JP5363405B2 - 木材の改質処理方法と改質処理木材 - Google Patents

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Description

本発明は、木材の改質処理方法と改質処理木材に関するものである。
木材は、主にセルロース、ヘミセルロースおよびリグニンの3成分から構成され、吸水・吸湿時には、水分子が細胞壁のヘミセルロースに吸着し、骨格成分であるセルロースから成るミクロフィブリル間が押し広げられることで、細胞壁が膨潤し、反り、狂いが生じることが知られている。
そして、建築用などに使用される木材には、高い寸法安定性が求められるため、従来から、吸水・吸湿による木材の反り、狂いを防止するための処理方法の検討がなされている。
例えば、木材にアセチル化、ホルマール化などの化学処理を施すことで、寸法安定性を向上させる方法が検討されている。しかしながら、これらの方法は、化学薬品を使用するためコストアップが避けられず、また、揮発性有機化合物の放散による問題も生じるため、実用的であるとは言い難い。
さらに、別の方法として、木材を乾燥させた後、180℃〜250℃の高温で処理する方法(特許文献1)や、水蒸気雰囲気下において、温度を130℃〜200℃に上昇させた後、圧縮することで、木材に耐久性、寸法安定性を付与する方法(特許文献2)などが提案されており、これらの方法は、木材に熱や水蒸気を与えることで、木材中のヘミセルロースを分解、変性させることで、寸法安定性の向上を図っている。
特許3585492号公報 特開平3−231802号公報
しかしながら、例えば特許文献1、2のように、木材を高温もしくは高温水蒸気で処理する方法では、木材の骨格成分であるセルロースの分解が助長され、処理後の木材の強度特性が低下するという問題があった。この問題を避けるために強度特性を低下させないような温度で木材を処理すると、木材中のヘミセルロースの分解、変性が充分に行われず、処理後の木材の寸法安定性は必ずしも満足できるものではなかった。
本発明は、以上の通りの事情に鑑みてなされたものであり、木材の強度低下を抑制し、木材に高い寸法安定性を付与することができる木材の改質処理方法と改質処理木材を提供することを課題としている。
上記の課題を解決するために、本発明の木材の改質処理方法は、予め含水率を80%〜200%の範囲に調整した木材に対して、木材の重量減少率が1%〜8%の範囲になるように、水蒸気を用いて加熱処理を行う。
本発明の木材の改質処理方法では、加熱処理に用いる水蒸気が160℃〜200℃の飽和水蒸気であることが好ましい。
また、本発明の木材の改質処理方法では、木材がスギ、ヒノキ、ファルカタ、またはポプラであることが好ましい。
そして、本発明の改質処理木材は、上記の木材の改質処理方法により得られる。
本発明によれば、木材の強度低下を抑制し、木材に高い寸法安定性を付与することができる。
本発明は、木材の改質処理方法であり、ここでいう「改質処理」とは、木材の強度特性を向上させると共に、木材の欠点である反り・狂いなどの現象を抑制し、木材に高い寸法安定性を付与することをいう。
以下に、本発明の木材の改質処理方法について、具体的に説明する。
まず、木材の含水率を80%〜200%の範囲内に調整する。すなわち、木材が最大限の自由水を含む状態の繊維飽和点(一般的には28%〜30%)以上の充分な水分を木材に含ませることにより、加熱処理の際に木材細胞壁内の水分を起因とするセルロースの分解抑制作用と結晶化度の向上作用が働くため、木材の強度特性の向上効果が高まる。さらにはヘミセルロースの吸湿成分の分解物が木材に含まれる水分に溶解・流出するために、吸湿性が低減し高い寸法安定性を与えることが可能となる。
木材の含水率が80%未満の場合には、木材内部に充分な自由水が存在しないため、加熱処理の際にセルロースの分解が進み、改質処理木材の強度特性が損なわれてしまう。また、木材の含水率が200%を超える場合には、木材細胞の空隙部分の大部分が自由水で占められる状態であるため、加熱処理の際に木材の内部温度の上昇が妨げられてヘミセルロースの分解反応が進まなくなる。その結果、ヘミセルロースが残存することになり、充分な寸法安定性が得られなくなる。
木材の含水率の調整方法としては、特に限定されない。乾燥させた木材を水中に浸漬させる方法や、スプレー・シャワー等により水を散布し、狙いの含水率に調整することが可能である。また、伐採直後の木材が持つ水分をそのまま利用することも可能である。なお、木材の含水率は、次式にしたがって求められる(木材の試験方法:JIS Z 2101)。
含水率[%]=[(乾燥前の木材の質量[g]−全乾質量[g])/(全乾質量[g])]×100
ここで、全乾質量は、乾燥前の木材を換気が良好な乾燥機の中で温度100℃〜105℃で乾燥し、恒量に達したときの質量である。
次に、含水率を80%〜200%の範囲に調整した木材に対して、水蒸気を用いて加熱処理を行う。
この際、木材の重量減少率が1%〜8%の範囲となるように加熱処理を行うこととしている。これによって、セルロースの熱分解を抑制すると同時にセルロースの結晶化度を向上させ、木材の強度特性を向上させることが可能となる。なお、木材の重量減少率は、次式にしたがって求められる。
木材の重量減少率[%]=[(含水処理及び加熱処理前の木材の全乾質量[g]−含水処理及び加熱処理後の木材の全乾質量[g])/(含水処理及び加熱処理前の木材の全乾質量[g])]×100
ここで、全乾質量は、木材を換気が良好な乾燥機の中で温度100℃〜105℃で乾燥し、恒量に達したときの質量である。
加熱処理は、高温水蒸気、例えば、160℃以上の飽和水蒸気を用いることで木材中のヘミセルロースを効果的に低分子化することができる。そして、この加熱処理においては、木材の骨格成分であるセルロースの分解を防止するため、セルロースの分解温度を大幅に超えない加熱、具体的には、約200℃以下の飽和水蒸気での加熱処理が好ましい。
したがって、加熱処理に用いる水蒸気は、160℃〜200℃の飽和水蒸気であることが好ましい。この温度範囲の飽和水蒸気を用いて加熱処理を施すことによって、ヘミセルロースをより低分子化することができ、さらに、セルロースの分解抑制と同時に結晶化度をより一層向上させることができる。また、木材の強度特性をより向上させることができる。
なお、高温水蒸気、飽和水蒸気などの水蒸気を用いた木材の加熱処理方法は、特に限定されない。例えば、高温水蒸気、飽和水蒸気などの水蒸気雰囲気中で熱盤間に木材を挟持して加熱処理する方法や、乾燥機やオートクレーブなどに木材を設置し、高温水蒸気、飽和水蒸気などの水蒸気を導入して加熱処理する方法を利用することができる。また、木材を密封状態で高温水蒸気、飽和水蒸気などの水蒸気によって加熱処理する方法などを利用することもできる。加熱処理時間は、木材の材料や大きさを考慮して決定することができる。一般的に、160℃に近い温度の水蒸気を用いた場合には加熱処理時間を長くし、200℃に近い温度の水蒸気を用いた場合には加熱処理時間を短くすることができる。例えば、材料として、ポプラ材を用いた場合、水蒸気温度が160℃では加熱処理時間を10分〜3時間程度とし、水蒸気温度が200℃では5分〜1時間程度とすることができる。
このように、本発明においては、予め含水率を80%から200%の範囲に調整した木材に対して水蒸気を用いて加熱処理を行うことで吸湿性成分であるヘミセルロースが低分子化されるため、吸湿による寸法変化が抑制され、木材に高い寸法安定性を付与することができる。また、重量減少率が1%〜8%となるように加熱処理を行うことで、強度特性に寄与しない抽出成分やヘミセルロース低分子成分を分解・揮発させるにとどめ、且つセルロースの熱分解を抑制している。これによって木材の骨格成分であるセルロース成分の割合が向上する。さらには、充分な自由水を含んだ状態で高温水蒸気による加熱処理を行うため、セルロースの結晶化度を向上させ、木材の強度特性を向上させることが可能となる。このような木材の改質処理方法は、従来の処理方法と本質的に相違している。
高温水蒸気、飽和水蒸気などの水蒸気を用いて加熱処理を行った後は、必要により、熱風乾燥機などを用いて100℃〜120℃の温度で乾燥処理を行うことができる。
本発明の木材の改質処理方法においては、適用可能な木材は特に限定されず、例えば、木材丸太、板材などの製材、単板、パーティクルボードやファイバーボードに用いる木材要素片などの改質処理が可能である。さらに、本発明は、樹種を問わず適用可能であるが、特にセルロース成分量が多い樹種に対しては、強度特性の向上効果が大きい。具体的には、スギ、ヒノキ、ファルカタ、ポプラなどからなる木材に対しては、より優れた寸法安定性を付与すると共により大きな強度特性の向上効果を発揮する。
以下、本発明について、実施例を用いて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。
<実施例1>
生材のポプラ原木丸太をロータリーレースを用いて単板化し、2mm(厚さ:R)×200mm(幅:T)×200mm(長さ:L)のサイズに切断し、供試材料として用いた。得られたポプラ単板の含水率は80%であった。次いで、加熱釜に前記単板を設置し、160℃の飽和水蒸気を加熱釜に導入し20分間保持し、加熱処理を行った。加熱処理後の単板を105℃の熱風乾燥機を用いて乾燥し、処理木材を得た。
<実施例2>
実施例1における加熱処理を、水蒸気温度180℃、保持時間10分間に変更し、処理木材を得た。
<実施例3>
実施例1における加熱処理を、水蒸気温度190℃、保持時間10分間に変更し、処理木材を得た。
<実施例4>
実施例1における加熱処理を、水蒸気温度190℃、保持時間15分間に変更し、処理木材を得た。
<実施例5>
気乾状態、2mm(R)×200mm(T)×200mm(L)のポプラ単板の含水処理として、ポプラ単板を常温の水中に24時間浸漬し、含水率200%に調整したものを供試材料として用いた。次いで、加熱処理として、加熱釜に前記含水処理したポプラ単板を設置し、160℃の飽和水蒸気を加熱釜に導入し20分間保持した。加熱処理後の単板を105℃の熱風乾燥機を用いて乾燥し、処理木材を得た。
<実施例6>
実施例5における加熱処理を、水蒸気温度190℃、保持時間10分間に変更し、処理木材を得た。
<実施例7>
気乾状態、10mm(R)×200mm(T)×200mm(L)のポプラ板材の含水処理として、常温の水中に24時間浸漬し、含水率100%に調整したものを供試材料として用いた。次いで、加熱処理として、含水処理後のポプラ板材をプレス熱盤間に挟持し、熱盤周囲を蒸気密閉用のスペーサーで囲んだ状態で、160℃の飽和水蒸気を導入し1時間加熱した。加熱処理後の板材を105℃の熱風乾燥機を用いて乾燥し、処理木材を得た。
<実施例8>
生材のファルカタ原木丸太をロータリーレースを用いて単板化し、2mm(R)×200mm(T)×200mm(L)のサイズに切断し、供試材料として用いた。得られた単板の含水率は80%であった。次いで、加熱釜に前記単板を設置し、160℃の飽和水蒸気を加熱釜に導入し15分間保持し、加熱処理を行った。加熱処理後のファルカタ単板を105℃の熱風乾燥機を用いて乾燥し、処理木材を得た。
<実施例9>
実施例8における加熱処理の保持時間を20分間に変更し、処理木材を得た。
<実施例10>
気乾状態、2mm(R)×200mm(T)×200mm(L)のファルカタ単板の含水処理として、ファルカタ単板を常温の水中に24時間浸漬し、含水率200%に調整したものを供試材料として用いた。次いで、加熱処理として、加熱釜に前記含水処理したファルカタ単板を設置し、190℃の飽和水蒸気を加熱釜に導入し10分間保持した。加熱処理後の単板を105℃の熱風乾燥機を用いて乾燥し、処理木材を得た。
<実施例11>
気乾状態、10mm(R)×200mm(T)×200mm(L)のファルカタ板材の含水処理として、常温の水中に24時間浸漬し、含水率100%に調整したものを供試材料として用いた。次いで、加熱処理として、加熱釜に前記含水処理したファルカタ板材を設置し、160℃の飽和水蒸気を加熱釜に導入し60分間保持した。加熱処理後の板材を105℃の熱風乾燥機を用いて乾燥し、処理木材を得た。
<実施例12>
気乾状態、2mm(R)×200mm(T)×200mm(L)のスギ単板の含水処理として、スギ単板を常温の水中に24時間浸漬し、含水率200%に調整したものを供試材料として用いた。次いで、加熱処理として、含水処理後のスギ単板をプレス熱盤間に挟持し、熱盤周囲を蒸気密閉用のスペーサーで囲んだ状態で、190℃の飽和水蒸気を導入し10分間加熱した。加熱処理後の単板を105℃の熱風乾燥機を用いて乾燥し、処理木材を得た。
<実施例13>
気乾状態、10mm(R)×200mm(T)×200mm(L)のスギ板材の含水処理として、常温の水中に24時間浸漬し、含水率100%に調整したものを供試材料として用いた。次いで、加熱処理として、含水処理後のスギ板材をプレス熱盤間に挟持し、熱盤周囲を蒸気密閉用のスペーサーで囲んだ状態で、160℃の飽和水蒸気を導入し1時間加熱した。加熱処理後の板材を105℃の熱風乾燥機を用いて乾燥し、処理木材を得た。
<比較例1>
ポプラ原木丸太をロータリーレースを用いて単板化し、2mm(R)×200mm(T)×200mm(L)のサイズに切断して得られた生材ポプラ単板を、熱風乾燥機を用いて、気乾含水率近辺まで乾燥させたものを供試材料として用いた。その際の含水率は12%であった。次いで、加熱釜に前記単板を設置し、160℃の飽和水蒸気を加熱釜に導入し20分間保持し、加熱処理を行った。加熱処理後の単板を105℃の熱風乾燥機を用いて乾燥し、処理木材を得た。
<比較例2>
比較例1における加熱処理を、水蒸気温度190℃、保持時間10分間に変更し、処理木材を得た。
<比較例3>
実施例4〜5で用いたのと同じ含水処理を施した単板を加熱釜に設置し、150℃の飽和水蒸気を加熱釜に導入し20分間保持し、加熱処理を行った。加熱処理後の単板を105℃の熱風乾燥機を用いて乾燥し、処理木材を得た。
<比較例4>
比較例3における加熱処理の保持時間を30分間に変更し、処理木材を得た。
<比較例5>
比較例3における加熱処理を、水蒸気温度200℃、保持時間10分間に変更し、処理木材を得た。
<比較例6>
比較例3における加熱処理を、水蒸気温度210℃、保持時間10分間に変更し、処理木材を得た。
<比較例7>
ポプラ原木丸太をロータリーレースを用いて単板化し、2mm(R)×200mm(T)×200mm(L)のサイズに切断して得られた生材のポプラ単板を、単板含水率が50%となるように、24時間自然乾燥した。
次に含水率を調整した単板を加熱釜に設置し、160℃の飽和水蒸気を加熱釜に導入し20分間保持し、加熱処理を行った。加熱処理後の単板を105℃の熱風乾燥機を用いて乾燥し、処理木材を得た。
<比較例8>
比較例7における加熱処理を、水蒸気温度190℃、保持時間10分間に変更し、処理木材を得た。
<比較例9>
実施例7で用いたのと同じ気乾ポプラ板材を、含水処理を施さないで供試材料として用いた。その際の含水率は15%であった。次いで、加熱処理として、前記ポプラ板材をプレス熱盤間に挟持し、熱盤周囲を蒸気密閉用のスペーサーで囲んだ状態で、160℃の飽和水蒸気を導入し1時間加熱した。加熱処理後の板材を105℃の熱風乾燥機を用いて乾燥し、処理木材を得た。
<比較例10>
実施例8〜10で用いたのと同じ気乾ファルカタ単板を、含水処理を施さないで供試材料として用いた。その際の含水率は12%であった。次いで、加熱釜に前記単板を設置し、190℃の飽和水蒸気を加熱釜に導入し10分間保持し、加熱処理を行った。加熱処理後の単板を105℃の熱風乾燥機を用いて乾燥し、処理木材を得た。
<比較例11>
含水率75%に調整したものを供試材料とし、加熱処理を、水蒸気温度160℃、保持時間15分間に変更した以外は、比較例10と同様にして処理木材を得た。
<比較例12>
含水率210%に調整したものを供試材料とし、加熱処理を、水蒸気温度160℃、保持時間15分間に変更した以外は、比較例10と同様にして処理木材を得た。
<比較例13>
実施例11で用いたのと同じ気乾ファルカタ板材を、含水処理を施さないで供試材料として用いた。その際の含水率は15%であった。次いで、加熱釜に前記板材を設置し、160℃の飽和水蒸気を加熱釜に導入し1時間保持し、加熱処理を行った。加熱処理後の板材を105℃の熱風乾燥機を用いて乾燥し、処理木材を得た。
<比較例14>
実施例12で用いたのと同じ気乾スギ単板を、含水処理を施さないで供試材料として用いた。その際の含水率は12%であった。次いで、加熱釜に前記単板を設置し、190℃の飽和水蒸気を加熱釜に導入し10分間保持し、加熱処理を行った。加熱処理後の単板を105℃の熱風乾燥機を用いて乾燥し、処理木材を得た。
<比較例15>
実施例13で用いたのと同じ気乾スギ板材を、含水処理を施さないで供試材料として用いた。その際の含水率は15%であった。次いで、加熱釜に前記板材を設置し、160℃の飽和水蒸気を加熱釜に導入し1時間保持し、加熱処理を行った。加熱処理後の板材を105℃の熱風乾燥機を用いて乾燥し、処理木材を得た。
以上、各実施例、比較例に基づいて得られた処理木材を計測寸法に切り出し、強度特性として曲げ強度、曲げヤング率を木材の試験方法(JIS Z 2101)に準拠して評価した。また、同一比重の未処理木材の曲げ強度及び曲げヤング率を測定し、未処理木材の特性値に対する処理木材の特性値の比率(曲げ強度比率及び曲げヤング率比率)を求めた。
計測サンプルは、ロータリー単板については、そのままの厚み2mmで幅(T)方向50mm、長さ(L)方向200mmとしたサンプルを評価した。また、板材については厚さ(R)5mmにスライス加工した後、単板と同様に幅(T)方向50mm、長さ(L)方向200mmのサイズに加工し評価を行った。いずれのについてもサンプルのL方向に関しては、150mmスパン、クロスヘッド速度10mm/分で三点曲げ試験を実施し、同一比重の未処理木材の強度特性との比較を行った。
寸法安定性に関しては、40℃、相対湿度90%の条件で5日間の吸湿操作を行い、T方向の寸法変化についての評価を実施した。寸法安定性についても、同一比重の未処理木材の寸法変化量を測定し、未処理木材の寸法変化量に対する処理木材の寸法変化量の低減率(寸法変化低減率)を求めた。
また、各実施例、比較例において、前記物性評価とは別に、予め全乾質量を計測した木材で処理を行い、それぞれの含水処理および加熱処理後に、再度全乾質量を計測し、処理による重量減少率についても測定を行った。
表1に、各処理条件および評価結果を示す。表1における結果は、表2に記した区分に従って表記した。
Figure 0005363405
Figure 0005363405
実施例1〜13のいずれの処理木材も、未処理木材に比べて、吸湿時の寸法変化量が低減し寸法安定性が大きく改善すると同時に、強度特性についても未処理木材に比べて向上している。特に曲げヤング率比率については、実施例4を除いて同一比重の未処理木材に比べて50%以上も向上し、優れた強度特性が得られていることが分かる。一方、比較例1〜15の処理木材は、未処理木材と比べて強度特性が低下していることが分かる。
実施例1、3と比較例1、2の比較、実施例10と比較例10、また実施例12と比較例14の比較により、予め含水処理を施すことにより、その後の加熱処理により強度特性が向上していることが分かる。
さらに、実施例5、6と比較例3〜6の比較から、重量減少率が1%〜8%の範囲になるように加熱処理を行うことで、強度特性の向上が図られていることが分かる。
これらの改質処理による効果は、実施例7、11、13と比較例9、13、15の比較から、単板だけでなく板材においても、予め含水処理を行うことにより、寸法変化量を低減させると同時に、強度特性が向上していることが分かる。
以上の通り、本発明の木材の改質処理方法によれば、寸法安定性を大きく向上させると共に、強度特性を向上させることができ、有用性の高い木材を提供することが可能となる。

Claims (4)

  1. 予め含水率を80%〜200%の範囲に調整した木材に対して、木材の重量減少率が1%〜8%の範囲になるように、水蒸気を用いて加熱処理を行うことを特徴とする木材の改質処理方法。
  2. 前記加熱処理に用いる水蒸気が、160℃〜200℃の飽和水蒸気であることを特徴とする請求項1に記載の木材の改質処理方法。
  3. 前記木材が、スギ、ヒノキ、ファルカタ、またはポプラであることを特徴とする請求項1または2に記載の木材の改質処理方法。
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれか一項の改質処理方法により得られた改質処理木材。
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