JP2009224219A - 燃料電池システム - Google Patents

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Abstract

【課題】 ヒドラジン類を燃料とする燃料電池において、排出されるヒドラジン類を、システムとして効率的に無害化処理することのできる燃料電池システムを提供すること。
【解決手段】 電解質膜7と、この電解質膜7を挟んで対向配置されるアノード部8およびカソード部9とを備える燃料電池2を備える燃料電池システム1において、燃料電池2にヒドラジン類を燃料として供給するための燃料供給部3と、燃料電池2に酸素を供給するための酸素供給部4と、アノード部8およびカソード部9から排出されるヒドラジン類を含有する排出物を溜めるための貯留部21を備える。そして、酸素供給部4から供給される酸素を貯留部21に供給して、貯留部21に溜められた排出物に含まれるヒドラジン類を無害化する。
【選択図】図1

Description

本発明は、ヒドラジン類を燃料とする燃料電池を備える燃料電池システムに関する。
従来、ヒドラジン類を燃料として燃料極に直接供給する直接燃料供給型燃料電池が提案されている。
例えば、アニオン交換樹脂からなる電解質膜と、この電解質膜の一方側表面に、コバルトナノパウダーとアニオン交換樹脂との混合物を塗布することにより形成された燃料側電極と、電解質膜の他方側表面に、銀を担持したカーボンを塗布することにより形成された酸素側電極とを備え、燃料として水加ヒドラジンが燃料側電極に供給される燃料電池が提案されている(特許文献1参照。)。
特許文献1の燃料電池では、燃料側電極で窒素のみが生成され、直接メタノール型燃料電池のように、炭酸ガスの生成がなく、実質的なゼロエミッションを実現することができる。
特開2006−244961号公報
しかるに、ヒドラジン類は、火災や爆発のおそれがあり、また、強アルカリ性である。そのため、燃料極側から排出される未反応のヒドラジン類や、燃料極側から酸素極側にクロスオーバーした後、酸素極側から排出されるヒドラジン類を効率的に無害化処理する必要がある。
本発明の目的は、ヒドラジン類を燃料とする燃料電池において、排出されるヒドラジン類を、システムとして効率的に無害化処理することのできる燃料電池システムを提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明の燃料電池システムは、電解質膜と、前記電解質膜を挟んで対向配置される燃料極および酸素極とを備える燃料電池と、前記燃料極に燃料としてヒドラジン類を供給する燃料供給手段と、前記酸素極に酸素を供給する酸素供給手段と、前記燃料極側および前記酸素極側の少なくとも一方から排出されるヒドラジン類を含有する排出物を溜めるための貯留部と、前記酸素供給手段から供給される酸素を前記貯留部に供給して、前記貯留部に溜められる前記排出物を無害化する無害化手段とを備えることを特徴としている。
また、本発明の燃料電池システムでは、前記貯留部が、気液分離器であることが好適である。
本発明の燃料電池システムでは、燃料電池における燃料極側および酸素極側の少なくとも一方から排出されるヒドラジン類を含有する排出物を、貯留部に溜める。そして、貯留部では、無害化手段により酸素が供給され、この酸素と溜められた排出物中のヒドラジン類とを反応させて無害化処理が行なわれる。
このように、本発明の燃料電池システムでは、排出物中のヒドラジン類と酸素とを反応させてヒドラジン類が無害化処理されるので、ヒドラジン類が燃料電池システムの系外へ排出されることを防止することができる。さらに、燃料電池の発電のために酸素供給手段から供給される酸素を利用して無害化処理が行なわれるので、ヒドラジン類を処理する装置などを別途設ける必要がない。その結果、燃料電池システムを、効率的に無害化処理することのできるシステムとして構築することができる。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の燃料電池システムの第1の実施形態を示す概略構成図である。
図1において、燃料電池システム1は、燃料電池2と、燃料電池2に燃料を供給するための燃料供給手段としての燃料供給部3と、燃料電池2に酸素を供給するための酸素供給手段としての酸素供給部4と、燃料電池2からの排出物を排出するための排出部5と、燃料電池2の運転を制御する制御部6とを備えている。
(A)燃料電池
燃料電池2は、ヒドラジン類を燃料とする、例えば、固体高分子形(PEFC)の燃料電池である。燃料電池2は、電解質膜7と、電解質膜7を挟んで対向配置される燃料極としてのアノード部8および酸素極としてのカソード部9とを備えており、これらが1つの発電単位(単位セル)として複数積層されることによりスタック構造に形成されている。なお、図1では、便宜上、複数の単位セルのうち、1つだけを表わし、その他の単位セルについては省略している。
電解質膜7としては、例えば、プロトン交換膜、アニオン交換膜などの固体高分子膜が挙げられる。
プロトン交換膜としては、その内部をプロトン(H+)が移動できる膜であれば、特に制限されず、例えば、パーフルオロスルホン酸膜が挙げられる。
アニオン交換膜としては、その内部をアニオン(例えば、水酸化物イオン(OH-))が移動できる膜であれば、特に制限されず、例えば、4級アンモニウム基、ピリジニウム基などのアニオン交換基を有する固体高分子膜(アニオン交換樹脂)が挙げられる。
アノード部8は、電解質膜7の一方の面に接触形成された燃料側電極10と、燃料側電極10における電解質膜7と接触する他方の面とは反対側の一方の面に接触形成され、隣接する単位セルとの境界を成す燃料側セパレータ11とを備えている。
燃料側電極10の材料としては、特に制限されず、例えば、触媒が担持された多孔質担体などが挙げられる。
多孔質担体としては、特に制限されず、例えば、カーボンなどの撥水性担体が挙げられる。
触媒としては、特に制限されず、例えば、白金族元素(Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt)、鉄族元素(Fe、Co、Ni)などの周期表第8〜10(VIII)族元素や、例えば、Cu、Ag、Auなどの周期表第11(IB)族元素など、さらには、これらの組み合わせなどが挙げられ、好ましくは、Pt(白金)が挙げられる。
そして、燃料側電極10は、電解質膜7の他方の面に接触形成される後述する酸素側電極12および電解質膜7とともに、1つの膜・電極接合体を形成している。
燃料側セパレータ11には、燃料側電極10との接触面において、燃料側電極10に向けて開放する溝(図示せず)が形成されている。アノード部8では、この溝と燃料側電極10の一方の面とにより形成される燃料流路内を、燃料が流れる。また、燃料側セパレータ11には、その燃料の流入口(図示せず)に、後述する燃料供給路15が接続されており、また、その燃料の流出口(図示せず)に、後述する燃料排出路19が接続されている。
また、図1では表われていないが、アノード部8には、燃料としてのヒドラジン類の濃度を検知するための濃度センサが設けられている。
カソード部9は、電解質膜7の他方の面に接触形成された酸素側電極12と、酸素側電極12における電解質膜7と接触する一方の面とは反対側の他方の面に接触形成され、隣接する単位セルとの境界を成す酸素側セパレータ13とを備えている。
酸素側電極12の材料としては、特に制限されず、例えば、燃料側電極10の材料と同様の材料が挙げられる。酸素側電極12は、燃料側電極10および電解質膜7とともに、1つの膜・電極接合体を形成している。
酸素側セパレータ13には、酸素側電極12との接触面において、酸素側電極12に向けて開放する溝(図示せず)が形成されている。カソード部9では、この溝と酸素側電極12の他方の面とにより形成される酸素流路内を、酸素を含む空気(以下では、酸素を含む空気を、単に、「酸素」ということがある。)が流れる。また、酸素側セパレータ13には、その酸素の流入口(図示せず)に、後述する酸素供給路17が接続されており、また、その酸素の流出口(図示せず)に、後述する酸素排出路20が接続されている。
(B)燃料供給部
燃料供給部3は、燃料が貯められる燃料タンク14と、燃料タンク14内の燃料をアノード部8に供給する燃料供給路15とを備えている。
燃料タンク14には、燃料としてのヒドラジン類が、例えば、ヒドラジン類の水溶液として貯蔵されている。
ヒドラジン類としては、例えば、無水ヒドラジン(NH2NH2)、水加ヒドラジン(NH2NH2・H2O)などのヒドラジン、トリアザン(NH2NHNH2)、テトラザン(NH2NHNHNH2)などが挙げられ、好ましくは、無水ヒドラジン、水加ヒドラジンが挙げられる。
燃料供給路15は、上流側の一端が燃料タンク14の燃料流出口(図示せず)に接続され、下流側の他端が燃料側セパレータ11の燃料流入口(図示せず)に接続されている。また、燃料供給路15の途中には、アノード部8への燃料の供給量を調節するための燃料供給バルブ16が介在されている。
燃料供給バルブ16は、燃料供給路15を開閉するための弁であって、例えば、電磁弁などの公知の開閉弁である。また、燃料供給バルブ16は、制御部6と電気的に接続されており(図1の破線参照。)、制御部6からの入力信号により、その開閉が制御される。
(C)酸素供給部
酸素供給部4は、酸素をカソード部9に供給する酸素供給路17を備えている。
酸素供給路17は、上流側の一端が大気中に開放され、下流側の他端が酸素側セパレータ13の酸素流入口(図示せず)に接続されている。酸素供給路17の途中には、酸素供給ポンプ18が介在されている。
酸素供給ポンプ18は、大気中の酸素を、酸素供給路17に流すためのポンプであって、例えば、エアコンプレッサなどの公知の送気ポンプである。また、酸素供給ポンプ18は、制御部6と電気的に接続されており(図1の破線参照。)、制御部6からの入力信号により稼動するとともに、その出力が制御される。酸素供給ポンプ18の出力が制御されることによって、酸素供給路17を流れる酸素の流量が制御される。
(D)排出部
排出部5は、アノード部8で生成する生成物や未反応の燃料などを排出物として排出するための燃料排出路19と、アノード部8からクロスオーバーする燃料などを排出物として排出するとともに、カソード部9に供給される酸素を排出するための、無害化手段としての酸素排出路20と、燃料排出路19および酸素排出路20に排出された排出物を溜めるための貯留部21と、貯留部21に溜められた排出物をシステムの系外に排出するための排出路23とを備えている。
燃料排出路19は、上流側の一端が燃料側セパレータ11の燃料流出口(図示せず)に接続され、下流側の他端が貯留部21の一方側に接続されている。また、燃料排出路19の途中には、アノード部8からの排出物の排出量を調節するための燃料排出バルブ22が介在されている。
燃料排出バルブ22は、燃料排出路19を開閉するための弁であって、例えば、電磁弁などの公知の開閉弁である。また、燃料排出バルブ22は、制御部6と電気的に接続されており(図1の破線参照。)、制御部6からの入力信号により、その開閉が制御される。
酸素排出路20は、上流側の一端が酸素側セパレータ13の酸素流出口(図示せず)に接続され、下流側の他端が貯留部21の他方側に接続されている。
貯留部21は、燃料電池2よりも下方に配置され、例えば、排出物を溜めることのできる公知の貯留槽の他、排出物を溜めることのできる槽を備える装置であってもよい。貯留部21として、好ましくは、排出物を溜めることのできる槽を備える装置が挙げられ、具体的には、排出物を溜めるとともに、排出物を気体成分と液体成分とに分離できる気液分離器が挙げられる。
貯留部21が気液分離器である場合、その分離機構としては、例えば、衝突型、サイクロン型、邪魔板型、ワイヤーメッシュ型などが挙げられる。なお、以下では、貯留部21が気液分離器であるとして説明する。
貯留部21には、その他方側の酸素排出路20の接続位置よりも上方において、排出物の気体成分を系外に排出するための気体排出路25が接続されている。
排出路23は、上流側の一端が、貯留部21の一方側において、燃料排出路19の接続位置よりも下方に接続され、下流側の他端がドレンとされる。また、排出路23の途中には、排出バルブ24が介在されている。
排出バルブ24は、排出路23を開閉するための弁であって、例えば、電磁弁などの公知の開閉弁である。また、排出バルブ24は、制御部6と電気的に接続されており(図1の破線参照。)、制御部6からの入力信号により、その開閉が制御される。
(E)制御部
制御部6は、例えば、CPU、ROMおよびRAMなどを備えるマイクロコンピュータで構成されている。制御部6には、燃料供給バルブ16、酸素供給ポンプ18および燃料排出バルブ22および排出バルブ24が制御対象として電気的に接続されている(図1の破線参照)。
(F)貯留部の内部構成
図2は、図1に示す貯留部21の内部構成を示す断面図である。なお、図2では、気液分離機構を省略して貯留部21を表わしている。
貯留部21は、略直方体形状に形成されている。貯留部21の内部には、上記一方側の壁と他方側の側壁との間に、ヒドラジン類と酸素との反応を促進させるための触媒板26が複数設置されている。
触媒板26は、例えば、略矩形状のメッシュ板で形成され、好ましくは、略矩形状の銅板メッシュで形成される。複数の触媒板26は、一方側の側壁と他方側の側壁とが対向する幅方向に沿って、各触媒板26の一方および他方の面が互いに対向するように所定の間隔を隔てて配置されている。
また、貯留部21の内部には、酸素排出路20の下流側端部が配設されている。具体的には、酸素排出路20の下流側端部は、上流側の上流路27と下流側の下流路28とが略直角に屈曲する略L形状に形成され、最下流側端部が閉塞されている。貯留部21の内部においては、上流路27が、貯留部21の他方側の側壁に沿って触媒板26の下端よりも下方に延び、下流路28が上流路27に対して垂直に折れ曲がり、触媒板26の下方、貯留部21の底壁付近を幅方向に沿って延びるように配設されている。
下流路28には、貯留部21に溜められる排出物に対して、酸素を吹き込むための多数の小孔29が形成されている。多数の小孔29は、下流路28において、その上方、つまり、触媒板26が設置される側に対向するように形成されている。
また、貯留部21の一方側の側壁下部には、上記したように排出路23が接続されている。
(G)燃料電池システムでの発電
以上説明した燃料電池システム1では、制御部6によって、燃料供給バルブ16が開かれ、酸素供給ポンプ18が稼動されることにより、燃料供給路15に燃料としてのヒドラジン類が供給され、酸素供給路17に酸素が供給される。
供給される燃料の流量は、例えば、ヒドラジン類の水溶液として、0〜41.4ml/sであり、好ましくは、4.14〜8.28ml/sである。
また、酸素の供給量は、例えば、燃料電池2において目標とされる発電電力量の発生に必要な酸素の化学当量の1.1〜2.2倍の量であり、具体的な数値としては、供給される燃料の流量や目標発電電力量により異なるが、供給圧力として、例えば、0〜200kPa・G(ゲージ圧)であり、好ましくは、50〜150kPa・G(ゲージ圧)である。つまり、燃料電池システム1の発電において、酸素は、燃料電池2の目標発電電力量に必要な必要量よりも多い余剰量で供給される。
そして、燃料は、アノード部8の燃料流路(図示せず)に流入し、スタック構造とされた各単位セルの燃料側電極10と接触する。
一方、酸素は、酸素供給ポンプ18の稼動により、カソード部9の酸素流路(図示せず)に流入し、スタック構造とされた各単位セルの酸素側電極12と接触する。
そして、電解質膜7がアニオン交換膜である場合、燃料電池2では、下記反応式(1)〜(3)で表わされる反応が生じて、発電が行なわれる。
(1) N24+4OH-→N2+4H2O+4e- (アノード部8での反応)
(2) O2+2H2O+4e-→4OH- (カソード部9での反応)
(3) N24+O2→N2+2H2O (燃料電池2全体での反応)
(H)ヒドラジン類を含有する排出物の無害化処理
上記した発電では、アノード部8に水(H2O)が生成するため、アノード部8中の燃料濃度が低下して、燃料電池2の発電効率が低下するおそれがある。燃料濃度の低下に起因する燃料電池2の発電効率の低下を防止すべく、発電中には、アノード部8の濃度センサ(図示せず)の検知に応じて、燃料排出バルブ22が開かれることにより、アノード部8で生成する水(H2O)およびその水と混合される未反応の燃料(ヒドラジン類)が、図1および図2において実線で液面が示されるように、排出物として貯留部21に溜められる。
一方、カソード部9では、アノード部8から燃料(ヒドラジン類)が電解質膜7をクロスオーバーして滞留するおそれがある。そのため、発電中には、クロスオーバーした燃料が、カソード部9に供給された余剰量の酸素とともに酸素排出路20を通って、アノード部8からの排出物とともに排出物として貯留部21に溜められる。なお、クロスオーバーした燃料は、貯留部21に供給される酸素との飛沫同伴により、貯留部21に溜められる。
そして、貯留部21では、溜められた排出物に対して無害化処理が行なわれる。なお、排出物に対する無害化処理とは、貯留部21に溜められる排出物に含有されるヒドラジン類の全部または一部を酸素との反応により分解する処理である。
そして、具体的には、カソード部9を通過して酸素排出路20から排出された酸素が、下流路28の小孔29から上方に向けて、触媒板26の面に沿って排出物中に気泡として吹き込まれることにより、排出物中のヒドラジン類と酸素とが接触する。カソード部9を通過する酸素は、燃料電池2の発電により生じる熱で、例えば、60〜90℃程度に温められるので、排出物には温かい酸素が吹き込まれる。
そして、酸素とヒドラジン類とが、触媒板26の存在下、下記反応式(4)で表わされるように反応する。
(4)N24+O2→N2+2H2
上記した反応では、ヒドラジン類が酸素との反応により分解して、窒素(N2)と水(H2O)とが生成する。このようにして、貯留部21に溜められる排出物中のヒドラジン類の全部または一部が酸素との反応により分解する。つまり、火災や爆発のおそれのあるヒドラジン類が無害化される無害化処理が行なわれる。
無害化処理により生成した窒素(N2)と水(H2O)とは、貯留部21の気液分離機構により分離され、窒素(N2)は、気体排出路25から系外に排出される。一方、水(H2O)は、適宜のタイミングで、排出バルブ24が開かれることにより、系外に排出される。
以上のように、この燃料電池システム1では、アノード部8から排出される未反応ヒドラジン類が排出物として貯留部21に溜められるとともに、アノード部8からクロスオーバーによりカソード部9に移動した未反応ヒドラジン類も、排出物として貯留部21に溜められる。
そして、貯留部21では、溜められた排出物に対して、酸素排出路20から酸素が気泡として吹き込まれてヒドラジン類と酸素とが接触する。ヒドラジン類が、酸素と接触して分解することにより無害化処理が行なわれ、窒素(N2)および水(H2O)が生成する。生成した窒素(N2:気体成分)と水(H2O:液体成分)とは、貯留部21の気液分離機構により分離され、それぞれ気体排出路25および排出路23から系外に排出される。
このように、この燃料電池システム1によれば、アノード部8およびカソード部9から排出される排出物に含有されるヒドラジン類が、ヒドラジン類の状態で、燃料電池システム1の系外へ排出されることを防止することができる。さらに、ヒドラジン類の無害化処理が、燃料電池2の発電のためにカソード部9に供給される酸素を利用して行なわれるので、ヒドラジン類を無害化処理する装置などを別途設ける必要がない。その結果、燃料電池システム1を、効率的に無害化処理することのできるシステムとして構築することができる。
また、排出物に対して、燃料電池2の発電による熱で温められた酸素(例えば、60〜90℃程度)を吹き込むことができるので、ヒドラジン類の分解反応を促進させることができる。さらに、貯留部21に、触媒板26が設置されているので、ヒドラジン類の分解反応を一層促進させることができる。
また、貯留部21が気液分離器であることから、無害化処理により生じる気体成分(窒素(N2))を液体成分(水(H2O))と分離するための気液分離器を別途設ける必要がない。そのため、システムを簡略にすることができる。
さらに、カソード部9からの酸素が排出物に対して気泡として吹き込まれるので、酸素排出路20内には、排出物の量に応じた負荷を与えることができ、酸素排出路20内の圧力が増加させることができる。そのため、貯留部21内の排出物の量を排出バルブ24で調節することにより、カソード部9から酸素排出路20へ排出される酸素の出口圧力(背圧)を調節することができる。つまり、カソード部9の背圧を調節する背圧調節器などを別途設けることなく、排出バルブ24を調節するという単純な操作により、カソード部9の背圧を調節することができる。その結果、システムを簡略にすることができる。
(第2の実施形態)
図3は、本発明の燃料電池システムの第2の実施形態を示す概略構成図である。図3において、図1に示す各部に対応する部分には、それらの各部と同一の参照符号を付している。また、以下では、同一の参照符号を付した部分についての詳細な説明を省略する。
図3において、燃料電池システム30は、燃料排出路19を備えておらず、その代わりに、燃料電池2からの燃料を燃料供給部3へ還流するための還流部31を備えている。
(I)還流部
還流部31は、アノード部8から排出される燃料を燃料タンク14へ戻す還流用流路32を備えている。
還流用流路32は、アノード部8と燃料タンク14とを接続しており、具体的には、その上流側の一端がアノード部8の燃料流出口(図示せず)に接続され、その下流側の他端が燃料タンク14の燃料流入口(図示せず)に接続されている。還流用流路32の途中には、還流用バルブ33が介在されている。
還流用バルブ33は、還流用流路32を開閉するための弁であって、例えば、電磁弁などの公知の開閉弁である。また、還流用バルブ33は、制御部6と電気的に接続されており(図3の破線参照。)、制御部6からの入力信号により、その開閉が制御される。
その他の構成は、前述の第1の実施形態と同様であり、燃料電池2における発電のフローも同様である。
(J)ヒドラジン類を含有する排出物の無害化処理
この燃料電池システム30では、燃料電池2の発電中、アノード部8で生成する水(H2O)およびその水と混合される未反応の燃料(ヒドラジン類)は、還流用バルブ33が開かれることにより、還流用流路32を通って、燃料タンク14へ還流され、再度燃料電池2の発電に利用される。なお、燃料タンク14は、燃料タンク14とアノード部8との循環系内の燃料の濃度の低下度合に応じて、適宜濃度の高い燃料が充填されたタンクと取り替えられる。
この燃料電池システム30では、アノード部8からクロスオーバーによりカソード部9に移動した未反応ヒドラジン類が、排出物として貯留部21に溜められる。そして、貯留部21では、溜められた排出物に対して、酸素排出路20から酸素が気泡として吹き込まれることにより、ヒドラジン類の無害化処理が行なわれる。
そのため、カソード部9から排出されるヒドラジン類が、ヒドラジン類の状態で、燃料電池システム1の系外へ排出されることを防止することができる。さらに、ヒドラジン類の無害化処理が、燃料電池2の発電のためにカソード部9に供給される酸素を利用して行なわれるので、ヒドラジン類を無害化処理する装置などを別途設ける必要がない。その結果、燃料電池システム1を、効率的に無害化処理することのできるシステムとして構築することができる。
その他の作用および効果も前述の第1の実施形態と同様であるので、ここではその記述を省略する。
以上、本発明の2つの実施形態について説明したが、本発明の実施形態は、これらに限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲で、適宜設計を変形することができる。
本発明の燃料電池システムの用途としては、例えば、電動車両、鉄道、船舶、航空機などが挙げられる。
また、前述の実施形態では、燃料電池システム1の発電において、酸素は、燃料電池2の目標発電電力量に必要な必要量よりも多い余剰量で供給されるとしたが、その量は、例えば、ヒドラジン類の濃度、アノード部8および/またはカソード部9から排出される排出物に含有されるヒドラジン類の量などに応じて適宜適切な量に調節することができる。それによって、無害化処理の処理効率を向上させることができる。
また、前述の実施形態では、無害化処理は、酸素供給ポンプ18が稼動する燃料電池2の発電時に行なったが、例えば、燃料電池システム1,30を電動車両に搭載する場合、車両の減速時や回生時など、燃料電池2での発電が行なわれていないときに、酸素供給ポンプ18を稼動させて行なってもよい。
本発明の燃料電池システムの第1の実施形態を示す概略構成図である。 図1に示す貯留部の内部構成を示す断面図である。 本発明の燃料電池システムの第2の実施形態を示す概略構成図である。
符号の説明
1 燃料電池システム
2 燃料電池
3 燃料供給部
4 酸素供給部
7 電解質膜
8 アノード部
9 カソード部
20 酸素排出路
21 貯留部

Claims (2)

  1. 電解質膜と、前記電解質膜を挟んで対向配置される燃料極および酸素極とを備える燃料電池と、
    前記燃料極に燃料としてヒドラジン類を供給する燃料供給手段と、
    前記酸素極に酸素を供給する酸素供給手段と、
    前記燃料極側および前記酸素極側の少なくとも一方から排出されるヒドラジン類を含有する排出物を溜めるための貯留部と、
    前記酸素供給手段から供給される酸素を前記貯留部に供給して、前記貯留部に溜められる前記排出物を無害化する無害化手段と
    を備えることを特徴とする、燃料電池システム。
  2. 前記貯留部が、気液分離器であることを特徴とする、請求項1に記載の燃料電池システム。
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