JP2009226592A - インクジェットプリンタ - Google Patents
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Abstract
【課題】印刷媒体の側方から確認しやすいマーキングを形成する。
【解決手段】インクジェットプリンタ1は、キャリッジ2を移動させることで、インクジェットヘッド3をインク移送部材60と対向する位置まで移動させる。そして、インクジェットヘッド3のノズル40からインク移送部材60の凹部61にインクの液滴を噴射させる。すると、凹部61に受容されたインクは、溝62を流れて、溝62の先端部において用紙搬送経路69に沿って搬送される記録用紙Pの側端部に接触し吸収されて、マーキングを形成する。
【選択図】 図1
【解決手段】インクジェットプリンタ1は、キャリッジ2を移動させることで、インクジェットヘッド3をインク移送部材60と対向する位置まで移動させる。そして、インクジェットヘッド3のノズル40からインク移送部材60の凹部61にインクの液滴を噴射させる。すると、凹部61に受容されたインクは、溝62を流れて、溝62の先端部において用紙搬送経路69に沿って搬送される記録用紙Pの側端部に接触し吸収されて、マーキングを形成する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、印刷媒体にインクの液滴を噴射して印刷するインクジェットプリンタに関する。
一般的に、複数の印刷媒体が積層された書籍や辞典などの側端部には、検索の手掛かりとなるようにマーキングが形成されている。ユーザは、このマーキングを側方から確認することで所望のページを検索可能となっている。また、インクジェットプリンタにより印刷動作が行われた複数の印刷媒体の側端部にも、分類の内容に応じて異なるマーキングが形成されている。ユーザは、印刷媒体の印刷内容を確認せずとも、このマーキングを側方から確認するだけで分類が可能となっている。このような印刷媒体の側端部にマーキングを形成するインクジェットプリンタとして、特許文献1には、縁なし印刷機能を流用して、印刷媒体の縁部(小口)に直接インクの液滴を噴射して、印刷媒体の側端部にマーキングを形成するインクジェットプリンタについて記載されている。
マーキングを形成するインクは印刷媒体の厚み方向に浸透している方が、マーキングを側方から見たときのマーキングの印刷領域が広くなり、ユーザはマーキングを確認しやすい。しかしながら、上述した特許文献1に記載のインクジェットプリンタにおいては、縁なし印刷機能を流用している。縁なし印刷機能では、印刷媒体の表面に印刷する場合と同様に、印刷媒体の表面のみインクのドットが形成されて印刷媒体の裏面に滲み出さない程度のインクの液滴が噴射される。そのため、縁なし印刷機能によって印刷媒体に印刷されたインクは、印刷媒体の厚み方向にあまり浸透していない。このように、印刷媒体の厚み方向へのインクの浸透を目的としていないので、印刷媒体を側方から見たときに、このインクジェットプリンタによって形成されたマーキングの印刷領域は狭く、ユーザはマーキングを非常に確認しづらい。
そこで、本発明の目的は、印刷媒体の側方から確認しやすいマーキングを形成するインクジェットプリンタを提供することである。
本発明のインクジェットプリンタは、シート状の印刷媒体にインクの液滴を噴射して印刷することが可能なインクジェットプリンタであって、前記印刷媒体を印刷媒体搬送経路に沿って搬送する搬送機構と、前記印刷媒体に向けてインクの液滴を噴射するノズルを備えたインクジェットヘッドと、前記印刷媒体搬送経路から外れた位置に配置されており、前記インクジェットヘッドから液滴として噴射されたインクを受容して印刷媒体の側端部に移送する液滴移送部材と、を備えている。
本発明のインクジェットプリンタによると、印刷媒体に向けて通常の噴射動作を行うインクジェットヘッドを流用して、このインクジェットヘッドから液滴として噴射されたインクを液滴移送部材で受容して印刷媒体の側端部に移送する。すると、移送されたインクは印刷媒体の側端部に接触して吸収される。このように、インクジェットヘッドから印刷媒体の印刷面にインクの液滴を直接着弾させて吸収させるよりも、液滴移送部材を介してインクを側端部から吸収させる方が、インクは印刷媒体の厚み方向に浸透する。したがって、印刷媒体の側端部へ印刷濃度の高い印刷を確実に行うことができ、印刷媒体の側方から確認しやすいマーキングを形成することができる。
また、前記液滴移送部材に残留しているインクを吸収する吸収部材をさらに有していることが好ましい。残留インクが所望のタイミング以外で印刷媒体の側端部に移送されると、印刷媒体の側端部の所望の位置以外にインクが接触してしまう。しかしながら、印刷媒体に吸収されずに液滴移送部材に残った残留インクを吸収部材で吸収することができる。したがって、残留インクが液滴移送部材内に少しずつ溜まって、印刷媒体の側端部に移送されるのを防止することができる。
さらに、前記液滴移送部材は、前記インクジェットヘッドから液滴として噴射されたインクを受容する受容部と、前記受容部から前記搬送機構により搬送される印刷媒体に向けて延びる通路と、を有していることが好ましい。これによると、インクジェットヘッドから噴射されて受容部に受容されたインクは、通路を介して移送され、液滴移送部材(通路)の端部から印刷媒体の側端部に吸収される。そのため、印刷媒体の側端部のマーキングを形成したい位置を液滴移送部材(通路)の端部に合わせることで、印刷媒体の側端部の所望の位置にインクを接触させ、マーキングを形成することができる。
加えて、前記通路の表面は、前記受容部から離れる方向に向かうにつれて、撥液性が低くなっていてもよい。これによると、受容部に受容されたインクを受容部から離れる方向、すなわち印刷媒体搬送経路を搬送される印刷媒体の側端部へ向かって確実に移送することができる。
また、前記受容部の、前記通路の延在方向の長さ及び前記延在方向と直交する方向の長さは、前記通路の幅よりもそれぞれ長いことが好ましい。これによると、インクジェットヘッドから噴射されたインクの液滴を直接通路で受容する場合に比べて確実に受容することができ、インクジェットヘッドから噴射されたインクの液滴の着弾精度が向上する。
さらに、前記通路は、前記液滴移送部材内を貫通して形成されていてもよい。これによると、通路を流れるインクが空気にふれることがないため、乾燥しにくい。
加えて、前記印刷媒体の側端部と接触しないように前記通路の端部まで移送されたインクを遮断する遮断部材と、前記通路の端部まで移送されたインクが前記印刷媒体の側端部と接触するように、前記遮断部材を移動させる遮断部材移動手段と、をさらに備えていてもよい。これによると、インクと印刷媒体との接触が遮断部材によって遮断された状態を解除したときにだけ通路を移送されたインクが印刷媒体の側端部に吸収される。つまり、インクを遮断する状態と解除する状態とに遮断部材を移動させることで、インクと印刷媒体との接触、非接触をコントロールできるので、印刷媒体の側端部の所望の位置以外にインクが吸収されるのを防止することができる。
また、前記インクジェットヘッドから前記受容部に対してインクの液滴を噴射する前に、前記遮断部材移動手段は、前記通路の端部まで移送されたインクを前記側端部に接触させるために、前記遮断部材を移動させることが好ましい。これによると、遮断部材によるインクが遮断された状態を解除することで、受容部に受容されたインクを印刷媒体の側端部に吸収させることができる。
さらに、前記遮断部材移動手段が前記遮断部材を移動させて、前記通路の端部まで移送されたインクと前記印刷媒体との接触が遮断された状態で、前記搬送機構によって前記印刷媒体を搬送することが好ましい。これによると、遮断部材によりインクが遮断された状態で印刷媒体を搬送しているので、印刷媒体の側端部の所望の位置以外にインクが吸収されるのを防止することができる。
加えて、前記インクジェットヘッドからインクの液滴を噴射した後、前記搬送機構によって前記印刷媒体を所定距離だけ搬送し、再びインクの液滴を噴射する間欠動作を繰り返し行うインクジェットプリンタであって、1回の間欠動作において、前記液滴移送部材によって前記印刷媒体の側端部に吸収させることが可能なインクの長さは、前記所定距離よりも長いことが好ましい。これによると、インクジェットヘッドから印刷媒体へ直接液滴を噴射する通常の噴射動作に応じた印刷媒体の搬送タイミングに合わせて、印刷媒体を搬送することができる。
また、前記液滴移送部材を、前記印刷媒体の側端部と近接する近接位置と、前記近接位置よりも前記印刷媒体の側端部から離れた退避位置とに移動させる移動機構をさらに備えていることが好ましい。これによると、液滴移送部材を印刷媒体の側端部に近接させたときにだけ印刷媒体の側端部にインクが接触可能であるので、印刷媒体の側端部の所望の位置以外にインクが吸収されるのを防止することができる。
さらに、前記液滴移送部材は、前記インクジェットヘッドからの噴射方向から見て円状であり、且つ、回転自在となっており、前記液滴移送部材には、周方向に沿って等間隔に複数の前記受容部が形成されており、前記複数の受容部から前記液滴移送部材の外周に向かって延びる複数の前記通路が形成されており、前記液滴移送部材を回転させる回転機構をさらに備えていてもよい。これによると、液滴移送部材が回転して、通路の端部と印刷媒体の側端部とが近接したときにだけ、印刷媒体の側端部にインクを接触させることができる。
加えて、前記搬送機構によって搬送された前記印刷媒体の搬送量を検出する搬送量検出手段と、前記搬送量検出手段により検出された搬送量に基づいて、前記印刷媒体と前記液滴移送部材との位置関係を算出する位置関係算出手段と、前記インクジェットヘッドの前記ノズルから前記液滴移送部材に向けて、液滴としてインクを噴射するマーキング噴射動作を制御するマーキング噴射動作制御手段と、をさらに備えており、前記マーキング噴射動作制御手段は、前記位置関係算出手段により算出された位置関係に基づいて、マーキング噴射動作を制御することが好ましい。これによると、印刷媒体の側端部の任意の位置にインクを移送することができる。
また、前記搬送機構によって搬送される前記印刷媒体の大きさに関する情報を検出する印刷媒体検出手段と、前記印刷媒体検出手段により検出された前記印刷媒体の大きさに関する情報に基づいて、前記移動機構を制御する移動機構制御手段と、をさらに備えていることが好ましい。これによると、搬送機構によって搬送される印刷媒体の大きさが変わっても、確実に印刷媒体の側端部にインクを移送することができる。
印刷媒体の側端部へ印刷濃度の高い印刷を確実に行うことができ、印刷媒体の側方から確認しやすいマーキングを形成することができる。
<第1実施形態>
次に、本発明の第1実施形態について説明する。この第1実施形態は、インクジェットヘッドに設けられたノズルからシート状の記録用紙(印刷媒体)に対して4種類(シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)のインクの液滴を噴射することにより、記録用紙に所望の文字や画像などを印刷するインクジェットプリンタに、本発明を適用したものである。シート状の記録用紙としては、薄紙、厚紙またはフィルムなどが挙げられる。
次に、本発明の第1実施形態について説明する。この第1実施形態は、インクジェットヘッドに設けられたノズルからシート状の記録用紙(印刷媒体)に対して4種類(シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)のインクの液滴を噴射することにより、記録用紙に所望の文字や画像などを印刷するインクジェットプリンタに、本発明を適用したものである。シート状の記録用紙としては、薄紙、厚紙またはフィルムなどが挙げられる。
まず、インクジェットプリンタについて説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係るインクジェットプリンタの概略構成図である。図1に示すように、インクジェットプリンタ1は、図1の左右方向(走査方向)に移動可能なキャリッジ2と、このキャリッジ2に設けられ、記録用紙Pに対してインクの液滴を噴射するノズル40(図2〜4参照)を有するシリアル型のインクジェットヘッド3と、記録用紙Pを用紙搬送経路69に沿って図1の前方(紙送り方向)へ搬送する搬送ローラ5(搬送機構)と、インクジェットヘッド3から液滴として噴射されたインクを受容して記録用紙Pの側端部Pc(図10参照)に移送するインク移送部材60と、インクジェットプリンタ1の各構成部を制御する制御装置6(図9参照)とを有している。
キャリッジ2は、本体フレーム4の2つの側壁に亘って配設されたガイド軸8に沿って、インク移送部材60と対向する領域を含んだ、記録用紙Pの幅を超える領域まで走査方向に往復移動可能に設けられている。また、このキャリッジ2には、インクジェットヘッド3が搭載されている。インクジェットヘッド3は、キャリッジ2とともに走査方向に往復移動しつつ、その下面に設けられたノズル40から、搬送ローラ5によって搬送される記録用紙P及びインク移送部材60の凹部61(図5参照)に向けてインクの液滴を噴射する。
搬送ローラ5は、本体フレーム4の2つの側壁に亘って配設された回転軸7に固定されている。回転軸7が回転することで、回転軸7とともに搬送ローラ5が回転し、記録用紙Pは紙送り方向へ搬送される。この記録用紙Pが紙送り方向に沿って搬送される経路が、用紙搬送経路69となっている。
次に、インクジェットヘッド3について詳細に説明する。図2は、インクジェットヘッドの上面図である。図3は、図2の部分拡大図である。図4は、図3のIV−IV線断面図である。ただし、図面をわかりやすくするため、図2においては図3で示されている圧力室34及び貫通孔35、36、39の図示を省略するとともに、ノズル40を図3、図4よりも大きく図示している。
図2〜図4に示すように、インクジェットヘッド3は、ノズル40及び圧力室34を含むインク流路が形成された流路ユニット22と、圧力室34内のインクに圧力を付与することにより、流路ユニット22のノズル40からインクの液滴を噴射させる圧電アクチュエータ23を有している。
まず、流路ユニット22について説明する。流路ユニット22は、ステンレス鋼などの金属材料で形成された、キャビティプレート30、ベースプレート31、マニホールドプレート32、及び、ノズルプレート33を有しており、これら4枚のプレート30〜33は積層状態で接合されている。
ノズルプレート33には、複数の貫通状のノズル40が形成されている。複数のノズル40は、紙送り方向(図2の上下方向)に沿って配列されてノズル列41を構成しており、このようなノズル列41が走査方向に4本並べて配置されている。これら4本のノズル列41に属するノズル40からは、ブラック、イエロー、シアン、マゼンタの4色のインクがそれぞれ噴射される。
図3、図4に示すように、キャビティプレート30には、複数のノズル40に対応して複数の圧力室34が形成されている。各圧力室34は、走査方向を長手方向とする略楕円形状を有し、平面視で圧力室34の右端部がノズル40と重なるように配置されている。また、ベースプレート31には、平面視で圧力室34の長手方向の両端部に重なる位置に、それぞれ貫通孔35、36が形成されている。
マニホールドプレート32には、4本のノズル列41にそれぞれ対応する4本のマニホールド流路37が形成されている。図2〜図4に示すように、各マニホールド流路37は、対応するノズル列41の左側の位置において紙送り方向に延在し、さらに、平面視で、対応する圧力室34の略左半分と重なっている。また、図2に示すように、4本のマニホールド流路37の一端部(紙送り方向上流側の端部:図2における上端部)は、最上層のキャビティプレート30に形成された4つのインク供給口38にそれぞれ連通している。これら4つのインク供給口38は、図示しない4つのインクタンクとそれぞれ接続されており、インクタンク内のインクがインク供給口38からマニホールド流路37に供給される。また、マニホールドプレート32には、平面視で、ベースプレート31の貫通孔36とノズルプレート33のノズル40の両方と重なる位置に貫通孔39が形成されている。
そして、図4に示すように、流路ユニット22において、インク供給口38に連なるマニホールド流路37が貫通孔35を介して圧力室34に連通し、圧力室34はさらに貫通孔36、39を介してノズル40に連通している。つまり、流路ユニット22には、マニホールド流路37の出口から圧力室34を経てノズル40に至る複数の個別インク流路が形成されている。
次に、圧電アクチュエータ23について説明する。圧電アクチュエータ23は、振動板50、圧電層51と及び複数の個別電極52を有している。振動板50は、金属材料などの導電性材料からなり、複数の圧力室34を覆うようにキャビティプレート30の上面に接合されている。また、導電性を有する振動板50は、後述するように圧電層51の複数の個別電極52との間に配置された部分に電界を作用させるための共通電極を兼ねており、ヘッドドライバ54(図9参照)のグランド配線に接続されて常にグランド電位に保持されている。
圧電層51は、チタン酸鉛とジルコン酸鉛との混晶であり、強誘電性を有するチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)を主成分とする圧電材料からなり、振動板50の上面に複数の圧力室34に跨って連続的に配置されている。また、圧電層51は、あらかじめその厚み方向に分極されている。
複数の個別電極52は、圧電層51の上面に複数の圧力室34に対応して設けられている。個別電極52は、圧力室34よりも一回り小さい略楕円の平面形状を有しており、平面視で、圧力室34の略中央部に重なる位置に配置されている。また、個別電極52の長手方向における一端部(図3の左端部)は、平面視で圧力室34と重ならない位置まで左方に延びており、その先端部が接点52aとなっている。接点52aには、図示しないフレキシブルプリント基板(FPC)などの配線部材を介してヘッドドライバ54が接続される。そして、ヘッドドライバ54から複数の個別電極52に対して、所定の駆動電位またはグランド電位のいずれか一方の電位が選択的に付与される。
以上の構成を有する圧電アクチュエータ23の作用について説明する。インクに圧力を付与しないとき(ノズル40からインクの液滴を噴射させないとき)には、複数の個別電極52の電位は、ヘッドドライバ54によりあらかじめグランド電位に保持されている。その状態から、ヘッドドライバ54により複数の個別電極52のいずれかに所定の駆動電位が付与されると、駆動電位が付与された個別電極52とグランド電位に保持されていた共通電極としての振動板50との間に電位差が生じ、圧電層51の個別電極52と振動板50とに挟まれた部分に厚み方向の電界が発生する。ここで、圧電層51の分極方向が電界方向と同じである場合には、圧電層51は厚み方向に延びて面方向に収縮する。そして、この圧電層51の収縮変形に伴って、振動板50の圧力室34と対向する部分が圧力室34側に凸となるように変形する(ユニモルフ変形)。このとき、圧力室34の容積が減少することになるから、その内部のインクの圧力が上昇し、圧力室34に連通するノズル40からインクの液滴が噴射される。
次に、インク移送部材60について説明する。図5は、本発明の第1実施形態に係るインク移送部材の概略斜視図である。図6は、受容部とノズルとの対応関係の説明図である。図7は、インク移送部材にインクの液滴が噴射されたときの説明図である。図8は、退避位置に位置しているときのインク移送部材の概略斜視図である。
図1及び図5に示すように、インク移送部材60は、樹脂で形成され、直方体形状をしている。また、インク移送部材60は、用紙搬送経路69から離れた位置である、用紙搬送経路69の側方において、キャリッジ2とともに走査方向に移動するインクジェットヘッド3のノズル40と対向する位置に配置されているとともに、用紙搬送経路69を搬送される記録用紙Pと水平方向に関して重なる高さ位置に配置されている。インク移送部材60の用紙搬送経路69と対向する面(図5の右方の面)からは、用紙搬送経路69と直交する方向(図5の右方)に凸部60aが突出しており、用紙搬送経路69を搬送される記録用紙Pは、この凸部60a上を搬送されることとなる。
さらに、図5〜図7に示すように、インク移送部材60は、インクジェットヘッド3のノズル40から噴射されたインクの液滴を受容する、平面形状が矩形状の5つの凹部61(受容部)と、5つの凹部61とそれぞれ連通し、凹部61から用紙搬送経路69まで走査方向に沿って延びる5本の溝62(通路)とを有している。
5つの凹部61は、走査方向に関してずれた位置であって、紙送り方向に関して等間隔に形成されている。5本の溝62は、紙送り方向に関して等間隔に形成されている。この凹部61及び溝62は、図6に示すように、1つのノズル列41に属する複数のノズル40のうち、紙送り方向の2ピッチおきのノズル40と走査方向(図6の左右方向)に関して重なる位置に形成されている。また、凹部61の走査方向及び紙送り方向の長さは、溝62の幅よりも大きくなっている。これにより、インクジェットヘッド3から噴射されたインクの液滴を溝62で受容する場合に比べて凹部61では確実に受容することができ、インクジェットヘッド3から噴射されたインクの液滴の着弾精度が向上する。
ここで、溝62の先端部と用紙搬送経路69を搬送される記録用紙Pとの間には、微小な間隙が形成される。図7に示すように、インクジェットヘッド3から噴射されたインクの液滴が凹部61に着弾すると、凹部61の走査方向及び紙送り方向の長さが溝62の幅よりも大きいため、この凹部61内に充填されたインクに毛管力が作用して溝62内に引き込まれる。すると、溝62に流れ込んだインクは、溝62の先端部まで流れていく。そして、溝62を流れるインクは溝62の先端部において表面張力の作用で膨れることで、記録用紙Pの側端部Pcと接触し、この側端部Pcから吸収される。そして、インクが記録用紙Pの厚み方向に亘って浸透し、記録用紙Pの側端部PcにマーキングPdが形成される。
マーキングPdとは、複数の記録用紙Pの分類の内容に応じて記録用紙Pの側端部Pcに形成されたものである。つまり、分類の内容に応じて、記録用紙Pの側端部Pcの異なる位置にマーキングPdが形成されていたり、記録用紙Pに異なる色のマーキングPdが形成されていたりすることによって、マーキングPdを確認することで、複数の記録用紙Pの分類が行われる。なお、複数の記録用紙Pの分類に用いるようなマーキングPdに限らず、複数の記録用紙Pが積層された状態で、記録用紙Pの側端部Pcを見たときに、複数の記録用紙Pの側端部Pcからなる面領域に画像や文字(例えば、辞書のインデックスなど)もマーキングとみなす。また、凹部61は円状であってもよく、その場合、凹部61の直径が溝62の幅よりも大きくなっていれば、凹部61に受容されたインクの液滴は毛管力が作用して溝62内に引き込まれる。
また、紙送り方向に関して隣接する2つの凹部61に受容されたインクによって形成された2つのマーキングPdは、記録用紙Pの側端部Pcに紙送り方向に関して途切れずに連続している。したがって、5つの凹部61に受容されたインクによって形成されたマーキングPdの長さは、後述する1回の間欠動作(1ラインの通常噴射動作)において、記録用紙Pに印刷される紙送り方向に沿った最大印字長さ(1つのノズル列41に属するすべてのノズル40からインクの液滴を噴射したときに記録用紙Pに印刷される紙送り方向に沿った印字長さ)と同等になっている。これにより、インクジェットヘッド3から記録用紙Pへ直接インクの液滴を噴射する通常噴射動作に応じた記録用紙Pの搬送タイミングに合わせて、搬送ローラ5によって記録用紙Pを搬送することができる。
また、図5に示すように、インク移送部材60は、スライド部材65上に走査方向にスライド可能に設けられている。スライド部材65は、インク移送部材60よりも走査方向に長い幅を有しており、用紙搬送経路69の側方であって、キャリッジ2とともに走査方向に移動するインクジェットヘッド3のノズル40と対向する位置に配置されている。インク移送部材60は、スライド部材65上をスライドすることで、用紙搬送経路69を搬送される記録用紙Pと近接する近接位置と、近接位置よりも記録用紙Pから離れた退避位置とに亘って走査方向に移動可能となっている。
これにより、インク移送部材60を近接位置に移動し、記録用紙Pの側端部Pcに近接させたときにだけ記録用紙Pの側端部Pcにインクが接触し吸収される。インク移送部材60を退避位置に移動したときには、記録用紙Pの側端部Pcにインクが接触しないため、記録用紙Pの側端部Pcの所望の位置以外にインクが吸収されるのを防止することができる。
また、インク移送部材60が退避位置に位置するときに、インク移送部材60の凹部61及び溝62が形成された面と接触するスポンジ67(吸収部材)が本体フレーム4に固定されている。図8に示すように、インク移送部材60が退避位置に移動すると、スポンジ67は、凹部61及び溝62を上方から押圧し、記録用紙Pに吸収されずに凹部61及び溝62内に残留したインクを吸収する。これにより、残留インクが凹部61や溝62に少しずつ溜まって、記録用紙Pの側端部Pcに向かって移送されるのを防止することができる。また、残留インクと異なる色のインクの液滴をインクジェットヘッド3から凹部61に噴射した場合に、この噴射されたインクと残留インクとが混色するのを防止することができる。
これらの構成において、インクジェットプリンタ1は、通常噴射動作として、キャリッジ2とともにインクジェットヘッド3を往復移動させつつ、インクジェットヘッド3のノズル40から記録用紙Pの印刷面Paへインクの液滴を噴射させるとともに、マーキング噴射動作として、キャリッジ2とともにインクジェットヘッド3を図1の左方に移動させ、インクジェットヘッド3とインク移送部材60とが対向したときに、インクジェットヘッド3から凹部61へインクの液滴を噴射させる(図10参照)。
次に、インクジェットプリンタ1の全体制御を司る制御装置6について説明する。図9は、本発明の第1実施形態に係るインクジェットプリンタの電気的な構成を示すブロック図である。図10は、積層された複数の記録用紙の斜視図である。
図9に示すように、制御装置6は、中央処理装置であるCPU(Central Processing Unit)と、インクジェットプリンタ1の全体動作を制御するための各種プログラムやデータなどが格納されたROM(Read Only Memory)と、CPUで処理されるデータなどを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)などを有している。
また、制御装置6は、記録制御部71と、マーキング制御部72と、搬送制御部73と、キャリッジ制御部74と、搬送量検出部75と、位置関係算出部76と、用紙幅検出部77(印刷媒体検出手段)と、スライド制御部78(移動機構制御手段)として機能する。
記録制御部71は、PCなどの入力装置50から入力されたデータに基づいて、インクジェットヘッド3のヘッドドライバ54を制御して、通常噴射動作としてノズル40から記録用紙Pの印刷面Paへインクの液滴を噴射させる。マーキング制御部72は、PCなどの入力装置50から入力されたデータに基づいて、インクジェットヘッド3のヘッドドライバ54を制御して、マーキング噴射動作としてノズル40からインク移送部材60の凹部61へインクの液滴を噴射させる。
搬送制御部73は、回転軸7を介して搬送ローラ5を回転駆動する搬送モータ53を制御して、搬送ローラ5を回転させることで、記録用紙Pを用紙搬送経路69に沿って搬送させる。キャリッジ制御部74は、キャリッジ駆動モータ51を制御して、キャリッジ2を往復駆動させる。
搬送量検出部75は、搬送制御部73によって搬送モータ53が制御されることで回転している搬送モータ53の回転量から記録用紙Pの搬送量を検出する。位置関係算出部76は、搬送量検出部75によって検出された記録用紙Pの搬送量に基づいて、記録用紙Pとインク移送部材60との紙送り方向に関する位置関係を算出する。
用紙幅検出部77は、PCなどの入力装置50から入力されたデータに基づいて、記録用紙Pの走査方向に関する幅を取得する。なお、記録用紙Pの走査方向に関する幅は、PCなどの入力装置50から入力されたデータから取得せずに、記録用紙Pの走査方向に関する幅を検出するセンサを別途設けて、そのセンサによって検出してもよい。スライド制御部78は、用紙幅検出部77によって検出された記録用紙Pの走査方向に関する幅に基づいて、スライドモータ55(移動機構)を制御して、溝62の先端部が記録用紙Pの側端部Pcと近接するようにインク移送部材60をスライド部材65に沿って近接位置へスライドさせる。また、スライド制御部78は、用紙搬送経路69に沿って記録用紙Pが搬送されていないときには、スライドモータ55を制御して、溝62の先端部が記録用紙Pの側端部Pcから離れるようにインク移送部材60をスライド部材65に沿って退避位置へスライドさせる。
ここで、インクジェットプリンタ1による印刷動作について説明する。まず、印刷するデータが入力装置50からインクジェットプリンタ1の制御装置6に送られる。すると、インクジェットプリンタ1は、用紙幅検出部77によって入力されたデータから記録用紙Pの走査方向に関する幅を検出する。そして、この検出された幅に基づいて、スライド制御部78によってスライドモータ55を制御して、溝62の先端部が用紙搬送経路69に沿って搬送される記録用紙Pと近接する近接位置まで、インク移送部材60をスライド部材65に沿ってスライドさせる。
その後、インクジェットプリンタ1は、搬送制御部73によって搬送モータ53を制御して、搬送ローラ5を回転させることで、記録用紙Pを1ライン幅ずつ間欠的に用紙搬送経路69に沿って搬送させながら、キャリッジ制御部74によってキャリッジ駆動モータ51を制御してキャリッジ2を走査方向に往復駆動させるとともに、記録制御部71によってヘッドドライバ54を制御して、通常噴射動作として、ノズル40から1ライン分の印刷を行う。
また、この記録用紙Pに1ライン幅ずつ間欠的に通常噴射動作を行っている間、搬送量検出部75によって記録用紙Pの搬送量を検出し、この搬送量に基づいて、位置関係算出部76によって記録用紙PのマーキングPdを形成したい側端部Pcの位置とインク移送部材60の溝62とが走査方向に沿って重なるときを算出する。そして、記録用紙PのマーキングPdを形成したい側端部Pcとインク移送部材60の溝62とが走査方向に沿って重なったときに、キャリッジ制御部74によってキャリッジ駆動モータ51を制御して、キャリッジ2をインク移送部材60と対向する位置まで移動させる。この移動させる位置とは、形成したいマーキングPdと同じ色のインクの液滴を噴射可能なノズル40がマーキングPdを形成したい側端部Pcと近接した溝62と連通した凹部61と対向する位置である。
そして、マーキング制御部72によってヘッドドライバ54を制御して、マーキング噴射動作としてマーキングPdを形成したい側端部Pcと近接した溝62と連通した凹部61と対向したノズル40からインクの液滴を噴射させ、側端部Pcに所望の色のマーキングPdを形成する。したがって、マーキングPdを形成したい側端部Pcの位置とインク移送部材60の溝62とが走査方向に沿って重なるときに、この溝62に連通した凹部61と所望の色を噴射可能なノズル40とが対向するように、キャリッジ2を移動させることで、複数の色のマーキングを選択的に形成することができる。
以上のように、本実施形態のインクジェットプリンタ1では、記録用紙Pに向けて通常の噴射動作を行うインクジェットヘッド3を流用して、このインクジェットヘッド3から液滴として噴射されたインクを凹部61で受容して記録用紙Pの側端部Pcに移送して側端部PcにマーキングPdを形成している。このように、インクジェットヘッド3から噴射されたインクの液滴を吸収する面をインク移送部材60によって側端部Pcにすることで、インクジェットヘッド3から記録用紙Pの印刷面Paにインクの液滴を着弾させて吸収させるよりも、インクは記録用紙Pの厚み方向に浸透する。したがって、記録用紙Pの側端部Pcへ印刷濃度の高い印刷を確実に行うことができ、記録用紙Pの側端部Pcから確認しやすいマーキングPdを形成することができる。
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について説明する。図11は、本発明の第2実施形態に係るインク移送部材の概略斜視図である。図12は、本発明の第2実施形態に係るインクジェットプリンタの電気的な構成を示すブロック図である。
次に、本発明の第2実施形態について説明する。図11は、本発明の第2実施形態に係るインク移送部材の概略斜視図である。図12は、本発明の第2実施形態に係るインクジェットプリンタの電気的な構成を示すブロック図である。
本実施形態におけるインクジェットプリンタは、インク移送部材の構成が第1実施形態のインク移送部材60と異なっているだけで、それ以外の構成は第1実施形態と同様である。なお、第1実施形態と同様なものについては、同符号で示し説明を省略する。
図11に示すように、インク移送部材160は、インクジェットヘッド3から噴射されたインクの液滴を受容する、平面形状が矩形状の5つの凹部161(受容部)と、5つの凹部161の底部からL字状に貫通した貫通孔162(通路)と、貫通孔162の先端部である流出口162aまで移送されたインクを遮断するシャッター163(遮断部材)とを有している。
5つの凹部161は、走査方向に関してずれた位置であって、紙送り方向に関して等間隔に形成されている。5つの貫通孔162は、紙送り方向に関して等間隔に形成されている。また、5つの貫通孔162は、凹部161の底部からL字状に用紙搬送経路69に向かって貫通している。このように凹部161に受容されたインクが流れる通路が、部材内部に形成されているため、貫通孔162を流れるインクは空気にふれることがなく乾燥しにくい。
流出口162aは、搬送ローラ5によって用紙搬送経路69を搬送される記録用紙Pの側端部Pcと走査方向に関して重なる高さ位置に形成されている。シャッター163は、流出口162aの紙送り方向の配列長さよりも長い矩形状をしており、流出口162aと用紙搬送経路69を搬送される記録用紙Pとの間の微小な間隙に配置される。また、シャッター163は、シャッター制御部179(図12参照)によってシリンダ156(図12参照:遮断部材移動手段)が駆動されることで、鉛直方向に上下動可能となっており、流出口162aを開閉自在となっている。これにより、インクと記録用紙Pとの接触がシャッター163によって遮断された状態を解除したときにだけ、貫通孔162を移送されたインクが記録用紙Pの側端部Pcに吸収される。つまり、インクを遮断する状態と解除する状態とにシャッター163を移動させることで、インクと記録用紙Pとの接触、非接触をコントロールできるので、記録用紙Pの側端部Pcの所望の位置以外にインクが吸収されるのを防止することができる。
ここで、第2実施形態におけるインクジェットプリンタによる印刷動作について説明する。まず、印刷するデータが入力装置50からインクジェットプリンタの制御装置106に送られる。すると、第2実施形態におけるインクジェットプリンタは、第1実施形態と同様に、用紙幅検出部77によって検出された記録用紙Pの走査方向に関する幅に基づいて、インク移送部材160を近接位置までスライド部材65に沿ってスライドさせる。
その後、インクジェットプリンタは、搬送制御部73によって搬送モータ53を制御して、搬送ローラ5を回転させることで、記録用紙Pを1ライン幅ずつ間欠的に用紙搬送経路69に沿って搬送させながら、キャリッジ制御部74によってキャリッジ駆動モータ51を制御してキャリッジ2を走査方向に往復駆動させるとともに、記録制御部71によってヘッドドライバ54を制御して、通常噴射動作として、ノズル40から1ライン分の印刷を行う。
また、この記録用紙Pに1ライン幅ずつ間欠的に通常噴射動作を行っている間、搬送量検出部75によって記録用紙Pの搬送量を検出し、この搬送量に基づいて、位置関係算出部76によって記録用紙PのマーキングPdを形成したい側端部Pcの位置とインク移送部材160の流出口162aとが走査方向に沿って重なるときを算出する。そして、記録用紙PのマーキングPdを形成したい側端部Pcとインク移送部材160の流出口162aとが走査方向に沿って重なったときに、キャリッジ制御部74によってキャリッジ駆動モータ51を制御して、キャリッジ2をインク移送部材60と対向する位置まで移動させる。この移動させる位置とは、形成したいマーキングPdと同じ色のインクの液滴を噴射可能なノズル40がマーキングPdを形成したい側端部Pcと近接した貫通孔162と連通した凹部161と対向する位置である。
そして、流出口162aまで移送されたインクが記録用紙Pの側端部Pcと接触するように、シャッター制御部179によってシリンダ156を制御して、シャッター163を上方に移動させた状態で、マーキング制御部72によってヘッドドライバ54を制御して、マーキング噴射動作としてマーキングPdを形成したい側端部Pcと近接した貫通孔162と連通した凹部161と対向したノズル40からインクの液滴を噴射させる。すると、凹部161に受容されたインクは、貫通孔162内を通って流出口162aから側端部Pcに接触し、所望の色のマーキングPdが形成される。このように、シャッター163によるインクが遮断された状態を解除することで、凹部161に受容されたインクを記録用紙Pの側端部Pcに吸収させることができる。
そして、記録用紙Pの側端部PcにマーキングPdを形成後、シャッター制御部179によってシリンダ156を制御して、シャッター163を下方に移動させた状態、つまり、流出口162aまで移送されたインクと記録用紙Pとの接触が遮断された状態で、搬送制御部73によって搬送モータ53を制御して、搬送ローラ5を回転させて記録用紙Pを搬送させて、引き続き通常噴射動作を行う。これによると、シャッター163によりインクが遮断された状態で記録用紙Pを搬送しているので、記録用紙Pの側端部Pcの所望の位置以外にインクが吸収されるのを防止することができる。
<第3実施形態>
続いて、本発明の第3実施形態について説明する。図13は、本発明の第3実施形態に係るインク移送部材の概略平面図である。本実施形態におけるインクジェットプリンタは、インク移送部材の構成が第1実施形態のインク移送部材60と異なっているだけで、それ以外の構成は第1実施形態と同様である。なお、第1実施形態と同様なものについては、同符号で示し説明を省略する。
続いて、本発明の第3実施形態について説明する。図13は、本発明の第3実施形態に係るインク移送部材の概略平面図である。本実施形態におけるインクジェットプリンタは、インク移送部材の構成が第1実施形態のインク移送部材60と異なっているだけで、それ以外の構成は第1実施形態と同様である。なお、第1実施形態と同様なものについては、同符号で示し説明を省略する。
図13に示すように、インク移送部材260は、インクジェットヘッド3からの噴射方向から見た平面形状が円状をしており、周方向に沿って等間隔に形成された、平面形状が矩形状の6つの凹部261(受容部)と、6つの凹部261とそれぞれ連通し、凹部261から外周に向かって延びる6本の溝262とを有している。
また、インク移送部材260は、用紙搬送経路69の側方(図13の左方)において、キャリッジ2とともに走査方向に移動するインクジェットヘッド3のノズル40と対向する位置に配置されているとともに、用紙搬送経路69を搬送される記録用紙Pと水平方向に関して重なる高さ位置に配置されている。
インク移送部材260は、用紙搬送経路69を搬送される記録用紙Pと平行に回転自在となっている。このインク移送部材260を回転させる構成としては、搬送ローラ5と固定された回転軸7の一部を螺旋状に歯を切ったウォームとして、このウォームと併せて円弧状の歯を切ったウォームホイールをインク移送部材260の回転軸と接続させたウォームギアが挙げられる。このような構成にすることで、搬送ローラ5の回転に連動して、インク移送部材260も回転する。
インク移送部材260が回転して、走査方向と平行な延在方向となった2本の溝262のうち、用紙搬送経路69に近い方の溝262を流れるインクは、溝262の先端部における表面張力によって用紙搬送経路69を搬送される記録用紙Pの側端部Pcと接触可能となっている。つまり、インク移送部材260が回転して、溝262の先端と記録用紙Pの側端部Pcとが近接したときにだけ、記録用紙Pの側端部Pcにインクを接触させることができる。
また、インク移送部材260が回転して、走査方向と平行な延在方向となった2本の溝262のうち、用紙搬送経路69から遠い方の溝262及びこの溝262と連通する凹部261と鉛直方向に関して重なる位置には、この凹部261及び溝262が形成された面と接触するスポンジ270が配置されている。これにより、インク移送部材260が回転すると、スポンジ270は、対向する凹部261及び溝262を上方から押圧し、記録用紙Pに吸収されずに凹部261及び溝262に残留したインクを吸収することができる。
ここで、第3実施形態におけるインクジェットプリンタによる印刷動作について説明する。まず、印刷するデータが入力装置50からインクジェットプリンタの制御装置6に送られる。すると、第3実施形態におけるインクジェットプリンタは、第1実施形態と同様に、用紙幅検出部77によって検出された記録用紙Pの走査方向に関する幅に基づいて、インク移送部材260を近接位置までスライドさせる。
その後、インクジェットプリンタは、搬送制御部73によって搬送モータ53を制御して、搬送ローラ5を回転させることで、記録用紙Pを1ライン幅ずつ間欠的に用紙搬送経路69に沿って搬送させながら、キャリッジ制御部74によってキャリッジ駆動モータ51を制御してキャリッジ2を走査方向に往復駆動させるとともに、記録制御部71によってヘッドドライバ54を制御して、通常噴射動作として、ノズル40から1ライン分の印刷を行う。
また、この記録用紙Pに1ライン幅ずつ間欠的に通常噴射動作を行っている間、搬送量検出部75によって記録用紙Pの搬送量を検出し、この搬送量に基づいて、位置関係算出部76によって記録用紙PのマーキングPdを形成したい側端部Pcの位置が走査方向と平行な延在方向となった溝262の端部と走査方向に沿って重なるときを算出する。そして、この側端部Pcの位置と溝262の端部とが走査方向に沿って重なったときに、キャリッジ制御部74によってキャリッジ駆動モータ51を制御して、キャリッジ2をインク移送部材60と対向する位置まで移動させる。この移動させる位置とは、形成したいマーキングPdと同じ色のインクの液滴を噴射可能なノズル40がマーキングPdを形成したい側端部Pcと近接した溝262と連通した凹部261と対向する位置である。そして、マーキング制御部72によってヘッドドライバ54を制御して、マーキング噴射動作としてマーキングPdを形成したい側端部Pcと近接した溝262と連通した凹部261と対向したノズル40からインクの液滴を噴射させる。すると、凹部261に受容されたインクは、溝262を流れて記録用紙Pの側端部Pcに接触し、所望の色のマーキングPdが形成される。
次に、上述した第1〜第3実施形態に種々の変形を加えた変更形態について説明する。インクジェットヘッドから噴射されたインクの液滴が受容される受容部、及び、受容部に受容されたインクを用紙搬送経路69に沿って搬送される記録用紙Pの側端部Pcに向けて移送する通路は、凹んで形成されずに、図14に示すように、インク移送部材360の上面360aと同一平面上にあってもよい。この場合、受容部361及び通路362の表面の撥液性は、同一平面のインク移送部材360の上面360aより低くなっている。また、受容部361の表面より通路362の表面の撥液性がより低くなっている。さらに、通路362の表面は、受容部361から離れる方向に向かうにつれて、撥液性が低くなっている。この受容部361及び通路362の表面には、フッ素系樹脂が塗布されており、表面加工することで撥液性を変化させている。これにより、インクジェットヘッドから噴射されて受容部361に受容されたインクを、受容部361から撥液性の低い通路362に流れ込ませることができる。そして、流れ込んだインクを通路362に沿って用紙搬送経路69を搬送される記録用紙Pの側端部Pcへ向かって確実に移送することができる。
また、インク移送部材はスライドモータの駆動により走査方向に移動するのではなく、キャリッジの往復動を利用して走査方向に移動可能であってもよい。例えば、インク移送部材を移動させたいときにだけ、キャリッジからインク移送部材に対して連結部材が取り付けられてキャリッジとともにインク移送部材も移動可能であってもよい。
さらに、凹部に受容されたインクが溝を介して全て記録用紙に吸収されて残留インクが残らない場合は、スポンジを備えていなくてもよい。
加えて、インク移送部材は、記録用紙Pの紙送り方向に沿った一方の側端部近傍だけでなく、記録用紙Pの紙送り方向に沿った両側端部にマーキングを形成したい場合には、記録用紙Pの紙送り方向に沿った他方の側端部近傍にも設けられていてもよい。
また、通路は走査方向に沿って延在していなくてもよい。また、通路がなく、受容部に受容されたインクはそのまま記録用紙の側端部に接触してもよい。
さらに、図15に示すように、インク移送部材460の受容部461が、用紙搬送経路を搬送される記録用紙Pよりも高い位置にあって、通路462はそこから用紙搬送経路を搬送される記録用紙Pの側端部Pcまで傾斜して形成されていてもよい。この場合、受容部461に受容されたインクを重量により通路462を介して記録用紙Pに接触させることになる。つまり、インクが記録用紙Pに接触する方向を鉛直方向から変えて、記録用紙Pの側端部Pcに直接インクを接触されることができればよい。
加えて、インク移送部材と用紙搬送経路を搬送される記録用紙Pとの間が、毛管力の作用しない程度に離れていてもよい。この場合、記録用紙Pの側端部にインクを接触させるために、インク移送部材の端部から記録用紙Pに向けてインクを飛翔させることとなる。このように飛翔させるエネルギーをインクに付与するために、インク移送部材は、例えば、図15に示すインク移送部材460の端部の一部に上向きに傾斜するリップを設けてもよい。これにより、インク移送部材の端部から離脱したときに、インクを飛翔させることができる。
ここまで、記録用紙Pが接触しないように配置されたインク移送部材について説明したが、用紙搬送経路を搬送される記録用紙Pと常に接触するようにインク移送部材を配置してもよい。この場合、インク移送部材から記録用紙Pへ確実にインクを接触させることができる。なお、記録媒体Pと接触しないように用紙搬送経路から離れた位置に配置されたもの、及び、記録媒体Pと接触するように用紙搬送経路と接触して配置されたものを含み、用紙搬送経路と重ならないように外れた位置に配置されたインク移送部材が、本発明の「印刷媒体搬送経路から外れた位置に配置されている」ものに相当する。
加えて、1つの受容部から複数の通路に分岐していてもよい。
また、隣接する受容部に受容されたインクによって紙送り方向に途切れずに連続したマーキングが形成されずに、インクジェットヘッドから受容部に噴射させるインクの噴射量を減らして、紙送り方向に2箇所にマーキングが形成されてもよい。
さらに、凹部及び溝は、1つのノズル列に属する複数のノズルのうち、紙送り方向の2ピッチおきのノズルと走査方向に関して重なる位置に形成されていたが、凹部及び溝は、1つずつだけ形成されていても、複数のノズルに対応して同じ数だけ形成されていてもよい。また、凹部及び溝は、1つのノズル列に属する複数のノズルのうち、任意のピッチおきのノズルと走査方向に関して重なる位置に形成されていてもよい。
加えて、シリアル式のインクジェットヘッドに限らず、紙送り方向と直交する方向に延在したライン型のインクジェットヘッドにも本発明は適用可能である。このとき、凹部と対向するノズルは、凹部に噴射専用のノズルとなる。
1 インクジェットプリンタ
3 インクジェットヘッド
5 搬送ローラ
6 制御装置
40 ノズル
60、160、260、360、460 インク移送部材
61、161、261 凹部
62、262 溝
67、270 スポンジ
162 貫通孔
361、461 受容部
362、462 通路
P 記録用紙
Pc 側端部
Pd マーキング
3 インクジェットヘッド
5 搬送ローラ
6 制御装置
40 ノズル
60、160、260、360、460 インク移送部材
61、161、261 凹部
62、262 溝
67、270 スポンジ
162 貫通孔
361、461 受容部
362、462 通路
P 記録用紙
Pc 側端部
Pd マーキング
Claims (14)
- シート状の印刷媒体にインクの液滴を噴射して印刷することが可能なインクジェットプリンタであって、
前記印刷媒体を印刷媒体搬送経路に沿って搬送する搬送機構と、
前記印刷媒体に向けてインクの液滴を噴射するノズルを備えたインクジェットヘッドと、
前記印刷媒体搬送経路から外れた位置に配置されており、前記インクジェットヘッドから液滴として噴射されたインクを受容して印刷媒体の側端部に移送する液滴移送部材と、を備えていることを特徴とするインクジェットプリンタ。 - 前記液滴移送部材に残留しているインクを吸収する吸収部材をさらに有していることを特徴とする請求項1に記載のインクジェットプリンタ。
- 前記液滴移送部材は、
前記インクジェットヘッドから液滴として噴射されたインクを受容する受容部と、
前記受容部から前記搬送機構により搬送される印刷媒体に向けて延びる通路と、を有していることを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェットプリンタ。 - 前記通路の表面は、前記受容部から離れる方向に向かうにつれて、撥液性が低くなっていることを特徴とする請求項3に記載のインクジェットプリンタ。
- 前記受容部の、前記通路の延在方向の長さ及び前記延在方向と直交する方向の長さは、前記通路の幅よりもそれぞれ長いことを特徴とする請求項3または4に記載のインクジェットプリンタ。
- 前記通路は、前記液滴移送部材内を貫通して形成されていることを特徴とする請求項3〜5のいずれか1項に記載のインクジェットプリンタ。
- 前記印刷媒体の側端部と接触しないように前記通路の端部まで移送されたインクを遮断する遮断部材と、
前記通路の端部まで移送されたインクが前記印刷媒体の側端部と接触するように、前記遮断部材を移動させる遮断部材移動手段と、をさらに備えていることを特徴とする請求項3〜6のいずれか1項に記載のインクジェットプリンタ。 - 前記インクジェットヘッドから前記受容部に対してインクの液滴を噴射する前に、前記遮断部材移動手段は、前記通路の端部まで移送されたインクを前記側端部に接触させるために、前記遮断部材を移動させることを特徴とする請求項7に記載のインクジェットプリンタ。
- 前記遮断部材移動手段が前記遮断部材を移動させて、前記通路の端部まで移送されたインクと前記印刷媒体との接触が遮断された状態で、前記搬送機構によって前記印刷媒体を搬送することを特徴とする請求項8に記載のインクジェットプリンタ。
- 前記インクジェットヘッドからインクの液滴を噴射した後、前記搬送機構によって前記印刷媒体を所定距離だけ搬送し、再びインクの液滴を噴射する間欠動作を繰り返し行うインクジェットプリンタであって、
1回の間欠動作において、前記液滴移送部材によって前記印刷媒体の側端部に吸収させることが可能なインクの長さは、前記所定距離よりも長いことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のインクジェットプリンタ。 - 前記液滴移送部材を、前記印刷媒体の側端部と近接する近接位置と、前記近接位置よりも前記印刷媒体の側端部から離れた退避位置とに移動させる移動機構をさらに備えていることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載のインクジェットプリンタ。
- 前記液滴移送部材は、前記インクジェットヘッドからの噴射方向から見て円状であり、且つ、回転自在となっており、
前記液滴移送部材には、周方向に沿って等間隔に複数の前記受容部が形成されており、
前記複数の受容部から前記液滴移送部材の外周に向かって延びる複数の前記通路が形成されており、
前記液滴移送部材を回転させる回転機構をさらに備えていることを特徴とする請求項3〜6のいずれか1項に記載のインクジェットプリンタ。 - 前記搬送機構によって搬送された前記印刷媒体の搬送量を検出する搬送量検出手段と、
前記搬送量検出手段により検出された搬送量に基づいて、前記印刷媒体と前記液滴移送部材との位置関係を算出する位置関係算出手段と、
前記インクジェットヘッドの前記ノズルから前記液滴移送部材に向けて、液滴としてインクを噴射するマーキング噴射動作を制御するマーキング噴射動作制御手段と、をさらに備えており、
前記マーキング噴射動作制御手段は、前記位置関係算出手段により算出された位置関係に基づいて、マーキング噴射動作を制御することを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載のインクジェットプリンタ。 - 前記搬送機構によって搬送される前記印刷媒体の大きさに関する情報を検出する印刷媒体検出手段と、
前記印刷媒体検出手段により検出された前記印刷媒体の大きさに関する情報に基づいて、前記移動機構を制御する移動機構制御手段と、をさらに備えていることを特徴とする請求項11に記載のインクジェットプリンタ。
Priority Applications (1)
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JP2008070862A JP2009226592A (ja) | 2008-03-19 | 2008-03-19 | インクジェットプリンタ |
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