JP2009225722A - 食品用乳酸培養培地及びそれを用いた食品用乳酸菌の培養方法 - Google Patents

食品用乳酸培養培地及びそれを用いた食品用乳酸菌の培養方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 各種食品に使用される食品用乳酸菌を安全にかつ効率よく培養することができる食品用乳酸菌培養培地の提供等。
【解決手段】 GYP培地において、MnSO・4HOに代えてマンガン含有食用酵母を含有することを特徴とする食用乳酸菌培養培地である。合計100mL当り、グルコース 1.0g、酵母エキス 1.0g、ペプトン 0.5g、酢酸ナトリウム・3HO 0.2g、金属塩溶液 0.5mL、及び2.5mg/mLのツイーン80溶液 1.0mLを含有してなり、前記金属塩溶液が、1mL当り、MgSO・7HO 40mg、FeSO・7HO 2mg、NaCl 2mgを含み、マンガン含有食用酵母をMn濃度が2.46ppmとなる量含む食用乳酸菌培養培地が好ましい。
【選択図】 なし

Description

本発明は、各種食品に使用される食品用乳酸菌を安全にかつ効率よく培養することができる食品用乳酸菌培養培地、及び、該食品用乳酸菌培養培地を用いて、各種食品に使用される乳酸菌を安全にかつ効率よく培養することができる食品用乳酸菌の培養方法に関する。
従来より、乳酸菌は、ヨーグルトをはじめとして各種乳製品等の食品に使用されてきている。近時、健康に対する意識が高まってきており、乳酸菌を使用した健康食品の開発が盛んに行われてきている。一方、野菜等に使用される農薬による健康被害に対する問題が注目を集めてきており、食に対する安全性の要求が従来に比べて格段に高まっている。
乳酸菌の培養には、GYP培地が基本培地として従来より使用されてきている(非特許文献1参照)。しかし、前記GYP培地は、MnSO・4HOを含有しているが、Mnは、わが国においては食品添加物としての使用が認められていない。このため、食の安全性の確保の観点からは、食用乳酸菌を培養するための培地にMnを使用しないことが、近時、求められてきている。
ところが、Mnは、乳酸菌の培養には極めて重要な成長因子であり、前記GYP培地で使用しなければよいものではなく、Mnを含有しないGYP培地では、乳酸菌の良好な増殖が得られないという問題がある。
小崎道雄監修、「乳酸菌実験マニュアル−分離から同定まで−」、30、朝倉書店、1992
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、各種食品に使用される食品用乳酸菌を安全にかつ効率よく培養することができる食品用乳酸菌培養培地、及び、該食品用乳酸菌培養培地を用いて、各種食品に使用される乳酸菌を安全にかつ効率よく培養することができる食品用乳酸菌の培養方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための本発明者らが鋭意検討した結果、以下の知見を得た。即ち、乳酸菌培養培地としての基本培地であるGYP培地において、MnSO・4HOを使用する代わりに、マンガン含有食用酵母を使用し、オートクレーブ滅菌処理して使用すると、食品用乳酸菌を良好に増殖させることができ、食品用乳酸菌を安全にかつ効率よく得ることができる。そして、このとき、マンガン含有食用酵母は、水でオートクレーブ滅菌処理してもその菌体中のMnが食品用乳酸菌の増殖に十分に利用可能にならないにもかかわらず、GYP倍地中でオートクレーブ滅菌処理するとその菌体中のMnが食品用乳酸菌の増殖に十分に利用可能となり、今後、この培地が食品用乳酸菌の培養の基本培地となるという知見である。本願発明は、本願発明者らによるかかる知見に基づき初めてなし得たものであり、前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。
<1> GYP培地において、MnSO・4HOに代えてマンガン含有食用酵母を含有することを特徴とする食品用乳酸菌培養培地である。
<2> 合計100mL当り、グルコース 1.0g、酵母エキス 1.0g、ペプトン 0.5g、酢酸ナトリウム・3HO 0.2g、金属塩溶液 0.5mL、及び2.5mg/mLのツイーン80溶液 1.0mLを含有してなり、
前記金属塩溶液が、1mL当り、MgSO・7HO 40mg、FeSO・7HO 2mg、NaCl 2mgを含み、
マンガン含有食用酵母をMn濃度が2.46ppmとなる量含む前記<1>に記載の食品用乳酸菌培養培地である。
<3> オートクレーブ滅菌処理して使用される前記<1>から<2>のいずれかに記載の食品用乳酸菌培養培地である。
<4> 前記<1>から<3>のいずれかに記載の食品用乳酸菌培養培地を用いて食用乳酸菌を培養することを特徴とする食品用乳酸菌の培養方法である。
本発明によると、従来における前記諸問題を解決することができ、各種食品に使用される食品用乳酸菌を安全にかつ効率よく培養することができる食品用乳酸菌培養培地、及び、該食品用乳酸菌培養培地を用いて、各種食品に使用される乳酸菌を安全にかつ効率よく培養することができる食品用乳酸菌の培養方法を提供することができる。
(食品用乳酸菌の培養培地及びそれを用いた食品用乳酸菌の培養方法)
本発明の食品用乳酸菌培養培地は、GYP培地において、MnSO・4HOに代えてマンガン含有食用酵母を含有する。
本発明の食品用乳酸菌の培養方法は、本発明の前記食品用乳酸菌培養培地を用いて食品用乳酸菌を培養することを含む。
−GYP培地−
前記GYP培地は、乳酸菌培養の基本培地として慣用されており、以下の表1に示す組成を有する。
Figure 2009225722
−マンガン含有食用酵母−
本発明の食品用乳酸菌培養培地においては、前記GYP培地に含まれる、MnSO・4HOに代えて、マンガン含有食用酵母を含有する。
前記マンガン含有食用酵母としては、例えば、特開2003−153686号公報に記載のものが好適に挙げられる。該マンガン含有食用酵母としては、適宜培養して得たものであってもよいし、市販品を使用してもよい。前記市販品としては、オリエンタル酵母工業株式会社製の「ミネラル酵母Mn−F」などが特に好適に挙げられる。
前記マンガン含有食用酵母は、例えば、マンガンを高濃度に含有する培養液に食用酵母を添加・懸濁させて、これを非増殖的に好気培養することにより、即ち、マンガンが存在する環境のもと、食用酵母の増殖に必要な栄養物質を実質的に存在しない条件で、食用酵母を培養処理することにより得ることができる。
前記マンガンとしては、食用酵母が利用可能であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、無機化合物、有機化合物などの化合物が挙げられる。前記無機化合物としては、例えば、硫酸マンガン、塩化マンガン、酢酸マンガン、硫酸アンモニウムマンガン、炭酸マンガン、などが挙げられる。これらの化合物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。前記マンガンの化合物は、培養液に化合物として好適に添加される。
前記培養液に添加するマンガン濃度としては、培養液に対し、50質量ppm程度の薄い濃度から極めて濃い濃度の広い範囲で選択することができるが、前記食用酵母の菌体内を簡便かつ効率的にマンガンを取り込ませる観点からは、250〜5,000質量ppmが好ましく、1,000〜3,000質量ppmがより好ましい。なお、前記培養液に添加するマンガン濃度は、公知の方法、例えば、原子吸光法により測定することができる。
前記食用酵母としては、ヒトの飲食、動物の飼料、魚類の飼料に多用される酵母であれば特に制限はなく、Saccaromyces cerevisiae、同uvarum、同rouxii、Saccharomycopsis fibligera、その他に属するパン酵母、ビール酵母、ワイン酵母、清酒酵母、アルコール酵母、味噌・醤油酵母、飼料酵母、などが好適に挙げられるが、これらの中でも、パン酵母が特に好ましい。前記食用酵母は、1種単独で培養してもよいし、2種以上を混合して培養してもよい。
前記食用酵母の前記培養液への接種量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、通常、湿菌体として10〜30%(W/V)程度が菌体の特性、培養操作性、生産効率の諸面から好ましい。
前記食用酵母の培養は、少量であれば坂口フラスコ等を用いて振とう培養により行うことができ、このときの振とう条件としては、特に制限はないが振幅12cm程度では100〜200rpm程度が好ましい。大量であればジャーファーメンターを用いて好適に行うことができる。このときのジャーファーメンターにおける培養条件としては、特に制限はなく適宜決定することができる。
前記培養の温度としては、28〜33℃程度であり、時間としては、1〜40時間程度であり、通気量としては、0〜5vvm程度であり、攪拌速度としては、100〜700rpm程度が好ましい。前記培養液のpHとしては、無調製であってもよく、調製する場合は4.0〜8.0程度であるが、培養初期を7.0以上とするのが好ましく、7.0〜8.0に調整するのが、マンガンの菌体内への取り込みが早く、より短い培養時間で高含有量が得られる点で、より好ましい。
こうして得られるマンガン含有食用酵母の菌体内におけるマンガン含有量としては、乾燥菌体当たり、5,000質量ppm以上が好ましく、10,000〜50,000質量ppmがより好ましい。
ここで、前記乾燥菌体当たりとは、前記マンガン含有酵母を食品成分試験法に準ずる常圧加熱乾燥法により加熱処理するもので、例えば、10%濃度の酵母縣濁液を105℃で5時間加熱処理して水分を除去した菌体をいう。
前記菌体内におけるマンガン含有量とは、培養終了後の食用酵母を遠心分離等の方法で集菌し、該食用酵母を25℃のイオン交換水で洗浄して該洗浄液中のマンガン濃度が1質量ppm以下となるまで洗浄処理した場合の該食用酵母に含有するマンガン含有量を意味する。即ち、培養終了後の該食用酵母の表面に付着しているだけで該菌体内に取り込まれていないマンガンを完全に近い状態まで食用酵母の表面を洗浄した酵母における乾燥菌体当たりの質量ppmをいう。更には、前記洗浄済みマンガン含有食用酵母を物理的又は化学的に破砕し、これを25℃のイオン交換水で再洗浄して洗浄液中のマンガン濃度が1質量ppm以下となるまで洗浄した場合の乾燥菌体当たりのマンガン含有量が、破砕を行う前の酵母菌体における乾燥菌体当たりのマンガン含有量の70質量%以上を保持していることをいう。なお、前記の洗浄水として水道水や蒸留水等を用いることもできるが、マンガンが該酵母の菌体内で安定して含有されていることを確認するためには、該酵母を25℃のイオン交換水で洗浄することが好ましい。また、前記洗浄液のマンガン濃度及び該酵母菌体内のマンガン含有量は、公知の方法で測定することができ、例えば、原子吸光法により測定することができる。
−食品用乳酸菌−
前記食品用乳酸菌としては、食品用途で使用されているものであれば、特に制限は無く、目的に応じて適宜選択することができ、各種乳酸菌が挙げられる。その具体例としては、Lactobacillus属、Leuconostoc属、Pediococcus属、などが挙げられ、これらの属に含まれる任意の種・株が好適に挙げられる。
−食品用乳酸菌の培養−
前記食品用乳酸菌を本発明の食品用乳酸菌培養培地を用いて培養する場合、培養の前に前記食品用乳酸菌培養培地を調製し、オートクレーブ滅菌処理する必要がある。
前記食品用乳酸菌培養培地の調製は、常法に従って上記表1の組成の溶液を調製すればよい。ただし、本発明の前記食品用乳酸菌培養培地においては、MnSO・4HOを使用せず、その代わりに前記マンガン含有食用酵母を使用する。
このとき、該マンガン含有食用酵母の前記食品用乳酸菌培養培地における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、マンガン(Mn)の含有量(Mn換算含有量)が、一般の前記GYP培地と略同じ含有量となる量であるのが好ましく、該GYP培地よりも高濃度となる量であってもよい。なお、前記GYP液体培地とMn濃度が同一となるように前記マンガン含有酵母を前記食品用乳酸菌培養培地に添加する場合の具体例として、前記GYP液体培地中のMnSO由来のMn濃度は2.46ppmであるので、オリエンタル酵母工業株式会社製のマンガン含有食用酵母(製品名;ミネラル酵母Mn−F、Lot.070619、Mn含量1.052重量%)を23.4mg/100mLとなるよう添加することができる。
前記オートクレーブ滅菌条件としては、常法に従って行うことができ、特に制限はなく、目的に応じて適宜条件を選択することができる。
前記食品用乳酸菌の前記食品用乳酸菌培養培地への接種量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、通常、湿菌体として10〜30%(W/V)程度が菌体の特性、培養操作性、生産効率の諸面から好ましい。
前記食品用乳酸菌の培養は、少量であれば坂口フラスコ等を用いて振とう培養により行うことができ、このときの振とう条件としては、特に制限はないが振幅12cm程度では100〜200rpm程度が好ましい。大量であればジャーファーメンターを用いて好適に行うことができる。このときのジャーファーメンターにおける培養条件としては、特に制限はなく適宜決定することができる。
前記培養の条件としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、温度としては、例えば、28〜33℃程度であり、時間としては、例えば、1〜40時間程度であり、通気量としては、例えば、0〜5vvm程度であり、攪拌速度としては、例えば、100〜700rpm程度が好ましい。前記培養液のpHとしては、無調製であってもよく、調製する場合は4.0〜8.0程度であるが、培養初期を7.0以上とするのが好ましく、7.0〜8.0に調整するのがより好ましい。
以上の本発明の前記食品用乳酸菌培養培地を用い、本発明の前記食品用乳酸菌の培養方法により、培養して得られた前記食品用乳酸菌は、培養後に、そのまま使用してもよいが、分離、洗浄等されて、各種の食品に好適に使用される。
前記食品としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ヨーグルト等の乳製品、パン類、菓子類、麺類、惣菜類、飲料などが挙げられる。
以下に本発明の実施例について説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
後述の5種類の食品用乳酸菌を、以下の3種類の培地を用いて培養を行った。即ち、使用した培地としては、(1)GYP培地、(2)Mn非含有GYP培地(前記GYP培地においてMnSO・4HOを含まない以外は該GYP培地と同一組成のもの)、(3)Mn含有食用酵母を含有するGYP培地(前記GYP培地においてMnSO・4HOに代えてマンガン含有食用酵母(オリエンタル酵母工業株式会社製、ミネラル酵母Mn−F)を含む以外は該GYP培地と同一組成のもの)の3種類である。なお、前記(3)Mn含有食用酵母を含有するGYP液体培地においては、前記GYP培地中のMnSO由来のMn濃度は2.46ppmであるので、前記Mn含有食用酵母(オリエンタル酵母工業株式会社製、製品名ミネラル酵母Mn−F、Lot.070619、Mn含量1.052重量%)が23.4mg/100mLとなるように添加された。よって、該(3)Mn含有食用酵母を含有するGYP培地におけるMn含有量は、前記(1)GYP培地におけるMn含有量と、実質的に同一となっている。
これら3種の培地に対し、食品用乳酸菌を接種する前に、それぞれpHを6.8に調整した後、オートクレーブ処理(121℃、15分)を行った。
<食品用乳酸菌>
培養に使用した菌株は、下記の5種類とした。いずれも東京農業大学応用生物科学部菌株保存室(NRIC)より入手したタイプストレインである。
A)Lactobacillus casei subsp. casei(NRIC1042)
B)Lactobacillus brevis(NRIC1684)
C)Lactobacillus plantarum(NRIC1067)
D)Leuconostoc mesenteroides subsp. mesenteroides(NRIC1541)
E)Pediococcus pentosaceus(NRIC0099)
上記5種の食品用乳酸菌を、5mLのGYP培地5つにそれぞれ1白金耳ずつ接種し、30℃で2日間静置培養(前培養)した。得られた5種の培養液全量を、200mLのGYP培地に添加(接種)し、30℃で2日間静置培養した。その後、生理食塩水を用いて洗浄を行い、培地成分を除去して得られた5種の菌体懸濁液を、前記(1)GYP培地、前記(2)Mn非含有GYP培地、前記(3)Mn含有食用酵母を含有するGYP培地の3種に接種して本培養を行った。このときの接種量は、O.D.660nm=0.05となる量とした。本培養は、温度が30℃で、静置培養とした。なお、培養中に経時的にサンプリングを行ない、培養液のO.D.660nmの濁度とpH値とを測定した。なお、培養液のO.D.660nmの濁度は、分光光度計(HITACHI社製 U−1000)を用い、pH値は、pHメータ(METTLER TOLEDO社製 MP230)を用いて測定した。
全15種の培養液のO.D.660nmの濁度及びpH値の測定結果・推移を図1に示した。図1において、「●」は、前記(1)GYP培地を使用した場合を意味し、「▲」は、前記(2)マンガン非含有GYP培地を使用した場合を意味し、「×」は、前記(3)マンガン含有食用酵母を含有するGYP培地を使用した場合を意味する。そして、図1の左図(グラフ)は、増殖曲線を表し、右図(グラフ)は、左図の増殖曲線に対応したpH推移曲線を表す。図1におけるA(上から1番目)は、前記A)Lactobacillus casei subsp. casei(NRIC1042)を増殖させた場合の増殖曲線とpH推移曲線を表し、B(上から2番目)は、前記B)Lactobacillus brevis(NRIC1684)を増殖させた場合の増殖曲線とpH推移曲線を表し、C(上から3番目)は、前記C)Lactobacillus plantarum (NRIC1067)を増殖させた場合の増殖曲線とpH推移曲線を表し、D(上から4番目)は、D)Leuconostoc mesenteroides subsp. mesenteroides(NRIC1541)を増殖させた場合の増殖曲線とpH推移曲線を表し、E(上から5番目)は、E)Pediococcus pentosaceus(NRIC0099)を増殖させた場合の増殖曲線とpH推移曲線を表す。
図1の結果から、明らかなように、いずれの菌種においても、前記(2)Mn非含有GYP培地では、増殖が悪化する傾向が観察された。一方、前記(3)マンガン含有食用酵母を含有するGYP培地では、前記(1)GYP培地と比較しても遜色のない良好な増殖が確認された。そして、前記(3)マンガン含有食用酵母を含有するGYP培地では、食品添加物として認可されていないマンガンを使用していないので、培養の結果として得られた食品用乳酸菌の安全性が高く、好適に各種食品等に使用することができる。
次に、前記マンガン含有食用酵母が、単に、前記オートクレーブ滅菌処理を行った結果、その菌体中に含まれるマンガンが遊離し、これを前記食品用乳酸菌が利用可能になったものであるかどうかを検証した。
前記(3)マンガン含有食用酵母を含有するGYP培地と、該GYP培地と同量の該マンガン含有食用酵母を含有し、かつ該GYP培地と同量の液量の水(milliQ水)(以下、これを「水懸濁液」という。)とにおける、前記オートクレーブ滅菌処理の前後での遊離マンガン(Mn)重量を測定した。
なお、遊離マンガン(Mn)重量は、前記培地又は前記水懸濁液を0.45μmフィルター(Whatman社製 PuradiscTM25AS)で菌体を濾過除去した濾液のマンガン濃度(遊離マンガン濃度)、及び、前記培地又は前記水懸濁液にHClを添加してpHを1以下に調整することで全てのMnを抽出し、0.45μmフィルターで菌体を濾過除去した濾液のマンガン濃度(全抽出したマンガン濃度)を、ICP発光分析装置(PerkinElmer社製 Optima2100DV)を用いて測定し、「遊離マンガン濃度」を「全抽出したマンガン濃度」で除した商として算出した。結果を表2に示した。
表2の結果より、前記オートクレーブ滅菌処理前における遊離マンガン重量は、前記(3)マンガン含有食用酵母を含有するGYP培地、前記水懸濁液ともに約30重量%であった。しかし、前記オートクレーブ滅菌処理後における遊離マンガン重量は、前記(3)マンガン含有食用酵母を含有するGYP培地では、96重量%であったのに対し、前記水懸濁液では、56重量%であるにとどまり、前記水懸濁液では、前記オートクレーブ滅菌処理を行っても、菌体中のマンガンが酵母細胞片と結合し遊離せず、培養する前記食品用乳酸菌の増殖に利用できなかったことが推測された。前記マンガン含有食用酵母の菌体内に含有されているマンガンが、前記GYP培地中に含まれた状態で前記オートクレーブ滅菌処理された場合にのみ、菌体から遊離し、前記食品用乳酸菌の増殖に利用可能になり、その結果、安全にかつ効率よく前記食品用乳酸菌が得られることは、本発明者らが初めて見出したものである。
Figure 2009225722
本発明の食品用乳酸菌培養培地及び食品用乳酸菌の培養方法は、乳酸菌培養の基本培地としてのGYP培地に代りに、食品用乳酸菌を培養する際の基本培地として利用することができ、各種食品に使用される各種乳酸菌を培養するのに好適に利用される。そして、ここで得られた乳酸菌は、各種食品、飲料等に安全にかつ好適に使用することができる。
図1は、食品用乳酸菌の増殖曲線(左図)と、それに対応した培地中のpH推移曲線(右図)である。

Claims (4)

  1. GYP培地において、MnSO・4HOに代えてマンガン含有食用酵母を含有することを特徴とする食品用乳酸菌培養培地。
  2. 合計100mL当り、グルコース 1.0g、酵母エキス 1.0g、ペプトン 0.5g、酢酸ナトリウム・3HO 0.2g、金属塩溶液 0.5mL、及び2.5mg/mLのツイーン80溶液 1.0mLを含有してなり、
    前記金属塩溶液が、1mL当り、MgSO・7HO 40mg、FeSO・7HO 2mg、NaCl 2mgを含み、
    マンガン含有食用酵母をMn濃度が2.46ppmとなる量含む請求項1に記載の食品用乳酸菌培養培地。
  3. オートクレーブ滅菌処理して使用される請求項1から2のいずれかに記載の食品用乳酸菌培養培地。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載の食用乳酸菌培養培地を用いて食用乳酸菌を培養することを特徴とする食品用乳酸菌の培養方法。
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