JP2009223063A - 光モジュール - Google Patents

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Abstract

【課題】大幅に小型化され、光接続と電気接続の両方を配線基板面に対して垂直に着脱することが可能であり、しかも簡易なコネクタ形状で光伝送体を効果的に保持することができ、低コストで製造可能な光モジュールを提供する。
【解決手段】光伝送体を保持する保持部材6等を備えた上部構造体5と、配線基板70上に配置され、配線基板70に対して垂直方向へ着脱自在に電気的に接続される光素子搭載基板30と、配線基板70上に設けられ、光素子搭載基板30の光素子40に対して上部構造体5の光伝送路が光学的に接続される装着体とを備え、上部構造体5の保持部材6は下側部材20と上側部材10とから構成され、下側部材20は円弧状に連続した曲面を有する保持部201を備え、上側部材10は下側部材20の保持部201の曲面に対応した曲面または当該曲面に断面V字状のガイド溝が形成されている曲面を有する案内部101を備えている。
【選択図】図1

Description

本発明は、光モジュールに関するものである。
光を情報伝送媒体とする光通信分野においては、光ファイバ等により伝送される光信号を受信または送信するため、光信号と電気信号とを相互に変換する光素子を備えた光モジュールが用いられている。電気信号から光信号への変換には、垂直共振器表面発光レーザ(Vertical cavity surface-emitting Laser:VCSEL)に代表される面発光素子が用いられ、光信号から電気信号への変換には、PINフォトダイオードに代表される面受光素子が用いられており、これらの光素子は基板に対して電気的に接続され、光ファイバ等は光素子に対して光学的に接続される。
このような光モジュールは、配線基板(プリント配線板あるいはボード)上において光ファイバ等の光配線をする際の作業性や、保守交換の容易性などの点から、光ファイバ等の光伝送体がコネクタを介して着脱可能であることが望ましい。
また、光素子に光ファイバ等を着脱する場合、配線基板に対して水平方向に着脱する構造にすると、光素子を搭載した部品の周辺に光ファイバ等を着脱する作業用のスペースを設けざるを得ないことから、そのスペースには他の部品を実装できず、実装密度を上げられないという問題がある。したがって、光ファイバ等の着脱は配線基板に対して垂直方向に行うことができることが望ましい。
従来、このような要求に対応するものとして、光素子をその受発光面が配線基板に対して水平になるように搭載すると共に、光ファイバ等の端面に反射ミラー等を設けて光軸を垂直に変換したコネクタを用いることで、光ファイバ等と光素子とを垂直方向へ着脱自在に光学的に接続する光モジュールが提案されている(特許文献1参照)。
特開2006−65358号公報
しかし、光素子は、たとえばドライバ集積回路装置などを共に搭載した基板あるいはパッケージ等の部品全体として配線基板上に実装され、このような部品を配線基板上のパッドに対して電気的に接続する形態として一般的なものとしては、BGA(Ball Grid Array)などのはんだボールのリフローによる接続などがあるが、このようなはんだ接続による方法では、多くの他の部品が実装されている配線基板上において光素子を搭載した部品に修理交換が必要となったときに、当該部品の交換が困難であり、あるいは交換作業が煩雑になるという問題があった。また、光ファイバ等の光軸を垂直に変換するコネクタは、光ファイバ等の形状に合わせて準備する必要があり、このために各種のコネクタを準備する必要があった。
このように、保守交換等の作業性および配線基板上の実装密度の確保の点から、光接続のみならず電気接続も配線基板に対して垂直に着脱できる構造が望まれている。また、コネクタ形状をできるだけ簡易なものとし、光ファイバ等を確実に保持できる構造も望まれている。さらに、実装密度の向上等の点から光モジュール自体のさらなる小型化も望まれており、これらの要求を満足する製品を低コストで製造することも望まれている。
本発明は、以上の通りの事情に鑑みてなされたものであり、大幅に小型化され、光接続と電気接続の両方を配線基板面に対して垂直に着脱することが可能であり、しかも簡易なコネクタ形状で光伝送体を効果的に保持することができ、低コストで製造可能な光モジュールを提供することを課題としている。
本発明は以下のことを特徴としている。
第1には、光信号を伝送する光伝送路と、光信号を電気信号に変換し、または電気信号を光信号に変換する光素子とを光学的に接続する光モジュールであって、光伝送路を形成する光伝送体および当該光伝送体を保持する保持部材を備えた上部構造体と、配線基板上に配置され、配線基板に対して垂直方向へ着脱自在に電気的に接続される光素子搭載基板と、配線基板上に設けられ、上部構造体が垂直方向へ着脱自在に装着され、上部構造体を装着することにより、光素子搭載基板の光素子に対して上部構造体の光伝送路が光学的に接続される装着体とを備えており、上部構造体の保持部材は下側部材と上側部材とから構成され、下側部材は外部側の光軸と光素子側の光軸が垂直になるように光伝送体を保持する円弧状に連続した平滑な曲面を上面に有する保持部を備え、上側部材は下側部材の保持部の曲面に対応した曲面または当該曲面に断面V字状のガイド溝が円弧状に形成されている曲面を下面に有する案内部を備え、光伝送体は下側部材の保持部と上側部材の案内部で挟持され保持されることを特徴とする。
第2には、第1の発明において、光伝送体は上下面が略平坦に形成されているテープ型光ファイバまたはフィルム状光導波路であり、下側部材の保持部および当該保持部の曲面に対応した曲面を下面に有する上側部材の案内部で前記光伝送体が挟持され保持されていることを特徴とする。
第3には、第1の発明において、光伝送体は断面視で略円形状に樹脂で被覆された光ファイバであり、下側部材の保持部および断面V字状のガイド溝が形成されている曲面を下面に有する上側部材の案内部で前記光伝送体が挟持され保持されていることを特徴とする。
第1から第3の発明によれば、上部構造体の光伝送路の光軸を外部側の水平方向から光素子側の垂直下向き方向に変換し、配線基板上の装着部材に対して垂直方向に着脱自在とすると共に、配線基板上に光素子搭載基板を載置する構造としており、上部構造体を装着部材に装着することにより、配線基板上に載置された光素子搭載基板に対して上部構造体が位置決めされて上部構造体の光伝送路と光素子搭載基板の光素子とが光学的に接続される。
したがって、光接続と電気接続の両方が配線基板面に対して垂直に着脱することができ、保守交換等の際に光学的にも電気的にも切り離しが可能であるため、保守交換等が容易であり、さらに、光素子搭載基板が配置される周囲に着脱のための作業用のスペースを設ける必要がなく、配線基板上の実装密度を上げることができると共に、高密度に部品が実装されている中で、ユーザが配線基板上に光モジュールを配置する場所の選択性、拡張性を高めることができる。しかも、上記の構造とすることで光モジュールを全体として大幅に小型化することができ、低コストで光モジュールを製造することができる。
さらに、上部構造体の保持部材について、下側部材は外部側の光軸と光素子側の光軸が垂直になるように光伝送体を保持する円弧状に連続した平滑な曲面を上面に有する保持部を備え、上側部材は下側部材の保持部の曲面に対応した曲面を下面に有する案内部を備えていることにより、たとえば光伝送体が上下面が平坦なテープ型光ファイバやフィルム状光導波路等である場合、下側部材の滑らかな曲面を上面に有する保持部とこれに対応する滑らかな曲面を下面に有する上側部材の案内部で光伝送体を挟み込むことで、光伝送体が円弧状に曲げられた状態で確実に保持される。
また、上部構造体の保持部材について、上側部材は下側部材の保持部の曲面に対応した曲面に断面V字状のガイド溝が円弧状に形成されている曲面を下面に有する案内部を備えていることにより、たとえば光伝送体が断面視で略円形状に樹脂で被覆された光ファイバである場合、上側部材の案内部に形成された断面V字状のガイド溝に光伝送体を配置した状態で下側部材の保持部と上側部材の案内部で光伝送体を挟み込むことで、光伝送体が円弧状に曲げられた状態で確実に保持される。
したがって、上記発明によれば、光伝送体が上部構造体の保持部材で保持された状態においては、外部側の光軸と光素子側の光軸が垂直に連続した光伝送路を形成され、しかも光伝送体と光素子搭載基板の光素子を効果的に光接続することができる。また上記発明は、光伝送体の形状に応じて光伝送体を効果的に保持することができるものであるが、上部構造体の保持部材における下側部材は光伝送体の形状にかかわらず同じ構造とすることができるので、光伝送体の形状に応じて構造の異なる下側部材の準備等は不要である。したがって、低コストで光モジュールを製造することができる。
本明細書において、「光伝送体」には、ガラス製、樹脂製等の光ファイバ、樹脂製等の光導波路などが含まれる。「光素子」には、単一の受発光面を有するものの他、複数の受発光面がアレイ状等に配置された一体のものが含まれる。光素子の具体例としては、VCSEL等の面発光素子、PINフォトダイオード等の面受光素子が挙げられるが、これら面発光素子および面受発光素子の受発光面がアレイ状に配置された一体のものであってもよい。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。図1および図2は、本発明の一実施形態における光モジュールを示す斜視図であり、図1は光接続および電気接続を切り離した状態、図2は光接続および電気接続をした状態を示している。
図1に示すように、本実施形態の光モジュール1は、光ファイバ7が保持部材6により保持された上部構造体5と、光素子40を搭載した光素子搭載基板30と、異方導電性シート60と、配線基板70(プリント配線板あるいはボード)上に固定された嵌合部材50とを備えている。
この光モジュール1は、配線基板70上の嵌合部材50内の開口部51に異方導電性シート60を配置し、その上に光素子搭載基板30を配置し、さらにその上から上部構造体5を垂直に嵌めこんで図2に示すように装着することにより、上部構造体5の光ファイバ7と光素子搭載基板30の光素子40が光学的に接続し、光素子搭載基板30と配線基板70が異方導電性シート60を介して電気的に接続されるようになっている。図2に示す装着状態の光モジュール1は、全体として、たとえば幅10mm×10mm、厚さ6.4mmのコンパクトなサイズのモジュールを構成している。
図3(a)は上部構造体5の上面図、図3(b)は下面図、図3(c)は側面図である。上部構造体5は、樹脂製の保持部材6の背面から、複数本(本実施形態では12本)の光ファイバ7が並列したテープファイバ8が保持部材6内に水平に入り込み、保持部材6内で光ファイバ7が円弧状に曲げられて図3(b)に示すように光ファイバ7の端面7aが保持部材6の下面から垂直に露出した構造を有している。
保持部材6の上面における光ファイバ7と平行な両側周縁部には、当該周縁部に沿ってテーパ面を成す一対の肩部12が設けられており、図1の嵌合部材50内に嵌め込んで装着したときに嵌合部材50の上部に設けられた一対の突条部52が保持部材6の肩部12に当接して下方に押圧するようになっている。
また、図3(b)に示すように、保持部材6の下面における前方側には、保持部材6の両側面側の対称位置に2つの位置決め穴11が設けられており、図1の嵌合部材50内に嵌め込んで装着したときに、光素子搭載基板30に立設された位置決めピン42が保持部材6の位置決め穴11に挿入されて上部構造体5と光素子搭載基板30とが水平方向に位置決めされるようになっている。
保持部材6は、図4(a)および図4(b)に示すように上側部材10と下側部材20とから構成されており、上側部材10の案内部101と下側部材20の保持部201によって光ファイバ等の光伝送体を挟み込み、光伝送体が円弧状に曲げられた状態で保持されるようになっている。具体的には、図4(a)に示すように、下側部材20は円弧状に連続した曲面を上面に有する保持部201を備えており、滑らかな曲面とされている。この保持部201は、光伝送体の外部側の光軸と光素子側の光軸が垂直になるように保持するものである。一方、上側部材10は、下側部材20の円弧状の曲面に対応した曲面を下面に有する案内部101を備えている。この案内部101の曲面は下側部材20の保持部201の曲面と同様に滑らかな面とされていてもよいし、断面V字状のガイド溝14がその円弧状の曲面に沿って形成されていてもよい。図4(b)は、上側部材10の案内部101の曲面に、断面V字状のガイド溝14がその円弧状の曲面に沿って複数本平行に形成されている。保持部材6で保持する光伝送体が、たとえば断面視で略円形状に樹脂で被覆されている光ファイバである場合、これらのガイド溝14のそれぞれに光ファイバが1本ずつ配置され、ガイド溝14に沿って光ファイバが円弧状に曲げられて案内されるようになっている。ガイド溝14の数は保持部材6で保持される光ファイバの数に一致するように形成される。
図5(a)は、上部構造体5の要部断面図であり、断面視で略円形状に樹脂90で被覆されている光ファイバ7が保持部材6の上側部材10の案内部101と下側部材20の保持部201によって挟持され保持されている状態を示している。この図5(a)に示すように、上側部材10の案内部101の下面にはガイド溝14がV字状に形成されており、下側部材20の保持部201の上面は滑らかな面とされている。上側部材10の案内部101の下面のガイド溝14のそれぞれに光ファイバ7が1本ずつ配置され、下側部材20の保持部201の上面が上側部材10の案内部101の下面と相対するように下側部材20が上側部材10に装着される。このように光ファイバ7は上側部材10の案内部101と下側部材20の保持部201によって挟持され保持されると、光ファイバ7は図5(a)の図面に対して左右方向に位置ずれすることなく固定されるため、光ファイバ7と光素子搭載基板の光素子を効果的に光接続することができる。
図4(c)は、上側部材10の案内部101が下側部材20の円弧状の曲面に対応した曲面を下面に有している例である。この案内部101の下面の曲面は滑らかな面とされており、断面V字状のガイド溝14が形成されている図4(b)の上側部材10の案内部101の曲面とは構造が異なる。上側部材10と下側部材20とが装着された状態においては、上側部材10の案内部101と下側部材20の保持部201との間には所定の厚さの隙間が形成され、これに光伝送体が保持される。このような構造の保持部材6で保持される光伝送体は、好適には、上下面が平坦なテープ型光ファイバやフィルム状光導波路等である。図5(b)および(c)は上部構造体5の要部断面図であり、(b)はテープ型光ファイバ80が保持されている状態を示しており、(c)はフィルム状光導波路81が保持されている状態を示している。図5(b)におけるテープ型光ファイバ80は、断面視で略円形状に樹脂90で被覆されている光ファイバ7が4本あり、さらにそれら4本の光ファイバ7の周囲が樹脂91で覆われて上下面が平坦となっている。図5(c)におけるフィルム状光導波路81は、芯状のコア(導波路)82がクラッド83で取り囲まれて上下面が平坦となっている。いずれも場合も、下側部材20の滑らかな曲面を上面に有する保持部201とこれに対応する滑らかな曲面を下面に有する上側部材10の案内部101とでテープ型光ファイバ80やフィルム状光導波路81等の光伝送体が挟み込まれている。これにより、光伝送体が円弧状に曲げられた状態で確実に保持され、光伝送体と光素子搭載基板の光素子を効果的に光接続することができる。
このように光伝送体の形状に応じて保持部材6の上側部材10の構造を選択することで光伝送体を効果的に保持することができる。一方、保持部材6の下側部材20は光伝送体の形状にかかわらず同じ構造とすることができるので、光伝送体の形状に応じた構造の異なる下側部材20を準備する必要がない。したがって、構造の異なる下側部材20の製造とそのための管理等が不要になり、部品の共通化が図られ低コストで光モジュールを製造することができる。
上部構造体5の組み立ては、上側部材10の両側面部に設けられた2つの係合穴13に下側部材20の両側面部に設けられた2つの係合爪21を係合させることにより上側部材10と下側部材20を互いに固定させることができる。この際、たとえば、上側部材10が図4(b)に示したように案内部101に断面V字状のガイド溝14が形成されている構造の場合、光ファイバ7を上側部材10の案内部101のガイド溝14に沿って配置し、複数の光ファイバ7の端面7aを治具等を用いて揃えた後に、上側部材10と下側部材20を互いに固定させるようにしてもよい。このようにして作製された上部構造体5の上側部材10、光ファイバ7、および下側部材20の配置状態を図6(a)および図6(b)に示す。
図6(b)に示すように、保持部材6に保持された光ファイバ7は、円弧状に曲げられることにより、水平な外部側光軸65aから下方へ向かう光素子側光軸65bへ光軸方向が変換されている。円弧部分の曲率半径Rは、たとえば1〜3mmと小さく、上部構造体5の上下方向が低背化され、かつ、水平方向も小型化されている。
このように光ファイバ7の円弧部分の曲率半径Rを小さくするために、光ファイバ7として直径80μmのガラスファイバを用いている。一般的に多く用いられているガラスファイバの直径は125μmであるが、このような細径のガラスファイバを用いることで、信号光の外部への漏れを抑制することができる。また、光ファイバ7の強度を確保し、位置ずれを抑制するために、ガラスファイバの外周部に厚さ22.5μmの樹脂被覆を設けている。
なお、図4(c)に示したように上側部材10の案内部101が滑らかな曲面である場合の上部構造体5の組み立て等の説明については、光ファイバ7を上側部材10の案内部101のガイド溝14に沿って配置するという点を除いて上記した上部構造体5の組み立て等の説明と同様であるので省略する。
図7は、光素子搭載基板30の上面側斜視図である。同図に示す光素子搭載基板30は
、外周部に沿って壁部32が立設された箱状のセラミック基板31を備えており、セラミック基板31上の前方側の位置には光ファイバ7と同数の光素子40が並んで搭載されている。これらの複数の光素子40は、面発光素子のVCSELと面受光素子のPINフォトダイオードから構成されている。壁部32の上面32aは光学的基準面を構成しており、上部構造体5の下面に当接することにより、光ファイバ7の端面7aと光素子40とが垂直方向に位置決めされる。
セラミック基板31上における光素子40の後方には、光素子40のドライバ集積回路装置41が搭載されており、光素子40とドライバ集積回路装置41はボンディングワイヤによって接続されている。その他、セラミック基板31上には他の電子部品が搭載されていると共に、セラミック基板31上の電子部品は、プリント配線33等から、図示はしないが、セラミック基板31を貫通するスルーホールを介して、セラミック基板31の裏面に設けられたピッチ500μm、直径300〜350μm、高さ10μmのパッド電極に電気的に接続されている。
セラミック基板31上における光素子40の両側の位置には、突出高さ2mm、突出部分の直径0.7mmの一対の位置決めピン42が立設されており、これらの位置決めピン42が上部構造体5の位置決め穴13に挿入されることにより光素子搭載基板30と上部構造体5が水平方向に位置決めされるようになっている。
図8(a)は、嵌合部材50を上方側から見た斜視図、図8(b)は下方側から見た斜視図、図9(a)は上面図、図9(b)は下面図である。嵌合部材50は、金属等の剛性および弾性を有する材料から形成されており、その底部には略正方形の開口部51が設けられている。開口部51の左右の辺は垂直に折り曲げられて上方に延び、その上端部には内方に突出した突条部52が形成されている。
嵌合部材50の側面部には、開口部51の4辺それぞれの中央部から垂直に折り曲げられて上方に延びる側板部53が立設されている。これらの側板部53は、上部構造体5を装着したときに保持部材6の外周部が当接して上部構造体5の水平方向の位置を規制し、これにより、光素子搭載基板30の位置決めピン42が上部構造体5の位置決め穴11に挿入されることで上部構造体5に対して位置決めされた光素子搭載基板30を、間接的に、配線基板70に対して水平方向に、光素子搭載基板30の裏面電極と配線基板70のパッドが重なる適切な精度、たとえば50〜100μm以下の精度で位置決めされる。
嵌合部材50の下面には、4隅の近傍の対称位置に突起部54が設けられており、嵌合部材50は配線基板70に対して突起部54で当接して絶縁性接着剤などを用いて固定されている。これにより、嵌合部材50の下面と配線基板70の上面とが所定間隔、たとえば150μm程度もしくはそれ以上の間隔をおいて離間するようになっている。金属などの導電性材料で形成された嵌合部材50を配線基板70に対して面接触で固定した場合、電気的な反射やノイズなどにより配線基板70上の信号伝送に影響し、それにより光モジュール1の動作性能に影響する場合があるが、突起部54を設けて嵌合部材50の下面と配線基板70の上面とを離間させることにより、これらの影響を回避することができる。
図1の異方導電性シート60は、加圧によって垂直方向への導通が確保されるものであり、特に制限なく各種のものを用いることができるが、たとえばシリコーンゴムなどの弾性をもつ絶縁性基材に、金属等の導電性粒子が分散されたもの、あるいは導電性の線材を埋設したものなどを用いることができる。絶縁性基材上に導電性のパッドが設けられたものを用いるようにしてもよい。異方導電性シート60の厚さは、たとえば0.1〜1mmである。
以上の構成を備えた光モジュール1を図1のように光接続および電気接続が切り離された状態から図2のように光接続および電気接続をした状態に組み立てる際には、まず図1の配線基板70上に固定された嵌合部材50の開口部51内に異方導電性シート60を配置する。次いでその上に光素子搭載基板30を配置し、さらにその上から上部構造体5を嵌合部材50に垂直に嵌め込む。
このとき、光素子搭載基板30の位置決めピン42が上部構造体5の位置決め穴11に挿入されて、光素子搭載基板30に対して上部構造体5が水平方向に所定の精度、たとえば3〜5μmの精度で位置決めされると共に、保持部材6の側面が側板部53に規制されて、光素子搭載基板30が配線基板70に対して間接的に水平方向に位置決めされる。配線基板70上には、ピッチ500μm、直径300〜350μm、高さ100μmのはんだバンプが形成されており、これらのはんだバンプに対して、光素子搭載基板30の下面に設けられたピッチ500μm、直径300〜350μm、高さ10μmの裏面電極が位置合わせされる。
そして、嵌合部材50の弾性により上部構造体5は下方に押圧され、これにより異方導電性シート60が加圧されて導通状態となる。これにより、異方導電性シート60を介して光素子搭載基板30の裏面電極と配線基板70上のはんだバンプとが電気的に接続される。
また、光素子搭載基板30の位置決めピン42が上部構造体5の位置決め穴11に挿入されることにより、図10の断面図に示すように光ファイバ7の端面7aと、光素子40との水平方向の位置決めがされると共に、保持部材6の下面6aと光素子搭載基板30の壁部32の上面32aとが当接することにより、光ファイバ7の端面7aと、光素子40との垂直方向の位置決めがされて、これらが光学的に接続される。
このようにして、光モジュール1は図2に示す状態で垂直方向へ電気的および光学的に接続され、光ファイバ7を通じて外部との間で伝送される光信号の送受信が可能な状態とされる。
そして、たとえば保守交換時などにおいては、上部構造体5を嵌合部材50から垂直に抜き出すことで光接続を容易に切り離すことができ、次いで光素子搭載基板30を異方導電性シート60上から垂直に取り出すことで電気接続を容易に切り離すことができる。
以上に、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記の実施形態に何ら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内において各種の変更が可能である。たとえば、上記の実施形態では、嵌合部材50を用いて上部構造体5を垂直方向へ着脱自在に装着し、光素子搭載基板30の光素子40に対して上部構造体5の光伝送路を光学的に接続するようにしたが、このような機能を有する装着体として、たとえば配線基板70に嵌合穴を設けると共に、上部構造体5にラッチ構造を設けて、上部構造体5のラッチ構造を、装着体である配線基板70の嵌合穴に嵌合させて装着するようにしてもよい。
図1は、本発明の一実施形態における光モジュールを示す斜視図であり、光接続および電気接続を切り離した状態を示す。 図2は、図1の光モジュールにおける光接続および電気接続をした状態を示す斜視図である。 図3は、上部構造体を示した図であり、(a)は上面図、(b)は下面図、(c)は側面図である。 図4は、保持部材の上側部材および下側部材を示した図であり、(a)は上面側の斜視図、(b)は下面側の斜視図であり、(c)は別の実施形態である保持部材の下側部材の下面側の斜視図である。 図5は、上部構造体の要部断面図であり、(a)は光ファイバが保持部材で保持されている状態を示した断面図であり、(b)はテープ型光ファイバが保持されている状態を示した断面図であり、(c)はフィルム状光導波路が保持されている状態を示した断面図である。 図6は、上部構造体の上側部材、光ファイバ、および下側部材の配置状態を示した図であり、(a)は斜視図、(b)は断面図である。 図7は、光素子搭載基板の斜視図である。 図8は、嵌合部材を示した図であり、(a)は上方側から見た斜視図、(b)は下方側から見た斜視図である。 図9は、嵌合部材を示した図であり、(a)は上面図、(b)は下面図である。 図10は、上部構造体と光素子搭載基板とが光接続された状態を示す断面図である。
符号の説明
1 光モジュール
5 上部構造体
6 保持部材
6a 下面
7 光ファイバ
7a 端面
8 テープファイバ
10 上側部材
101 案内部
11 位置決め穴
12 肩部
13 係合穴
14 ガイド溝
20 下側部材
201 保持部
21 係合爪
30 光素子搭載基板
31 セラミック基板
32 壁部
32a 上面
33 プリント配線
40 光素子
41 ドライバ集積回路
42 位置決めピン
50 嵌合部材
51 開口部
52 突条部
53 側板部
54 突起部
60 異方導電性シート
65a 外部側光軸
65b 光素子側光軸
70 配線基板
80 テープ型光ファイバ
81 フィルム状光導波路
82 コア
83 クラッド
90,91 樹脂

Claims (3)

  1. 光信号を伝送する光伝送路と、光信号を電気信号に変換し、または電気信号を光信号に変換する光素子とを光学的に接続する光モジュールであって、光伝送路を形成する光伝送体および当該光伝送体を保持する保持部材を備えた上部構造体と、配線基板上に配置され、配線基板に対して垂直方向へ着脱自在に電気的に接続される光素子搭載基板と、配線基板上に設けられ、上部構造体が垂直方向へ着脱自在に装着され、上部構造体を装着することにより、光素子搭載基板の光素子に対して上部構造体の光伝送路が光学的に接続される装着体とを備えており、上部構造体の保持部材は下側部材と上側部材とから構成され、下側部材は外部側の光軸と光素子側の光軸が垂直になるように光伝送体を保持する円弧状に連続した平滑な曲面を上面に有する保持部を備え、上側部材は下側部材の保持部の曲面に対応した曲面または当該曲面に断面V字状のガイド溝が円弧状に形成されている曲面を下面に有する案内部を備え、光伝送体は下側部材の保持部と上側部材の案内部で挟持され保持されることを特徴とする光モジュール。
  2. 光伝送体は上下面が略平坦に形成されているテープ型光ファイバまたはフィルム状光導波路であり、下側部材の保持部および当該保持部の曲面に対応した曲面を下面に有する上側部材の案内部で前記光伝送体が挟持され保持されていることを特徴とする請求項1に記載の光モジュール。
  3. 光伝送体は断面視で略円形状に樹脂で被覆された光ファイバであり、下側部材の保持部および断面V字状のガイド溝が形成されている曲面を下面に有する上側部材の案内部で前記光伝送体が挟持され保持されていることを特徴とする請求項1に記載の光モジュール。
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