JP2009225325A - 復号方法および復号装置、並びにプログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】ビット誤り率を低減可能な復号方法および復号装置、並びにプログラムを提供する。
【解決手段】受信語の信頼度の大きさに従いソートし、その順番に対角化されたパリティ検査行列を用いて、信頼性伝播(BP)を行って信頼度を更新し、その更新された値に対して、再び上記動作を繰り返す復号装置30であって、事後確率がある一定値を下回った場合は、その復号語を使用しない。
【選択図】図5
【解決手段】受信語の信頼度の大きさに従いソートし、その順番に対角化されたパリティ検査行列を用いて、信頼性伝播(BP)を行って信頼度を更新し、その更新された値に対して、再び上記動作を繰り返す復号装置30であって、事後確率がある一定値を下回った場合は、その復号語を使用しない。
【選択図】図5
Description
本発明は、たとえば代数的手法を用いた誤り訂正符号技術を実現するための回路およびプログラム記憶媒体に関して適用される復号方法および復号装置、並びにプログラムに関するものである。
代数幾何符号、たとえばリードソロモン(Reed−Solomon)符号やその部分体部分符号としてのBCH符号には、その代数的性質を利用した、性能・計算コスト共に良い復号法が知られている。
たとえば、符号長n、情報長k、定義体GF(q)(q=pm,p:素数)、最小距離d=n−kのReed−Solomon符号をRS(n,k)とすると、硬判定受信語をハミング(Hamming)距離が最小の符号語に復号する最小距離復号(通常復号)はt<d/2を満たすt個の誤りシンボルの訂正を保証するものとして良く知られている。
また、グルスワミ−スーダン(Guruswami−Sudan)によるリスト復号(以下G−Sリスト復号)は、t<√nkを満たすt個の誤りシンボルの訂正を保証している(非特許文献1参照)。
Guruswami−Sudanのリスト復号の拡張版として軟判定受信語を用いたコータ−バルディ(Koetter−Vardy)によるリスト復号(以下K−Vリスト復号)は、Guruswami−Sudan同様に(1)受信情報から各シンボルの信頼性を算出、(2)信頼性から2変数多項式補間条件の抽出、(3)2変数多項式の補間、(4)補間多項式の因数分解を行い復号語リスト作成、の4つの手順により構成され、硬判定復号時に比べてより高い性能を持つことが知られている(非特許文献2参照)。
また、リエンコード(Re−encode)により、その計算コストも現実的な範囲まで削減できることが知られている(非特許文献3参照)。
一方、線形符号としては、信頼性伝播(belief propagation:BP)を用いた繰り返し復号により限界性能に近い高性能を得られる低密度パリティ検査符号(Low density parity−check code,LDPC符号)が昨今注目されている(非特許文献4参照)。
LDPC符号に用いられる信頼性伝播(BP)は、一般に低密度なパリティ検査行列を持つ線形符号にしか有効でないことが理論的に知られており、また、Reed−Solomon符号やBCH符号のパリティ検査行列を低密度化することはNP−hardであることが知られている(非特許文献5参照)。
よって、Reed−Solomon符号やBCH符号に信頼性伝播(BP)を適用することは困難であるとされてきた。
しかし、2004年、受信語の信頼性に応じて対角化を行ったパリティ検査行列を用いてReed−Solomon符号やBCH符号、その他低密度でないパリティ検査行列を持つ線形符号への信頼性伝播(BP)の適用が効果的であることがナラヤナン(Narayanan)等によって紹介された(非特許文献6参照)。
この手法は、適応的信頼性伝播(ABP:Adaptive Belief Propagation)復号と呼ばれる。以下、このABP復号法について説明する。
たとえば、符号長n=6、情報長k=3、符号化率r=1/2の符号で、以下の3×6行列Hをパリティ検査行列として持つような線形符号Cを考える。
符号空間Cは、次のように表される。
ある符号語があるチャネル、たとえばBPSK変調+AWGNチャネル(Additive White Gaussian Noiseチャネル)を通った後、次のような受信語rとして受信機が受け取ったとする。
このとき、受信値の各絶対値の大きさは受信語の信頼性の高さを表す。つまり、信頼性の低い順に番号をつけると以下のようになる。
次に、信頼性の低いシンボルに対応する列より順にパリティ検査行列Hの対角化を行う。この例においては、信頼性の低いシンボルに対応する列は順に第3列、第5列、第1列、第4または第6列、第2列となるので、その優先順位に従ってHの対角化を行う。
対角化を試みた列がそれ以前に対角化した列と線形従属であった場合は、その列はそのまま残し、次の順位の列で対角化を試みる。
このようにして行列Hのランク分対角化が行われた結果得られる新たなパリティ検査行列Hnewを用いて、信頼性伝播(BP)による信頼性の更新を行う。
このようにして行列Hのランク分対角化が行われた結果得られる新たなパリティ検査行列Hnewを用いて、信頼性伝播(BP)による信頼性の更新を行う。
図1はパリティ検査行列Hnewに対応するタナーグラフである。
信頼性伝播(BP)はタナーグラフのエッジに沿ってメッセージを行き来させることによって実現される。
行列の各列に対応するノードを可変(variable:バリアブル)ノード1、各行に対応するノードを検査(check:チェック)ノード2と呼ぶ。
信頼性伝播(BP)はタナーグラフのエッジに沿ってメッセージを行き来させることによって実現される。
行列の各列に対応するノードを可変(variable:バリアブル)ノード1、各行に対応するノードを検査(check:チェック)ノード2と呼ぶ。
i番目のバリアブルノードからj番目のチェックノードへのメッセージをQi,j、j番目のチェックノードからi番目のバリアブルノードへのメッセージをRi,j、さらにi番目のバリアブルノードに連接するチェックノードのインデックス集合をJ(i)、j番目のチェックノードに連接するバリアブルノードのインデックス集合をI(j)とした場合、それぞれの更新式は以下のようになる。
ここで、θはバーティカルステップダンピングファクタ(vertical step damping factor)と呼ばれる係数を示し、0<θ≦1なる条件を満足する。Qi,jの初期値はrjが設定され、外部情報(extrinsic information)Λi x更新は次式により行われる。
さらに、各符号ビットのLLRΛi qの更新は、次式により行われる。
ここで、α1は適応的信頼性伝播ダンピングファクタ(adaptive belief propagation damping factor)と呼ばれる係数を示し、0<α1≦1なる条件を満足する。
この信頼性伝播(BP)によるLLRの更新は事前に用意された繰り返し停止条件を満たすまで、たとえば最大繰り返し数ItHに達成するまで繰り返される。
また、LLRを更新する列は、全ての列を対象とせずとも一部の列、たとえば対角化の対象となった列についてのみ行ってもよい。
この信頼性伝播(BP)によるLLRの更新は事前に用意された繰り返し停止条件を満たすまで、たとえば最大繰り返し数ItHに達成するまで繰り返される。
また、LLRを更新する列は、全ての列を対象とせずとも一部の列、たとえば対角化の対象となった列についてのみ行ってもよい。
信頼性伝播(BP)によって更新されたLLRの信頼性を用いて、つまり、LLRの絶対値の大きさを信頼性として、信頼性の低いシンボルに対応する列順に対角化を行うことにより、新たな信頼性伝播(BP)による繰り返し復号を行うことができる。
これを内側繰り返し復号と呼ぶ。このLLRの更新は事前に用意された内側繰り返し復号停止条件SC1を満たすまで繰り返される。
これを内側繰り返し復号と呼ぶ。このLLRの更新は事前に用意された内側繰り返し復号停止条件SC1を満たすまで繰り返される。
図2は、提案されているABPによる復号のフローチャートである。
受信後の信頼性順の探索を行い(ST1)、順序変換を行う(ST2)。
変換した順序に応じてパリティ検査行列の対角化を行い(ST3)、このパリティ検査行列を用いて信頼性伝播(BP)を行う(ST4)。
次に、LLRを計算し(ST5)、計算したLLRの信頼性順を探索し(ST6)、復号を行う(ST7)。
そして、繰り返し復号停止条件SC1,SC2を満足するまで以上の処理を繰り返す(ST8、ST9)。
変換した順序に応じてパリティ検査行列の対角化を行い(ST3)、このパリティ検査行列を用いて信頼性伝播(BP)を行う(ST4)。
次に、LLRを計算し(ST5)、計算したLLRの信頼性順を探索し(ST6)、復号を行う(ST7)。
そして、繰り返し復号停止条件SC1,SC2を満足するまで以上の処理を繰り返す(ST8、ST9)。
さらに、パリティ検査行列の列の対角化優先順位の初期値として、受信値の信頼性順以外の順位を複数用意する。複数の順位を用いて、シリアルもしくはパラレルに繰り返し内側繰り返し復号を行う。
これを外側繰り返し復号と呼ぶ。このLLR更新は事前に用意された外側繰り返し復号停止条件SC2を満たすまで繰り返される。
これを外側繰り返し復号と呼ぶ。このLLR更新は事前に用意された外側繰り返し復号停止条件SC2を満たすまで繰り返される。
以上のABP(adaptive belief propagation)手順により繰り返し更新されたLLRを入カとして、復号器により復号を行う。
今、対象となる線形符号がReed−Solomon符号であった場合、繰り返し復号停止条件SC1、SC2として、たとえば以下のものが考えられる。
今、対象となる線形符号がReed−Solomon符号であった場合、繰り返し復号停止条件SC1、SC2として、たとえば以下のものが考えられる。
(A) H・d == 0または繰り返し数t≧N、
(B) 限界距離復号成功または繰り返し数t≧N、
(C) Koetter−Vardy軟判定リスト復号成功または繰り返し数t≧N。
(B) 限界距離復号成功または繰り返し数t≧N、
(C) Koetter−Vardy軟判定リスト復号成功または繰り返し数t≧N。
ここで、d=(d1,d2,・・・,d6)はΛiの硬判定結果、di={Λi q>0なら1,Λi q≦0なら0}であり、Nは事前に決めた最大繰り返し回数である。
また、復号方法として、たとえば以下のものが考えられる。
また、復号方法として、たとえば以下のものが考えられる。
(a) 硬判定復号
(b) 限界距離復号
(c) Koetter−Vardy軟判定リスト復号
(b) 限界距離復号
(c) Koetter−Vardy軟判定リスト復号
V.Guruswami,M.Sudan,Improve decoding of Reed−Solomon and Algebraic−Geometry codes,IEEE Transactions on Information Theory,vol.45,pp.1757−1767,1999
R.Koetter,A.Vardy,Algebraic soft−decision decoding of Reed−Solomon codes,IEEE Transactions on Information Theory,2001
R.Koetter,J.Ma,A.Vardy,A,Ahmed,Effcient Interpolation and Factorization in Algebraic Soft−Decision Decoding of Reed−Solomon codes,Proceedings of ISIT2003
D.MacKay,Good Error−Correcting Codes Based on Very Sparse Matrices,IEEE Transactions on Information Theory,1999
Berlekamp,R.McEliece,H.van Tilborg,On the inherent intractability of certain coding problems,IEEE Transactions on Information Theory,vol.24,pp.384−386,May,1978)。
Jing Jiang,K.R.Narayan,Soft Decision Decoding of RS Codes Using Adaptive Parity Check Matrices,Proceeding of IEEE International Symposium on Information Theory 2004
ところで、上述技術では、ABP復号による信頼度の更新後、硬判定して限界距離復号を行い、復号が成功した場合でも、それが誤訂正の場合がある。
この場合、復号が失敗して受信値をそのまま復号結果とした場合に比べて、ビット誤り率が増大する確率が高いという課題がある。
この場合、復号が失敗して受信値をそのまま復号結果とした場合に比べて、ビット誤り率が増大する確率が高いという課題がある。
本発明は、ビット誤り率を低減可能な復号方法および復号装置、並びにプログラムを提供することにある。
本発明の第1の観点は、受信語の信頼度の大きさに従いソートし、その順番に対角化されたパリティ検査行列を用いて、信頼性伝播(Belief propagation:BP)を行って信頼度を更新し、その更新された値に対して、再び上記動作を繰り返す復号方法であって、事後確率がある一定値を下回った場合は、当該復号語を使用しない。
好適には、上記受信語との距離がある一定値を上回った場合は、当該復号語を使用しない。
好適には、事後確率がある一定値を下回った場合は、その復号語のかわりに受信語を復号結果として出力する。
好適には、上記受信語との距離がある一定値を上回った場合は、その復号語のかわりに受信語を復号結果として出力する。
好適には、上記距離にハミング距離を用いる。
また、好適には、上記距離にユークリッド距離を用いる。
本発明の第2の観点は、受信語の信頼度の大きさに従いソートし、その順番に対角化されたパリティ検査行列を用いて、信頼性伝播(Belief propagation:BP)を行って信頼度を更新し、その更新された値に対して、再び上記動作を繰り返す復号装置であって、事後確率がある一定値を下回った場合は、当該復号語を使用しない復号部を含む。
本発明の第3の観点は、受信語の信頼度の大きさに従いソートし、その順番に対角化されたパリティ検査行列を用いて、信頼性伝播(Belief propagation:BP)を行って信頼度を更新し、その更新された値に対して、再び上記動作を繰り返す復号処理であって、事後確率がある一定値を下回った場合は、当該復号語を使用しない処理をコンピュータに実行させるプログラムである。
本発明によれば、ABP復号による信頼度の更新後、たとえば限界距離復号やKoetter−Vardy軟判定リスト復号を行い、復号が成功した場合でも、その復号結果の事後確率があるスレッショルドより小さい場合には、復号が失敗したものとみなし、受信語をそのまま復号結果として出力する。
MAP復号が後段に付加されたABP復号の場合、繰り返し復号毎に復号語をリストに集めて、最適な復号語を選択する。
このときに、限界距離復号結果の事後確率があるスレッショルドより小さい場合、または受信語との距離があるスレッショルドより大きい場合には、そもそもMAP復号の対象には入らないとする。距離とは、たとえハミング距離やユークリッド距離を表す。
MAP復号が後段に付加されたABP復号の場合、繰り返し復号毎に復号語をリストに集めて、最適な復号語を選択する。
このときに、限界距離復号結果の事後確率があるスレッショルドより小さい場合、または受信語との距離があるスレッショルドより大きい場合には、そもそもMAP復号の対象には入らないとする。距離とは、たとえハミング距離やユークリッド距離を表す。
本発明によれば、ビット誤り率を低減することができる利点がある。
以下、本発明の実施形態を図面に関連付けて説明する。
本発明の実施形態に係る復号装置は、代数的手法を用いた誤り訂正符号技術を実現するための回路、たとえば適応的信頼性伝播(Adaptive Belief Propagation:ABP)復号器として応用できる。
ABP復号は、リードソロモン(Read−Solomon:RS)符号やBCH符号、その他低密度でないパリティ検査行列を持つ線形符号に対する復号法であり、ある伝送路から符号語を受信すると、その受信語をより信頼できる値に更新する。
ABP復号は、リードソロモン(Read−Solomon:RS)符号やBCH符号、その他低密度でないパリティ検査行列を持つ線形符号に対する復号法であり、ある伝送路から符号語を受信すると、その受信語をより信頼できる値に更新する。
以下、ABP復号における復号装置の通信システム上の位置づけについて説明した後、本実施形態に係る復号装置の具体的な構成および機能について説明する。
図3は、デジタル信号受信機、たとえばデジタルテレビなどの誤り訂正システムにABP復号器を用いた通信システムの構成例を示す図である。
本通信システム10は、図3に示すように、RS符号化器11、インタリーバ12、畳み込み符号器13、畳み込み符号の軟出力復号器14、デインタリーバ15、ABP繰り返し復号器16、およびチャネル17を有する。
本通信システム10では、RS符号化、畳み込み符号化された送信語に対して、畳み込み符号の軟出力復号をした後にABP復号を行っている。
ここで言う畳み込み符号の軟出力復号とは、たとえばBCJRアルゴリズムやSOVAによる復号のことである。
ABP復号器16においては、ABPによる信頼性の更新後、硬判定後限界距離復号、リスト復号、もしくは、軟値をそのまま入力として軟判定リスト復号を行う。
ここで言う畳み込み符号の軟出力復号とは、たとえばBCJRアルゴリズムやSOVAによる復号のことである。
ABP復号器16においては、ABPによる信頼性の更新後、硬判定後限界距離復号、リスト復号、もしくは、軟値をそのまま入力として軟判定リスト復号を行う。
図4は、MAP復号が後段に付加されたABP復号法を用いた繰り返し復号のフローチャートである。
なお、この場合は、内側繰り返し条件および外側繰り返し条件を繰り返し数t≧Nで定めた例である。
なお、この場合は、内側繰り返し条件および外側繰り返し条件を繰り返し数t≧Nで定めた例である。
受信語の信頼性順の探索を行い(ST11)、順序変換を行う(ST12)。
変換した順序に応じてパリティ検査行列の対角化を行い(ST13)、このパリティ検査行列を用いて信頼性伝播(BP)を行う(ST14)。
次に、LLRを計算し(ST15)、計算したLLRの信頼性順を探索し(ST16)、復号を行い、復号語をリストへ追加する(ST17)。
そして、繰り返し復号停止条件N1,N2を満足するまで以上の処理を繰り返す(ST18、ST19)。
そして、復号語を1つ選択する(ST20)。
変換した順序に応じてパリティ検査行列の対角化を行い(ST13)、このパリティ検査行列を用いて信頼性伝播(BP)を行う(ST14)。
次に、LLRを計算し(ST15)、計算したLLRの信頼性順を探索し(ST16)、復号を行い、復号語をリストへ追加する(ST17)。
そして、繰り返し復号停止条件N1,N2を満足するまで以上の処理を繰り返す(ST18、ST19)。
そして、復号語を1つ選択する(ST20)。
図5は、MAP復号が後段についたABP復号器の構成例を示す図である。
この復号器20は、図5に示すように、ABP復号部21、限界距離(BD)復号部22、受信信頼度(LLR)保持部23、および判定部25を含むMAP復号部24、を有している。
限界距離(BD)復号部22、MAP復号部24、および判定部25により本発明の復号部が構成される。
この復号器20は、図5に示すように、ABP復号部21、限界距離(BD)復号部22、受信信頼度(LLR)保持部23、および判定部25を含むMAP復号部24、を有している。
限界距離(BD)復号部22、MAP復号部24、および判定部25により本発明の復号部が構成される。
復号器20においては、ABP復号部21による信頼性(LLR)の更新後、硬判定してBD復号部22において、限界距離復号を行い、この結果をリストに集め、最終的にMAP復号部24において最大事後確率復号(Maximum a posteriori Probabiliy:MAP)復号を行う。
そして、本実施形態においては、繰り返し復号で、限界距離復号やKoetter−Vardy軟判定リスト復号を行い、復号が成功した場合でも、その復号結果の事後確率があるスレッショルド(しきい値)THより小さい場合には、復号が失敗したものとみなす。この際、たとえば受信語をそのまま復号結果とする。この判定は、たとえば判定部25で行う。
これにより、誤訂正した場合のビットエラーの増大を防ぐことが可能となる。
AWGNチャネルでは、復号語の事後確率が小さいということと、受信語との距離が大きいことは同義であるので、事後確率の代わりに受信語との距離を利用し、距離があるスレッショルドより大きい場合は、復号が失敗したとみなすことも可能である。
距離とは、たとえばハミング距離やユークリッド距離を表す。
MAP復号が後段に付加された場合は、MAP復号に入力される復号語のうち、あるスレッショルドより大きい事後確率の復号語のみ候補とする。
これにより、誤訂正した場合のビットエラーの増大を防ぐことが可能となる。
AWGNチャネルでは、復号語の事後確率が小さいということと、受信語との距離が大きいことは同義であるので、事後確率の代わりに受信語との距離を利用し、距離があるスレッショルドより大きい場合は、復号が失敗したとみなすことも可能である。
距離とは、たとえばハミング距離やユークリッド距離を表す。
MAP復号が後段に付加された場合は、MAP復号に入力される復号語のうち、あるスレッショルドより大きい事後確率の復号語のみ候補とする。
図6は、ABP復号器の復号装置の構成例を示す図である。
図6のABP復号器30は、図3のABP復号器16や図4のABP復号部21に適用可能であり、ソート入力選択部31、ソート部32、パリティ検査行列の対角化部33、信頼度(LLR)保持部34、および信頼性伝播(BP)部35を有している。
ABP復号器30においては、入力として、受信LLRS32が入力される。
列インデックスS31は、入力された受信LLRの符号語の始まりからカウンタで0、1、2、3、、とカウントアップされた値を生成し利用する。
ソート入力選択部31で、初回は、列インデックスS31と受信LLRS32を選択し、繰り返し二回目以降は信頼性伝播(BP)後、更新LLRS40とその列インデックスS39を選択する。
列インデックスS31は、入力された受信LLRの符号語の始まりからカウンタで0、1、2、3、、とカウントアップされた値を生成し利用する。
ソート入力選択部31で、初回は、列インデックスS31と受信LLRS32を選択し、繰り返し二回目以降は信頼性伝播(BP)後、更新LLRS40とその列インデックスS39を選択する。
図6に示すように、受信語が入力されたら、まず、ソート部32において、その信頼度(LLR)の大きさに応じて列インデックスのソートを行う。
次に、信頼度の低いシンボルに対応する列より順に、対角化部33でパリティ検査行列の対角化を行う。
最後に、対角化されたパリティ検査行S37を用いて、信頼性伝播(BP)を行うことにより、値が更新される。
更新された値に対して、再びソート、対角化、信頼性伝播(BP)を行う。繰り返し数が予め決められており、その繰り返し数だけこれを繰り返す。
次に、信頼度の低いシンボルに対応する列より順に、対角化部33でパリティ検査行列の対角化を行う。
最後に、対角化されたパリティ検査行S37を用いて、信頼性伝播(BP)を行うことにより、値が更新される。
更新された値に対して、再びソート、対角化、信頼性伝播(BP)を行う。繰り返し数が予め決められており、その繰り返し数だけこれを繰り返す。
この復号器30の信頼性伝播(BP)部35において、本発明の実施形態に係る復号方法を適用することが可能である。
ここで、本実施形態のABP復号器において、事後確率がある一定値(しきい値)THを下回った場合にその復号語を使用しない処理の実施例について説明する。
[実施例1]
符号長n=6のある符号語が、あるチャネル、たとえばBPSK変調+AWGNチャネルを通った後、次に受信語を受信機が受け取ったとする。
符号長n=6のある符号語が、あるチャネル、たとえばBPSK変調+AWGNチャネルを通った後、次に受信語を受信機が受け取ったとする。
なお、BPSK変調では、0が−1に、1が1にマッピングされたとする。
この後、ABP復号器を通して次の復号語が出力されたとする。
この後、ABP復号器を通して次の復号語が出力されたとする。
そして、事後確率とスレッショルドTHとを比較することになるが、ここで、符号の0、1の発生確率が一様であれば、事後確率と尤度Pr,dは比例するので、以降尤度で考える。
ある1ビットの尤度は以下のようになる。
ある1ビットの尤度は以下のようになる。
これを全ビットについて掛け算した値が復号語の尤度である。
尤度があるスレッショルドより小さい場合は誤訂正されたとみなし復号語を最終的な復号結果として出力しない。
ここで、上記行列を用いた場合復号語の尤度は以下のようになる。
尤度があるスレッショルドより小さい場合は誤訂正されたとみなし復号語を最終的な復号結果として出力しない。
ここで、上記行列を用いた場合復号語の尤度は以下のようになる。
これにより、尤度P_{r,d}が大きくなることと、次式で示すユークリッド距離が小さくなることは同じである。
よって、事後確率があるスレッショルドより小さい場合に誤訂正とみなすことは、ユークリッド距離があるスレッショルドより大きい場合に誤訂正とみなすことと同じである。
上記例を用いて、ユークリッド距離を計算すると、次のようになる。
上記例を用いて、ユークリッド距離を計算すると、次のようになる。
ここで、たとえばユークリッド距離のスレッショルドが2.0の場合、この復号語は誤訂正していると判断し、復号語を最終的な復号結果として出力せずに、受信語をそのまま出力する。
また、たとえばユークリッド距離のスレッショルドが3.0の場合、通常通り復号語を最終的な復号結果とする。
また、たとえばユークリッド距離のスレッショルドが3.0の場合、通常通り復号語を最終的な復号結果とする。
なお、ユークリッド距離ではなく、ハミング距離でも同様に計算される。
上記例の場合、受信語を硬判定すると、(0, 1, 1, 0, 1, 0)となり、復号語とのハミング距離は2である。
たとえば、スレッショルドが1である場合、この復号語は誤訂正していると判断し、復号語を最終的な復号結果として出力せずに、受信語をそのまま出力する。
上記例の場合、受信語を硬判定すると、(0, 1, 1, 0, 1, 0)となり、復号語とのハミング距離は2である。
たとえば、スレッショルドが1である場合、この復号語は誤訂正していると判断し、復号語を最終的な復号結果として出力せずに、受信語をそのまま出力する。
図7は、シミュレーションモデルを示す図である。
このシミュレーションモデル40は、図7に示すように、RS符号化器41、BPS変調器42、AWGNチャネル43、BPSK復調器44、およびABP復号器45を有する。
図8は、シミュレーション結果を示す図である。
図8は、RS(204,188)を想定した場合のビットエラーレート(Bit Error Rate)を示す図であって、Aで示す曲線が既存手法の復号性能を示し、Bで示す曲線が本実施形態に手法における復号性能を示している。
このシミュレーションモデル40は、図7に示すように、RS符号化器41、BPS変調器42、AWGNチャネル43、BPSK復調器44、およびABP復号器45を有する。
図8は、シミュレーション結果を示す図である。
図8は、RS(204,188)を想定した場合のビットエラーレート(Bit Error Rate)を示す図であって、Aで示す曲線が既存手法の復号性能を示し、Bで示す曲線が本実施形態に手法における復号性能を示している。
実際に、図7のようなシミュレーションモデル40で、本発明手法と既存手法の性能をシミュレーションで比較してみると、図8のように、性能劣化はほとんどが本発明により性能が改善されることが、シミュレーションにより示されている。
なお、ここでのABP復号は、MAP復号が後段に付加されたABP復号を用いている。
なお、ここでのABP復号は、MAP復号が後段に付加されたABP復号を用いている。
以上説明したように、本実施形態によれば、繰り返し復号で、限界距離復号やKoetter−Vardy軟判定リスト復号を行い、復号が成功した場合でも、その復号結果の事後確率があるスレッショルドより小さい場合には、復号が失敗したものとみなす。
この際、例えば受信語をそのまま復号結果とする。
これにより、誤訂正した場合のビットエラーの増大を防ぐことが可能となる。
また、AWGNチャネルでは、復号語の事後確率が小さいということと、受信語との距離が大きいことは同義であるので、事後確率の代わりに受信語との距離を利用し、距離があるスレッショルドより大きい場合は、復号が失敗したとみなすことも可能である。
この際、例えば受信語をそのまま復号結果とする。
これにより、誤訂正した場合のビットエラーの増大を防ぐことが可能となる。
また、AWGNチャネルでは、復号語の事後確率が小さいということと、受信語との距離が大きいことは同義であるので、事後確率の代わりに受信語との距離を利用し、距離があるスレッショルドより大きい場合は、復号が失敗したとみなすことも可能である。
なお、以上詳細に説明した方法は、上記手順に応じたプログラムとして形成し、CPU等のコンピュータで実行するように構成することも可能である。
また、このようなプログラムは、半導体メモリ、磁気ディスク、光ディスク、フロッピー(登録商標)ディスク等の記録媒体、この記録媒体をセットしたコンピュータによりアクセスし上記プログラムを実行するように構成可能である。
また、このようなプログラムは、半導体メモリ、磁気ディスク、光ディスク、フロッピー(登録商標)ディスク等の記録媒体、この記録媒体をセットしたコンピュータによりアクセスし上記プログラムを実行するように構成可能である。
10・・・通信システム、11・・・RS符号化器、12・・・インタリーバ、13・・・畳み込み符号器、14・・・畳み込み符号の軟出力復号器、15・・・デインタリーバ、16・・・ABP繰り返し復号器、17・・・チャネル、20・・・復号器、21・・・ABP復号部、22・・・限界距離(BD)復号部、23・・・受信信頼度(LLR)保持部、24・・・MAP復号部、30・・・ABP復号器、31・・・ソート入力選択部、32,32A・・・ソート部、33・・・パリティ検査行列の対角化部、34・・・信頼度(LLR)保持部、35・・・信頼性伝播(BP)部。
Claims (19)
- 受信語の信頼度の大きさに従いソートし、その順番に対角化されたパリティ検査行列を用いて、信頼性伝播(Belief propagation:BP)を行って信頼度を更新し、その更新された値に対して、再び上記動作を繰り返す復号方法であって、
事後確率がある一定値を下回った場合は、当該復号語を使用しない
復号方法。 - 上記受信語との距離がある一定値を上回った場合は、当該復号語を使用しない
請求項1記載の復号方法。 - 上記距離にハミング距離を用いる
請求項2記載の復号方法。 - 上記距離にユークリッド距離を用いる
請求項2記載の復号方法。 - 事後確率がある一定値を下回った場合は、その復号語のかわりに受信語を復号結果として出力する
請求項1記載の復号方法。 - 上記受信語との距離がある一定値を上回った場合は、その復号語のかわりに受信語を復号結果として出力すること
請求項5記載の復号方法。 - 上記距離にハミング距離を用いる
請求項6記載の復号方法。 - 上記距離にユークリッド距離を用いる
請求項6記載の復号方法。 - 受信語の信頼度の大きさに従いソートし、その順番に対角化されたパリティ検査行列を用いて、信頼性伝播(Belief propagation:BP)を行って信頼度を更新し、その更新された値に対して、再び上記動作を繰り返す復号装置であって、
事後確率がある一定値を下回った場合は、当該復号語を使用しない復号部を含む
復号装置。 - 上記復号部は、
上記受信語との距離がある一定値を上回った場合は、当該復号語を使用しない
請求項9記載の復号装置。 - 上記復号部は、
上記距離にハミング距離を用いる
請求項10記載の復号装置。 - 上記復号部は、
上記距離にユークリッド距離を用いる
請求項10記載の復号装置。 - 上記復号部は、
事後確率がある一定値を下回った場合は、その復号語のかわりに受信語を復号結果として出力する
請求項9記載の復号装置。 - 上記復号部は、
上記受信語との距離がある一定値を上回った場合は、その復号語のかわりに受信語を復号結果として出力すること
請求項13記載の復号装置。 - 上記復号部は、
上記距離にハミング距離を用いる
請求項14記載の復号装置。 - 上記復号部は、
上記距離にユークリッド距離を用いる
請求項14記載の復号装置。 - 受信語の信頼度の大きさに従いソートし、その順番に対角化されたパリティ検査行列を用いて、信頼性伝播(Belief propagation:BP)を行って信頼度を更新し、その更新された値に対して、再び上記動作を繰り返す復号処理であって、
事後確率がある一定値を下回った場合は、当該復号語を使用しない処理を
コンピュータに実行させるプログラム。 - 事後確率がある一定値を下回った場合は、その復号語のかわりに受信語を復号結果として出力する処理を
コンピュータに実行させる請求項17記載のプログラム。 - 上記受信語との距離がある一定値を上回った場合は、その復号語のかわりに受信語を復号結果として出力する処理を
コンピュータに実行させる請求項18記載のプログラム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008070013A JP2009225325A (ja) | 2008-03-18 | 2008-03-18 | 復号方法および復号装置、並びにプログラム |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2008070013A JP2009225325A (ja) | 2008-03-18 | 2008-03-18 | 復号方法および復号装置、並びにプログラム |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2009225325A true JP2009225325A (ja) | 2009-10-01 |
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Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014230284A (ja) * | 2013-05-24 | 2014-12-08 | タレス | 符号のワードの拡大スペクトル解析による、訂正符号、例えばターボ符号の復号法 |
US10333558B2 (en) | 2017-03-24 | 2019-06-25 | Toshiba Memory Corporation | Decoding device and decoding method |
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CN113162630A (zh) * | 2021-04-25 | 2021-07-23 | 扬州大学 | 一种自适应码长高速率bp译码器 |
-
2008
- 2008-03-18 JP JP2008070013A patent/JP2009225325A/ja active Pending
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CN113162630A (zh) * | 2021-04-25 | 2021-07-23 | 扬州大学 | 一种自适应码长高速率bp译码器 |
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