JP2009227642A - ガン細胞致死活性を有するカロテノイド - Google Patents

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Abstract

【課題】 白血病は乳幼児から高齢者まで幅広く発症し、その発症原因も不明である。病状が進行すると血液中にも腫瘍細胞が出現する。骨髄移植など身体に負荷を伴う治療や化学療法が進歩しているが、依然として死亡率は高い。本発明は、白血病に対して有効な抗腫瘍剤を提供することを目的とする。
【解決手段】(1)シフォナキサンチンを有効成分とする抗腫瘍剤。(2)シフォナキサンチンが緑藻類から抽出されたものである抗腫瘍剤。
【選択図】なし

Description

本発明は、カロテノイド類であるシフォナキサンチンを有効成分として含有する抗腫瘍剤に関する。
現在、がん治療は外科手術、放射線療法、化学療法(抗がん剤治療)が3本柱となっている。癌は、早期発見、早期治療が第一原則で、遠隔転移がない早期の段階では、外科的にすべて切除あるいは放射線療法によって完治するが多い。現在は、非常に有効な治療法となっている。このように局所の癌が比較的治療できる可能性が高い。
しかし、体の遠く離れた部位に転移した場合、全身的に治療するしかない。このような進行した段階のがんに対しての治療としては、3本柱の中では化学療法しかない。化学療法は、薬剤を投与して直接、腫瘍細胞に作用させて腫瘍細胞を死滅させる方法が一般的である。このような化学療法に用いる薬剤は数多い。しかし、このような薬剤は、腫瘍細胞のみならず正常細胞も死滅させてしまうために、治療効果は高いが、副作用も非常に強いのが大きな欠点である。
白血病は乳幼児から高齢者まで幅広く発症し、その発症原因も不明である。病状が進行すると血液中にも腫瘍細胞が出現し、骨髄移植など身体に負荷を伴う治療や化学療法が進歩しているが、依然として死亡率は4割と高い。具体的な化学療法剤には、(1)細胞分裂を抑制することで、増加している血液のがんをコントロールするもの(シタラビン、ダウノマイシン、アドリアマイシン、エトポシドなど)、(2)がん細胞が増える原因となっている遺伝子の異常を抑制する分子標的薬(イマチニブ(グリベック)、ATRA(ベサノイド))、(3)がん細胞が持つ構造に対して免疫機能をまねてこわす(リツキシマブ(リツキサン))などがある。しかし、何れも、吐き気・下痢・脱毛・肝障害・血液回復が遅れることから感染症・出血・貧血が出る、などの副作用を起す。
そこで、化学療法剤に、副作用の少ない抗腫瘍活性として、天然成分であるカロテノイドが注目されている。
ワカメやモズクなど褐藻類に含まれるカロテノイド(色素)のうち、フコキサンチンが、成人T細胞白血病(ATL)に作用し治癒効果が認められたとして報告されている(特許文献1)。また、肝臓ガンに対して、フコキサンチンの抗腫瘍活性も知られている(特許文献2)。
しかし、現時点では白血病などの癌に強い効果を有するカロテノイド物質の開発にはまだ至っていない。
特開2008−019174号公報 特開平10−158156号公報
本発明は、白血病に対して有効な抗腫瘍剤を提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決するために鋭意研究を行った。そして、シフォナキサンチンに抗腫瘍活性を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
(1)シフォナキサンチンを有効成分とする抗腫瘍剤。
(2)シフォナキサンチンが緑藻類から抽出されたものである請求項1の抗腫瘍剤。
である。
本発明によれば、白血病に対して有効な抗腫瘍効果を提供することができる。
本発明者らは、カロテノイドの抗腫瘍活性を検討し、シフォナキサンチンがヒト前骨髄性白血病に対して強い抗腫瘍活性を有することを見出し、本発明をなすに至った。
シフォナキサンチンに関する生理機能の報告は殆どなく、ヒト前骨髄性白血病細胞に対する抗腫瘍活性については知られていない。
(シフォナキサンチン)
シフォナキサンチンはルテインの誘導体で、黄色のカロテノイドある。植物中では、光合成において緑色光を吸収し、そのエネルギーをクロロフィルに渡していることが知られている。
シフォナキサンチンは、緑藻類のミル、ヤブレグサ等に多く含まれる化合物である。
シフォナキサンチンには、誘導体の存在が知られているが、その基本骨格(C4056、分子量632.8)は下記の式1に示される。
Figure 2009227642
(シフォナキサンチンの使用の形態)
本発明において、シフォナキサンチンを単体で使用することが好ましいが、他の成分との混合物であっても使用できる。
シフォナキサンチンは緑藻類において、カロテノイド群として存在し、緑藻類から単離、精製することで得ることができるが、使用に当たって、シフォナキサンチンが他のカロテノイド等と混合していても、その効果を発現することができる。
他のカロテノイドとしては、特に限定されるものではないが、例えば、シフォネイン、フコキサンチン、ゼアキサンチンなどが挙げられる。
シフォナキサンチンは合成方法により製造することができるが、例えば、以下の方法で緑藻類から抽出されたシフォナキサンチンを使用することもできる。
原料として緑藻類として、ミル(Codium fragileSuringarHariot)、ヤブレグサ(Ulva japonica)を使用する。
原料を乾燥後、これに、アセトン、エタノール、メタノール、クロロホルム等の有機溶媒を加えて抽出する。次に、抽出した分画について、順相の液体クロマトグラフィー等よりカロテノイド群の分画を分取する。
さらに、カロテノイド群の分画から、逆相の液体クロマトグラフィー等により、シフォナキサンチンを単離することができる。
本発明においては、有機溶媒分画、カロテノイド群の分画においても、フォナキサンチンが有効量含まれていることから、本発明に使用することができる。
本発明において、シフォナキサンチンの供給源としては、ミルが好ましい。ミルは、日本では「海松」と言われ、古くから食用とされている。原料としても入手に関する問題はない。また、ミルには多量のシフォナキサンチンが含まれている。
本発明に係る抗腫瘍剤は、上述したようにシフォナキサンチンを有効成分とするものであり、経口投与、静脈内注射、皮下注射、などの方法で投与される。その投与量は、投与経路、投与回数によって異なり、また症状の軽重などに依存して設計される。例えば、経口投与の場合、成人1日あたりシフォナキサンチン10mg〜1gとすることが好ましい。また、静脈内注射、皮下注射の場合、成人1日あたりシフォナキサンチン0.1mg〜10mgとすることが好ましい。
本発明に係る抗腫瘍剤の形態は、経口投与の意場には、シフォナキサンチンの有効量に適当な無毒性の担体を使用して、錠剤、顆粒剤、散剤、液剤などに調製し使用することができる。
非経口投与する場合には、注射剤、点滴剤、座薬などに調製される。この場合、製剤化に際して、界面活性剤、滑沢剤、矮臭剤、矮味剤、懸濁剤、皮膜形成剤、コーティング助剤などの成分を用いて慣用の方法で調製、使用される。
また、懸濁化剤として、大豆油、中鎖脂肪酸、脂肪酸モノグリセライド、レシチンなどによって調製され、経腸栄養食や濃厚流動食として使用できる。
以下、実施例により本発明の有効成分の抽出例、抗腫瘍活性の効果を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<カロテノイドの精製>
フコキサンチンは褐藻のUndaria pinnatifida(ワカメ)より、シフォナキサンチンは緑藻のUlva japonica(ヤブレグサ)より精製した。それぞれの海藻を凍結乾燥後、ミルミキサーによって粉砕し、約10倍容のアセトンを加え、スターラーにより撹拌しつつ遮光し、一晩4℃にて抽出を行った。抽出液をエバポレーターによって濃縮後、メタノールに溶解させ、HPLC(高速液体グラフィー)に供した。
HPLCは、カラムLiChroprep RP−18(MERCK社)、ポンプはLC−9A(株式会社 島津製作所)を用いた。移動相にはアセトニトリル:水(90:10、v/v)を用いた。目視によってカロテノイドの含まれる画分(橙色の画分)を分取した。画分をエバポレーターによって濃縮後、メタノールに溶解させ、さらにHPLC に供した。
HPLCは、カラムODS−80Ts(4.6×250mm 東ソー株式会社製)、ポンプはLC−6AD(株式会社 島津製作所製)、検出器はSPD−M20A(株式会社 島津製作所製)を用いて行った。HPLC条件は、移動相はアセトニトリル:メタノール:水=75:15:10(v/v/v、0.1%酢酸アンモニウム)を用い、流速1.0ml/min、カラム温度40℃にて行った。
フコキサンチンは約9分、シフォナキサンチンは約7分に出現したピークを分取した。ピークは、マススペクトルEI−MS(直接導入)により親ピークを確認し、得られたピークがそれぞれ、フコキサンチン、シフォナキサンチンであることを確認した。
分取した溶液1mlに対し、ジクロロメタン2ml、水0.9mlを加え撹拌後、2800×rpm、15分間遠心分離し、下層を分取した。さらに上層に同量のジクロロメタンを加え、再度抽出し、下層を合わせた。
純度をTLCで確認したところ、それぞれ単一スポットであった。
窒素により溶媒を除去し、ジクロロメタン:メタノール(1:1)に溶解させ、−80℃にて保存した。それぞれのカロテノイドの濃度は、モル吸光係数(フコキサンチンはε449=105mM−1cm−1,ヘキサン、シフォナキサンチンはε445=150mM−1cm−1,アセトン)を用いて算出した。すべての操作は極力遮光し、低温下で行った。
なお、β−カロチンは、和光純薬株式会社から購入した。
<HL−60細胞の培養>
ヒト前骨髄性白血病細胞HL−60は10%FBS、100units/mlペニシリンと100μg/mlストレプトマイシンを含むRPMI−1640培地を用い、5%CO、37℃の環境下で培養した。
<細胞致死活性測定>
カロテノイドはDMSOに溶解させた。DMSOの最終濃度は0.1%となるように調整し、DMSOのみを添加したものをコントロールとして用いた。カロテノイドは10μM、20μMの濃度に調製後、96wellプレートにて、コントロールと併せてそれぞれ4wellずつHL−60細胞(5.0×10cells/ml)に添加した。この際の培地は培養条件と同様のもの(10%FBS、100units/mlペニシリンと100μg/mlストレプトマイシンを含むRPMI−1640培地)を用いた。5%CO、37℃の環境下にて24時間または48時間培養後、細胞懸濁液30μlに Guava PCA ViaCount Reagent(Guava Technologies Inc.)270μlを加えた。室温にて5分間インキュベーション後、Guava PCA(Guava Technologies Inc.)を用いて、細胞数を測定し細胞生存率を求めた。本方法は細胞の生死により蛍光試薬の核内への取り込みが変化することを利用し、2色の蛍光試薬で生死を判定する原理を利用したものである。
実施例1
シフォナキサンチンの細胞致死活性を上記の方法に従って測定した。
比較例1
β―カロテンの細胞致死活性を上記の方法に従って測定した。
比較例2
フコキサンチンの細胞致死活性を上記の方法に従って測定した。
Figure 2009227642
注)有意差検定 シフォナキサンチンのフコキサンチンに対する有意差を示す
*p<0.05、**p<0.01
表1の結果から、コントロールのβ−カロテンでは、10μM、20μM添加で細胞生存率は殆ど変化しないが、生存率に関して、シフォナキサンチンでは20μM添加で10%、フコキサンチンでは20μM添加で32%であった。統計的有意差1%(T検定)をもってシフォナキサンチンの方がフコキサンチンより高い細胞致死活性を有している。

Claims (2)

  1. シフォナキサンチンを有効成分とする抗腫瘍剤。
  2. シフォナキサンチンが緑藻類から抽出されたものである請求項1の抗腫瘍剤。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2012001524A (ja) * 2010-06-21 2012-01-05 Kyoto Univ 脂肪前駆細胞分化抑制剤
JP2013051892A (ja) * 2011-09-01 2013-03-21 South Product:Kk シフォナキサンチンおよび/またはシフォネインの製造方法

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