上及び下型係止部の直下の少なくともいずれかに、円筒面が設けられる請求項1記載のレンズ成型用ガスケット。
  3. 前記上型リード部及び下型リード部の少なくともいずれかに、前記上型係止部及び下型係止部側から開口側にかけて徐々に内径が大きくなるテーパ面を含む請求項1記載のレンズ成型用ガスケット。
  4. 前記レンズ成型用ガスケット本体が弾性を有する樹脂で構成されている請求項1〜3のいずれか1項記載のレンズ成型用ガスケット。
  5. 上型モールドと下型モールドとレンズ成型用ガスケットから成るレンズ成型装置であって、
    前記上型モールドは、成型面が完成光学面の型面とされ、
    前記レンズ成型用ガスケットは、
    前記上型モールドを挿入する上型リード部と、
    成型完了時に前記上型モールドを係止する上型係止部と、
    レンズ成型時に内壁を構成する成型部と、
    前記成型部に設けられて外部から成型材料を注入する注入口と、
    下型モールドを挿入する下型リード部と、
    成型完了時に前記下型モールドを係止する下型係止部と、を備え、
    前記上型リード部又は下型リード部の少なくともいずれかに、前記上型モールド又は下型モールドの少なくともいずれかが、成型初期において前記上型係止部又は下型係止部と所定の間隔をもって静止する初期静止部が設けられる
    レンズ成型装置。
  6. 前記上型モールドの外径に比して前記上型係止部の内径が小とされる請求項5記載のレンズ成型装置。
  7. 前記下型モールドの外径に比して前記下型係止部の内径が小とされる請求項5又は6記載のレンズ成型装置。
  8. レンズ成型用ガスケットの上型リード部から、成型面が完成光学面の型面である上型モールドを挿入して組付ける工程と、
    前記レンズ成型用ガスケットの下型リード部から下型モールドを挿入して組付ける工程と、
    注入口から成型材料を注入する工程と、
    前記成型材料を重合する工程と、
    重合したレンズ成型体を離型する工程と、を含み、
    前記上型モールド及び下型モールドを組付ける工程において、前記上型モールド又は下型モールドの少なくともいずれかを、上型係止部又は下型係止部との間に間隔を有する初期静止部に組付ける
    レンズ成型方法。
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