JP2007131818A - シアニン化合物及び該シアニン化合物を用いた光学フィルター - Google Patents

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Abstract

【課題】溶解性に優れ、特に560〜580nmの波長の光に対する光学要素、とりわけ画像表示装置用の光学フィルターに用いられる光吸収剤に適した化合物を提供すること。
【解決手段】下記一般式(I)で表されるシアニン化合物。
Figure 2007131818

(式中、R1〜R4は炭素原子数1〜8のアルキル基等を表し、R1とR2と、及びR3とR4とは、それぞれ連結して環構造を形成していてもよく、Xは水素原子等を表し、Y1及びY2は、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基等を表し、上記のアルキル基、アリール基等は、置換基を有していてもよく、上記アルキル基中のメチレン基は、−O−又は−CH=CH−で置き換えられていてもよく、Anq-はq価のアニオンを表し、qは1又は2を表し、pは電荷を中性に保つ係数を表す。)
【選択図】なし

Description

本発明は、新規なシアニン化合物及び該シアニン化合物を用いた光学フィルターに関する。該シアニン化合物は、光吸収剤、光学記録剤、光増感剤等の光学要素、特に、画像表示装置用の光学フィルターに含有させる光吸収剤として有用である。
500nm〜700nmの範囲に強度の大きい吸収を有する化合物、特に極大吸収(λmax)が550〜620nmにある化合物は、DVD±R等の光学記録媒体の光学記録層や、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)、陰極管表示装置(CRT)、蛍光表示管、電界放射型ディスプレイ等の画像表示装置用の光学フィルターにおいて、光学要素として用いられている。
例えば、画像表示装置用の光学フィルターにおける光学要素の用途としては、カラーフィルターの光吸収剤がある。画像表示装置は、赤、青、緑の三原色の光の組合せでカラー画像を表示しているが、カラー画像を表示する光には、緑と赤の間の550〜600nm等の表示品質の低下をきたす光が含まれており、また、750〜1100nmの赤外リモコンの誤作動の原因となる光、あるいは480〜500nm及び540〜560nmの蛍光灯等の外光の反射や映り込みの原因となる光も含まれている。そこで、これらの不要な波長の光を選択的に吸収する光吸収剤を含有する光学フィルターが使用されている。
更に近年、表示素子の色純度や色分離を十分にし、画像品質を高いものにするために、特に560〜580nmの波長の光を選択的に吸収する光吸収剤が求められている。これらの光吸収剤には、光吸収が特別に急峻であること、即ちλmaxの半値幅が小さいこと、また光や熱等により機能が失われないことが求められる。
光吸収剤を含有する光学フィルターとして、例えば、下記特許文献1には、570〜605nmに極大吸収波長を有するアザポルフィリン化合物を使用した光学フィルターが開示されており、下記特許文献2には、551〜600nmに極大吸収波長を有する縮合多環系顔料を使用した光学フィルターが開示されている。しかし、これらの光学フィルターに使用される化合物は、吸収波長特性、あるいは溶媒やバインダー樹脂との親和性の点で満足のいく性能を有していない。従って、これらの光学フィルターは、560〜580nmの波長の光に対して充分な性能を示すものではなかった。
特開2003−57437号公報 特開2004−310072号公報
従って、本発明の目的は、溶解性に優れ、特に560〜580nmの波長の光に対する光学要素、とりわけ画像表示装置用の光学フィルターに用いられる光吸収剤に適した化合物を提供することにある。
本発明者は、検討を重ねた結果、特定のシアニン化合物が、溶解性に優れ、急峻な光吸収を有することを知見した。
本発明は、上記知見に基づいてなされたもので、下記一般式(I)で表されるシアニン化合物、及び該シアニン化合物を含有してなる光学フィルターを提供するものである。
Figure 2007131818
(式中、R1、R2、R3及びR4はそれぞれ独立に、ハロゲン原子、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基又は炭素原子数7〜20のアリールアルキル基を表し、R1とR2と、及びR3とR4とは、それぞれ連結して環構造を形成していてもよく、Xは、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基又は炭素原子数7〜20のアリールアルキル基を表し、Y1及びY2はそれぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基又は炭素原子数7〜20のアリールアルキル基を表し、R1、R2、R3、R4、X、Y1又はY2で表される上記炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基又は炭素原子数7〜20のアリールアルキル基は、置換基を有していてもよく、上記炭素原子数1〜8のアルキル基中のメチレン基は、−O−又は−CH=CH−で置き換えられていてもよく、Anq-はq価のアニオンを表し、qは1又は2を表し、pは電荷を中性に保つ係数を表す。)
本発明によれば、500〜700nm、特に560〜580nmの波長の光に対する光学要素として適し、溶解性に優れた新規なシアニン化合物を提供することができる。また、該シアニン化合物を光吸収剤として用いた光学フィルターは、画像表示用光学フィルターとして好適なものである。
以下、本発明のシアニン化合物、並びに該シアニン化合物を含有してなる光学フィルターについて、好ましい実施形態に基づき詳細に説明する。
まず、上記一般式(I)で表される本発明のシアニン化合物について説明する。
上記一般式(I)におけるR1、R2、R3、R4、Xで表されるハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。R1、R2、R3、R4、X、Y1及びY2で表される炭素原子数1〜8のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、第二ブチル、第三ブチル、イソブチル、アミル、イソアミル、第三アミル、ヘキシル、シクロヘキシル、ヘプチル、イソヘプチル、第三ヘプチル、n−オクチル、イソオクチル、第三オクチル、2−エチルヘキシル等が挙げられる。R1、R2、R3、R4、X、Y1及びY2で表される炭素原子数6〜20のアリール基としては、フェニル、ナフチル、アントラセン−1−イル、フェナントレン−1−イル等が挙げられる。R1、R2、R3、R4、X、Y1及びY2で表される炭素原子数7〜20のアリールアルキル基としては、ベンジル、フェネチル、2−フェニルプロパン、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル、スチリル、シンナミル等が挙げられる。
上記一般式(I)におけるR1とR2と、及びR3とR4とが、それぞれ連結して形成する環構造としては、シクロプロパン環、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、テトラヒドロピラン環、ピペリジン環、ピペラジン環、ピロリジン環、モルフォリン環、チオモルフォリン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、イミダゾール環、オキサゾール環、イミダゾリジン環、ピラゾリジン環、イソオキサゾリジン環、イソチアゾリジン環等が挙げられ、これらの環は他の環と縮合されていたり、置換されていたりしてもよい。
1、R2、R3、R4、X、Y1及びY2で表される炭素原子数1〜8のアルキル基、R1、R2、R3、R4、X、Y1及びY2で表される炭素原子数6〜20のアリール基、R1、R2、R3、R4、X、Y1及びY2で表される炭素原子数7〜20のアリールアルキル基は、いずれも、置換基を有していてもよい。該置換基としては、以下のものが挙げられる。尚、R1〜R4、X,Y1及びY2が、上記の炭素原子数1〜8のアルキル基等の炭素原子を含有する基であり、且つ、それらの基が、以下の置換基の中でも、炭素原子を含有する置換基を有する場合は、該置換基を含めたR1〜R4、X,Y1及びY2全体の炭素原子数が、規定された範囲を満たすものとする。
上記置換基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、ブチル、第二ブチル、第三ブチル、イソブチル、アミル、イソアミル、第三アミル、シクロペンチル、ヘキシル、2−ヘキシル、3−ヘキシル、シクロヘキシル、ビシクロヘキシル、1−メチルシクロヘキシル、ヘプチル、2−ヘプチル、3−ヘプチル、イソヘプチル、第三ヘプチル、n−オクチル、イソオクチル、第三オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、イソノニル、デシル等のアルキル基;メチルオキシ、エチルオキシ、プロピルオキシ、イソプロピルオキシ、ブチルオキシ、第二ブチルオキシ、第三ブチルオキシ、イソブチルオキシ、アミルオキシ、イソアミルオキシ、第三アミルオキシ、ヘキシルオキシ、シクロヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、イソヘプチルオキシ、第三ヘプチルオキシ、n−オクチルオキシ、イソオクチルオキシ、第三オクチルオキシ、2−エチルヘキシルオキシ、ノニルオキシ、デシルオキシ等のアルコキシ基;メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ、ブチルチオ、第二ブチルチオ、第三ブチルチオ、イソブチルチオ、アミルチオ、イソアミルチオ、第三アミルチオ、ヘキシルチオ、シクロヘキシルチオ、ヘプチルチオ、イソヘプチルチオ、第三ヘプチルチオ、n−オクチルチオ、イソオクチルチオ、第三オクチルチオ、2−エチルヘキシルチオ等のアルキルチオ基;ビニル、1−メチルエテニル、2−メチルエテニル、2−プロペニル、1−メチル−3−プロペニル、3−ブテニル、1−メチル−3−ブテニル、イソブテニル、3−ペンテニル、4−ヘキセニル、シクロヘキセニル、ビシクロヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、デセニル、ぺンタデセニル、エイコセニル、トリコセニル等のアルケニル基;ベンジル、フェネチル、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル、スチリル、シンナミル等のアリールアルキル基;フェニル、ナフチル等のアリール基;フェノキシ、ナフチルオキシ等のアリールオキシ基;フェニルチオ、ナフチルチオ等のアリールチオ基;ピリジル、ピリミジル、ピリダジル、ピペリジル、ピラニル、ピラゾリル、トリアジル、ピロリル、キノリル、イソキノリル、イミダゾリル、ベンゾイミダゾリル、トリアゾリル、フリル、フラニル、ベンゾフラニル、チエニル、チオフェニル、ベンゾチオフェニル、チアジアゾリル、チアゾリル、ベンゾチアゾリル、オキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、インドリル、2−ピロリジノン−1−イル、2−ピペリドン−1−イル、2,4−ジオキシイミダゾリジン−3−イル、2,4−ジオキシオキサゾリジン−3−イル等の複素環基;フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子;アセチル、2−クロロアセチル、プロピオニル、オクタノイル、アクリロイル、メタクリロイル、フェニルカルボニル(ベンゾイル)、フタロイル、4−トリフルオロメチルベンゾイル、ピバロイル、サリチロイル、オキザロイル、ステアロイル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、n−オクタデシルオキシカルボニル、カルバモイル等のアシル基;アセチルオキシ、ベンゾイルオキシ等のアシルオキシ基;アミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ブチルアミノ、シクロペンチルアミノ、2−エチルヘキシルアミノ、ドデシルアミノ、アニリノ、クロロフェニルアミノ、トルイジノ、アニシジノ、N−メチル−アニリノ、ジフェニルアミノ,ナフチルアミノ、2−ピリジルアミノ、メトキシカルボニルアミノ、フェノキシカルボニルアミノ、アセチルアミノ、ベンゾイルアミノ、ホルミルアミノ、ピバロイルアミノ、ラウロイルアミノ、カルバモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノカルボニルアミノ、N,N−ジエチルアミノカルボニルアミノ、モルホリノカルボニルアミノ、メトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニルアミノ、t−ブトキシカルボニルアミノ、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ、N−メチル−メトキシカルボニルアミノ、フェノキシカルボニルアミノ、スルファモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ、メチルスルホニルアミノ、ブチルスルホニルアミノ、フェニルスルホニルアミノ等の置換アミノ基;スルホンアミド基、スルホニル基、カルボキシル基、シアノ基、スルホ基、水酸基、ニトロ基、メルカプト基、イミド基、カルバモイル基、スルホンアミド基等が挙げられ、これらの基は更に置換されていてもよい。また、カルボキシル基及びスルホ基は塩を形成していてもよい。
上記一般式(I)において、Anq-で表されるアニオンとしては、例えば、一価のものとして、塩素アニオン、臭素アニオン、ヨウ素アニオン、フッ素アニオン等のハロゲンアニオン;過塩素酸アニオン、塩素酸アニオン、チオシアン酸アニオン、六フッ化リンアニオン、六フッ化アンチモンアニオン、四フッ化ホウ素アニオン等の無機系アニオン;ベンゼンスルホン酸アニオン、トルエンスルホン酸アニオン、トリフルオロメタンスルホン酸アニオン、ジフェニルアミン−4−スルホン酸アニオン、2−アミノ−4−メチル−5−クロロベンゼンスルホン酸アニオン、2−アミノ−5−ニトロベンゼンスルホン酸アニオン等の有機スルホン酸アニオン;オクチルリン酸アニオン、ドデシルリン酸アニオン、オクタデシルリン酸アニオン、フェニルリン酸アニオン、ノニルフェニルリン酸アニオン、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ第三ブチルフェニル)ホスホン酸アニオン等の有機リン酸系アニオン、ビストリフルオロメチルスルホニルイミドイミドアニオン、ビスパーフルオロブタンスルホニルイミド、パーフルオロ−4−エチルシクロヘキサンスルホネートアニオン、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸アニオン等が挙げられ、二価のものとして、ベンゼンジスルホン酸アニオン、ナフタレンジスルホン酸アニオン等が挙げられる。また、励起状態にある活性分子を脱励起させる(クエンチングさせる)機能を有するクエンチャーアニオンや、シクロペンタジエニル環にカルボキシル基やホスホン酸基、スルホン酸基等のアニオン性基を有するフェロセン、ルテオセン等のメタロセン化合物アニオン等も、必要に応じて用いることができる。
上記のクエンチャーアニオンとしては、例えば、下記一般式(A)又は(B)で表されるもの、特開昭60−234892号公報、特開平5−43814号公報、特開平6−239028号公報、特開平9−309886号公報、特開平10−45767号公報等に記載されたようなアニオンが挙げられる。
Figure 2007131818
(式中、Mは、ニッケル原子又は銅原子を表し、R5及びR6は、各々独立に、ハロゲン原子、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数6〜30のアリール基又は−SO2−G基を表し、Gは、アルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいアリール基、ジアルキルアミノ基、ジアリールアミノ基、ピペリジノ基又はモルフォリノ基を表し、a及びbは、各々0〜4を表す。また、R7、R8、R9及びR10は、各々独立にアルキル基、アルキルフェニル基、アルコキシフェニル基又はハロゲン化フェニル基を表す。)
上記一般式(I)で表される本発明のシアニン化合物は、その製造方法は特に限定されず、周知一般の反応を利用した方法で得ることができる。
上記一般式(I)におけるY1及びY2の導入方法も、特に制限されるものではないが、例えば、Y1は、3H−インドール誘導体のNH基とHal−Y1(Hal:フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)等のハロゲン化有機化合物とを反応させることで導入することができる。Y2もY1の導入方法に準じて導入可能である。
1及びY2は、炭素原子数が大きくなると分子量が大きくなり、これらの基を有する上記一般式(I)で表される本発明のシアニン化合物のモル吸光係数が低下する場合があるので、Y1及びY2それぞれの炭素原子数は、20以下が好ましく、10以下がより好ましい。
上記一般式(I)で表される本発明のシアニン化合物の具体例としては、下記化合物No.1〜16が挙げられる。尚、本発明のシアニン化合物において、ポリメチン鎖は共鳴構造をとっていてもよく、またカチオンがトリフルオロメチル基を有する複素環骨格中の窒素原子上にあってもよい。
Figure 2007131818
Figure 2007131818
上述した本発明のシアニン化合物は、500nm〜700nmの範囲の光に対する光学要素、特に560〜580nmの範囲の光に対する光学要素として好適である。本発明のシアニン化合物の中でも、溶液の光吸収におけるλmaxがこれらの範囲内に存在するものが、特に好適である。λmaxの測定は、常法に従って、測定に用いる溶媒等を適宜選択して行なえばよい。
特に560〜580nmの範囲の光に対する光学要素として適したものとする上で、本発明のシアニン化合物は、R1〜R4が炭素原子数1〜8のアルキル基であることが好ましく、Xが水素原子であることが好ましく、Y1及びY2が炭素原子数1〜8のアルキル基又は炭素原子数6〜20のアリール基であることが好ましい。
上記光学要素とは、特定の光を吸収することにより機能を発揮する要素のことであり、具体的には、光吸収剤、光学記録剤、光増感剤等が挙げられる。例えば、光吸収剤は、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)、陰極管表示装置(CRT)、蛍光表示管、電界放射型ディスプレイ等の画像表示装置用、あるいは分析装置用、半導体装置製造用、天文観測用、光通信用等の光学フィルターに用いられ、光学記録剤は、DVD±R等の光学記録媒体における光学記録層に用いられる。
本発明のシアニン化合物は、光学特性及び光安定性に優れるばかりでなく、吸光係数が高いため、使用量が少なくて済むという特徴も有し、さらに、有機溶剤に対する溶解性が大きいという特徴も有している。これらの特徴は、光学フィルターや光学記録媒体への応用に有利である。
例えば、一般に、有機溶剤への溶解性が大きい化合物は、合成樹脂との相溶性も良好であるので、合成樹脂中へ光学要素を均一に分散又は相溶させることが必要である光学フィルターの製造において有利である。また、光学記録媒体へ応用する場合、光学ディスク等の光学記録層の形成には、光学記録剤を有機溶剤に溶解した溶液をスピンコートやスプレー等で塗布する方法が一般的に用いられているので、光学記録剤として用いる化合物は、有機溶剤に対する溶解性が大きい方が光学記録層形成プロセスマージンが大きくなり有利である。
次に、本発明の光学フィルターについて以下に説明する。
本発明の光学フィルターは、本発明のシアニン化合物を含有する。本発明のシアニン化合物は、吸収極大波長を560〜580nmの範囲内又はその付近に持ち、一部の可視光線を選択的に吸収して遮断することができるので、本発明のシアニン化合物を含有する本発明の光学フィルターは、表示画像の高品質化に用いられる画像表示装置用の光学フィルターとして特に好適なものである。本発明の光学フィルターは、画像表示装置用の他に、分析装置用、半導体装置製造用、天文観測用、光通信用、眼鏡レンズ等の各種用途にも用いることができる。
本発明の光学フィルターは、通常ディスプレイの前面に配置される。例えば、本発明の光学フィルターは、ディスプレイの表面に直接貼り付けてもよく、ディスプレイの前に前面板が設けられている場合は、前面板の表側(外側)又は裏側(ディスプレイ側)に貼り付けてもよい。
本発明の光学フィルターの代表的な構成としては、透明支持体に、必要に応じて、下塗り層、反射防止層、ハードコート層、潤滑層、保護層等の各層を設けたものが挙げられる。本発明のシアニン化合物や、本発明のシアニン化合物以外の色素化合物である光吸収剤、各種安定剤等の任意成分を本発明の光学フィルターに含有させる方法としては、例えば、(1)透明支持体又は任意の各層に含有させる方法、(2)透明支持体又は任意の各層にコーティングする方法、(3)透明支持体及び任意の各層から選択される任意の隣合う二者間の粘着剤層、又は光学フィルターをディスプレイに貼り付けるために最外層として設けられるの粘着剤層に混入させる方法、(4)任意の各層とは別に、本発明のシアニン化合物等の光吸収剤等を含有する光吸収層を設ける方法が挙げられる。
本発明の光学フィルターにおいて、本発明のシアニン化合物の使用量は、光学フィルターの単位面積当たり、通常1〜1000mg/m2、好ましくは5〜100mg/m2であり、1mg/m2未満の使用量では、光吸収効果を十分に発揮することができず、1000mg/m2を超えて使用した場合には、フィルターの色目が強くなりすぎて表示品質等を低下させるおそれがあり、さらには、明度が低下するおそれもある。
本発明のシアニン化合物は、その使用量を、光学フィルターの単位面積当たり上述の範囲にするには、通常、次のようにして使用される。例えば、粘着剤層に本発明のシアニン化合物を含有する光学フィルターを造る場合には、アクリル樹脂系粘着剤等の粘着剤100質量部に対し、本発明のシアニン化合物を好ましくは0.001〜1.0質量部及び溶剤を好ましくは40〜500質量部添加して粘着剤組成物を作成し、この粘着剤組成物を、易密着処理をしたPETフィルム等の保護フィルム(保護層)に塗布した後、ガラス板等の透明支持体と圧着して、厚さ0.1〜10ミクロンの粘着剤層を有する光学フィルターを得る。
本発明のシアニン化合物及び任意成分を本発明の光学フィルターに含有させる方法として、上述の(1)〜(4)のいずれの方法を採る場合も、各成分の配合割合は、上述の配合割合に順じればよい。
上記透明支持体の材料としては、例えば、ガラス等の無機材料;ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース(TAC)、プロピオニルセルロース、ブチリルセルロース、アセチルプロピオニルセルロース、ニトロセルロース等のセルロースエステル;ポリアミド;ポリカーボネート;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−1,2−ジフェノキシエタン−4,4'−ジカルボキシレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル;ポリスチレン;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン;ポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂;ポリカーボネート;ポリスルホン;ポリエーテルスルホン;ポリエーテルケトン;ポリエーテルイミド;ポリオキシエチレン、ノルボルネン樹脂等の高分子材料が挙げられる。透明支持体の透過率は80%以上であることが好ましく、86%以上であることがさらに好ましい。ヘイズは、2%以下であることが好ましく、1%以下であることがさらに好ましい。屈折率は、1.45〜1.70であることが好ましい。
上記透明支持体中には、本発明のシアニン化合物以外の光吸収剤、無機微粒子、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、フェノール系、リン系等の酸化防止剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤等を添加することができ、また、上記透明支持体には、各種の表面処理を施すこともできる。
本発明のシアニン化合物以外の光吸収剤としては、例えば、光学フィルターを画像表示装置用途に用いる場合には、色調調整用、外光の反射や映り込み防止用の光吸収剤、あるいは、画像表示装置がプラズマディスプレイの場合には、赤外リモコン誤作動防止用の光吸収剤が挙げられる。
上記の色調調整用の光吸収剤としては、550〜600nmのオレンジ光の除去のために用いられるものとして、トリメチンインドリウム化合物、トリメチンベンゾオキサゾリウム化合物、トリメチンベンゾチアゾリウム化合物等のトリメチンシアニン誘導体;ペンタメチンオキサゾリウム化合物、ペンタメチンチアゾリウム化合物等のペンタメチンシアニン誘導体;スクアリリウム色素誘導体;アゾメチン色素誘導体;キサンテン色素誘導体;アゾ色素誘導体;ピロメテン色素誘導体;アゾ金属錯体誘導体:ローダミン色素誘導体;フタロシアニン誘導体;ポルフィリン誘導体;ジピロメテン金属キレート化合物等が挙げられる。
上記の外光の反射や映り込み防止用の光吸収剤(480〜500nm対応)としては、トリメチンインドリウム化合物、トリメチンオキサゾリウム化合物、トリメチンチアゾリウム化合物、インドリデントリメチンチアゾニウム化合物等のトリメチンシアニン誘導体;フタロシアニン誘導体;ナフタロシアニン誘導体;ポルフィリン誘導体;ジピロメテン金属キレート化合物等が挙げられる。
上記の赤外リモコン誤作動防止用の光吸収剤(750〜1100nm対応)としては、ビスイミニウム誘導体;ペンタメチンベンゾインドリウム化合物、ペンタメチンベンゾオキサゾリウム化合物、ペンタメチンベンゾチアゾリウム化合物等のペンタメチンシアニン誘導体;ヘプタメチンインドリウム化合物、ヘプタメチンベンゾインドリウム化合物、ヘプタメチンオキサゾリウム化合物、ヘプタメチンベンゾオキサゾリウム化合物、ヘプタメチンチアゾリウム化合物、ヘプタメチンベンゾチアゾリウム化合物等のヘプタメチンシアニン誘導体;スクアリリウム誘導体;ビス(スチルベンジチオラト)化合物、ビス(ベンゼンジチオラト)ニッケル化合物、ビス(カンファージチオラト)ニッケル化合物等のニッケル錯体;スクアリリウム誘導体;アゾ色素誘導体;フタロシアニン誘導体;ポルフィリン誘導体;ジピロメテン金属キレート化合物等が挙げられる。
本発明の光学フィルターにおいて、上記の色調調整用の光吸収剤、外光の反射や映り込み防止用の光吸収剤、及び赤外リモコン誤作動防止用の光吸収剤(近赤外線吸収剤)は、本発明のシアニン化合物と同一の層に含有されていてもよく、別の層に含有されていてもよい。それらの使用量はそれぞれ、通常光学フィルターの単位面積当たり1〜1000mg/m2の範囲であり、好ましくは5〜100mg/m2である。
また、透明支持体に添加することができる上記無機微粒子としては、例えば、二酸化珪素、二酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、タルク、カオリン等が挙げられる。
透明支持体に施すことができる上記の各種の表面処理としては、例えば、薬品処理、機械的処理、コロナ放電処理、火焔処理、紫外線照射処理、高周波処理、グロー放電処理、活性プラズマ処理、レーザー処理、混酸処理、オゾン酸化処理等が挙げられる。
上記下塗り層は、光吸収剤を含有する光吸収層を設ける場合に、透明支持体と光吸収層との間に用いる層である。上記下塗り層は、ガラス転移温度が−60〜60℃のポリマーを含む層、光吸収層側の表面が粗面である層、又は光吸収層のポリマーと親和性を有するポリマーを含む層として形成する。また、下塗り層は、光吸収層が設けられていない透明支持体の面に設けて、透明支持体とその上に設けられる層(例えば、反射防止層、ハードコート層)との接着力を改善するために設けてもよく、光学フィルターと画像表示装置とを接着するための接着剤と光学フィルターとの親和性を改善するために設けてもよい。下塗り層の厚みは、2nm〜20μmが好ましく、5nm〜5μmがより好ましく、20nm〜2μmがさらに好ましく、50nm〜1μmがさらにまた好ましく、80nm〜300nmが最も好ましい。ガラス転移温度が−60〜60℃のポリマーを含む下塗り層は、ポリマーの粘着性で、透明支持体とフィルター層とを接着する。ガラス転移温度が−60〜60℃のポリマーは、例えば、塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、ブタジエン、ネオプレン、スチレン、クロロプレン、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、アクリロニトリル又はメチルビニルエーテルの重合又はこれらの共重合により得ることができる。ガラス転移温度は、50℃以下であることが好ましく、40℃以下であることがより好ましく、30℃以下であることがさらに好ましく、25℃以下であることがさらにまた好ましく、20℃以下であることが最も好ましい。下塗り層の25℃における弾性率は、1〜1000MPaであることが好ましく、5〜800MPaであることがさらに好ましく、10〜500MPaであることが最も好ましい。光吸収層側の表面が粗面である下塗り層は、粗面の上に光吸収層を形成することで、透明支持体と光吸収層とを接着する。光吸収層側の表面が粗面である下塗り層は、ポリマーラテックスの塗布により容易に形成することができる。ラテックスの平均粒径は、0.02〜3μmであることが好ましく、0.05〜1μmであることがさらに好ましい。光吸収層のバインダーポリマーと親和性を有するポリマーとしては、アクリル樹脂、セルロース誘導体、ゼラチン、カゼイン、でんぷん、ポリビニルアルコール、可溶性ナイロン及び高分子ラテックス等が挙げられる。また、本発明の光学フィルターには、二以上の下塗り層を設けてもよい。下塗り層には、透明支持体を膨潤させる溶剤、マット剤、界面活性剤、帯電防止剤、塗布助剤、硬膜剤等を添加してもよい。
上記反射防止層においては、低屈折率層が必須である。低屈折率層の屈折率は、上記透明支持体の屈折率よりも低い。低屈折率層の屈折率は、1.20〜1.55であることが好ましく、1.30〜1.50であることがさらに好ましい。低屈折率層の厚さは、50〜400nmであることが好ましく、50〜200nmであることがさらに好ましい。低屈折率層は、屈折率の低い含フッ素ポリマーからなる層(特開昭57−34526号、特開平3−130103号、特開平6−115023号、特開平8−313702号、特開平7−168004号の各公報記載)、ゾルゲル法により得られる層(特開平5−208811号、特開平6−299091号、特開平7−168003号の各公報記載)、あるいは微粒子を含む層(特公昭60−59250号、特開平5−13021号、特開平6−56478号、特開平7−92306号、特開平9−288201号の各公報に記載)として形成することができる。微粒子を含む層では、微粒子間又は微粒子内のミクロボイドとして、低屈折率層に空隙を形成することができる。微粒子を含む層は、3〜50体積%の空隙率を有することが好ましく、5〜35体積%の空隙率を有することがさらに好ましい。
広い波長領域の反射を防止するためには、上記反射防止層において、低屈折率層に加えて、屈折率の高い層(中・高屈折率層)を積層することが好ましい。高屈折率層の屈折率は、1.65〜2.40であることが好ましく、1.70〜2.20であることがさらに好ましい。中屈折率層の屈折率は、低屈折率層の屈折率と高屈折率層の屈折率との中間の値となるように調整する。中屈折率層の屈折率は、1.50〜1.90であることが好ましく、1.55〜1.70であることがさらに好ましい。中・高屈折率層の厚さは、5nm〜100μmであることが好ましく、10nm〜10μmであることがさらに好ましく、30nm〜1μmであることが最も好ましい。中・高屈折率層のヘイズは、5%以下であることが好ましく、3%以下であることがさらに好ましく、1%以下であることが最も好ましい。中・高屈折率層は、比較的高い屈折率を有するポリマーバインダーを用いて形成することができる。屈折率が高いポリマーとしては、ポリスチレン、スチレン共重合体、ポリカーボネート、メラミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、環状(脂環式又は芳香族)イソシアネートとポリオールとの反応で得られるポリウレタン等が挙げられる。その他の環状(芳香族、複素環式、脂環式)基を有するポリマーや、フッ素以外のハロゲン原子を置換基として有するポリマーも、屈折率が高い。二重結合を導入してラジカル硬化を可能にしたモノマーの重合反応により形成されたポリマーを用いてもよい。
さらに高い屈折率を得るため、上記ポリマーバインダー中に無機微粒子を分散してもよい。無機微粒子の屈折率は、1.80〜2.80であることが好ましい。無機微粒子は、金属の酸化物又は硫化物から形成することが好ましい。金属の酸化物又は硫化物としては、酸化チタン(例えば、ルチル、ルチル/アナターゼの混晶、アナターゼ、アモルファス構造)、酸化錫、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、硫化亜鉛等が挙げられる。これらの中でも、酸化チタン、酸化錫及び酸化インジウムが特に好ましい。無機微粒子は、これらの金属の酸化物又は硫化物を主成分とし、さらに他の元素を含むことができる。主成分とは、粒子を構成する成分の中で最も含有量(重量%)が多い成分を意味する。他の元素としては、Ti、Zr、Sn、Sb、Cu、Fe、Mn、Pb、Cd、As、Cr、Hg、Zn、Al、Mg、Si、P、S等が挙げられる。被膜形成性で溶剤に分散し得るか、それ自身が液状である無機材料、例えば、各種元素のアルコキシド、有機酸の塩、配位性化合物と結合した配位化合物(例えばキレート化合物)、活性無機ポリマーを用いて、中・高屈折率層を形成することもできる。
上記反射防止層の表面には、アンチグレア機能(入射光を表面で散乱させて、膜周囲の景色が膜表面に移るのを防止する機能)を付与することができる。例えば、透明フィルムの表面に微細な凹凸を形成してその表面に反射防止層を形成するか、あるいは、反射防止層を形成後、エンボスロールにより表面に凹凸を形成することにより、アンチグレア機能を有する反射防止層を得ることができる。アンチグレア機能を有する反射防止層は、一般に3〜30%のヘイズを有する。
上記ハードコート層は、上記透明支持体の硬度よりも高い硬度を有する。ハードコート層は、架橋しているポリマーを含むことが好ましい。ハードコート層は、アクリル系、ウレタン系、エポキシ系のポリマー、オリゴマー又はモノマー(例えば紫外線硬化型樹脂)等を用いて形成することができる。シリカ系材料からハードコート層を形成することもできる。
上記反射防止層(低屈折率層)の表面には、潤滑層を形成してもよい。潤滑層は、低屈折率層表面に滑り性を付与し、耐傷性を改善する機能を有する。潤滑層は、ポリオルガノシロキサン(例えばシリコンオイル)、天然ワックス、石油ワックス、高級脂肪酸金属塩、フッ素系潤滑剤又はその誘導体を用いて形成することができる。潤滑層の厚さは、2〜20nmであることが好ましい。
本発明のシアニン化合物を光学フィルターに含有させる際に前記(3)の「透明支持体及び任意の各層から選択される任意の隣合う二者間の粘着剤層に混入させる方法」を採用する場合には、本発明のシアニン化合物等を粘着剤に含有させた後、該粘着剤を用いて、上述した透明支持体及び任意の各層のうちの隣合う二者を接着すればよい。該粘着剤としては、例えば、シリコン系、ウレタン系、アクリル系等の樹脂用接着剤、ポリビニルブチラール接着剤、エチレン−酢酸ビニル系接着剤等の公知の合わせガラス用透明接着剤を用いることができる。また、該粘着剤を用いる場合、必要に応じて、硬化剤として、金属キレート系、イソシアネート系、エポキシ系等の架橋剤を用いることができる。また、粘着剤層の厚みは、2〜400μmとすることが好ましい。
前記「(4)任意の各層とは別に、本発明のシアニン化合物等の光吸収剤等を含有する光吸収層を設ける方法」を採用する場合、本発明のシアニン化合物は、そのまま使用して光吸収層を形成することもできるし、バインダーに分散させて光吸収層を形成することもできる。該バインダーとしては、例えば、ゼラチン、カゼイン、澱粉、セルロース誘導体、アルギン酸等の天然高分子材料、あるいは、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、スチレン−ブタジエンコポリマー、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアミド等の合成高分子材料が用いられる。
上記バインダーを使用する際には、同時に有機溶媒を使用することもでき、該有機溶媒としては、特に限定されることなく公知の種々の溶媒を適宜用いることができ、例えば、イソプロパノール等のアルコール類;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ブチルジグリコール等のエーテルアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸メトキシエチル等のエステル類;アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル等のアクリル酸エステル類、2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール等のフッ化アルコール類;ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素類;メチレンジクロライド、ジクロロエタン、クロロホルム等の塩素化炭化水素類等が挙げられる。これらの有機溶媒は、単独で又は混合して用いることができる。
また、上記の下塗り層、反射防止層、ハードコート層、潤滑層、光吸収層等は、一般的な塗布方法により形成することができる。塗布方法としては、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、ホッパーを使用するエクストルージョンコート法(米国特許第2681294号明細書記載)等が挙げられる。二以上の層を同時塗布により形成してもよい。同時塗布法については、例えば、米国特許第2761791号、米国特許第2941898号、米国特許第3508947号、米国特許第3526528号の各明細書及び原崎勇次著「コーティング工学」253頁(1973年朝倉書店発行)に記載がある。
以下、実施例及び評価例をもって本発明を更に詳細に説明する。しかしながら、本発明は以下の実施例等によって何ら制限を受けるものではない。
実施例1及び2は本発明のシアニン化合物の実施例を示し、評価例1においては、実施例1及び2それぞれのシアニン化合物並びに比較化合物の溶解性について評価を行った。また、実施例3〜5は、実施例1又は2のシアニン化合物を用いた本発明の光学フィルターの実施例を示す。
[実施例1] 化合物No.1(上記一般式(I)で表されるシアニン化合物)の合成
<ステップ1>中間体1の合成
窒素置換した反応フラスコに、常法に従って合成したN−イソプロポキシフェネチル−2,3,3−トリメチル−5−ニトロインドレニンの過塩素酸塩14.0g(30mmol)、ジフェニルホルムアミジン8.83g(45mmol)及びブタノール8.60gを仕込み、100℃で3.5時間加熱した。80℃まで冷却して酢酸エチル34gを加え、室温に冷却後、得られた固体をろ別した。得られた固体についてジメチルアセトアミド/メタノール混合溶媒から再結晶を行い、橙色結晶として目的物である中間体1を8.61g(収率50%)得た。
<ステップ2>化合物No.1の合成
窒素置換した反応フラスコに、上記ステップ1で得られた中間体1の5.07g(10mmol)、常法に従って合成したN−イソアミル−2,3,3−トリメチル−5−トリフルオロメチルインドレニン5.63g(12mmol)及びピリジン7.74gを仕込み、無水酢酸3.06g(30mmol)を加えて80〜90℃で2時間加熱した。室温に冷却後、反応液を減圧下で濃縮乾固し、ブタノールから再結晶を行い、紫色固体7.16g(収率93%)を得た。得られた紫色固体は、目的物である化合物No.1であることを確認した。得られた紫色固体についての分析結果を以下に示す。
(分析結果)
(1) 1H−NMR(CDCl3溶媒)
(ピークトップのケミカルシフトppm;多重度;プロトン数)
(1.05;d;6)、(1.09;d;6)、(1.68;s;6)、(1.71;s;6)、(1.74;m;1)、(2.49;m;2)、(3.03;t;2)、(4.22;t;2)、(4.42;d;2)、(4.45;m;1)、(6.39−8.53;m;13)
(2) IR吸収(cm-1
3433、2974、1608、1557、1509、1476、1449、1328、1162、1112
(3) UV吸収測定(クロロホルム溶媒)
λmax;571.5nm、ε;1.79×105
(4) 分解温度(TG−DTA:100ml/分窒素気流中、昇温10℃/分)
293℃;ピークトップ
[実施例2] 化合物No.2(上記一般式(I)で表されるシアニン化合物)の合成
<ステップ1>中間体2の合成
窒素置換した反応フラスコに、常法に従って合成したN−イソプロポキシフェネチル−3−シクロヘキシル−2−メチル−5−ニトロインドレニンの過塩素酸塩15.2g(30mmol)、ジフェニルホルムアミジン7.85g(40mmol)及びブタノール9.15gを仕込み、100℃で9時間加熱した。65℃まで冷却してメタノール36.6gを加え、65℃で30分保持した後、室温に冷却して得られた固体をろ別した。得られた固体を水及びメタノールで洗浄後、乾燥して、褐色結晶として目的物である中間体2を8.95g(収率49%)得た。
<ステップ2>化合物No.2の合成
窒素置換した反応フラスコに、上記ステップ1で得られた中間体2の4.85g(7.5mmol)、常法に従って合成したN−イソアミル−2,3,3−トリメチル−5−トリフルオロメチルインドレニン4.23g(9mmol)及びピリジン6.11gを仕込み、無水酢酸2.30g(22.5mmol)を加えて80〜90℃で2時間加熱した。室温に冷却後、反応液を減圧下で濃縮乾固し、ピリジン/エタノール混合溶媒から再結晶を行い、茶色固体4.98g(収率82%)を得た。得られた茶色固体は、目的物である化合物No.2であることを確認した。得られた茶色固体についての分析結果を以下に示す。
(分析結果)
(1) 1H−NMR(CDCl3溶媒)
(ピークトップのケミカルシフトppm;多重度;プロトン数)
(1.05;d;6)、(1.09;d;6)、(1.61;m;4)、(1.73;s;6)、(1.98;m;6)、(2.21;m;1)、(3.00;t;2)、(3.28;m;2)、(4.21;t;2)、(4.42;t;2)、(4.45;m;1)、(6.36−8.53;m;13)
(2) IR吸収(cm-1
3449、2934、1618、1559、1509、1474、1449、1421、1328、1161、1119
(3) UV吸収測定(クロロホルム溶媒)
λmax;574nm、ε;1.83×105
(4) 分解温度(TG−DTA:100ml/分窒素気流中、昇温10℃/分)
281℃;ピークトップ
[評価例1]溶解性評価
シアニン化合物である上記実施例1〜2で得た化合物No.1〜2及び以下に示す比較化合物について、20℃でのエチルメチルケトンへの溶解性を評価した。評価は、シアニン化合物を1.0質量%〜5.0質量%の範囲で1.0質量%刻みでエチルメチルケトンに加え、溶解、不溶を観察して行った。結果を表1に示す。
Figure 2007131818
Figure 2007131818
[実施例3]光学フィルターの作成1
下記の配合をプラストミルで260℃にて5分間溶融混練した。混練後、直径6mmのノズルから押出し水冷却ペレタイザーで色素含有ペレットを得た。このペレットを、電気プレスを用いて250℃で0.25mm厚の薄板(光学フィルター)に成形した。この薄板を(株)日立製作所スペクトロフォトメーターU−3010で測定したところ、λmaxが571mで半値巾が31nmであった。
(配合)
ユーピロンS−3000 100g
(三菱瓦斯化学(株)製;ポリカーボネート樹脂)
化合物No.1 0.01g
[実施例4] 光学フィルターの作成2
下記の配合にてUVワニスを作成し、易密着処理した188ミクロン厚のポリエチレンテレフタレートフィルムに、該UVワニスをバーコーター#9により塗布した後、80℃で30秒乾燥させた。その後、赤外線カットフィルムフィルター付き高圧水銀灯にて紫外線を100mJ照射し、ポリエチレンテレフタレートフィルム上に硬化膜厚約5ミクロンのフィルム層を有する光学フィルターを得た。この光学フィルターを(株)日立製作所スペクトロフォトメーターU−3010で測定したところ、λmaxが572nmで半値巾が31nmであった。
(配合)
アデカオプトマーKRX−571−65 100g
(旭電化工業(株)製UV硬化樹脂、樹脂分80重量%)
化合物No.1 0.5g
メチルエチルケトン 60g
[実施例5] 光学フィルターの作成3
下記の配合にて粘着剤組成物を作成し、易密着処理した188ミクロン厚のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムに、該粘着剤組成物をバーコーター#9により塗布し、80℃で30秒乾燥した。その後、このフィルムを0.9mm厚アルカリガラス板に100℃で熱圧着し、ガラス板とPETフィルムの間の粘着剤層に光吸収剤を含有するPET保護ガラス板(光学フィルター)を作成した。この光学フィルターについて(株)日立製作所スペクトロフォトメーターU−3010で測定したところ、λmaxは574nm、半値巾は30nmであった。
(配合)
アデカアークルズR−103 100g
(旭電化工業(株)製アクリル樹脂系粘着剤、樹脂分50重量%)
化合物No.2 0.1g
表1に示した評価例1の結果から、本発明のシアニン化合物は、溶解性に優れることが分かる。また、実施例3〜5から明らかなように、本発明のシアニン化合物を含有してなる光学フィルターは、急峻な光吸収を有しており、本発明のシアニン化合物は光学フィルターに好適であることが分かる。

Claims (5)

  1. 下記一般式(I)で表されるシアニン化合物。
    Figure 2007131818
    (式中、R1、R2、R3及びR4はそれぞれ独立に、ハロゲン原子、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基又は炭素原子数7〜20のアリールアルキル基を表し、R1とR2と、及びR3とR4とは、それぞれ連結して環構造を形成していてもよく、Xは、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基又は炭素原子数7〜20のアリールアルキル基を表し、Y1及びY2はそれぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基又は炭素原子数7〜20のアリールアルキル基を表し、R1、R2、R3、R4、X、Y1又はY2で表される上記炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基及び炭素原子数7〜20のアリールアルキル基は、置換基を有していてもよく、上記炭素原子数1〜8のアルキル基中のメチレン基は、−O−又は−CH=CH−で置き換えられていてもよく、Anq-はq価のアニオンを表し、qは1又は2を表し、pは電荷を中性に保つ係数を表す。)
  2. 溶液の光吸収におけるλmaxが、560〜580nmの範囲に存在することを特徴とする請求項1記載のシアニン化合物。
  3. 請求項1又は2記載のシアニン化合物を含有してなる光学フィルター。
  4. 画像表示装置用である請求項3記載の光学フィルター。
  5. 上記画像表示装置がプラズマディスプレイである請求項4記載の光学フィルター。
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