JP2009225122A - 携帯電話および該携帯電話の画像表示部保護膜形成方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】指紋や浮遊系のゴミなどの異物が付着しにくい防汚性を付与した画像表示部を有することにより、コントラストの低下を防止し清潔感のある携帯電話を提供する。
【解決手段】画像表示部を有する携帯電話において、同一装置内で順に、画像表示部に無機透明膜をスパッタリング法で、フッ素コート層を真空蒸着法によって形成し、該フッ素コート層の厚さを1nm〜100nmとする。
【選択図】図1
【解決手段】画像表示部を有する携帯電話において、同一装置内で順に、画像表示部に無機透明膜をスパッタリング法で、フッ素コート層を真空蒸着法によって形成し、該フッ素コート層の厚さを1nm〜100nmとする。
【選択図】図1
Description
本発明は、画像表示部の最表面にフッ素樹脂膜(以下、フッ素コート層ともいう)を設けて防汚性を付与した携帯電話および画像表示部保護膜形成方法に関する。
携帯電話などの画像表示装置の表面は、使用者の汗や指紋などによる汚れや、空気中に浮遊している異物が付着しやすい。特に、指紋などによる汚れは、不潔感をもたらすだけでなく、表示画像のコントラストの低下を引き起こすという問題もある。
従来、画像表示装置の表面に接着剤を介してフィルムを貼り付けるものがある(例として特許文献1参照)。この方式によると、画像表示装置の表面のフィルムが汚れても、フィルムを新しいものと張り替えることで携帯電話を使用できるが、廃棄物の発生、使用中にフィルムの外周からの剥離、表示画像のコントラストの低下があり、実使用に耐えないものである。
また、他の従来技術として携帯電話機本体にカバー部材を設け、表面を保護するものもある(例として特許文献2参照)。この方式によると、電話機を使用しない場合は画像表示部は汚れないが、電話使用時には使用者の指紋などによる汚れの付着や、携帯電話機そのものの外観デザインの制約を受けるという問題がある。
また、他の従来技術として携帯電話機本体にカバー部材を設け、表面を保護するものもある(例として特許文献2参照)。この方式によると、電話機を使用しない場合は画像表示部は汚れないが、電話使用時には使用者の指紋などによる汚れの付着や、携帯電話機そのものの外観デザインの制約を受けるという問題がある。
また、画像表示部表面に防汚層を設ける方法もある。防汚層の形成方法として物理蒸着法(PVD)の一種である真空蒸着法が用いられている。
真空蒸着法は、10-4Pa程度をこえる高真空中で、真空蒸着装置内部に設置されたターゲット収容容器内に充填した固体または顆粒状のターゲットを加熱蒸発させ、この蒸気をターゲットに対向配置されて一定の温度に保持された基材表面に堆積させて薄膜を形成する方法である。
真空蒸着法は、高真空下で成膜することにより蒸着時に薄膜となる高分子の構造を変化させることなく高純度な薄膜が高い成膜速度で形成できる。ターゲットを蒸気とするためには加熱方式が多用され、その加熱方式には、抵抗加熱法、電子ビーム法、レーザ法(レーザブレーション)などがある。
例えば上記真空蒸着法を用いて、フッ素化合物の被膜を液晶ディスプレイ等の表示画面に用いられる無機または有機基材表面に形成させること(特許文献3参照)や、蒸着法などの手法を用いて、液晶表示画面をフッ素化シラザン化合物で処理すること(特許文献4参照)が開示されている。
真空蒸着法は、10-4Pa程度をこえる高真空中で、真空蒸着装置内部に設置されたターゲット収容容器内に充填した固体または顆粒状のターゲットを加熱蒸発させ、この蒸気をターゲットに対向配置されて一定の温度に保持された基材表面に堆積させて薄膜を形成する方法である。
真空蒸着法は、高真空下で成膜することにより蒸着時に薄膜となる高分子の構造を変化させることなく高純度な薄膜が高い成膜速度で形成できる。ターゲットを蒸気とするためには加熱方式が多用され、その加熱方式には、抵抗加熱法、電子ビーム法、レーザ法(レーザブレーション)などがある。
例えば上記真空蒸着法を用いて、フッ素化合物の被膜を液晶ディスプレイ等の表示画面に用いられる無機または有機基材表面に形成させること(特許文献3参照)や、蒸着法などの手法を用いて、液晶表示画面をフッ素化シラザン化合物で処理すること(特許文献4参照)が開示されている。
しかしながら、従来の含フッ素薄膜は防汚性が十分でなく、成膜しても汚れが付着しやすかったり、成膜した膜の光透過性が良好でないため、携帯電話機の比較的小さい画面が鮮明に見えなかったりするという問題がある。
また、真空蒸着法で形成される含フッ素薄膜は、経時的に薄膜の剥れが生じやすくなるなど耐久性に劣るという問題がある。
特開2003−15531号公報
特開平8−331631号公報
特開平9−111223号公報
特開平8−201746号公報
また、真空蒸着法で形成される含フッ素薄膜は、経時的に薄膜の剥れが生じやすくなるなど耐久性に劣るという問題がある。
本発明は、上記問題を解決するためになされたもので、指紋や浮遊系のゴミなどの異物が付着しにくい防汚性を付与した画像表示部を有することにより、鮮明な表示とコントラストを維持する耐久性に優れ、清潔感のある携帯電話の提供を目的とする。
本発明の携帯電話は、画像表示部を有する携帯電話において、該画像表示部の表面に無機透明膜およびフッ素樹脂膜を順に設けたことを特徴とする。
また、上記フッ素樹脂膜の厚さが、1〜100nmであることを特徴とする。
本発明の携帯電話の画像表示部保護膜形成方法は、携帯電話の画像表示部に無機透明膜をスパッタリング法により成膜する工程と、フッ素樹脂膜を真空蒸着法により成膜する工程とを備え、上記スパッタリング法により成膜する工程、および真空蒸着法により成膜する工程が同一成膜装置内において、連続成膜されることを特徴とする。
また、上記フッ素樹脂膜の厚さが、1〜100nmであることを特徴とする。
本発明の携帯電話の画像表示部保護膜形成方法は、携帯電話の画像表示部に無機透明膜をスパッタリング法により成膜する工程と、フッ素樹脂膜を真空蒸着法により成膜する工程とを備え、上記スパッタリング法により成膜する工程、および真空蒸着法により成膜する工程が同一成膜装置内において、連続成膜されることを特徴とする。
本発明の携帯電話は、画像表示部に無機透明膜を設け、最表面にフッ素コート層を設けるので、密着性に優れる表面膜を形成できる。その結果、指紋、ゴミ等の異物が付着しにくく、清潔感のある携帯電話の画像表示部が得られる。
また、本発明の携帯電話の画像表示部のフッ素コート層は、真空蒸着によって形成されるので、デッピング法など他の手段によって形成するよりも、より指紋、ゴミ等の付着を防ぐ効果がある。
また、本発明の携帯電話の画像表示部のフッ素コート層の厚さが、1〜100nmであるので、指紋、ゴミ付着等の防汚効果が得られるコート層厚さの下限を明確にでき、画像表示部に表示される画像のコントラストの低下を防ぎ、機能的かつ経済性の面からも実用的な携帯電話を提供することができる。
これらにより、ゴミ等の付着が軽減され表示画像が鮮明となり、かつ清潔感を有する携帯電話を提供できる。
また、本発明の携帯電話の画像表示部のフッ素コート層は、真空蒸着によって形成されるので、デッピング法など他の手段によって形成するよりも、より指紋、ゴミ等の付着を防ぐ効果がある。
また、本発明の携帯電話の画像表示部のフッ素コート層の厚さが、1〜100nmであるので、指紋、ゴミ付着等の防汚効果が得られるコート層厚さの下限を明確にでき、画像表示部に表示される画像のコントラストの低下を防ぎ、機能的かつ経済性の面からも実用的な携帯電話を提供することができる。
これらにより、ゴミ等の付着が軽減され表示画像が鮮明となり、かつ清潔感を有する携帯電話を提供できる。
本発明の携帯電話の画像表示部保護膜形成方法は、スパッタリング法により成膜する工程、および真空蒸着法により成膜する工程を同一成膜装置内において、連続成膜されるので、以下の効果がある。
(1)下地層が設けられているのでフッ素コート層の耐久性が優れる。
(2)下地層があっても、その表面が汚れていると、フッ素コート層の耐久性が劣ったり、または下地層形成後大気下に放置すると、各種ガスを吸着することで耐久性が劣ったりするが、同一成膜装置内で連続して成膜するので、耐久性が向上する。
(3)表面の汚れや吸着ガスは、洗浄により除去できるが、工数が増加したり、品質上の問題が生じたりするが、同一成膜装置内において連続成膜することでこれらの問題を解決できる。
(1)下地層が設けられているのでフッ素コート層の耐久性が優れる。
(2)下地層があっても、その表面が汚れていると、フッ素コート層の耐久性が劣ったり、または下地層形成後大気下に放置すると、各種ガスを吸着することで耐久性が劣ったりするが、同一成膜装置内で連続して成膜するので、耐久性が向上する。
(3)表面の汚れや吸着ガスは、洗浄により除去できるが、工数が増加したり、品質上の問題が生じたりするが、同一成膜装置内において連続成膜することでこれらの問題を解決できる。
以下、本発明の実施の携帯について、図面を用いて説明する。
図1および図2は、本発明の携帯電話の実施形態の一例を示す図である。
図1は携帯電話の全体を示し、通話等に使用する各種の操作キー1、電話に関する各種の情報(電話番号、電波状態、バッテリーの残量等)や画像表示部である画像表示装置2、マイク3、スピーカー4から構成されている。画像表示装置2は具体的には液晶ディスプレイ(LCD)や有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ(有機ELディスプレイ)などが挙げられる。
図1および図2は、本発明の携帯電話の実施形態の一例を示す図である。
図1は携帯電話の全体を示し、通話等に使用する各種の操作キー1、電話に関する各種の情報(電話番号、電波状態、バッテリーの残量等)や画像表示部である画像表示装置2、マイク3、スピーカー4から構成されている。画像表示装置2は具体的には液晶ディスプレイ(LCD)や有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ(有機ELディスプレイ)などが挙げられる。
図2は図1の断面AA'を示す。画像表示装置2は携帯電話の筐体5の内部に設けられており、画像表示装置2の上には透過窓部材6が設けられている。透過窓部材6は一般的には光透過率の良い樹脂性であり、その材質はアクリル、ポリカーボネート等で出来ている。
本発明は、透過窓部材6に無機透明膜6aおよびフッ素コート層6bを順に設けるものである。
本発明は、透過窓部材6に無機透明膜6aおよびフッ素コート層6bを順に設けるものである。
無機透明膜6aは、スパッタリング法によって透過窓部材6に形成される。無機透明膜6aの材料としては、イオン銃から放出されたイオンが照射されスパッタできる物質であれば利用できる。そのような物質としては、SiO2、CeF2、ITOなどの無機物類が挙げられる。
これらの中で、SiO2などの無機物がフッ素コート層との密着性を向上できるので好ましい。
これらの中で、SiO2などの無機物がフッ素コート層との密着性を向上できるので好ましい。
上記フッ素コート層6bは、真空蒸着によって無機透明膜6a上に形成される。本発明に使用できる真空蒸着用材料であるターゲットは、非晶質パーフルオロ樹脂コート層の薄膜を形成できる含フッ素有機高分子を主成分として含む。非晶質パーフルオロ樹脂コート層は非晶質であるため光透過度に優れ、また、真空蒸着により薄膜にできるため、薄膜形成後の基材との密着性にも優れる。
非晶質パーフルオロ樹脂としては、パーフルオロ重合体または共重合体であって、被膜形成能のあるフッ素高分子であれば使用できる。例えば、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリビニルフルオライド、ポリビニリデンフルオライド、フルオロポリエーテル重合体を例示できる。
非晶質パーフルオロ樹脂溶液の市販品としては、サイトップ CTX−100(株式会社旭硝子製)やオプツールDSX(ダイキン工業株式会社製)などが例示でき、真空蒸着によって薄膜が形成できるパーフルオロ化合物としてはノベックEGC1720(住友化学社製)が例示できる。
真空蒸着法に用いられるターゲットは、真空容器内に配置される前に上記非晶質パーフルオロ樹脂溶液を脱溶媒して固形状ターゲットにする。上述のようにターゲットは溶媒に分散、または溶解させた状態で保存されるが、液状のままでは、真空蒸着法におけるターゲット蒸発時に突沸が起こり膜厚が均一とならない、真空容器内あるいは基材表面の汚染などの問題が発生する場合がある。そのため、固形状ターゲットにする工程は必須の工程である。
ターゲットの脱溶媒はターゲット中の溶媒濃度を1重量%以下、好ましくは0.01重量%以下とできる脱溶媒方法であれば種々の方法を採用できる。溶媒濃度が1重量%をこえると突沸などが生じる。脱溶媒方法としては減圧下での蒸発法、凍結乾燥法、遠心脱水法、ろ過法等、官能基の反応を抑えて脱溶媒する方法であればよい。本発明においては、簡易な方法である減圧下での蒸発法が好適である。
減圧下でのターゲット液の溶媒蒸発は、ターゲット液を坩堝に充填し、減圧下(100kPa以下)に放置し溶媒を蒸発させる。また、乾燥時間を短縮し、大気中の元素との反応を避けるため不活性雰囲気下(窒素雰囲気下)において加熱して溶媒を蒸発させることもできる。蒸発は溶媒濃度が1重量%以下になるまで行なう。この方法は、真空蒸着装置の汚染などが防げるため好ましい方法である。
なお、ターゲット液の溶媒蒸発は、液の固形分濃度が高い場合などにおいては、成膜装置内においてシャッターを利用して基材への飛沫付着を防ぎながら行なうこともできる。この場合では、成膜装置のみでの作業が可能となり、作業工程が簡略化できる。
本発明に使用できる成膜装置の一例を図3に示す。
成膜装置7は、排気装置9を備えた真空容器8内に、真空蒸着用ターゲット10を収容するルツボ13と、イオンビームスパッタ用ターゲット11とこのターゲットにArイオンビームを照射するイオン銃12とが収容されている。これらターゲット10およびターゲット11に基材14が対向配置されている。15は成膜される薄膜の厚さを測定する膜厚計(QCD)であり、16はアルゴンガス導入装置である。ルツボ13はアルミナ(Al2O3)、ベリリア(BeO)などの高融点酸化物で形成され、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)などの高融点金属のフィラメントなどを用いた加熱装置(図示省略)により加熱される。
本発明のイオンビームスパッタに用いられるターゲットは上記SiO2などが用いられ、イオン銃としては、プラズマ室内のプラズマからイオンを引き出してスパッタ室内のターゲットに向けてイオンビームを照射する公知のものが用いられる。イオン源としては、Arガス以外にHe、Ne、Xeなどの不活性ガスを使用できる。
図3はスパッタリングの方法としてイオンビームスパッタを用いる例を示したが、本発明はイオンビームスパッタ以外にRFスパッタも用いることができる。
成膜装置7は、排気装置9を備えた真空容器8内に、真空蒸着用ターゲット10を収容するルツボ13と、イオンビームスパッタ用ターゲット11とこのターゲットにArイオンビームを照射するイオン銃12とが収容されている。これらターゲット10およびターゲット11に基材14が対向配置されている。15は成膜される薄膜の厚さを測定する膜厚計(QCD)であり、16はアルゴンガス導入装置である。ルツボ13はアルミナ(Al2O3)、ベリリア(BeO)などの高融点酸化物で形成され、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)などの高融点金属のフィラメントなどを用いた加熱装置(図示省略)により加熱される。
本発明のイオンビームスパッタに用いられるターゲットは上記SiO2などが用いられ、イオン銃としては、プラズマ室内のプラズマからイオンを引き出してスパッタ室内のターゲットに向けてイオンビームを照射する公知のものが用いられる。イオン源としては、Arガス以外にHe、Ne、Xeなどの不活性ガスを使用できる。
図3はスパッタリングの方法としてイオンビームスパッタを用いる例を示したが、本発明はイオンビームスパッタ以外にRFスパッタも用いることができる。
上記成膜装置を用いて無機透明膜およびフッ素コート層を順に携帯電話の画像表示部である基材上に成膜する方法について説明する。
(1)被膜基材の脱脂洗浄:被膜基材を予め洗浄する。洗浄はアセトンなどによる有機溶剤による洗浄、イソプロピルアルコール(IPA)などによるブラシ洗浄、その他超音波洗浄などを基材14の種類に応じて行なう。
(2)ターゲットおよび被膜基材のセッティング:含フッ素有機物質をルツボ13に充填し、またSiO2などの無機物をイオンビームスパッタ用ターゲット11に配置し、基材14を治具に装着する。
(3)成膜装置の排気:装置内圧が10-2〜10-4Paとなるまで排気する。装置内圧は5×10-3Pa以下とすることが好ましい。
(1)被膜基材の脱脂洗浄:被膜基材を予め洗浄する。洗浄はアセトンなどによる有機溶剤による洗浄、イソプロピルアルコール(IPA)などによるブラシ洗浄、その他超音波洗浄などを基材14の種類に応じて行なう。
(2)ターゲットおよび被膜基材のセッティング:含フッ素有機物質をルツボ13に充填し、またSiO2などの無機物をイオンビームスパッタ用ターゲット11に配置し、基材14を治具に装着する。
(3)成膜装置の排気:装置内圧が10-2〜10-4Paとなるまで排気する。装置内圧は5×10-3Pa以下とすることが好ましい。
(4)無機透明膜の形成:Arガスを5.0SCCMの割合で装置内に流しながら、イオン銃12に流されるイオンビーム電流値を20〜50mA程度に調節することで無機透明膜を形成する。このイオンビーム電流値は、SiO2単体での成膜速度としては、膜厚計(QCD)15にて検出不可能なレベルである。このイオンビーム電流を上昇させることにより膜強度を増加させることができる。
(5)フッ素コート層の形成:ルツボの温度を250℃から700℃に、昇温速度50℃/分で加熱することにより、無機透明膜上にフッ素コート層を形成する。
(6)重合処理:薄膜形成後、成膜装置から被膜基材を取り出し、熱処理することにより、堆積したフッ素コート薄膜を重合させる。熱処理時の雰囲気は大気中でもよい。必要な加熱温度・重合時間は、薄膜の材料、堆積量により異なるが、実用的には50〜350℃の温度で5〜600分の範囲であり、好ましくは50〜200℃の温度で10〜120分である。
(5)フッ素コート層の形成:ルツボの温度を250℃から700℃に、昇温速度50℃/分で加熱することにより、無機透明膜上にフッ素コート層を形成する。
(6)重合処理:薄膜形成後、成膜装置から被膜基材を取り出し、熱処理することにより、堆積したフッ素コート薄膜を重合させる。熱処理時の雰囲気は大気中でもよい。必要な加熱温度・重合時間は、薄膜の材料、堆積量により異なるが、実用的には50〜350℃の温度で5〜600分の範囲であり、好ましくは50〜200℃の温度で10〜120分である。
本発明の成膜方法においては、イオンビーム電流値を調節して無機透明膜の厚さを、ルツボの温度を調節してフッ素コート層の成膜速度を調節する。
本発明で形成する無機透明膜の厚さとしては、0.1nm〜10000nmであり、好ましくは1nm〜1000nmである。また、フッ素コート層として実用的な厚さの範囲は1nm〜1000nmであり、好ましくは1nm〜100nmである。形成されたフッ素コート層の対水接触角は100°をこえることができ、携帯電話画像表示部としての十分な防汚性を有している。
本発明で形成する無機透明膜の厚さとしては、0.1nm〜10000nmであり、好ましくは1nm〜1000nmである。また、フッ素コート層として実用的な厚さの範囲は1nm〜1000nmであり、好ましくは1nm〜100nmである。形成されたフッ素コート層の対水接触角は100°をこえることができ、携帯電話画像表示部としての十分な防汚性を有している。
一般に「くっつきにくい」「水や油をはじく」「よく滑る」等の特性がある材質としてフッ素樹脂、また「油をはじく」ものとしてシリコーンのコーティング剤が知られているが、フッ素樹脂は透明性がないため、そのままでは透過窓部材としての使用ができない。このような背景から、透過率の高い材質としてフッ素系のコーティング剤およびシリコーン系コーティング剤を選定し評価した。
表1は、実験を行なったコーティング剤の種類、コーティングの方法とコート層の厚みを示す一覧である。表1の組合せにより以下の手順でサンプル1〜16を作成し評価した。
サンプル作成にあたり、携帯電話の透過窓部材の材質としてアクリル樹脂を使用した。
サンプル作成にあたり、携帯電話の透過窓部材の材質としてアクリル樹脂を使用した。
実施例1〜実施例3
ターゲットとして、サイトップ CTX−100(株式会社旭硝子製)を蒸発法により脱溶媒処理した。サイトップ CTX−100(株式会社旭硝子製)を坩堝に充填し、減圧下(100kPa以下)にて室温に放置し溶媒を蒸発させた。残留溶媒濃度は0.5重量%であった。
脱溶媒されたターゲットが収容された坩堝を真空蒸着装置内に配置した。また、SiO2をスパッタリング法のターゲットとして同一真空蒸着装置内に配置した。
真空蒸着装置内を5×10-4Pa以下に排気して、Arガスを5.0SCCMの割合で装置内に流しながら、イオンビーム電流値を20〜50mAの条件でアクリル樹脂表面上にSiO2膜を100nm形成した。
次いで、真空蒸着装置内を5×10-4Pa以下に排気して、坩堝を180℃の温度で100分間加熱して上記アクリル樹脂の表面に、それぞれ表1に示す厚みのフッ素のコート層を形成し、指紋付着性および異物付着性について評価した。指紋付着性はコート層を形成した樹脂表面に指紋を付け、その付き易さを目視で判定した。また、異物付着性は顕微鏡を使い目視で判定した。以下に示す評価基準に従い、評価結果を表2に示す。
ターゲットとして、サイトップ CTX−100(株式会社旭硝子製)を蒸発法により脱溶媒処理した。サイトップ CTX−100(株式会社旭硝子製)を坩堝に充填し、減圧下(100kPa以下)にて室温に放置し溶媒を蒸発させた。残留溶媒濃度は0.5重量%であった。
脱溶媒されたターゲットが収容された坩堝を真空蒸着装置内に配置した。また、SiO2をスパッタリング法のターゲットとして同一真空蒸着装置内に配置した。
真空蒸着装置内を5×10-4Pa以下に排気して、Arガスを5.0SCCMの割合で装置内に流しながら、イオンビーム電流値を20〜50mAの条件でアクリル樹脂表面上にSiO2膜を100nm形成した。
次いで、真空蒸着装置内を5×10-4Pa以下に排気して、坩堝を180℃の温度で100分間加熱して上記アクリル樹脂の表面に、それぞれ表1に示す厚みのフッ素のコート層を形成し、指紋付着性および異物付着性について評価した。指紋付着性はコート層を形成した樹脂表面に指紋を付け、その付き易さを目視で判定した。また、異物付着性は顕微鏡を使い目視で判定した。以下に示す評価基準に従い、評価結果を表2に示す。
◎:防汚効果大、実用的である
○:防汚効果があり、実用上問題なし
△:防汚効果あるが、実用的には問題が生じる場合もある
×:防汚効果なし、実用性に難あり
−:コート層が厚すぎ光透過しないため評価せず
実施例4〜実施例6、および比較例10
ターゲットとして、NANOS−B(株式会社ティーアンドケー製)を用いた他は、実施例1と同様の手順で、反射防止膜が設けられたアクリル樹脂の表面に、それぞれ表1に示す厚みのフッ素のコート層を形成し、指紋付着性および異物付着性について評価した。表2に評価結果を示す。
ターゲットとして、NANOS−B(株式会社ティーアンドケー製)を用いた他は、実施例1と同様の手順で、反射防止膜が設けられたアクリル樹脂の表面に、それぞれ表1に示す厚みのフッ素のコート層を形成し、指紋付着性および異物付着性について評価した。表2に評価結果を示す。
比較例1〜比較例3
コーティング剤として、サイトップ CTX−100(株式会社旭硝子製)を用い、溶液中にアクリル樹脂を浸漬し、引き上げ速度10cm/分で引き上げコート層を形成した。厚みはコーティング剤の固形分濃度を調整し、それぞれ表1に示す厚みのフッ素のコート層を形成し、指紋付着性および異物付着性について評価した。表2に評価結果を示す。
コーティング剤として、サイトップ CTX−100(株式会社旭硝子製)を用い、溶液中にアクリル樹脂を浸漬し、引き上げ速度10cm/分で引き上げコート層を形成した。厚みはコーティング剤の固形分濃度を調整し、それぞれ表1に示す厚みのフッ素のコート層を形成し、指紋付着性および異物付着性について評価した。表2に評価結果を示す。
比較例4〜比較例9
コーティング剤として、比較例4〜6ではシリコーンスプレー KF96SP(信越化学工業株式会社製)を、また比較例7〜9ではシリコーンスプレー(呉工業株式会社製)を用い、アクリル樹脂に直接スプレーしコート層を形成した。厚みはスプレーの時間を調整し、それぞれ表1に示す厚みのフッ素のコート層を形成し、指紋付着性および異物付着性について評価した。表2に評価結果を示す。
コーティング剤として、比較例4〜6ではシリコーンスプレー KF96SP(信越化学工業株式会社製)を、また比較例7〜9ではシリコーンスプレー(呉工業株式会社製)を用い、アクリル樹脂に直接スプレーしコート層を形成した。厚みはスプレーの時間を調整し、それぞれ表1に示す厚みのフッ素のコート層を形成し、指紋付着性および異物付着性について評価した。表2に評価結果を示す。
以上の結果より、連続成膜により無機透明膜およびフッ素コート層を設けることで、指紋、異物からの防汚効果が高いことがわかり、実用性が高いことがわかった。また、真空蒸着により成膜したコート層が、より防汚効果が高いこともわかった。さらに、その厚さは、真空蒸着によって成膜した1nm〜100nmとすれば充分な防汚効果が得られることがわかった。
とりわけ実施例4〜6の株式会社ティーアンドケーのNANOS−Bを真空蒸着したものが、より効果的な防汚効果を示した。
とりわけ実施例4〜6の株式会社ティーアンドケーのNANOS−Bを真空蒸着したものが、より効果的な防汚効果を示した。
通常携帯電話とは、電波を利用した双方向通話を示すが、近年は通話の機能にデータ通信、インターネットへの接続、スケジュール管理、写真撮影、画像閲覧等の機能が追加され画像表示装置の上にタッチパネルを形成しているものも使用されている。このようなタッチパネルにおいても、表2の結果と同様の評価結果となった。
以上のように、本発明の防汚性を付与した表示部を有する携帯電話では、指紋や異物などによる画像表示部の汚れが大きく軽減され、コントラストの低下を防止し清潔感のある携帯電話として有用である。
1 操作キー
2 画像表示装置
3 マイク(送話口)
4 スピーカー(受話口)
5 筐体
6 透過窓部材
6a 無機透明膜
6b フッ素コート層
7 成膜装置
8 真空容器
9 排気装置
10 真空蒸着用ターゲット
11 イオンビームスパッタ用ターゲット
12 イオン銃
13 ルツボ
14 基材
15 膜厚計
16 アルゴンガス導入装置
2 画像表示装置
3 マイク(送話口)
4 スピーカー(受話口)
5 筐体
6 透過窓部材
6a 無機透明膜
6b フッ素コート層
7 成膜装置
8 真空容器
9 排気装置
10 真空蒸着用ターゲット
11 イオンビームスパッタ用ターゲット
12 イオン銃
13 ルツボ
14 基材
15 膜厚計
16 アルゴンガス導入装置
Claims (3)
- 画像表示部を有する携帯電話において、該画像表示部の表面に無機透明膜およびフッ素樹脂膜を順に設けたことを特徴とする携帯電話。
- 前記フッ素樹脂膜の厚さが、1〜100nmであることを特徴とする請求項1記載の携帯電話。
- 携帯電話の画像表示部に無機透明膜をスパッタリング法により成膜する工程と、
フッ素樹脂膜を真空蒸着法により成膜する工程とを備える携帯電話の画像表示部保護膜形成方法であって、
前記スパッタリング法により成膜する工程、および真空蒸着法により成膜する工程が同一成膜装置内において、連続成膜されることを特徴とする携帯電話の画像表示部保護膜形成方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008067551A JP2009225122A (ja) | 2008-03-17 | 2008-03-17 | 携帯電話および該携帯電話の画像表示部保護膜形成方法 |
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JP2008067551A JP2009225122A (ja) | 2008-03-17 | 2008-03-17 | 携帯電話および該携帯電話の画像表示部保護膜形成方法 |
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ID=41241452
Family Applications (1)
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JP2008067551A Pending JP2009225122A (ja) | 2008-03-17 | 2008-03-17 | 携帯電話および該携帯電話の画像表示部保護膜形成方法 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2009225122A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014027041A (ja) * | 2012-07-25 | 2014-02-06 | Fujifilm Corp | 成膜用有機材料及びそれを用いて得られた有機光電変換素子、撮像素子、成膜方法、有機光電変換素子の製造方法 |
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2008
- 2008-03-17 JP JP2008067551A patent/JP2009225122A/ja active Pending
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