JP2009221129A - アシルチオ尿素化合物の製造方法及びn,n−ジアルキルチオ尿素化合物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】一般式(1)のチオシアナート化合物と、一般式(3)のハロゲン化蟻酸エステル化合物とを溶媒パラメーター(AN+DN)が30以上の有機溶媒中で複素芳香族化合物の存在下で反応させた後、一般式(4)の2級アミノ化合物を反応させで、一般式(5)のアシルチオ尿素化合物を製造する。また更に、該アシルチオ尿素化合物を、塩基性条件下において加水分解して一般式(6)のN,N−ジアルキルチオ尿素化合物を製造する。一般式(1):MSCN;一般式(3):R5OCOX;一般式(4):HNR6R7;一般式(5):R5OCONHC(S)NR6R7;一般式(6):H2NC(S)NR6R7(R5はC1〜6のアルキル基等、R6及びR7はC1〜6のアルキル基等、Xはハロゲン原子を表す。)
【選択図】なし
Description
しかしながら、これらの方法で2級アミンを反応させたところ、収率が不十分であり、さらに、水溶媒中では加水分解を防ぐ為に低温で反応を行うため反応に長時間を要するといった生産性上の問題があった。
J.Org.Chem.,21,483(1956) J.Chem.Soc.Perkin Trans I,2,147(1984) J.Chem.Soc.Perkin Trans I,12,3243(1990) J.Org.Chem.,55,5230(1990)
<1> 下記一般式(1)で表されるチオシアナート化合物と、下記一般式(3)で表されるハロゲン化蟻酸エステル化合物とを溶媒パラメーター(AN+DN)が30以上である有機溶媒中で複素芳香族化合物の存在下で反応させた後、下記一般式(4)で表される第2級アミノ化合物を反応させることを特徴とする下記一般式(5)で表されるアシルチオ尿素化合物の製造方法である。
一般式(1):MSCN
一般式(1)中、Mは金属イオンまたは、下記一般式(2)で表されるアンモニウムイオンを表す。
一般式(2):+NR1R2R3R4
一般式(2)中、R1、R2、R3、及びR4は、互いに独立に、水素原子または炭素数1〜8のアルキル基またはアリール基を表す。または、R1、R2、R3、及びR4のいずれか複数が互いに結合して窒素原子を含む環を形成しても良い。
一般式(3):R5OCOX
一般式(3)中、Xはハロゲン原子を表し、R5は炭素数1〜6のアルキル基またはアリール基を表す。
一般式(4):HNR6R7
一般式(4)中、R6、R7は、互いに独立に、炭素数1〜8のアルキル基またはアリール基を表す。または、R6とR7が結合して窒素原子を含む環を形成しても良い。
一般式(5):R5OCONHC(S)NR6R7
一般式(5)中、R5は前記一般式(3)におけるR5と同義であり、R6、R7は前記一般式(4)におけるR6、R7と同義である。
<2> 前記複素芳香族化合物が含窒素複素芳香族化合物である<1>に記載のアシルチオ尿素化合物の製造方法である。
<3> 下記一般式(5)で表されるアシルチオ尿素化合物を、塩基性条件下において加水分解する事を特徴とする下記一般式(6)で表されるN,N−ジアルキルチオ尿素化合物の製造方法である。
一般式(5):R5OCONHC(S)NR6R7
一般式(6):H2NC(S)NR6R7
式中、R5は炭素数1〜6のアルキル基またはアリール基を表す。R6、R7は、互いに独立に、炭素数1〜8のアルキル基またはアリール基を表す。または、R6とR7が結合して窒素原子を含む環を形成しても良い。
<4> 前記複素芳香族化合物が含窒素複素芳香族化合物である<3>に記載のN,N−ジアルキルチオ尿素化合物の製造方法である。
<5> 下記一般式(1)で表されるチオシアナート化合物と、下記一般式(3)で表されるハロゲン化蟻酸エステル化合物とを溶媒パラメーター(AN+DN)が30以上である有機溶媒中で複素芳香族化合物の存在下で反応させた後、下記一般式(4)で表される第2級アミノ化合物を反応させて、下記一般式(5)で表されるアシルチオ尿素化合物を生成後、該アシルチオ尿素化合物を単離取り出す事なく、続いて、塩基性条件下において加水分解する事を特徴とする下記一般式(6)で表されるN,N−ジアルキルチオ尿素化合物の製造方法である。
一般式(1):MSCN
一般式(1)中、Mは金属イオンまたは、下記一般式(2)で表されるアンモニウムイオンを表す。
一般式(2):+NR1R2R3R4
一般式(2)中、R1、R2、R3、及びR4は、互いに独立に、水素原子または炭素数1〜8のアルキル基またはアリール基を表す。または、R1、R2、R3、及びR4のいずれか複数が互いに結合して窒素原子を含む環を形成しても良い。
一般式(3):R5OCOX
一般式(3)中、Xはハロゲン原子を表し、R5は炭素数1〜6のアルキル基またはアリール基を表す。
一般式(4):HNR6R7
一般式(4)中、R6、R7は、互いに独立に、炭素数1〜8のアルキル基またはアリール基を表す。または、R6とR7が結合して窒素原子を含む環を形成しても良い。
一般式(5):R5OCONHC(S)NR6R7
一般式(5)中、R5は前記一般式(3)におけるR5と同義であり、R6、R7は前記一般式(4)におけるR6、R7と同義である。
一般式(6):H2NC(S)NR6R7
式中、R6、R7は前記一般式(4)におけるR6、R7と同義である。
<6> 前記複素芳香族化合物が含窒素複素芳香族化合物である<5>に記載のN,N−ジアルキルチオ尿素化合物の製造方法。
前記一般式(3)中、R6及びR7は、互いに独立に炭素数1〜8のアルキル基またはアリール基を表す。または、R6とR7が結合して窒素原子を含む環を形成しても良い。
本発明においては、好ましくは、溶媒パラメーター(AN+DN)が30以上72以下であり、より好ましくは、溶媒中における中間体の安定性のため、さらにANが45以下かつDNが40未満である。
これらの値は多くの一般的な成書に記載があるが、例えば、「化学便覧 基礎編」第3版、I−561頁〜567頁(丸善)、「大学院講義 有機化学I」、184頁(東京化学同人)、「有機化学反応と溶媒」、125頁〜127頁(丸善)に詳しい。
このANとDNの1:1比率の和が正確な溶媒極性基準となる事がNakaieらによって提案されており、溶媒極性のパラメーターとして利用されている(Tetrahedron,58,4383(2002)参照)。
なお、下記構造において、R6とR7は入れ替わった化合物も含むものとする。
式中、Phはフェニル基を表し、Bnはベンジル基を表す。
なお、下記構造において、R6とR7は入れ替わった化合物も含むものとする。
本発明のアシルチオ尿素化合物の製造方法及びN,N−ジアルキルチオ尿素化合物の製造方法は、医農薬中間体、写真薬中間体、画像記録材料中間体および電子材料中間体等として有用な化合物であるN,N−ジアルキルチオ尿素化合物を工業的に安価でかつ容易に製造するのに応用することができる。
下記式に基づき、本発明の例示化合物(69)を合成した。
下記式に基づき、本発明の例示化合物(79)を合成した。
下記式に基づき、本発明の例示化合物(69)を合成した。
下記式に基づき、本発明の例示化合物(69)を合成した。
実施例4において、反応溶媒としてNMPの替わりに、表1に示す他の溶媒を用いて、その他は実施例4と同様に行った。得られた結果を表1に示した。
3ツ口フラスコに水8.06mL、ピリジン0.40mL、チオシアン酸カリウム8.06gを入れ、7℃で攪拌した。そこへクロロギ酸エチル10.96gを40分かけて滴下し、10℃以下を保ったまま8時間攪拌した。その後、水を14.93mL追添して内温5℃以下まで冷却した後、ジエチルアミン7.28gを20分かけて滴下により加えた。
その後そのまま10時間反応を行った。この反応液へメタンスルホン酸3.28g添加し、内温80℃まで昇温した。内温85℃以上で2時間反応を行い反応終了を確認した後、HPLCによる絶対検量線法によりチオ尿素の生成率を確認したところ、チオシアン酸カリウムに対して31.1モル%であった。
3ツ口フラスコにアセトン(AN+DN:29.5)120mL、チオシアン酸カリウム29.2gを入れ、室温下攪拌した。そこへクロロギ酸エチル32.6gを15分かけて滴下し、そのまま2時間攪拌した。その後、0℃まで冷却してジエチルアミン24.1gを10分かけて滴下により加えた。室温まで昇温後1時間反応させ、この反応液からアセトンを減圧により溜去した。水180mL、酢酸エチル225.0mLを添加して攪拌し、水層を除去した。酢酸エチルを減圧により溜去し、濃塩酸75.0mLを加えて、内温85℃以上で2時間反応を行った。反応終了時、HPLCによる絶対検量線法によりチオ尿素の生成率を確認したところ、チオシアン酸カリウムに対して37.4モル%であった。
3ツ口フラスコにアセトニトリル630mL、ピリジン1.46mL、チオシアン酸カリウム72.54gを入れ、室温下攪拌した。そこへクロロギ酸エチル90.0gを10分かけて滴下し、そのまま1時間攪拌した。その後、5℃まで冷却してジエチルアミン66.51gを20分かけて滴下により加えた。この反応液からアセトニトリルを減圧により溜去し、水360mL、酢酸エチル450.0mLを添加して攪拌し、水層を除去した。
酢酸エチルを減圧により溜去し、水360.0mL、メタンスルホン酸63.0gを加え、内温℃以上で2時間反応を行った。(反応終了時、HPLCによる絶対検量線法によりチオ尿素の生成率を確認したところ、チオシアン酸カリウムに対して74.4モル%であった。)。
Claims (6)
- 下記一般式(1)で表されるチオシアナート化合物と、下記一般式(3)で表されるハロゲン化蟻酸エステル化合物とを溶媒パラメーター(AN+DN)が30以上である有機溶媒中で複素芳香族化合物の存在下で反応させた後、下記一般式(4)で表される第2級アミノ化合物を反応させることを特徴とする下記一般式(5)で表されるアシルチオ尿素化合物の製造方法:
一般式(1):MSCN
(一般式(1)中、Mは金属イオンまたは、下記一般式(2)で表されるアンモニウムイオンを表す。);
一般式(2):+NR1R2R3R4
(一般式(2)中、R1、R2、R3、及びR4は、互いに独立に、水素原子または炭素数1〜8のアルキル基またはアリール基を表す。または、R1、R2、R3、及びR4のいずれか複数が互いに結合して窒素原子を含む環を形成しても良い。);
一般式(3):R5OCOX
(一般式(3)中、Xはハロゲン原子を表し、R5は炭素数1〜6のアルキル基またはアリール基を表す。);
一般式(4):HNR6R7
(一般式(4)中、R6、R7は、互いに独立に、炭素数1〜8のアルキル基またはアリール基を表す。または、R6とR7が結合して窒素原子を含む環を形成しても良い。);
一般式(5):R5OCONHC(S)NR6R7
(一般式(5)中、R5は前記一般式(3)におけるR5と同義であり、R6、R7は前記一般式(4)におけるR6、R7と同義である。)。 - 前記複素芳香族化合物が含窒素複素芳香族化合物である請求項1に記載のアシルチオ尿素化合物の製造方法。
- 下記一般式(5)で表されるアシルチオ尿素化合物を、塩基性条件下において加水分解する事を特徴とする下記一般式(6)で表されるN,N−ジアルキルチオ尿素化合物の製造方法:
一般式(5):R5OCONHC(S)NR6R7
一般式(6):H2NC(S)NR6R7
(式中、R5は炭素数1〜6のアルキル基またはアリール基を表す。R6、R7は、互いに独立に、炭素数1〜8のアルキル基またはアリール基を表す。または、R6とR7が結合して窒素原子を含む環を形成しても良い。)。 - 前記複素芳香族化合物が含窒素複素芳香族化合物である請求項3に記載のN,N−ジアルキルチオ尿素化合物の製造方法。
- 下記一般式(1)で表されるチオシアナート化合物と、下記一般式(3)で表されるハロゲン化蟻酸エステル化合物とを溶媒パラメーター(AN+DN)が30以上である有機溶媒中で複素芳香族化合物の存在下で反応させた後、下記一般式(4)で表される第2級アミノ化合物を反応させて、下記一般式(5)で表されるアシルチオ尿素化合物を生成後、該アシルチオ尿素化合物を単離取り出す事なく、続いて、塩基性条件下において加水分解する事を特徴とする下記一般式(6)で表されるN,N−ジアルキルチオ尿素化合物の製造方法:
一般式(1):MSCN
(一般式(1)中、Mは金属イオンまたは、下記一般式(2)で表されるアンモニウムイオンを表す。);
一般式(2):+NR1R2R3R4
(一般式(2)中、R1、R2、R3、及びR4は、互いに独立に、水素原子または炭素数1〜8のアルキル基またはアリール基を表す。または、R1、R2、R3、及びR4のいずれか複数が互いに結合して窒素原子を含む環を形成しても良い。);
一般式(3):R5OCOX
(一般式(3)中、Xはハロゲン原子を表し、R5は炭素数1〜6のアルキル基またはアリール基を表す。);
一般式(4):HNR6R7
(一般式(4)中、R6、R7は、互いに独立に炭素数1〜8のアルキル基またはアリール基を表す。または、R6とR7が結合して窒素原子を含む環を形成しても良い。);
一般式(5):R5OCONHC(S)NR6R7
(一般式(5)中、R5は前記一般式(3)におけるR5と同義であり、R6、R7は前記一般式(4)におけるR6、R7と同義である。);
一般式(6):H2NC(S)NR6R7
(式中、R6、R7は前記一般式(4)におけるR6、R7と同義である。)。 - 前記複素芳香族化合物が含窒素複素芳香族化合物である請求項5に記載のN,N−ジアルキルチオ尿素化合物の製造方法。
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