JP2009234001A - 木質材料処理組成物、木質材料の処理方法及びそれにより処理された木質材料 - Google Patents

木質材料処理組成物、木質材料の処理方法及びそれにより処理された木質材料 Download PDF

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Abstract

【課題】木材等の木質材料の硬度、難燃性等を向上させると共に、処理後の木質材料の反り、白華等の問題の生じにくい木質材料処理組成物、それを用いた木質材料の処理方法、及びそれにより処理された、寸法及び形状安定性に優れる木質材料を提供する。
【解決手段】水1000mLに、少なくとも、50〜250gのリン酸水素二アンモニウム((NHHPO)、50〜250gの二リン酸(H)、5〜30gの水酸化アルミニウム(Al(OH))、3〜15gのコロイド状シリカ、及び10〜50gのセメント上清水を添加することにより得られる木質材料処理組成物、この組成物を含浸させる工程を含む木質材料の処理方法、及びこの方法により処理を行うことにより得られる木質材料。
【選択図】なし

Description

本発明は、木質材料処理組成物、木質材料の処理方法及びそれにより処理された木質材料に係り、更に詳細には、木材等の木質材料の硬度、難燃性等を向上させると共に、処理後の木質材料の反り、白華等の問題の生じにくい木質材料処理組成物、それを用いた木質材料の処理方法、及びそれにより処理された、寸法及び形状安定性に優れる木質材料に関する。
木質材料は、古来より建築材料として広く用いられており、建築様式の変化にかかわらず、独特の風合いを有する建築材料として、現在においても、構造材のみならず、外装材及び内装材としても広く用いられている。しかし、木質系材料には、腐朽性、可燃性等の問題があり、わが国において最も広く用いられているヒノキ、スギ等の針葉樹においては、早材部分の硬度の低さに起因する傷の付きやすさ、経年収縮による凹凸の発生(いわゆる「目やせ」)等の問題も有している。
上述のような、木質材料における腐朽性及び可燃性の低減、硬度及び寸法安定性の向上等のために、処理剤を表面に塗布し、又は内部に含浸させることが広く行われており、種々の処理剤及び処理方法が提案されている。
例えば、有機又は無機ハロゲン系難燃剤が、古くから用いられている。また、ピロリン酸メラミン等の窒素系難燃剤も用いられている(例えば、特許文献1参照)。
また、特許文献2には、原料木材に含浸した2種以上の水溶性化合物の反応生成物である不溶性不燃性化合物が定着し、2個以上のアルデヒド基を有する化合物で原料木材の水酸基間を架橋した変性木材をホルムアルデヒド誘導体の蒸気雰囲気中でかつ酸触媒の存在下で加熱してホルマール化することにより、難燃性を保持しかつ寸法安定性を改善した改質木材の製法が開示されている。
特許文献3には、難燃性金属塩と、アクリル系重合体が木質内に含浸され、硬化したアクリル系重合体は木質内で難燃性物質を包囲することを特徴とする難燃性重合体含浸木材が開示されている。火災に抵抗力のある難燃性物資を含むため、火災に対し抵抗力が
あり、アクリル系重合体を使用するため、寸法が安定しかつ生活環境に悪影響を与えない。
特許文献4及び5には、木質系材料の発煙燃焼及び赤熱燃焼の抑制効果を有するホウ酸塩を防火剤として利用した、防火、耐火、不燃材料、及び不燃木材板がそれぞれ開示されている。
特開平6−218708号公報 特開平6−143209号公報 特開2000−141318号公報 特開2005−112700号公報 特開2006−182024号公報
しかしながら、ハロゲン系及び(例えば、特許文献1記載の)窒素系難燃剤は、燃焼時に有害ガスを発生し、また変色の原因となると問題点を有している。
特許文献2記載の改質木材の製法においては、木材内部に残留するホルムアルデヒドに起因する、いわゆるシックハウス症候群や、環境への悪影響の原因となるおそれがある。
特許文献3記載の難燃性重合体含浸木材においては、重合が完全に進行しない場合があり、寸法安定性の低下等の問題が生じうる。
特許文献4記載の防火、耐火、不燃材料、及び特許文献5記載の不燃木材板においては、木材の吸脱湿に伴い、水溶性のホウ酸化合物が溶脱し、表面で析出して表面が白くなる白華現象を起こすという欠点がある。処理コスト低減を目的とするホウ酸の水溶性の向上のためにアルカリ類を添加する場合が多いが、このような場合、アルカリ類の吸湿性によりホウ酸の溶脱が促進され、白華現象の発生がより顕著になるおそれがある。
内外壁用の木材等において、このような白華現象が発生すると、その価値が低下してしまう。更に、これらの材料においては、処理後に、反りやねじれ等の変形を生じやすく、寸法及び形状安定性に乏しいという欠点も存在する。更に、白華現象が起こると、塗料との親和性が低下するので、市販の塗料を用いることができず、塗装コストの増大という問題も生じる。
更に、ホウ酸は毒性を有しており、成人の場合、1〜3g摂取すると中毒症状が発症し、10〜20gが致死量であると言われている。したがって、ホウ酸に代わる難燃剤を含む木質材料処理組成物が求められている。ホウ酸と共に広く用いられている無機難燃剤としてリン酸塩が挙げられるが、リン酸塩の場合にも、白華現象の発生が知られており、難燃性の向上と白華現象の抑制とは、この場合においてもトレードオフの関係にある。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、木材等の木質材料の硬度、難燃性等を向上させると共に、処理後の木質材料の反り、白華等の問題の生じにくい木質材料処理組成物、それを用いた木質材料の処理方法、及びそれにより処理された、寸法及び形状安定性に優れる木質材料を提供することを目的とする。
なお、ここでいう「木質材料」には、樹木より得られるものの他に、草本類の茎、葉等より得られ、セルロース及びリグニンを主な成分とする材料が含まれるものとする。
本発明の第1の態様は、水1000mLに、少なくとも、50〜250gのリン酸水素二アンモニウム((NHHPO)、50〜250gの二リン酸(H)、5〜30gの水酸化アルミニウム(Al(OH))、3〜15gのコロイド状シリカ、及び10〜50gのセメント上清水を添加することにより得られることを特徴とする木質材料処理組成物を提供することにより、上記課題を解決するものである。
木質材料処理組成物に含まれるコロイド状シリカが、木質材料の内部に浸透後重合することにより、特に早材部分の硬度、並びに寸法及び形状安定性を向上させることができると共に、合成樹脂を含まないため、廃棄時の処理の問題が生じない。また、二リン酸を含むことにより、ホウ酸を用いることなく、木質材料に高い難燃性を付与することができる。また、上述のような組成にすることにより、木質材料に、硬度の向上及び高い難燃性を同時に付与することができ、かつ処理後の木質材料における白華現象の発生、反り、ねじれ等の変形の発生、変色の発生を抑制することができる。
更に、ハロゲンや窒素系難燃材を含まないため、燃焼時に有害な又は刺激性のガスを発生しない。
この場合において、リン酸水素二アンモニウムの添加量が、水1000mL当たり200〜220gであり、二リン酸の添加量が、水1000mL当たり70〜80gであり、水酸化アルミニウムの添加量が、水1000mL当たり10〜30gであり、セメント上清水の添加量が、水1000mL当たり15〜25gであり、比重が1.1〜1.2であり、かつpHが5.0〜7.0であることが好ましい。
また、本発明の第1の態様において、木質材料処理組成物は、10〜50gの炭酸カリウム(KCO)、及び10〜50gの水酸化カルシウム(Ca(OH))を更に添加することにより得られるものであってもよい。
この場合において、リン酸水素二アンモニウムの添加量が、水1000mL当たり60〜80gであり、二リン酸の添加量が、水1000mL当たり150〜180gであり、水酸化アルミニウムの添加量が、水1000mL当たり5〜15gであり、炭酸カリウムの添加量が、水1000mL当たり10〜30gであり、水酸化カルシウムの添加量が、水1000mL当たり10〜30gであり、セメント上清水の添加量が、水1000mL当たり15〜25gであり、比重が1.1〜1.2であり、かつpHが2.3〜3.5であることが好ましい。
本発明の第2の態様は、本発明の第1の態様に係る木質材料処理組成物を木質材料に含浸させることを特徴とする木質材料の処理方法を提供することにより、上記課題を解決するものである。
本発明の第3の態様は、本発明の第1の態様に係る木質材料処理組成物を木質材料に含浸させることにより得られることを特徴とする木質材料を提供することにより上記課題を解決するものである。
このようにして得られる木質材料は、未処理の木質材料に比べ硬度及び難燃性が向上しており、白華現象の発生による意匠性の低下等の問題が生じにくいため、内装材及び外装材として公的に用いることができる。また、経時変化による反り、ねじれ等の変形及び変色が発生しにくいため、耐久性にも優れている。
この場合において、木質材料は、建築基準法施行令(昭和二十五年十一月十六日政令第三百三十八号)第1条第5号の準不燃材料、同条第6号の難燃材料、及び建築基準法(昭和二十五年五月二十四日法律第二百一号)第2条第9号の不燃材料のいずれかの基準に適合するものであることが好ましい。
なお、「建築基準法施行令第1条第5号の準不燃材料」とは、通常の火災による火熱が加えられた場合に、加熱開始後10分間、次の(1)〜(3)(建築物の外部の仕上げに用いるものにあっては、(1)及び(2)。以下同じ)に掲げる要件を満たしている建築材料をいい、「同条第6号の難燃材料」とは、通常の火災による火熱が加えられた場合に、加熱開始後5分間、次の(1)〜(3)に掲げる要件を満たしている建築材料をいい、「建築基準法第2条第9号の不燃材料」とは、通常の火災による火熱が加えられた場合に、加熱開始後20分間、次の(1)〜(3)に掲げる要件を満たしている建築材料をいう。
(1)燃焼しないものであること。
(2)防火上有害な変形、溶融、き裂その他の損傷を生じないものであること。
(3)避難上有害な煙又はガスを発生しないものであること。
以上述べたように、本発明によれば、木質材料の硬度、難燃性等を向上させると共に、処理後の木質材料の反り、白華等の問題の生じにくい木質材料処理組成物が得られる。また、本発明によれば、木質材料処理組成物を用いた木質材料の処理方法、及びそれにより処理された、寸法及び形状安定性に優れる木質材料が得られる。
本発明の第1の実施形態に係る木質材料処理組成物は、水1000mLに、少なくとも下記の成分を添加することにより得られる水溶液状の組成物であり、塗布又は加圧注入により木質材料に含浸させることができる。
50〜250gのリン酸水素二アンモニウム((NHHPO)、
50〜250gの二リン酸(H)、
5〜30gの水酸化アルミニウム(Al(OH))、
3〜15gのコロイド状シリカ、及び
10〜50gのセメント上清水。
各成分の組成は、上記範囲内で、pH、含浸後のシリカの重合速度等を調節するために適宜調節することができる。例えば、木質材料組成物のpHを中性付近にするためには、二リン酸の添加量を減少させ、リン酸水素二アンモニウムの添加量を増大させる。
また、pHの調節及び難燃性の向上等のために他の成分を添加してもよい。添加することができる成分としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属の炭酸塩、水酸化物、アルミニウム塩等が挙げられ、好ましくは、10〜50gの炭酸カリウム、及び10〜50gの水酸化カルシウムが挙げられる。
また、木質材料組成物の各成分の溶解性を向上させ、保存安定性を向上させるために、セメント上清水が添加される。「セメント」上清水とは、ポルトランドセメント等のセメントを水と撹拌後静置することにより得られる上清水液であり、カルシウム、マグネシウム、及びアルミニウムイオン等が含まれると考えられる。
セメント上清水の添加量は、水1000mL当たり10〜50g、より好ましくは20〜30gである。
本発明の第2の実施形態に係る木質材料は、本発明の第1の実施形態に係る木質材料処理組成物を木質材料に含浸させる工程を有する木質材料の処理方法を用いて製造される。
木質材料の種類としては特に制限されず、任意の種類の樹木を用いることができ、無垢材のみならず、合板や集成材を用いることもできる。また、形状及び寸法についても特に制限されない。
木質材料処理組成物の木質材料への含浸は、任意の公知の方法を用いて行うことができる。含浸の方法としては、木質材料の表面に木質材料処理組成物を塗布し浸透させる方法及び加圧注入する方法が挙げられるが、厚みの大きな板材、柱材等については、後者の方法がより好ましく、木質材料の防虫処理等において広く用いられている、JISA9002に準拠した加圧注入方法が特に好ましく用いられる。
より具体的には、圧力容器中で木質材料処理組成物中に浸漬した木質材料を所定の時間、所定の圧力で加圧することにより木質材料処理組成物の加圧注入が行われる。加圧時の圧力及び加圧時間は、木質材料の強度、形状及び寸法、含浸させようとする物質の量等に応じて適宜調節される。
処理後、圧力容器から取り出された木質材料は、表面に付着した木質材料処理組成物を除去するために水で洗浄され、乾燥される。乾燥は、自然乾燥及び熱風乾燥のいずれでもよい。含浸量を増大させるために、乾燥後の木質材料について上述の加圧注入処理を繰り返し行ってもよい。
また、木質材料処理組成物中への浸漬及び加圧を行う前に、木質材料に含まれるガス分を除去し、含浸量を増大させるために、減圧処理を行ってもよい。更に、木質材料中に含浸させたシリカの重合を早めるために、洗浄及び風乾後に加熱処理を行ってもよい。
このようにして得られる木質材料は、建築基準法施行令第1条第5号の準不燃材料、同条第6号の難燃材料、又は建築基準法第2条第9号の不燃材料の基準に適合する。上述のこれらの基準に適合するか否かについては、これらの基準法で定める技術的基準に適合する任意の試験方法により確認することができるが、試験方法の具体例としては、ISO−5660に準拠するコーンカロリーメーター法による発熱性試験が挙げられる。
コーンカロリーメーターとは、大きさ10cm×10cmの試験片をコーン型ヒーターで加熱し、発生するガス中の酸素濃度を測定する装置である。試験片は、50kw/m2で加熱し、電気スパークで着火させ、燃焼による減少する酸素濃度より、発熱量及び発熱速度が計算される。
このようにして求められる発熱速度が、所定時間(不燃材料:20分、準不燃材料:10分、難燃材料:5分)の合計発熱量が8MJ/m未満であり、かつ200kW/mを超える発熱速度が10秒以上継続しない場合、発熱性試験に合格したと判定される。
次に、本発明の作用効果を確認するために行った実施例について説明する。
実施例1:木質材料処理組成物の調製(1)
水温20〜25℃の水1000mLを容器に入れ、リン酸水素二アンモニウム(米山化学)70gを加え、全て溶解するまで撹拌した。次に、炭酸カリウム(旭硝子)20gを加え、全て溶解し透明な溶液が得られるまで放置した。次に、水酸化カルシウム(位登産業)20gを加えると、アンモニア臭がするが、二リン酸(和光純薬)40gを加えると、炭酸反応と共に、アンモニア臭は消え、残りを撹拌しながら二リン酸100gを加えながら撹拌を続けると、白濁していた溶液が次第に透明な水溶液に変化し、透明な水溶液を得た。次に、水酸化アルミニウム(シグマアルドリッチ)10gを加えて溶存体を作製した。次に、二リン酸(和光純薬)40gを加えて撹拌すると、水酸化アルミニウムの溶解熱が発生し、温度が50〜60℃に上昇し、しばらく撹拌を続けると透明な溶液が得られる。この溶液を室温まで放冷後、ろ過した。ろ液に、シリカゾル30%の水溶液(日産化学工業)20g及びセメント上清水(ポルトランドセメントを水と混合後静置して得られる上清水液)20gを混合した。このようにして得られた木質材料処理組成物の比重は1.15、pHは2.85であった。
実施例2:木質材料処理組成物の調製(2)
水温20〜25℃の水200mLに、リン酸水素二アンモニウム10gを加えて撹拌し、全て溶解した後に水酸化アルミニウム20gを加え、軽く撹拌後、この混合物に二リン酸75gを加えて撹拌すると、水酸化アルミニウムの溶解熱が発生し、温度が50〜60℃に上昇し、しばらく撹拌を続けると透明な溶液が得られる。このようにして得られた溶液(以下、「溶液A」という)を室温まで冷却した。
水温20〜25℃の水800mLに、リン酸水素二アンモニウム200gを加え、全て溶解するまで撹拌した。この水溶液を撹拌しながら溶液Aを加えた。なお、溶液Aを加えた後に白色の結晶状固体が沈殿する場合があるが、混合物をそのまま放置すると、例えば30分間経過後に固体は溶解し、均一な溶液となる。得られた溶液をろ過後、シリカゾル30%の水溶液20g及びセメント上清水20gを撹拌しながら加えた。このようにして得られた木質材料処理組成物の比重は1.15、pHは6.3であった。実施例1において調製した木質材料処理組成物と異なり、中性付近のpHを有しており、わら等の軟質材の処理に用いることもできる。
実施例3:硬化難燃処理スギ材の調製(1)
スギ製のサネ付き壁材(以下、「スギ材」という)(W=105mm、L=1920mm、T=15mm、体積3.024×10−3)、及び実施例1において調製した木質材料処理組成物を用い、下記のようにして処理を行った。
加圧含浸装置のタンク内にスギ材を入れ、タンク内圧を0.096MPaに減圧後、1時間減圧処理を行った。タンク内に木質材料処理組成物を加え、スギ材が浸漬された状態でタンク内を加圧して、タンク内圧1MPaで2時間、0.5MPaで30分間保持し、30分かけて大気圧まで自然減圧した。タンクから取り出したスギ材を水洗後、4時間自然乾燥した。乾燥後のスギ材を再びタンクに入れ、同様の処理を繰り返した。タンクから取り出したスギ材を水洗後、24時間自然乾燥、次に室温40〜60℃の温風乾燥室中で70時間乾燥させた。乾燥後の含水率は、約5%であった。
2枚のスギ材を用いて、処理前後の質量の差から、単位体積当たり含浸された物質の量を求めたところ、それぞれ147kg/m、及び141kg/mであった。また、処理後長期間放置しても、反り、ねじれ等の変形、及びいわゆる「木焼け」と呼ばれる変色のいずれも見られなかった。リグニンの反応に起因する木焼けは、特に酸性の処理液を用いた場合に顕著に見られることが知られているが、興味深いことに、本実施例においては観測されなかった。
実施例4:硬化難燃処理スギ材の調製(2)
実施例3で用いたのと同様のスギ材(W=105mm、L=1920mm、T=15mm、体積3.024×10−3)、及び実施例1において調製した木質材料処理組成物を用い、下記のようにして処理を行った。
加圧含浸装置のタンク内にスギ材を入れ、タンク内圧を0.096MPaに減圧後、1時間減圧処理を行った。タンク内に木質材料処理組成物を加え、スギ材が浸漬された状態でタンク内を加圧して、タンク内圧1MPaで2時間、0.5MPaで30分間保持し、30分かけて大気圧まで自然減圧した。タンクから取り出したスギ材を水洗後、24時間自然乾燥、次に室温40〜60℃の温風乾燥室中で70時間乾燥させた。乾燥後の含水率は、約5%であった。
2枚のスギ材を用いて、処理前後の質量の差から、単位体積当たり含浸された物質の量を求めたところ、それぞれ106kg/m、及び108kg/mであった。また、処理後長期間放置しても、反り、ねじれ等の変形、及びいわゆる「木焼け」と呼ばれる変色のいずれも見られなかった。
実施例5:硬化難燃処理ヒノキ材の調製
実施例3において用いたスギ材と同様の寸法を有するヒノキ材、及び実施例1において調製した木質材料処理組成物を用いて、実施例3と同様の方法を用いて、ヒノキ材の処理を行った。
実施例6:処理前後の木質材料の硬さの比較
JISZ2101−1994(木材の試験方法 硬さ試験)に準拠した硬さの測定結果より、実施例3及び5に記載の処理前後におけるスギ材及びヒノキ材の硬さ(単位:N/mm)の変化を検討した。測定は、早材部の3箇所について行い、その平均値を記録した。
スギ材については、処理前の1.6N/mmが、実施例3の処理を行うことにより4.7N/mmに増大し、ヒノキ材についても、処理前の4.7N/mmが、実施例5の処理を行うことにより5.5N/mmに増大した。
実施例7:不燃性能試験
発熱性試験は、ISO−5660に準拠したコーンカロリーメーター(バーナーの輻射熱量50kw/m)を用い、10cm×10cmの板材を用いて行った。
実施例3において処理したスギ材は、建築基準法第2条第9号の不燃材料の基準に適合していた。一方、実施例4において処理したスギ材は、建築基準法施行令第1条第6号の準不燃材料の基準に適合していた。
実施例8:加熱による重量減少率
加圧時間を、条件A:1MPaで20分、その後0.5MPaで10分間、または条件B:1MPaで10分、その後0.5MPaで10分間とした以外は実施例3と同一の条件を用いて、スギ材およびヒノキ材の処理を行った。このようにして得られた硬化難燃処理スギ材およびヒノキ材より、10cm×10cm×1.5cmの試験片を作製し、実施例7で用いたコーンカロリーメーターにより20分間加熱した。加熱の前後の重量変化より、加熱による重量減少率を求めた。
重量減少率は、下記のとおりであった。
条件Aで加圧を行った硬化難燃処理スギ材:41.5%
条件Bで加圧を行った硬化難燃処理スギ材:35.0%
条件Aで加圧を行った硬化難燃処理ヒノキ材:43.4%
条件Bで加圧を行った硬化難燃処理ヒノキ材:37.7%
比較のために、市販の準不燃壁材(アドコスミックス製:スギ材)より作製した試験片を用いて、加熱時間を10分間とした以外は上記と同様の条件により重量減少率を求めたところ、55.3%という結果が得られた。
この結果より、硬化難燃処理スギ材およびヒノキ材は、従来の準不燃スギ材よりもより長時間加熱しても熱分解による重量減少がより低く抑えられ、燃焼に対しより高い抵抗性を有することが確認された。

Claims (7)

  1. 水1000mLに、少なくとも、
    50〜250gのリン酸水素二アンモニウム((NHHPO)、
    50〜250gの二リン酸(H)、
    5〜30gの水酸化アルミニウム(Al(OH))、
    3〜15gのコロイド状シリカ、及び
    10〜50gのセメント上清水を添加することにより得られることを特徴とする木質材料処理組成物。
  2. 前記リン酸水素二アンモニウムの添加量が、水1000mL当たり200〜220gであり、
    前記二リン酸の添加量が、水1000mL当たり70〜80gであり、
    前記水酸化アルミニウムの添加量が、水1000mL当たり10〜30gであり、
    前記セメント上清水の添加量が、水1000mL当たり15〜25gであり、
    比重が1.1〜1.2であり、かつpHが5.8〜7.0であることを特徴とする、請求項1記載の木質材料処理組成物。
  3. 10〜50gの炭酸カリウム(KCO)、及び
    10〜50gの水酸化カルシウム(Ca(OH))を更に添加することにより得られることを特徴とする請求項1記載の木質材料処理組成物。
  4. 前記リン酸水素二アンモニウムの添加量が、水1000mL当たり60〜80gであり、
    前記二リン酸の添加量が、水1000mL当たり150〜180gであり、
    前記水酸化アルミニウムの添加量が、水1000mL当たり5〜15gであり、
    前記炭酸カリウムの添加量が、水1000mL当たり10〜30gであり、
    前記水酸化カルシウムの添加量が、水1000mL当たり10〜30gであり、
    前記セメント上清水の添加量が、水1000mL当たり15〜25gであり、
    比重が1.1〜1.2であり、かつpHが2.3〜3.5であることを特徴とする、請求項3記載の木質材料処理組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項記載の木質材料処理組成物を木質材料に含浸させることを特徴とする木質材料の処理方法。
  6. 請求項1〜4のいずれか1項記載の木質材料処理組成物を木質材料に含浸させることにより得られることを特徴とする木質材料。
  7. 建築基準法施行令第1条第5号の準不燃材料、同条第6号の難燃材料、及び建築基準法第2条第9号の不燃材料の基準のいずれかに適合することを特徴とする、請求項6記載の木質材料。
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