JP2009233537A - 電気脱イオン装置及び純水製造システム - Google Patents

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Abstract

【課題】脱塩室内での被処理水の短絡による処理水へのイオンリークを回避し、高純度の脱イオン水を得ることのできる電気脱イオン装置、及び当該電気脱イオン装置を備える純水製造システムを提供する。
【解決手段】陰極6と陽極7との間に、複数のアニオン交換膜5とカチオン交換膜4とを交互に配列して濃縮室3と脱塩室2とを形成してなる電気脱イオン装置1において、脱塩室2内に、脱塩室2の容積よりも大きい体積を有し、弾性を有するとともに、微細なイオン交換体を保持する連続気泡構造の発泡体を圧縮した状態で充填する。
【選択図】図1

Description

本発明は、陰極と陽極との間に、複数のアニオン交換膜とカチオン交換膜とを配列して濃縮室と脱塩室とを形成してなる電気脱イオン装置、及び当該電気脱イオン装置を備える純水製造システムに関する。
従来、半導体製造工場、液晶製造工場、製薬工業、食品工業、電力工業等の各種の産業又は民生用ないし研究施設等において使用される脱イオン水の製造には、電極(陽極及び陰極)の間に複数のアニオン交換膜及びカチオン交換膜を配列して濃縮室と脱塩室とを形成し、脱塩室にイオン交換樹脂、イオン交換繊維又はグラフト交換体等からなるアニオン交換体及びカチオン交換体を混合又は複層状に充填した電気脱イオン装置が多用されている。
電気脱イオン装置は、水解離によってHイオンとOHイオンとを生成させ、脱塩室内に充填されているイオン交換体を連続して再生することによって、効率的な脱塩処理を可能とするものであり、従来から広く用いられてきたイオン交換樹脂装置のように、薬品を用いた再生処理を必要とせず、完全な連続採水が可能で、高純度の水が得られるという優れた効果を発揮するものである。
このような電気脱イオン装置の脱塩室内及び/又は濃縮室内に充填されるイオン交換体として、従来、イオン交換樹脂等の材料が提案されている(特許文献1参照)。
脱塩室内及び/又は濃縮室内に充填されるイオン交換体としてイオン交換樹脂を用いると、イオン交換基の密度を高くすることができ、カチオン交換樹脂とアニオン交換樹脂とを任意の割合で混合して充填できるため、現在、イオン交換樹脂が一般的に充填材として使用されている。しかし、脱塩室内での被処理水の短絡を防ぐためにイオン交換樹脂を脱塩室内に緊密に充填する作業が非常に煩雑であり、またイオン交換樹脂を緊密に充填しているために通水差圧が高く、イオン交換樹脂が劣化等により破砕しやすい等の問題があった。
このような問題を解決するために、従来、イオン交換樹脂の代わりになるイオン交換体として、イオン交換繊維、グラフト交換体、w/oエマルジョン形成と静置重合とを経由して合成された多孔質樹脂にイオン交換基を導入した充填材等が提案されている(特許文献2〜6参照)。
しかしながら、上記特許文献2に記載されているイオン交換繊維を電気脱イオン装置のイオン交換体として用いると、イオン交換樹脂に比べてイオン移動速度の向上が期待されるものの、脱塩室内での被処理水の短絡により処理水にイオンがリークしやすく、高純度の処理水を得るのが困難であるという問題がある。
また、上記特許文献4〜6に記載されている多孔質樹脂にイオン交換基を導入した充填材は、製造コストが高く、実用化レベルの大きさの合成や大量生産には不向きであるという問題がある。
このような観点から、連続気泡構造の発泡体にイオン交換体を保持させることにより、従来から電気脱イオン装置の脱塩室及び/又は濃縮室に充填されているイオン交換樹脂と同等又はそれ以上の機能及び強度を有し、かつイオン伝導性を有する充填材を提供できるものと考えられる。
特許第1782943号公報 特許第2751090号公報 特許第2699256号公報 特許第3773190号公報 特許第3781361号公報 特許第3856387号公報
しかしながら、イオン交換体を保持した連続気泡構造の発泡体は、内部の細孔径を均一にすることが困難であるため、発泡体の内部を通過する被処理水が、発泡体全体に均一に流れ難かった。そのため、被処理水が連続気泡構造の発泡体内部を短絡し、イオン成分の濃縮室への移動が不完全なまま脱塩室から排出されてしまい、期待される処理水質が得られないおそれがあるという問題があった。
そこで、本発明は、脱塩室内での被処理水の短絡による処理水へのイオンリークを回避し、高純度の脱イオン水を得ることのできる電気脱イオン装置、及び当該電気脱イオン装置を備える純水製造システムを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、陰極と陽極との間に、複数のアニオン交換膜とカチオン交換膜とを交互に配列して濃縮室と脱塩室とを形成してなる電気脱イオン装置であって、前記脱塩室内には、前記脱塩室の容積よりも大きい体積を有し、弾性を有する発泡体が圧縮された状態で充填されており、前記発泡体が、微細なイオン交換体を保持する連続気泡構造の発泡体であることを特徴とする電気脱イオン装置を提供する(請求項1)。
上記発明(請求項1)によれば、脱塩室の容積よりも大きい体積を有する、イオン交換体を保持する連続気泡構造の発泡体が脱塩室及び/又は濃縮室内に圧縮されて充填されているため、脱塩室のフレームやアニオン交換膜又はカチオン交換膜と、発泡体との間に隙間が生じず、脱塩室内での被処理水の短絡を防止することができ、これにより、高純度の脱イオン水を得ることができる。
上記発明(請求項1)においては、前記脱塩室の通水方向長さが、前記発泡体の当該通水方向長さよりも短いのが好ましい(請求項2)。かかる発明(請求項2)によれば、発泡体が通水方向に圧縮された状態で脱塩室内に充填されることになるため、通水方向における発泡体の細孔断面積を確保しつつ、発泡体内のイオン交換基密度を高くすることができるため、被処理水からのイオンの移動をより促進することができ、これにより高純度の脱イオン水を得ることができる。
上記発明(請求項2)においては、前記脱塩室の前記アニオン交換膜及び前記カチオン交換膜の膜面方向及び前記通水方向に直交する方向の長さが、前記発泡体の前記膜面方向及び前記通水方向に直交する方向の長さと同一又はそれよりも短いのが好ましく(請求項3)、上記発明(請求項2,3)においては、前記脱塩室の前記アニオン交換膜及び前記カチオン交換膜の膜面方向と平行であって前記通水方向に直交する方向の長さが、前記発泡体の前記膜面方向と平行であって前記通水方向に直交する方向の長さと同一又はそれよりも短いのが好ましい(請求項4)。
また、上記発明(請求項2〜4)においては、前記発泡体を前記脱塩室に充填したときにおける前記発泡体の通水方向長さの圧縮率が、前記発泡体の前記通水方向に直交する断面積の圧縮率よりも大きいのが好ましい(請求項5)。
本発明において、発泡体の通水方向長さの圧縮率C1は、発泡体の通水方向長さL1と脱塩室の通水方向長さL2とから下記式(1)で表され、発泡体の通水方向に直交する断面積の圧縮率C2は、発泡体の通水方向に直交する断面積A1と脱塩室の通水方向に直交する断面積A2とから下記式(2)で表されるものである。
C1=(L1−L2)/L2…(1)
C2=(A1−A2)/A2…(2)
上記発明(請求項1〜5)においては、前記イオン交換体が、アニオン交換体及びカチオン交換体であるのが好ましく(請求項6)、かかる発明(請求項6)においては、前記発泡体に保持される前記アニオン交換体と前記カチオン交換体との体積比が、1:9〜9:1であるのが好ましい(請求項7)。
上記発明(請求項6,7)によれば、脱塩室及び/又は濃縮室に、アニオン交換体とカチオン交換体とを保持した発泡体が充填されていることで、特に脱塩室内での被処理水中のアニオン及びカチオンの移動を促進することができ、より高純度の処理水を得ることができる。
上記発明(請求項1〜7)においては、前記アニオン交換膜又は前記カチオン交換膜と接触する前記発泡体の接触面におけるイオン交換基密度が、前記発泡体の他の部位におけるイオン交換基密度よりも高いのが好ましく(請求項8)、かかる発明(請求項8)においては、前記発泡体の接触面には、複数の凹凸部が形成されており、前記発泡体は、前記接触面に前記イオン交換体がさらに固着されてなるのが好ましい(請求項9)。
上記発明(請求項8)によれば、アニオン交換膜及びカチオン交換膜と接触する発泡体の接触面におけるイオン交換基密度が高いことで、被処理水中のアニオン及びカチオンの移動をより促進することができ、より高純度の処理水を得ることができる。特に上記発明(請求項9)のように、発泡体の接触面に複数の凹凸部を形成することで、当該接触面の表面積を増大させることができるとともに、当該凹凸部にイオン交換体をさらに固着させることで、接触面におけるイオン交換基密度をより高密度にすることができる。
上記発明(請求項1〜9)においては、前記イオン交換体が、少なくともイオン交換樹脂を含み、前記イオン交換樹脂の平均粒子径が、100μm以下であり、粒子径が200μm以下のイオン交換樹脂を90質量%以上含むのが好ましく(請求項10)、また、前記イオン交換体が、少なくともイオン交換繊維を含み、前記イオン交換繊維の平均繊維長が、2.5mm以下であり、繊維長が5.0mm以下のイオン交換繊維を90%質量以上含むのが好ましい(請求項11)。
上記発明(請求項10,11)によれば、イオン交換樹脂の粒子径が上記範囲内であること、又はイオン交換繊維の繊維長が上記範囲内であることで、より効果的に被処理水とイオン交換樹脂又はイオン交換繊維とを接触させることができる。
上記発明(請求項1〜11)においては、前記発泡体は、発泡剤に対して20〜80質量%の前記イオン交換体を、前記発泡剤に添加して形成されてなるのが好ましく(請求項12)、前記発泡体は、前記発泡体を構成するマトリックス樹脂に対して20〜80質量%の前記イオン交換体を、前記マトリックス樹脂に添加して形成されてなるのが好ましい(請求項13)。また、前記マトリックス樹脂の分子鎖中には、イオン交換基が導入されていてもよい(請求項14)。
上記発明(請求項13,14)においては、前記マトリックス樹脂が、アクリレート樹脂、アクリレートゴム、天然ゴム、ブチルゴム、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、スチレン−ブタジエンゴム、及びニトリルゴムのうちの少なくとも1種類以上を、5〜50質量%含有するのが好ましい(請求項15)。
上記発明(請求項15)によれば、マトリックス樹脂に上記物質を配合することにより、発泡体に優れた弾性を持たせることができるため、脱塩室の容積よりも大きい体積を有する発泡体を脱塩室内に容易に充填することができる。これにより、発泡体が脱塩室内で室形状に沿って適切に変形し、発泡体とカチオン交換膜及びアニオン交換膜との間に隙間が生じがたくなるため、被処理水の短絡を防止することができ、高純度の脱イオン水を得ることができる。また、イオン交換体とイオン交換膜とをより密着させることができるため、イオンの移動をより促進することができる。
上記発明(請求項1〜15)においては、前記発泡体の通水方向断面の細孔総面積が、当該通水方向に直交する方向の断面の細孔総面積よりも大きいのが好ましい(請求項16)。
上記発明(請求項16)によれば、通水方向断面の細孔総面積を確保することで、通水差圧の上昇を抑制することができるとともに、イオン移動方向である通水方向及び膜面方向に直交する方向の断面の細孔総面積を小さくすることで、イオンの移動経路におけるイオン交換体密度を大きくすることができ、イオンの移動をより促進することができる。
また、本発明は、上記発明(請求項1〜16)に係る電気脱イオン装置を備えることを特徴とする純水製造システムを提供する(請求項17)。
本発明によれば、脱塩室内での被処理水の短絡による処理水へのイオンリークを回避し、高純度の脱イオン水を得ることのできる電気脱イオン装置、及び当該電気脱イオン装置を備える純水製造システムを提供することができる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る電気脱イオン装置を示す概略構成図であり、図2は、同実施形態に係る電気脱イオン装置を備える純水製造システムを示す概略構成図である。
図1に示すように、本実施形態に係る電気脱イオン装置1は、陰極6と陽極7との間に複数のカチオン交換膜4及びアニオン交換膜5が配列されてなり、それらのカチオン交換膜4及びアニオン交換膜5により形成された複数の脱塩室2と濃縮室3とを有する。
脱塩室2の入口側には、被処理水W1の流路が接続される一方、脱塩室2の出口側には脱イオン水W2の流路が接続されている。この脱イオン水W2の流路からは分岐流路が分岐していて、脱塩室2からの脱イオン水W2の一部を、脱塩室2の出口側から入口側の方向に向けて濃縮室3に導入し、すなわち脱塩室2における被処理水W1の通水方向と反対方向から脱イオン水W2を濃縮室3に導入して、濃縮水W3を吐出する構成となっている。
本実施形態に係る電気脱イオン装置1において、少なくとも脱塩室2には、微細状のイオン交換体を保持する連続気泡構造の発泡体が充填されている。かかる発泡体が連続気泡構造を有していることで、脱塩室2に通水された被処理水W1は、発泡体の連続気泡(細孔)を通過するため、脱塩室2の通水差圧を低減することができる。その際に、発泡体に保持されているイオン交換体と被処理水W1とが効果的に接触することで、被処理水W1中のイオン成分の移動が促進され、脱塩室2から高純度の脱イオン水W2が得られる。
発泡体は、脱塩室2の容積よりも大きい体積を有するものであり、かつ弾性を有するものである。これにより、脱塩室2に発泡体が圧縮された状態で充填されることになり、発泡体が脱塩室2内に隙間なく充填され、脱塩室2内での被処理水W1の短絡を防止することができる。また、発泡体とカチオン交換膜4及びアニオン交換膜5とを密着させることができ、発泡体のイオン交換基とカチオン交換膜4及びアニオン交換膜5のイオン交換基との間の距離を短くすることができるため、脱塩室2におけるイオンの移動をより促進することができる。
脱塩室2の通水方向長さは、発泡体の当該通水方向長さよりも短いのが好ましい。これにより、発泡体が通水方向に圧縮された状態で脱塩室2に充填されるため、発泡体における通水方向の細孔断面積を確保しつつ、カチオン交換膜4及びアニオン交換膜5の膜面方向と通水方向とのいずれにも直交する方向(イオンの移動方向)における発泡体のイオン交換基密度を高くすることができ、イオンの移動をさらに促進することができる。
また、脱塩室2の膜面方向及び通水方向のいずれにも直交する方向(イオンの移動方向)に強く圧縮された状態で発泡体が脱塩室2内に充填されると、発泡体によりカチオン交換膜4及びアニオン交換膜5が脱塩室2の外側方向に押圧されて、カチオン交換膜4及びアニオン交換膜5の膜面に損傷が生じるおそれがある。そのため、脱塩室2の当該イオン移動方向長さは、発泡体の当該イオン移動方向長さと同一か、又は発泡体の押圧により膜面に損傷が生じない程度に若干短いのが好ましい。なお、脱塩室2の膜面方向に平行な方向であって通水方向と直交する方向の長さは、発泡体の当該方向の長さと同一又はそれよりも短いのが好ましい。発泡体がこのような大きさを有することで、脱塩室2内に発泡体が隙間なく充填されることになり、脱塩室2内での被処理水W1の短絡を効果的に防止することができる。
具体的には、発泡体を脱塩室2に充填したときの発泡体の圧縮率が、下記式(1)〜(3)を満たすように、発泡体の大きさを設定するのが好ましい。これにより、脱塩室2内での被処理水W1の短絡を防止することができるとともに、通水差圧を低減することができる。また、発泡体の内部の細孔形状に異方性を持たせることができ、イオン移動方向のイオン交換基密度を高くし、イオンの移動を促進することができる。
(L1−L2)/L2×100=0.5〜10…(1)
(A1−A2)/A2×100=0.1〜5…(2)
(A1−A2)/A2<(L1−L2)/L2…(3)
式中、L1は「発泡体の通水方向長さ」を、L2は「脱塩室2の通水方向長さ」を、A1は「発泡体の通水方向に直交する方向の断面積」を、A2は「脱塩室2の通水方向に直交する方向の断面積」を意味する。
発泡体には、イオン交換樹脂微粉末が保持されていてもよいし、イオン交換短繊維保持されていてもよいし、イオン交換樹脂微粉末とイオン交換短繊維との両者が保持されていてもよい。
発泡体に保持されている微細状のイオン交換体は、アニオン交換基を有するイオン交換体(アニオン交換体)のみであってもよいし、カチオン交換基を有するイオン交換体(カチオン交換体)のみであってもよいし、アニオン交換体とカチオン交換体との両者であってもよい。イオン交換体がアニオン交換体及びカチオン交換体である場合、当該アニオン交換体及びカチオン交換体は、体積比で1:9〜9:1の割合で発泡体に保持されているのが好ましく、3:7〜7:3の割合で発泡体に保持されているのがより好ましい。
イオン交換樹脂微粉末の平均粒子径は、100μm以下であることが好ましく、特に50μm以下であることが好ましく、発泡体に保持されているイオン交換樹脂微粉末のうちの90質量%以上が、200μm以下の粒子径のものであることが好ましい。イオン交換樹脂微粉末の粒子径が上記範囲内であることで、発泡体の全体にイオン交換樹脂微粉末を均一に分散させて保持させることができ、被処理水とイオン交換樹脂微粉末とをより効果的に接触させることができるため、より高純度の脱イオン水W2を得ることができる。
また、イオン交換短繊維の平均繊維長は、2.5mm以下であることが好ましく、特に1.0mm以下であることが好ましく、発泡体に保持されているイオン交換短繊維のうちの90質量%以上の繊維長が、5.0mm以下であることが好ましい。イオン交換短繊維の繊維長が上記範囲内であることで、発泡体の全体にイオン交換短繊維を均一に分散させて保持させることができ、被処理水とイオン交換短繊維とをより効果的に接触させることができるため、より高純度の脱イオン水W2を得ることができる。
発泡体の連続気泡率は、30%以上であることが好ましく、特に50%以上であることが好ましい。これにより、脱塩室2の通水差圧を低減することができるとともに、発泡体が弾性を有することとなるため、発泡体を脱塩室2や濃縮室3に容易に充填することができる。
また、発泡体の気泡の平均気泡径は、1〜1000μmであることが好ましく、特に10〜500μmであることが好ましい。当該平均気泡径が1μm未満であると、通水差圧が高くなりすぎて、非現実的となるおそれがあり、1000μmを超えると、被処理水とイオン交換体との接触が不十分となり、高純度の処理水を得られなくなるおそれがある。さらに、発泡体の発泡倍率は、5〜50倍であるのが好ましい。
発泡体を構成するマトリックス樹脂としては、弾性を有する発泡体の製造に一般的に用いられる合成樹脂を用いればよい。このような合成樹脂としては、例えば、ポリスチレン(耐衝撃性を含む)、AS樹脂、ABS樹脂、ポリエチレン(変性を含む)、ポリプロピレン、ポリ−1,2−ブタジエン、ポリ塩化ビニル、不溶化ポリビニルアルコール、ポリアミド等の熱可塑性樹脂;ポリウレタン、フェノール樹脂、ユリア樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコーン、ピラニル樹脂、ポリイソシアヌレート、ポリイミド等の熱硬化性樹脂;アセチルセルロース、ビスコース等のセルロース系樹脂;エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のオレフィン共重合体、これらのオレフィン共重合体の2種以上の混合物、これらのオレフィン共重合体とアクタクチック構造、アイソタクチック構造又はジンジオタクチック構造を有するポリプロピレンとの混合物等が挙げられる。
これらのマトリックス樹脂には、さらに、アクリレート樹脂、アクリレートゴム、天然ゴム、ブチルゴム、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、スチレン−ブタジエンゴム、及びニトリルゴムのうちの少なくとも1種類以上が5〜50質量%含有されているのが好ましい。これらの物質を含有することで、発泡体により弾性を持たせることができるため、発泡体を脱塩室2により隙間なく充填することができ、これにより被処理水W1の短絡をより防止し、高純度の脱イオン水W2を得ることができる。また、イオン交換体とイオン交換膜(カチオン交換膜4、アニオン交換膜5)とをより密着させることができ、イオン交換膜と発泡体との界面でのイオンの移動を促進することができる。
なお、発泡体を構成するマトリックス樹脂として、スルホン酸基又はカルボキシル基等のイオン交換基を有する単量体(モノマー)とエチレンとの共重合体を用いてもよい。これらの材料を用いることで、発泡体を構成するマトリックス樹脂の分子鎖にイオン交換基を導入することができる。
スルホン酸基を有する単量体(モノマー)としては、例えば、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−アリロキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、カルボキシル基を有する単量体(モノマー)としては、例えば、アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、メタクリル酸等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
発泡体を製造するには、まず、アニオン交換樹脂とカチオン交換樹脂とをボールミル等で破砕して得られたイオン交換樹脂微粉末及び/又はイオン交換短繊維(アニオン交換短繊維及びカチオン交換短繊維)を、発泡体を構成するマトリックス樹脂に添加する。
発泡体を構成するマトリックス樹脂に対するイオン交換樹脂微粉末及び/又はイオン交換短繊維の添加量は、マトリックス樹脂に対して20〜80質量%であるのが好ましく、特に50〜80質量%であるのが好ましい。
次に、イオン交換樹脂微粉末及び/又はイオン交換短繊維が添加されたマトリックス樹脂と、発泡剤と、必要に応じて収縮防止剤、酸化防止剤、帯電防止剤等の添加剤とを押出機に供給して加圧下で溶融混合する。
発泡剤としては、例えば、プロパン、ブタン、イソブタン、ペンタン等の低級脂肪族炭化水素;1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン、1,1−ジクロロ−1−フルオロエタン、1−クロロ−1,1−ジフルオロエタン、2−クロロ−1,1,1,2−テトラフルオロエタン、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、1,1−ジフルオロエタン等のフロン系発泡剤等を用いることができる。これらの発泡剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。2種以上を混合して用いる場合、それらの混合比は適宜設定すればよい。
発泡剤の配合量は、発泡体を構成するマトリックス樹脂に対して、3〜50質量%であればよく、5〜20質量%であることが好ましい。発泡剤の配合量が、発泡体を構成するマトリックス樹脂に対して3質量%未満であると、発泡体の発泡倍率が低下するおそれがあり、50質量%を超えると、発泡体の気泡が破泡してしまうおそれがある。
押出機としては、一般的に押出発泡に用いられているものであれば特に限定されるものではなく、例えば、単軸押出機、二軸押出機、複数機の押出機を直列状に接続してなるタンデム型押出機等が挙げられる。
このようにして得られた混合物を押出機により押し出すことで、独立気泡構造を有する発泡体を形成することができ、さらに、かかる独立気泡構造を有する発泡体を平板等で挟むことにより圧縮したり、2軸ロールに通して圧縮したりする等、当該独立気泡構造を有する発泡体に機械的な外力を加えることで、発泡体の独立気泡を破泡することができる。これにより、微細状のイオン交換体が保持された連続気泡構造を有する発泡体を得ることができる。
このようにして得られた発泡体は、当該発泡体を電気脱イオン装置1の脱塩室2及び濃縮室3に充填したときに、当該電気脱イオン装置1のカチオン交換膜4及びアニオン交換膜5のそれぞれと接触する接触面に、複数の凹凸部が形成されていることが好ましい。これにより、当該接触面の表面積を大きくすることができ、接触面におけるイオン交換基密度を高密度にすることができ、被処理水中のカチオン成分及びアニオン成分や、電気脱イオン装置1内での水解離により生じた酸(H)及びアルカリ(OH)の移動を促進させることができる。
さらに、かかる接触面には、微細状のイオン交換体が固着されているのが好ましい。これにより、接触面におけるイオン交換基密度をさらに高密度にすることができる。
脱塩室2に充填される発泡体は、当該発泡体の通水方向断面の細孔総面積が、当該通水方向に直交する方向の断面の細孔総面積よりも大きいことが好ましい。これにより、通水方向断面の細孔総面積を確保することで、通水差圧の上昇を抑制することができるとともに、イオン移動方向である通水方向に直交する方向の断面の細孔総面積を小さくすることで、イオンの移動経路となるイオン交換体総断面積を大きくすることができ、イオンの移動を促進することができる。特に、通水方向に圧縮された状態で発泡体が脱塩室2に充填されることから、イオン移動方向の断面の細孔総面積をさらに小さくすることができ、これにより、イオン移動方向における発泡体中のイオン交換基密度を高くすることができ、イオンの移動をより促進することができる。
このようにして得られた発泡体は、適度な弾性を有するため、電気脱イオン装置1の脱塩室2に充填するに際し、脱塩室2内に緊密に充填することが容易であり、電気脱イオン装置1の製造効率を向上させることができる。
このような構成を有する電気脱イオン装置1において、脱塩室2に被処理水W1が供給されると、被処理水W1中のカチオンはカチオン交換膜4を透過して陽極側の濃縮室3に移動し、アニオンはアニオン交換膜5を透過して陰極側の濃縮室3に移動する。
このとき、脱塩室2に充填されている発泡体は、脱塩室2の容積よりも大きい体積を有していることから、脱塩室2内に緊密に充填されており、被処理水W1の短絡が抑制される。また、発泡体は、脱塩室2内において通水方向に圧縮されて充填されているため、通水方向における発泡体の細孔断面積を確保しつつ、イオン移動方向におけるイオン交換基密度をより高くすることができ、被処理水W1がイオン交換体と効果的に接触する。これにより、イオンの移動をより促進することができるとともに、脱塩室2の通水差圧が低減する。しかも、脱塩室2のカチオン交換膜4及びアニオン交換膜5のそれぞれに接触する発泡体の接触面にイオン交換体が固着されて、イオン交換基密度が高密度になっている場合には、カチオン交換膜4側へのカチオンの移動がさらに促進されるとともに、アニオン交換膜5側へのアニオンの移動がさらに促進される。これにより、さらに高純度の脱イオン水W2を得ることができる。
このようにして得られた脱イオン水W2の一部は、濃縮室3に導入可能となっており、濃縮室3の循環水を脱イオン水W2で希釈してカルシウム濃度を低減させた上で、濃縮水W3を排出する。
以上のような構成を有する電気脱イオン装置1は、図2に示す純水製造システム10に適用することができる。
図2に示すように、純水製造システム10は、市水たる被処理水W1が供給される活性炭装置11と、活性炭装置11の透過水を処理する逆浸透膜(RO膜)装置12と、RO膜装置12を透過したRO処理水を処理する脱気膜13と、脱気膜13で得られる脱気水を脱塩室2において処理して脱イオン水W2を製造する、本実施形態に係る電気脱イオン装置1とを備える。
このような純水製造システム10において、市水(被処理水W1)を活性炭装置11に供給して微粒子等を吸着除去し、活性炭装置11の処理水をRO膜装置12に供給して、処理水に含まれるカルシウム、シリカ等を除去する。そして、RO膜装置12で処理したRO処理水を脱気膜13に供給し、RO処理水に含まれている炭酸イオン等を二酸化炭素として除去した後、得られた脱気水を電気脱イオン装置1の脱塩室2に供給する。
電気脱イオン装置1において、脱塩室2に供給された脱気水は、脱塩室2に充填された発泡体の細孔を通過して、脱塩室2出口から取り出される。このとき、脱塩室2に供給された脱気水中のアニオン成分はアニオン交換膜4を透過して、脱塩室2より陰極側の濃縮室3に移動し、カチオン成分はカチオン交換膜5を透過して、脱塩室2より陽極側の濃縮室3に移動する。これにより、イオン成分が除去された脱イオン水W2が脱塩室2出口からサブシステム等に供給される。
以上説明した本実施形態に係る電気脱イオン装置1によれば、脱塩室2に発泡体が充填されており、当該発泡体が連続気泡構造を有していることで、脱塩室2に供給された被処理水W1が、発泡体の細孔を通過することとなり、イオン交換樹脂を脱塩室2に充填する場合に比べて、脱塩室2の通水差圧を低減することができる。しかも、脱塩室2に充填される発泡体の体積が、脱塩室2の容積よりも大きく、発泡体が弾性を有していることで、脱塩室2に発泡体が圧縮された状態で充填されるため、脱塩室2に発泡体を緊密に充填することができ、脱塩室2内での被処理水W1の短絡を防止することができる。
また、発泡体が圧縮された状態で脱塩室2に充填されることで、脱塩室2内のイオン交換基密度をより高密度にすることができ、脱塩室2内での被処理水W1の短絡を防止し、高純度の脱イオン水W2を得ることができる。しかも、発泡体は適度な弾性を有しているため、脱塩室2内に容易に充填することができ、電気脱イオン装置1の製造効率を向上させることができる。
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
上記実施形態においては、電気脱イオン装置1の脱塩室2に発泡体を充填しているが、脱塩室2及び濃縮室3の双方に発泡体を充填してもよい。例えば、脱塩室2に発泡体を充填した場合に、濃縮室3には、粒状(ビーズ状)のアニオン交換樹脂及び/又はカチオン交換樹脂等のイオン交換体を充填してもよい。
また、上記実施形態において、発泡体にはアニオン交換樹脂及びカチオン交換樹脂が保持されているが、アニオン交換樹脂及びカチオン交換樹脂のいずれか一方のみが発泡体に保持されていてもよい。
さらに、上記実施形態において、発泡体を製造する際に、イオン交換体(イオン交換樹脂微粉末及び/又はイオン交換短繊維)を、発泡体を構成するマトリックス樹脂に添加し、発泡剤等と溶融混合しているが、これに限定されるものではなく、イオン交換体を発泡剤に添加し、発泡体を構成するマトリックス樹脂等と溶融混合してもよい。
さらにまた、上記実施形態において、電気脱イオン装置1は、濃縮室3への通水方向を被処理水W1の通水方向と同方向にした構成であってもよく、純水製造システム10は、図3に示すように、2段RO12に回収RO12Aを設けた構成としてもよい。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
なお、以下の実施例及び比較例では、試験装置として下記に示す電気脱イオン装置(栗田工業社製,製品名:クリテノンSH型,定格処理水量420L/hr)を使用した。
また、試験用の被処理水の水質を下記に示す。
電気伝導度:11μS/cm
CO濃度:3.5ppm(CaCO換算)
SiO濃度:0.2ppm
水温:18.5℃
〔実施例1〕
電気脱イオン装置のアニオン交換膜、カチオン交換膜、脱塩室に充填するイオン交換体A及び濃縮室に充填するイオン交換体Bとして下記のものを用い、図1に示すような電気脱イオン装置を用いて、上記被処理水を下記表1に示す条件で通水を行い、処理水比抵抗値(MΩ・cm)及び通水差圧(kPa)を測定した。なお、イオン交換体Aは、充填する脱塩室に対し、通水方向長さ、及び通水方向に直交する方向の断面積が、それぞれ105%となるようにし、寸法誤差は±0.2mmであった。
結果を表2に示す。
アニオン交換膜:旭化成工業社製,「アシプレックスA501SB」
カチオン交換膜:旭化成工業社製,「アシプレックスK501SB」
イオン交換体A:下記のようにして製造した発泡体
アニオン交換樹脂(三菱化学社製,製品名:SA10A)とカチオン交換樹脂(三菱化学社製,製品名:SK1B)とを体積混合比率6:4で混合した混合物をボールミルで破砕して、目開き200μmのふるいで分級し、イオン交換樹脂微粉末を得た(平均粒子径:80μm)。得られたイオン交換樹脂微粉末を、マトリックス樹脂(エチレン−プロピレン−ビニルスルホン酸ナトリウムの共重合体)及び発泡剤(ブタン及び1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンの混合物)のそれぞれに添加した。このようにして得られたマトリックス樹脂(82質量%)、発泡剤(6質量%)、収縮防止剤(ステアリン酸モノグリセリド,2質量%)及び弾性付与添加剤(イソプレン,10質量%)を、押出機(モリヤマ社製,2軸1軸押出機)に供給して加圧下に溶融混合して独立気泡構造を有する発泡体を形成した後、独立気泡構造を有する発泡体を圧縮することにより機械的な外力を加えて気泡壁を破壊し、連続気泡構造を有する発泡体を得た。
なお、イオン交換樹脂微粉末は、マトリックス樹脂100質量部に対して180質量部混合するとともに、発泡剤に対して35質量%混合した。得られた発泡体におけるカチオン交換膜及びアニオン交換膜のそれぞれに接触する接触面にシボ付けを行い、当該接触面にイオン交換樹脂微粉末を塗布し、加熱プレスして当該イオン交換樹脂微粉末を融着させた。
イオン交換体B:アニオン交換樹脂(三菱化学社製,製品名:SA10A)とカチオン交換樹脂(三菱化学社製,製品名:SK1B)とを体積混合比率6:4で混合したもの。
〔比較例1〕
脱塩室に充填するイオン交換体Aの寸法を、脱塩室に対して通水方向長さ及び通水方向に直交する方向の断面積をそれぞれ100%とした以外は、実施例1と同様にして、上記被処理水の通水を行い、処理水比抵抗値(MΩ・cm)及び通水差圧(kPa)を測定した。
結果を表2にあわせて示す。
〔比較例2〕
脱塩室にイオン交換体Bを充填した以外は、実施例1と同様にして、上記被処理水の通水を行い、処理水比抵抗値(MΩ・cm)及び通水差圧(kPa)を測定した。
結果を表2にあわせて示す。
Figure 2009233537
Figure 2009233537
表2に示すように、比較例1の電気脱イオン装置では、処理水の比抵抗値に装置個体差が生じ、処理水比抵抗値が17MΩ・cmにまで到達するものもあれば、2MΩ・cmにしか至らなかったものもあった。これは、寸法誤差±0.2mmでイオン交換体Aを成形したにもかかわらず、脱塩室内部においてわずかな隙間が生じてしまい、被処理水の一部が短絡したためであると考えられる。このように、電気脱イオン装置は、図1に示すように、脱塩室と、濃縮室とを、複数のイオン交換膜にて区画するようにして形成するものであるため、比較例1の結果から明らかなように、脱塩室内部においてわずかな隙間を生じることなく電気脱イオン装置を製造することが困難であると考えられる。
一方、実施例1の電気脱イオン装置では、処理水の比抵抗値が16〜18MΩ・cmであり、十分な純度の処理水が得られることが確認され、このことから、脱塩室内に隙間を生じさせることなくイオン交換体Aを充填可能であると考えられる。なお、実施例1の電気脱イオン装置においては、比較例1よりも通水差圧が若干高くなって入るが、実用上問題のないレベルである。
また、比較例2では、処理水の比抵抗値が18MΩ・cmにまで達し、十分な処理水質を得ることができた。しかしながら、かかる処理水質を得るためには、脱塩室に粒子径1mm未満のイオン交換樹脂を充填する作業に慎重を要するため、実施例1の電気脱イオン装置に比して装置組立時間が2倍以上かかることが明らかとなった。このように、実施例1の電気脱イオン装置は、十分な処理水質を得ることができるとともに、電気脱イオン装置の組立を容易に行うことができるという効果も奏することが明らかとなった。
本発明の一の実施形態に係る電気脱イオン装置を示す概略構成図である。 本発明の一の実施形態の電気脱イオン装置を用いた一次純水製造システムを示すフロー図(その1)である。 本発明の一の実施形態の電気脱イオン装置を用いた一次純水製造システムを示すフロー図(その2)である。
符号の説明
1…電気脱イオン装置
2…脱塩室
3…濃縮室
4…カチオン交換膜
5…アニオン交換膜
6…陰極
7…陽極
W1…被処理水
W2…脱イオン水(処理水)
W3…濃縮水

Claims (17)

  1. 陰極と陽極との間に、複数のアニオン交換膜とカチオン交換膜とを交互に配列して濃縮室と脱塩室とを形成してなる電気脱イオン装置であって、
    前記脱塩室内には、前記脱塩室の容積よりも大きい体積を有し、弾性を有する発泡体が圧縮された状態で充填されており、
    前記発泡体が、微細なイオン交換体を保持する連続気泡構造の発泡体であることを特徴とする電気脱イオン装置。
  2. 前記脱塩室の通水方向長さが、前記発泡体の当該通水方向長さよりも短いことを特徴とする請求項1に記載の電気脱イオン装置。
  3. 前記脱塩室の前記アニオン交換膜及び前記カチオン交換膜の膜面方向及び前記通水方向に直交する方向の長さが、前記発泡体の前記膜面方向及び前記通水方向に直交する方向の長さと同一又はそれよりも短いことを特徴とする請求項2に記載の電気脱イオン装置。
  4. 前記脱塩室の前記アニオン交換膜及び前記カチオン交換膜の膜面方向と平行であって前記通水方向に直交する方向の長さが、前記発泡体の前記膜面方向と平行であって前記通水方向に直交する方向の長さと同一又はそれよりも短いことを特徴とする請求項2又は3に記載の電気脱イオン装置。
  5. 前記発泡体を前記脱塩室に充填したときにおける前記発泡体の通水方向長さの圧縮率が、前記発泡体の前記通水方向に直交する断面積の圧縮率よりも大きいことを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の電気脱イオン装置。
  6. 前記イオン交換体が、アニオン交換体及びカチオン交換体であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の電気脱イオン装置。
  7. 前記発泡体に保持される前記アニオン交換体と前記カチオン交換体との体積比が、1:9〜9:1であることを特徴とする請求項6に記載の電気脱イオン装置。
  8. 前記アニオン交換膜又は前記カチオン交換膜と接触する前記発泡体の接触面におけるイオン交換基密度が、前記発泡体の他の部位におけるイオン交換基密度よりも高いことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の電気脱イオン装置。
  9. 前記発泡体の接触面には、複数の凹凸部が形成されており、
    前記発泡体は、前記接触面に前記イオン交換体がさらに固着されてなることを特徴とする請求項8に記載の電気脱イオン装置。
  10. 前記イオン交換体が、少なくともイオン交換樹脂を含み、
    前記イオン交換樹脂の平均粒子径が、100μm以下であり、粒子径が200μm以下のイオン交換樹脂を90質量%以上含むことを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の電気脱イオン装置。
  11. 前記イオン交換体が、少なくともイオン交換繊維を含み、
    前記イオン交換繊維の平均繊維長が、2.5mm以下であり、繊維長が5.0mm以下のイオン交換繊維を90%質量以上含むことを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の電気脱イオン装置。
  12. 前記発泡体は、発泡剤に対して20〜80質量%の前記イオン交換体を、前記発泡剤に添加して形成されてなることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の電気脱イオン装置。
  13. 前記発泡体は、前記発泡体を構成するマトリックス樹脂に対して20〜80質量%の前記イオン交換体を、前記マトリックス樹脂に添加して形成されてなることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の電気脱イオン装置。
  14. 前記マトリックス樹脂の分子鎖中には、イオン交換基が導入されていることを特徴とする請求項13に記載の電気脱イオン装置。
  15. 前記マトリックス樹脂が、アクリレート樹脂、アクリレートゴム、天然ゴム、ブチルゴム、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、スチレン−ブタジエンゴム、及びニトリルゴムのうちの少なくとも1種類以上を、5〜50質量%含有することを特徴とする請求項13又は14に記載の電気脱イオン装置。
  16. 前記発泡体の通水方向断面の細孔総面積が、当該通水方向に直交する方向の断面の細孔総面積よりも大きいことを特徴とする請求項1〜15のいずれかに記載の電気脱イオン装置。
  17. 請求項1〜16のいずれかに記載の電気脱イオン装置を備えることを特徴とする純水製造システム。
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