JP2009227203A - キャンバー角調整装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 高グリップ性と低燃費との両立を図ることができると共に、キャンバー角が制御不能となった場合に車両を安定した状態とすることが可能なキャンバー角調整装置を提供する。
【解決手段】 アーム41及び伝達部材42から伝達されたアクチュエータ4aの駆動力により回動部材43が回動することで車輪2のキャンバー角を変更するキャンバー角調整装置において、伝達部材42は、キャンバー角が制御不能となった場合に、車輪2の第2トレッド22に比して、グリップ力の高い特性に構成される第1トレッド21の接地面積が第2トレッド22の接地面積より大きくなるようにキャンバー角を強制的に付与することを特徴とする。
【選択図】図8

Description

本発明は、車輪のキャンバー角を調整するキャンバー角調整装置に関するものである。
車輪のキャンバー角(タイヤ中心と地面とがなす角度)をマイナス方向で大きくとることで、タイヤの能力を十分に引き出して、旋回性能の向上を図る試みが行われている。これは、キャンバー角を例えば0°に設定していると、直進走行時にはトレッドが幅方向の全域で地面に接地するが、旋回時には遠心力による車両のロールにより内側のトレッドが地面から浮き上がり、十分な旋回性能を得られないからである。従って、マイナス方向のキャンバー角を予め付与しておくことで、旋回時にトレッドが地面へ幅広く接地でき、旋回性能の向上を図ることができる。
しかしながら、マイナス方向に大きなキャンバー角で車輪を車両に装着すると、タイヤの旋回性能は向上されるが、直進走行時に内側のトレッド端部における接地圧が高くなり、タイヤが偏磨耗して不経済であると共に、トレッド端部の温度が高温になるという問題点があった。
そこで、マイナス方向に大きなキャンバー角で車両に車輪を装着する場合に、タイヤの一方側のサイド部を他方側のサイド部より強く補強して剛性を大ならしめると共に、トレッドゴムを2分して、その一方側を他方側より硬度を低くする、或いはトレッド端部のトレッド厚みを厚くして、耐摩耗性、耐熱性及び高グリップ性を確保する技術が開示されている(特許文献1)。
また、車輪のキャンバー角をアクチュエータの駆動力によってアクティブ制御するサスペンションシステムが開示されている(特許文献2)。
特開平2−185802号公報 米国特許6,347,802号公報
しかしながら、前者の技術では、旋回時の高グリップ性を維持するという点では十分な性能を発揮し得るが、高グリップ性と低燃費(低転がり抵抗)との両立という点では不十分であるという問題点があった。また、上述した従来の技術では、高グリップ性は旋回時に限られるものであり、例えば、直進走行時の急加速・急制動時における高グリップ性の発揮が不十分であるという問題点があった。同様に、後者の技術では、高グリップ性と低燃費との両立という点では不十分であるという問題点があった。また、キャンバー角が制御不能となった場合の対策については何ら開示されていない。
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、高グリップ性と低燃費との両立を図ることができると共に、キャンバー角が制御不能となった場合に車両を安定した状態とすることが可能なキャンバー角調整装置を提供することを目的としている。
そのために本発明は、車輪のキャンバー角を調整するキャンバー角調整装置において、前記車輪は、第1トレッドと、その第1トレッドに対して幅方向に並設され車両の外側又は内側に配置される第2トレッドと、を備えると共に、前記第1トレッドと前記第2トレッドとが互いに異なる特性に構成され、前記第1トレッドは、前記第2トレッドに比して、グリップ力の高い特性に構成されると共に、前記第2トレッドは、前記第1トレッドに比して、転がり抵抗の小さい特性に構成され、回転駆動力を発生するアクチュエータと、前記アクチュエータの駆動力を伝達するアーム及び伝達部材と、前記アーム及び前記伝達部材から伝達された前記アクチュエータの駆動力により回動することで前記車輪のキャンバー角を変更する回動部材と、前記伝達部材は、前記キャンバー角が制御不能となった場合に、前記車輪の前記第1トレッドの接地面積が前記第2トレッドの接地面積より大きくなるようにキャンバー角を強制的に付与するキャンバー角強制付与手段と、を備えたことを特徴とする。
また、前記アクチュエータの出力部を形成する面は、キャンバー軸に対して垂直な関係であることを特徴とする。
また、車体に連結されるベース部材を備え、前記アクチュエータは前記ベース部材に設けられ、前記ベース部材には、前記アームの回動角度を規制するストッパが設けられていることを特徴とする。
請求項1記載の発明によれば、車輪のキャンバー角を調整するキャンバー角調整装置において、前記車輪は、第1トレッドと、その第1トレッドに対して幅方向に並設され車両の外側又は内側に配置される第2トレッドと、を備えると共に、前記第1トレッドと前記第2トレッドとが互いに異なる特性に構成され、前記第1トレッドは、前記第2トレッドに比して、グリップ力の高い特性に構成されると共に、前記第2トレッドは、前記第1トレッドに比して、転がり抵抗の小さい特性に構成され、回転駆動力を発生するアクチュエータと、前記アクチュエータの駆動力を伝達するアーム及び伝達部材と、前記アーム及び前記伝達部材から伝達された前記アクチュエータの駆動力により回動することで前記車輪のキャンバー角を変更する回動部材と、前記伝達部材は、前記キャンバー角が制御不能となった場合に、前記車輪の前記第1トレッドの接地面積が前記第2トレッドの接地面積より大きくなるようにキャンバー角を強制的に付与するキャンバー角強制付与手段と、を備えたので、通常走行時は高グリップ性と低燃費との両立を図ると共に、キャンバー角調整装置が故障し、キャンバー角が制御不能になった場合、高グリップ面を接地させることで車両を安定した状態とすることが可能となる。
また、請求項2記載の発明によれば、前記アクチュエータの出力部を形成する面は、キャンバー軸に対して垂直な関係であるので、アクチュエータの駆動力をさらに効率的に伝達することができる。
また、請求項3記載の発明によれば、車体に連結されるベース部材を備え、前記アクチュエータは前記ベース部材に設けられ、前記ベース部材には、前記アームの回動角度を規制するストッパが設けられているので、アクチュエータが故障等により誤作動したとしても、所定のキャンバー角内に維持し、走行安定性を維持することができる。
以下、本発明の好ましい実施の形態について図面を参照して説明する。
以下、本発明の好ましい実施の形態について添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の第1実施の形態における車両用制御装置100が搭載される車両1を模式的に示した模式図である。なお、図1の矢印FWDは、車両1の前進方向を示す。
まず、車両1の概略構成について説明する。車両1は、図1に示すように、車体フレームBFと、その車体フレームBFに支持される複数(本実施の形態では4輪)の車輪2と、それら各車輪2を独立に回転駆動する車輪駆動装置3と、各車輪2のキャンバー角の調整等を行うキャンバー角調整装置4とを主に備え、車輪2のキャンバー角を車両用制御装置100により制御して、車輪2に設けられた2種類のトレッドを使い分けることで(図5及び図6参照)、走行性能の向上と省燃費の達成とを図ることができるように構成されている。
次いで、各部の詳細構成について説明する。車輪2は、図1に示すように、車両1の進行方向前方側に位置する左右の前輪2FL,2FRと、進行方向後方側に位置する左右の後輪2RL,2RRとの4輪を備え、これら前後輪2FL〜2RRは、車輪駆動装置3から回転駆動力を付与されて、それぞれ独立に回転可能に構成されている。
車輪駆動装置3は、各車輪2を独立に回転駆動するための回転駆動装置であり、図1に示すように、4個の電動アクチュエータ(FL〜RRアクチュエータ3FL〜3RR)を各車輪2に(即ち、インホイールモータとして)配設して構成されている。運転者がアクセルペダル52を操作した場合には、各車輪駆動装置3から回転駆動力が各車輪2に付与され、各車輪2がアクセルペダル52の操作量に応じた回転速度で回転される。
また、車輪2(前後輪2FL〜2RR)は、キャンバー角調整装置4によりキャンバー角が調整可能に構成されている。キャンバー角調整装置4は、各車輪2のキャンバー角を調整するための駆動装置であり、図1に示すように、各車輪2に対応する位置に合計4個(FL〜RRアクチュエータ4FL〜4RR)が配置されている。
また、キャンバー角調整装置4は、車両1の走行状態(例えば、定速走行時または加減速時、或いは、直進時または旋回時)や車輪2が走行する路面Gの状態(例えば、乾燥路面時と雨天路面時)などの状態変化に応じて、車両用制御装置100により作動制御され、車輪2のキャンバー角を調整する。
ここで、図2を参照して、車輪駆動装置3とキャンバー角調整装置4との概略構成について説明する。図2は、車輪2の断面図である。
車輪2(前後輪2FL〜2RR)は、ゴム状弾性材から構成されるタイヤ2aと、アルミニウム合金などから構成されるホイール2bとを主に備えて構成され、ホイール2bの内周部には、車輪駆動装置3(FL〜RRモータ3FL〜3RR)がインホイールモータとして配設されている。
タイヤ2aは、車両1の内側(図2右側)に配置される第1トレッド21と、その第1トレッド21と特性が異なり、車両1の外側(図2左側)に配置される第2トレッド22とを備える。なお、車輪2(タイヤ2a)の詳細構成については図4を参照して後述する。
車輪駆動装置3は、図2に示すように、その前面側(図2左側)に突出された車輪駆動軸3aがホイール2bに連結固定されており、車輪駆動軸3aを介して、回転駆動力を車輪2へ伝達可能に構成されている。
キャンバー角調整装置4は、駆動アクチュエータ4FL、アーム41、伝達部材42回動部材43を備えており、駆動アクチュエータ4FLは車体フレームBFと連結されたベース部材に固定され、アーム41を回転駆動させる。アーム41は伝達部材42に回動可能に連結され、伝達部材42は回動部材43に回動可能に連結されている。また、回動部材43は、車輪駆動装置3に固定連結されている。
これにより、駆動アクチュエータ4FLを回転駆動することで、車輪駆動装置3がキャンバー軸Cを揺動中心として揺動駆動され、その結果、各車輪2に所定のキャンバー角が付与される。
例えば、車輪2が中立位置(車両1の直進状態)にある状態で、駆動アクチュエータ4FLが矢印A方向に回転駆動されると、アーム41、伝達部材42回動部材43が回動され、車輪駆動装置3がキャンバー軸C回りに回転され、車輪2にマイナス方向(ネガティブキャンバー)のキャンバー角が付与される。一方、これとは逆の方向に駆動アクチュエータ4FLが回転駆動されると、車輪2にプラス方向(ポジティブキャンバー)のキャンバー角が付与される。
図1に戻って説明する。アクセルペダル52及びブレーキペダル53は、運転者により操作される操作部材であり、各ペダル52,53の踏み込み状態(踏み込み量、踏み込み速度など)に応じて、車両1の走行速度や制動力が決定され、車輪駆動装置3の作動制御が行われる。
ステアリング54は、運転者により操作される操作部材であり、その操作状態(回転角度、回転速度など)に応じて、車両1の旋回半径などが決定され、キャンバー角調整装置4の作動制御が行われる。ワイパースイッチ55は、運転者により操作される操作部材であり、その操作状態(操作位置など)に応じて、ワイパー(図示せず)の作動制御が行われる。
同様に、ウインカスイッチ56及び高グリップスイッチ57は、運転者により操作される操作部材であり、その操作状態(操作位置など)に応じて、前者の場合はウインカー(図示せず)の作動制御が行われ、後者の場合はキャンバー角調整装置4の作動制御が行われる。
なお、高グリップスイッチ57がオンされた状態は、車輪2の特性として高グリップ性が選択された状態に対応し、高グリップスイッチ57がオフされた状態は車輪2の特性として低転がり抵抗が選択された状態に対応する。
車両用制御装置100は、上述のように構成された車両1の各部を制御するための車両用制御装置であり、例えば、各ペダル52,53の操作状態を検出し、その検出結果に応じて車輪駆動装置3を作動させることで、各車輪2の回転速度を制御する。
或いは、アクセルペダル52、ブレーキペダル53やステアリング54の操作状態を検出し、その検出結果に応じてキャンバー角調整装置4を作動させ、各車輪のキャンバー角を調整することで、車輪2に設けられた2種類のトレッド21,22を使い分けて(図5及び図6参照)、走行性能の向上と省燃費の達成とを図る。ここで、図3を参照して、車両用制御装置100の詳細構成について説明する。
図3は、車両用制御装置100の電気的構成を示したブロック図である。車両用制御装置100は、図3に示すように、CPU71、ROM72及びRAM73を備え、これらはバスライン74を介して入出力ポート75に接続されている。また、入出力ポート75には、車輪駆動装置3等の複数の装置が接続されている。
CPU71は、バスライン74により接続された各部を制御する演算装置である。ROM72は、CPU71により実行される制御プログラムや固定値データ等を格納した書き換え不能な不揮発性のメモリであり、RAM73は、制御プログラムの実行時に各種のデータを書き換え可能に記憶するためのメモリである。なお、ROM72内には、図7に図示されるフローチャート(キャンバ制御処理)のプログラムが格納されている。
車輪駆動装置3は、上述したように、各車輪2(図1参照)を回転駆動するための装置であり、各車輪2に回転駆動力を付与する4個のFL〜RRモータ3FL〜3RRと、それら各モータ3FL〜3RRをCPU71からの命令に基づいて駆動制御する駆動回路(図示せず)とを主に備えている。
キャンバー角調整装置4は、上述したように、各車輪2のキャンバー角を調整するための装置であり、各車輪2(車輪駆動装置3)に角度調整のための駆動力を付与する4個のFL〜RR駆動アクチュエータ4FL〜4RRと、それら各駆動アクチュエータ4FL〜4RRをCPU71からの命令に基づいて駆動制御する駆動回路(図示せず)とを主に備えている。
CPU71からの指示に基づいて、キャンバー角調整装置4の駆動回路が駆動アクチュエータ4aを駆動制御すると、アーム41、伝達部材42及び回動部材43が回動される。キャンバー角調整装置4の駆動回路は、各駆動アクチュエータ4aの回転角を回転角センサにより監視し、CPU71から指示された目標値(伸縮量)に達した駆動アクチュエータ4aは、その回転駆動が停止される。なお、回転角センサによる検出結果は、駆動回路からCPU71に出力され、CPU71は、その検出結果に基づいて各車輪2の現在のキャンバー角を得ることができる。
車両速度センサ装置32は、路面Gに対する車両1の対地速度(絶対値及び進行方向)を検出すると共に、その検出結果をCPU71に出力するための装置であり、前後及び左右方向加速度センサ32a,32bと、それら各加速度センサ32a,32bの検出結果を処理してCPU71に出力する制御回路(図示せず)とを主に備えている。
前後方向加速度センサ32aは、車両1(車体フレームBF)の前後方向(図1上下方向)の加速度を検出するセンサであり、左右方向加速度センサ32bは、車両1(車体フレームBF)の左右方向(図1左右方向)の加速度を検出するセンサである。なお、本実施の形態では、これら各加速度センサ32a,32bが圧電素子を利用した圧電型センサとして構成されている。
CPU71は、車両速度センサ装置32の制御回路から入力された各加速度センサ32a,32bの検出結果(加速度値)を時間積分して、2方向(前後及び左右方向)の速度をそれぞれ算出すると共に、それら2方向成分を合成することで、車両1の対地速度(絶対値及び進行方向)を得ることができる。
接地荷重センサ装置34は、各車輪2の接地面が路面Gから受ける荷重を検出すると共に、その検出結果をCPU71に出力するための装置であり、各車輪2が受ける荷重をそれぞれ検出するFL〜RR荷重センサ34FL〜34RRと、それら各荷重センサ34FL〜34RRの検出結果を処理してCPU71に出力する処理回路(図示せず)とを備えている。
なお、本実施の形態では、各荷重センサ34FL〜34RRがピエゾ抵抗型の3軸荷重センサとして構成されている。これら各荷重センサ34FL〜34RRは、各車輪2のサスペンション軸(図示せず)上に配設され、上述した車輪2が路面Gから受ける荷重を車両1の前後方向、左右方向及び上下方向の3方向で検出する。
CPU71は、接地荷重センサ装置34から入力された各荷重センサ34FL〜34RRの検出結果(接地荷重)より、各車輪2の接地面における路面Gの摩擦係数μを次のように推定する。
例えば、前輪2FLに着目すると、FL荷重センサ34FLにより検出される車両1の前後方向、左右方向および垂直方向の荷重がそれぞれFx、Fy及びFzであれば、前輪2FLの接地面に対応する部分の路面Gにおける車両1前後方向の摩擦係数μは、前輪2FLが路面Gに対してスリップしているスリップ状態ではFx/Fzとなり(μx=Fx/Fz)、前輪2FLが路面Gに対してスリップしていない非スリップ状態ではFx/Fzよりも大きい値であると推定される(μx>Fx/Fz)。
なお、車両1の左右方向の摩擦係数μyについても同様であり、スリップ状態ではμy=Fy/Fzとなり、非スリップ状態ではFy/Fzよりも大きな値と推定される。また、摩擦係数μを他の手法により検出することは当然可能である。他の手法としては、例えば、特開2001−315633号公報や特開2003−118554号に開示される公知の技術が例示される。
車輪回転速度センサ装置35は、各車輪2の回転速度を検出すると共に、その検出結果をCPU71に出力するための装置であり、各車輪2の回転速度をそれぞれ検出する4個のFL〜RR回転速度センサ35FL〜35RRと、それら各回転速度センサ35FL〜35RRの検出結果を処理してCPU71に出力する処理回路(図示せず)とを備えている。
なお、本実施の形態では、各回転センサ35FL〜35RRが各車輪2に設けられ、各車輪2の角速度を回転速度として検出する。即ち、各回転センサ35FL〜35RRは、各車輪2に連動して回転する回転体と、その回転体の周方向に多数形成された歯の有無を電磁的に検出するピックアップとを備えた電磁ピックアップ式のセンサとして構成されている。
CPU71は、車輪回転速度センサ装置35から入力された各車輪2の回転速度と、予めROM72に記憶されている各車輪2の外径とから、各車輪2の実際の周速度をそれぞれ得ることができ、その周速度と車両1の走行速度(対地速度)とを比較することで、各車輪2がスリップしているか否かを判断することができる。
アクセルペダルセンサ装置52aは、アクセルペダル52の操作状態を検出すると共に、その検出結果をCPU71に出力するための装置であり、アクセルペダル52の踏み込み状態を検出する角度センサ(図示せず)と、その角度センサの検出結果を処理してCPU71に出力する制御回路(図示せず)とを主に備えている。
ブレーキペダルセンサ装置53aは、ブレーキペダル53の操作状態を検出すると共に、その検出結果をCPU71に出力するための装置であり、ブレーキペダル53の踏み込み状態を検出する角度センサ(図示せず)と、その角度センサの検出結果を処理してCPU71に出力する制御回路(図示せず)とを主に備えている。
ステアリングセンサ装置54aは、ステアリング54の操作状態を検出すると共に、その検出結果をCPU71に出力するための装置であり、ステアリング54の操作状態を検出する角度センサ(図示せず)と、その角度センサの検出結果を処理してCPU71に出力する制御回路(図示せず)とを主に備えている。
ワイパースイッチセンサ装置55aは、ワイパースイッチ55の操作状態を検出すると共に、その検出結果をCPU71に出力するための装置であり、ワイパースイッチ55の操作状態(操作位置)を検出するポジショニングセンサ(図示せず)と、そのポジショニングセンサの検出結果を処理してCPU71に出力する制御回路(図示せず)とを主に備えている。
ウィンカスイッチセンサ装置56aは、ウィンカスイッチ56の操作状態を検出すると共に、その検出結果をCPU71に出力するための装置であり、ウィンカスイッチ56の操作状態(操作位置)を検出するポジショニングセンサ(図示せず)と、そのポジショニングセンサの検出結果を処理してCPU71に出力する制御回路(図示せず)とを主に備えている。
高グリップスイッチセンサ装置57aは、高グリップスイッチ57の操作状態を検出すると共に、その検出結果をCPU71に出力するための装置であり、高グリップスイッチ57の操作状態(操作位置)を検出するポジショニングセンサ(図示せず)と、そのポジショニングセンサの検出結果を処理してCPU71に出力する制御回路(図示せず)とを主に備えている。
キャンバー角センサ装置60は、各車輪2のキャンバー角を検出すると共に、その検出結果をCPU71に出力するための装置であり、各車輪2のキャンバー角をそれぞれ検出する4個のFL〜RRキャンバー角センサ60FL〜60RRと、それら各キャンバー角センサ60FL〜60RRの検出結果を処理してCPU71に出力する処理回路(図示せず)とを備えている。
なお、本実施の形態では、各角度センサが電気抵抗を利用した接触型のポテンショメータとして構成されている。CPU71は、各センサ装置52a〜54aの制御回路から入力された検出結果により各ペダル52,53の踏み込み量及びステアリング54の操作角を得ると共に、その検出結果を時間微分することにより、各ペダル52,53の踏み込み速度(操作速度)及びステアリング54の回転速度(操作速度)を得ることができる。
図3に示す他の入出力装置35としては、例えば、雨量を検出するための雨量センサや路面Gの状態を非接触で検出する光学センサなどが例示される。
次いで、図4から図6を参照して、車輪2の詳細構成について説明する。図4は、車両1の上面視を模式的に示した模式図である。図5及び図6は、車両1の正面視を模式的に図示した模式図であり、図5では、車輪2にネガティブキャンバーが付与された状態が図示され、図6では、車輪2にポジティブキャンバーが付与された状態が図示されている。
上述したように、車輪2は、第1トレッド21及び第2トレッド22の2種類のトレッドを備え、図4に示すように、各車輪2(前輪2FL,2FR及び後輪2RL,2RR)において、第1トレッド21が車両1の内側に配置され、第2トレッド22が車両1の外側に配置されている。
本実施の形態では、両トレッド21,22の幅寸法(図4左右方向寸法)が同一に構成されている。また、第1トレッド21は、第2トレッド22に比して、グリップ力の高い特性(高グリップ性)に構成される。一方、第2トレッド22は、第1トレッド21に比して、転がり抵抗の小さい特性(低転がり抵抗)に構成されている。なお、両トレッド21,22の幅寸法は必ずしも同一にする必要はない。
例えば、図5に示すように、キャンバー角調整装置4が作動制御され、車輪2のキャンバー角θL,θRがマイナス方向(ネガティブキャンバー)に調整されると、車両1の内側に配置される第1トレッド21の接地圧Rinが増加されると共に、車両1の外側に配置される第2トレッド22の接地圧Routが減少される。これにより、第1トレッド21の高グリップ性を利用して、走行性能(例えば、旋回性能、加速性能、制動性能或いは雨天時の車両安定性など)の向上を図ることができる。
一方、図6に示すように、キャンバー各調整装置4が作動制御され、車輪2のキャンバー角θL,θRがプラス方向(ポジティブキャンバー方向)に調整されると、車両1の内側に配置される第1トレッド21の接地圧が減少されると共に、車両1の外側に配置される第2トレッド22の接地圧が増加される。これにより、第2トレッド22の低転がり抵抗を利用して、省燃費性能の向上を図ることができる。
次いで、図7を参照して、キャンバー制御処理について説明する。図7は、キャンバー制御処理を示すフローチャートである。この処理は、車両用制御装置100の電源が投入されている間、CPU71によって繰り返し(例えば、0.2ms間隔で)実行される処理であり、車輪2に付与するキャンバー角を調整することで、上述した走行性能と省燃費性能との2つの性能の両立を図る。
CPU71は、キャンバー制御処理に関し、まず、ワイパースイッチ55がオンされているか否か、即ち、フロントガラスのワイパーによる拭き取り動作が運転者により指示されているか否かを判断する(S1)。その結果、ワイパースイッチ55がオンされていると判断される場合には(S1:Yes)、現在の天候が雨天であり、路面Gに水膜が形成されている可能性があると推定されるので、車輪2にネガティブキャンバーを付与して(S6)、このキャンバー制御処理を終了する。
これにより、第1トレッド21の接地圧Rinが増加されると共に第2トレッド22の接地圧Routが減少されることで(図5参照)、第1トレッド21の高グリップ性を利用して、雨天時の車両安定性の向上を図ることができる。
S1の処理において、ワイパースイッチ55はオンされていないと判断される場合には(S1:No)、雨天ではなく、路面Gの状態は良好であると推定されるので、次いで、アクセルペダル52の踏み込み量は所定値以上であるか否か、即ち、所定以上の加速(急加速)が運転者により指示されているか否かを判断する(S2)。
その結果、アクセルペダル52の踏み込み量が所定値以上であると判断される場合には(S2:Yes)、急加速が運転者より指示されており、車輪2がスリップするおそれがあるので、車輪2にネガティブキャンバーを付与して(S6)、このキャンバー処理を終了する。
これにより、上述した場合と同様に、第1トレッド21の接地圧Rinが増加されると共に第2トレッド22の接地圧Routが減少されることで(図5参照)、第1トレッド21の高グリップ性を利用して、車輪2のスリップを防止することができ、車両1の加速性能の向上を図ることができる。
S2の処理において、アクセルペダル52の踏み込み量が所定値に達していないと判断される場合には(S2:No)、急加速は指示されておらず、緩やかな加速又は定速走行であると推定されるので、次いで、ブレーキペダル53の踏み込み量は所定値以上であるか否か、即ち、所定以上の制動(急制動)が運転者により指示されているか否かを判断する(S3)。
その結果、ブレーキペダル53の踏み込み量が所定値以上であると判断される場合には(S3:Yes)、急制動が運転者より指示されており、車輪2がロックするおそれがあるので、車輪2にネガティブキャンバーを付与して(S6)、このキャンバー処理を終了する。
これにより、上述した場合と同様に、第1トレッド21の接地圧Rinが増加されると共に第2トレッド22の接地圧Routが減少されることで(図5参照)、第1トレッド21の高グリップ性を利用して、車輪2のロックを防止することができ、車両1の制動性能の向上を図ることができる。
S3の処理において、ブレーキペダル53の踏み込み量が所定値に達していないと判断される場合には(S3:No)、急制動は指示されておらず、緩やかな制動か加速又は定速走行であると推定されるので、次いで、車両速度(対地速度)は所定値(例えば、時速15km)以下であるか否か、即ち、低速走行であるか否かを判断する(S17)。
その結果、車両速度が所定値以下(即ち、低速走行中)であると判断される場合には(S17:Yes)、車両速度が所定値を越えている場合と比較して、車両1がその後に減速し停車する可能性や加速する可能性も高いといえる。よって、これらの場合には車両1(車輪2)のグリップ力や停止力を予め確保しておく必要があるので、車輪2にネガティブキャンバーを付与して(S6)、このキャンバー処理を終了する。
これにより、上述した場合と同様に、第1トレッド21の接地圧Rinが増加されると共に第2トレッド22の接地圧Routが減少されることで(図5参照)、第1トレッド21の高グリップ性を利用して、車輪2のグリップ力を増加させることで、そのロックやスリップを防止して、車両1の制動性能や加速性能の向上を図ることができる。
また、車両1が停車した後は、第1トレッド21の高グリップ性を利用して、車両1(車輪2)の停止力を確保することができるので、車両1を安定した状態で停車させておくことができる。更に、その停車後に再発進する場合には、予め第1トレッドの接地圧Rinが増加されていることで、車輪2がスリップすることを防止して、車両1の再発進をスムーズ且つ高レスポンスで行うことができる。
S17の処理において、車両速度が所定値よりも大きいと判断される場合には(S17:No)、車両速度が低速ではなく、加減速の際の駆動力・制動力が比較的小さな値になると推定されるので、次いで、ウィンカスイッチ56はオンであるか否か、即ち、右左折や車線変更を行う旨が運転者により指示されているか否かを判断する(S18)。
その結果、ウィンカスイッチ56がオンであると判断される場合には(S18:Yes)、右左折や車線変更に伴って、車両1の旋回動作やその準備のための減速が行われる可能性が高いので、車輪2にネガティブキャンバーを付与して(S6)、このキャンバー処理を終了する。
これにより、上述した場合と同様に、第1トレッド21の接地圧Rinが増加されると共に第2トレッド22の接地圧Routが減少されることで(図5参照)、第1トレッド21の高グリップ性を利用して、車輪2のスリップを防止することができ、車両1の旋回性能の向上を図ることができる。
S18の処理において、ウィンカスイッチ56はオンされていないと判断される場合には(S18:No)、右左折や車線変更に伴う車両1の旋回動作は行われないと推定されるので、次いで、高グリップスイッチ57はオンであるか否か、即ち、車輪2の特性として高グリップ性を選択する旨が運転者により指示されているか否かを判断する(S19)。
その結果、高グリップスイッチ57がオンであると判断される場合には(S19:Yes)、車輪2の特性として高グリップ性が選択されたということであるので、車輪2にネガティブキャンバーを付与して(S6)、このキャンバー処理を終了する。
これにより、上述した場合と同様に、第1トレッド21の接地圧Rinが増加されると共に第2トレッド22の接地圧Routが減少されることで(図5参照)、第1トレッド21の高グリップ性を利用して、車輪2のスリップを防止することができ、車両1の制動性能や加速性能、或いは旋回性能の向上を図ることができる。
S19の処理において、高グリップスイッチ57はオンされていないと判断される場合には(S19:No)、次いで、ステアリング54の操作角は所定値以上であるか否か、即ち、所定以上の旋回(急旋回)が運転者により指示されているか否かを判断する(S4)。
その結果、ステアリング54の操作角が所定値以上であると判断される場合には(S4:Yes)、急旋回が運転者より指示されており、車輪2がスリップして、車両1がスピンするおそれがあるので、車輪2にネガティブキャンバーを付与して(S6)、このキャンバー処理を終了する。
これにより、上述した場合と同様に、第1トレッド21の接地圧Rinが増加されると共に第2トレッド22の接地圧Routが減少されることで(図5参照)、第1トレッド21の高グリップ性を利用して、車輪2のスリップ(車両1のスピン)を防止することができ、車両1の旋回性能の向上を図ることができる。
一方、S4の処理において、ステアリング54の操作角が所定値に達していないと判断される場合には(S4:No)、急旋回は指示されておらず、緩やかな旋回又は直進走行であり、また、S1からS3の処理より、路面状態は良好であり、急加速や急制動も指示されていないと推定される(S1:No、S2:No、S3:No)。
よって、この場合には(S1:No、S2:No、S3:No、S4:No)、車輪2の性能として高グリップ性を得る必要はなく、低転がり抵抗による省燃費性能を得ることが好ましいと判断できるので、車輪2にポジティブキャンバーを付与して(S5)、このキャンバー処理を終了する。
これにより、第1トレッド21の接地圧Rinが減少されると共に第2トレッド22の接地圧Routが増加されることで(図6参照)、第2トレッド21の低転がり抵抗を利用して、車輪2の転がり効率を向上させることができ、車両1の省燃費性能の向上を図ることができる。
このように、本実施の形態によれば、キャンバー角調整装置4により車輪2のキャンバー角θR,θLを調整して、第1トレッド21における接地圧Rinと第2トレッド22における接地圧Routとの比率を変更することで、加速性能及び制動性能と省燃費性能との互いに背反する2つの性能の両立を図ることができる。
次に、キャンバー角調整機構を左後輪2RLに適用した実施形態について説明する。図8はキャンバー角調整機構の前上方から見た斜視図、図9はキャンバー角調整機構の後上方から見た斜視図を示す。
なお、前後とは、車両の前後方向に対応しており、図中の矢印Fを前方とする。また、車幅方向とは、車両の前後方向に直交する方向とする(以下同じ。)。
図8及び図9において、4はキャンバー角調整機構、4RLはアクチュエータ、41はアーム、42は伝達部材、43は回動部材、44はネガティブストッパ、11はベース部材、12はトーションビーム、2は車輪、45は第1連結部、46は第2連結部である。
本実施形態のキャンバー角調整機構4は、図示しない車体と車輪2とを連結する部分に設けられ、車輪2のキャンバー角を変更するための装置である。
キャンバー角調整機構4は、車体に連結される支持部材としてのサスペンションやトーションビーム12等により、車体又は支持部材に連結されるベース部材11と、駆動力を発生するアクチュエータ4RLと、アクチュエータ4RLの駆動力を伝達するアーム41及び伝達部材42と、アーム41及び伝達部材42から伝達されたアクチュエータ4RLの駆動力によりベース部材11に対してキャンバー軸Cを中心として回動する回動部材43とを有する。
ベース部材11は、車体に対して揺動するトーションビーム12に固定され、アクチュエータ4RLの本体4aを支持するアクチュエータ支持部11aと、キャンバー軸Cに対応し、回動部材43を回動するように支持する回動部材支持部11cとを有する。
アクチュエータ4RLは、平面状、例えば、平面円環状の図示しない出力部を有する。
アーム41は、アクチュエータ4RLの図示しない平面円環状の出力部に結合されるロータリープレート部41aと、第1連結部45を介して伝達部材42に連結されるアーム部41bとを有する。
伝達部材42は、一方で第1連結部45を介してアーム41と回動するように連結され、他方で第2連結部46を介して回動部材43と回動するように連結され、アクチュエータ4RLの駆動力を回動部材43に伝達するものである。伝達部材42には、緊急用キャンバー角強制付与手段としての緊急用アクチュエータ42aが設けられている。なお、第1連結部45及び第2連結部46は、ボールベアリング等を用いるのが好ましい。
回動部材43は、ハブ3b等を介して車輪2を回転可能に支持し、キャンバー軸Cを中心としてベース部材11に対して回動可能なものである。
ネガティブストッパ6は、ネガティブキャンバーに車輪2を調整する際の移動を制限するものである。
図8に示すように、アクチュエータ4RLの出力部を形成する面は、キャンバー軸Cに対して垂直な関係であると好ましい。また、キャンバー軸C、アクチュエータ軸A、及び第1連結部材45及び第2連結部材46とは、それぞれ略平行の関係にあると好ましい。
図10は、キャンバー角を変更した場合の車体前方から見た作動概略図を示す。図10(a)は、アクチュエータ4RLを作動させない状態を示し、図10(b)は、アクチュエータ4RLを作動させ、ネガティブキャンバーとした状態を示し、図10(c)は、アクチュエータ4RLを作動させ、ポジティブキャンバーとした状態を示している。
図10(a)に示すように、アクチュエータ4RLを作動させない状態では、アライメント初期設定状態、本実施形態では、例えば、キャンバー角0°に設定した状態とする。
また、図10(b)に示すように、アクチュエータ4RLを作動すると、アーム41が矢印Anのように反時計方向に回動する。すると、アーム41に引かれて、伝達部材42が、第1連結部45を中心にアーム41と相対的に回動しながら、矢印n1の方向(紙面左、車体側)に移動する。
回動部材43は、伝達部材42に引かれて、第2連結部45を中心に伝達部材42と相対的に回動しながら、矢印n2の方向に、キャンバー軸Cを中心に車体側に回動する。これに伴い、車輪2のキャンバー角が変更してネガティブキャンバーとなる。
この状態からアクチュエータ4RLの回動が続くと、図11に示すように、ベース部材11のアクチュエータ支持部11aに設けたネガティブストッパ部6がアーム41に当接し、アーム41の移動、すなわちキャンバー角が規制される。
また、図10(c)に示すように、アクチュエータ4RLを作動すると、アーム41が矢印Apのように時計方向に回動する。すると、アーム41に引かれて、伝達部材42が、第1連結部45を中心にアーム41と相対的に回動しながら、矢印p1の方向(紙面右、車輪側)に移動する。
回動部材43は、伝達部材42に押されて、第2連結部46を中心に伝達部材42と相対的に回動しながら、矢印p2の方向に、キャンバー軸Cを中心に車輪側に回動する。これに伴い、車輪2のキャンバー角が変更してポジティブキャンバーとなる。
次に、キャンバー角調整機構4が故障等で制御不能となった場合のフェール時制御について説明する。図12はフェール時制御のフローチャート図である。
まず、キャンバー角検知手段60によりキャンバー角の実値を取得する(S21)。次に、キャンバー角の指令値と実値が等しいか否かを判断する(ST22)。
S22の処理において、キャンバー角の指令値と実値が等しいと判断した場合、キャンバー角調整機構4が故障等はしておらず制御可能と判断し、フェール時制御を終了する。ステップ2の処理において、キャンバー角の指令値と実値が等しくないと判断した場合、故障等によりキャンバー角調整機構4が制御不能と判断し、次のステップに進む。
次のステップでは、接地しているのが車輪2の高グリップ側の第1トレッド21か低グリップ側の第2トレッド22かを判断する(S23)。S23の処理において、接地しているのが車輪2の高グリップ側の第1トレッド21であると判断した場合、警告ランプを点灯させる(S24)。
S23の処理において、接地しているのが車輪2の低グリップ側の第2トレッド22であると判断した場合、緊急用アクチュエータ42aを作動させ、車輪2の高グリップ側の第1トレッド21を接地させる(S25)。続いて、警告ランプを点灯させ(S26)、フェール時制御を終了する。
図13及び図14は、緊急用アクチュエータ42aを作動させた状態を示す図である。本実施形態では、車輪2の高グリップ側の第1トレッド21が車両側にあるため、緊急時に緊急用アクチュエータ42aを作動させ、伝達部材42の長さを縮小するように構成する。キャンバー角調整機構4が制御不能と判断された場合には、図13(a)に示すように、ポジティブキャンバーで走行している場合であっても、
図13(b)に示すように、緊急用アクチュエータ42aを作動させ、伝達部材42の長さを縮小し、ネガティブキャンバーに変更する。
また、車輪2の高グリップ側の第1トレッド21が車両と反対側にある場合には、図14(a)に示すように、ネガティブキャンバーで走行している場合であっても、
図14(b)に示すように、緊急用アクチュエータ42aを作動させ、伝達部材42の長さを伸張し、ポジティブキャンバーに変更する。
なお、緊急用キャンバー角強制付与手段としては、ソレノイド等の電磁アクチュエータや火薬式伸張手段等の瞬時に作動するものを適用するとよい。
このように、車輪2のキャンバー角を調整するキャンバー角調整装置4において、前記車輪は、第1トレッド21と、その第1トレッド21に対して幅方向に並設され車両1の外側又は内側に配置される第2トレッド22と、を備えると共に、第1トレッド21と第2トレッド22とが互いに異なる特性に構成され、第1トレッド21は、第2トレッド22に比して、グリップ力の高い特性に構成されると共に、第2トレッド22は、第1トレッド21に比して、転がり抵抗の小さい特性に構成され、回転駆動力を発生するアクチュエータ4aと、アクチュエータ4aの駆動力を伝達するアーム41及び伝達部材42と、アーム41及び伝達部材42から伝達されたアクチュエータ4aの駆動力により回動することで車輪2のキャンバー角を変更する回動部材43と、伝達部材42は、キャンバー角が制御不能となった場合に、車輪2の第1トレッド21の接地面積が第2トレッド22の接地面積より大きくなるようにキャンバー角を強制的に付与する緊急用アクチュエータ42aと、を備えたので、通常走行時は高グリップ性と低燃費との両立を図ると共に、キャンバー角調整装置4が故障し、キャンバー角が制御不能になった場合、高グリップ面を接地させることで車両を安定した状態とすることが可能となる。
また、アクチュエータ2の出力部を形成する面は、キャンバ軸Cに対して垂直な関係であるので、アクチュエータ2の駆動力をさらに効率的に伝達することができる。
また、車体に連結されるベース部材11を備え、アクチュエータ2はベース部材11に設けられ、ベース部材20には、アーム3の回動角度を規制するストッパ6,7が設けられているので、アクチュエータ2が故障等により誤作動したとしても、所定のキャンバ角内に維持し、走行安定性を維持することができる。
本発明の第1実施の形態における車両用制御装置が搭載される車両を模式的に示した模式図である。 (a)は車輪の断面図であり、(b)は車輪の舵角及びキャンバー角の調整方法を模式的に説明する模式図である。 車両用制御装置の電気的構成を示したブロック図である。 車両の上面視を模式的に示した模式図である。 車両の正面視を模式的に図示した模式図であり、車輪にネガティブキャンバーが付与された状態である。 車両の正面視を模式的に図示した模式図であり、車輪にポジティブキャンバーが付与された状態である。 キャンバー制御処理を示すフローチャートである。 キャンバー角調整機構の前上方から見た斜視図である。 キャンバー角調整機構の後上方から見た斜視図である。 キャンバー角を変更した場合の車体前方から見た作動概略図である。 ストッパ部を示す図である。 フェール時制御のフローチャート図である。 緊急用アクチュエータを作動させた状態を示す図である。 緊急用アクチュエータを作動させた状態を示す図である。
符号の説明
100…車両用制御装置、1…車両、2…車輪、2FL…前輪(車輪、左車輪)、2FR…前輪(車輪、右車輪)、2RL…後輪(車輪、左車輪)、2RR…後輪(車輪、右車輪)、21…第1トレッド、22…第2トレッド、4…キャンバー角調整装置、4a…駆動アクチュエータ(キャンバー角調整装置)、42a…緊急用アクチュエータ(緊急用キャンバー角強制付与手段)

Claims (3)

  1. 車輪のキャンバー角を調整するキャンバー角調整装置において、
    前記車輪は、第1トレッドと、その第1トレッドに対して幅方向に並設され車両の外側又は内側に配置される第2トレッドと、を備えると共に、前記第1トレッドと前記第2トレッドとが互いに異なる特性に構成され、前記第1トレッドは、前記第2トレッドに比して、グリップ力の高い特性に構成されると共に、前記第2トレッドは、前記第1トレッドに比して、転がり抵抗の小さい特性に構成され、
    回転駆動力を発生するアクチュエータと、
    前記アクチュエータの駆動力を伝達するアーム及び伝達部材と、
    前記アーム及び前記伝達部材から伝達された前記アクチュエータの駆動力により回動することで前記車輪のキャンバー角を変更する回動部材と、
    前記伝達部材は、前記キャンバー角が制御不能となった場合に、前記車輪の前記第1トレッドの接地面積が前記第2トレッドの接地面積より大きくなるようにキャンバー角を強制的に付与するキャンバー角強制付与手段と、
    を備えたことを特徴とするキャンバー角調整機構。
  2. 前記アクチュエータの出力部を形成する面は、キャンバー軸に対して垂直な関係であることを特徴とする請求項1に記載のキャンバー角調整機構。
  3. 車体に連結されるベース部材を備え、
    前記アクチュエータは前記ベース部材に設けられ、
    前記ベース部材には、前記アームの回動角度を規制するストッパが設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のキャンバー角調整機構。
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