JP2009232494A - 回転電機の回転子とその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】引出線16の基端部が規制部29を経由して第1係止部17の第1溝部31に挿着され、引出線16の中間部は、基端部まで延在する絶縁チューブ25に被覆された状態で、当接部34に当接しながら第2係止部18に向かう。その後、この中間部を絶縁チューブ25とともに扇状部32の自由端部36を経由して径方向内側に引き回し、第2溝部33へ内側からスリット開放側に挿し込むとともに、絶縁チューブ25を押し潰しつつ外側に押し、くびれ部35に挿着して、軸方向に敷設する。そして、コア肩部24と離間させて径方向内側に折り曲げる。引出線16を挿着、固定して後、さらに、樹脂による含浸材の適量充填により、引出線16と絶縁チューブ25、および絶縁ボビン5との確実な接着を得る。
【選択図】図3
Description
従来から、車両用交流発電機の回転子は、回転子鉄心(ポールコア)としてランデル型ポールコアを用いており、このランデル型ポールコアの複数個を対向して組合せ、形成される中空部に絶縁ボビンを介して巻装される界磁コイルを嵌着し、シャフトをその軸心に圧入固着させた構造となっている。
図11(a)に示すように、回転子100は、シャフト101に嵌着されるランデル型ポールコア102を対向して組付け、内部に形成される中空部に絶縁ボビン103を介して巻装される界磁コイル104を備える周知のものである。絶縁ボビン103は、界磁コイル104が巻回される円筒状の巻胴部105と、巻胴部105の両端から径方向外側に伸びるフランジ部106を有し、フランジ部106には界磁コイル104の巻き始めおよび巻き終りの引出線107を巻き付けられる径方向および軸方向に突出する突起部108が対向して1対設けられている。
請求項1に記載の手段によれば、シャフトに圧入固着されるランデル型ポールコアと、ポールコアに絶縁ボビンを介して巻装される界磁コイルとを備えた回転電機の回転子において、絶縁ボビンは、界磁コイルが巻回される円筒状の巻胴部と、巻胴部の両端から径方向外側に伸びるフランジ部とを有し、フランジ部には、界磁コイルの巻き始め側および巻き終り側の引出線を、フランジ部の端面に沿って、界磁コイルの巻回方向に対して逆方向に、かつ、径方向内側に向かわせる第1係止部と、第1係止部には、引出線を係止する第1の溝部が、径方向外側から内側に向けて形成されており、界磁コイルの巻回方向に対して逆方向に、かつ、径方向内側に向かう引出線をフランジ部の端面に対して軸方向に向かわせる第2係止部と、第2係止部には、引出線を係止する第2の溝部が、径方向内側から外側に向けて、かつ、くびれ部を有して形成されており、引出線は、界磁コイルの巻回部から第1係止部を経由して巻回方向に対して逆方向に、かつ、径方向に敷設され、さらに、第2係止部を経由して軸方向に敷設されており、第2係止部における引出線の固定において、引出線がくびれ部に径方向内側から外側に向けて挿着され、係止されていることを特徴としている。
請求項2に記載の手段によれば、引出線には、引出線を被覆する絶縁チューブが引出線の基端部まで挿入され、絶縁チューブは、引出線とともに第2係止部のくびれ部に挿着され、くびれ部は、くびれ部に引出線を挿着した状態で、引出線を被覆する絶縁チューブの外径より小さく、引出線の外径と絶縁チューブのチューブ厚みの2倍とを加えた寸法値と同じかそれ以上のくびれ幅を設けたことを特徴としている。
これにより、絶縁チューブをくびれ幅方向に潰して挿入すれば容易に第2係止部に挿入でき、自動化も可能となる。また、工程や工場間の搬送中にズレたり外れたりするのを防止できる。
請求項3に記載の手段によれば、第1係止部と第2係止部との間を径方向に敷設される引出線が、第1係止部と第2係止部との間で絶縁ボビンのボビン壁部の内側と接触するように、ボビン壁部の内側に凸状の当接部を設けたことを特徴としている。
これにより、絶縁ボビンとの接触面積を増やし、樹脂含浸後の絶縁ボビンと絶縁チューブとの接着力が向上できる。
請求項4に記載の手段によれば、第1係止部と第2係止部との軸方向の間隔は、引出線と絶縁チューブとが径方向に引き回されて敷設されることができる間隙を備えるように位置決めされることを特徴としている。
これにより、引出線を第2係止部に挿着し易くなる。
請求項5に記載の手段によれば、第1係止部における引出線を係止する第1の溝部が、径方向外側から内側に向けて形成されており、第1の溝部は、引出線は挿通するが、絶縁チューブは挿通せずに、絶縁チューブの軸方向および径方向への移動を規制するように溝幅を設けたことを特徴としている。
これにより、絶縁チューブが工程や工場間の搬送中にズレ落ちるのを防止できる。
請求項6に記載の手段によれば、第2係止部は、引出線がポールコアの爪部間谷部のV溝壁面より内径側に位置し、V溝壁面との間で、樹脂含浸加工がなされた後、含浸材の充填はされず、互いに離間して敷設されていることを特徴としている。
これにより、確実に、ポールコアのV溝壁面に対し、浮いた状態となる引出線の領域をポールコアの肩部と絶縁ボビンの第2係止部との間に確保でき、絶縁ボビンと引出線は樹脂含浸によって一体となっていても、絶縁ボビンの剛性によって振動伝播を抑えることができるので、よって、引出線の断線や繰返し応力による疲労破断を防止する。
請求項7に記載の手段によれば、シャフトに圧入固着されるランデル型ポールコアと、
ポールコアに絶縁ボビンを介して巻装される界磁コイルとを備えた回転電機の回転子において、絶縁ボビンは、界磁コイルが巻回される円筒状の巻胴部と、巻胴部の両端から径方向外側に伸びるフランジ部とを有し、フランジ部には、界磁コイルの引出線を、フランジ部の端面に沿って、径方向、ならびに軸方向コイル外側向きに向わせる第1係止部と、第1係止部には、引出線を挿着するスリット開放部が、内側から外側に向かう第1溝部を有して形成されており、第1係止部と所定の間隔を有して配設される第2係止部と、第2係止部には、引出線に被覆する絶縁チューブを径方向ならびに周方向に挿着する第2溝部を有して形成されており、引出線は、界磁コイルの巻回部から巻回方向に敷設され、径方向ならびに軸方向に向かって第1係止部のスリット開放部の第1溝部に挿着され、つづく第2係止部の第2溝部に挿着されて、絶縁チューブとともに軸方向に敷設されることを特徴としている。
請求項8に記載の手段によれば、引出線を、フランジ部の端面に沿って、巻回部の巻回方向に向かわせ、かつ、フランジ部のボビン内径方向および軸方向外側に向かわせる第1規制部と、引出線を、巻回部の内径方向および巻回周方向に向かわせ、かつ、引出位置を規制する第2規制部とによって引き出し方向が規制されることを特徴としている。
請求項9に記載の手段によれば、第1溝部は、絶縁チューブのチューブ径より小さな溝幅を有し、引出線を挿通して挿着するが、絶縁チューブは挿通して挿着せずに、絶縁チューブの軸方向への移動および位置を規制するよう設けられたことを特徴としている。
請求項10に記載の手段によれば、第1溝部および第2溝部は、引出線がV溝壁面より径方向外側に離間するよう配置されることを特徴としている。
請求項11に記載の手段によれば、第2溝部の溝幅は、絶縁チューブと引出線が挿着されたとき、引出線径と絶縁チューブ厚みの2倍とを加えた寸法値と同じであることを特徴としている。
これにより、絶縁チューブと引出線は第2溝部に過不足なく確実に挿着、固定できる。
請求項12に記載の手段によれば、第2溝部の溝幅は、絶縁チューブと引出線が挿着されたとき、絶縁チューブ外径と同じか小さく、引出線径と絶縁チューブ厚みの2倍とを加えた寸法値より大きいことを特徴としている。
これにより、絶縁チューブと絶縁ボビンとの固定力を向上でき、ポールコア振動により引出線に作用する引張応力を効果的に分散できる。
請求項13に記載の手段によれば、第1係止部と第2係止部との間に、軸方向に所定の間隙を形成して空間部を設け、空間部には樹脂含浸の接着材が充填されることを特徴としている。
これにより、樹脂含浸の塗布時は液状であるが、3方向が閉塞され流れ出しが従来に比べ抑制されるので、空間内の含浸量を効果的に増やすことができ、絶縁チューブの接着強度に係る設計自由度を高めることが可能となる。
請求項14に記載の手段によれば、第1溝部または第2溝部は、界磁コイルの巻回部の周方向において巻き終り引出線側または巻回部の径方向内径側、もしくはその双方側を含む方向に開放されたスリット開放部が形成され、引出線が、第1溝部または第2溝部のいずれかのスリット開放部に挿着されることを特徴としている。
請求項15に記載の手段によれば、第1溝部または第2溝部のスリット開放部は、スリット開放側よりスリット閉塞側に向って、狭まり状テーパ断面を有することを特徴としている。
これにより、引出線および絶縁チューブの挿着後、振動等で外れることが確実に防止できる。
請求項16に記載の手段によれば、第1規制部は、巻回部の周方向において、第1係止部のコイル巻線周方向位置に対し、コイル巻線に沿って巻き終り引出線の基端部側と反対側であるコイル巻線上を延在する側に位置することを特徴としている。
請求項17に記載の手段によれば、第1係止部または第2係止部とV溝壁面との間に絶縁ボビンと連接されるボビン壁部が形成され、ボビン壁部とV溝壁面とが当接していることを特徴としている。
請求項18に記載の手段によれば、第2規制部は、絶縁ボビンの内径側にボビン壁面から突出した、円弧状断面をもつ凸状形状で、引出線におけるコイル巻線周方向から軸方向に向って円弧状外周面と外接または近接するように設けられたことを特徴としている。
これにより、引出線は第1規制部とに挟まれて係止できるので、ズレの生じない安定した固定が可能となる。
請求項19に記載の手段によれば、引出線は、第1規制部に内接し、さらに、第2規制部に外接して曲げられ、第1規制部および第2規制部に挟まれて、第1係止部に向って軸方向に敷設されることを特徴としている。
これにより、第1規制部および第2規制部に挟まれて係止できるので、ズレの生じない安定した固定が可能となる。
請求項20に記載の手段によれば、第2規制部は、絶縁ボビンの径方向外側に向うにつれ、あるいは周方向の反巻回方向(反引出線延在方向)に向うにつれ、軸方向の部材厚みが薄くなるテーパ状に形成されること特徴としている。
これにより、テーパ形状により引出線を第1係止部に挿着するときに第2規制部との係合代が増加し、摩擦力が増加してズレが生じ難くなる。
請求項21に記載の手段によれば、引出線の前記第1規制部による曲げ起点から第1係止部の周方向の先端角部を結ぶ仮想線と、これに平行な第2規制部の周方向の先端角部を起点とする仮想線を、略径方向内側に向って投影した場合の投影面上の間隔は、引出線径より大きく設定されたことを特徴としている。
請求項22に記載の手段によれば、第2溝部の巻回部内径側の壁面の径方向位置は、ポールコアの肩部における引出線の接触位置と第1溝部の内径側の壁面の径方向位置とを結ぶ仮想線上と同じか、あるいは、より外径側に設けられたことを特徴としている。
請求項23に記載の手段によれば、第1係止部には、引出線を係止するスリット開放部が、内側から外側に向かう第1溝部を有して形成され、かつ、第1溝部に平行に、軸方向の反フランジ部側に突出する第1突起部を有して形成されており、第2係止部には、第1係止部と所定の間隔を有して配設され、第1突起部と対向し、所定の間隔を有して第2突起部が形成され、引出線に被覆する絶縁チューブを径方向ならびに周方向に係止する第2溝部を有して形成されており、引出線は、界磁コイルの巻回部から巻回方向に向い、第1規制部を経由して径方向ならびに軸方向に向かい、第1係止部のスリット開放部の第1溝部に係止され、つづく第1突起部および第2突起部の間に形成される第2溝部に係止されて、絶縁チューブとともに軸方向に敷設されることを特徴としている。
請求項24に記載の手段によれば、第2溝部の溝幅は、絶縁チューブと引出線が挿通されたとき、絶縁チューブ外径と同じか小さく、引出線径と絶縁チューブ厚みの2倍とを加えた寸法値より大きいことを特徴としている。
これにより、絶縁チューブと絶縁ボビンの固定力を向上でき、ポールコア振動により引出線に作用する引張応力を効果的に分散できる。
請求項25に記載の手段によれば、第1溝部および第2溝部には、樹脂含浸の接着材が充填されることを特徴としている。
これにより、樹脂含浸の液状の接着剤の流れ出しが特定方向のみ抑制されるので、絶縁チューブの接着強度に係る設計自由度を高めることが可能となる。
請求項26に記載の手段によれば、シャフトに圧入固着されるランデル型ポールコアと、ポールコアに絶縁ボビンを介して巻装される界磁コイルとを備えた回転電機の回転子の製造方法において、巻き始めの引出線を、絶縁ボビンの巻き始め側ボビン規制部に係止し、絶縁ボビンの巻胴部に巻線を巻回後、巻線の周方向に延在する巻き終りの引出線を、巻き終り側の第1規制部および第2規制部に係止し、各引出線を絶縁ボビンの軸方向に曲げるコイル巻線工程と、コイル巻線工程の後に、各引出線に絶縁チューブを絶縁ボビンの軸方向フランジ部側に移送させ被覆し、各引出線を絶縁チューブとともに把持した状態で、第1係止部および第2係止部に向けて動かし、各係止部に形成された各溝部に各引出線と絶縁チューブとを挿着させる絶縁チューブ組立工程とを採用することを特徴としている。
請求項27に記載の手段によれば、絶縁チューブの上端側もしくは第1係止部嵌着領域外側近傍を把持して、各引出線と絶縁チューブとを各係止部に挿着させることを特徴としている。
これにより、絶縁チューブをより容易に係止部に挿着できる。
請求項28に記載の手段によれば、絶縁チューブを各係止部に潰してスリット奥部に挿着させるため、把持型によって把持されて、径方向内側より外側に押し込み挿着することを特徴としている。
これにより、絶縁チューブをより容易に係止部に挿着できる。
請求項29に記載の手段によれば、絶縁チューブを各係止部に潰してスリット奥部に挿着させるため、予め外力によって潰した後、外力を維持しながら絶縁チューブを各係止部に挿着することを特徴としている。
これにより、絶縁チューブをより容易に係止部に挿着できる。
本発明の実施例1は、回転電機の回転子として車両用交流発電機に適用する場合について説明する。
このように、本実施例では、引出線16の基端部が規制部29を経由して巻回方向とは逆方向に、かつ、径方向に向かう第1係止部17の第1溝部31に挿着され、その後、この引出線16の中間部は、基端部まで延在する絶縁チューブ25に被覆された状態で、当接部34に当接しながら径方向に第2係止部18に向かう。そして、その後、この引出線16の中間部を絶縁チューブ25とともに扇状部32の自由端部36の開口部を経由して径方向内側に引き回し、第2溝部へ内側からスリット開放側に挿し込むとともに、絶縁チューブ25を押し潰しつつ外側に押し、くびれ部35に挿着して、軸方向に敷設する。そして、その後、この引出線16の中間部をV溝壁面27と離間させてポールコア3の肩部24に当接し、肩部24から径方向に配設された溝部19内に敷設して、引出線16の終端部を接続ターミナル22、23に接続する。そして、引出線16を挿着、固定して後、さらに、樹脂による含浸により、界磁コイル6の巻線同士、引出線16と絶縁チューブ25、および絶縁チューブ25と絶縁ボビン5とを接着し、確実に固定するようにした。
図5および図6は本発明の他の実施例を示したもので、図5は回転子の係止構造を示し、(a)は引出線未挿着の拡大斜視図であり、(b)は引出線挿着後の拡大斜視図である。図6は、回転子の係止構造の樹脂含浸前および樹脂含浸後の詳細図であり、(a)は正面図であり、(b)は立面図であり、(c)は側面図である。
本実施例と実施例1とは、主に、係止構造の規制部および係止部の形状が異なるのみで、それにより組立される回転子1の構造および機能が大きく変わるところはない。よって、実施例1と同じ作用・効果を奏する。また、本実施例では、構造が簡単になったので組付けが容易となり、また、引出線16を直線状のまま引き回せ、しかも引き回し方向が径方向および軸方向と一定しており、従って、引出線16および絶縁チューブ25の組付け精度が向上し、ばらつきのない安定した組付強度が保持できる。
図8および図9は本発明の他の実施例を示したもので、図8は回転子の係止構造を示し、(a)は引出線未挿着の拡大斜視図であり、(b)は引出線挿着後の拡大斜視図である。図9は、回転子の係止構造の樹脂含浸前および樹脂含浸後の詳細図であり、(a)は正面図であり、(b)は立面図であり、(c)は側面図である。
ボビン係止部挿通工程は、図10に示すように、巻胴部13に巻回された界磁コイル6の巻き終り側から伸びる引出線16の先端部を把持し、引出線16の基端部を、第1規制部52の曲げ起点に当接して曲げ、直線状に把持したまま第1係止部17の扇状部30の自由端部36に至るよう径方向内側に移動させる。そして、引出線16に絶縁チューブ25を軸方向ボビン側に移送させて挿入(被覆)する(第1ステップ、図10−S1参照)。
図9の樹脂含浸後の係止構造の詳細図に示すように、引出線16に被覆する絶縁チューブ25を扁平に潰して挿通するので、挿着がし易く、絶縁チューブ25の組付け位置が安定し、絶縁チューブ25とフランジ部14との間に適量の含浸材40が充填されて、これらの間の接着が適正に行われる。また、絶縁チューブ25を扁平状に挿着固定することで、扁平面に沿う接着材の充填は比較的多量となって、接着強度を高め、逆に、扁平面に直交する面に沿う接着材の充填は比較的少量となって、振動吸収効果が高めて樹脂含浸による接着効果を向上することができる。
本実施例と実施例2とは、係止構造の係止部の形状が異なるのみで、それにより組立される回転子1の構造および機能が大きく変わるところはない。よって、実施例2と同じ作用・効果を奏する。また、本実施例では、構造が簡単になったので組付けが容易となり、また、絶縁チューブ25を扁平に潰して挿通するので、挿着がし易く、また、絶縁チューブ25の組付け位置が安定し、樹脂含浸による接着効果が向上できる。
上記に述べた本発明の実施例は、いずれも、互いに同形で対をなすポールコア3、4の一方端面を対向させてシャフト2をその中心に挿通させたランデル形ポールコアについて採用したが、これに限ることなく対をなすポールコア3、4を2つ、シャフト2により串刺しに圧入するタンデム型ポールコアに採用してもよく、また、その他、対向させて複数の密着面を形成してなる回転子に採用してもよい。
2 シャフト
3、4 ポールコア(回転子鉄心、ランデル型ポールコア)
5 絶縁ボビン
6 界磁コイル
13 巻胴部
14 フランジ部
16 引出線
17 第1係止部
18 第2係止部
25 絶縁チューブ
27 V溝壁面
28 ボビン壁部
31、53、 第1溝部
33、54、64 第2溝部
34 当接部
35 くびれ部
40 含浸材(接着材)
51 第2規制部
52 第1規制部
61 第1突起部
62 第2突起部
A 曲げ起点
D 投影面上の間隔
Claims (29)
- シャフトに圧入固着されるランデル型ポールコアと、
前記ポールコアに絶縁ボビンを介して巻装される界磁コイルと、
を備えた回転電機の回転子において、
前記絶縁ボビンは、前記界磁コイルが巻回される円筒状の巻胴部と、
前記巻胴部の両端から径方向外側に伸びるフランジ部とを有し、
前記フランジ部には、前記界磁コイルの巻き始め側および巻き終り側の引出線を、前記フランジ部の端面に沿って、前記界磁コイルの巻回方向に対して逆方向に、かつ、径方向内側に向かわせる第1係止部と、
前記第1係止部には、前記引出線を係止する第1の溝部が、径方向外側から内側に向けて形成されており、
前記界磁コイルの巻回方向に対して逆方向に、かつ、径方向内側に向かう前記引出線を前記フランジ部の端面に対して軸方向に向かわせる第2係止部と、
前記第2係止部には、前記引出線を係止する第2の溝部が、径方向内側から外側に向けて、かつ、くびれ部を有して形成されており、
前記引出線は、前記界磁コイルの巻回部から前記第1係止部を経由して巻回方向に対して逆方向に、かつ、径方向に敷設され、さらに、前記第2係止部を経由して軸方向に敷設されており、前記第2係止部における前記引出線の固定において、前記引出線が前記くびれ部に径方向内側から外側に向けて挿着され、係止されていることを特徴とする回転電機の回転子。 - 請求項1に記載の回転電機の回転子において、
前記引出線には、前記引出線を被覆する絶縁チューブが前記引出線の基端部まで挿入され、前記絶縁チューブは、前記引出線とともに前記第2係止部の前記くびれ部に挿着され、
前記くびれ部は、前記くびれ部に前記引出線を挿着した状態で、前記引出線を被覆する前記絶縁チューブの外径より小さく、前記引出線の外径と前記絶縁チューブのチューブ厚みの2倍とを加えた寸法値と同じかそれ以上のくびれ幅を設けたことを特徴とする回転電機の回転子。 - 請求項1または2に記載の回転電機の回転子において、
前記第1係止部と前記第2係止部との間に敷設される前記引出線が、前記第1係止部と前記第2係止部との間で前記絶縁ボビンのボビン壁部の内側と接触するように、前記ボビン壁部の内側に凸状の当接部を設けたことを特徴とする回転電機の回転子。 - 請求項1ないし3のいずれか1つに記載の回転電機の回転子において、
前記第1係止部と前記第2係止部との軸方向の間隔は、前記引出線と前記絶縁チューブとが径方向に引き回されて敷設されることができる間隙を備えるように位置決めされることを特徴とする回転電機の回転子。 - 請求項1ないし4のいずれかに記載の回転電機の回転子において、
前記第1係止部における前記引出線を係止する前記第1の溝部が、径方向外側から内側に向けて形成されており、
前記第1の溝部は、前記引出線は挿通するが、前記絶縁チューブは挿通せずに、
前記絶縁チューブの軸方向および径方向への移動を規制するように溝幅を設けたことを特徴とする回転電機の回転子。 - 請求項1ないし5のいずれかに記載の回転電機の回転子において、
前記第2係止部は、前記引出線が前記ポールコアの爪部間谷部のV溝壁面より内径側に位置し、前記V溝壁面との間で、樹脂含浸加工がなされた後、含浸材の充填はされず、互いに離間して敷設されていることを特徴とする回転電機の回転子。 - シャフトに圧入固着されるランデル型ポールコアと、
前記ポールコアに絶縁ボビンを介して巻装される界磁コイルと、
を備えた回転電機の回転子において、
前記絶縁ボビンは、前記界磁コイルが巻回される円筒状の巻胴部と、
前記巻胴部の両端から径方向外側に伸びるフランジ部とを有し、
前記フランジ部には、前記界磁コイルの引出線を、前記フランジ部の端面に沿って、径方向、ならびに軸方向コイル外側向きに向わせる第1係止部と、
前記第1係止部には、前記引出線を挿着するスリット開放部が、内側から外側に向かう第1溝部を有して形成されており、
前記第1係止部と所定の間隔を有して配設される第2係止部と、
前記第2係止部には、前記引出線に被覆する絶縁チューブを径方向ならびに周方向に挿着する第2溝部を有して形成されており、
前記引出線は、前記界磁コイルの巻回部から巻回方向に敷設され、径方向ならびに軸方向に向かって前記第1係止部のスリット開放部の第1溝部に挿着され、つづく前記第2係止部の前記第2溝部に挿着されて、前記絶縁チューブとともに軸方向に敷設されることを特徴とする回転電機の回転子。 - 請求項7に記載の回転電機の回転子において、
前記引出線を、前記フランジ部の端面に沿って、前記巻回部の巻回方向に向かわせ、かつ、前記フランジ部のボビン内径方向および軸方向外側に向かわせる第1規制部と、
前記引出線を、前記巻回部の内径方向および巻回周方向に向かわせ、かつ、引出位置を規制する第2規制部とによって引き出し方向が規制されることを特徴とする回転電機の回転子。 - 請求項7または8に記載の回転電機の回転子において、
前記第1溝部は、前記絶縁チューブのチューブ径より小さな溝幅を有し、前記引出線を挿通して挿着するが、前記絶縁チューブは挿通して挿着せずに、前記絶縁チューブの軸方向への移動および位置を規制するよう設けられたことを特徴とする回転電機の回転子。 - 請求項7ないし9に記載の回転電機の回転子において、
前記第1溝部および前記第2溝部は、前記引出線が前記V溝壁面より径方向外側に離間するよう配置されることを特徴とする回転電機の回転子。 - 請求項7ないし10に記載の回転電機の回転子において、
前記第2溝部の溝幅は、前記絶縁チューブと前記引出線が挿着されたとき、前記引出線径と前記絶縁チューブ厚みの2倍とを加えた寸法値と同じであることを特徴とする回転電機の回転子。 - 請求項7ないし10に記載の回転電機の回転子において、
前記第2溝部の溝幅は、前記絶縁チューブと前記引出線が挿着されたとき、前記絶縁チューブ外径と同じか小さく、前記引出線径と前記絶縁チューブ厚みの2倍とを加えた寸法値より大きいことを特徴とする回転電機の回転子。 - 請求項7ないし12に記載の回転電機の回転子において、
前記第1係止部と前記第2係止部との間に、軸方向に所定の間隙を形成して空間部を設け、前記空間部には樹脂含浸の接着材が充填されることを特徴とする回転電機の回転子。 - 請求項7ないし13に記載の回転電機の回転子において、
前記第1溝部または前記第2溝部は、前記界磁コイルの前記巻回部の周方向において前記巻き終り引出線側または前記巻回部の径方向内径側、もしくはその双方側を含む方向に開放されたスリット開放部が形成され、
前記引出線が、前記第1溝部または第2溝部のいずれかの前記スリット開放部に挿着されることを特徴とする回転電機の回転子。 - 請求項7ないし14に記載の回転電機の回転子において、
前記第1溝部または前記第2溝部の前記スリット開放部は、スリット開放側よりスリット閉塞側に向って、狭まり状テーパ断面を有することを特徴とする回転電機の回転子。 - 請求項7ないし15に記載の回転電機の回転子において、
前記第1規制部は、前記巻回部の周方向において、第1係止部の前記巻回部周方向位置に対し、前記コイル巻線に沿って前記巻き終り引出線の基端部側と反対側である前記コイル巻線上を延在する側に位置することを特徴とする回転電機の回転子。 - 請求項7ないし16に記載の回転電機の回転子において、
前記第1係止部または前記第2係止部と前記V溝壁面との間に前記絶縁ボビンと連接されるボビン壁部が形成され、前記ボビン壁部と前記V溝壁面とが当接していることを特徴とする回転電機の回転子。 - 請求項7ないし17に記載の回転電機の回転子において、
前記第2規制部は、前記絶縁ボビンの内径側に前記ボビン壁面から突出した、円弧状断面をもつ凸状形状で、前記引出線におけるコイル巻線周方向から軸方向に向って前記円弧状外周面と外接または近接するように設けられたことを特徴とする回転電機の回転子。 - 請求項7ないし18に記載の回転電機の回転子において、
前記引出線は、前記第1規制部に内接し、さらに、前記第2規制部に外接して曲げられ、前記第1規制部および前記第2規制部に挟まれて、前記第1係止部に向って軸方向に敷設されることを特徴とする回転電機の回転子。 - 請求項7ないし19に記載の回転電機の回転子において、
前記第2規制部は、前記絶縁ボビンの径方向外側に向うにつれ、あるいは周方向の反巻線巻回方向(反引出線延在方向)に向うにつれ、軸方向の部材厚みが薄くなるテーパ状に形成されること特徴とする回転電機の回転子。 - 請求項7ないし20に記載の回転電機の回転子において、
前記引出線の前記第1規制部による曲げ起点から前記第1係止部の周方向の先端角部を結ぶ仮想線と、これに平行な前記第2規制部の周方向の先端角部を起点とする仮想線を、略径方向内側に向って投影した場合の投影面上の間隔は、前記引出線径より大きく設定されたことを特徴とする回転電機の回転子。 - 請求項7ないし21に記載の回転電機の回転子において、
前記第2溝部の巻回部内径側の壁面の径方向位置は、前記ポールコアの前記肩部における前記引出線の接触位置と第1溝部の内径側の壁面の径方向位置とを結ぶ仮想線上と同じかより外径側に設けられたことを特徴とする回転電機の回転子。 - 請求項7または8に記載の回転電機の回転子において、
前記第1係止部には、前記引出線を係止するスリット開放部が、内側から外側に向かう第1溝部を有して形成され、かつ、前記第1溝部に平行に、軸方向の反フランジ部側に突出する第1突起部を有して形成されており、
前記第2係止部には、前記第1係止部と所定の間隔を有して配設され、
前記第1突起部と対向し、所定の間隔を有して第2突起部が形成され、
前記引出線に被覆する前記絶縁チューブを径方向ならびに周方向に係止する第2溝部を有して形成されており、
前記引出線は、前記界磁コイルの巻回部から巻回方向に向い、前記第1規制部を経由して径方向ならびに軸方向に向かい、前記第1係止部のスリット開放部の第1溝部に係止され、つづく前記第1突起部および第2突起部の間に形成される前記第2溝部に係止されて、前記絶縁チューブとともに軸方向に敷設されることを特徴とする回転電機の回転子。 - 請求項23に記載の回転電機の回転子において、
前記第2溝部の溝幅は、前記絶縁チューブと前記引出線が挿通されたとき、前記絶縁チューブ外径と同じか小さく、前記引出線径と前記絶縁チューブ厚みの2倍とを加えた寸法値より大きいことを特徴とする回転電機の回転子。 - 請求項23または24に記載の回転電機の回転子において、
前記第1溝部および前記第2溝部には、樹脂含浸の前記接着材が充填されることを特徴とする回転電機の回転子。 - シャフトに圧入固着されるランデル型ポールコアと、
前記ポールコアに絶縁ボビンを介して巻装される界磁コイルとを備えた回転電機の回転子の製造方法において、
巻き始めの引出線を、絶縁ボビンの巻き始め側ボビン規制部に係止し、
前記絶縁ボビンの巻胴部に巻線を巻回後、前記巻線の周方向に延在する巻き終りの引出線を、巻き終り側の第1規制部および第2規制部に係止し、前記各引出線を前記絶縁ボビンの軸方向に曲げるコイル巻線工程と、
前記コイル巻線工程の後に、
前記各引出線に絶縁チューブを前記絶縁ボビンの軸方向フランジ側に移送させて被覆し、
前記各引出線を前記絶縁チューブとともに把持した状態で、第1係止部および第2係止部に向けて動かし、
前記各係止部に形成された各溝部に前記各引出線と前記絶縁チューブとを挿着させる絶縁チューブ組立工程と、を採用することを特徴とする回転電機の回転子の製造方法。 - 請求項26に記載の回転電機の回転子の製造方法において、
前記絶縁チューブの上端側もしくは第1係止部挿着領域外側近傍を把持して、前記各引出線と前記絶縁チューブとを前記各係止部に挿着させることを特徴とする回転電機の回転子の製造方法。 - 請求項26または27に記載の回転電機の回転子の製造方法において、
前記絶縁チューブを前記各係止部に潰してスリット奥部に挿着させるため、把持型によって把持されて、径方向内側より外側に押し込み挿着することを特徴とする回転電機の回転子の製造方法。 - 請求項26または27に記載の回転電機の回転子の製造方法において、
前記絶縁チューブを前記各係止部に潰して前記スリット奥部に挿着させるため、
予め外力によって潰した後、前記外力を維持しながら前記絶縁チューブを前記各係止部に挿着することを特徴とする回転電機の回転子の製造方法。
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