JP2009227967A - シアニン化合物及び該化合物を用いた光学フィルター - Google Patents

シアニン化合物及び該化合物を用いた光学フィルター Download PDF

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Abstract

【課題】光学要素として有用な新規シアニン化合物、特に480〜500nmの波長領域において急峻な光吸収を有し、耐光性に優れ、画像表示装置用として特に好適な光学フィルターの光吸収剤に適した新規なシアニン化合物及びこれを含有してなる光学フィルターを提供すること。
【解決手段】下記一般式(I)で表されるシアニン化合物及び該シアニン化合物を含有してなる光学フィルター。
Figure 2009227967

式中のY1部分にフェロセン構造を有する。
【選択図】なし

Description

本発明は、新規なシアニン化合物及び該化合物を用いた光学フィルターに関する。該シアニン化合物は、光学要素として有用なものであり、特に画像表示装置用光学フィルターに用いられる光吸収剤に適した特定の構造を有するものである。
波長450nm〜700nmの範囲に強度の大きい吸収を有する化合物、特に極大吸収(λmax)が450〜620nmにある化合物は、DVD±R等の光学記録媒体の光学記録層や、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)、陰極管表示装置(CRT)、蛍光表示管、電界放射型ディスプレイ等の画像表示装置用の光学フィルターにおいて、光学要素として用いられている。
例えば、画像表示装置における光学要素の用途としては、カラーフィルターの光吸収剤がある。画像表示装置は、赤、青及び緑の三原色の光の組合せでカラー画像を表示しているが、カラー画像を表示する光には、緑と赤の間の550〜620nm等の表示品質の低下をきたす光が含まれており、また、750〜1100nmの赤外リモコンの誤作動の原因となる光も含まれている。光学フィルターには、上記の不要な波長の光を選択的に吸収する機能が求められており、同時に、蛍光灯等の外光の反射や映り込みを防止するために480〜500nm及び540〜560nmの波長光を吸収することも必要とされている。そこで、画像表示装置等には、これらの波長の光を選択的に吸収する光吸収性化合物(光吸収剤)を含有する光学フィルターが使用されている。
更に近年、表示素子の色純度や色分離を十分にし、画像品質を高いものにするために、特に波長480〜500nmの波長を選択的に吸収する光吸収剤が求められている。これらの光吸収剤には、光吸収が特別に急峻であること、即ちλmaxの半値幅が小さいこと、また光や熱等により機能が失われないことが求められる。
光吸収剤を含有する光学フィルターとして、例えば、下記特許文献1には、570〜605nmに極大吸収波長を有するアザポルフィリン化合物を使用した光学フィルターが開示されており、下記特許文献2には、551〜600nmに極大吸収波長を有する縮合多環系顔料を使用した光学フィルターが開示されており、下記特許文献3には、440〜510nmに極大吸収波長を有するジピロメテン金属キレート化合物を使用した光学フィルターが開示されている。しかし、これらの光学フィルターに使用される化合物は、吸収波長特性、或いは溶媒やバインダー樹脂との親和性の点で満足のいく性能を有していない。
特許文献4には、特に480〜500nmに良好な吸収特性を持つシアニン化合物を含有してなる光学フィルターが開示されているが、耐光性という点で満足できるものではなかった。また、特許文献5及び6には、メタロセン結合基で置換したシアニン系化合物を光学記録材料として用いることが記載されているが、光学フィルターとしての利用は記載されていない。また、特許文献6に記載のシアニン化合物は、550nm〜620nmに極大吸収をもつことを特徴としているため、目的とする吸収特性を満足するものではなかった。
特開2003−57437号公報 特開2004−310072号公報 特開2003−57436号公報 特開2005−194509号公報 特開2003−171571号公報 特開2006−104387号公報
従って、本発明の目的は、光学要素として有用な新規シアニン化合物、特に480〜500nmの波長領域において急峻な光吸収を有し、耐光性に優れ、画像表示装置用として特に好適な光学フィルターの光吸収剤に適した新規なシアニン化合物、及びこれを含有する光学フィルターを提供することにある。
本発明者等は、種々検討を重ねた結果、特定の分子構造を持つシアニン化合物が、特定の波長領域において急峻な光吸収を有し、従来のシアニン化合物を含有してなる光学フィルターに比べて良好な耐光性を示し、画像表示装置の画像特性を著しく改善し得ることを知見した。
本発明は、上記知見に基づいてなされたものであり、下記一般式(I)で表されるシアニン化合物、及び該シアニン化合物を含有してなる光学フィルターを提供するものである。
Figure 2009227967
(式中、環Aはベンゼン環又はナフタレン環を表し、環Aの水素原子は炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基、炭素原子数7〜20のアリールアルキル基、ニトロ基、シアノ基又はハロゲン原子で置換されていてもよく、XはCR34、酸素原子、硫黄原子又はセレン原子を表し、R1、R2、R3及びR4は、各々独立に、下記一般式(II)若しくは(II’)で表される基、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基又は炭素原子数7〜30のアリールアルキル基を表し、R1とR2又はR3とR4は、それぞれ連結して3〜6員環の脂環基を形成してもよく、R5、R6、R7及びR8は、各々独立に、水素原子、下記一般式(II)若しくは(II’)で表される基、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基、炭素原子数7〜30のアリールアルキル基、ハロゲン原子又はシアノ基を表し、Y1及びY2は、各々独立に、下記一般式(III)で表される基、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基、炭素原子数7〜30のアリールアルキル基を表し(但し、Y1とY2の少なくとも一方は、下記一般式(III)で表される基である。)、上記の環Aの水素原子を置換してもよい基並びにR1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、Y1及びY2で表される基であるアルキル基、アリール基及びアリールアルキル基のメチレン基は、酸素原子、硫黄原子又は二重結合で1〜3回中断されていてもよく、該アルキル基、アリール基及びアリールアルキル基の水素原子は、ニトロ基、シアノ基又はハロゲン原子で置換されていてもよく、Zは水素原子、ハロゲン原子又はシアノ基を表し、Anq-はq価の陰イオンを表し、qは1又は2の整数を表し、pは電荷を中性に保つ係数を表す。)
Figure 2009227967
(上記一般式(II)において、GとTの間の結合は、二重結合、共役二重結合又は三重結合であり、Gは炭素原子を表し、Tは炭素原子、酸素原子又は窒素原子を表し(但し、Tが酸素原子である場合はyとzは0であり、Tが窒素原子である場合はy+zは0又は1である。)、wは0〜4の数を表し、x、y及びzは、各々独立に、0又は1を表し、R01、R02、R03及びR04は、各々独立に、水素原子、水酸基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子又は置換基を有してもよい炭素原子数1〜4のアルキル基を表し、該アルキル基中のメチレン基は、−O−又は−CO−で置換されていてもよく、R01とR04は結合してシクロアルケン環又は複素環を形成してもよい。上記一般式(II’)において、G’とT’の間の結合は、二重結合又は共役二重結合であり、G’は炭素原子を表し、T’は炭素原子又は窒素原子を表し、w’は0〜4の数を表し、R01’は水素原子、水酸基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子又はハロゲン原子で置換されてもよい炭素原子数1〜4のアルキル基を表し、該アルキル基中のメチレン基は、−O−又は−CO−で置換されていてもよく、G’及びT’を含む環は、ヘテロ原子を含んでもよい5員環、ヘテロ原子を含んでもよい6員環、ナフタレン環、キノリン環、イソキノリン環、アントラセン環又はアントラキノン環を表し、これらG’及びT’を含む環は、ハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、シアノ基、炭素原子数1〜4のアルキル基又は炭素原子数1〜4のアルコキシ基で置換されていてもよい。)
Figure 2009227967
(式中、Ra〜Riは、各々独立に、水素原子又は炭素原子数1〜4のアルキル基を表し、該アルキル基中のメチレン基は、−O−又は−CO−で置換されていてもよく、Qは直接結合又は置換基を有してもよい炭素原子数1〜8のアルキレン基を表し、該アルキレン基中のメチレン基は、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−SO2−、−NH−、−CONH−、−NHCO−、−N=CH−又は−CH=CH−で置換されていてもよく、MはFe、Co、Ni、Ti、Cu、Zn、Zr、Cr、Mo、Os、Mn、Ru、Sn、Pd、Rh、Pt又はIrを表す。)
上記一般式(I)で表される本発明のシアニン化合物は、インドール骨格のN側鎖に特定の基を有することを特徴とする化合物であり、光学フィルターに用いられる従来のシアニン系化合物よりも耐光性が高い。また、該シアニン化合物は450〜700nm、特に480〜600nmに急峻な光吸収を示す。
従って、該シアニン化合物を含有してなる光学フィルターは、画像表示用途、特にプラズマディスプレイ用途に好適な光学フィルターである。
以下、本発明のシアニン化合物、及び該シアニン化合物を含有してなる光学フィルターについて、その好ましい実施形態に基づき詳細に説明する。

先ず、上記一般式(I)で表される本発明のシアニン化合物について説明する。
上記一般式(I)において、環Aで表されるベンゼン環又はナフタレン環を置換してもよい置換基のうち、炭素原子数1〜10のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、s−ブチル、t−ブチル、イソブチル、アミル、イソアミル、t−アミル、ヘキシル、シクロヘキシル、ヘプチル、イソヘプチル、t−ヘプチル、n−オクチル、イソオクチル、t−オクチル、2−エチルヘキシル、トリフルオロメチル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、s−ブトキシ、t−ブトキシ、トリフルオロメチルオキシ、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ、ブチルチオ、s−ブチルチオ、t−ブチルチオ等が挙げられ、炭素原子数6〜20のアリール基としては、フェニル、ナフチル、2−メチルフェニル、3−メチルフェニル、4−メチルフェニル、4−ビニルフェニル、3−イソプロピルフェニル等が挙げられ、炭素原子数7〜20のアリールアルキル基としては、ベンジル、フェネチル、2−フェニルプロパン−2−イル、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル、スチリル、シンナミル等が挙げられ、ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、Y1及びY2で表される炭素原子数1〜20のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、s−ブチル、t−ブチル、イソブチル、アミル、イソアミル、t−アミル、ヘキシル、シクロヘキシル、シクロヘキシルメチル、2−シクロヘキシルエチル、ヘプチル、イソヘプチル、t−ヘプチル、n−オクチル、イソオクチル、t−オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、イソノニル、デシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ペプタデシル、オクタデシル、2−メトキシエチル、3−メトキシプロピル、4−メトキシブチル、2−ブトキシエチル、メトキシエトキシエチル、メトキシエトキシエトキシエチル、3−メトキシブチル、2−メチルチオエチル等が挙げられ、炭素原子数6〜30のアリール基としては、フェニル、ナフチル、2−メチルフェニル、3−メチルフェニル、4−メチルフェニル、4−ビニルフェニル、3−イソプロピルフェニル、4−イソプロピルフェニル、4−ブチルフェニル、4−イソブチルフェニル、4−t−ブチルフェニル、4−ヘキシルフェニル、4−シクロヘキシルフェニル、4−オクチルフェニル、4−(2−エチルヘキシル)フェニル、4−ステアリルフェニル、2,3−ジメチルフェニル、2,4−ジメチルフェニル、2,5−ジメチルフェニル、2,6−ジメチルフェニル、3,4−ジメチルフェニル、3,5−ジメチルフェニル、2,4−ジ−t−ブチルフェニル、シクロヘキシルフェニル、2−フェノキシエチル、2−フェニルチオエチル等が挙げられ、炭素原子数7〜30のアリールアルキル基としては、ベンジル、フェネチル、2−フェニルプロパン−2−イル、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル、スチリル、シンナミル等が挙げられる。
また、R1とR2及びR3とR4は、それぞれが連結して3〜6員環の基を形成してもよい。3〜6員環を形成する基としては、シクロプロパン−1,1−ジイル、シクロブタン−1,1−ジイル、2,4−ジメチルシクロブタン−1,1−ジイル、3−ジメチルシクロブタン−1,1−ジイル、シクロペンタン−1,1−ジイル、シクロヘキサン−1,1−ジイル、テトラヒドロピラン−4,4−ジイル、チアン−4,4−ジイル、ピペリジン−4,4−ジイル、N−置換ピペリジン−4,4−ジイル、モルホリン−2,2−ジイル、モルホリン−3,3−ジイル、N−置換モルホリン−2,2−ジイル、N−置換モルホリン−3,3−ジイル等が挙げられ、そのN−置換基としては、環Aの置換基として例示のものが挙げられる。
5、R6、R7及びR8で表されるハロゲン原子、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、Y1及びY2で表されるアルキル基、アリール基及びアリールアルキル基を置換してもよいハロゲン原子、Zで表されるハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
上記一般式(I)において、Anq-で表される陰イオンとしては、例えば、一価のものとして、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、フッ化物イオン等のハロゲン化物イオン;過塩素酸イオン、塩素酸イオン、チオシアン酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、ヘキサフルオロアンチモン酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン等の無機系陰イオン;ベンゼンスルホン酸イオン、トルエンスルホン酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、ジフェニルアミン−4−スルホン酸イオン、2−アミノ−4−メチル−5−クロロベンゼンスルホン酸イオン、2−アミノ−5−ニトロベンゼンスルホン酸イオン、N−アルキル(又はアリール)ジフェニルアミン−4−スルホン酸イオン等の有機スルホン酸系陰イオン;オクチルリン酸イオン、ドデシルリン酸イオン、オクタデシルリン酸イオン、フェニルリン酸イオン、ノニルフェニルリン酸イオン、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ホスホン酸イオン等の有機リン酸系陰イオン、ビストリフルオロメチルスルホニルイミドイオン、ビスパーフルオロブタンスルホニルイミドイオン、パーフルオロ−4−エチルシクロヘキサンスルホン酸イオン、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸イオン、トリス(フルオロアルキルスルホニル)カルボアニオン等が挙げられ、二価のものとしては、例えば、ベンゼンジスルホン酸イオン、ナフタレンジスルホン酸イオン等が挙げられる。また、励起状態にある活性分子を脱励起させる(クエンチングさせる)機能を有するクエンチャー陰イオンやシクロペンタジエニル環にカルボキシル基やホスホン酸基、スルホン酸基等の陰イオン性基を有するフェロセン、ルテオセン等のメタロセン化合物陰イオン等も、必要に応じて用いることができる。また、pは、分子全体で電荷が中性となるように選択される。
上記のクエンチャー陰イオンとしては、例えば、下記一般式(A)若しくは(B)又は下記式(C)又は(D)で表されるもの、特開昭60−234892号公報、特開平5−43814号公報、特開平5−305770号公報、特開平6−239028号公報、特開平9−309886号公報、特開平9−323478号公報、特開平10−45767号公報、特開平11−208118号公報、特開2000−168237号公報、特開2002−201373号公報、特開2002−206061号公報、特開2005−297407号公報、特公平7−96334号公報、国際公開98/29257号公報等に記載されたような陰イオンが挙げられる。
Figure 2009227967
(式中、Mは、上記一般式(III)と同じであり、R11及びR12は、各々独立に、ハロゲン原子、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基又は−SO2−G基を表し、Gはアルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアリール基、ジアルキルアミノ基、ジアリールアミノ基、ピペリジノ基又はモルフォリノ基を表し、a及びbは、各々独立に、0〜4の数を表す。また、R13、R14、R15及びR16は、各々独立に、アルキル基、アルキルフェニル基、アルコキシフェニル基又はハロゲン化フェニル基を表す。)
Figure 2009227967
上記一般式(II)におけるR01、R02、R03、R04及び上記一般式(II’)におけるR01’で表されるハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられ、上記一般式(II)におけるR01、R02、R03、R04及び上記一般式(II’)におけるR01’で表される炭素原子数1〜4のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、s−ブチル、t−ブチル、イソブチル等が挙げられ、該アルキル基中のメチレン基が−O−で置換された基としては、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、イソプロピルオキシ、メトキシメチル、エトキシメチル、2−メトキシエチル等が挙げられ、該アルキル基中のメチレン基が−CO−で置換された基としては、アセチル、1−カルボニルエチル、アセチルメチル、1−カルボニルプロピル、2−オキソブチル、2−アセチルエチル、1−カルボニルイソプロピル等が挙げられ、これらは何れも、置換基を有していてもよい。R01とR04とが連結して形成するシクロアルケン環としては、シクロプロペン環、シクロブテン環、シクロペンテン環、シクロヘキセン環等が挙げられ、R01とR04とが連結して形成する複素環としては、テトラヒドロピラン環、ピペリジン環、ピペラジン環、ピロリジン環、モルホリン環、チオモルホリン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、イミダゾール環、オキサゾール環、イミダゾリジン環、ピラゾリジン環、イソオキサゾリジン環、イソチアゾリジン環等が挙げられ、これらの環は他の環と縮合されていたり、置換されていたりしてもよい。上記一般式(II)におけるR01、R02、R03、R04及び上記一般式(II’)におけるR01’で表される炭素原子数1〜4のアルキル基、上記一般式(II)におけるR01とR04とが連結して形成する環構造の置換基としては、上記一般式(I)の説明で例示したものが挙げられる。尚、R01、R02、R03、R04及びR01’が上記の炭素原子数1〜4のアルキル基等であり、且つ以下の置換基の中でも、炭素原子を含有する置換基を有する場合は、該置換基を含めたR01等の全体の炭素原子数が、規定された範囲を満たすものとする。
上記一般式(II’)において、ヘテロ原子を含んでもよい5員環としては、例えばシクロペンテン環、シクロペンタジエン環、イミダゾール環、チアゾール環、ピラゾール環、オキサゾール環、イソキサゾール環、チオフェン環、フラン環、ピロール環等が挙げられ、ヘテロ原子を含んでもよい6員環としては、例えばベンゼン環、ピリジン環、ピペラジン環、ピペリジン環、モルホリン環、ピラジン環、ピロン環、ピロリジン環等が挙げられる。
上記一般式(III)におけるRa〜Riで表される炭素原子数1〜4のアルキル基としては、上記一般式(II)の説明で例示したものが挙げられ、該アルキル基中のメチレン基が−O−で置換された基としては、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、イソプロピルオキシ、メトキシメチル、エトキシメチル、2−メトキシエチル等が挙げられ、該アルキル基中のメチレン基が−CO−で置換された基としては、アセチル、1−カルボニルエチル、アセチルメチル、1−カルボニルプロピル、2−オキソブチル、2−アセチルエチル、1−カルボニルイソプロピル等が挙げられる。
上記一般式(III)におけるQで表される置換基を有してもよい炭素原子数1〜8のアルキレン基としては、メチレン、エチレン、プロピレン、メチルエチレン、ブチレン、1−メチルプロピレン、2−メチルプロピレン、1,2−ジメチルプロピレン、1,3−ジメチルプロピレン、1−メチルブチレン、2−メチルブチレン、3−メチルブチレン、4−メチルブチレン、2,4−ジメチルブチレン、1,3−ジメチルブチレン、ペンチレン、へキシレン、ヘプチレン、オクチレン、エタン−1,1−ジイル、プロパン−2,2−ジイル等が挙げられ、該アルキレン基中のメチレン基が−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−SO2−、−NH−、−CONH−、−NHCO−、−N=CH−又は−CH=CH−で置換された基としては、メチレンオキシ、エチレンオキシ、オキシメチレン、チオメチレン、カルボニルメチレン、カルボニルオキシメチレン、メチレンカルボニルオキシ、スルホニルメチレン、アミノメチレン、アセチルアミノ、エチレンカルボキシアミド、エタンイミドイル、エテニレン、プロペニレン等が挙げられる。上記一般式(III)におけるQで表される炭素原子数1〜8のアルキレン基の置換基としては、上記一般式の説明で例示したものが挙げられる。
上記一般式(I)において、Xが硫黄原子であるシアニン化合物は、光学特性に優れるため好ましく、上記一般式(I)において、Y1が上記一般式(III)で表される基であり、Y2が炭素原子数1〜8のアルキル基であるシアニン化合物は、良好な耐光性を有する光学フィルターを与えるため好ましい。更に、上記一般式(I)において、Y1とY2が共に上記一般式(III)で表される基であるシアニン化合物は、より耐光性が向上するため好ましい。
更に、上記一般式(I)において、R1及びR2が共にメチル基であり、R5、R6、R7及びR8がすべて水素原子であるシアニン化合物や、上記一般式(III)において、MがFeであり、Qが炭素原子数1〜8のアルキレン基であるシアニン化合物は、製造コストが小さいため好ましい。
上記一般式(I)において、Anq-で表される陰イオンが、ヘキサフルオロリン酸イオン又は下記一般式(IV)で表されるイオンであるシアニン化合物は、耐熱性に優れるため好ましい。
Figure 2009227967
(式中、R9及びR10は、各々独立に、炭素原子数1〜8のパーハロアルキル基を表す。)
上記一般式(IV)におけるR9及びR10で表される炭素原子数1〜8のパーハロアルキル基としては、上記一般式(I)におけるR1、R2及びY2で表されるアルキル基として例示した置換基のうち、規定の炭素数を満たす置換基をハロゲン原子で置換したものが挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられるが、中でもフッ素原子が、得られるシアニン化合物の溶解性が向上するので好ましい。フッ素原子で置換されたパーフルオロアルキル基の具体例としては、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、モノフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、テトラフルオロエチル、トリフルオロエチル、ジフルオロエチル、ヘプタフルオロプロピル、ヘキサフルオロプロピル、ペンタフルオロプロピル、テトラフルオロプロピル、トリフルオロプロピル、パーフルオロブチル等が挙げられ、トリフルオロメチル基が特に好ましい。
本発明のシアニン化合物は、下記〔化7〕に示されるような共鳴構造を有するが、どちらの構造式であってもよい。また、本発明のシアニン化合物には、R1及びR2又はR3及びR4で表される基が結合する不斉炭素原子をキラル中心とするエナンチオマー、ジアステレオマー又はラセミ体等の光学異性体が存在する場合があるが、これらのうち、いかなる光学異性体を単離して用いても、或いはそれらの混合物として用いてもよい。
Figure 2009227967
上記一般式(I)で表される本発明のシアニン化合物の陽イオン部分の具体例としては、以下に示す化合物No.1〜No.33が挙げられる。
Figure 2009227967
Figure 2009227967
Figure 2009227967
上記一般式(I)で表される本発明のシアニン化合物は、その製造方法によって制限を受けるものではないが、例えば、2−メチルチアゾリウム塩誘導体とN,N’−ジフェニルアミジン等のブリッジ剤とを反応させて得られる中間体に、2−メチルインドリウム塩誘導体をピリジン中、無水酢酸を作用させる方法により製造することができる。
上述した本発明のシアニン化合物は、450nm〜700nmの範囲の光に対する光学要素、特に480〜500nmの範囲の光に対する光学要素として好適である。尚、光学要素とは、特定の光を吸収することにより機能を発揮する要素のことであり、具体的には、光学フィルターに用いられる光吸収剤、DVD±R等の光学記録媒体における光学記録層に用いられる光学記録剤や光増感剤等が挙げられる。特に本発明のシアニン化合物は、以下に説明するように光学フィルターの光吸収剤として有用である。

次に、本発明の光学フィルターについて以下に説明する。
本発明の光学フィルターは、上記一般式(I)で表される本発明のシアニン化合物の少なくとも一種を含有する。該シアニン化合物は、吸収極大波長を480〜500nmの範囲内又はその付近に持ち、一部の可視光線を選択的に吸収して遮断することができるので、該シアニン化合物を含有する本発明の光学フィルターは、表示画像の高品質化に用いられる画像表示装置用の光学フィルターとして特に好適なものである。本発明の光学フィルターは、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)、陰極管表示装置(CRT)、蛍光表示管、電界放射型ディスプレイ等の画像表示装置用の他に、眼鏡レンズ、窓、分析装置用途、半導体装置用途、天文観測用途、光通信用途等の各種用途にも用いることができる。
本発明の光学フィルターには、必要に応じてジイモニウム化合物を併用することができる。該ジイモニウム化合物としては、光学フィルターにおいて近赤外線吸収化合物として通常用いられている公知の化合物を用いることができるが、本発明のシアニン化合物と同じ陰イオンを有するジイモニウム化合物を用いるのが、塗工液の安定性が増すので好ましい。
上記ジイモニウム化合物としては、下記一般式(V)で表される化合物を好ましく用いることができる。
Figure 2009227967
(式中、R17、R18、R19、R20、R21、R22、R23及びR24は、各々独立に、水素原子又は炭素原子数1〜8のアルキル基を表し、R25、R26、R27及びR28は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜8のアルキル基又はアミノ基を表す。R17、R18、R19、R20、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27及びR28で表される炭素原子数1〜8のアルキル基、R25、R26、R27及びR28で表されるアミノ基は、置換基を有していてもよい。上記炭素原子数1〜8のアルキル基中のメチレン基は、−O−又は−CH=CH−で置換されていてもよく、rは1〜4の数を表し、An、p及びqは、上記一般式(I)と同じである。)
本発明の光学フィルターにおいて、上記一般式(I)で表される本発明のシアニン化合物の含有量は、通常1〜1000mg/m2、好ましくは5〜100mg/m2であり、該含有量が1mg/m2未満では、光吸収効果を十分に発揮することができず、1000mg/m2を超えて含有する場合には、フィルターの色目が強くなりすぎて表示品質等を低下させるおそれがあり、更には、光吸収剤の配合量が増えることにより明度が低下するおそれもある。
また、必要に応じて併用されるジイモニウム化合物の含有量は、光学フィルターの単位面積当たり10〜10000mg/m2、好ましくは50〜1000mg/m2である。
本発明の光学フィルターは、通常、ディスプレイの前面に配置される。例えば、本発明の光学フィルターは、ディスプレイの表面に直接貼り付けてもよく、ディスプレイの前に前面板が設けられている場合は、前面板の表側(外側)又は裏側(ディスプレイ側)に貼り付けてもよい。
本発明の光学フィルターの形状に関しては、特に制限されるものではないが、通常、透明支持体に、必要に応じて下塗り層、反射防止層、ハードコート層、潤滑層、保護層等の各層を設けたものが挙げられる。本発明のシアニン化合物や、本発明のシアニン化合物以外の色素化合物である光吸収剤、各種安定剤等の任意成分を本発明の光学フィルターに含有させる方法としては、例えば、(1)透明支持体又は任意の各層に含有させる方法、(2)透明支持体又は任意の各層にコーティングする方法、(3)透明支持体及び任意の各層から選択される任意の隣合う二者間の粘着剤層に含有させる方法、(4)任意の各層とは別に、本発明のシアニン化合物等の光吸収剤等を含有する光吸収層を設ける方法が挙げられる。
上記透明支持体の材料としては、例えば、ガラス等の無機材料;ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース(TAC)、プロピオニルセルロース、ブチリルセルロース、アセチルプロピオニルセルロース、ニトロセルロース等のセルロースエステル;ポリアミド;ポリカーボネート;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−1,2−ジフェノキシエタン−4,4’−ジカルボキシレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル;ポリスチレン;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン;ポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂;ポリカーボネート;ポリスルホン;ポリエーテルスルホン;ポリエーテルケトン;ポリエーテルイミド;ポリオキシエチレン、ノルボルネン樹脂等の高分子材料が挙げられる。透明支持体の透過率は80%以上であることが好ましく、86%以上であることが更に好ましい。ヘイズは、2%以下であることが好ましく、1%以下であることが更に好ましい。屈折率は、1.45〜1.70であることが好ましい。
上記透明支持体中には、本発明のシアニン化合物以外の他の光吸収剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、フェノール系、リン系、イオウ系等の酸化防止剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、無機微粒子、耐光性付与剤、芳香族ニトロソ化合物、アミニウム化合物、イミニウム化合物、遷移金属キレート化合物等を添加することができ、また、上記透明支持体には、各種の表面処理を施すこともできる。
上記本発明のシアニン化合物以外の光吸収剤としては、例えば、光学フィルターを画像表示装置用途に用いる場合には、色調調整用の光吸収剤、外光の反射や映り込み防止用の光吸収剤が挙げられ、画像表示装置がプラズマディスプレイの場合には、赤外リモコン誤作動防止用の光吸収剤が挙げられる。
上記色調調整用の上記光吸収剤としては、波長480〜500nmのオレンジ光の除去のために用いられるものとして、トリメチンインドリウム化合物、トリメチンベンゾオキサゾリウム化合物、トリメチンベンゾチアゾリウム化合物等のトリメチンシアニン誘導体;ペンタメチンオキサゾリウム化合物、ペンタメチンチアゾリウム化合物等のペンタメチンシアニン誘導体;スクアリリウム色素誘導体;アゾメチン色素誘導体;キサンテン色素誘導体;アゾ色素誘導体;オキソノール色素誘導体;ベンジリデン色素誘導体;ピロメテン色素誘導体;アゾ金属錯体誘導体:ローダミン色素誘導体;フタロシアニン誘導体;ポルフィリン誘導体;ジピロメテン金属キレート化合物等が挙げられる。
上記の外光の反射や映り込み防止用の光吸収剤(波長480〜500nm対応)としては、トリメチンインドリウム化合物、トリメチンオキサゾリウム化合物、トリメチンチアゾリウム化合物、インドリデントリメチンチアゾニウム化合物等のトリメチンシアニン誘導体;フタロシアニン誘導体;ナフタロシアニン誘導体;ポルフィリン誘導体;ジピロメテン金属キレート化合物等が挙げられる。
上記の赤外リモコン誤作動防止用の光吸収剤(波長750〜1100nm対応)としては、上記一般式(V)で表される化合物以外のジイモニウム化合物;ペンタメチンベンゾインドリウム化合物、ペンタメチンベンゾオキサゾリウム化合物、ペンタメチンベンゾチアゾリウム化合物等のペンタメチンシアニン誘導体;ヘプタメチンインドリウム化合物、ヘプタメチンベンゾインドリウム化合物、ヘプタメチンオキサゾリウム化合物、ヘプタメチンベンゾオキサゾリウム化合物、ヘプタメチンチアゾリウム化合物、ヘプタメチンベンゾチアゾリウム化合物等のヘプタメチンシアニン誘導体;スクアリリウム誘導体;ビス(スチルベンジチオラト)化合物、ビス(ベンゼンジチオラト)ニッケル化合物、ビス(カンファージチオラト)ニッケル化合物等のニッケル錯体;スクアリリウム誘導体;アゾ色素誘導体;フタロシアニン誘導体;ポルフィリン誘導体;ジピロメテン金属キレート化合物等が挙げられる。
本発明の光学フィルターにおいて、上記の色調調整用の光吸収剤、外光の反射や映り込み防止用の光吸収剤、及び赤外リモコン誤作動防止用の光吸収剤(近赤外線吸収剤)は、本発明のシアニン化合物を含有させる層と同一の層に含有させてもよく、別の層に含有させてもよい。それらの使用量はそれぞれ、通常光学フィルターの単位面積当たり1〜1000mg/m2の範囲であり、好ましくは5〜100mg/m2である。
また、上記透明支持体に添加することができる上記無機微粒子としては、例えば、二酸化珪素、二酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、タルク、カオリン等が挙げられる。
上記透明支持体に施すことができる上記の各種の表面処理としては、例えば、薬品処理、機械的処理、コロナ放電処理、火焔処理、紫外線照射処理、高周波処理、グロー放電処理、活性プラズマ処理、レーザー処理、混酸処理、オゾン酸化処理等が挙げられる。
本発明の光学フィルターに設けることができる上記下塗り層は、任意の各層とは別に光吸収剤を含有するフィルター層を設ける場合に、透明支持体と光フィルター層との間に用いる層である。上記下塗り層は、ガラス転移温度が−60〜60℃のポリマーを含む層、フィルター層側の表面が粗面である層、又はフィルター層のポリマーと親和性を有するポリマーを含む層として形成する。また、下塗り層は、フィルター層が設けられていない透明支持体の面に設けて、透明支持体とその上に設けられる層(例えば、反射防止層、ハードコート層)との接着力を改善するために設けてもよく、光学フィルターと画像表示装置とを接着するための接着剤と光学フィルターとの親和性を改善するために設けてもよい。下塗り層の厚みは、2nm〜20μmが好ましく、5nm〜5μmがより好ましく、20nm〜2μmが更に好ましく、50nm〜1μmが更にまた好ましく、80nm〜300nmが最も好ましい。ガラス転移温度が−60〜60℃のポリマーを含む下塗り層は、ポリマーの粘着性で、透明支持体とフィルター層とを接着する。ガラス転移温度が−60〜60℃のポリマーは、例えば、塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、ブタジエン、ネオプレン、スチレン、クロロプレン、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、アクリロニトリル又はメチルビニルエーテルの重合又はこれらの共重合により得ることができる。ガラス転移温度は、50℃以下であることが好ましく、40℃以下であることがより好ましく、30℃以下であることが更に好ましく、25℃以下であることが更にまた好ましく、20℃以下であることが最も好ましい。下塗り層の25℃における弾性率は、1〜1000MPaであることが好ましく、5〜800MPaであることが更に好ましく、10〜500MPaであることが最も好ましい。フィルター層の表面が粗面である下塗り層は、粗面の上にフィルター層を形成することで、透明支持体とフィルター層とを接着する。フィルター層の表面が粗面である下塗り層は、ポリマーラテックスの塗布により容易に形成することができる。ラテックスの平均粒径は、0.02〜3μmであることが好ましく、0.05〜1μmであることが更に好ましい。フィルター層のバインダーポリマーと親和性を有するポリマーとしては、アクリル樹脂、セルロース誘導体、アルギン酸、ゼラチン、カゼイン、でんぷん、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドン、可溶性ナイロン及び高分子ラテックス等が挙げられる。また、本発明の光学フィルターには、二以上の下塗り層を設けてもよい。下塗り層には、透明支持体を膨潤させる溶剤、マット剤、界面活性剤、帯電防止剤、塗布助剤、硬膜剤等を添加してもよい。
本発明の光学フィルターに設けることができる上記反射防止層においては、低屈折率層が必須である。低屈折率層の屈折率は、上記透明支持体の屈折率よりも低い。低屈折率層の屈折率は、1.20〜1.55であることが好ましく、1.30〜1.50であることが更に好ましい。低屈折率層の厚さは、50〜400nmであることが好ましく、50〜200nmであることが更に好ましい。低屈折率層は、屈折率の低い含フッ素ポリマーからなる層(特開昭57−34526号、特開平3−130103号、特開平6−115023号、特開平8−313702号、特開平7−168004号の各公報記載)、ゾルゲル法により得られる層(特開平5−208811号、特開平6−299091号、特開平7−168003号の各公報記載)、或いは微粒子を含む層(特公昭60−59250号、特開平5−13021号、特開平6−56478号、特開平7−92306号、特開平9−288201号の各公報に記載)として形成することができる。微粒子を含む層では、微粒子間又は微粒子内のミクロボイドとして、低屈折率層に空隙を形成することができる。微粒子を含む層は、3〜50体積%の空隙率を有することが好ましく、5〜35体積%の空隙率を有することが更に好ましい。
広い波長領域の反射を防止するためには、上記反射防止層において、低屈折率層に加えて、屈折率の高い層(中・高屈折率層)を積層することが好ましい。高屈折率層の屈折率は、1.65〜2.40であることが好ましく、1.70〜2.20であることが更に好ましい。中屈折率層の屈折率は、低屈折率層の屈折率と高屈折率層の屈折率との中間の値となるように調整する。中屈折率層の屈折率は、1.50〜1.90であることが好ましく、1.55〜1.70であることが更に好ましい。中・高屈折率層の厚さは、5nm〜100μmであることが好ましく、10nm〜10μmであることが更に好ましく、30nm〜1μmであることが最も好ましい。中・高屈折率層のヘイズは、5%以下であることが好ましく、3%以下であることが更に好ましく、1%以下であることが最も好ましい。中・高屈折率層は、比較的高い屈折率を有するポリマーバインダーを用いて形成することができる。屈折率が高いポリマーとしては、ポリスチレン、スチレン共重合体、スチレン−ブタジエンコポリマー、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリアミド、メラミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、環状(脂環式又は芳香族)イソシアネートとポリオールとの反応で得られるポリウレタン等が挙げられる。その他の環状(芳香族、複素環式、脂環式)基を有するポリマーや、フッ素以外のハロゲン原子を置換基として有するポリマーも、屈折率が高い。二重結合を導入してラジカル硬化を可能にしたモノマーの重合反応により形成されたポリマーを用いてもよい。
更に高い屈折率を得るため、上記ポリマーバインダー中に無機微粒子を分散してもよい。無機微粒子の屈折率は、1.80〜2.80であることが好ましい。無機微粒子は、金属の酸化物又は硫化物から形成することが好ましい。金属の酸化物又は硫化物としては、酸化チタン(例えば、ルチル、ルチル/アナターゼの混晶、アナターゼ、アモルファス構造)、酸化錫、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、硫化亜鉛等が挙げられる。これらの中でも、酸化チタン、酸化錫及び酸化インジウムが特に好ましい。無機微粒子は、これらの金属の酸化物又は硫化物を主成分とし、更に他の元素を含むことができる。主成分とは、粒子を構成する成分の中で最も含有量(質量%)が多い成分を意味する。他の元素としては、Ti、Zr、Sn、Sb、Cu、Fe、Mn、Pb、Cd、As、Cr、Hg、Zn、Al、Mg、Si、P、S等が挙げられる。被膜形成性で溶剤に分散し得るか、それ自身が液状である無機材料、例えば、各種元素のアルコキシド、有機酸の塩、配位性化合物と結合した配位化合物(例えばキレート化合物)、活性無機ポリマーを用いて、中・高屈折率層を形成することもできる。
上記反射防止層の表面には、アンチグレア機能(入射光を表面で散乱させて、膜周囲の景色が膜表面に移るのを防止する機能)を付与することができる。例えば、透明フィルムの表面に微細な凹凸を形成してその表面に反射防止層を形成するか、或いは、反射防止層を形成後、エンボスロールにより表面に凹凸を形成することにより、アンチグレア機能を有する反射防止層を得ることができる。アンチグレア機能を有する反射防止層は、一般に3〜30%のヘイズを有する。
本発明の光学フィルターに設けることができる上記ハードコート層は、上記透明支持体の硬度よりも高い硬度を有する。ハードコート層は、架橋しているポリマーを含むことが好ましい。ハードコート層は、アクリル系、ウレタン系、エポキシ系のポリマー、オリゴマー又はモノマー(例えば紫外線硬化型樹脂)等を用いて形成することができる。シリカ系材料からハードコート層を形成することもできる。
上記反射防止層(低屈折率層)の表面は、潤滑層を形成してもよい。潤滑層は、低屈折率層表面に滑り性を付与し、耐傷性を改善する機能を有する。潤滑層は、ポリオルガノシロキサン(例えばシリコンオイル)、天然ワックス、石油ワックス、高級脂肪酸金属塩、フッ素系潤滑剤又はその誘導体を用いて形成することができる。潤滑層の厚さは、2〜20nmであることが好ましい。
本発明のシアニン化合物を光学フィルターに含有させる際、前記「(3)透明支持体及び任意の各層から選択される任意の隣合う二者間の粘着剤層に含有させる方法」を採用する場合には、本発明のシアニン化合物等を粘着剤に含有させた後、該粘着剤を用いて、上述した透明支持体及び任意の各層のうちの隣合う二者を接着すればよい。該粘着剤としては、シリコン系、ウレタン系、アクリル系等の粘着剤、ポリビニルブチラール接着剤、エチレン−酢酸ビニル系接着剤等の公知の合わせガラス用透明接着剤を用いることができる。また、該粘着剤を用いる場合、必要に応じて、硬化剤として、金属キレート系、イソシアネート系、エポキシ系等の架橋剤を用いることができる。また、粘着剤層の厚みは、2〜400μmとすることが好ましい。
前記「(4)任意の各層とは別に、本発明のシアニン化合物等の光吸収剤を含有する光吸収層を設ける方法」を採用する場合、本発明のシアニン化合物は、そのまま使用して光吸収層を形成することもできるし、バインダーに分散させて光吸収層を形成することもできる。該バインダーとしては、例えば、ゼラチン、カゼイン、澱粉、セルロース誘導体、アルギン酸等の天然高分子材料、或いは、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、スチレン−ブタジエンコポリマー、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアミド等の合成高分子材料が用いられる。
上記バインダーを使用する際には、同時に有機溶媒を使用することもでき、該有機溶媒としては、特に限定されることなく公知の種々の溶媒を適宜用いることができ、例えば、イソプロパノール等のアルコール類;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ブチルジグリコール等のエーテルアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸メトキシエチル等のエステル類;アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル等のアクリル酸エステル類、2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール等のフッ化アルコール類;ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素類;メチレンジクロライド、ジクロロエタン、クロロホルム等の塩素化炭化水素類等が挙げられる。これらの有機溶媒は、単独で又は混合して用いることができる。
本発明の光学フィルターの作成において、本発明のシアニン化合物、有機溶媒及びその他の各種添加剤等を含む塗工液の濃度は、1〜5質量%、特に2〜3質量%であるのが好ましい。
また、上記の下塗り層、反射防止層、ハードコート層、潤滑層、フィルター層等は、一般的な塗布方法により形成することができる。塗布方法としては、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、ホッパーを使用するエクストルージョンコート法(米国特許第2681294号明細書記載)等が挙げられる。二以上の層を同時塗布により形成してもよい。同時塗布法については、米国特許第2761791号、米国特許第2941898号、米国特許第3508947号、米国特許第3526528号の各明細書及び原崎勇次著「コーティング工学」253頁(1973年朝倉書店発行)に記載がある。
上述した通り、本発明のシアニン化合物は、光学フィルター等の光学要素として好適に用いられる他、光学記録材料、CCD及びCMOS用の光学フィルター、色素増感型太陽電池、光電気化学電池、非線形光学装置、エレクトロクロミックディスプレイ、ホログラム、有機半導体、有機EL、ハロゲン化銀写真感光材料、増感剤、印刷インキ、インクジェット、電子写真カラートナー、化粧料、プラスチック等の着色剤、タンパク質用染色剤、物質検出のための発光染料等としても用いられる。
以下、実施例及び比較例等をもって本発明を更に詳細に説明する。しかしながら、本発明は以下の実施例等によって何ら制限を受けるものではない。
実施例1−1〜1−6は、陽イオン部分が化合物No.1及びNo.2である各種塩化合物の製造例を示し、実施例2−1〜2−6及び比較例2−1は、本発明のシアニン化合物又は本発明のシアニン化合物とは異なるシアニン化合物を含有する光学フィルターの作製例を示す。また、実施例3−1〜3−6及び比較例3−1は、得られた光学フィルターの耐光性の評価例を示し、実施例4−1〜4−5は、得られた光学フィルターの耐熱性の評価例を示す。
[実施例1−1]化合物No.1のヨウ化物の製造
Figure 2009227967
ヨウ化−1−(4−フェロセニルブチル)−2,3,3−トリメチルインドレニウム5.27g(10mmol)、ヨウ化−1−エチル−2−(2−フェニルアミノビニル)チアゾリニウム3.6g(10mmol)及びピリジン15.82gの懸濁液を室温で撹拌し、そこに無水酢酸3.06g(30mmol)を滴下した。その後、90℃まで加熱し、90℃で4時間撹拌した。50℃まで冷却後、水33.3g、酢酸エチル33.3gを順次滴下し、室温まで放冷した。クロロホルムを加え、油水分離した。有機相を水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去して得られた粘性固体をN,N’−ジメチルホルムアミド(DMF)/酢酸エチルで再結晶した。真空下、130℃、2時間減圧乾燥を行い、赤色固体4.70g(収率71%)を得た。
[実施例1−2]化合物No.1のヘキサフルオロリン酸塩の製造
化合物No.1のヨウ化物2.66g(4mmol)とクロロホルム21.92gの混合溶液に、ヘキサフルオロリン酸カリウム1.1g(6mmol)の水溶液を加え、室温で撹拌した。水相を除去し、再度ヘキサフルオロリン酸カリウム水溶液を加えた。有機相を水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去して得られた粘性固体をDMF/酢酸エチルで再結晶した。真空下、130℃、2時間減圧乾燥を行い、赤色固体1.5g(収率55%)を得た。
[実施例1−3]化合物No.1の過塩素酸塩の製造
化合物No.1のヨウ化物1.33g(2mmol)とクロロホルム6.39gの混合溶液に、過塩素酸ナトリウム0.42g(3mmol)の水溶液を加え、室温で撹拌した。水相を除去し、再度過塩素酸ナトリウム水溶液を加えた。有機相を水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去して得られた粘性固体をクロロホルム/酢酸エチルで再結晶した。真空下、130℃、2時間減圧乾燥を行い、赤色固体0.97g(収率76%)を得た。
[実施例1−4]化合物No.1のビストリフルオロメタンスルホンイミド塩の製造
化合物No.1のヨウ化物1.33g(2mmol)とクロロホルム16.4gの混合溶液に、ビストリフルオロメタンスルホンイミドカリウム0.958g(3mmol)の水溶液を加え、室温で撹拌した。水相を除去し、再度トリフルオロメチルスルホンイミドカリウム水溶液を加えた。有機相を水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去して、HPLCによりヨウ化物の消失を確認した。真空下、130℃、2時間減圧乾燥を行い、赤色アモルファス状物1.57g(収率95%)を得た。
[実施例1−5]化合物No.2の過塩素酸塩の製造
Figure 2009227967
ヨウ化−1−(3−フェロセニルプロピル)−2,3,3−トリメチルインドレニウム5.13g(10mmol)、ヨウ化−1−エチル−2−(2−フェニルアミノビニル)チアゾリニウム3.6g(10mmol)及びピリジン7.9gの懸濁液に、50℃で無水酢酸1.53g(15mmol)を滴下し、10分間撹拌した。更にピリジン12mLを加えて溶液とし、50℃で2時間撹拌した。次いで、過塩素酸ナトリウム一水和物5.61g(30.5mmol)とメタノール30mLの溶液を滴下し、50℃で1時間撹拌した。析出物をろ過し、メタノールで洗浄後、クロロホルム/メタノールで再結晶した。真空下、80℃、1時間減圧乾燥を行い、赤色固体2.31g(収率37%)を得た。
[実施例1−6]化合物No.27のヘキサフルオロリン酸塩の製造
Figure 2009227967
ヨウ化−1−(4−フェロセニルブチル)−2,3,3−トリメチルインドレニウム0.53g(1mmol)、ヨウ化−1−(3−フェロセニルプロピル)−2−(2−フェニルアミノビニル)チアゾリニウム0.56g(1mmol)及びアセトニトリル4.4gの溶液に、トリエチルアミン0.12g(1.2mmol)を室温で撹拌しながら滴下した。その後、無水酢酸0.15g(1.5mmol)を室温で攪拌しながら滴下し、加熱還流下で3時間撹拌した。室温まで冷却後、ヘキサフルオロリン酸カリウム0.37g(2mmol)とDMF1.85gの溶液を滴下した。室温で1時間撹拌した後、2−プロパノール/水=1/1(v/v)10mLを滴下した。析出した粘性固体を濾別し、アセトン/2−プロパノールで再結晶した。真空下、80℃、2時間減圧乾燥を行い、橙色固体0.48g(収率55%)を得た。
上記で得られた化合物について下記に示す各種分析を行ったところ、それぞれの目的物であることが同定された。分析結果を以下の〔表1〕及び〔表2〕に示す。
Figure 2009227967
Figure 2009227967
[実施例2−1]
<塗工液の調製>
化合物No.1のヨウ化物の0.5wt%アセトン溶液0.4gと、ポリメチルメタクリレート(以下、PMMAとも呼ぶ)の25wt%トルエン溶液3.0gを混合させ、15分間超音波照射を行い、塗工液を調製した。
[実施例2−2]
<塗工液の調製>
化合物No.1のヘキサフルオロリン酸塩の0.5wt%メチルエチルケトン溶液0.4gと、PMMAの25wt%トルエン溶液3.0gを混合させ、15分間超音波照射を行い、塗工液を調製した。
[実施例2−3]
<塗工液の調製>
化合物No.1の過塩素酸塩の0.5wt%メチルエチルケトン溶液0.4gと、PMMAの25wt%トルエン溶液3.0gを混合させ、15分間超音波照射を行い、塗工液を調製した。
[実施例2−4]
<塗工液の調製>
化合物No.1のビストリフルオロメタンスルホンイミド塩の0.5wt%メチルエチルケトン溶液0.4gと、PMMAの25wt%トルエン溶液3.0gを混合させ、15分間超音波照射を行い、塗工液を調製した。
[実施例2−5]
<塗工液の調製>
化合物No.2の過塩素酸塩の1wt%メチルエチルケトン溶液0.2gと、PMMAの25wt%トルエン溶液3.0gを混合させ、15分間超音波照射を行い、塗工液を調製した。
[実施例2−6]
<塗工液の調製>
化合物No.27のヘキサフルオロリン酸塩の1wt%メチルエチルケトン溶液0.4gと、PMMAの25wt%トルエン溶液3.0gを混合させ、15分間超音波照射を行い、塗工液を調製した。
[比較例2−1]
<塗工液の調製>
下記〔化14〕に示す比較化合物No.1の過塩素酸塩の1wt%メチルエチルケトン溶液0.2gと、PMMAの25wt%トルエン溶液3.0gを混合させ、15分間超音波照射を行い、塗工液を調製した。
<光学フィルターの作製>
上記で得られた塗工液を、易密着処理した188μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルムに、該塗工液をバーコーター#30により塗布した後、70℃で15分間乾燥し、光学フィルター(膜厚7〜8μm)を作製した。
得られた光学フィルターについて、日本分光(株)製紫外可視近赤外分光光度計V−570で吸収スペクトルを測定した。それらの結果を〔表3〕に示す。
Figure 2009227967
Figure 2009227967
[実施例3−1〜3−6及び比較例3−1]
実施例2−1〜2−6及び比較例2−1で得られた光学フィルターを耐光試験機(スガ試験機(株)製テーブルサンTS−2)中で膜透過率の経時変化を観察した。即ち、耐光試験時間0時間の残存率を100%として、極大吸収波長での透過率の減少を色素残存率として算出した。それらの結果を〔表4〕に示す。
Figure 2009227967
これらの結果より、本発明のシアニン化合物は何れも良好な耐光性を示すのに対し、従来のシアニン化合物は耐光性が劣ることが明らかである。また、実施例3−2と実施例3−6を比較すると、上記一般式(I)においてY1とY2が共に上記一般式(III)で表される基であるシアニン化合物は、より耐光性に優れることも明らかである。
[実施例4−1〜4−5]
実施例2−1〜2−4及び2−6で得られた光学フィルターを80℃の恒温槽中で膜透過率の経時変化を観察した。即ち、耐熱試験時間0時間の残存率を100%として、極大吸収波長での透過率の減少を色素残存率として算出した。それらの結果を〔表5〕に示す。
Figure 2009227967
これらの結果より、本発明のシアニン化合物は何れも良好な耐熱性を示すが、中でも陰イオンがヘキサフルオロリン酸イオンであるものや、ビストリフルオロメタンスルホンイミドイオンであるものが、良好な耐熱性を示すことが明らかである。

Claims (9)

  1. 下記一般式(I)で表されるシアニン化合物。
    Figure 2009227967
    (式中、環Aはベンゼン環又はナフタレン環を表し、環Aの水素原子は炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基、炭素原子数7〜20のアリールアルキル基、ニトロ基、シアノ基又はハロゲン原子で置換されていてもよく、XはCR34、酸素原子、硫黄原子又はセレン原子を表し、R1、R2、R3及びR4は、各々独立に、下記一般式(II)若しくは(II’)で表される基、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基又は炭素原子数7〜30のアリールアルキル基を表し、R1とR2又はR3とR4は、それぞれ連結して3〜6員環の脂環基を形成してもよく、R5、R6、R7及びR8は、各々独立に、水素原子、下記一般式(II)若しくは(II’)で表される基、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基、炭素原子数7〜30のアリールアルキル基、ハロゲン原子又はシアノ基を表し、Y1及びY2は、各々独立に、下記一般式(III)で表される基、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基、炭素原子数7〜30のアリールアルキル基を表し(但し、Y1とY2の少なくとも一方は、下記一般式(III)で表される基である。)、上記の環Aの水素原子を置換してもよい基並びにR1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、Y1及びY2で表される基であるアルキル基、アリール基及びアリールアルキル基のメチレン基は、酸素原子、硫黄原子又は二重結合で1〜3回中断されていてもよく、該アルキル基、アリール基及びアリールアルキル基の水素原子は、ニトロ基、シアノ基又はハロゲン原子で置換されていてもよく、Zは水素原子、ハロゲン原子又はシアノ基を表し、Anq-はq価の陰イオンを表し、qは1又は2の整数を表し、pは電荷を中性に保つ係数を表す。)
    Figure 2009227967
    (上記一般式(II)において、GとTの間の結合は、二重結合、共役二重結合又は三重結合であり、Gは炭素原子を表し、Tは炭素原子、酸素原子又は窒素原子を表し(但し、Tが酸素原子である場合はyとzは0であり、Tが窒素原子である場合はy+zは0又は1である。)、wは0〜4の数を表し、x、y及びzは、各々独立に、0又は1を表し、R01、R02、R03及びR04は、各々独立に、水素原子、水酸基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子又は置換基を有してもよい炭素原子数1〜4のアルキル基を表し、該アルキル基中のメチレン基は、−O−又は−CO−で置換されていてもよく、R01とR04は結合してシクロアルケン環又は複素環を形成してもよい。上記一般式(II’)において、G’とT’の間の結合は、二重結合又は共役二重結合であり、G’は炭素原子を表し、T’は炭素原子又は窒素原子を表し、w’は0〜4の数を表し、R01’は水素原子、水酸基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子又はハロゲン原子で置換されてもよい炭素原子数1〜4のアルキル基を表し、該アルキル基中のメチレン基は、−O−又は−CO−で置換されていてもよく、G’及びT’を含む環は、ヘテロ原子を含んでもよい5員環、ヘテロ原子を含んでもよい6員環、ナフタレン環、キノリン環、イソキノリン環、アントラセン環又はアントラキノン環を表し、これらG’及びT’を含む環は、ハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、シアノ基、炭素原子数1〜4のアルキル基又は炭素原子数1〜4のアルコキシ基で置換されていてもよい。)
    Figure 2009227967
    (式中、Ra〜Riは、各々独立に、水素原子又は炭素原子数1〜4のアルキル基を表し、該アルキル基中のメチレン基は、−O−又は−CO−で置換されていてもよく、Qは直接結合又は置換基を有してもよい炭素原子数1〜8のアルキレン基を表し、該アルキレン基中のメチレン基は、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−SO2−、−NH−、−CONH−、−NHCO−、−N=CH−又は−CH=CH−で置換されていてもよく、MはFe、Co、Ni、Ti、Cu、Zn、Zr、Cr、Mo、Os、Mn、Ru、Sn、Pd、Rh、Pt又はIrを表す。)
  2. 上記一般式(I)において、Xが硫黄原子である請求項1に記載のシアニン化合物。
  3. 上記一般式(I)において、Y1が上記一般式(III)で表される基であり、Y2が炭素原子数1〜8のアルキル基である請求項1又は2に記載のシアニン化合物。
  4. 上記一般式(I)において、R1及びR2が共にメチル基であり、R5、R6、R7及びR8がすべて水素原子である請求項1〜3の何れかに記載のシアニン化合物。
  5. 上記一般式(III)において、MがFeであり、Qが炭素原子数1〜8のアルキレン基である請求項1〜4の何れかに記載のシアニン化合物。
  6. 上記一般式(I)において、Anq-で表される陰イオンが、ヘキサフルオロリン酸イオン又は下記一般式(IV)で表されるイオンである請求項1〜5の何れかに記載のシアニン化合物。
    Figure 2009227967
    (式中、R9及びR10は、各々独立に、炭素原子数1〜8のパーハロアルキル基を表す。)
  7. 請求項1〜6の何れかに記載のシアニン化合物を含有してなる光学フィルター。
  8. 画像表示装置用である請求項7に記載の光学フィルター。
  9. 上記画像表示装置がプラズマディスプレイである請求項8に記載の光学フィルター。
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