JP2009223222A - ワイヤグリッド偏光子の製造方法、ワイヤグリッド偏光子および投射型液晶表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】透過率及び消光比が高いワイヤグリッド偏光子を低コストで製造可能であり、また大面積なものでも製造可能なワイヤグリッド偏光子の製造方法等を提供する。
【解決手段】透明な基板11上に密着層12と下地層13と有機高分子層15とを順に積層する工程と、有機高分子層15に互いに略平行になるように複数の溝部16を形成する工程と、溝部16に金属細線14を形成する工程と、有機高分子層15を除去する工程と、を含むことを特徴とするワイヤグリッド偏光子10の製造方法。
【選択図】図1
【解決手段】透明な基板11上に密着層12と下地層13と有機高分子層15とを順に積層する工程と、有機高分子層15に互いに略平行になるように複数の溝部16を形成する工程と、溝部16に金属細線14を形成する工程と、有機高分子層15を除去する工程と、を含むことを特徴とするワイヤグリッド偏光子10の製造方法。
【選択図】図1
Description
本発明は、ワイヤグリッド偏光子の製造方法等に関し、より詳しくは、例えば液晶表示素子に用いるワイヤグリッド偏光子の製造方法等に関する。
偏光子は、一定方向の偏波面の光だけを通す材料であり、例えば、液晶表示素子において電界による液晶の配向の変化を可視化させる役割を持つ重要な部材である。
液晶表示素子に用いられる偏光子としては、例えば樹脂フィルムを延伸することにより生じる光学特性の変化を利用する偏光フィルムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
これに対し、金属細線を平行に並べたワイヤグリッド偏光子が提案されている。ワイヤグリッド偏光子では、金属細線に垂直に振動する電気ベクトルを持つような偏光を透過し、金属細線に平行に振動する電気ベクトルを持つ偏光を反射することにより、直線偏光を得ている。このようなワイヤグリッド偏光子としては、例えば透明な支持体上に半導体または金属よりなる細線を直線状かつ互いに平行になるように形成したものが知られている(例えば、特許文献2参照)。このワイヤグリッド偏光子は、透明な支持体上にレジストを塗布した後、電子線(EB:Electron Beam)リソグラフィもしくはX線リソグラフィによる描画を行い、リフトオフ法を用いて金属よりなる細線を支持体上に形成するものである。
液晶表示素子に用いられる偏光子としては、例えば樹脂フィルムを延伸することにより生じる光学特性の変化を利用する偏光フィルムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
これに対し、金属細線を平行に並べたワイヤグリッド偏光子が提案されている。ワイヤグリッド偏光子では、金属細線に垂直に振動する電気ベクトルを持つような偏光を透過し、金属細線に平行に振動する電気ベクトルを持つ偏光を反射することにより、直線偏光を得ている。このようなワイヤグリッド偏光子としては、例えば透明な支持体上に半導体または金属よりなる細線を直線状かつ互いに平行になるように形成したものが知られている(例えば、特許文献2参照)。このワイヤグリッド偏光子は、透明な支持体上にレジストを塗布した後、電子線(EB:Electron Beam)リソグラフィもしくはX線リソグラフィによる描画を行い、リフトオフ法を用いて金属よりなる細線を支持体上に形成するものである。
しかしながら、樹脂フィルムを延伸することにより得られる偏光子は、樹脂フィルムを用いて製造されているため低コストで量産できるものの、この偏光子は吸収型であるため原理的に光の透過率が低く、消光比も低いという問題が存在する。
また、電子線リソグラフィもしくはX線リソグラフィを行い、リフトオフ法を用いてワイヤグリッド偏光子を製造する方法では、大面積のものを製造することが困難である。そして、ワイヤグリッド偏光子を製造するために使用する設備やフォトマスク等が高価であり、コスト面で折り合わないという問題がある。また、金属よりなる細線に高価な金属を用いる場合、リフトオフされる金属は無駄となり、コスト面でも不利といえる。
また、電子線リソグラフィもしくはX線リソグラフィを行い、リフトオフ法を用いてワイヤグリッド偏光子を製造する方法では、大面積のものを製造することが困難である。そして、ワイヤグリッド偏光子を製造するために使用する設備やフォトマスク等が高価であり、コスト面で折り合わないという問題がある。また、金属よりなる細線に高価な金属を用いる場合、リフトオフされる金属は無駄となり、コスト面でも不利といえる。
上記課題に鑑み、本発明の目的は、低コストで製造可能であり、また大面積のものでも製造可能なワイヤグリッド偏光子の製造方法を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、透過率及び消光比が高いワイヤグリッド偏光子を提供することにある。
また更に、本発明の他の目的は、高品質の投影画像を得ることができる投射型液晶表示装置を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、透過率及び消光比が高いワイヤグリッド偏光子を提供することにある。
また更に、本発明の他の目的は、高品質の投影画像を得ることができる投射型液晶表示装置を提供することにある。
かかる目的のもと、本発明のワイヤグリッド偏光子の製造方法は、透明基板上に密着層と下地層と有機高分子層とを順に積層する工程と、有機高分子層に互いに略平行になるように複数の溝部を形成する工程と、溝部に金属細線を形成する工程と、有機高分子層を除去する工程と、を含むことを特徴とする。
ここで、溝部に金属細線を形成する工程は、無電解めっきにより下地層に含まれる金属成分を金属細線に含まれる金属成分に置換することにより行うことが好ましく、下地層は、下記(a)式により表される組成の合金からなることが更に好ましく、xは、0.05≦x≦0.15であることが更に好ましい。
また、有機高分子層に互いに略平行になるように複数の溝部を形成する工程は、ナノインプリント法または電子線描画法により行うことが好ましく、有機高分子層を除去する工程の後に、溝部の底部に残存した密着層および下地層を除去する工程を更に含むことが好ましい。
そして、密着層は、Cr、Ti、Al、Wから選ばれる少なくとも1つの金属を含むことが好ましく、金属細線は、Au、Ag、Alから選ばれる少なくとも1つの金属を含むことが好ましい。
また、本発明のワイヤグリッド偏光子は、透明基板と、透明基板上に形成され、互いに略平行な複数の凸部とからなり、凸部は、透明基板上に形成される金属を含む密着層と、密着層上に形成される金属を含む下地層と、下地層上に形成される金属細線と、からなることを特徴とする。
ここで、密着層と下地層の合計の厚さは、金属細線の厚さより薄いことが好ましい。
また更に、本発明の投射型液晶表示装置は、光源と、光源からの光を偏光分離するワイヤグリッド偏光子と、ワイヤグリッド偏光子により偏光された光を透過または反射する液晶表示素子と、液晶表示素子を透過または反射した光をスクリーンに投射する投射光学系とを備え、ワイヤグリッド偏光子は、光源からの光に対し透明な基板と、基板上に形成され、金属を含む密着層と金属を含む下地層と金属細線とが順に積層した互いに略平行な複数の凸部と、からなることを特徴とする。
本発明によれば、透過率及び消光比が高いワイヤグリッド偏光子を、低コストで製造可能であり、また大面積なものでも製造可能なワイヤグリッド偏光子の製造方法等を提供することができる。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本実施の形態にかかるワイヤグリッド偏光子の製造方法を説明した図である。
まず、基板11に密着層12を形成する(図1(a))。基板11は、可視光に対し透明なガラス等が用いられる。また、光透過性を有する合成樹脂でもよい。具体的には、青板ガラス、白板ガラス、サファイアガラス、石英ガラス等のガラスや、ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、ポリスチレン樹脂、塩化ビニル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルフォン、フェノール樹脂、ノルボルネン系非晶質ポリオレフィン樹脂等の合成樹脂を用いることができる。
図1は、本実施の形態にかかるワイヤグリッド偏光子の製造方法を説明した図である。
まず、基板11に密着層12を形成する(図1(a))。基板11は、可視光に対し透明なガラス等が用いられる。また、光透過性を有する合成樹脂でもよい。具体的には、青板ガラス、白板ガラス、サファイアガラス、石英ガラス等のガラスや、ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、ポリスチレン樹脂、塩化ビニル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルフォン、フェノール樹脂、ノルボルネン系非晶質ポリオレフィン樹脂等の合成樹脂を用いることができる。
密着層12は、基板11と後述する金属細線14との密着性、または基板11と後述する下地層13との密着性を確保するためのものであり、この条件を満たす材料が選ばれる。密着層12としては、酸素との親和性が高く、表面に安定な酸化物被膜を形成する金属が好ましい。このような材料を選択することにより酸素を介した結合が生じ密着力を高めることができる。具体的には、クロム(Cr)、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)、タングステン(W)、またはこれらの金属を含む合金等が挙げられる。また、密着層12として、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、β−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン等の有機化合物を用いることが出来る。
密着層12は、蒸着法、スパッタリング法、CVD(Chemical Vapor Deposition:化学気相成長)法、スピンコート等の方法で形成することができる。また、この密着層12は後述する金属細線14の厚さより薄いことが好ましく、5nm〜50nmの範囲であることが好ましい。この厚さの範囲で基板11および金属細線14との密着性を高めやすく、また透過率及び消光比等に関し良好な光学特性を得やすい。
密着層12は、蒸着法、スパッタリング法、CVD(Chemical Vapor Deposition:化学気相成長)法、スピンコート等の方法で形成することができる。また、この密着層12は後述する金属細線14の厚さより薄いことが好ましく、5nm〜50nmの範囲であることが好ましい。この厚さの範囲で基板11および金属細線14との密着性を高めやすく、また透過率及び消光比等に関し良好な光学特性を得やすい。
次に、密着層12の上に下地層13を形成する(図1(b))。下地層13は、後述するワイヤグリッドとしての金属細線14を成長させるための出発原料である。この下地層13は1層からなるものであってもよいが2層以上から形成されていてもよい。この下地層13としては、金属であることが好ましい。そして金属細線14の形成方法および金属細線の金属の種類に応じて適宜選択することが好ましい。例えば、後述する無電解めっき法により金属細線14を形成させる場合には、下地層13としては、ニッケル(Ni)、ニッケル合金、銅(Cu)、または銅合金等が好適に使用することができる。この場合、金属細線14と下地層13との間の好ましい組み合わせは、例えば、金(Au)を用いて金属細線14を形成させる場合、下地層13としてはニッケルまたはニッケル合金が好適である。また、例えば、銀(Ag)を用いて金属細線14を形成させる場合、下地層13としては銅または銅合金が好適である。
そして、金を用いて金属細線14を形成し、下地層13としてニッケル合金を用いる場合は、ニッケル合金として、Ni−P合金、Ni−B合金、またはNi−P−B合金を用いることが好ましい。またこの合金をNi1−xAx(但し、Aは、PまたはBから選ばれる少なくとも1種の元素である。)の組成で表したときに、0.05≦x≦0.15であることが好ましく、0.05≦x≦0.1であることが更に好ましい。下地層13としてこのような組成のニッケル合金を使用することにより後述する無電解めっき法によりニッケルが金に置換する反応の際に、適度に置換速度が抑えられ、金属細線14の厚さの制御が行いやすくなる。また、金属細線14を安定して形成できるため、形状の制御性も向上する。また更に、別途酸化反応が生じるのを抑制することもできる。
この下地層13は無電解めっき法、蒸着法、スパッタリング法、CVD法等で形成することができる。
そして、金を用いて金属細線14を形成し、下地層13としてニッケル合金を用いる場合は、ニッケル合金として、Ni−P合金、Ni−B合金、またはNi−P−B合金を用いることが好ましい。またこの合金をNi1−xAx(但し、Aは、PまたはBから選ばれる少なくとも1種の元素である。)の組成で表したときに、0.05≦x≦0.15であることが好ましく、0.05≦x≦0.1であることが更に好ましい。下地層13としてこのような組成のニッケル合金を使用することにより後述する無電解めっき法によりニッケルが金に置換する反応の際に、適度に置換速度が抑えられ、金属細線14の厚さの制御が行いやすくなる。また、金属細線14を安定して形成できるため、形状の制御性も向上する。また更に、別途酸化反応が生じるのを抑制することもできる。
この下地層13は無電解めっき法、蒸着法、スパッタリング法、CVD法等で形成することができる。
次に、下地層13の上に有機高分子層15を形成する(図1(c))。有機高分子層15としては、例えばフォトレジストやポリメチルメタクリレート(PMMA)等の有機樹脂を用いることができ、スピンコート等の方法で形成することができる。
次に、有機高分子層15に、溝部16を形成する(図1(d))。溝部16を形成するには、例えば、ナノインプリント法により行うことができる。インプリントを用いることにより、数10nm程度の微細な凹凸パターンを低コストで再現性よく形成することができる。具体的には、数10nmといった微細凹凸パターンが表面に形成された型を有機高分子層15に所定の圧力でプレスすることにより、金属細線14を形成するための溝部16が形成される。また、電子線(EB:Electron Beam)リソグラフィ法によっても溝部16を形成することができる。
このとき、有機高分子層15に形成された溝部16の底部に有機高分子層15が残留している場合には、例えば、酸素プラズマエッチングを行い、溝部16の底部の有機高分子層15を除去して下地層13を露出させることが好ましい。更に、下地層13を露出した後に表面を酸性水溶液で洗浄することが望ましい。酸性水溶液としては、塩酸、硫酸、硝酸の希釈液等があげられる。
このとき、有機高分子層15に形成された溝部16の底部に有機高分子層15が残留している場合には、例えば、酸素プラズマエッチングを行い、溝部16の底部の有機高分子層15を除去して下地層13を露出させることが好ましい。更に、下地層13を露出した後に表面を酸性水溶液で洗浄することが望ましい。酸性水溶液としては、塩酸、硫酸、硝酸の希釈液等があげられる。
次に、金属細線14を溝部16の下地層13の上に形成する。金属細線14として成長させる金属としては、金(Au)、銀(Ag)、アルミニウム(Al)またはこれらの金属を含む合金を用いることができる。またこれ以外にも、偏光子を用いる波長帯域において吸収性の高い金属であれば用いることができる。この金属細線14を形成する方法としては特に制限はなく、例えば、無電解めっき法、電解金属めっき法、蒸着法、スパッタリング法、CVD法等が使用できるが、特に無電解めっき法を使用するのが好ましい。この方法によれば、下地層13上に金属細線14を安価に形成することができ、また、有機高分子層15へのダメージが少ないため、金属細線14の欠陥が減少しやすいという利点がある。また更に、金属細線14の幅が一定になりやすく、かつ安定的に製造しやすいという利点もある。
そして、無電解めっきを行う際には置換型金属めっき浴を使用することが好ましい。この形態について、下地層13としてニッケル(Ni)を用い、金属細線14として金(Au)を形成する場合について、以下詳細に説明する。
無電解めっきを行う際には、ニッケルと金のイオン化傾向の差を利用し、下記の反応式(1)に従ってニッケルからなる下地層13上に金が析出し、金属細線14となる。
この反応はイオン化傾向の大きい金属成分(この反応の場合は、ニッケル)とイオン化傾向の小さい金属成分(この反応の場合は、金)との間で、電子の授受が行われることにより生じる。このような異種の金属が置換することにより行われる無電解めっきを以下、「置換型めっき」と呼ぶことにする。このニッケルが金に置換し金めっきを形成する置換型めっきでは、基本的にニッケル表面が金で覆われると反応が停止するため、薄い金被膜しか得られない。そして、その厚さは100nm程度である。そこで、100nm以上の金めっきを行いたい場合には、アスコルビン酸(ビタミンC)等の還元剤を含む置換型金属めっき浴を使用することが好ましい。これにより、約2μm程度の厚さの金による金属細線14の形成が可能となる。
本実施の形態における置換型めっきにおいては、被めっき物、即ち、本実施の形態の場合は、下地層13を形成する金属が溶出しイオン化することにより、下地層13上で電子の授受が行われ溶液中の金属イオンが金属として析出し、金属細線14となる。
良好な光学特性を得るため、下地層13を薄く形成した場合には、無電解めっきを行う工程において下地層13ができるだけ多く金属細線14により置換されることが好ましく、下地層13を全て金属細線14により置換してもよい。具体的には、下地層13を残存させる場合でも、下地層13と密着層12の合計の厚さが設けた金属細線14の厚さより薄いことが好ましい。また、下地層13を全て金属細線14により置換した場合は、密着層12の厚さが金属細線14の厚さよりも薄いことが好ましい。
良好な光学特性を得るため、下地層13を薄く形成した場合には、無電解めっきを行う工程において下地層13ができるだけ多く金属細線14により置換されることが好ましく、下地層13を全て金属細線14により置換してもよい。具体的には、下地層13を残存させる場合でも、下地層13と密着層12の合計の厚さが設けた金属細線14の厚さより薄いことが好ましい。また、下地層13を全て金属細線14により置換した場合は、密着層12の厚さが金属細線14の厚さよりも薄いことが好ましい。
図1(e)左図は、下地層13を残存させて、金属細線14を形成したときの場合を示し、図1(e)右図は、下地層13を全て金属細線14により置換して、金属細線14を形成したときの場合を示す。図1(e)左図において、下地層13は、金属細線14の出発原料であり、下地層13上に形成された金属細線14との密着性がよいのは勿論であるが、図1(e)右図のように、下地層13を全て金属細線14により置換した場合でも、基板11と下地層13との間に密着層12が存在するため、金属細線14との密着性はよく、金属細線14が剥離するような問題は生じにくい。
一般的な無電解めっきでは、その析出速度は0.1nm/秒〜0.2nm/秒である。この析出速度をもとに、金属細線14の厚みを制御することができる。そして、100nmより厚い金属膜を得るためには、上述のような還元剤を含む置換型金属めっき浴を使用する。一般的な還元剤を含有させた無電解めっきでは、金属の析出速度は0.3nm/秒〜0.5nm/秒であり、この析出速度をもとに金属細線14の厚みを制御することができる。
金属細線14の周期は可視光を対象とした場合には200nm以下であることが好ましいが、使用する波長により適宜選択することができる。また金属細線14の厚みは150nm〜300nmの範囲であることが好ましい。
金属細線14の周期は可視光を対象とした場合には200nm以下であることが好ましいが、使用する波長により適宜選択することができる。また金属細線14の厚みは150nm〜300nmの範囲であることが好ましい。
次に、有機高分子層15を除去する。有機高分子層15を除去するには、密着層12、下地層13、および金属細線14を溶解しないような酸、アルカリ溶液、若しくは有機溶剤中に浸漬するか、または酸素プラズマエッチング等を行うことにより可能である。
図1(f)左図は、下地層13を残存させて、金属細線14を形成したときにおいて有機高分子層15を除去した場合を示し、図1(f)右図は、下地層13を全て金属細線14により置換して、金属細線14を形成したときにおいて有機高分子層15を除去した場合を示す。
図1(f)左図は、下地層13を残存させて、金属細線14を形成したときにおいて有機高分子層15を除去した場合を示し、図1(f)右図は、下地層13を全て金属細線14により置換して、金属細線14を形成したときにおいて有機高分子層15を除去した場合を示す。
最後に金属細線14直下の密着層12および下地層13を残し、溝部16における密着層12および下地層13を除去し、基板11を露出させることで、ワイヤグリッド偏光子10が製造できる。下地層13および密着層12の除去は酸またはアルカリ溶液中に浸漬してウェットエッチングを行うことにより行うことができる。
図1(g)左図は、下地層13を残存させて、金属細線14を形成したときにおいて基板11を露出させた場合を示し、図1(g)右図は、下地層13を全て金属細線14により置換して、金属細線14を形成したときにおいて基板11を露出させた場合を示す。図1(g)左図および右図の両図において、基板11と、基板11上に形成され、互いに略平行な複数の凸部からなるワイヤグリッド偏光子10が製造されていることがわかる。そして、図1(g)左図において凸部は、基板11上に形成される密着層12と、密着層12上に形成される下地層13と、下地層13上に形成される金属細線14とからなるが、図1(g)右図においては、凸部は、基板11上に形成される密着層12と、密着層12上に形成される金属細線14とからなることがわかる。
図1(g)左図は、下地層13を残存させて、金属細線14を形成したときにおいて基板11を露出させた場合を示し、図1(g)右図は、下地層13を全て金属細線14により置換して、金属細線14を形成したときにおいて基板11を露出させた場合を示す。図1(g)左図および右図の両図において、基板11と、基板11上に形成され、互いに略平行な複数の凸部からなるワイヤグリッド偏光子10が製造されていることがわかる。そして、図1(g)左図において凸部は、基板11上に形成される密着層12と、密着層12上に形成される下地層13と、下地層13上に形成される金属細線14とからなるが、図1(g)右図においては、凸部は、基板11上に形成される密着層12と、密着層12上に形成される金属細線14とからなることがわかる。
次に図1(d)で説明した溝部16を有機高分子層15に形成する方法について詳述する。溝部16を有機高分子層15に形成するには、上述の通り電子線リソグラフィ法による方法と、ナノインプリント法による方法が好適に使用できる。
ここでは、まず電子線リソグラフィ法による方法を説明する。電子線リソグラフィ法では、図1において説明をした有機高分子層15として電子線感応性樹脂を使用する。そして、図1(c)で説明した基板11に密着層12、下地層13、有機高分子層15を順に積層した状態で、電子線露光装置を使用して電子線を照射し、溝部16を形成する部分に潜像を形成する。そして、潜像の現像を行うと溝部16を形成することができる。
ここでは、まず電子線リソグラフィ法による方法を説明する。電子線リソグラフィ法では、図1において説明をした有機高分子層15として電子線感応性樹脂を使用する。そして、図1(c)で説明した基板11に密着層12、下地層13、有機高分子層15を順に積層した状態で、電子線露光装置を使用して電子線を照射し、溝部16を形成する部分に潜像を形成する。そして、潜像の現像を行うと溝部16を形成することができる。
図2は、電子線リソグラフィ法により溝部16を有機高分子層15に形成する際に使用される電子線露光装置を説明した図である。
図2に示される電子線露光装置200は、電子線照射手段としての電子光学系を収納する鏡塔210と、試料室220とから構成されている。鏡塔210及び試料室220は、適当な真空装置(図示せず)により真空状態に保たれている。電子光学系は、鏡塔210の内部に取り付けられ、所定の印加電圧(例えば、50kV)により電子線219を放射する熱電子放出型の電子銃211と、放射された電子線219を絞るコンデンサレンズ212と、ビーム変調器218により変調された信号源217の信号によりコンデンサレンズ212により絞られた電子線219の変調を行うブランキング電極213と、ブランキング電極213により偏向された電子線219を遮るアパーチャ214と、電子線219の振幅を制御器226の信号に基づき偏向させる偏向電極215と、電子線219を微小なビーム径に絞り被加工物221上に照射する対物レンズ216と、を備えている。ここで被加工物221は、図1(c)で説明した基板11に密着層12、下地層13、有機高分子層15を順に積層したものが該当する。
図2に示される電子線露光装置200は、電子線照射手段としての電子光学系を収納する鏡塔210と、試料室220とから構成されている。鏡塔210及び試料室220は、適当な真空装置(図示せず)により真空状態に保たれている。電子光学系は、鏡塔210の内部に取り付けられ、所定の印加電圧(例えば、50kV)により電子線219を放射する熱電子放出型の電子銃211と、放射された電子線219を絞るコンデンサレンズ212と、ビーム変調器218により変調された信号源217の信号によりコンデンサレンズ212により絞られた電子線219の変調を行うブランキング電極213と、ブランキング電極213により偏向された電子線219を遮るアパーチャ214と、電子線219の振幅を制御器226の信号に基づき偏向させる偏向電極215と、電子線219を微小なビーム径に絞り被加工物221上に照射する対物レンズ216と、を備えている。ここで被加工物221は、図1(c)で説明した基板11に密着層12、下地層13、有機高分子層15を順に積層したものが該当する。
試料室220中には、被加工物221を水平方向に移動させ、電子線219と被加工物221との水平方向の相対位置を変動させる移動台223とが備えられ、移動台223は、リードスクリュー224を介して、ACサーボモーター225の動力が伝達されている。
図2に示すように、電子銃211から放射された電子線219はコンデンサレンズ212により集束される。ブランキング電極213は、信号源217の信号がビーム変調器218により変調された電場により電子線219の進行方向を偏向し、電子線219のアパーチャ214の通過量を変調する。アパーチャ214を通過した電子線219は、偏向電極215により偏向制御されたのち、対物レンズ216により再度集束された後、被加工物221の表面に照射される。
偏向電極215は、制御器226の振幅制御信号による高周波振動の振幅を制御し、これにより、電子線219の偏向量が制御される。制御器226は、被加工物221に照射される電子線219の被加工物221上の位置に基づく演算を行い、電子線219の偏向量を制御する。
次に、ナノインプリント法により溝部16を有機高分子層15に形成する装置と方法について説明する。
図3は、ナノインプリントを行うインプリント装置について説明した図である。
図3に示したインプリント装置300は、溝部16(図1参照)の転写構造である凹凸構造を表面に有するインプリント用モルド350を被加工物221に押し付けプレスするための駆動装置301と、インプリント用モルド350を支持し固定する支持部302と、被加工物221を保持し固定する保持部303と、保持部303の下部に配置され被加工物221に加わる力を検知する圧力センサ304と、圧力センサ304からの検知信号に基づいて駆動装置301を制御する制御部305とを主要部として備える。ここで被加工物221は、図1(c)で説明した基板11に密着層12、下地層13、有機高分子層15を順に形成したものが該当する。
図3は、ナノインプリントを行うインプリント装置について説明した図である。
図3に示したインプリント装置300は、溝部16(図1参照)の転写構造である凹凸構造を表面に有するインプリント用モルド350を被加工物221に押し付けプレスするための駆動装置301と、インプリント用モルド350を支持し固定する支持部302と、被加工物221を保持し固定する保持部303と、保持部303の下部に配置され被加工物221に加わる力を検知する圧力センサ304と、圧力センサ304からの検知信号に基づいて駆動装置301を制御する制御部305とを主要部として備える。ここで被加工物221は、図1(c)で説明した基板11に密着層12、下地層13、有機高分子層15を順に形成したものが該当する。
また、インプリント装置300は、支持部302を上下動可能に支持する水平部材306aと、保持部303と圧力センサ304とを支持し固定する水平台306bと、水平台306bに固定され水平部材306aを支持する縦部材307とを備える。そして、インプリント装置300は、インプリント用モルド350を加熱する加熱手段として図示しないヒータを支持部302内に備え、プレスのときにインプリント用モルド350を所定温度に昇温させることができる。
このようなインプリント装置300を使用して、被加工物221にインプリントを行うには、まず、被加工物221を保持部303に載置し、支持部302内のヒータに通電することで加熱して、インプリント用モルド350を所定温度に昇温させる。
次に、駆動装置301を駆動し、インプリント用モルド350を被加工物221に接近させ、押し付けてプレスし、所定時間保持してから、インプリント用モルド350を冷却する。この際に、プレス圧が圧力センサ304により計測され、制御部305によりプレス圧を制御する。
そして、十分に冷却後、駆動装置301を駆動し、インプリント用モルド350を被加工物221から離れる方向に移動させ、インプリント用モルド350を被加工物221から離型させる。これにより、インプリント用モルド350の凹凸構造が被加工物221に転写され、インプリントが行われる。
次に、駆動装置301を駆動し、インプリント用モルド350を被加工物221に接近させ、押し付けてプレスし、所定時間保持してから、インプリント用モルド350を冷却する。この際に、プレス圧が圧力センサ304により計測され、制御部305によりプレス圧を制御する。
そして、十分に冷却後、駆動装置301を駆動し、インプリント用モルド350を被加工物221から離れる方向に移動させ、インプリント用モルド350を被加工物221から離型させる。これにより、インプリント用モルド350の凹凸構造が被加工物221に転写され、インプリントが行われる。
図4は、本実施の形態が適用される透過方式の投射型液晶表示装置を説明する図である。
図4に示した透過方式の投射型液晶表示装置である3板式液晶プロジェクタ1は、光源である白色光源30、白色光源30から出射される白色光31の一様化を図るインテグレータレンズ21,22、白色光31をS偏光とP偏光に分離する上述したワイヤグリッド偏光子10、白色光31を波長の異なる光に分離するダイクロイックミラー51,52、波長の異なる光をそれぞれ透過する透過型液晶パネル61,62,63、分離された光を合成するダイクロイックプリズム45、ダイクロイックプリズム45によって合成された光をスクリーン80上に結像させる投影光学系である投射レンズ70を備えている。さらに、光学部品としての、ミラー41,42,43,44、リレーレンズ23,24、コンデンサレンズ25,26,27を有している。また、白色光源30は、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ等の高輝度ランプと高輝度ランプからの光を集光するリフレクタ(楕円鏡)とから構成されている。
図4に示した透過方式の投射型液晶表示装置である3板式液晶プロジェクタ1は、光源である白色光源30、白色光源30から出射される白色光31の一様化を図るインテグレータレンズ21,22、白色光31をS偏光とP偏光に分離する上述したワイヤグリッド偏光子10、白色光31を波長の異なる光に分離するダイクロイックミラー51,52、波長の異なる光をそれぞれ透過する透過型液晶パネル61,62,63、分離された光を合成するダイクロイックプリズム45、ダイクロイックプリズム45によって合成された光をスクリーン80上に結像させる投影光学系である投射レンズ70を備えている。さらに、光学部品としての、ミラー41,42,43,44、リレーレンズ23,24、コンデンサレンズ25,26,27を有している。また、白色光源30は、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ等の高輝度ランプと高輝度ランプからの光を集光するリフレクタ(楕円鏡)とから構成されている。
本実施の形態の3板式液晶プロジェクタ1では、白色光源30からリフレクタにより略平行光に変換された白色光31が出射される。出射された白色光31は、インテグレータレンズ21に入射する。インテグレータレンズ21は、入射した白色光31をマトリックス状に配置された複数のレンズセルで複数の光束に分割して、効率よくインテグレータレンズ22とワイヤグリッド偏光子10を通過するように導く。インテグレータレンズ21と同様に、マトリックス状に配置された複数のレンズセルを持つインテグレータレンズ22は、構成するレンズセルそれぞれが対応するインテグレータレンズ21のレンズセルの形状を透過型液晶パネル61,62,63側に投影する。そして、これらインテグレータレンズ21の各レンズセルの投影像をリレーレンズ23,24、コンデンサレンズ25,26,27により、各透過型液晶パネル61,62,63上に重ね合わせる。その際、白色光31は、ワイヤグリッド偏光子10により同じ方向の直線偏光に揃えられるので、透過型液晶パネル61,62,63での光量のロスを減少させることができる。
また、かかる過程では、ダイクロイックミラー51,52により、白色光源30より出射された白色光31は青色光32、緑色光33、赤色光34の3原色に分離され、それぞれ対応する透過型液晶パネル61,62,63に照射される。なお、ここではダイクロイックミラー51は緑青反射赤透過特性を有し、ダイクロイックミラー52は緑反射青透過特性を有している。
また、かかる過程では、ダイクロイックミラー51,52により、白色光源30より出射された白色光31は青色光32、緑色光33、赤色光34の3原色に分離され、それぞれ対応する透過型液晶パネル61,62,63に照射される。なお、ここではダイクロイックミラー51は緑青反射赤透過特性を有し、ダイクロイックミラー52は緑反射青透過特性を有している。
そして、透過型液晶パネル61,62,63上の画像は、ダイクロイックプリズム45によって色合成され、さらに、投射レンズ70によってスクリ−ン80上へと投射され、大画面映像を得ることができる。
なお、リレーレンズ23,24は、透過型液晶パネル62,63に対して、透過型液晶パネル61の白色光源30から液晶パネル面までの光路長が長くなっていることを補うものである。また、コンデンサレンズ25,26,27はそれぞれ透過型液晶パネル61,62,63を通過した後の光線の広がりを押さえ、投射レンズ70によって効率のよい投射を実現している。
なお、リレーレンズ23,24は、透過型液晶パネル62,63に対して、透過型液晶パネル61の白色光源30から液晶パネル面までの光路長が長くなっていることを補うものである。また、コンデンサレンズ25,26,27はそれぞれ透過型液晶パネル61,62,63を通過した後の光線の広がりを押さえ、投射レンズ70によって効率のよい投射を実現している。
なお上述の例では、投射型液晶表示装置として透過方式のものを例にとって説明したが、これに限られるものではない。例えば、反射方式のものでも本実施の形態のワイヤグリッド偏光子10を好適に使用することができる。
また他に、例えばディスプレイ装置、光ファイバ通信装置、光データ読み取り装置等の各種光学装置に使用することも可能である。
また他に、例えばディスプレイ装置、光ファイバ通信装置、光データ読み取り装置等の各種光学装置に使用することも可能である。
(実施例1)
ガラスよりなる基板11の上に密着層12としてクロム膜をスパッタリング法で10nm形成した。更にこの密着層12の上に下地層13としてニッケルリン合金(Ni0.93P0.07)膜を同様の方法で150nm形成した。このニッケルリン合金膜は、後述する金よりなる金属細線14の成長の出発原料となる。このような組成のニッケル合金を使用することにより、後の無電解めっき法によりニッケルが金に置換する反応の際に、適度に置換速度が抑えられ、金属細線14の厚さの制御が行いやすくなる。
その後、この下地層13の上に有機高分子層15として、フォトレジストをスピンコートを行うことで形成した。そして、図3で説明したインプリント装置300を用いて、インプリント用モルド350をフォトレジストにプレスし、溝部16を形成した。酸素プラズマ処理により、溝部16の底部に残留するフォトレジストを除去し、ニッケルリン合金よりなる下地層13が露出するようにした。その後、1規定の塩酸に浸漬した。引き続き、置換型金属めっき浴に浸漬し、ニッケルリン合金よりなる下地層13の上に金属細線14として、金を成長させた。
その後、酸素プラズマエッチングにより、残存するフォトレジストを除去した。最後に酸溶液に浸漬し、金よりなる金属細線14間に残存する下地層13および密着層12を除去した。
以上の工程により得られたワイヤグリッド偏光子10を走査型電子顕微鏡で観察したところ、基板11上にクロムからなる密着層12およびニッケルリン合金からなる下地層13を介して金からなる金属細線14が直線状かつ略平行に形成されていることが確認できた。
ガラスよりなる基板11の上に密着層12としてクロム膜をスパッタリング法で10nm形成した。更にこの密着層12の上に下地層13としてニッケルリン合金(Ni0.93P0.07)膜を同様の方法で150nm形成した。このニッケルリン合金膜は、後述する金よりなる金属細線14の成長の出発原料となる。このような組成のニッケル合金を使用することにより、後の無電解めっき法によりニッケルが金に置換する反応の際に、適度に置換速度が抑えられ、金属細線14の厚さの制御が行いやすくなる。
その後、この下地層13の上に有機高分子層15として、フォトレジストをスピンコートを行うことで形成した。そして、図3で説明したインプリント装置300を用いて、インプリント用モルド350をフォトレジストにプレスし、溝部16を形成した。酸素プラズマ処理により、溝部16の底部に残留するフォトレジストを除去し、ニッケルリン合金よりなる下地層13が露出するようにした。その後、1規定の塩酸に浸漬した。引き続き、置換型金属めっき浴に浸漬し、ニッケルリン合金よりなる下地層13の上に金属細線14として、金を成長させた。
その後、酸素プラズマエッチングにより、残存するフォトレジストを除去した。最後に酸溶液に浸漬し、金よりなる金属細線14間に残存する下地層13および密着層12を除去した。
以上の工程により得られたワイヤグリッド偏光子10を走査型電子顕微鏡で観察したところ、基板11上にクロムからなる密着層12およびニッケルリン合金からなる下地層13を介して金からなる金属細線14が直線状かつ略平行に形成されていることが確認できた。
(実施例2)
ガラスよりなる基板11の上に密着層12としてクロム膜をスパッタリング法で10nm形成した。更にこの密着層12の上に下地層13として銅膜を同様の方法で150nm形成した。この膜は、後述する銀よりなる金属細線14の成長の出発原料となる。その後、この下地層13の上に有機高分子層15として、フォトレジストをスピンコートを行うことで形成した。そして、図3で説明したインプリント装置300を用いて、インプリント用モルド350をフォトレジストにプレスし、溝部16を形成した。酸素プラズマ処理により、溝部16の底部に残留するフォトレジストを除去し、銅よりなる下地層13が露出するようにした。その後、1規定の硝酸に浸漬した。引き続き、置換型金属めっき浴に浸漬し、銅よりなる下地層13の上に金属細線14として、銀を成長させた。
その後、酸素プラズマエッチングにより、残存するフォトレジストを除去した。最後に酸溶液に浸漬し、銀よりなる金属細線14間に残存する下地層13および密着層12を除去した。
以上の工程により得られたワイヤグリッド偏光子10を走査型電子顕微鏡で観察したところ、基板11上にクロムからなる密着層12および銅からなる下地層13を介して銀からなる金属細線14が直線状かつ略平行に形成されていることが確認できた。
ガラスよりなる基板11の上に密着層12としてクロム膜をスパッタリング法で10nm形成した。更にこの密着層12の上に下地層13として銅膜を同様の方法で150nm形成した。この膜は、後述する銀よりなる金属細線14の成長の出発原料となる。その後、この下地層13の上に有機高分子層15として、フォトレジストをスピンコートを行うことで形成した。そして、図3で説明したインプリント装置300を用いて、インプリント用モルド350をフォトレジストにプレスし、溝部16を形成した。酸素プラズマ処理により、溝部16の底部に残留するフォトレジストを除去し、銅よりなる下地層13が露出するようにした。その後、1規定の硝酸に浸漬した。引き続き、置換型金属めっき浴に浸漬し、銅よりなる下地層13の上に金属細線14として、銀を成長させた。
その後、酸素プラズマエッチングにより、残存するフォトレジストを除去した。最後に酸溶液に浸漬し、銀よりなる金属細線14間に残存する下地層13および密着層12を除去した。
以上の工程により得られたワイヤグリッド偏光子10を走査型電子顕微鏡で観察したところ、基板11上にクロムからなる密着層12および銅からなる下地層13を介して銀からなる金属細線14が直線状かつ略平行に形成されていることが確認できた。
(実施例3)
ガラスよりなる基板11の上に密着層12としてクロム膜をスパッタリング法で10nm形成した。更にこの密着層12の上に下地層13としてニッケルリン合金(Ni0.93P0.07)膜を同様の方法で150nm形成した。その後、この下地層13の上に有機高分子層15として、電子線感応性樹脂をスピンコートを行うことで形成した。そして、図2で説明した電子線露光装置200を用いて電子線を照射し、溝部16を形成する部分に潜像を形成した。電子線照射が完了した基板11をホットプレートで加熱した。これを現像液で現像し溝部16を形成した。これを再度ホットプレートで加熱し、1規定の塩酸に浸漬した。引き続き、置換型金属めっき浴に浸漬し、溝部16の底部に露出したニッケルリン合金よりなる下地層13の上に金属細線14として、金を成長させた。
その後、酸素プラズマエッチングにより、残存する電子線感応性樹脂を除去した。最後に酸溶液に浸漬し、金よりなる金属細線14間に残存する下地層13および密着層12を除去した。
以上の工程により得られたワイヤグリッド偏光子10を走査型電子顕微鏡で観察したところ、基板11上にクロムからなる密着層12およびニッケルリン合金からなる下地層13を介し金からなる金属細線14が直線状かつ略平行に形成されていることが確認できた。
ガラスよりなる基板11の上に密着層12としてクロム膜をスパッタリング法で10nm形成した。更にこの密着層12の上に下地層13としてニッケルリン合金(Ni0.93P0.07)膜を同様の方法で150nm形成した。その後、この下地層13の上に有機高分子層15として、電子線感応性樹脂をスピンコートを行うことで形成した。そして、図2で説明した電子線露光装置200を用いて電子線を照射し、溝部16を形成する部分に潜像を形成した。電子線照射が完了した基板11をホットプレートで加熱した。これを現像液で現像し溝部16を形成した。これを再度ホットプレートで加熱し、1規定の塩酸に浸漬した。引き続き、置換型金属めっき浴に浸漬し、溝部16の底部に露出したニッケルリン合金よりなる下地層13の上に金属細線14として、金を成長させた。
その後、酸素プラズマエッチングにより、残存する電子線感応性樹脂を除去した。最後に酸溶液に浸漬し、金よりなる金属細線14間に残存する下地層13および密着層12を除去した。
以上の工程により得られたワイヤグリッド偏光子10を走査型電子顕微鏡で観察したところ、基板11上にクロムからなる密着層12およびニッケルリン合金からなる下地層13を介し金からなる金属細線14が直線状かつ略平行に形成されていることが確認できた。
(実施例4)
実施例1において、下地層13として成膜するニッケルリン合金(Ni0.93P0.07)膜の厚みを70nmとした以外は実施例1と同様の操作を行った。
以上の操作により得られたワイヤグリッド偏光子10を走査型電子顕微鏡で観察したところ、基板11上にクロムからなる密着層12を介して金からなる金属細線14が直線状かつ略平行に形成されていることが確認できた。
実施例1において、下地層13として成膜するニッケルリン合金(Ni0.93P0.07)膜の厚みを70nmとした以外は実施例1と同様の操作を行った。
以上の操作により得られたワイヤグリッド偏光子10を走査型電子顕微鏡で観察したところ、基板11上にクロムからなる密着層12を介して金からなる金属細線14が直線状かつ略平行に形成されていることが確認できた。
(比較例1)
実施例1において、クロムからなる密着層12を形成しなかった以外は実施例1と同様の操作を行った。
以上の操作により得られた試料を走査型電子顕微鏡で観察したところ、基板11上にニッケル膜は認められず、金が直線状ではなく不均一に付着していた。
実施例1において、クロムからなる密着層12を形成しなかった以外は実施例1と同様の操作を行った。
以上の操作により得られた試料を走査型電子顕微鏡で観察したところ、基板11上にニッケル膜は認められず、金が直線状ではなく不均一に付着していた。
1…3板式液晶プロジェクタ、10…ワイヤグリッド偏光子、11…基板、12…密着層、13…下地層、14…金属細線、15…有機高分子層
Claims (11)
- 透明基板上に密着層と下地層と有機高分子層とを順に積層する工程と、
前記有機高分子層に互いに略平行になるように複数の溝部を形成する工程と、
前記溝部に金属細線を形成する工程と、
前記有機高分子層を除去する工程と、
を含むことを特徴とするワイヤグリッド偏光子の製造方法。 - 前記溝部に前記金属細線を形成する工程は、無電解めっきにより下地層に含まれる金属成分を当該金属細線に含まれる金属成分に置換することにより行うことを特徴とする請求項1に記載のワイヤグリッド偏光子の製造方法。
- 前記xは、0.05≦x≦0.15であることを特徴とする請求項3に記載のワイヤグリッド偏光子の製造方法。
- 前記有機高分子層に互いに略平行になるように複数の前記溝部を形成する工程は、ナノインプリント法または電子線描画法により行うことを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載のワイヤグリッド偏光子の製造方法。
- 前記有機高分子層を除去する工程の後に、前記溝部の底部に残存した前記密着層および前記下地層を除去する工程を更に含むことを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載のワイヤグリッド偏光子の製造方法。
- 前記密着層は、Cr、Ti、Al、Wから選ばれる少なくとも1つの金属を含むことを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載のワイヤグリッド偏光子の製造方法。
- 前記金属細線は、Au、Ag、Alから選ばれる少なくとも1つの金属を含むことを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載のワイヤグリッド偏光子の製造方法。
- 透明基板と、
前記透明基板上に形成され、互いに略平行な複数の凸部とからなり、
前記凸部は、前記透明基板上に形成される金属を含む密着層と、
前記密着層上に形成される金属を含む下地層と、
前記下地層上に形成される金属細線と、
からなることを特徴とするワイヤグリッド偏光子。 - 前記密着層と前記下地層の合計の厚さは、前記金属細線の厚さより薄いことを特徴とする請求項9に記載のワイヤグリッド偏光子。
- 光源と、
前記光源からの光を偏光分離するワイヤグリッド偏光子と、
前記ワイヤグリッド偏光子により偏光された光を透過または反射する液晶表示素子と、
前記液晶表示素子を透過または反射した光をスクリーンに投射する投射光学系とを備え、
前記ワイヤグリッド偏光子は、
前記光源からの光に対し透明な基板と、
前記基板上に形成され、金属を含む密着層と金属を含む下地層と金属細線とが順に積層した互いに略平行な複数の凸部と、
からなることを特徴とする投射型液晶表示装置。
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