JP2009232835A - 新規プロテアーゼ及びその製造法 - Google Patents

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Abstract

【課題】新規なプロテアーゼ及びその製造法を提供する。
【解決手段】以下の(1)又は(2)のタンパク質からなるプロテアーゼ:(1)特定な配列のアミノ酸配列からなるタンパク質;(2)特定な配列のアミノ酸配列と相同なアミノ酸配列からなり、プロテアーゼ活性を有するタンパク質。
【選択図】なし

Description

本発明は新規プロテアーゼに関する。詳しくは、麹菌(Aspergillus oryzae)由来の新規プロテアーゼ及びその製造法に関する。
ペプチド中の塩基性アミノ酸残基に作用し、そのペプチド結合を加水分解するプロテアーゼとして、アルギニン残基、リジン残基の双方に作用する動物由来トリプシンが知られている。当該酵素は食品分野では蛋白質分解物の製造などに、工業分野では皮革の製造や生絹の処理などに利用されている。また、その血液凝固、血圧低下、抗炎症作用については医療分野でも利用されている。一方、アルギニン残基、リジン残基の双方に作用する微生物由来のトリプシン様プロテアーゼも知られている(特許文献1)。
アルギニン残基、リジン残基の双方に作用するプロテアーゼは基質特異性が低く、蛋白質に作用させると一般に蛋白質の低分子化を生じ、蛋白質が本来有している乳化性、保水性等の機能が消失するという問題があった。かかる事情から、食品業界においては、ハム、ソーセージや水産練り製品、低アレルゲン性の卵製品や豆腐等の製造用途に供される大豆蛋白、小麦蛋白、卵蛋白等の分解物の機能性(乳化性、保水性、溶解性、分散性等)を選択的に調節し、機能性の多様化を図ることができるプロテアーゼ、即ち蛋白質を極めて限定的に分解して蛋白質の機能性の改善ができる、基質特異性の高いプロテアーゼの開発が要望されている。
基質特異性が高く、且つ量産に適した微生物に由来するプロテアーゼとして、アスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)に由来するものが報告されている(特許文献2)。
特開2000−116377号公報 国際公開第2003/074710号パンフレット
蛋白質の機能性の多様化を図るため、基質特異性の高いプロテアーゼの開発に対する要望は依然として高い。かかる要望に応えるため、本発明の課題は、新規なプロテアーゼ及びその製造法を提供することにある。
最近になってアスペルギルス・オリゼRIB40株のゲノム情報が公開された。当該ゲノム情報を解析した結果、100種を越えるプロテアーゼ遺伝子の存在が明らかになるとともにその殆どが機能未知であることが確認された。本発明者らは、アスペルギルス・オリゼ由来アオルシン遺伝子に注目し、当該遺伝子と相同性の高い領域を検索した。その結果、機能未知のタンパク質の配列を見出すことに成功した。また、アスペルギルス・ニドランスを宿主とするプロテアーゼ遺伝子発現系を利用して当該タンパク質の生産に成功した。生産されたタンパク質の性質を調べた結果、プロテアーゼ活性を示すことが確認された。
一方、アスペルギルス・オリゼを宿主として当該タンパク質(酵素)を生産させた。鋭意検討を重ねた結果、生産されたタンパク質(酵素)の精製及び酵素化学的性質の特定に成功した。
本発明は主として以上の成果に基づくものであり、次の通りである。
[1] 以下の(1)又は(2)のタンパク質からなるプロテアーゼ:
(1)配列番号1のアミノ酸配列からなるタンパク質;
(2)配列番号1のアミノ酸配列と相同なアミノ酸配列からなり、プロテアーゼ活性を有するタンパク質。
[2] [1]に記載のプロテアーゼをコードするDNAが導入された形質転換体。
[3] 前記DNAが配列番号2又は配列番号3の塩基配列からなる、[2]に記載の形質転換体。
[4] アスペルギルス属に属する微生物である、[2]又は[3]に記載の形質転換体。
[5] 以下のステップ(1)及び(2)を含む、プロテアーゼの製造法:
(1)前記DNAがコードするタンパク質が産生される条件下、[2]〜[4]のいずれか一項に記載の形質転換体を培養するステップ;
(2)産生されたタンパク質を回収するステップ。
[6]下記の酵素化学的性質を有するプロテアーゼ、
(1)作用:セリンプロテーゼ又はシステインプロテアーゼである;
(2)分子量:約55 kDa(SDS-PAGEによる);
(3)基質特異性:以下の(a)の条件、即ち(a)サブサイトP1位のアミノ酸がアスパラギン酸(Asp)又はフェニルアラニン(Phe)であること、を満たす基質ペプチドに高い特異性を有する。
[7]前記(a)の条件に加えて、以下の(b)及び(c)の条件、即ち(b)サブサイトP1位のアミノ酸がアスパラギン酸(Asp)であればP2位のアミノ酸は存在しないか、或いはスレオニン(The)、アラニン(Ala)又はイソロイシン(Ile)であること(但し、P2位のアミノ酸がスレオニン(The)のときはP3位のアミノ酸はグルタミン(Gln)ではなく、好ましくはグルタミン酸(Glu)である)、及び(c)サブサイトP1位のアミノ酸がフェニルアラニン(Phe)であればP2位のアミノ酸はアラニン(Ala)、プロリン(Pro)又はグリシン(Gly)であること、を満たす基質ペプチドに高い特異性を有する、[6]に記載のプロテアーゼ。
[8]下記の酵素化学的性質を更に有する、[6]又は[7]に記載のプロテアーゼ、
(4)至適pH:約4.0;
(5)pH安定性:pH3〜6の範囲で安定(30℃、30分間);
(6)至適温度:約40℃;
(7)温度安定性:60℃まで安定(pH4.0、10分間)。
[9]下記の酵素化学的性質を有するプロテアーゼ、
(1)作用:セリンプロテーゼ又はシステインプロテアーゼである;
(2)分子量:約55 kDa(SDS-PAGEによる);
(3)基質特異性:カゼイン、フィブリン、大豆タンパク質に良好に作用し、ゼラチン、β−ラクトグロブリン、エラスチン、コラーゲンにも作用する。
[10]
下記の酵素化学的性質を更に有する、[9]に記載のプロテアーゼ、
(4)至適pH:約4.0;
(5)pH安定性:pH3〜6の範囲で安定(30℃、30分間);
(6)至適温度:約40℃;
(7)温度安定性:60℃まで安定(pH4.0、10分間)。
(新規プロテアーゼ)
本発明の第1の局面は、本発明者らが同定に成功した新規プロテーゼに関する。本発明のプロテーゼは、一態様において、配列番号1のアミノ酸配列を有するタンパク質からなる。一般に、あるタンパク質のアミノ酸配列の一部に改変を施した場合において改変後のタンパク質が改変前のタンパク質と同等の機能を有することがある。即ちアミノ酸配列の改変がタンパク質の機能に対して実質的な影響を与えず、タンパク質の機能が改変前後において維持されることがある。そこで本発明は他の態様として、配列番号1のアミノ酸配列と相同なアミノ酸配列を有しプロテアーゼ活性を有するタンパク質(以下、「相同タンパク質」ともいう)を提供する。ここでの「相同なアミノ酸配列」とは、配列番号1のアミノ酸配列と一部で相違するが、当該相違がタンパク質の機能(ここではプロテアーゼ活性)に実質的な影響を与えていないアミノ酸配列のことをいう。尚、ここでの「プロテアーゼ活性」は、好ましくはセリンプロテーゼ又はシステインプロテアーゼとしてのプロテーゼ活性である。
「アミノ酸配列の一部の相違」とは、典型的には、アミノ酸配列を構成する1〜数個(上限は例えば3個、5個、7個、10個)のアミノ酸の欠失、置換、若しくは1〜数個(上限は例えば3個、5個、7個、10個)のアミノ酸の付加、挿入、又はこれらの組合せによりアミノ酸配列に変異(変化)が生じていることをいう。ここでのアミノ酸配列の相違はプロテアーゼ活性の大幅な低下がない限り許容される。この条件を満たす限りアミノ酸配列が相違する位置は特に限定されず、また複数の位置で相違が生じていてもよい。ここでの複数とは例えば全アミノ酸の約30%未満に相当する数であり、好ましくは約20%未満に相当する数であり、さらに好ましくは約10%未満に相当する数であり、より一層好ましくは約5%未満に相当する数であり、最も好ましくは約1%未満に相当する数である。即ち相同タンパク質は、配列番号1のアミノ酸配列と例えば約70%以上、好ましくは約80%以上、さらに好ましくは約90%以上、より一層好ましくは約95%以上、最も好ましくは約99%以上の同一性を有する。
好ましくは、相同タンパク質では、プロテアーゼ活性に必須でないアミノ酸残基において保存的アミノ酸置換が生じている。ここでの「保存的アミノ酸置換」とは、あるアミノ酸残基を、同様の性質の側鎖を有するアミノ酸残基に置換することをいう。アミノ酸残基はその側鎖によって塩基性側鎖(例えばリシン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えばアスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖(例えばグリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖(例えばアラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、β分岐側鎖(例えばスレオニン、バリン、イソロイシン)、芳香族側鎖(例えばチロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)のように、いくつかのファミリーに分類されている。保存的アミノ酸置換は好ましくは、同一のファミリー内のアミノ酸残基間の置換である。
ところで、二つのアミノ酸配列又は二つの核酸(以下、これらを含む用語として「二つの配列」を使用する)の同一性(%)は例えば以下の手順で決定することができる。まず、最適な比較ができるよう二つの配列を並べる(例えば、第一の配列にギャップを導入して第二の配列とのアライメントを最適化してもよい)。第一の配列の特定位置の分子(アミノ酸残基又はヌクレオチド)が、第二の配列における対応する位置の分子と同じであるとき、その位置の分子が同一であるといえる。二つの配列の同一性は、その二つの配列に共通する同一位置の数の関数であり(すなわち、同一性(%)=同一位置の数/位置の総数 × 100)、好ましくは、アライメントの最適化に要したギャップの数およびサイズも考慮に入れる。
二つの配列の比較及び同一性の決定は数学的アルゴリズムを用いて実現可能である。配列の比較に利用可能な数学的アルゴリズムの具体例としては、KarlinおよびAltschul (1990) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:2264-68に記載され、KarlinおよびAltschul (1993) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:5873-77において改変されたアルゴリズムがあるが、これに限定されることはない。このようなアルゴリズムは、Altschulら (1990) J. Mol. Biol. 215:403-10に記載のNBLASTプログラムおよびXBLASTプログラム(バージョン2.0)に組み込まれている。本発明の核酸分子に相同的なヌクレオチド配列を得るには例えば、NBLASTプログラムでscore = 100、wordlength = 12としてBLASTヌクレオチド検索を行えばよい。本発明のポリペプチド分子に相同的なアミノ酸配列を得るには例えば、XBLASTプログラムでscore = 50、wordlength = 3としてBLASTポリペプチド検索を行えばよい。比較のためのギャップアライメントを得るためには、Altschulら (1997) Amino Acids Research 25(17):3389-3402に記載のGapped BLASTが利用可能である。BLASTおよびGapped BLASTを利用する場合は、対応するプログラム(例えばXBLASTおよびNBLAST)のデフォルトパラメータを使用することができる。詳しくはhttp://www.ncbi.nlm.nih.govを参照されたい。配列の比較に利用可能な他の数学的アルゴリズムの例としては、MyersおよびMiller (1988) Comput Appl Biosci. 4:11-17に記載のアルゴリズムがある。このようなアルゴリズムは、例えばGENESTREAMネットワークサーバー(IGH Montpellier、フランス)またはISRECサーバーで利用可能なALIGNプログラムに組み込まれている。アミノ酸配列の比較にALIGNプログラムを利用する場合は例えば、PAM120残基質量表を使用し、ギャップ長ペナルティ=12、ギャップペナルティ=4とすることができる。
二つのアミノ酸配列の同一性を、GCGソフトウェアパッケージのGAPプログラムを用いて、Blossom 62マトリックスまたはPAM250マトリックスを使用し、ギャップ加重=12、10、8、6、又は4、ギャップ長加重=2、3、又は4として決定することができる。また、二つの核酸配列の相同度を、GCGソフトウェアパッケージ(http://www.gcg.comで利用可能)のGAPプログラムを用いて、ギャップ加重=50、ギャップ長加重=3として決定することができる。
(新規プロテーゼをコードするDNAが導入された形質転換体)
本発明の第2の局面は新規プロテーゼをコードするDNAが導入された形質転換体を提供する。本発明の形質転換体では、(1)配列番号1のアミノ酸配列をコードするDNA、又は(2)当該DNAと相同なDNA(以下、「相同DNA」と呼ぶ)が外来性の分子として存在することになる。
ここで、一般に、あるタンパク質をコードするDNAの一部に改変を施した場合において、改変後のDNAがコードするタンパク質が、改変前のDNAがコードするタンパク質と同等の機能を有することがある。即ちDNA配列の改変が、コードするタンパク質の機能に実質的に影響を与えず、コードするタンパク質の機能が改変前後において維持されることがある。「相同DNA」とは、基準となるDNAと配列の一部が相違するが、当該相違によってそれがコードするタンパク質の機能が実質的な影響を受けていないDNAのことをいう。
配列番号1のアミノ酸配列をコードするDNAの具体例は、配列番号2の塩基配列(cDNA配列)からなるDNA、配列番号3の塩基配列(ゲノムDNA)からなるDNAである。一方、相同DNAの具体例は、配列番号2又は3の塩基配列に相補的な塩基配列に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAである。ここでの「ストリンジェントな条件」とは、いわゆる特異的なハイブリッドが形成され、非特異的なハイブリッドが形成されない条件をいう。このようなストリンジェントな条件は当業者に公知であって例えばMolecular Cloning(Third Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, New York)やCurrent protocols in molecular biology(edited by Frederick M. Ausubel et al., 1987)を参照して設定することができる。ストリンジェントな条件として例えば、ハイブリダイゼーション液(50%ホルムアミド、10×SSC(0.15M NaCl, 15mM sodium citrate, pH 7.0)、5×Denhardt溶液、1% SDS、10% デキストラン硫酸、10μg/mlの変性サケ精子DNA、50mMリン酸バッファー(pH7.5))を用いて約42℃〜約50℃でインキュベーションし、その後0.1×SSC、0.1% SDSを用いて約65℃〜約70℃で洗浄する条件を挙げることができる。更に好ましいストリンジェントな条件として例えば、ハイブリダイゼーション液として50%ホルムアミド、5×SSC(0.15M NaCl, 15mM sodium citrate, pH 7.0)、1×Denhardt溶液、1%SDS、10%デキストラン硫酸、10μg/mlの変性サケ精子DNA、50mMリン酸バッファー(pH7.5))を用いる条件を挙げることができる。
相同DNAの他の具体例として、配列番号2又は3の塩基配列を基準として1若しくは複数の塩基の置換、欠失、挿入、付加、又は逆位を含む塩基配列からなり、プロテアーゼ活性(好ましくはセリンプロテーゼ又はシステインプロテアーゼとしてのプロテーゼ活性)を有するタンパク質をコードするDNAを挙げることができる。塩基の置換や欠失などは複数の部位に生じていてもよい。ここでの「複数」とは、当該DNAがコードするタンパク質の立体構造におけるアミノ酸残基の位置や種類によっても異なるが例えば2〜40塩基、好ましくは2〜20塩基、より好ましくは2〜10塩基である。以上のような相同DNAは例えば、制限酵素処理、エキソヌクレアーゼやDNAリガーゼ等による処理、位置指定突然変異導入法(Molecular Cloning, Third Edition, Chapter 13 ,Cold Spring Harbor Laboratory Press, New York)やランダム突然変異導入法(Molecular Cloning, Third Edition, Chapter 13 ,Cold Spring Harbor Laboratory Press, New York)による変異の導入などを利用して、塩基の置換、欠失、挿入、付加、及び/又は逆位を含むように配列番号2又は3の塩基配列を有するDNAを改変することによって得ることができる。また、紫外線照射など他の方法によっても相同DNAを得ることができる。
相同DNAの更に他の例として、SNP(一塩基多型)に代表される多型に起因して上記のごとき塩基の相違が認められるDNAを挙げることができる。
本発明の形質転換体が保有するDNAは、本明細書又は添付の配列表が開示する配列情報を参考にし、標準的な遺伝子工学的手法、分子生物学的手法、生化学的手法などを用いることによって単離された状態に調製することができる。具体的には、適当な糸状菌類、酵母菌類のゲノムDNAライブラリー又はcDNAライブラリー、或は糸状菌類、酵母菌類の菌体内抽出液から、本発明の遺伝子に対して特異的にハイブリダイズ可能なオリゴヌクレオチドプローブ・プライマーを適宜利用して調製することができる。オリゴヌクレオチドプローブ・プライマーは、市販の自動化DNA合成装置などを用いて容易に合成することができる。尚、本発明の遺伝子を調製するために用いるライブラリーの作製方法については、例えばMolecular Cloning, Third Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, New Yorkを参照できる。
例えば、配列番号3の塩基配列を有するDNAであれば、当該塩基配列又はその相補配列の全体又は一部をプローブとしたハイブリダイゼーション法を利用してアスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)のゲノムDNAから単離することができる。また、当該塩基配列の一部に特異的にハイブリダイズするようにデザインされた合成オリゴヌクレオチドプライマーを用いた核酸増幅反応(例えばPCR)を利用して増幅及び単離することができる。
本発明の形質転換体は、典型的には、導入するDNA、又は当該DNAを含むDNAコンストラクト(ベクターの形態を含む)を用いた形質転換(トランスフォーメーション)によって調製される。ベクターによる形質転換の場合、好ましくは発現ベクターを用いる。「発現ベクター」とは、それに挿入された核酸を目的の細胞(宿主細胞)内に導入することができ、且つ当該細胞内において発現させることが可能なベクターをいう。発現ベクターは通常、挿入された核酸の発現に必要なプロモーター配列を含む。また、発現を促進させるエンハンサー配列を含むことが好ましい。選択マーカーを含む発現ベクターを使用することもできる。かかる発現ベクターを用いた場合には選択マーカーを利用して発現ベクターの導入の有無(及びその程度)を確認することができる。
DNAのベクターへの挿入、選択マーカー遺伝子の挿入(必要な場合)、プロモーターの挿入(必要な場合)等は標準的な組換えDNA技術(例えば、Molecular Cloning, Third Edition, 1.84, Cold Spring Harbor Laboratory Press, New Yorkを参照することができる)を用いて行うことができる。
トランスフォーメーションはリン酸カルシウム共沈降法、エレクトロポーレーション(Potter, H. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 81, 7161-7165(1984))、リポフェクション(Felgner, P.L. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 84,7413-7417(1984))、マイクロインジェクション(Graessmann, M. & Graessmann,A., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 73,366-370(1976))、Hanahanの方法(Hanahan, D., J. Mol. Biol. 166, 557-580(1983))、酢酸リチウム法(Schiestl, R.H. et al., Curr. Genet. 16, 339-346(1989))、プロトプラスト-ポリエチレングリコール法(Yelton, M.M. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. 81, 1470-1474(1984))等によって実施することができる。
宿主細胞としては大腸菌などの細菌細胞、糸状菌細胞(例えば、アスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger))、酵母細胞(例えば、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)、シゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe))を例示することができる。
好ましくは、アスペルギルス属に属する微生物、又はサッカロミセス属に属する微生物を宿主として用いる。アスペルギルス属に属する微生物としてアスペルギルス・オリゼ、アスペルギルス・ニガー、アスペルギルス・ニドランス(Aspergillus nidulans)、アスペルギルス・テレウス(Aspergillus terreus)、アスペルギルス・アワモリ(Aspergillus awamori)を例示することができる。サッカロミセス属に属する微生物として、サッカロミセス・セレビシエ、ピキア・パストリス、シゾサッカロミセス・ポンベを例示することができる。
(新規プロテアーゼの製造法)
本発明の第3の局面は、上記の形質転換体を用いて本発明のプロテアーゼを製造する方法を提供する。本発明の製造法ではまず、それに導入されたDNAがコードするタンパク質が産生される条件下、上記の形質転換体を培養する(ステップ(1))。培養法及び培養条件は、目的とするプロテーゼが産生される限り特に限定されない。即ち、本発明のプロテアーゼが産生されることを条件として、使用する形質転換体の培養に適合した方法や培養条件を適宜設定できる。以下、培養条件として、培地、培養温度、及び培養時間を例示する。
培地としては、使用する形質転換体が生育可能な培地であれば、如何なるものでも良い。例えば、グルコース、シュクロース、ゲンチオビオース、可溶性デンプン、グリセリン、デキストリン、糖蜜、有機酸等の炭素源、更に硫酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、あるいは、ペプトン、酵母エキス、コーンスティープリカー、カゼイン加水分解物、ふすま、肉エキス等の窒素源、更にカリウム塩、マグネシウム塩、ナトリウム塩、リン酸塩、マンガン塩、鉄塩、亜鉛塩等の無機塩を添加したものを用いることができる。使用する形質転換体の生育を促進するためにビタミン、アミノ酸などを培地に添加してもよい。培地のpHは例えば約3〜8、好ましくは約5〜7程度に調整し、培養温度は通常約10〜50℃、好ましくは約25〜40℃程度で、1〜15日間、好ましくは3〜7日間程度好気的条件下で培養する。培養法としては例えば振盪培養法、ジャー・ファーメンターによる好気的深部培養法が利用できる。
培養ステップに続き、産生されたタンパク質(即ち、本発明のプロテアーゼ)を回収する(ステップ(2))。培養液から回収する場合には、例えば培養上清をろ過、遠心処理等することによって不溶物を除去した後、限外ろ過膜による濃縮、硫安沈殿等の塩析、透析、各種クロマトグラフィーなどを適宜組み合わせて分離、精製を行うことにより目的のタンパク質を得ることができる。他方、菌体内から回収する場合には、例えば菌体を加圧処理、超音波処理などによって破砕した後、上記と同様に分離、精製を行うことにより目的のタンパク質を得ることができる。尚、ろ過、遠心処理などによって予め培養液から菌体を回収した後、上記一連の工程(菌体の破砕、分離、精製)を行ってもよい。
各精製工程では原則としてプロテアーゼ活性を指標として分画を行い、次のステップへと進む。但し、予備試験などによって、適切な条件を既に設定可能な場合にはこの限りでない。
尚、以上のように組換えタンパク質として本発明のプロテーゼを製造することにすれば種々の修飾が可能である。例えば、本発明のプロテアーゼをコードするDNAと他の適当なDNAとを同じベクターに挿入し、当該ベクターを用いて組換えタンパク質を製造すれば、特定のペプチドないしタンパク質が連結された組換えタンパク質からなるプロテアーゼが得られる。また、糖鎖及び/又は脂質の付加や、あるいはN末端若しくはC末端のプロセッシングが生ずるような修飾を施してもよい。以上のような修飾により、組換えタンパク質の抽出、精製の簡便化、又は生物学的機能の付加等が可能である。
(新規プロテアーゼの酵素化学的性質)
後述の実施例に示す通り、アスペルギルス・オリゼを宿主とした生産系を利用して生産した新規プロテアーゼ(以下、「本酵素」と呼ぶ)の酵素化学的性質を以下の通り決定することに成功した。
(1)作用
本酵素はセリンプロテアーゼ(活性部位にセリン残基を有するプロテアーゼ)又はシステインプロテアーゼ(SH基が活性中心に存在するプロテアーゼ)である。
(2)分子量
本酵素はSDS-PAGEにより約55 kDaの分子量を示す。
(3)基質特異性
本酵素が高い特異性を示す基質ペプチドは、以下の(a)〜(c)によって特徴付けられる。尚、ここでの用語「ペプチド」はアミノ酸が連結された分子を総称する用語として使用する。従って、「ポリペプチド」や「タンパク質」も「ペプチド」に該当する。
(a)サブサイトP1位のアミノ酸がアスパラギン酸(Asp)又はフェニルアラニン(Phe)である。
(b)サブサイトP1位のアミノ酸がアスパラギン酸(Asp)であればP2位のアミノ酸は存在しないか、或いはスレオニン(The)、アラニン(Ala)又はイソロイシン(Ile)である。但し、P2位のアミノ酸がスレオニン(The)のときはP3位のアミノ酸はグルタミン(Gln)ではなく、好ましくはグルタミン酸(Glu)である。
(c)サブサイトP1位のアミノ酸がフェニルアラニン(Phe)であればP2位のアミノ酸はアラニン(Ala)、プロリン(Pro)又はグリシン(Gly)である。
サブサイトの位置については、慣例に従い、切断点からN末端に向かって近い方から順位P1位、P2位、P3位・・・であり、切断点からC末端に向かって近い方から順にP1'位、P2'位、P3'位・・・である。従って、切断点よりN末端側に存在するアミノ酸の中で切断点に最も近いアミノ酸がP1位のアミノ酸であり、P1位のアミノ酸にN末端側で結合するアミノ酸がP2位のアミノ酸であり、P2位のアミノ酸にN末端側で結合するアミノ酸がP3位のアミノ酸である。
後述の実施例に示す通り、本酵素はアンジオテンシンI(Angiotensin I)及びαネオエンドルフィン(α-Neo-Endorphin)を切断した。また、カゼイン、フィブリン、大豆タンパク質に対して高い活性を示した。ゼラチン、β−ラクトグロブリンに対しても比較的高い活性を示した。さらには、エラスチン、コラーゲンに対しても活性を示した。
(4)至適pH
本酵素の至適pHは約4.0である。至適pHは、例えば、Britton-Robinson広域緩衝液(後述の実施例を参照)で測定した結果を基に判断される。
(5)pH安定性
本酵素はpH 3〜6の範囲で安定した活性を示す。即ち、処理に供する酵素溶液のpHがこの範囲内にあれば、30℃、30分の処理後、最大活性の80%以上の活性を示す。pH安定性は、例えば、Britton-Robinson広域緩衝液(後述の実施例を参照)で測定した結果を基に判断される。
(6)至適温度
本酵素の至適温度は約40℃である。至適温度は、後述の測定方法(50mMクエン酸緩衝液(pH4.0)中)による測定で算出された値である。
(7)温度安定性
本酵素は、50mMクエン酸緩衝液(pH4.0)中、60℃以下の条件で10分間処理しても80%以上の活性を維持する。
<実施例1>
[目的プロテアーゼをコードする配列の検索]
麹菌ゲノムDNAの中から特定の機能を有する配列(機能配列)が予測、抽出され公開されている(特開2005−176602)。これらの機能配列の予測は更に改良を加えられ、予測の精度を上げた配列情報が独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)によりゲノムデータベース(http://www.bio.nite.go.jp/dogan/Top)として公開されている。これら機能配列の中でタンパク質をコードしていると予想される配列の全てを対象として、上記データベースのBLASTサーチ(Standard protein-protein BLAST:blastp)を用い、アスペルギルス・オリゼ由来アオルシン遺伝子と相同性の高い領域を検索した。その結果、添付の配列表の配列番号1で示した配列を見出すことに成功した。この配列は、前記した特開2005−176602における予測では2551アミノ酸から構成されていると予測されているが、前記したNITEのデータベースによると645アミノ酸から構成されると推定され、機能未知のタンパク質(以下、「本酵素」と呼ぶ。尚、本酵素の推定cDNA配列を配列表の配列番号2に、本酵素遺伝子をゲノム上にコードしている領域の塩基配列を3にそれぞれ示す)である。そこで、本酵素の機能を解析する目的の下、以下に示す種々の実験を行った。
<実施例2>
[ゲノムDNAの取得]
アスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)RIB-40株を、ポテトデキストロース培地(Difco社)100mlを入れた坂口フラスコを用いて30℃、一晩培養した後、ブフナー漏斗及びヌッチェ吸引瓶を用いて培養液をろ過し、菌体を得た。水300mlを用いて菌体を洗浄し、-80℃で凍結後、凍結乾燥させた。その結果得られた重量約0.3gの菌体を薬匙1杯の海砂とともに乳鉢、乳棒を用いて破砕し、TE(10mM Tris-HCl(pH8.0)、1mM EDTA)溶液8mlに懸濁した。そこへ4mlの10% SDS水溶液を加え、激しく攪拌した。続いて等量のフェノール:クロロホルム:イソアミルアルコール(25:24:1)溶液を加えて攪拌した後、遠心分離(1,500g、5min、室温)して上清を得た。この上清に20mg/mlのプロテイナーゼK(Roche社)を含むTE溶液100μlを加えて攪拌し、37℃、30分間インキュベートした。その後再び等量のフェノール:クロロホルム:イソアミルアルコール溶液を加えて攪拌した後、遠心分離(1,500g、5min、室温)を行い、その結果得られた上清に等量のイソプロパノールを穏やかに加えた。この処理によって界面に析出したゲノムDNAをパスツールピペットで巻き取り、70%エタノールで洗浄し、風乾した。このようにして得られたゲノムDNAを再びTE 3mlに溶解し、10mg/ml RNase A (SIGMA社)100μlを加えた後、37℃、30分間インキュベートした。次いで、20mg/mlプロテイナーゼK溶液25μlを加えて37℃、30分間インキュベートした後、等量のフェノール:クロロホルム:イソアミルアルコール(25:24:1)溶液を加えた。攪拌後、遠心分離(1,500g、5min、室温)を行い上清を得た。この洗浄操作を2回繰り返した後、得られた上清に等量のクロロホルム:イソアミルアルコール(24:1)溶液を加えて攪拌し、その後遠心分離(1,500g、5min、室温)を行った。その結果得られた上清に対して、その1/10容量の3M NaOAc(pH4.8)と2倍容量のエタノールを加えて-80℃で冷却することによりゲノムDNAを析出させた。析出したゲノムDNAを遠心処理(1,500g、5min、室温)により回収した。回収されたゲノムDNAを70%エタノールで洗浄した後、真空乾燥させ、最後に300μlのTE溶液に溶解して濃度約1mg/mlのゲノムDNA溶液を得た。
<実施例3>
[発現ベクターの調製]
実施例2で取得したゲノムDNAを使用して、本酵素のコーディング領域をPCRで増幅した。実施例1で取得した情報を元に、コーディング領域を挟み込むように以下のプライマーを設計した。
7-F1:5’-GGTGATCGGCCGATGAAGACTTCATTC-3’(配列番号6)
7-R1:5’-ATCCAACCCCATAAACAACTCCAACAACTTC-3’(配列番号7)
反応液の組成は以下のとおりとした。
滅菌水:33μl
KOD plus 用 10xバッファー:5μl
2.5mM dNTP溶液:5μl
10pmol/μl 7-F1:1.5μl
10pmol/μl 7-R1 :1.5μl
25mM MgSO4:2μl
ゲノム DNA (100ng/μl):1μl
10U/μl KOD plus(東洋紡社):1μl/50μl
TaKaRa PCR Thermal Cycler (タカラバイオ社)を用い、以下の条件でPCRを実施した。
(1)94℃で2分間、(2)94℃で15秒間、57℃で30秒間、及び68℃で4分間のサイクルを30サイクル、(3) 68℃で2分間、(4)4℃で放置。
PCR反応の結果、約2100bpのDNA断片が増幅した。これを回収し、発現ベクター調製時のインサートとした。このインサート断片を、pAUR316(タカラバイオ社)よりAMA1領域を欠失したベクターにライゲーションし、これを発現ベクターpAOR1とした。なお、pAOR1には選択マーカー遺伝子としてオーレオバシジン耐性遺伝子(aurAr)が、プロモーターとしてアスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)由来タカアミラーゼプロモーターが搭載されている。また本酵素コーディング領域の直後にFactor Xa認識アミノ酸コーディング配列、ついでヒスチジンタグ((His)6)コーディング配列を付加し、発現タンパク質のカルボキシル末端にヒスチジンタグが付加されるようにした。
次に、pAOR1中の本酵素コーディング領域〜ヒスチジンタグコーディング配列までを、同様の方法、条件にてPCRで増幅した。プライマー対は以下に示すプライマーを設計し使用した。
7C-F1:5’- ATGAAGACTTCATTCTTACTGTTGC -3’(配列番号8)
7C-R1:5’- TCAATGATGATGATGATGATGGC -3’(配列番号9)
得られた約2100 bpのDNA断片を回収し、pBluescript KS+(ストラタジーン社)改変ベクターにライゲーションし、これを発現ベクターpAOR2とした。なお、pAOR2には選択マーカー遺伝子としてオルニチンカルバモイルトランスフェラーゼ遺伝子(argB)が、プロモーターとしてアスペルギルス・オリゼ由来タカアミラーゼ改変プロモーター(特開2003−319786号公報)が搭載されている。またpAOR1と同様、pAOR2についても、本酵素コーディング領域の直後にFactor Xa認識アミノ酸コーディング配列、ついでヒスチジンタグ((His)6)コーディング配列を付加し、発現タンパク質のカルボキシル末端にヒスチジンタグが付加されるようにした。
取得したpAOR1、pAOR2に関して、ABI PRISM 310 Genetic Analyzer (アプライドバイオシステム社)でシークエンシングを行い、正しい配列が挿入されていることを確認した。
<実施例4>
[アスペルギルス・ニドランスA89、ABPU1株の形質転換]
実施例3で作製した本酵素発現ベクターpAOR1、pAOR2を使用して、アスペルギルス・ニドランス(Aspergillus nidulans)A89、ABPU1株の形質転換を実施した。各ベクターが保持する選択マーカー遺伝子の性質を考慮し、pAOR1用の宿主としてA89株を、pAOR2用の宿主としてABPU1株をそれぞれ選択した。
1.アスペルギルス・ニドランスA89株の形質転換
ビオチンおよびアルギニン要求株であるアスペルギルス・ニドランスA89株を以下の培地条件で37℃、一晩培養した。
<Potato Dextrose 培地>
ポテトデキストロース 24g
ビオチン 0.02mg
アルギニン塩酸塩 0.55g/L
上記条件下で培養して得た培養液200mlからガラスフィルター(100μm)を用いて集菌して得られた菌体を以下の組成のプロトプラスト調製液に懸濁した。
滅菌MillQ水 39ml
塩化ナトリウム 1.9g
0.4M リン酸ナトリウム水溶液(pH6.0) 1ml
ヤタラーゼ(タカラバイオ社) 120mg
ノボザイム234(ノボノルディスク社) 12mg/40ml
(セルロース・ニトレイトフィルター(0.45μm)により無菌ろ過)
上記懸濁液を用いて30℃、75rpmの条件下で2時間プロトプラスト化処理を行った。得られたプロトプラスト懸濁液をナイロン製フィルター(230mesh)によりろ過し、ろ液を遠心分離(780g、5min、4℃)してプロトプラストを得た。プロトプラストを10mlの0.8M NaClを用いて洗浄後、再び遠心分離(780g、5min、4℃)し、次いで10mlの0.8M NaCl-50mM CaCl2を用いて洗浄後、遠心分離(780g、5min、4℃)し、得られたプロトプラストの沈殿を200μlの0.8M NaCl、10mM CaCl2、10mM Tris-HCl(pH8.0)に懸濁し、プロトプラスト液とした。顕微鏡による観察によりプロトプラスト濃度を算出した。約1x108/mlに希釈したプロトプラスト懸濁液を用いて以下の手順で形質転換を行った。384μlプロトプラスト懸濁液に96μlの40% PEG4000、50mM CaCl2、50mM Tris-HCl(pH8.0)を加え懸濁した。ここに20μlのpAOR1溶液(1μg/μl)を加え懸濁後、氷中に30分間静置した。次いで2mlの40% PEG4000、50mM CaCl2、50mM Tris-HCl(pH8.0)を加えて再び懸濁し、室温に20分間静置した。更に10mlの0.8M NaCl、10mM CaCl2、10mM Tris-HCl(pH8.0)を加え懸濁し、遠心分離(780g、5min、4℃)を行った。得られた沈殿に1mlの0.8M NaCl、10mM CaCl2、10mM Tris-HCl(pH8.0)を加えて懸濁し、懸濁液0.1mlをシャーレに入れた後、以下に示す再生培地を注ぎプレートとして固化させた。37℃で3日間から4日間インキュベート後、生育した形質転換体を以下に示す最少培地で単菌分離し、本酵素DNA断片が導入された形質転換株(Aspergillus nidulans P-7)を得た。尚、当該形質転換株は以下の通り所定の寄託機関に寄託されており、容易に入手可能である。
寄託機関:独立行政法人製品評価技術基盤機構 特許微生物寄託センター(〒292-0818 日本国千葉県木更津市かずさ鎌足2−5−8)
寄託日:2008年2月22日
受託番号:NITE BP−495
<再生培地>
硝酸ナトリウム 6g
リン酸一カリウム 1.52g
塩化カリウム 0.52g
ソルビトール 218.6g
グルコース 10g
トレイス・エレメント 1.5ml
寒天 20g/L(pH6.5)
(以下については滅菌(121℃、20min)後に添加)
1M 硫酸マグネシウム・7水和物 2ml
0.02mg/ml ビオチン 1ml
0.55g/ml アルギニン塩酸塩 1ml
5mg/ml オーレオバシジンA 1ml
<最少培地>
硝酸ナトリウム 6g
リン酸一カリウム 1.52g
塩化カリウム 0.52g
グルコース 10g
トレイス・エレメント 1.5ml
ビオチン 2.5mg
寒天 15g/L(pH6.5)
(以下については滅菌(121℃、20min)後に添加)
1M 硫酸マグネシウム・7水和物 2ml
0.02mg/ml ビオチン 1ml
0.55g/ml アルギニン塩酸塩 1ml
5mg/ml オーレオバシジンA 1ml
<トレイス・エレメント>
4ほう酸ナトリウム・10水和物 40mg
硫酸銅・5水和物 0.4g
硫酸鉄・7水和物 1.6g
硫酸マンガン・4水和物 0.8g
モリブデン酸ナトリウム・2水和物 0.8g
硫酸亜鉛・7水和物 8g/L
2.アスペルギルス・ニドランスABPU1株の形質転換
アルギニン要求株であるアスペルギルス・ニドランス(Aspergillus nidulans)ABPU1株(アスペルギルス・ニドランスのオルニチンカルバモイルトランスフェラーゼ遺伝子欠損株)を以下の培地条件で37℃、一晩培養した。
<Complete培地>
マルトエキス 20g
グルコース 20g
バクトペプトン 1g
ウリジン 2g
p-アミノ安息香酸 2.5mg
リボフラビン 2.5mg
ピリドキシン 2.5mg
ビオチン 2.5mg
アルギニン塩酸塩 0.55g/L (pH6.5)
上記条件下で培養して得た培養液200mlからガラスフィルター(100μm)を用いて集菌して得られた菌体を以下の組成のプロトプラスト調製液に懸濁した。
滅菌MillQ水 37ml
塩化ナトリウム 1.9g
0.4M リン酸ナトリウム水溶液(pH5.8) 1ml
1M 塩化カルシウム水溶液 0.8ml
ノボザイム234(ノボノルディスク) 150mg/40ml
(セルロース・ニトレイトフィルター(0.45μm)により無菌ろ過)
上記懸濁液を用いて30℃、78rpmの条件下で1時間プロトプラスト化処理を行った。得られたプロトプラスト懸濁液をナイロン製フィルター(230mesh)によりろ過し、ろ液を遠心分離(400g、5min、室温)してプロトプラストを得た。プロトプラストを10mlの0.8M NaClを用いて洗浄後、再び遠心分離(400g、5min、室温)し、次いで10mlの0.8M NaCl-50mM CaCl2を用いて洗浄後、遠心分離(400g、5min、室温)し、得られたプロトプラストの沈殿を200μlの0.8M NaCl-50mM CaCl2に懸濁し、プロトプラスト液とした。顕微鏡による観察によりプロトプラスト濃度を算出した。約2x108/mlに希釈したプロトプラスト懸濁液を用いて以下の手順で形質転換を行った。50μlプロトプラスト懸濁液に20μlのpAOR2溶液(1μg/μl)を加え懸濁後、12.5μlのPEG溶液(25% PEG6000、50mM CaCl2、10mM Tris-HCl(pH7.5))を加え更に懸濁し、そのまま氷中に20分間静置した。次いで500μlの25% PEG6000、50mM CaCl2、10mM Tris-HCl(pH7.5)を加えて再び懸濁し、氷中に5分間静置した。最後に1mlの0.8M NaCl-50mM CaCl2を加えて懸濁し、懸濁液0.5mlをシャーレに入れた後、以下に示す再生培地を注ぎプレートとして固化させた。37℃で3日間から4日間インキュベート後、生育した形質転換体を以下に示す最少培地で単菌分離し、本酵素DNA断片が導入された形質転換株(Aspergillus nidulans P-7C)を得た。尚、当該形質転換株は以下の通り所定の寄託機関に寄託されており、容易に入手可能である。
寄託機関:独立行政法人製品評価技術基盤機構 特許微生物寄託センター(〒292-0818 日本国千葉県木更津市かずさ鎌足2−5−8)
寄託日:2008年2月22日
受託番号:NITE BP−496
<再生培地>
硝酸ナトリウム 0.85g
リン酸一カリウム 1.52g
塩化カリウム 0.52g
ソルビトール 218.6g
トレイス・エレメント 1.5ml
ウリジン 2.0g
p-アミノ安息香酸 2.5mg
リボフラビン 2.5mg
ピリドキシン 2.5mg
ビオチン 2.5mg
寒天 20g /L(pH6.5)
(以下については滅菌(121℃ 20min)後に添加)
50% グルコース 20ml
5.2% 硫酸マグネシウム・7水和物 10ml
<最少培地>
硝酸ナトリウム 0.85g
リン酸一カリウム 1.52g
塩化カリウム 0.52g
トレイス・エレメント 1.5ml
ウリジン 2g
p-アミノ安息香酸 2.5mg
リボフラビン 2.5mg
ピリドキシン 2.5mg
ビオチン 2.5mg
寒天 15g/L(pH6.5)
(以下については滅菌(121℃ 20min)後に添加)
50% グルコース 20ml
5.2% 硫酸マグネシウム・7水和物 10ml
<トレイス・エレメント>
4ほう酸ナトリウム・10水和物 40mg
硫酸銅・5水和物 0.4g
硫酸鉄・7水和物 1.6g
硫酸マンガン・4水和物 0.8g
モリブデン酸ナトリウム・2水和物 0.8g
硫酸亜鉛・7水和物 8g/L
<実施例5>
[分生子PCRによる形質転換株の選抜]
実施例4において得られた形質転換株の候補株のゲノムDNAに対して、形質転換ベクターの配列中に設計したプライマーでPCRを行うことで目的配列がゲノム上に組み込まれたかを確認し、形質転換株の選抜を行った。プライマーの配列を以下のように設計した。
(pAOR1 導入形質転換株:P-7用プライマー)
7-F2:5’-GCGGCTGTCTTGGTAAAG-3’(配列番号10)
7-R2:5’-ACGTCTGTAAAGAGGCTATTG-3’(配列番号11)
(pAOR2導入形質転換株:P-7C用プライマー)
7C-F2:5’-CTGTTAAGGGGTGGGATC-3’(配列番号12)
7C-R2:5’-TGTGAGGAGGCATTGCGA-3’(配列番号13)
各形質転換株の分生子を適量とって50μlのTE溶液(1mM EDTA、10mM Tris-HCl (pH8.0))に懸濁し、100℃、5分間煮沸した。これを遠心分離(20,000g、5分間、4℃)し、得られた上清をPCRの鋳型DNAとした。なお、反応液の組成は以下のとおりとした。
滅菌水: 9.8μl
LA taq用 10xバッファー: 2μl
2.5mM dNTP溶液: 3.2μl
10pmol/μl 7-F2 or 7C-F2: 0.4μl
10pmol/μl 7-R2 or 7C-R2: 0.4μl
MgCl2: 2μl
鋳型DNA: 2μl
5U/μl LA taq(タカラバイオ社): 0.2μl/20μl
TaKaRa PCR Thermal Cycler(タカラバイオ社)を用い、以下の条件でPCRを実施した。
(形質転換株P-7)
(1)94℃で2分間、(2)94℃で30秒間、53℃で30秒間、及び72℃で4分間のサイクルを30サイクル、(3)72℃で2分間、(4)4℃で放置。
(形質転換株P-7C)
(1)94℃で2分間、(2)94℃で30秒間、53℃で30秒間、及び72℃で2分間のサイクルを30サイクル、(3)72℃で2分間、(4)4℃で放置。
PCR反応の結果、形質転換株P-7の場合は約4300bp、形質転換株P-7Cの場合は約2000bpのDNA断片が増幅し、目的とする本酵素遺伝子を含むDNAが宿主ゲノムに組み込まれていることを確認した。
<実施例6>
[形質転換株P-7、P-7Cによる本酵素の生産]
実施例4、5で取得した形質転換株を以下に示す培地条件で振盪培養した。
1.形質転換株P-7
<前培養 Potato Dextrose培地 30℃、300 rpm、2日間>
ポテトデキストロース 24g
ビオチン 0.02mg
アルギニン塩酸塩 0.55g/L
<本培養 YPDS培地 37℃、200 rpm、3日間>
デンプン 30g
グルコース 2.5g
ポリペプトン 10g
イーストエキストラクト 5g
黄粉 1g
ビオチン 0.02mg
アルギニン塩酸塩 0.55g/L
2.形質転換株P-7C
<前培養 Potato Dextrose培地+ビタミン類 30℃、300 rpm、2日間>
ポテトデキストロース 24g
ウリジン 2g
p-アミノ安息香酸 2.5mg
リボフラビン 2.5mg
ピリドキシン 2.5mg
ビオチン 2.5mg /L
<本培養 YPDS培地+ビタミン類 37℃、200 rpm、3日間>
デンプン 30g
グルコース 2.5g
ポリペプトン 10g
イーストエキストラクト 5g
ふすま 5g
ウリジン 2g
p-アミノ安息香酸 2.5mg
リボフラビン 2.5mg
ピリドキシン 2.5mg
ビオチン 2.5mg/L
上記条件下で培養した培養培地10mlを遠心分離(2,400g、10min、4℃)し、培養上清を得た。
<実施例7>
[SDS-PAGE、ウエスタンブロットによる本酵素の生産確認]
実施例6の結果得られた培養上清を用いて、SDS-PAGE、およびヒスチジンタグ((His)6)を利用したウエスタンブロットを実施した。電気泳動装置としてPhast System(amersham pharmacia biotech 社)を、分離ゲルとしてPhastGel Gradient 8-25(GE Healthcare社)を使用した。またウエスタンブロットには、一次抗体としてマウス抗(His)6抗体(COVANCE Inc.)、二次抗体としてアルカリフォスファターゼ(AP)標識ウマ抗マウスIgG(H+L)抗体(Vector Laboratories Inc.)をそれぞれ使用した。形質転換株P-7、P-7Cの培養上清に関して両解析を行った。形質転換株P-7由来の培養上清に関して、SDS-PAGEでは有意なバンドが検出できなかったため、ウエスタンブロットを実施したところ、本酵素由来のバンドが検出された(図1)。一方、形質転換株P-7C由来の培養上清には、SDS-PAGEにて大量の本酵素の生産が確認できた(図2)。本酵素は共に約50 kDa付近に生産されていたが、その生産量には顕著な差があった。形質転換に用いたpAOR2はタカアミラーゼ改変プロモーターを搭載しており、転写効率が大幅に上昇した結果、本酵素の生産量に差が生じたものと考えられた。
<実施例8>
[形質転換株P-7Cの培養上清を用いた活性測定による本酵素の生産確認1]
50 mMクエン酸buffer(pH 4.0)2835μlに形質転換株P-7C株の培養上清希釈液150μlを加えて30℃,10分間予温した後、10mMの合成基質benzyloxycarbonyl-L-arginyl-L-arginine 4-methylcoumaryl-7-amide(=Z-Arg-Arg-MCA)、t-butyloxycarbonylglycyl-L-lysyl-L-arginine 4-methylcoumaryl-7-amide(=Boc-Gly-Lys-Arg-MCA)、t-butyloxycarbonyl-L-leucyl-L-lysyl-L-arginine 4-methylcoumaryl-7-amide (=Boc-Leu-Lys-Arg-MCA)、t-butyloxycarbonyl-L-leucyl-L-threonyl-L-arginine 4-methylcoumaryl-7-amide(=Boc-Leu-Thr-Arg-MCA)(ペプチド研究所)をそれぞれ15μlを加え、30℃, 30分間反応させた後、終濃度0.01 mMとなるようにleupeptinを加え反応を停止させた。この溶液をRF-5300PC(島津製作所)を用いて励起波長360nm、蛍光波長440nmにて反応生成物7-amino-4-methylcoumarin(AMC)の蛍光強度を測定した。
反応式:Z-Arg-Arg-MCA → Z-Arg-Arg + AMC
活性はkatal(kat)で示した。即ち、上記条件下で1秒間にAMC 1 mol相当量の蛍光強度を得るのに必要な酵素量を1 katalとした。その結果、上記の条件ではコントロールであるABPU1株の培養上清と比較して、Boc-Gly-Lys-Arg-MCAを基質とした時に有意な活性が検出された(図3)。他の3種の合成基質ではコントロールと比較して有意な活性が上記条件下では検出されなかった。
<実施例9>
[形質転換株P-7Cの培養上清を用いた活性測定による本酵素の生産確認2]
50 mMクエン酸緩衝液(pH 4.0)945μlに形質転換株P-7C株の培養上清50μlを加えて30℃,10分間予温した。10mMの各MCA基質(ペプチド研究所)をそれぞれ5μl加え、30℃, 30分間反応させた後、終濃度0.01 mMとなるようにleupeptinを加え反応を停止させた。この溶液をRF-5300PC(島津製作所)を用いて励起波長360nm、蛍光波長440nmにて反応生成物7-amino-4-methylcoumarin(AMC)の蛍光強度を測定した。
活性はkatal(kat)で示した。即ち、上記条件下で1秒間にAMC 1 mol相当量の蛍光強度を得るのに必要な酵素量を1 katalとした。その結果、t- Butyloxycarbonyl- L- Glutaminyl- L- Arginyl- L- Arginine 4- Methyl- Coumaryl- 7- Amide (=Boc-Gln-Arg-Arg-MCA) や t- Butyloxycarbonyl- L- Phenylalanyl- L- Seryl- L- Arginine 4- Methyl- Coumaryl- 7- Amide (=Boc-Phe-Ser-Arg-MCA)を基質とした際に有意な活性が検出された(図4)。
<実施例10>
[形質転換株P-7Cの培養上清の至適pH]
各pH(2.0, 3.0, 4.0, 5.0, 6.0, 7.0, 8.0, 9.0, 10.0, 11.0, 12.0, 13.0)に調製した100 mM Britton-Robinson広域緩衝液を作製した。この緩衝液945μlにP-7C株の培養上清50μlを加えて30℃、10分間予温し、実施例9と同様の測定法により、Boc-Gln-Arg-Arg-MCAを基質として活性測定を行った。その結果、pH 10.0で最も高い活性を示した。即ち、本培養上清の至適pHは10.0である事が判明した(図5)。尚、最も高い活性を示した条件での活性を100%とし、これに対する相対値で各pHでの活性を表した。
<実施例11>
[形質転換株P-7Cの培養上清のpH安定性]
P-7C株の培養上清に、各pH(2.0, 3.0, 4.0, 5.0, 6.0, 7.0, 8.0, 9.0, 10.0, 11.0, 12.0, 13.0)に調製した100 mM Britton-Robinson広域緩衝液を等量加え、30℃、30分間インキュベートし、総量が995μlになるように50 mMグリシン緩衝液(pH 10.0)を加え、実施例9と同様の測定法により、Boc-Gln-Arg-Arg-MCAを基質として活性測定を行った。その結果、pH 4.0から12.0の範囲で相対活性80%以上を維持しており、本培養上清のpH安定性は4.0-12.0である事が判明した(図6)。尚、最も高い活性を示した条件での活性を100%とし、これに対する相対値で各pHでの活性を表した。
<実施例12>
[発現ベクターの調製]
実施例3で取得したpAOR1中の本酵素コーディング領域からアスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)由来タカアミラーゼターミネーター領域までをPCRで増幅した。プライマー対は以下に示すプライマーを設計し使用した。
7C-F1:5’- ATGAAGACTTCATTCTTACTGTTGC -3’(配列番号14)
7C-R3:5’- ACTGAGAATCAATGGATTGAGAAGC -3’(配列番号15)
反応液の組成は以下のとおりとした。
滅菌水:33μl
KOD plus 用 10xバッファー:5μl
2.5mM dNTP溶液:5μl
10pmol/μl 7C-F1:1.5μl
10pmol/μl 7C-R3 :1.5μl
25mM MgSO4:2μl
ゲノム DNA (100ng/μl):1μl
10U/μl KOD plus(東洋紡社):1μl/50μl
TaKaRa PCR Thermal Cycler (タカラバイオ社)を用い、以下の条件でPCRを実施した。
(1)94℃で2分間、(2)94℃で15秒間、54℃で30秒間、及び68℃で3分間のサイクルを20サイクル、(3) 68℃で2分間、(4)4℃で放置。
得られた約2500 bpのDNA断片を回収し、pKF18-2(タカラバイオ社)改変ベクターにライゲーションし、これを発現ベクターpAOR3とした。尚、pAOR3には選択マーカー遺伝子としてアルファ-イソプロピルマーレートシンターゼ遺伝子(leuA(特開2006−55090号))が、プロモーターとしてアスペルギルス・オリゼ由来タカアミラーゼ改変プロモーター(特開2003−319786号公報)が搭載されている。またpAOR1と同様、pAOR3についても、本酵素コーディング領域の直後にFactor Xa認識アミノ酸コーディング配列、ついでヒスチジンタグ((His)6)コーディング配列を付加し、発現タンパク質のカルボキシル末端にヒスチジンタグが付加されるようにした。
取得したpAOR3に関して、ABI PRISM 310 Genetic Analyzer(アプライドバイオシステム社)でシークエンシングを行い、正しい配列が挿入されていることを確認した。
<実施例13>
[アスペルギルス・オリゼleuA-株の形質転換]
実施例12で作製した本酵素発現ベクターpAOR3を使用して、アスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)leuA-株(特開2006−55090号)の形質転換を実施した。まず、ロイシン要求株であるアスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)leuA-株を以下の培地条件で37℃、一晩培養した。
<YPD培地>
ポリペプトン 20g
イースト・エキストラクト 10g
グルコース 10g
ロイシン 1g/L
上記条件下で培養して得た培養液100mlからガラスフィルター(100μm)を用いて集菌した。得られた菌体を以下の組成のプロトプラスト調製液に懸濁した。
滅菌MillQ水 39ml
塩化ナトリウム 1.9g
0.4M リン酸ナトリウム水溶液(pH6.0) 1ml
ヤタラーゼ(タカラバイオ社) 120mg
ノボザイム234(ノボノルディスク社)12mg/40ml
(セルロース・ニトレイトフィルター(0.45μm)により無菌ろ過)
上記懸濁液を用いて30℃、68rpmの条件下で2時間プロトプラスト化処理を行った。得られたプロトプラスト懸濁液をナイロン製フィルター(230mesh)によりろ過し、ろ液を遠心分離(780g、5min、4℃)してプロトプラストを得た。プロトプラストを10mlの0.8M NaClを用いて洗浄後、再び遠心分離(780g、5min、4℃)し、次いで10mlの0.8M NaCl-50mM CaCl2を用いて洗浄後、遠心分離(780g、5min、4℃)し、得られたプロトプラストの沈殿を200μlの0.8M NaCl、10mM CaCl2、10mM Tris-HCl(pH8.0)に懸濁し、プロトプラスト液とした。顕微鏡による観察によりプロトプラスト濃度を算出した。約1x108/mlに希釈したプロトプラスト懸濁液を用いて以下の手順で形質転換を行った。400μlプロトプラスト懸濁液に80μlの40% PEG4000、50mM CaCl2、50mM Tris-HCl(pH8.0)を加え懸濁した。ここに20μlのpAOR3溶液(1μg/μl)を加え懸濁後、氷中に30分間静置した。次いで2mlの40% PEG4000、50mM CaCl2、50mM Tris-HCl(pH8.0)を加えて再び懸濁し、室温に20分間静置した。更に10mlの0.8M NaCl、10mM CaCl2、10mM Tris-HCl(pH8.0)を加え懸濁し、遠心分離(780g、5min、4℃)を行った。得られた沈殿に1mlの0.8M NaCl、10mM CaCl2、10mM Tris-HCl(pH8.0)を加えて懸濁し、懸濁液0.1mlをシャーレに入れた後、以下に示す再生培地を注ぎプレートとして固化させた。37℃で3日間から4日間インキュベート後、生育した形質転換体を以下に示す最少培地で単菌分離し、本酵素DNA断片が導入された形質転換株(Aspergillus oryzae P-7O)を得た。尚、当該形質転換株は以下の通り所定の寄託機関に寄託されており、容易に入手可能である。
寄託機関:独立行政法人製品評価技術基盤機構 特許微生物寄託センター(〒292-0818 日本国千葉県木更津市かずさ鎌足2−5−8)
寄託日:2008年10月24日
受託番号:NITE BP−666
<再生培地>
硝酸ナトリウム 6g
リン酸一カリウム 1.52g
塩化カリウム 0.52g
ソルビトール 218.6g
グルコース 10g
トレイス・エレメント 1.5ml
寒天 20g/L(pH6.5)
(以下については滅菌(121℃、20min)後に添加)
1M 硫酸マグネシウム・7水和物 2ml
<最少培地>
硝酸ナトリウム 6g
リン酸一カリウム 1.52g
塩化カリウム 0.52g
グルコース 10g
トレイス・エレメント 1.5ml
寒天 15g/L(pH6.5)
(以下については滅菌(121℃、20min)後に添加)
1M 硫酸マグネシウム・7水和物 2ml
<トレイス・エレメント>
4ほう酸ナトリウム・10水和物 40mg
硫酸銅・5水和物 0.4g
硫酸鉄・7水和物 1.6g
硫酸マンガン・4水和物 0.8g
モリブデン酸ナトリウム・2水和物 0.8g
硫酸亜鉛・7水和物 8g/L
<実施例14>
[分生子PCRによる形質転換株の選抜]
実施例13において得られた形質転換株の候補株のゲノムDNAに対して、形質転換ベクターの配列中に設計したプライマーでPCRを行うことで目的配列がゲノム上に組み込まれたかを確認し、形質転換株の選抜を行った。プライマーの配列を以下のように設計した。
(pAOR3導入形質転換株:P-7O用プライマー)
7C-F3:5’- GACCTCTTCTTCTCAACC -3’(配列番号16)
7C-R4:5’- CGAAAGAAGGTAGAGGCC -3’(配列番号17)
各形質転換株の分生子を適量とって50μlのTE溶液(1mM EDTA、10mM Tris-HCl (pH8.0))に懸濁し、100℃、5分間煮沸した。これを遠心分離(20,000g、5分間、4℃)し、得られた上清をPCRの鋳型DNAとした。なお、反応液の組成は以下のとおりとした。
滅菌水: 9.8μl
LA taq用 10xバッファー: 2μl
2.5mM dNTP溶液: 3.2μl
10pmol/μl 7C-F3: 0.4μl
10pmol/μl 7C-R4: 0.4μl
MgCl2: 2μl
鋳型DNA: 2μl
5U/μl LA taq(タカラバイオ社): 0.2μl/20μl
TaKaRa PCR Thermal Cycler(タカラバイオ社)を用い、以下の条件でPCRを実施した。
(1)94℃で2分間、(2)94℃で30秒間、53℃で30秒間、及び72℃で3分間のサイクルを30サイクル、(3)72℃で2分間、(4)4℃で放置。
PCR反応の結果、形質転換株P-7Oでは約2400bpのDNA断片が増幅し、目的とする本酵素遺伝子を含むDNAが宿主ゲノムに組み込まれていることを確認した。
<実施例15>
[形質転換株P-7Oによる本酵素の生産]
取得した形質転換株P-7Oを以下に示す培地条件で振盪培養した。
<前培養 Potato Dextrose 培地 30℃、140 rpm、2日間>
ポテトデキストロース 24g/L
<本培養 YPDS 培地 30℃、140 rpm、4日間>
パインファイバー 30g
グルコース 2.5g
ポリペプトン 10g
イーストエキストラクト 5g
フスマ 5g
りん酸一カリウム 20g/L
上記条件下で培養した培養培地をCN Filter Unit(NALGENE 社)でろ別し、培養上清を得た。
<実施例16>
[SDS-PAGE、ウエスタンブロットによる本酵素の生産確認]
実施例15の結果得られた培養上清を用いて、SDS-PAGE、およびヒスチジンタグ((His)6)を利用したウエスタンブロットを実施した。電気泳動装置としてPhast System(amersham pharmacia biotech 社)を、分離ゲルとしてPhastGel Gradient 8-25(GE Healthcare社)を使用した。またウエスタンブロットには、一次抗体としてマウス抗(His)6抗体(COVANCE Inc.)、二次抗体としてアルカリフォスファターゼ(AP)標識ウマ抗マウスIgG(H+L)抗体(Vector Laboratories Inc.)をそれぞれ使用した。形質転換株P-7Oの培養上清に関して両解析を行った。ウエスタンブロットを実施したところ、本酵素由来のバンドが検出されなかったが、SDS-PAGEにて大量の本酵素の生産が確認できた(図7)。本酵素は約50 kDa付近に著量に生産されていた。
<実施例17>
[活性測定による本酵素の生産確認]
50 mMクエン酸緩衝液(pH 4.0) 985μlに形質転換株P-7O株の培養上清10μlを加えて30℃,10分間予温した後、10mMのMCA基質Succinyl- L- Alanyl- L- Alanyl- L- Prolyl- L- Phenylalanine 4- Methyl- Coumaryl- 7- Amide (= Suc-Ala-Ala-Pro-Phe-MCA)、Glutaryl- L- Alanyl- L- Alanyl- L- Phenylalanine 4- Methyl- Coumaryl- 7- Amide (= Glt-Ala-Ala-Phe-MCA)(以上ペプチド研究所)をそれぞれ5μl加え、30℃, 30分間反応させた後、終濃度0.01 mMとなるようにleupeptinを加え反応を停止させた。この溶液をRF-5300PC(島津製作所)を用いて励起波長360nm、蛍光波長440nmにて反応生成物7-amino-4-methylcoumarin(AMC)の蛍光強度を測定した。
反応式) Suc-Ala-Ala-Pro-Phe-MCA → Suc-Ala-Ala-Pro-Phe + AMC
活性はkatal (kat)で示した。即ち、上記条件下で1秒間にAMC 1 mol相当量の蛍光強度を得るのに必要な酵素量を1 katalとした。その結果、上記の条件ではコントロールであるleuA-株の培養上清と比較して有意な活性が検出された(図8)。
<実施例18>
[本酵素の精製]
形質転換株P-7Oの培養上清を、microza UFペンシル型モジュールSIP-0013(旭化成社)に供し、UF濃縮液を取得した。この濃縮液に100%飽和硫安溶液を加えて硫安終濃度を10%とした。4℃, 30分間攪拌後、4℃, 15,000 rpm, 15分間遠心して上清を回収した。この上清を、10%硫安を含む10 mM酢酸緩衝液(pH 5.0)で平衡化したHiTrap Phenyl HP 5 ml(GE Healthcare 社)に供し、10-0%硫安グラジエント溶出により本酵素を溶出させた。溶出液の活性測定を行った後、活性画分を10 mM酢酸緩衝液(pH 5.0)で透析したものを本酵素の精製標品とした。Ac-Ile-Glu-Thr-Asp-MCAを基質とした時の本酵素の比活性は2.56 mkat/kg であった。また本酵素をSDS-PAGEに供した結果、図9で示したように単一なバンド(約55 kDaの分子量)が観察された。
<実施例19>
[本酵素の酵素化学的性質]
(1)至適pH
各pH(2.0, 3.0, 4.0, 5.0, 6.0, 7.0, 8.0, 9.0, 10.0, 11.0)に調製した100 mM Britton-Robinson広域緩衝液を作製した。この緩衝液990.4μlに本酵素3.0μgを加えて30℃、10分間予温し、実施例17と同様の測定法により、Suc-Ala-Ala-Pro-Phe-MCAを基質として活性測定を行った。その結果、pH 4.0で最も高い活性を示し本酵素の至適pHは4.0である事が判明した(図10)。尚、最も高い活性を示した条件での活性を100%とし、これに対する相対値で各pHでの活性を表した。
(Britton-Robinson広域緩衝液作成法)
4.08 ml 85%リン酸、3.54 ml 96%酢酸、3.72 gホウ酸を混合し、水で300 mlとした後(0.2 M 酸混合液)、25 mlずつ分注して5N NaOHを用いて各pHに調整し、水で50 mlとして終濃度100 mMの緩衝液を調製した。
(2)pH安定性
本酵素3.0μgに、各pH(2.0, 3.0, 4.0, 5.0, 6.0, 7.0, 8.0, 9.0, 10.0, 11.0)に調製した100 mM Britton-Robinson広域緩衝液を等量加え、30℃、30分間インキュベートし、総量が995μlになるように50 mMクエン酸緩衝液(pH 4.0)を加え、実施例17と同様の測定法により、Suc-Ala-Ala-Pro-Phe-MCAを基質として活性測定を行った。その結果、pH 3.0から6.0の範囲で相対活性80%以上を維持しており、本酵素のpH安定性は3.0-6.0である事が判明した(図11)。尚、最も高い活性を示した条件での活性を100%とし、これに対する相対値で各pHでの活性を表した。
(3)至適温度
50 mMクエン酸緩衝液(pH 4.0)に本酵素3.0μgを加え総量を995μlとし、30℃, 40℃, 50℃, 60℃, 70℃, 80℃の各温度で10分間予温し、Suc-Ala-Ala-Pro-Phe-MCAを5μl加え、上記の各温度で30分間反応させた。その後の操作は実施例17と同様とした。その結果、40℃で最も高い活性を示し本酵素の至適温度は40℃である事が判明した(図12)。尚、最も高い活性を示した条件での活性を100%とし、これに対する相対値で各温度での活性を表した。
(4)温度安定性
本酵素を30℃, 40℃, 50℃, 60℃, 70℃, 80℃ の各温度で10分間インキュベートした後、素早く氷冷し、30℃の温度条件下、実施例17と同様の測定法により、Suc-Ala-Ala-Pro-Phe-MCAを基質として活性測定を行った。その結果、60℃以下で相対活性80%以上を維持しており、本酵素は60℃以下で安定である事が判明した(図13)。尚、最も高い活性を示した条件での活性を100%とし、これに対する相対値で各温度での活性を表した。
(5)各種阻害剤の影響
Etylenediaminetetraacetic acid (EDTA), Phenylmethanesulfonyl fluoride (PMSF), L-trans-epoxysuccinyl-leucylamido-(4-guanidinobutane)(E-64c), pepstatin A, leupeptinのうち、EDTAは100 mMとなるように水に、PMSF, E-64c は100 mMとなるようにDMSOに、pepstatin A, leupeptinは1 mMとなるようにDMSOにそれぞれ溶解した。本酵素3.0μg、各阻害剤5μlに50 mM クエン酸緩衝液(pH 4.0)を加えて総量500μlとし、30℃, 30 分間インキュベートした。更に50 mMクエン酸緩衝液(pH 4.0)を加えて総量995μlとした後、実施例17と同様の測定法により、Suc-Ala-Ala-Pro-Phe-MCAを基質として活性測定を行った。その結果、leupeptinでのみ酵素活性が有意に阻害された事から、本酵素はセリンプロテアーゼまたはシステインプロテアーゼと示唆された(図14)。尚、阻害剤無添加時の活性を100%とし、これに対する相対値で各阻害剤処理時の活性を表した。
(6)低分子蛍光基質に対する活性
使用した全てのMCA基質は、ペプチド研究所(株)より購入した。種々のMCA基質を10 mMになるようにDMSO溶液に溶解した。本酵素3.0μgを使用し、実施例17と同様の測定法により活性測定を行った。Ac-Ile-Glu-Thr-Asp-MCAを基質とした時の活性を100%として、各基質使用時の相対活性を算出した。その結果、MCAに直接結合するアミノ酸であるサブサイトP1位にアスパラギン酸(Asp)又はフェニルアラニン(Phe)を有する基質に対して有意な活性を示した(図15)。一方、P1位にグリシン(Gly)、アラニン(Ala)、ロイシン(Leu)、バリン(Val)、プロリン(Pro)、チロシン(Tyr)、トリプトファン(Trp)、アスパラギン(Asn)、グルタミン酸(Glu)を有する基質を使用した時にはいずれも有意な活性は見出されなかった。また、P1位にアスパラギン酸(Asp)を有する場合、P2位にスレオニン(The)、アラニン(Ala)又はイソロイシン(Ile)を有する基質が有意な活性を示した。但し、P2位にスレオニン(The)を有する基質の内、P3位にグルタミン酸(Glu)を有する基質は非常に高い活性を示した一方で、P3位にグルタミン(Gln)を有する基質は有意な活性を示さなかった。一方、Phe-MCAを除いて、サブサイトP1位にフェニルアラニン(Phe)を有する基質(P2位にアラニン(Ala)又はプロリン(Pro)を有する)は全て有意な活性を示した。
<実施例20>
[N末端アミノ酸シークエンス解析]
分離ゲル濃度10%としたSDS-PAGEに本酵素を供し、HIFRED SUPPLY (MARYSOL 社)を用いて電気泳動を実施した。分離ゲル、濃縮ゲル、泳動bufferの組成を以下に示した。
(a)分離ゲル組成(10%)
30% アクリルアミド 2.5 ml
蒸留水 1.15 ml
0.75 M Tris-HCl (pH 8.8) 3.75 ml
10% Sodium Dodecylsulfate (SDS) 75μl
N, N, N’,N’-Tetramethylethylenediamine (TEMED) 6μl
25% Ammonium Persulfate (APS) 25μl
(b)濃縮ゲル組成
30% アクリルアミド 0.75 ml
蒸留水 2.9 ml
0.25 M Tris-HCl (pH 6.8) 3.75 ml
10% SDS 75μl
TEMED 6μl
25% APS 25μl
(c)泳動buffer組成
25 mM Tris(hydroxymethyl)aminomethane (Tris)
0.192 M Glycine
0.1% SDS
TRANS-BLOT SD SEMI-DRY TRANSFER CELL(BIO-RAD 社)上にbuffer A に浸した濾紙2枚、電気泳動後のゲル、Sequi-Blot PVDF Membrane for Protein Sequencing 0.2μm (BIO-RAD 社)、buffer Bに浸した濾紙2枚、buffer Cに浸した濾紙2枚を重ねて転写を実施した。濾紙はCHROMATOGRAPHY PAPER 3MM CHR(Whatman 社)を使用した。各種bufferの組成を以下に示した。
(a)buffer A 組成
25 mM Tris
20% メタノール
40 mM 6-amino caproic acid
(b)buffer B 組成
25 mM Tris
20% メタノール
(c)buffer C 組成
300 mM Tris
20% メタノール
転写終了後のPVDF膜を脱色液(90% メタノール、2% 酢酸)で脱色し、検出されたバンドを切り取った。これを用いてN末端アミノ酸シークエンス解析を実施した。その結果得られた配列は「LLLXD(配列番号18)」であった。本酵素の推定アミノ酸配列中には「LLLCD(配列番号19)」という配列が一箇所のみ存在していたことから、本酵素が遺伝子組み換えによる生産を意図したタンパク質である事が確認された。
<実施例21>
[糖鎖除去実験]
エンドグリコシダーゼH(Endoglycosidase H)(BOEHRINGER 社)及びN-グリコシダーゼF(N-Glycosidase F)(BOEHRINGER 社)による糖鎖除去処理をそれぞれ実施した。
(1)エンドグリコシダーゼH処理
本酵素60μg (1μl)、250 mM 酢酸 buffer(pH 5.5) 4μl、0.2% SDS 2μl、1 M 2-メルカプトエタノール 2μl、蒸留水 1μlを混和し、100℃、5分間熱処理を行った。冷却後、エンドグリコシダーゼH 10μlを加え、37℃で一晩反応させた。
(2)N-グリコシダーゼF処理
本酵素60μg(1μl)に0.5% SDS 4μlを加え、100℃、5分間熱処理を行った。冷却後、200 mMリン酸buffer(pH 7.5) 5μl、6% ノニオン HS208 2μl、100 mM 2-メルカプトエタノール 2μl、N-グリコシダーゼF 6μlを加え、37℃で一晩反応させた。
両反応液にSDS-PAGE buffer(2.25 mM Tris、2.25 mM EDTA、6.25% SDS、12.5% 2-メルカプトエタノール、0.0025% Bromophenol Blue (BPB)) 13.3μlを混和し、100℃、5分間熱処理を行った。冷却後のサンプルを用いてSDS-PAGEを実施した。電気泳動装置としてPhast System(amersham pharmacia biotech 社)を、分離ゲルとしてPhastGel Gradient 8-25(GE Healthcare社)を使用した。その結果、エンドグリコシダーゼH処理又はN-グリコシダーゼF処理をしたサンプルでは本酵素由来のバンドが低分子側へとシフトしていた(図16)。よって本酵素はN型糖鎖で修飾されている事が確認された。
<実施例22>
[高分子タンパク質に対する活性]
各基質(カゼイン、ゼラチン、エラスチン、コラーゲン、フィブリン、大豆タンパク質、β−ラクトグロブリン)を1%となるように50 mMクエン酸buffer(pH 3.0)に懸濁した。カゼイン、ゼラチン、エラスチン、フィブリンについては100℃、30分間熱処理を加え、これらを基質溶液とした。基質溶液400μlに本酵素5.0μg(40μl)を加え、30℃、30分間反応後、0.4 M TCA溶液 440μlを加えて酵素反応を終了した。反応液をNo.2濾紙(ADVANTEC(株))で濾過して沈殿を除き、濾液を得た。この濾液を適宜希釈した液440μlに対し、ニンヒドリン溶液(2% ニンヒドリンを含む50% 2-メトキシエタノール、50% 0.2 M クエン酸・水酸化ナトリウムbuffer(pH 5.0)) 800μl、0.071 M 塩化スズ(II)溶液 40μlを加え、混和後に100℃、20分間加熱した。流水中で10分間冷却後、1-プロパノール/水(1:1)溶液4 mlを加えた。BECKMAN DU 7500 SPECTROPHOTOMETER (BECKMAN COULTER社)を用いて、この溶液の570 nmにおける吸光度を測定した。なお本活性は溶液中のチロシン(Tyr)当量として算出し、カゼイン分解活性を相対活性100%とみなした。その結果、本酵素はいずれの基質に対しても有意な活性を示した事から比較的広範な特異性を有する事が示唆された。またフィブリンや大豆タンパク質を基質とした際、カゼインとほぼ同等の活性を示した。(図17)。尚、本酵素の各基質に対する作用の程度を比較すると次の通りである。
エラスチン、コラーゲン<ゼラチン、β−ラクトグロブリン<カゼイン、フィブリン、大豆タンパク質
<実施例23>
[生理活性ペプチドに対する活性]
アンジオテンシンI(Angiotensin I)とαネオエンドルフィン(α-Neo-Endorphin)を基質とした。基質毎、終濃度0.1 mMになるようにDimethyl Sulfoxide(DMSO)に溶解し、これを基質溶液とした。本酵素2.0μg(3.0μl)と基質溶液3.0μlを混和し、室温で1分間反応させた。マトリックス溶液(10 mg/ml Alpha-cyano-4-hydroxy cinnamic acid (αCHCA)、0.1% トリフルオロ酢酸を含むアセトニトリル/水(1:1)) 0.35μlが乾固された基板上のスポットに反応液0.5μlをアプライし、乾固させた。再度マトリックス溶液0.35μlをスポット上にアプライし、乾固させた。これを用いてVoyager-DE STR BioSpectrometry Workstation (Applied Biosystems社)により基質ペプチド由来の分解フラグメントの質量を測定した。その結果、両基質において複数の切断が確認された。中でもアンジオテンシンIにおけるアスパラギン酸(Asp)-アルギニン(Arg)間及びフェニルアラニン(Phe)-ヒスチジン(His)間の切断、αネオエンドルフィンにおけるフェニルアラニン(Phe)-ロイシン(Leu)間の切断はいずれもサブサイトP1位がアスパラギン酸(Asp)又はフェニルアラニン(Phe)の切断であり、これは実施例19の(6)の結果を支持するものであった(図18)。以上の結果及び実施例19の(6)の結果を総合すると、本酵素が高い特異性を示す基質を特徴付ける条件として以下の(a)〜(c)が導き出される。
(a)サブサイトP1位のアミノ酸がアスパラギン酸(Asp)又はフェニルアラニン(Phe)である。
(b)サブサイトP1位のアミノ酸がアスパラギン酸(Asp)であればP2位のアミノ酸は存在しないか、或いはスレオニン(The)、アラニン(Ala)又はイソロイシン(Ile)である。但し、P2位のアミノ酸がスレオニン(The)のときはP3位のアミノ酸はグルタミン(Gln)ではなく、好ましくはグルタミン酸(Glu)である。
(c)サブサイトP1位のアミノ酸がフェニルアラニン(Phe)であればP2位のアミノ酸はアラニン(Ala)、プロリン(Pro)又はグリシン(Gly)である。
本発明のプロテアーゼは様々なタンパク質の機能性(例えば乳化性や保水性)の調節乃至改善に利用可能である。食品分野はもとより、工業分野や医療分野への利用も期待される。
この発明は、上記発明の実施の形態及び実施例の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。
本明細書の中で明示した論文、公開特許公報、及び特許公報などの内容は、その全ての内容を援用によって引用することとする。
pAOR1導入形質転換株P-7の培養上清を用いたウエスタンブロットの結果。レーンM:分子量マーカー、レーン1:pAOR1由来形質転換株の培養上清。本酵素のバンドを矢印で示す。 pAOR2導入形質転換株P-7Cの培養上清を用いたSDS-PAGEの結果。レーンM:分子量マーカー、レーン1:pAOR2由来形質転換株の培養上清。本酵素のバンドを矢印で示す。 pAOR2導入形質転換株P-7Cの培養上清を用いたプロテアーゼ活性測定の結果。Z-RR-MCA:Z-Arg-Arg-MCA、Boc-GKR-MCA:Boc-Gly-Lys-Arg-MCA、Boc-LKR-MCA:Boc-Leu-Lys-Arg-MCA、Boc-LTR-MCA:Boc-Leu-Thr-Arg-MCA。 pAOR2導入形質転換株:P-7Cの培養上清を用いたプロテアーゼ活性測定の結果。 形質転換株P-7Cの培養上清の至適pHを示すグラフ。 形質転換株P-7Cの培養上清のpH安定性を示すグラフ。 形質転換株P-7Oの培養上清を用いたSDS-PAGEの結果。矢印は本酵素由来のバンド(約50 kDa)。 形質転換株P-7Oの培養上清を用いたプロテアーゼ活性測定の結果。 形質転換株P-7O由来の精製酵素を用いたSDS-PAGEの結果。矢印は本酵素由来のバンド(約55 kDa)。 形質転換株P-7O由来の精製酵素の至適pHを示すグラフ。 形質転換株P-7O由来の精製酵素のpH安定性を示すグラフ。 形質転換株P-7O由来の精製酵素の至適温度を示すグラフ。 形質転換株P-7O由来の精製酵素の温度安定性を示すグラフ。 形質転換株P-7O由来の精製酵素に対する各種阻害剤の影響を示すグラフ。 形質転換株P-7O由来の精製酵素を用いたプロテアーゼ活性測定の結果。各種低分子蛍光基質に対する活性が示される。 糖鎖除去実験の結果。エンドグリコシダーゼH処理又はN-グリコシダーゼFによる分子量の変化を調べた。レーン1及び4:未処理のサンプル、レーン2:エンドグリコシダーゼH処理後のサンプル、レーン3:エンドグリコシダーゼH、レーン5:N-グリコシダーゼF処理後のサンプル、レーン6:N-グリコシダーゼF。 形質転換株P-7O由来の精製酵素を用いたプロテアーゼ活性測定の結果。各種高分子に対する活性が示される。 形質転換株P-7O由来の精製酵素による切断箇所。アンジオテンシンI(上段)及びαネオエンドルフィン(下段)における切断箇所を矢印で示した。

Claims (10)

  1. 以下の(1)又は(2)のタンパク質からなるプロテアーゼ:
    (1)配列番号1のアミノ酸配列からなるタンパク質;
    (2)配列番号1のアミノ酸配列と相同なアミノ酸配列からなり、プロテアーゼ活性を有するタンパク質。
  2. 請求項1に記載のプロテアーゼをコードするDNAが導入された形質転換体。
  3. 前記DNAが配列番号2又は配列番号3の塩基配列からなる、請求項2に記載の形質転換体。
  4. アスペルギルス属に属する微生物である、請求項2又は3に記載の形質転換体。
  5. 以下のステップ(1)及び(2)を含む、プロテアーゼの製造法:
    (1)前記DNAがコードするタンパク質が産生される条件下、請求項2〜4のいずれか一項に記載の形質転換体を培養するステップ;
    (2)産生されたタンパク質を回収するステップ。
  6. 下記の酵素化学的性質を有するプロテアーゼ、
    (1)作用:セリンプロテーゼ又はシステインプロテアーゼである;
    (2)分子量:約55 kDa(SDS-PAGEによる);
    (3)基質特異性:以下の(a)の条件、即ち(a)サブサイトP1位のアミノ酸がアスパラギン酸(Asp)又はフェニルアラニン(Phe)であること、を満たす基質ペプチドに高い特異性を有する。
  7. 前記(a)の条件に加えて、以下の(b)及び(c)の条件、即ち(b)サブサイトP1位のアミノ酸がアスパラギン酸(Asp)であればP2位のアミノ酸は存在しないか、或いはスレオニン(The)、アラニン(Ala)又はイソロイシン(Ile)であること(但し、P2位のアミノ酸がスレオニン(The)のときはP3位のアミノ酸はグルタミン(Gln)ではなく、好ましくはグルタミン酸(Glu)である)、及び(c)サブサイトP1位のアミノ酸がフェニルアラニン(Phe)であればP2位のアミノ酸はアラニン(Ala)、プロリン(Pro)又はグリシン(Gly)であること、を満たす基質ペプチドに高い特異性を有する、請求項6に記載のプロテアーゼ。
  8. 下記の酵素化学的性質を更に有する、請求項6又は7に記載のプロテアーゼ、
    (4)至適pH:約4.0;
    (5)pH安定性:pH3〜6の範囲で安定(30℃、30分間);
    (6)至適温度:約40℃;
    (7)温度安定性:60℃まで安定(pH4.0、10分間)。
  9. 下記の酵素化学的性質を有するプロテアーゼ、
    (1)作用:セリンプロテーゼ又はシステインプロテアーゼである;
    (2)分子量:約55 kDa(SDS-PAGEによる);
    (3)基質特異性:カゼイン、フィブリン、大豆タンパク質に良好に作用し、ゼラチン、β−ラクトグロブリン、エラスチン、コラーゲンにも作用する。
  10. 下記の酵素化学的性質を更に有する、請求項9に記載のプロテアーゼ、
    (4)至適pH:約4.0;
    (5)pH安定性:pH3〜6の範囲で安定(30℃、30分間);
    (6)至適温度:約40℃;
    (7)温度安定性:60℃まで安定(pH4.0、10分間)。
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