JP2009233719A - 変形コイル矯正装置 - Google Patents

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Abstract


【課題】 コイルの内周面からの押圧力を均等に負担しながらコイル内径を拡大し、かつコイルの内周面を円筒状にすることのできる変形コイル矯正装置を提供することである。
【解決手段】 基台と、基台の上部に設けられる支柱と、支柱に基端部が連結されるアーム部と、アーム部の先端部に設けられるジャッキ部であって、基準軸線を有し、直円筒の一部を成す一対の当接面が前記基準軸線を挟む対として形成される当接部を含み、基準軸線を挟んで対となる前記複数の当接面間の距離は、変更可能に形成されるジャッキ部と、前記ジャッキ部を駆動し、前記基準軸線を挟む当接面間の距離を変更する駆動部とを含む。
【選択図】 図1

Description

本発明は、可塑変形したコイルのコイル内径を拡大する装置に関する。本発明において、コイルの中央孔に貫通して内接する仮想的な円柱のうち、最大の外径を有する円柱の外径を、「コイル内径」と称する。
円筒状のコイルの、軸線に垂直な断面形状は、自重または積載された他のコイルの重量に基づく圧縮力によって変形する。変形したコイルは、コイルと嵌合するためのリールに対して装着することができないので、コイルの内径を拡大する必要がある。
図9は、従来技術に係る内径矯正機構の構成説明図である。従来技術における変形コイル矯正装置として、保持部材1の中心位置に設けられるマンドレル2と、マンドレル2の外周の放射線状位置に設けられる複数のリンク3と、これらリンク3の先端に連結され、リンク3を介して放射線方向に拡縮する内側拡縮部材4とからなる内径矯正機構が知られている。
特開平8−207906号公報
コイルが、自重または載置された他のコイルの重量に基づく圧縮力によって変形するとき、コイルの、軸線に垂直な断面形状は、1つの方向または複数の方向に圧縮されて変形する場合が多く、コイルの内径が等方的に収縮することはほとんどない。これに対し、従来技術に係る内径矯正機構において内径拡縮部材は、マンドレルの軸線まわりの5箇所に設置され、マンドレルが保持部材に対して変位すると、5つの内径拡縮部材は、マンドレルの軸線から外方に5つ均等に変位する。
従来技術における内径矯正機構を、圧縮力によって変形したコイルに適用すれば、複数の内径拡縮部材のうちの一部には大きな荷重が付与され、一部には荷重が付与されない。したがって、内径修正機構にかかる負荷は、内径修正機構の一部分に偏り、内径修正機構の強度を高く設定すれば、内径修正機構が重くなるという問題点がある。また5つの内径拡縮部材はコイルの内周面に対して線状に接触し、コイルを押圧する。したがって、変形したコイルを、内径修正機構によって矯正しても、コイルの内周面を円筒状にすることは困難である。
本発明の目的は、コイルの内周面からの押圧力を均等に負担しながらコイル内径を拡大し、かつコイルの内周面を円筒状にすることのできる変形コイル矯正装置を提供することである。
本発明は、基台と、
基台の上部に設けられる支柱と、
支柱に基端部が連結されるアーム部と、
アーム部の先端部に設けられるジャッキ部であって、
基準軸線を有し、直円筒の一部を成す一対の当接面が前記基準軸線を挟む対として形成される当接部を含み、
基準軸線を挟んで対となる前記複数の当接面間の距離は、変更可能に形成されるジャッキ部と、
前記ジャッキ部を駆動し、前記基準軸線を挟む当接面間の距離を変更する駆動部とを含むことを特徴とする変形コイル矯正装置である。
また本発明は、前記ジャッキ部は、前記基台に対して前記基準軸線まわりに角変位可能であることを特徴とする。
また本発明は、前記ジャッキ部は、基準軸線方向に複数設けられることを特徴とする。
また本発明は、アーム部の基端部は、基台に対して基準軸線まわりに角変位可能であり、
アーム部の、前記基端部を除く残余の部分は、基端部に対して屈曲可能であり、
前記基端部の角変位と、基端部を除く残余の部分の屈曲とを行う油圧機構をさらに有することを特徴とする。
また本発明は、前記基準軸線を挟んで対となる当接面を成す複数の当接部のうち、一方の当接部は他方の当接部に対して、予め定める範囲内において、基準軸線まわり、基準軸線に垂直な予め定める垂直直線まわりおよび基準軸線と垂直直線とに直交する予め定める直交直線まわりに角変位自在であることを特徴とする。
また本発明は、基台の下方には、3つ以上の車輪がさらに設けられ、
前記3つ以上の車輪は、車軸を水平な1方向に向けることが可能であり、水平な平面に接し、
重心から前記水平な平面に降ろした垂線の足は、前記水平な平面と前記3つ以上の車輪との接点が形成する多角形に内包されることを特徴とする。
本発明によれば、支柱は基台の上部に設けられ、アーム部の基端部は支柱に設けられる。ジャッキはアーム部に取付けられるので、ジャッキをコイルの中央孔の高さで支持することが可能になる。したがって、ジャッキをコイルの中央孔の高さに支持した状態で、ジャッキ部をコイルの中央孔に挿入することが可能になる。またジャッキ部には、複数の当接面が、基準軸線を挟んで対として形成される。変形コイル矯正装置は、駆動部を含んで構成され、駆動部は、基準軸線を挟む当接面間の距離を変更する。これによって、ジャッキ部を可塑変形したコイルの中央孔に挿入した状態で、駆動部を稼動して当接面間の距離を拡大すると、変形したコイルの内径を大きくすることが可能になる。
またジャッキは、当接面によってコイルの内周面を押圧するので、点または線によって、コイルの内周面を押圧する場合に比べて、コイルの内周面を円筒形に近づけることが容易になる。また当接面は、基準軸線方向に延びる基準軸線を有する仮想的な円筒の内周面に沿う形状に形成される。仮想的な円筒の内径を、変形前のコイルの内径に等しく設定し、変形前のコイルの内径にまで当接面間の距離を拡大すれば、コイルの内周面の形状を円筒形にすることが可能になる。
また本発明によれば、ジャッキ部は、基台に対して基準軸線まわりに角変位可能である。コイルが積み重ねられることによって変形する場合、コイルは、高さ方向Z以外の方向の圧縮力によって変形する可能性がある。この場合に、コイルが圧縮された方向に、複数の当接面が互いに離れる方向を一致させて、コイルの中央孔にジャッキ部を挿入することが可能になる。これによって、コイルの変形の原因となった圧縮力の方向が複数であっても、コイルの内径を拡大し、コイルの内周面を円筒形にすることができる。したがって、汎用性の高い変形コイル矯正装置を実現することができる。
また本発明によれば、ジャッキ部は、基準軸線方向に複数設けられる。コイルの中央孔の軸線方向一方の端部と、中央孔の軸線方向他方の端部とでは、コイルの変形量が異なる場合がある。この場合、コイルの内径を拡大するときに必要となる力の大きさも、中央孔の軸線方向一方と中央孔の軸線方向他方とでは異なる。コイルの中央孔の軸線方向一方の端部の内周面と中央孔の軸線方向他方の端部の内周面とを、基準軸線方向に複数設けられるジャッキ部によってそれぞれ押圧すれば、コイルの中央孔の軸線方向一方の端部および中央光の軸線方向他方の端部の内径を、等しい大きさにまで拡大することができる。また、基準軸線方向にジャッキ部を1つ設けた場合に比べて、ジャッキ部にかかる負荷が、1つのジャッキ部内で偏ることがない。したがって、ジャッキ部の耐久時間を長くすることができる。
また本発明によれば、アーム部の基端部は、基台に対して基準軸線まわりに角変位可能である。これによって、ジャッキ部は、基台に対して基準軸線まわりに角変位可能となる。コイルが積み重ねられることによって変形し、高さ方向Z以外の方向の圧縮力によって変形した場合に、コイルが圧縮された方向に、複数の当接面が互いに離れる方向を一致させて、コイルの中央孔にジャッキ部を挿入することが可能になる。
またアーム部の、前記基端部を除く残余の部分は、基端部に対して屈曲可能である。これによって、ジャッキ部は、高さ方向Zに変位可能となる。したがって、載置されたコイルの中心孔の高さに合わせてジャッキの高さを変更することができ、載置された状態のコイルの中心孔の内部に、ジャッキ部を挿入することができる。また変形コイル矯正装置は、油圧機構を含んで構成される。油圧機構は、アーム部の基端部を角変位可能であり、かつアーム部の基端部を除く残余の部分を、基端部に対して屈曲可能である。これによって、油圧の原動力を利用してジャッキ部を変位および角変位させることができる。
また本発明によれば、基準軸線を挟んで対となる当接面を成す複数の当接部のうち、一方の当接部は他方の当接部に対して、予め定める範囲内において角変位自在である。変形したコイルの中心孔の、中心孔の軸線に垂直な断面の形状は、点対称な形状とは限らない。一方の当接部が他方の当接部に対して角変位することによって、両方の当接部がコイルの内周面に対向して接することが可能になる。したがって、コイル内径を拡大したときに、当接部のうちの一方が角変位できない場合に比べて、コイルの内周面を円筒状にすることが容易になる。また複数の当接部がコイルの内周面に対向して接することによって、ジャッキ部にかかる負荷がジャッキ部内の一部に偏ることを防止することができる。
また本発明によれば、基台の下方には3つ以上の車輪が設けられる。これによって、変形コイル矯正装置は、前記3つ以上の車輪を介して水平な面上に載置することが可能になる。3つ以上の車輪は、水平な平面に接し、変形コイル矯正装置の重心から前記水平な平面に降ろした垂線の足は、水平な平面と3つ以上の車輪との接点が形成する多角形に内包される。これによって、3つ以上の車輪を介して水平な平面状に載置されたときに、変形コイル矯正装置は安定して姿勢を保つことができる。
3つ以上の車輪のうち1つ以上の車輪は、方向を自在に向けることが可能であるので、車輪を設けない場合および車軸を一方向に向けることができない場合に比べて、変形コイル矯正装置の移動に伴う抵抗を小さくすることができる。したがって、変形コイル矯正装置の移動を容易にすることができる。これによって、変形コイル矯正装置を、コイルが載置される場所まで移動させることができる。またコイルをコイルが載置される場所から移動させることなく、ジャッキ部をコイルの中央孔に挿入することができる。
以下、図面を参照しながら本発明を実施するための形態について説明する。
図1は、本発明の本実施形態に係る変形コイル矯正装置10の側面図である。本発明の本実施形態に係る変形コイル矯正装置10は、可塑変形したコイル11のコイル11内径を拡大する装置である。コイル11は、線材または鋼板を巻き取ったコイルであるものとする。本実施形態に係る変形コイル矯正装置10は、基台12と、支柱13と、アーム部14と、ジャッキ部16と、駆動部17とを含んで構成される。基台12は、支柱13と、アーム部14と、ジャッキ部16とを支持する。支柱13は、基台12の上部に設けられ、アーム部14の基端部18を支持する。アーム部14は、支柱13によって基端部18が水平に支持され、ジャッキ部16はアーム部14の先端部に取付けられる。
ジャッキ部16には、複数の当接面19が形成される。複数の当接面19は、仮想的な円筒の内周面に沿う形状に形成される。本発明において、前記仮想的な円筒の軸線を「基準軸線」と称し、基準軸線の方向を「基準軸線方向」と称する。本実施形態において、基準軸線は水平に延びる軸線であり、基準軸線方向は水平な1方向である。基準軸線に垂直な予め定める直線を「垂直直線」と称し、基準軸線と垂直直線とに直交する鉛直な予め定める直線を「直交直線」と称する。前記仮想的な円筒は、予め定める内径を有する。複数の当接面19は、基準軸線を挟む対として形成される。基準軸線を挟んで対となる前記複数の当接面19間の距離は、変更可能に形成される。駆動部17は、ジャッキ部16を駆動し、基準軸線を挟む当接面19間の距離を変更する。
ジャッキ部16は、基台12に対して基準軸線まわりに角変位可能であり、基準軸線方向に複数設けられる。アーム部14の基端部18は基台12に対して基準軸線まわりに角変位可能であり、アーム部14の基端部18を除く残余の部分は、基端部18に対して屈曲可能である。変形コイル矯正装置10は、油圧機構21をさらに含んで構成される。油圧機構21は、アーム51の基端部18を基準軸線まわりに角変位させ、基端部18を除く残余の部分を、基端部18に対して屈曲させる。
基準軸線を挟んで対となる当接面19は、当接部22に形成され、ジャッキ部16は、複数の当接部22を含んで構成される。基準軸線を挟んで対となる当接面19が形成される複数の当接部22のうち、一方の当接部22は他方の当接部22に対して角変位自在である。この角変位は、予め定める範囲内において、基準軸線まわり、垂直直線まわりおよび直交直線まわりに角変位自在である。基台12の下方には、3つ以上の車輪24,25が設けられる。3つ以上の車輪24,25は、車軸を水平な一方向に向けることが可能であり、水平な平面に接する。変形コイル矯正装置10の重心から、前記水平な平面に降ろした垂線の足26は、前記水平な平面と3つ以上の車輪24,25との接点が形成する多角形に内包される。
本実施形態において垂直直線は、前記一方の当接部22と他方の当接部22との間に設置される部材を通過し、基準軸線と交わる直線であるものとする。また直交直線は、前記一方の当接部22と他方の当接部22との間に設置される部材を通過し、基準軸線と交わる直線であるものとする。
支柱13は基台12の上部に設けられ、アーム部14の基端部18は支柱13に設けられる。ジャッキ131はアーム部14に取付けられる。ジャッキ131はコイル11の中央孔27の高さで支持され、ジャッキ部16は、コイル11の中央孔27に挿入される。ジャッキ部16には、複数の当接面19が、基準軸線を挟んで対として形成される。変形コイル矯正装置10は、駆動部17を含んで構成され、駆動部17は、基準軸線を挟む当接面19間の距離を変更する。ジャッキ部16を可塑変形したコイル11の中央孔27に挿入した状態で、駆動部17を稼動して当接面19間の距離を拡大し、変形したコイル11の内径を大きくする。
ジャッキ131は、当接面19によってコイル11の内周面を押圧する。したがって、点または線によって、コイル11の内周面を押圧する場合に比べて、コイル11の内周面を円筒形に近づけることが容易である。当接面19は、基準軸線方向に延びる基準軸線を有する仮想的な円筒の内周面に沿う形状に形成される。仮想的な円筒の内径は、変形前のコイル11の内径に等しく設定する。ジャッキ部16を可塑変形したコイル11の中央孔27に挿入した状態で、当接面19間の距離を変形前のコイル11の内径にまで拡大する。これによって、コイル11の内周面の形状を円筒形にする。
ジャッキ部16は、基台12に対して基準軸線まわりに角変位可能である。コイル11が積み重ねられることによって変形する場合、コイル11は、高さ方向Z以外の方向の圧縮力によって変形する可能性がある。この場合に、コイル11が圧縮された方向に、複数の当接面19が互いに離れる方向を一致させて、コイル11の中央孔27にジャッキ部16を挿入する。これによって、コイル11の変形の原因となった圧縮力の方向が複数であっても、コイル11の内径を拡大し、コイル11の内周面を円筒形にすることができる。
ジャッキ部16は、基準軸線方向に複数設けられる。コイル11の中央孔27の軸線方向一方の端部と、中央孔27の軸線方向他方の端部とでは、コイル11の変形量が異なる場合がある。この場合、コイル11の内径を拡大するときに必要となる力の大きさも、中央孔27の軸線方向一方と中央孔27の軸線方向他方とでは異なる。この場合には、コイル11の中央孔27の軸線方向一方の端部の内周面と中央孔27の軸線方向他方の端部の内周面とを、基準軸線方向に複数設けられるジャッキ部16によってそれぞれ押圧し、コイル11の中央孔27の軸線方向一方の端部および中央光の軸線方向他方の端部の内径を、等しい大きさにまで拡大する。ジャッキ部16にかかる負荷は、基準軸線方向にジャッキ部16を1つ設けた場合に比べて、1つのジャッキ部16内で偏ることがない。したがって、ジャッキ部16の耐久時間は長くなる。
アーム部14の基端部18は、基台12に対して基準軸線まわりに角変位可能である。したがって、ジャッキ部16は、基台12に対して基準軸線まわりに角変位可能である。コイル11が積み重ねられることによって変形し、高さ方向Z以外の方向の圧縮力によって変形した場合には、コイル11が圧縮された方向に、複数の当接面19が互いに離れる方向を一致させて、コイル11の中央孔27にジャッキ部16を挿入する。
またアーム部14の、前記基端部18を除く残余の部分は、基端部18に対して屈曲可能である。したがって、ジャッキ部16は、高さ方向Zに変位可能である。載置されたコイル11の中心孔の高さに合わせてジャッキ131の高さを変更し、載置された状態のコイル11の中心孔の内部に、ジャッキ部16を挿入する。また変形コイル矯正装置10は、油圧機構21を含んで構成される。油圧機構21は、アーム部14の基端部18を角変位可能であり、かつアーム部14の基端部18を除く残余の部分を、基端部18に対して屈曲可能である。ジャッキ部16の変位および角変位は、油圧の原動力を利用して行う。
基準軸線を挟んで対となる当接面19を成す複数の当接部22のうち、一方の当接部22は他方の当接部22に対して、予め定める範囲内において角変位自在である。変形したコイル11の中心孔の、中心孔の軸線に垂直な断面の形状は、点対称な形状とは限らない。一方の当接部22が他方の当接部22に対して角変位することによって、両方の当接部22をコイル11の内周面に対向して接する。これによって、コイル11内径を拡大したときに、コイル11の内周面を円筒状にする。また複数の当接部22がコイル11の内周面に対向して接触させることによって、ジャッキ部16にかかる負荷がジャッキ部16内の一部に偏ることを防止する。
基台12の下方には3つ以上の車輪24,25が設けられる。変形コイル矯正装置10は、前記3つ以上の車輪24,25を介して水平な面上に載置することが可能である。3つ以上の車輪24,25は、水平な平面に接し、変形コイル矯正装置10の重心から前記水平な平面に降ろした垂線の足26は、水平な平面と3つ以上の車輪24,25との接点が形成する多角形に内包される。これによって、3つ以上の車輪24,25を介して水平な平面状に載置されたときに、変形コイル矯正装置10は安定して姿勢を保つ。
3つ以上の車輪24,25のうち少なくとも1つの車輪は、高さ方向Zに延びる軸線まわりに回転自在で、方向を自在に向けることができる。3つ以上の車輪24,25のうち、いずれか2つを除く残余の車輪は、高さ方向Zに延びる軸線まわりに回転自在である。3つ以上の車輪24,25の車軸を一方向に向けることによって、変形コイル矯正装置10の移動に伴う抵抗を小さくする。これによって、車輪24,25を設けない場合および車軸を一方向に向けることができない場合に比べて、変形コイル矯正装置10の移動を容易にする。変形コイル矯正装置10を、コイル11が載置される場所まで移動させ、コイル11をコイル11が載置される場所から移動させることなく、ジャッキ部16をコイル11の中央孔27に挿入する。
図2は、本発明の本実施形態に係る変形コイル矯正装置10の平面図である。図3は、本発明の本実施形態におけるジャッキ部16の正面図である。本実施形態において、変形前のコイル11の内径は760ミリメートル(millimeter,略号「mm」)とする。コイル11は線材または鋼板を巻き取ったもので、円筒形状をしている。円筒の内周面に規定される、コイル11の内部空間を「中央孔」と称し、中央孔27を規定する中央孔27周囲の面を、コイル11の「内周面」と称する。中央孔27の形状は、円柱状である。変形前のコイル11の形状を円筒として捉え、「外周面」、「外径」および「内径」をコイル11に適用する。またコイル11の中央孔27の軸線を「コイル軸線」と称し、コイル軸線28の方向を「コイル軸線方向」と称する。
コイル11の内周面から外周面までの厚みは、巻き取った線材または鋼板の量に依存するけれども、コイル11の内径は、コイル11が変形していない場合には一定に定められる。第1実施形態では、コイル11の中央孔27の軸線方向の、コイル11の長さは600mm以上、1240mm以下である。コイル11の内周面から外周面までの厚みは、400mm以上525mmであるけれども、前記コイル11の長さおよび内周面から外周面までの厚みは、これらの数値範囲に限定するものではない。コイル11の線材または鋼板は、熱間圧延または連続鋳造で作製され、コイル11として巻き取られる。巻き取られたコイル11は、コイル軸線28に直交する方向からの圧縮力で変形しやすく、載置しておいても、自重または積載された他のコイル11の重量に基づく圧縮力によって変形する。最も大きく変形したコイル11のコイル11内径は、650mmとする。
本実施形態に係る変形コイル矯正装置10は、基台12と、支柱13と、アーム部14と、ジャッキ手段32と、駆動部17とを含んで構成される。ジャッキ手段32は、ジャッキ部16と、ジャッキ用油圧供給部33とを含んで構成される。本実施形態におけるアーム部14の基端部18の形状は、棒状であり、支柱13によって水平に支持される。基端部18の長手方向は、水平に支持され、以下、基端部18の長手方向を「第1水平方向」と称する。基端部18の長手方向のうち、先端部に近づく向きを「第1水平方向一方」と称し、先端部から遠ざかり基端部18に近づく向きを「第1水平方向他方」と称する。第1水平方向Xに垂直かつ水平な方向を「第2水平方向」と称する。本実施形態において、基準軸線方向と第1水平方向Xとは、一致する。
基台12は、第1水平方向Xに延びる2つの棒状の丸形棒状部分34と、2つの丸形棒状部分34と第1水平方向他方X1において接続され、第2水平方向Yに棒状に延びて形成される棒状部分36と、棒状部分36の上端部に接続され、厚み方向を高さ方向Zに向けて設置される板状部材38とを含んで構成される。丸形棒状部分34および棒状部分36について、それぞれの長手方向に延びる中心線を、それぞれの「軸線」と称する。2つの丸形棒状部分34の第1水平方向一方X1には、それぞれ車輪24が設置される。これらの車輪24の車軸は、第2水平方向Yに延びて設置される。棒状部分36の上端部には、水平な平面が形成され、この平面は、板状部材38に接続される。棒状部分36の第2水平方向Y両端部には、車輪25が接続される。これら2つの車輪25は、高さ方向Zに延びる軸線まわりに回転可能に形成され、これら2つの車輪25の車軸の方向は、同時に第2水平方向Yに一致することが可能である。本実施形態において車輪は4つである。
板状部材38は、高さ方向Zを厚み方向として、棒状部分36の上部に設置される部材で、厚み方向に見て大略的に長方形に形成される。板状部材38の第2水平方向Yの長さは、第2水平方向Yに離れる2本の丸形棒状部分34の軸線間の距離に等しく、厚み方向に見て板状部材38の中心部は、2つの丸形棒状部分34間の中央、棒状部分36の軸線上に設置される。板状部材38の上面には、駆動部17に含まれる油圧装置が設置される。厚み方向に見たときの板状部材38の中央部かつ棒状部分36の軸線上には、支柱13が、鉛直上方に延びて形成される。
支柱13は、高さ方向Zに長手方向を有し、大略的に直方体として形成される。支柱13の下部は、板状部材38に接続される。支柱13の下部は、板状部材38を貫通して棒状部分36に接続されてもよい。支柱13の上部には、アーム部14の基端部18が接続される。アーム部14の基端部18は支柱13を第1水平方向Xに貫通して支柱13に支持される。基端部18は第1水平方向X、第2水平方向Yおよび高さ方向Zには支柱13に対して変位せず、第1水平方向Xに延びる基端部18の軸線まわりに角変位可能である。基端部18が基端部18の軸線まわりに角変位するとき、基端部18は支柱13に対して摺動する。
アーム部14のうち、基端部18を除く部分は基端部18に対して揺動可能に接続される。以下、アーム部14のうち、基端部18を除く部分を「遊端部」称する。遊端部39は、基端部18の第1水平方向一方X1の端部に、基端部18に対して揺動可能に接続される。遊端部39は、基端部18に接続された端部を中心に揺動可能である。遊端部39には、分岐部42が設けられる。遊端部39のうち分岐部42よりも基端部18側の部分は、1つの棒状の材料で形成され、基端部18から分岐部42よりも遠い部分は、2つの棒状の材料で形成される。遊端部39のうち分岐部42よりも基端部18側の1つの棒状部材の長手方向に延びる軸線を、以下「アーム部軸線」と称し、アーム部軸線の方向を「アーム部軸線方向」と称する。この2つの棒状の材料は、互いに垂直直線方向に離れて形成される。遊端部39のうち分岐部42よりも基端部18側の棒状の材料は、長手方向に軸線を有する円柱状に形成される。
遊端部39は、基端部18に対して揺動するので、アーム部軸線方向は、必ずしも第1水平方向Xに一致しない。遊端部39を構成するそれぞれの棒状の材料の長手方向は、アーム部軸線方向に一致する。遊端部39は、遊端部39のうち基端部18に接続される部分を中心に、垂直直線に直交する仮想平面内の方向に揺動する。換言すれば、遊端部39は、基準軸線と直交直線とを含む仮想平面内の方向に揺動する。以下、垂直直線に直交する仮想平面を「直交平面」と称する。
また基端部18は、支柱13に対して摺動して第1水平方向Xの軸線まわりに角変位するので、基端部18が支柱13に対して角変位したとき、遊端部39も傾動する。遊端部39が支柱13に対して傾動するとき、直交平面も支柱13に対して傾動する。アーム部軸線方向のうち、基端部18側から遊端部39に向かう向きを「アーム部軸線方向一方」と称し、遊端部39から基端部18側に向かう向きを「アーム部軸線方向他方」と称する。
支柱13と基端部18とは直接接続されると同時に、傾動部44によっても接続される。支柱13と遊端部39とは、基端部18を介して接続されると同時に、揺動部46によっても接続される。支柱13には、遊端部39をアーム部軸線まわりに傾動するための傾動部44と、遊端部39を直交平面内で揺動させるための揺動部46とが設けられる。支柱13の第1水平方向他方X2の、基端部18が接続される部分よりも下方には、傾動部44の一部を支持するための傾動部支持片48が形成される。支柱13の第1水平方向一方X1の、基端部18が接続される部分よりも下方には、揺動部46の一部を支持するための揺動部支持片49が形成される。
図4は、本発明の本実施形態における傾動部44を、第1水平方向他方X2側から第1水平方向一方X1に見た背面図である。傾動部44は、基端部18に取付けられるアーム51と、傾動用油圧シリンダ52と、傾動用油圧供給部54と、傾動部支持片48とを含んで構成され、基端部18を、第1水平方向Xの軸線まわりに角変位させる。基端部18の第1水平方向他方X2の端部には、基端部18の軸線に直行して延びるアーム51が取付けられ、アーム51の先端には傾動用油圧シリンダ52の遊端側ブラケット56が、ピン58によって連結される。アーム51の先端部は、アーム51のうち、基端部18の軸線に交わるアーム51の一部とは異なる部分である。
傾動用油圧シリンダ52は、複動式油圧シリンダによって実現される。傾動用油圧シリンダ52は、75mmにわたって伸縮でき、4トン(ton, 略号「t」)の力で伸縮できる。傾動用油圧シリンダ52のうち、遊端側ブラケット56と反対側の基端ブラケット62は、傾動部支持片48に接続される。傾動部支持片48は支柱13に固定される。傾動用油圧供給部54は、傾動用油圧シリンダ52に油圧を供給する部分であり、複動式油圧シリンダの伸縮は、手動によって切換えられる。傾動用油圧供給部54は、板状部材38の上部に取付けられる。
傾動部支持片48は、傾動用油圧シリンダ52の基端ブラケット62と、ピン58を介して連結される。傾動部支持片48は支柱13に固定され、傾動用油圧シリンダ52およびアーム51が角変位するときの固定節となる。傾動用油圧供給部54が駆動することによって、複動式油圧シリンダのピストンがシリンダに対して変位し、傾動用油圧シリンダ52が伸縮する。この伸縮の方向は、第1水平方向Xに垂直な平面内で伸縮する。これによって、遊端側ブラケット56がアーム51を変位させる。アーム51は、傾動用油圧シリンダ52の伸縮によって、第1水平方向Xに延びる軸線まわりに角変位する。これによって、基端部18が第1水平方向Xの軸線まわりに回転する。
アーム部14のうち、基端部18と遊端部39とは、ユニバーサルジョイント63によって接続される。したがって、基端部18が第1水平方向Xの軸線まわりに角変位すると、遊端部39はアーム部軸線まわりに角変位する。
図5は、本発明の本実施形態における揺動部46の斜視図である。揺動部46は、アーム部14の遊端部39を基端部18に対して揺動する部分である。揺動部46は、摺動リング64と、摺動リング取付け片66と、揺動用油圧シリンダ68と、揺動部支持片49と、揺動用油圧供給部69と、摺動リングストッパ72とを含んで構成される。揺動用支持片は、支柱13に取り付けられる固定節であり、揺動用油圧シリンダ68の基端ブラケット62とピン58を介して連結される。摺動リング64は、アーム部14の遊端部39のうち、分岐部42よりも基端部18側の棒状の部分に摺動可能に取り付けられる、円筒状の部材である。摺動リング64の円筒の軸線はアーム部軸線に一致し、アーム部14の遊端部39がアーム部軸線まわりに角変位するとき、摺動リング64はアーム部軸線まわりの周方向に固定され、遊端部39と摺動する。摺動リング取付け片66は、摺動リング64に固定され、揺動用油圧シリンダ68とピン58を介して連結される。
揺動用油圧シリンダ68は、複動式油圧シリンダによって実現される。揺動用油圧シリンダ68は、50mmにわたって伸縮でき、4tの力で伸縮できる。揺動用油圧シリンダ68のうち、ピストン側のブラケットは、摺動リング取付け片66にピン58と介して連結される。摺動リング取付け片66に形成される貫通孔と、ピストン側ブラケット74に形成される貫通孔とは第2水平方向Yに保たれる。したがって、摺動リング取付け片66の貫通孔とピストン側ブラケット74の貫通孔とに嵌合してピストンと摺動リング取付け片66とを連結するピン58の軸線も、第2水平方向Yに保たれる。
ピストン側のブラケットとは反対側の、シリンダ側ブラケット76は、揺動用支持片にピン58を介して取付けられる。揺動用支持片に形成される貫通孔と、シリンダ側ブラケット76に形成される形成される貫通孔とは、第2水平方向Yに保たれる。揺動用支持片の貫通孔とシリンダ側ブラケット76の貫通孔とに嵌合してシリンダ側ブラケット76と揺動用支持片とを連結するピン58の軸線も、第2水平方向Yに保たれる。
揺動用支持片は、支柱13に固定され、揺動用油圧シリンダ68が伸縮し、アーム部14の遊端部39が揺動するときの固定節となる。揺動用油圧供給部69は、揺動用油圧シリンダ68に油圧を供給する部分であり、複動式油圧シリンダの伸縮は、手動によって切換えられる。揺動用油圧供給部69は、板状部材38の上部に取り付けられる。
摺動リングストッパ72は、アーム部14の遊端部39に取付けられ、摺動リング64に対してアーム部軸線方向一方から接する。揺動用油圧シリンダ68のピストン側ブラケット74は、支柱13およびアーム部14の基端部18よりもアーム部軸線方向一方に接続され、揺動用油圧シリンダ68のシリンダ側のブラケットは、支柱13に設けられる揺動用支持片に取付けられ、揺動用支持片は、基端部18よりも下方の支柱13に設けられるので、揺動用油圧シリンダ68が伸びるとき、摺動リング64は、揺動用油圧シリンダ68によって鉛直上方かつアーム部軸線方向一方に押圧される。摺動リングストッパ72は、摺動リング64が遊端部39に対してアーム部軸線方向一方に変位することを阻止する。
これによって、揺動用油圧シリンダ68が伸びるとき、摺動リング取付け片66は、ピストンによって鉛直上方かつアーム部軸線方向一方に押圧されて変位する。これに伴って、摺動リング64は遊端部39を上方に押圧して変位させる。遊端部39は、基端部18との接続部分であるユニバーサルジョイント63を中心に、鉛直上方に変位する。換言すれば、揺動用油圧シリンダ68が伸びるときには、遊端部39のうちの摺動リング64に接する部分が揺動用支持片から離れる向きに変位する。
揺動用油圧シリンダ68のピストン側ブラケット74には遊端部39の重量がかかるので、揺動用油圧シリンダ68が縮むときには、遊端部39は鉛直下方に変位する。揺動用油圧シリンダ68が伸縮するとき、摺動リング64がアーム部軸線まわりに角変位することはない。仮に揺動用油圧シリンダ68の伸縮によって、摺動リング64をアーム部軸線まわりに角変位させる力が付与されても、摺動リング取付け片66とピストン側ブラケット74とを連結するピン58は、第2水平方向Yに保たれるので、摺動リング64がアーム部軸線まわりに角変位することはない。前述の油圧機構21は、傾動部44と揺動部46とを含んで構成される。揺動用油圧シリンダ68のピストンおよびシリンダの軸線は、直交平面内で変位する。
図6は、本発明の本実施形態における傾動用油圧供給部54および揺動用油圧供給部69の油圧回路図である。傾動用油圧供給部54と揺動用油圧供給部69とは1つの傾動揺動用油圧タンク77を共有する。油圧ポンプとしては、高圧用油圧ポンプ78と低圧用油圧ポンプ81との2つのポンプを設ける。傾動用油圧供給部54および揺動用油圧供給部69は、傾動揺動用油圧タンク77と、高圧用油圧ポンプ78と、低圧用油圧ポンプ81と、第1パイロット付き圧力制御弁82と、第2パイロット付き圧力制御弁83と、第1方向切換弁84と、第2方向切換弁85とを含んで構成される。
傾動揺動用油圧タンク77は、傾動用油圧供給部54と揺動用油圧供給部69とに供給する作動油を貯蔵する容器である。傾動用油圧供給部54と揺動用油圧供給部69とは1つの傾動揺動用油圧タンク77を共有する。高圧用油圧ポンプ78は、低圧用油圧ポンプ81に比べて高い油圧を供給するポンプであり、たとえば10Mパスカル(Pascal, 略号「Pa」)の圧力を供給する。低圧用油圧ポンプ81は、高圧用油圧ポンプ78に比べて低い油圧を供給するポンプであり、たとえば7MPaの圧力を供給する。
高圧用油圧ポンプ78と低圧用油圧ポンプ81とを設け、比較的重量の重いコイル11を傾動および揺動させる場合に高圧用油圧ポンプ78を用い、比較的重量の軽いコイル11を傾動および揺動させる場合に低圧用油圧ポンプ81を用いることによって、傾動および揺動にエネルギを過剰に用いることを抑制することができる。
高圧用油圧ポンプ78は、第1管路86を介して傾動揺動用油圧タンク77に接続され、低圧用油圧ポンプ81は、第2管路87を介して傾動揺動用油圧タンク77に接続される。高圧用油圧ポンプ78は、第3管路88を介して第1分岐部92に接続され、低圧用油圧ポンプ81は、第4管路93を介して第1分岐部92に接続される。高圧用油圧ポンプ78よりも傾動用油圧シリンダ52および揺動用油圧シリンダ68側の第3管路88と、低圧用油圧ポンプ81よりも傾動用油圧シリンダ52および揺動用油圧シリンダ68側の第4管路93とは、第1分岐部92において合流する。第1分岐部92は、第5管路94を介して傾動揺動用油圧タンク77に接続され、第5管路94の途中位置には、傾動揺動用コック96が設けられる。
第1分岐部92は、第6管路98を介して第2分岐部99に接続され、第6管路98の途中位置には、第1逆止弁101が設けられる。第1逆止弁101は、第1分岐部92から第2分岐部99に向かう作動油の流れを許容し、第2分岐部99から第1分岐部92に向かう作動油の流れを阻止する。第2分岐部99は、傾動用供給管路103を介して第1方向切換弁84に接続され、揺動用供給管路114を介して第2方向切換弁85に接続される。第2分岐部99には、第2分岐部99内の作動油の圧力を検出する圧力計102が接続される。
第2分岐部99から傾動用油圧シリンダ52を制御する第1方向切換弁84につながる油圧管路を「傾動用供給管路」と称し、第1方向切換弁84から傾動揺動用油圧タンク77に戻る油圧管路を「傾動用戻り管路」と称する。第1方向切換弁84から傾動用油圧シリンダ52につながる油圧管路のうち、管路の油圧が高くなることによって傾動用油圧シリンダ52を伸長させる向きに力を付与することになる油圧管路を「傾動伸長用管路」と称し、管路の油圧が高くなることによって傾動用油圧シリンダ52を短縮させる向きに力を付与することになる油圧管路を「傾動短縮用管路」と称する。
第1方向切換弁84のプランジャは、手動によって、第1位置と中立位置と第2位置との3つの位置に切換え可能に形成される。それぞれの位置において傾動用供給管路103に接続されるポートを「第1ポート」と称し、傾動用戻り管路104に接続されるポートを「第2ポート」と称し、傾動短縮用管路106に接続されるポートを「第3ポート」と称し、傾動伸長用管路105に接続されるポートを「第4ポート」と称する。プランジャが第1位置にあるとき、第1ポート108は第4ポート111に接続され、第2ポート109は第3ポート110に接続される。これによって傾動用供給管路103は、傾動短縮用管路106に接続され、傾動用戻り管路104は傾動伸長用管路105に接続される。このとき、傾動用油圧シリンダ52は短縮する。
プランジャが中立位置にあるとき、第1ポート108は第2ポート109に接続され、第3ポート110および第4ポート111は閉鎖される。これによって、傾動用供給管路103は傾動用戻り管路104に接続され、傾動短縮用管路106および傾動伸長用管路105は閉鎖される。このとき、傾動用油圧シリンダ52を伸長するまたは短縮する外力が付与されても、傾動用油圧シリンダ52のピストンはシリンダに対して変位しない。プランジャが第2位置にあるとき、第1ポート108は第3ポート110に接続され、第2ポート109は第4ポート111に接続される。これによって、傾動用供給管路103は、傾動伸長用管路105に接続され、傾動用戻り管路104は、傾動短縮用管路106に接続される。このとき、傾動用油圧シリンダ52は伸長する。
傾動用油圧シリンダ52が伸長するとき、第1水平方向他方X2側から第1水平方向一方X1を見て、基端部18は時計回りに角変位する。傾動用油圧シリンダ52が短縮されるとき、第1水平方向他方X2側から第1水平方向一方X1を見て、基端部18は反時計回りに角変位する。
第2分岐部99から揺動用油圧シリンダ68を制御する第2方向切換弁85につながる油圧管路を「揺動用供給管路」と称し、第2方向切換弁85から傾動揺動用油圧タンク77に戻る油圧管路を「揺動用戻り管路」と称する。第2方向切換弁85から揺動用油圧シリンダ68につながる油圧管路のうち、管路の油圧が高くなることによって揺動用油圧シリンダ68を伸長させる向きに力を付与することになる油圧管路を「揺動伸長用管路」と称し、管路の油圧が高くなることによって揺動用油圧シリンダ68を短縮させる向きに力を付与することになる油圧管路を「揺動短縮用管路」と称する。
第2方向切換弁85のプランジャは、手動によって、第1位置と中立位置と第2位置との3つの位置に切換え可能に形成される。それぞれの位置において揺動用供給管路114に接続されるポートを「第1ポート」と称し、揺動用戻り管路116に接続されるポートを「第2ポート」と称し、揺動短縮用管路118に接続されるポートを「第3ポート」と称し、揺動伸長用管路117に接続されるポートを「第4ポート」と称する。プランジャが第1位置にあるとき、第1ポートは第4ポートに接続され、第2ポートは第3ポートに接続される。これによって揺動用供給管路114は、揺動短縮用管路118に接続され、揺動用戻り管路116は揺動伸長用管路117に接続される。このとき、揺動用油圧シリンダ68は短縮する。
プランジャが中立位置にあるとき、第1ポートは第2ポートに接続され、第3ポートおよび第4ポートは閉鎖される。これによって、揺動用供給管路114は揺動用戻り管路116に接続され、揺動短縮用管路118および揺動伸長用管路117は閉鎖される。このとき、揺動用油圧シリンダ68を伸長するまたは短縮する外力が付与されても、揺動用油圧シリンダ68のピストンはシリンダに対して変位しない。プランジャが第2位置にあるとき、第1ポートは第3ポートに接続され、第2ポートは第4ポートに接続される。これによって、揺動用供給管路114は、揺動伸長用管路117に接続され、揺動用戻り管路116は、揺動短縮用管路118に接続される。このとき、揺動用油圧シリンダ68は伸長する。
第1方向切換弁84は、傾動用戻り管路104を介して第3分岐部119に接続される。第2方向切換弁85は、揺動用戻り管路116を介して第3分岐部119に接続される。第3分岐部119は、第7管路121を介して傾動揺動用油圧タンク77に接続される。第7管路121の途中位置には、第2逆止弁122が設けられる。第2逆止弁122は、第3分岐部119から傾動揺動用油圧タンク77に向かう作動油の流れを許容し、傾動揺動用油圧タンク77から第3分岐部119に向かう作動油の流れを阻止する。
第3管路88と傾動揺動用油圧タンク77とを接続する第8管路124の途中位置には、第1パイロット付き圧力制御弁82が設けられる。第1パイロット付き圧力制御弁82は、第3管路88内の作動油の圧力が、予め定める圧力よりも大きくなることを防止する。第4管路93と傾動揺動用油圧タンク77とを接続する第9管路126の途中位置には、第2パイロット付き圧力制御弁83が設けられる。第2パイロット付き圧力制御弁83は、第4管路93内の作動油の圧力が、予め定める圧力よりも大きくなることを防止する。第1パイロット付き圧力制御弁82によって定められる第3管路88内の作動油の最大圧力は、第2パイロット付き圧力制御弁83によって定められる第4管路93内の作動油の最大圧力よりも大きく設定される。
図7は、本発明の本実施形態における第1当接部128と拡径用シリンダ129のピストンとの接続部の断面図である。ジャッキ部16は、アーム部14の遊端部39の、アーム部軸線方向一方の端部に取付けられる。ジャッキ部16は、変形したコイル11の中央孔27に挿入され、コイル11の内周面をコイル11の半径方向外方に向けて押圧し、コイル11内径を拡大する。ジャッキ部16がコイル11の中央孔27に挿入されるとき、ジャッキ部16は、基準軸線方向をコイル軸線28に一致させて挿入される。ジャッキ部16は、2つのジャッキ131と、ジャッキ連結部132とを含んで構成され、ジャッキ手段32は、ジャッキ部16と、ジャッキ用油圧供給部33とを含んで構成される。ジャッキ連結部132は、2つのジャッキ131を互いに接続し、かつ2つのジャッキ131をアーム部14の遊端部39に接続する部材である。2つのジャッキ131は、基準方向に並べて設置される。
各ジャッキ131は、2つの当接部22と拡径用シリンダ129とを含んで構成される。拡径用シリンダ129は、単動式油圧シリンダによって実現される。拡径用シリンダ129は150mmにわたって伸縮でき、100tの力で伸長できる。拡径用シリンダ129は、ジャッキ復帰ばね134を含む。ジャッキ復帰ばね134は、伸長した拡径用シリンダ129を短縮する圧縮コイル11ばねであり、ジャッキ復帰ばね134が伸長することによって、拡径用シリンダ129は短縮される。
以下、各ジャッキ131の拡径用シリンダ129のピストンおよびシリンダの中心線を「シリンダ軸線」と称し、各ジャッキ131の拡径用シリンダ129が伸縮する方向を「シリンダ軸線方向」と称する。シリンダ軸線方向のうち、シリンダ側からピストン側に向かう向きを「シリンダ軸線方向一方」と称し、ピストン側からシリンダ側に向かう向きを「シリンダ軸線方向他方」と称する。シリンダ軸線と基準軸線とは、互いに直交する。
各ジャッキ131において、シリンダ軸線を直交直線と定める。シリンダ軸線は基準軸線と直交し、シリンダ軸線と基準軸線との交点を通過し、シリンダ軸線と基準軸線とに垂直な直線を垂直直線と定める。
ピストンのシリンダ軸線方向一方の端部と、シリンダのシリンダ軸線方向他方の端部には、当接部22が接続される。各ジャッキ131に設けられる2つの当接部22のうち、ピストンに接続される当接部22を「第1当接部」と称し、シリンダに接続される当接部22を「第2当接部」と称する。第1当接部128と第2当接部136とは直交直線方向に離れて形成される。アーム部軸線方向と基準方向とが第1水平方向Xに一致し、かつ垂直方向が第2水平方向Yに一致する状態を、以下「自然状態」と称する。自然状態において、第1当接部128は第2当接部136に対して鉛直上方に位置する。第1当接部128は、前記一方の当接部22であり、第2当接部136は、前記他方の当接部22である。
第1当接部128の、基準軸線から遠ざかった外方に臨む面と、第2当接部136の、基準軸線から遠ざかった外方に臨む面とには、それぞれ当接面19が形成される。第1当接部128に形成される当接面19を「第1当接面」と称し、第2当接部136に形成される当接面19を「第2当接面」と称する。
第1当接面137と第2当接面138とに交わり、基準軸線に直交する条件を満たす任意の仮想的な直線を「仮想直線」と称する。仮想直線と第1当接面137との交点を「第1交点」と称し、仮想直線と第2当接面138との交点を「第2交点」と称する。第1交点141と第2交点142との距離が変形前のコイル11内径に等しいとき、すなわち760mmであるとき、前記の条件を満たすいずれの直線を仮想直線として定めても、第1交点141と第2交点142との距離は760mmとなる。このとき、第1および第2当接面118,119は、基準軸線を中心とする仮想的な円筒の内周面に沿う形状に形成される。この仮想的な円筒の内径は、変形前のコイル11内径と同一に設定される。本実施形態において仮想的な円筒の内径は760mmである。
ジャッキ用油圧供給部33は、拡径用シリンダ129に油圧を供給する部分である。ジャッキ用油圧供給部33は、拡径用シリンダ129を含んで構成され、拡径用シリンダ129の伸長と短縮とは、手動によって切換えられる。ジャッキ用油圧供給部33は板状部材38の上部に取付けられる。ジャッキ用油圧供給部33が駆動することによって、単動式油圧シリンダのピストンがシリンダに対して変位し、拡径用シリンダ129が伸長する。これによって、基準軸線を挟んで反対側に位置し、基準方向に同じ位置に設けられる第1当接部128と第2当接部136との距離が、拡大される。ジャッキ用油圧供給部33は、前述の、基準軸線を挟む当接面19間の距離を変更する駆動部17である。ジャッキ用油圧供給部33は、板状部材38の上部に取付けられる。
拡径用シリンダ129のシリンダのシリンダ軸線他方の端部は第2当接部136に固定される。拡径用シリンダ129のピストンのシリンダ軸線一方の端部は、球面軸受144を介して、第1当接部128に角変位自在に接続される。球面軸受144は、軸受ボール146と軸受ハウジング147とを含んで構成される。軸受ボール146の外形は球面状に形成され、軸受ハウジング147は、軸受ボール146と第1当接部128との間、および軸受ボール146とピストンの端部との間に設けられる。これら軸受ハウジング147のうち、軸受ボール146に接触する部分は、銅から形成される。軸受ボール146と第1当接部128との間、および軸受ボール146とピストンの端部との間の接触面は、球面状の接触面である。軸受ボール146には、基準軸線方向に延びる軸受貫通孔148が形成され、基準軸線方向に延びる回動軸が、軸受ボール146の軸受貫通孔148に嵌合する。この回動軸を、以下「基準方向回動軸」と称する。基準方向回動軸151は、基準軸線方向に並ぶ両方のジャッキ131に共通に設けられ、基準方向回動軸151の基準軸線方向中央部は、ジャッキ連結部132に固定される。
2つのジャッキ131は基準軸線方向に並んで設置され、それぞれの第2当接部136は、ジャッキ連結部132によって互いに連結される。ジャッキ連結部132は、2つのジャッキ131を互いに連結すると同時に、2つのジャッキ131をアーム部14の遊端部39に連結する。また基準軸線方向に並ぶ2つの軸受ボール146を貫通する回動軸にも連結される。アーム部14の遊端部39のうち、基端部18から分岐部42よりも遠い部分は、2つの棒状の材料によって形成される。遊端部39の基準方向一方の2つの端部を「先端部」と称する。2つの先端部は、垂直方向に延びる回動軸を介して互いに接続される。垂直方向に延びるこの回動軸を、以下「垂直回動軸」と称する。垂直回動軸152は、2つの先端部と、ジャッキ連結部132とに連結される。垂直回動軸152は、2つの先端部に固定される。ジャッキ連結部132は、垂直直線方向に延びる垂直回動軸152の軸線まわりに摺動可能に垂直回動軸152に連結される。基準方向回動軸151は、ジャッキ連結部132に固定され、垂直回動軸152には摺動可能に連結される。
図8は、本発明の本実施形態におけるジャッキ用油圧供給部33の油圧回路図である。ジャッキ用油圧供給部33は、2つのジャッキ131に対応して2つ設けられる。各ジャッキ用油圧供給部33は、ジャッキ用油圧タンク153と、異種流体圧力変換器154と、空気ポンプ156と、開閉切換弁157と、空気用パイロット付きリリーフ弁160を含んで構成される。
ジャッキ用油圧タンク153は、第10管路158を介して異種流体圧力変換器154に接続され、第10管路158の途中位置には、第3逆止弁159が設けられる。空気ポンプ156は、第11管路161を介して開閉切換弁157に接続され、開閉切換弁157は、第12管路162を介して異種流体圧力変換器154に接続される。異種流体圧力変換器154は、油圧用シリンダ164と、空気用シリンダ166と、油圧用ピストン168と、空気用ピストン171と、ピストン間プランジャ172と、復帰ばね173とを含んで構成される。異種流体圧力変換器154には、第11管路161から供給された作動油が通過する油圧用空間174と第12管路162から供給された空気が通過する空気用空間176とが形成される。
油圧用空間174は、油圧用シリンダ164内に形成され、油圧用ピストン168が油圧用シリンダ164内で変位することによって、油圧用空間174の容積が変化する。空気用空間176は、空気用シリンダ166内に形成され、空気用ピストン171が空気用シリンダ166内で変位することによって空気用空間176の容積が変化する。油圧用ピストン168と空気用ピストン171とは、ピストン間プランジャ172によって接続される。ピストン間プランジャ172は、油圧用ピストン168と空気用ピストン171との相対的な位置を固定し、空気用空間176の容積が増加すれば油圧用空間174の容積が減少し、油圧用空間174の容積が増加すれば空気用空間176の容積が減少する。復帰ばね173は、空気用空間176内の空気の圧力が大気圧に等しいとき、空気用空間176の容積を減少させる向きに、空気用ピストン171に力を付与する。
第10管路158は異種流体圧力変換器154の油圧用シリンダ164に接続され、第12管路162は、異種流体圧力変換器154の空気用シリンダ166に接続される。空気用ピストン171が空気用空間176内の空気に接触する面積は、油圧用ピストン168が油圧用空間174内の作動油に接触する面積よりも大きく設定される。空気用空間176の容積が増加する向きに、空気用空間176内の空気が空気用ピストン171を押す力は、油圧用空間174の容積を減少させる向きに、油圧用ピストン168に作用する。空気用空間176内の空気が空気用ピストン171を押す力は、倍加して油圧用空間174内の作動油に付与される。
異種流体圧力変換器154の油圧用シリンダ164は、第13管路177を介して第4逆止弁178に接続される。第4逆止弁178は、第14管路181を介して、拡径用シリンダに接続される。第13管路177とジャッキ用油圧タンク153とを接続する第15管路183の途中位置には、油圧用パイロット付き圧力制御弁184が設けられる。第14管路181とジャッキ用油圧タンク153とを接続する第16管路186の途中位置には、ジャッキ用コックが設けられる。第15管路183と第16管路186とは、個別にジャッキ用油圧タンク153に連結していてもよいけれども、本実施形態において第15管路183と第16管路186とは、途中で合流して1つの管路となりジャッキ用油圧タンク153に連結する。油圧用パイロット付き圧力制御弁184は、第13管路177内の油圧が予め定める圧力よりも高くなった場合に、第13管路177内の作動油をジャッキ用油圧タンク153に戻す。
異種流体圧力変換器154の空気用シリンダ166は、空気用パイロット付きリリーフ弁160に接続される。空気用パイロット付きリリーフ弁160には、空気用空間176内の空気の圧力が信号圧力として伝達される。また空気用シリンダ166は、第17管路187を介して大気圧に開放されており、空気用空間176の容積が最も大きくなった場合には、第17管路187は空気用空間176と外気とを連通する。
空気ポンプ156は、第12管路162を介して開閉切換弁157側に圧縮空気を送り込む。空気ポンプ156は、2つのジャッキ用油圧供給部33の一方と他方とで、別個の空気ポンプ156を用いることも可能であるけれども、本実施形態では、1つの空気ポンプ156を共用する。開閉切換弁157は、開通状態と閉塞状態とを取り得る。開閉切換弁157の開通状態と閉塞状態とは、手動によって切換えられる。開通状態において開閉切換弁157は、第11管路161と第12管路162とを連通する。開通状態において、第11管路161内の空気および第12管路162内の空気は、第11管路161内の空間および第12管路162内の空間を、移動可能である。閉塞状態において開閉切換弁157は、第11管路161と第12管路162との間を遮蔽し、第11管路161内の空間と第12管路162内の空間との間の気体の流通を阻止する。
開閉切換弁157が開通状態をとり、空気ポンプ156から送られる圧縮空気の圧力が第12管路162を介して異種流体圧力変換器154の空気用空間176に伝達されると、空気用空間176内の空気の圧力は、予め定める第1空気圧以上となる。空気用シリンダ166には、空気用空間176内の空気圧を検出する圧力計102が接続される。
空気用空間176内の空気の圧力が第1空気圧以上となったとき、空気用空間176内の空気の圧力は、空気用ピストン171に作用し、空気用ピストン171は復帰ばね173の復元力に抗して空気用空間176の容積を増加させる。これによってピストン間プランジャ172は空気用ピストン171によって押されて変位し、油圧用ピストン168を押す。これによって油圧用ピストン168は変位し、油圧用空間174の容積は減少する。油圧用空間174の容積が減少すると、油圧用空間174内の作動油は油圧用空間174の外方に押出される。油圧用ピストン168よりもジャッキ用油圧タンク153側には、第3逆止弁159が設けられるので、油圧用空間174内の作動油が第10管路158を介してジャッキ用油圧タンク153に戻ることはない。したがって第13管路177を介して拡径用シリンダに供給され、ジャッキ131を伸長させる。
拡径用シリンダよりもジャッキ用油圧タンク153側には、第4逆止弁178が設けられるので、油圧用空間174内の作動油の圧力に関わりなく、拡径用シリンダ内の作動油が第13管路177を介して油圧用空間174に戻ることはない。第16管路186の途中位置に設けられるジャッキ用コックが開かれたときには、拡径用シリンダ内の作動油は、第16管路186を介してジャッキ用油圧タンク153に戻される。これによって、ジャッキ131は縮小する。
開閉切換弁157が開かれた状態、または開かれた後に閉じられた状態において、空気用空間176内の空気圧が第1空気圧以上で、かつ第2空気圧未満であるときには、油圧用空間174内の作動油を拡径用シリンダ内に送り込むことによって、ジャッキ131を伸長させることができる。開閉切換弁157を開いた状態を保つことによって、空気用空間176内の空気圧をさらに大きくし、第2空気圧以上とすると、空気用ピストン171はさらに変位し、空気用空間176の容積はさらに増加する。これによって、第17管路187は空気用空間176と外気とを連通し、空気用空間176内の空気の圧力は大気圧に等しくなる。空気用空間176内の空気の圧力が大気圧に等しくなると、異種流体圧力変換器154の復帰ばね173が弾性復帰し、油圧用空間174の容積が大きくなる。これによって、ジャッキ用油圧タンク153から第11管路161を介して、作動油が油圧用空間174に供給される。
基準方向を挟んで対を成す当接面間の距離が760mmに達すると、それを超えて大きくなることがないように、拡径用シリンダの伸長する範囲は、予め定められる。
本実施形態に従えば、支柱13は基台12の上部に設けられ、アーム部14の基端部18は支柱13に設けられる。ジャッキ131はアーム部14に取付けられるので、ジャッキ131をコイル11の中央孔27の高さで支持することが可能になる。したがって、ジャッキ131をコイル11の中央孔27の高さに支持した状態で、ジャッキ部16をコイル11の中央孔27に挿入することが可能になる。またジャッキ部16には、複数の当接面19が、基準軸線を挟んで対として形成される。変形コイル矯正装置10は、駆動部17を含んで構成され、駆動部17は、基準軸線を挟む当接面19間の距離を変更する。これによって、ジャッキ部16を可塑変形したコイル11の中央孔27に挿入した状態で、駆動部17を稼動して当接面19間の距離を拡大すると、変形したコイル11の内径を大きくすることが可能になる。
またジャッキ131は、当接面19によってコイル11の内周面を押圧するので、点または線によって、コイル11の内周面を押圧する場合に比べて、コイル11の内周面を円筒形に近づけることが容易になる。また当接面19は、基準軸線方向に延びる基準軸線を有する仮想的な円筒の内周面に沿う形状に形成される。仮想的な円筒の内径を、変形前のコイル11の内径に等しく設定し、変形前のコイル11の内径にまで当接面19間の距離を拡大すれば、コイル11の内周面の形状を円筒形にすることが可能になる。
また本実施形態によれば、ジャッキ部16は、基台12に対して基準軸線まわりに角変位可能である。コイル11が積み重ねられることによって変形する場合、コイル11は、高さ方向Z以外の方向の圧縮力によって変形する可能性がある。この場合に、コイル11が圧縮された方向に、複数の当接面19が互いに離れる方向を一致させて、コイル11の中央孔27にジャッキ部16を挿入することが可能になる。これによって、コイル11の変形の原因となった圧縮力の方向が複数であっても、コイル11の内径を拡大し、コイル11の内周面を円筒形にすることができる。したがって、汎用性の高い変形コイル矯正装置10を実現することができる。
また本実施形態によれば、ジャッキ部16は、基準軸線方向に複数設けられる。コイル11の中央孔27の軸線方向一方の端部と、中央孔27の軸線方向他方の端部とでは、コイル11の変形量が異なる場合がある。この場合、コイル11の内径を拡大するときに必要となる力の大きさも、中央孔27の軸線方向一方と中央孔27の軸線方向他方とでは異なる。コイル11の中央孔27の軸線方向一方の端部の内周面と中央孔27の軸線方向他方の端部の内周面とを、基準軸線方向に複数設けられるジャッキ部16によってそれぞれ押圧すれば、コイル11の中央孔27の軸線方向一方の端部および中央光の軸線方向他方の端部の内径を、等しい大きさにまで拡大することができる。また、基準軸線方向にジャッキ部16を1つ設けた場合に比べて、ジャッキ部16にかかる負荷が、1つのジャッキ部16内で偏ることがない。したがって、ジャッキ部16の耐久時間を長くすることができる。
また本実施形態によれば、アーム部14の基端部18は、基台12に対して基準軸線まわりに角変位可能である。これによって、ジャッキ部16は、基台12に対して基準軸線まわりに角変位可能となる。コイル11が積み重ねられることによって変形し、高さ方向Z以外の方向の圧縮力によって変形した場合に、コイル11が圧縮された方向に、複数の当接面19が互いに離れる方向を一致させて、コイル11の中央孔27にジャッキ部16を挿入することが可能になる。
またアーム部14の、前記基端部18を除く残余の部分は、基端部18に対して屈曲可能である。これによって、ジャッキ部16は、高さ方向Zに変位可能となる。したがって、載置されたコイル11の中心孔の高さに合わせてジャッキ131の高さを変更することができ、載置された状態のコイル11の中心孔の内部に、ジャッキ部16を挿入することができる。また変形コイル矯正装置10は、油圧機構21を含んで構成される。油圧機構21は、アーム部14の基端部18を角変位可能であり、かつアーム部14の基端部18を除く残余の部分を、基端部18に対して屈曲可能である。これによって、油圧の原動力を利用してジャッキ部16を変位および角変位させることができる。
また本実施形態によれば、基準軸線を挟んで対となる当接面19を成す複数の当接部22のうち、一方の当接部22は他方の当接部22に対して、予め定める範囲内において角変位自在である。変形したコイル11の中心孔の、中心孔の軸線に垂直な断面の形状は、点対称な形状とは限らない。一方の当接部22が他方の当接部22に対して角変位することによって、両方の当接部22がコイル11の内周面に対向して接することが可能になる。したがって、コイル11内径を拡大したときに、当接部22のうちの一方が角変位できない場合に比べて、コイル11の内周面を円筒状にすることが容易になる。また複数の当接部22がコイル11の内周面に対向して接することによって、ジャッキ部16にかかる負荷がジャッキ部16内の一部に偏ることを防止することができる。
また本実施形態によれば、基台12の下方には3つ以上の車輪24,25が設けられる。これによって、変形コイル矯正装置10は、前記3つ以上の車輪24,25を介して水平な面上に載置することが可能になる。3つ以上の車輪24,25は、水平な平面に接し、変形コイル矯正装置10の重心から前記水平な平面に降ろした垂線の足26は、水平な平面と3つ以上の車輪24,25との接点が形成する多角形に内包される。これによって、3つ以上の車輪24,25を介して水平な平面状に載置されたときに、変形コイル矯正装置10は安定して姿勢を保つことができる。
3つ以上の車輪24,25は、車軸を一方向に向けることが可能であるので、車輪24,25を設けない場合および車軸を一方向に向けることができない場合に比べて、変形コイル矯正装置10の移動に伴う抵抗を小さくすることができる。したがって、変形コイル矯正装置10の移動を容易にすることができる。これによって、変形コイル矯正装置10を、コイル11が載置される場所まで移動させることができる。またコイル11をコイル11が載置される場所から移動させることなく、ジャッキ部16をコイル11の中央孔27に挿入することができる。
また本実施形態において2つの軸受ボール146には1つの基準方向回動軸151が貫通し、基準方向回動軸151はジャッキ連結部132に連結される。これによって、第1当接部128に自重によっておよびコイル11の内周面との当接によって付与される力を、基準方向回動軸151が垂直回動軸152を介してアーム部14に伝達される。したがって、第1当接部128に付与される力をジョイント連結部のみによって垂直回動軸152およびアーム部14に伝達する場合に比べて、ジャッキ部16とアーム部14との接続を強固にすることができる。
本実施形態において、摺動リングストッパ72は、摺動リング64よりも基準方向一方に1つ設置されるけれども、他の実施形態において摺動リングストッパは、2つ設けられ、摺動リングよりも基準方向一方と基準方向他方の両方に設置されてもよい。また本実施形態では各ジャッキ131において、シリンダ軸線を直交直線と定め、シリンダ軸線と基準軸線との交点を通過し、シリンダ軸線と基準軸線とに垂直な直線を垂直直線と定めたけれども、他の実施形態において基準直線および直交直線は、ジャッキ部のうちの他の部分を通過する直線であってもよい。
本発明の本実施形態に係る変形コイル矯正装置10の側面図である。 本発明の本実施形態に係る変形コイル矯正装置10の平面図である。 本発明の本実施形態におけるジャッキ部16の正面図である。 本発明の本実施形態における傾動部44を、第1水平方向他方X2側から第1水平方向一方X1に見た背面図である。 本発明の本実施形態における揺動部46の斜視図である。 本発明の本実施形態における傾動用油圧供給部54および揺動用油圧供給部69の油圧回路図である。 本発明の本実施形態における第1当接部116と拡径用シリンダ111のピストンとの接続部の断面図である。 本発明の本実施形態におけるジャッキ用油圧供給部33の油圧回路図である。 従来技術に係る内径矯正機構の構成説明図である。
符号の説明
10 コイル内径拡大装置
11 コイル
12 基台
13 支柱
14 アーム部
16 ジャッキ部
17 駆動部
18 基端部
19 当接面
21 油圧機構
22 当接部
24 車輪
26 垂線の足
27 中央孔
28 コイル軸線
32 ジャッキ手段
33 ジャッキ用油圧供給部
39 遊端部
42 分岐部
44 傾動部
46 揺動部
48 傾動部支持片
49 揺動部支持片
51 アーム
52 傾動用油圧シリンダ
54 傾動用油圧供給部
56 遊端側ブラケット
78 高圧用油圧ポンプ
81 低圧用油圧ポンプ
82 第1パイロット付き圧力制御弁
83 第2パイロット付き圧力制御弁
84 第1方向切換弁
85 第2方向切換弁

Claims (6)

  1. 基台と、
    基台の上部に設けられる支柱と、
    支柱に基端部が連結されるアーム部と、
    アーム部の先端部に設けられるジャッキ部であって、
    基準軸線を有し、直円筒の一部を成す一対の当接面が前記基準軸線を挟む対として形成される当接部を含み、
    基準軸線を挟んで対となる前記複数の当接面間の距離は、変更可能に形成されるジャッキ部と、
    前記ジャッキ部を駆動し、前記基準軸線を挟む当接面間の距離を変更する駆動部とを含むことを特徴とする変形コイル矯正装置。
  2. 前記ジャッキ部は、前記基台に対して前記基準軸線まわりに角変位可能であることを特徴とする請求項1に記載の変形コイル矯正装置。
  3. 前記ジャッキ部は、基準軸線方向に複数設けられることを特徴とする請求項1または2に記載の変形コイル矯正装置。
  4. アーム部の基端部は、基台に対して基準軸線まわりに角変位可能であり、
    アーム部の、前記基端部を除く残余の部分は、基端部に対して屈曲可能であり、
    前記基端部の角変位と、基端部を除く残余の部分の屈曲とを行う油圧機構をさらに有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の変形コイル矯正装置。
  5. 前記基準軸線を挟んで対となる当接面を成す複数の当接部のうち、一方の当接部は他方の当接部に対して、予め定める範囲内において、基準軸線まわり、基準軸線に垂直な予め定める垂直直線まわりおよび基準軸線と垂直直線とに直交する予め定める直交直線まわりに角変位自在であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の変形コイル矯正装置。
  6. 基台の下方には、3つ以上の車輪がさらに設けられ、
    前記3つ以上の車輪は、車軸を水平な1方向に向けることが可能であり、水平な平面に接し、
    重心から前記水平な平面に降ろした垂線の足は、前記水平な平面と前記3つ以上の車輪との接点が形成する多角形に内包されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の変形コイル矯正装置。
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