JP2009230464A - 車両の障害物検知装置 - Google Patents

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亮太 三戸手
Tadashi Nakamura
正 中村
Sei Kobayashi
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多加志 後藤
Naoya Ruike
直哉 類家
Takashi Nakajima
隆志 中島
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Abstract

【課題】障害物検知手段の検知状態に応じて作動機器を制御する車両の障害物検知装置において、障害物認識の早期化、及び障害物に対する作動機器の制御実行の早期化を図る。
【解決手段】障害物が検出されたか否か判定を行い(S21)、前方ミリ波レーダ3で検知された障害物が後方ミリ波レーダ4で検出された障害物と一致するか判定を行う(S22)。前記障害物が一致しない場合はS23に移行し、一致した場合は直ちにS24へ移行してPCS制御を開始する。S23で、検知された障害物が所定回数連続して検知されたものか判定する。定回数以下、或いは初めて検知されたものであれば、電磁波ノイズによる障害物の誤検知の可能性があるため、再度障害物を検知するためS21に戻る。S24以降は、前述したPCS制御が実行される。
【選択図】 図5

Description

本発明は、レーダを用いた障害物検知手段による検知状態に応じて車両の作動機器を制御する車両の障害物検知装置に関する。
従来より、自車両前方の障害物を検知する障害物検知手段と、この障害物検知手段による障害物の検知状態に応じて車両の作動機器を制御する作動機器制御手段とを有する車両の障害物検知装置は知られている。
特許文献1の車両の障害物検知装置では、障害物の検知状態に応じて報知やブレーキ等の作動機器を制御するPRE CLASH SAFTY SYSTEM(PCS制御)を備えており、所定の運転操作状態を検知した時、作動機器の動作タイミングを遅らせることで、そのままの運転状態を行えば障害物が自車両に衝突しないような場合には、作動機器を作動しないようにすることが提案されている。すなわち、障害物検知手段によって検知される障害物には大きく分けて2通りあり、1つは現状の運転状態を継続すれば自車両にとって危険となる障害物と、もう1つは現状の運転状態を継続すれば障害物が自車両に衝突しない、所謂危険を伴う真の障害物ではないことに着目し、例え障害物が検知されても何れの障害物かを判断することで不必要な制御を防止したものである。これにより、障害物の誤検出を防止でき、不必要な報知やブレーキ作動を防止している。
特開2007−137126号公報
前記特許文献1では、継続した検知により存在が確定している障害物についてのアルゴリズム上の誤認識防止は可能であるが、ノイズに起因して発生し、初めて検知される信号上の障害物についての誤認識防止については考慮されていない。現在、障害物検知手段として、鋭い指向性を有し、高速通信用に広帯域を確保できると共に、小型化・マイクロ化できる等の特徴を有するミリ波レーダが有効であるが、その特性上、放射される電磁波やレーダの筐体の隙間から瞬間的に進入する電波、所謂電磁波ノイズが存在しており、このノイズ検知を障害物からの正常な反射波として誤認識する可能性が存在している。このノイズ検知により、本来実在しない障害物を認識する虞がある。
一方で、後側方から走行して来た他車両が自車両前方に割込みしてきた時、障害物検知手段はこの他車両を初めて検知することになり、この他車両がノイズ検知のよるものか、或いは実在するものかが判定されるまではPCS制御を開始できない。
通常、障害物の真偽判定は、複数回レーダ検知を繰り返すことで初めて検知された障害物が実在するものか否か判定を行っている。しかしながら、車両の衝突対策では、至近距離の領域における障害物検知が最も重要な要素であり、仮に、この領域内で障害物が検知された場合、複数回検知を繰り返す余裕はなく、実在する障害物であるか否か、早く且つ正確な判断を行い、作動機器の制御実行を早期に行う必要がある。
本発明は、レーダを用いた障害物検知手段による検知状態に応じて車両の作動機器を制御する車両の障害物検知装置において、障害物認識の早期化、及び障害物に対する作動機器の制御実行の早期化を目的としている。
請求項1の車両の障害物検知装置は、自車両前方の障害物を検知する前方障害物検知手段と、この前方障害物検知手段からの前方障害物検知情報に基づき車両の作動機器を制御する作動機器制御手段と、自車両後側方の障害物を検知する後側方障害物検知手段とを有する装置であって、作動機器制御手段は、後側方障害物検知手段で検知された障害物の移動履歴を得ると共に、この移動履歴に基づいて推定された所定時点における障害物の位置と前方障害物検知手段で検知された前記所定時点における障害物の位置とを比較する位置比較手段を有し、この位置比較手段により両障害物の位置が一致したと判定された時、前方障害物検知手段で検知された障害物を割込み車両として作動機器を制御することを特徴としている。
請求項2の車両の障害物検知装置は、請求項1の発明において、作動機器は警報手段を有すると共に、後側方障害物検知手段は自車両後側方の他車両を検知するように構成され、他車両が検知されている状態で自車両が他車両側に車線変更する時には警報手段を作動させることを特徴としている。
請求項3の車両の障害物検知装置は、請求項1又は請求項2の発明において、作動機器は警報手段を有すると共に、作動機器制御手段は前方障害物検知手段により検知された障害物に対して自車両と衝突危険性があると判断した時には警報手段を作動させることを特徴としている。
請求項4の車両の障害物検知装置は、請求項1又は請求項2の発明において、作動機器はブレーキ作動手段を有すると共に、作動機器制御手段は前方障害物検知手段により検知された障害物に対して自車両と衝突危険性があると判断した時にはブレーキ作動手段を作動させることを特徴としている。
請求項5の車両の障害物検知装置は、請求項1又は請求項2の発明において、作動機器はシートベルトプリテンショナ機構を有すると共に、作動機器制御手段は前方障害物検知手段により検知された物標に対して自車両と衝突危険性があると判断した時にはシートベルトプリテンショナ機構を作動させることを特徴としている。
請求項6の車両の障害物検知装置は、請求項1又は請求項2の発明において、作動機器は自車両前方の先行車両に対して設定された目標速度で追従走行するクルーズ手段を有すると共に、作動機器制御手段が前方障害物検知手段で検知された障害物を割込み車両と判定した時には先行車両との車間距離を制御することを特徴としている。
請求項1の発明によれば、自車両前方の障害物を検知する前方障害物検知手段と、この前方障害物検知手段からの前方障害物検知情報に基づき車両の作動機器を制御する作動機器制御手段と、自車両後側方の障害物を検知する後側方障害物検知手段とを有する装置であって、作動機器制御手段は、後側方障害物検知手段で検知された障害物の移動履歴を得ると共に、この移動履歴に基づいて推定された所定時点における障害物の位置と前方障害物検知手段で検知された前記所定時点における障害物の位置とを比較する位置比較手段を有し、この位置比較手段により両障害物の位置が一致したと判定された時、前方障害物検知手段で検知された障害物を割込み車両として作動機器を制御するため、障害物認識の早期化、及び障害物に対する作動機器の制御実行の早期化が図れる。つまり、後側方障害物検知手段で検知した障害物の移動履歴に基づいて、前方障害物検知手段で所定の障害物が初めて検知された時点での後側方の障害物の移動位置を推定し、この両障害物の位置が一致した時は、前方障害物が実在するか否か判定するための複数回の検知処理を繰り返すことなく、前方障害物検知手段で検知された障害物を後側方からの割込み車両と認識して作動機器の制御が実行できる。
請求項2の発明によれば、後側方障害物検知手段は自車両後側方の他車両を検知するように構成され、他車両が検知されている状態で自車両が他車両側に車線変更する時には警報手段を作動させるため、車線変更時、運転者の注意を喚起でき安全なレーンチェンジが可能となる。しかも、車線変更用の後側方障害物検知手段を割込み判定用の後側方障害物検知手段として兼用することができる。
請求項3の発明によれば、作動機器は警報手段を有すると共に、作動機器制御手段は前方物標検知手段により検知された障害物に対して自車両と衝突危険性があると判断した時には警報手段を作動させるため、警報により運転者の注意を喚起でき、衝突回避及び安全確保が可能となる。
請求項4の発明によれば、作動機器はブレーキ作動手段を有すると共に、作動機器制御手段は前方障害物検知手段により検知された障害物に対して自車両と衝突危険性があると判断した時にはブレーキ作動手段を作動させるため、制動力による衝突回避及び安全確保が可能となる。
請求項5の発明によれば、作動機器はシートベルトプリテンショナ機構を有すると共に、作動機器制御手段は前方障害物検知手段により検知された障害物に対して自車両と衝突危険性があると判断した時にはシートベルトプリテンショナ機構を作動させるため、シートベルトの引込みによる安全確保が可能となる。
請求項6の発明によれば、作動機器は自車両前方の先行車両に対して設定された目標速度で追従走行するクルーズ手段を有すると共に、作動機器制御手段が前方障害物検知手段で検知された障害物を割込み車両と判定した時には先行車両との車間距離を制御するため、作動機器の制御実行の早期化が図れ、安全なクルーズ走行が可能となる。
以下、本発明の実施例について図面に基づいて説明する。
図1に本発明に係る車両の障害物検知装置2を備えた車両1を示す。この障害物検知装置2は、車両1の前方の障害物を検知する前方障害物障害物検知手段としての前方ミリ波レーダ3と後側方の障害物を検知する後側方障害物障害物検知手段としての後側方ミリ波レーダ4を備えている。ミリ波は、鋭い指向性を持たせることができ、高速な通信用に広帯域を確保でき、部品を小型化・マイクロ化できたりする等の特徴を有している。図3に太線で示すように、前方ミリ波レーダ3の検知範囲は、距離が略100m以内で、放射状に広がるものとなっている。尚、本実施例では、前方ミリ波レーダ3は、車両1の幅方向中心よりも右側にオフセットして配置されているが、必ずしもオフセットされている必要はない。また、前方障害物検知手段を赤外線レーザ等で構成しても良い。
図6に示すように、後側方ミリ波レーダ4,4は車両1の幅方向左右端部に配置されている。後側方ミリ波レーダ4,4の役割は、自車両が走行している車線に隣接する車線を走行している車両、所謂後側方の障害物を検知し、自車両が車線を変更する場合、運転者に警報等で注意を喚起するものである。従って、基本的に、後側方ミリ波レーダ4,4は車線変更制御に用いられる。尚、本実施例では、後側方ミリ波レーダ4,4は、車両1の幅方向左右端部に配置されているが、必ずしも2つ設ける必要はなく、検知領域が広く、後側方が検知できれば1つであっても良い。また、後側方障害物検知手段を赤外線レーザ等で構成しても良い。
図2に示すように、障害物検知装置2は、乗員による車両1の所定の運転操作状態を検知する運転操作状態検知手段5を備えている。所定の運転操作状態とは、車両1が進行方向に対して曲がる、所謂カーブ時やレーンチェンジ時等のステアリングを切る操作等により車両1が曲がる運転操作状態を意味する。
障害物検知装置2は、前方ミリ波レーダ3による障害物の検知状態に応じて後述する車両1の作動機器を制御する作動機器制御手段としての制御ユニット10を備えている。この制御ユニット10は、運転操作状態検知手段5や衝突センサ11等の各種センサからの情報により、作動機器を作動させる役割を有している。作動機器は、乗員に危険状態を報知するホーン等の警報装置17を報知手段として有している。尚、報知手段は、インストルメントパネル上の警告ランプ、カーナビ上の警告表示等で構成しても良い。
制御ユニット10は、後側方ミリ波レーダ4で検知された障害物の移動履歴に基づいて所定時点における障害物の位置を推定する後側方障害物位置推定手段15と、前方ミリ波レーダ3で検知された所定時点における障害物の位置と後側方障害物位置推定手段15で推定された障害物の推定位置とを比較する位置比較手段16とを備えている。
また、制御ユニット10はクルーズコントロール手段12を有し、車速センサ13からの信号に基づきスロットル14を制御して先行する車両に一定距離を保ちながら追従走行するように構成されている。
(障害物検出制御)
図3に示すように、警報装置17は、第1の作動タイミングとしてのLONG警報エリアA1と、この第1の作動タイミングよりも遅い第2の作動タイミングとしてのSHORT警報エリアA2で作動するように構成されている。このLONG警報エリアA1は、ミリ波レーダ3によって障害物50を検知する領域が広範囲のもので、SHORT警報エリアA2はLONG警報エリアA1に比べ狭いものとなっている。
LONG警報エリアA1やSHORT警報エリアA2の車幅方向の領域は、略車幅Lと同じ領域に制限されている、また、先端は左右中心線から車幅Lの±10%の領域を残し、そこから後方に広がるようにカットされた車両1の先端までの山形形状の領域となっている。すなわち、LONG警報エリアA1は、車両1の車幅方向端部端部からのオフセット40%且つ衝突までT1秒の点P1と、オフセット0%且つ衝突までT3秒とT4秒との間の点P4とを結んだ線よりも外側がカットされている。SHORT警報エリアA2は、車両1の車幅方向端部端部からのオフセット40%且つ衝突までT2秒の点P2と、オフセット0%且つ衝突までT3秒とT4秒との間の点P4とを結んだ線よりも外側がカットされた領域となっている。このように、先端側の左右の角部がカットされているのは、自車両から近距離の障害物50はステアリング6の操作によって回避し難いが、遠距離且つ左右中心側の障害物50はステアリング6の操作によって回避し易いためである。
障害物検知装置2は、図示しない作動タイミングSWを備えている。運転者が頻繁に警報装置17が作動するのを嫌う場合に、この作動タイミングSWをSHORTに設定することで、常に作動タイミングがSHORT警報エリアA2に設定されるようになっている。
車両1は、作動機器として車両1に制動力を加えるブレーキ手段18やシートベルト20の弛みを取り、乗員の拘束力を高めるシートベルトプリテンショナ19も備えている。但し、本実施例では、ブレーキ手段18やシートベルトプリテンショナ19の作動タイミングを作動タイミングSWにて切り換えない場合を説明する。
前方ミリ波レーダ3が、障害物50が所定距離(衝突までT3秒の点P3)の領域に侵入したと判断した時に、制御ユニット10によって、ブレーキ手段16に信号が送られ、比較的弱い、運転者に注意を促すための一次ブレーキが作動されるようになっている。更に、前方ミリ波レーダ3が、障害物50が更に近距離(衝突までT4秒の点P5)の領域に侵入したと判断した時に、制御ユニット10によって、ブレーキ手段18に信号が送られ、衝突を回避するための強い二次ブレーキが作動されるようになっている。これら一次ブレーキ及び二次ブレーキの検知領域A3,A4も前記警報エリアA1,A2と同様に左右先端側がカットされている。具体的には、一次ブレーキエリアA3は、オフセット10%の操舵回避時間の点(図示せず)と、オフセット40%且つ衝突までT3秒の点P3とを結んだ線よりも外側がカットされた車両1の先端までが山形形状の領域となっている。また、二次ブレーキエリアA4は、衝突後数秒までの範囲点P7も含まれている。これは、前方ミリ波レーダ3の計測のばらつきを吸収するための制御継続時間であり、衝突後にブレーキ手段18の制動が解除されるのことを防ぐ等の理由により設けられている。
尚、図示しないが、一次ブレーキの作動タイミングを前記警報装置17と同様にLONG(広い領域)とSHORT(狭い領域)で切換可能としても良い。これにより、現状の運転操作を継続すれば障害物50が自車両1に衝突しないような場合に不必要な制動力を加えないようにすることができる。
シートベルトプリテンショナ19は、第1シートベルトプリテンショナ19aと第2シートベルトプリテンショナ19bとで構成されており、前方ミリ波レーダ3によって、障害物50が所定距離(衝突までT5秒の点P6)まで近づいたことを検知した時は、プリテンション作動エリア内に障害物50が接近しているため第1シートベルトプリテンショナ19aによってシートベルト20を図示しないリトラクタに引き込んで乗員を所定の張力(衝突回避操作に影響しない程度)で拘束するようになっている。第2シートベルトプリテンショナ19bは、車両が衝突したことを衝突センサ11によって検出した時に、更にシートベルト20を引き込んで乗員を強い拘束力で拘束するものである。尚、第1シートベルトプリテンショナ19aは図示しない電動モータによってシートベルト20を引き込むように構成されている。第2シートベルトプリテンショナ19bは火薬等のインフレータによってシートベルト20を引き込むように構成されている。
尚、シートベルトプリテンショナ19の作動タイミングを切換可能とし、広い検知領域のLONG(例えば、図3の一次ブレーキエリアA3)で弱くシートベルト20を引き込み、狭い検知領域のSHORT(同図の二次ブレーキエリアA4)で強く引き込むようにしても良い。これにより、現状の運転操作を継続すれば障害物50が自車両に衝突しないような場合に不必要なシートベルト20の引き込みを回避できる。
(運転操作状態検知)
運転操作状態検知手段5として、ステアリング6の操舵角を示す舵角θfを検知する舵角センサ20や、舵角θfの単位時間当たりの変化を示す舵角速度dθf/dsecを検知する舵角速度検出手段21や、車両1が進む方向に対して横方向に受ける加速度、すなわち横Gを検知する横Gセンサ22やステアリング6の操舵角を示す舵角θfの所定時間当たりの積分値を検知する舵角積分値検出手段や、車両1の速度センサ24が設けられている。舵角θfや横Gは、例えば、右側が正、左側が負として制御ユニット10に入力される。また、車両1の旋回半径が所定値以下であることを検知する旋回半径検知手段23も備えている。旋回半径検知手段23はGPSからの信号を受けて判断するものとしても良い。尚、前記舵角速度検出手段21は制御ユニット10によって兼ねることも可能である。
尚、運転操作状態検知手段5は、舵角θf、舵角速度dθf/dsec、舵角θfの所定時間当たりの積分値、横G、車両1の旋回半径R、車速を検知しているが、その全てを検知する必要はなく、その一部のみを検知するものでも良い。また、運転操作状態検知手段5の検知対象を渋滞等道路状態に対応して切り換え、その検知対象が条件を満たした時に、PCS制御による作動機器の動作タイミングを遅らせるように構成しても良い。このようにして、道路状態に応じて最適な検知対象を選択することができる。
障害物検知装置2は、前方ミリ波レーダ3によって検知された障害物50が所定時間検知されなくなった時に、この障害物50の位置を推定して補間する前方障害物位置推定手段24を備えている。この前方障害物位置推定手段24が作動中には、誤動作防止のために障害物検知装置2のPCS制御は行われないように構成されている。
(PCS制御)
次に、本障害物検知装置2の制御ユニット10が行うPCS制御(PRE CLASH SAFTY SYSTEM)について説明する。
制御ユニット10が前方ミリ波レーダ3からの検知出力を受信し、障害物50の位置及び距離の推定のための計算を行う。尚、障害物50が複数検知された場合は、障害物50夫々について個別に判定を行っていくように構成されている。
検知された所定の障害物50が二次ブレーキエリアA4にあるか否かを判定し、二次ブレーキエリアA4にあれば直ちに二次ブレーキを実行する。同様に、一次ブレーキエリアA3にあれば直ちに二次ブレーキより弱い一次ブレーキを実行する。
また、障害物50がLONG警報エリアA1またはSHORT警報エリアA2にあれば直ちに警報装置17が作動する。
更に、制御ユニット10によって、舵角θfの絶対値がα1(例えば90°)よりも大きいか、舵角速度dθf/dsecの絶対値がα2(例えば50°/sec)よりも大きいか、舵角θfの所定時間当たりの積分値の絶対値がα3(例えば90°)よりも大きいか、横Gの絶対値がα4(例えば6m/sec) よりも大きいか、車両1の旋回半径Rが175mよりも小さいかの何れかの条件が満たされているかを判定し、1つでも条件を満たしている場合には、車両1が曲がる運転操作状態であり現状の運転状態を継続すれば障害物が自車両に衝突しないと判定して警報装置17の作動タイミングをSHORTに設定するように構成されている。
(クルーズ制御)
図6は、自車両が片道複数車線の道路(図6では、片道2車線)を走行している時を示している。
クルーズ制御は、自車両と先行車両51との車間距離を検出可能な前方ミリ波レーダ3と、制御ユニット10内のクルーズコントロール手段12と、速度センサ13と、スロットル14と、ブレーキ手段16とによって実行される。
このクルーズ制御は、一定速度で自車両を走行させるオートクルーズモードと先行車両(障害物51)との車間距離を一定に保った状態で自車両を走行させる追従走行モードとの2つのモードから構成されており、運転者の所定の操作によって選択可能となっている。特に、追従走行モード選択時において、割込み車両(障害物52)があった場合には、この割込み車両(障害物52)と所定の車間距離を確保するように構成されている。
尚、オートクルーズモードと前述したPCS制御等他の制御とは独立して並行処理されるように設定されている。
(LCA制御)
次に、自車両が車線変更を行う場合の車線変更制御(LANE CHANGE AID SYSTEM 以下、LCA制御と示す)を説明する。このLCA制御は、図6に示すように、車線Aを走行中の自車両が隣接車線Bに車線変更しようとした際、自車両に接近する車線Bを走行中の後方車両(障害物52)が存在した場合、運転者に対して警報作動して注意を喚起するシステムである。
図4のフローチャートに基づき、制御ユニット10が行うLCA制御を説明する。尚、Si(i=1,2,…)は各ステップを示す。
S1で、後側方ミリ波レーダ4の検知信号に基づき、後側方ミリ波レーダ4が後方障害物52を検知したか否か判定し、検知しなければこの障害物検知を継続し、検知した場合次ステップに移行する。図6に示すように、後側方ミリ波レーダ4は距離が略100m以内の領域A内について障害物を検知可能であり、更に、領域Aの障害物52の自車両に対する相対速度を検出可能である。
S2で、障害物52が自車両に近接しているか否か判定する。近接していない場合、この判定ステップを継続し、近接している場合はS3に移行する。
S3で、自車両に近接している障害物52が複数いれば、夫々に識別番号を割振り、検出された障害物52の識別番号毎に、相対速度(車速)・車間距離・移動方向(移動ベクトル)をテーブル化して制御ユニット10のメモリ内に記憶する。
図6に示すように、後側方ミリ波レーダ4の検知可能な領域は領域Aであり、領域Bに侵入した障害物52は後側方ミリ波レーダ4で検知することが不可能である。従って、障害物52が後側方ミリ波レーダ4により検知できなくなった時、所謂領域Bに侵入した時から前記テーブルに基づいて障害物52の識別番号毎且つ所定時間経過(例えば、200sec)毎の移動軌跡を推定してその移動位置を前記テーブルに追加する。この障害物52の移動軌跡推定期間は、障害物52が領域Bに侵入し、自車両の前方に侵入する場合を想定しているため、最大10秒間程度推定すれば良い。尚、この障害物52の識別番号毎の移動位置は、自車両が速度や進行方向一定の場合の推定結果であるため、自車両が旋回や停止等現状と異なる運転操作が行われた場合には、テーブル内の移動位置推定結果はキャンセルされる。
S3の移動軌跡推定後、自車両が車線Aから車線Bに変更するか否か判定し(S4)、変更する場合はホーン等の警報装置17を作動し運転者に知らせる(S5)。車線変更の判定については、図示しない方向指示器の操作SW、或いはステアリング6の操作(舵角速度等)等適宜選択可能である。
また、S4で車線を変更しない場合スタートにリターンする。
これにより、後側方ミリ波レーダ4で後方車両が検知されている状態で自車両が他車両側に車線変更する時には警報手段を作動させるため、車線変更時、運転者の注意を喚起でき安全なレーンチェンジが可能となる。
(障害物判定制御)
本障害物検知装置2の制御ユニット10は、前方ミリ波レーダ3で検出された障害物を後側方ミリ波レーダ4で検出された障害物と一致するか判定する障害物判定制御を行っている。
図6に示すように、車線Bを走行する後方障害物52が領域Aを走行している間は後側方ミリ波レーダ4で検知し、障害物52が領域Bに侵入すると障害物52の移動軌跡を推定している。この移動軌跡の推定位置と前方ミリ波レーダ3で検知された障害物の位置が一致した場合、仮に前方ミリ波レーダ3で検知された障害物が初めて検知されたものであっても、実在する障害物として複数回検知する障害物の真偽判定を行うことなく、直ちに作動機器の制御を行うものである。つまり、本障害物判定制御においては、LCA制御に用いる検知結果を障害物判定制御に利用することで、障害物認識の早期化を図っている。
図5のフローチャートに基づき、本障害物検知装置2の制御ユニット10が行う誤検出判定制御について説明する。尚、Si(i=21,22…)は各ステップを示す。
S21で前方ミリ波レーダ3による障害物検知を開始し、障害物が検出されたか否か判定を行う。ここで、複数の障害物が検出された場合、検出された障害物夫々に識別番号を割振り、検出された障害物は制御ユニット10内のメモリに記憶されて次のステップに移行する。尚、次ステップからの処理については、所定の障害物、例えば自車両からの距離が最も近い障害物に特定して判定や制御の実行を行い、障害物の処理が終了した後、次に近い障害物の判定を行うように構成されている。
尚、障害物が検出されなかった場合は、前方ミリ波レーダ3による障害物検知を継続する。
S22で、前方ミリ波レーダ3で検知された障害物が後側方ミリ波レーダ4で検出された障害物と一致するか判定を行う。詳述すると、LCA制御で作成している後側方ミリ波レーダ4で検出された障害物52の識別番号毎の相対速度(車速)・車間距離・移動方向(移動ベクトル)・経過時間毎の推定移動位置を収納したテーブルを用いて、以前は車線Bで後側方を走行しており、且つ移動ベクトルが自車両の走行する車線Aに向いており、現時点であれば、前方障害物の位置に移動すると推定される障害物が存在すれば、車線Bで後側方を走行していた後方車両が前方の障害物になったと判定できる。従って、前方ミリ波レーダ3で検知された障害物が後側方ミリ波レーダ4で検出された障害物と一致した場合、直ちにS24へ移行してPCS制御を開始する。尚、存在位置の一致の基準は、推定移動位置の±10%を設定しているが、自車両の速度、或いは後方車両の大きさによって設定範囲は変更可能である。
前方ミリ波レーダ3で検知された障害物が後側方ミリ波レーダ4で検出された障害物の推定移動位置と一致しない場合はS23に移行する。
S23で、検知された障害物が所定回数(例えば、3回)連続して検知されたものか否か判定する。すなわち、既に識別番号を割振られているものであれば、継続して追跡していた障害物であるため確実に実在する障害物であり、S24に移行する。所定回数以下、或いは初めて検知されたものであれば、電磁波ノイズによる障害物の誤検知の可能性があるため、再度障害物を検知するためS21に戻る。
尚、所定回数はミリ波レーダの出力性能や受信性能等によって予め設定されるものである。
S24以降は、前述したPCS制御が実行される。
S24で、障害物が図3の前方ミリ波レーダ3の検出範囲に示すLONG警報エリアA1、SHORT警報エリアA2に存在する場合は警報装置15が作動し(S25)、存在しない場合はS26に移行する。
S26で、障害物が一次ブレーキエリアA3に存在する場合は運転者に注意を促すための一次ブレーキが作動されると共に、二次ブレーキエリアA4にあれば直ちに一次ブレーキより強い二次ブレーキを実行する(27)。尚、図3の前方ミリ波レーダ3の検出範囲に示す二次ブレーキエリアA4は、衝突後数秒までの範囲点P7も含まれているが、便宜上本フローチャートでの説明は省略する。
障害物がブレーキエリアA3,A4に存在しない場合はS28に移行し、障害物がプリテンション作動エリアに存在する場合は、第1シートベルトプリテンショナ19aによってシートベルト20を衝突回避操作に影響しない程度の力でリトラクタに引き込んで乗員を拘束する(S29)。
障害物がプリテンション作動エリアに存在しない場合は、衝突判定を行う(S30)。
衝突センサ11により衝突が検出された場合、第2シートベルトプリテンショナ19bが火薬等のインフレータによってシートベルト20を引き込んで乗員を強い拘束力で拘束する(S31)。S30でNoの場合、スタートにリターンする。
本障害物判定制御によれば、前方障害物が実在するか否か判定するため複数回検知を繰り返すことなく、前方障害物検知手段で検知された障害物を後側方からの割込み車両と認識して直ちに作動機器の制御が実行できる。更に、LCA制御で用いた情報を障害物判定制御に兼用でき、別途センサ等を準備する必要が生じない。しかも、オートクルーズ制御の実行時には割込み車両対応も直ちに行うことができ安全なクルーズ走行が可能となる。
その他、当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱することなく、前記実施例に種々の変更を付加した形態で実施可能であり、本発明はそのような変更形態も包含するものである。
本発明の実施例に係る車両の障害物検知装置を備えた車両の概念図である。 車両の障害物検知装置を示すブロック図である。 ミリ波レーダの検出範囲を示す概念図である。 車線変更制御を示すフローチャートである。 障害物判定制御を示すフローチャートである。 クルーズ制御及び車線変更制御における障害物判定の説明図である。
符号の説明
1 車両
2 障害物検知手段
3 前方ミリ波レーダ
4 後側方ミリ波レーダ
10 制御ユニット
15 後側方障害物位置推定手段
16 位置比較手段
17 警報装置
18 ブレーキ手段
19a 第1シートベルトプリテンショナ
19b 第2シートベルトプリテンショナ
20 シートベルト
50,51 (前方)障害物
52 (後方)障害物

Claims (6)

  1. 自車両前方の障害物を検知する前方物標検知手段と、この前方障害物検知手段からの前方障害物検知情報に基づき車両の作動機器を制御する作動機器制御手段と、自車両後側方の障害物を検知する後側方障害物検知手段とを有する車両の障害物検知装置であって、
    前記作動機器制御手段は、前記後側方障害物検知手段で検知された障害物の移動履歴を得ると共に、この移動履歴に基づいて推定された所定時点における障害物の位置と前記前方障害物検知手段で検知された前記所定時点における障害物の位置とを比較する位置比較手段を有し、この位置比較手段により前記両障害物の位置が一致したと判定された時、前記前方障害物検知手段で検知された障害物を割込み車両として前記作動機器を制御することを特徴とする車両の障害物検知装置。
  2. 前記作動機器は警報手段を有すると共に、前記後側方障害物検知手段は自車両後側方の他車両を検知するように構成され、前記他車両が検知されている状態で自車両が前記他車両側に車線変更する時には前記警報手段を作動させることを特徴とする請求項1に記載の車両の障害物検知装置。
  3. 前記作動機器は警報手段を有すると共に、前記作動機器制御手段は前記前方障害物検知手段により検知された障害物に対して自車両と衝突危険性があると判断した時には前記警報手段を作動させることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両の障害物検知装置。
  4. 前記作動機器はブレーキ作動手段を有すると共に、前記作動機器制御手段は前記前方障害物検知手段により検知された障害物に対して自車両と衝突危険性があると判断した時には前記ブレーキ作動手段を作動させることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両の障害物検知装置。
  5. 前記作動機器はシートベルトプリテンショナ機構を有すると共に、前記作動機器制御手段は前記前方障害物検知手段により検知された障害物に対して自車両と衝突危険性があると判断した時には前記シートベルトプリテンショナ機構を作動させることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両の障害物検知装置。
  6. 前記作動機器は自車両前方の先行車両に対して設定された目標速度で追従走行するクルーズ手段を有すると共に、前記作動機器制御手段が前記前方障害物検知手段で検知された物標を割込み車両と判定した時には先行車両との車間距離を制御することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両の障害物検知装置。
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