JP2009218662A - フィルタ装置 - Google Patents

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英樹 難波
Toshiaki Nakamura
俊昭 中村
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Abstract

【課題】従来のフィルタ装置では、共振素子をネジ止めする場合、締め具合によって接触部での電気抵抗にばらつきが生じ、それにより枠体の内側と内部に設置した共振素子との間で構成する共振器のQ値が低くなるという課題を有していた。
【解決手段】枠体11は、鋼板の両面にメッキ面が形成されたメッキ鋼板がプレス加工により切断されて整形されるとともに、側板11dの内側のメッキ面同士が接続部材でロウ付けされ、共振素子12は金属製の円筒体であり、少なくとも円筒体の外周面と上面とにはメッキ面を有した金属製の円筒体を用い、共振素子12の下端部とフィルタ筐体11の内側のメッキ面とが前記接合部材でロウ付けされたものである。このようにすることにより、メッキ鋼板を用いて枠体を構成しても、挿入損失の劣化がなく、量産性に優れたフィルタ装置を得ることができるものである。
【選択図】図1

Description

本発明は、特にマイクロ波、準マイクロ波通信装置等に用いられるフィルタ装置に関するものである。
従来このようなフィルタ装置は、図11に示すようにアルミダイキャストを切削加工した後に、全体に銀メッキを施して得られた枠体1の中に共振素子2をネジ止め固定し、蓋体3を枠体1に取り付けて、フィルタ装置を構成していた。
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば特許文献1が知られている。
特開平08−195607号公報
しかしながら、共振素子をネジ止めする場合、締め具合によって接触部での電気抵抗にばらつきが生じ、それにより枠体の内側と内部に設置した共振素子との間で構成する共振器のQ値が低くなり、結果としてフィルタ装置を構成したときの挿入損失が大きくなる等の特性の劣化を引き起こすという課題があった。
本発明は上記従来の課題を解決するもので、挿入損失等の特性に優れたフィルタ装置を提供することを目的とするものである。
枠体は、鋼板の両面にメッキ面が形成されたメッキ鋼板がプレス加工により切断されて整形されるとともに、前記第1と第2の側板における内側のメッキ面同士が接続部材でロウ付けされ、共振素子は金属製の円筒体であり、少なくとも前記円筒体の外周面と上面とにはメッキ面を有した金属製の円筒体を用い、前記共振素子の外周面と前記フィルタ筐体の内側のメッキ面とが前記接合部材でロウ付けされたものである。これにより所期の目的を達成できる。
前記従来の課題を解決するために本発明は、少なくとも上方が開放された枠体とこの枠体の前記開放側を覆うとともに前記枠体に取り付けられた蓋体とからなるフィルタ筐体と、このフィルタ筐体内に設けられた共振素子とを備え、少なくとも前記フィルタ筐体の内側にメッキ面が形成されたフィルタ装置において、前記枠体は、底部とこの底部から立設されるとともに、互いにほぼ直交して配置された第1と第2の側板とを有し、鋼板の両面にメッキ面が形成されたメッキ鋼板がプレス加工により切断されて整形されるとともに、前記第1と第2の側板における内側のメッキ面同士が接続部材でロウ付けされ、前記共振素子は金属製の円筒体であり、少なくとも前記円筒体の外周面と上面とにはメッキ面を有した金属製の円筒体を用い、前記共振素子の外周面と前記フィルタ筐体の内側のメッキ面とが前記接合部材でロウ付けされたものである。これにより、共振素子が導電性の接合材料でロウ付けされるので、共振素子と枠体との間の接続抵抗の値を小さくできる。従って、共振器のQ値を高くできるので、挿入損失の劣化が小さいフィルタ装置を得ることができるものである。そして、さらにネジなどの緩みが発生せず、振動に対しても特性変化の小さなフィルタ装置を得ることができる。
また、枠体にはメッキ鋼板を用いているので、厚みも薄くでき、重量も軽量化することができる。さらに枠体や共振素子はプレス加工によって整形することができ、共振素子のみをメッキすれば良いので、非常に生産性が良好であり、低価格なフィルタ装置を実現できる。
(実施の形態1)
以下、実施の形態1について図面を用いて、説明する。図1は実施の形態1におけるフィルタ装置の断面図であり、図2は枠体の展開図であり、図1、図2において枠体11aは、両面に予め銅メッキ面が形成されたメッキ鋼板をプレス加工により所定の形状に切断・折り曲げて加工したものである。本実施の形態におけるフィルタ筐体11は、枠体11aと蓋体11bとから構成されている。ここで枠体11aは、図2に示すような形状に切断し、点線部分で折り曲げられる。これによって、枠体11aは底部11cと、この底部11cの4つの周縁部から折り曲げて立設され、互いにほぼ直交して形成された側板11dとから成る箱型形状に成形される。
そして枠体11aの開口を覆うように蓋体11bが装着される。なお本実施の形態において、枠体11aと蓋体11bとの接続は、はんだ14(接合材料の一例として用いた)によりロウ付けされている。なお蓋体11bには、共振素子12の上方となる位置にビス穴が設けられている。そしてこのビス穴には、周波数調整用ネジ15が取り付けられる。本実施の形態においては、蓋体11bにも枠体11aと同じメッキ鋼板を用いている。なお、本実施の形態においてこれらのメッキ鋼板の板厚みは約1mmである。ここで、図2における点線部分を折り曲げて隣接した側板11d同士が接する部分が接合部13aとなる。接合部13aにおいて隣り合った側板11d同士は、はんだ14により接続・固定されている。なお、本実施の形態におけるメッキは銅メッキであり、その厚みは約10μmの厚さである。
図3(a)は共振素子の展開平面図であり、図3(b)は同、上面図であり、図3(c)は同、側面図である。図3(a)、図3(b)、図3(c)において、共振素子12は鉄素地上に銅メッキが施されたものであり、圧延鋼板をプレス加工することで形成される。具体的には共振素子12は打ち抜き平板12aを円柱状に折り曲げることにより整形され、その後でメッキ処理が施される。なおこの場合、共振素子12は小型であり、かつ簡単な構造であるので、変形などの心配が少ない。従って、共振素子12はバレルメッキなどの量産性の優れたメッキ方法で生産が可能となる。これにより、フィルタ筐体11全体をいわゆるつるしメッキなどのようなメッキ方法を用いる必要はなくなり、低価格なフィルタ筐体11を得ることができる。そしてこのようにして得た共振素子12は、枠体11aの底面11cにはんだ14より接続・固定される。
本実施の形態におけるフィルタ筐体11には、4つの共振素子12が取り付けられる。そしてこれらそれぞれの共振素子12は仕切り板11eによって仕切られている。そしてこの仕切り板11eと側板11dとの間や、仕切り板11eとフィルタ筐体11との間(仕切り板11eと底部11c、仕切り板11eと側板11d、仕切り板11eと蓋体11b)の接合部13b、さらに側板11dと蓋体11bとの接合部13cもはんだ14によってロウ付け接合されている。
なお本実施の形態において仕切り板11eは、枠体11のほぼ中心に十字状に交差して配置されている。そしてこれら仕切り板同士の連結部13d(図10に示す)もはんだ14によって接合されている。そしてこのように配置された仕切り板11eによって仕切られた各キャビティのほぼ中心に共振素子12が配置される。
このような構成としているので、共振素子12の内部は空洞となり、ポール型の共振素子を用いるのに比べて、軽量化を図ることができる。また、共振素子12は打ち抜き平板12aを折り曲げて形成されるので、この合わせ部分には隙間12cが生じる。そこで、この隙間12cもはんだ14により接続・固定が行われている。これにより、フィルタの損失抵抗を小さくできる。
ここで一般的には接合部13a、13b、13c、13dや共振素子12とフィルタ筐体11との接合部12bで、電荷が集中し易く電位が高くなる。つまり、この電位が高い箇所では高周波電流も集中して流れることとなる。従って、接合部12bや接合部13a、13b、13c、13dでの抵抗値を小さくすることが重要であり、これらを接合する部材にはできる限り抵抗値の小さな金属を用いることが望ましい。本実施の形態では、ロウ付け材料としてはんだ14を用いているが、これに限らず抵抗値が小さく、メッキ面の金属との相性が良く、金属食われなどが発生しにくい金属を適宜選択すれば良い。
また、枠体11aにおいて、プレス加工で切断された破断面には鋼板の素地が露出することとなる。ところが、この素地は鉄であり、酸化や錆などが進行しやすく、破断面においての抵抗値は大きくなる。また、鉄が磁性体材料であるために高周波領域での抵抗値は大きい。そこで枠体11aにおいては、はんだ14(接続部剤)によりこのメッキ面同士の間を接続するようにロウ付けするわけである。具体的には、接合部13aにおいては、はんだ14で側板11dの内側メッキ面同士の間が接続される。接合部13bにおいては、はんだ14で仕切り板11eの両面におけるそれぞれのメッキ面とフィルタ筐体11の内側メッキ面とがそれぞれ接続される。接合部13cにおいては、側板11dと蓋体11bとが接続される。接合部13dにおいては、仕切り板11eの側面のメッキ面同士が接続される。
そして接合部12bにおいては、はんだ14で底部11cの内側におけるメッキ面と共振素子12の下端部との間が接続されるようにする。以上のような構成により、接合部12bや各接合部13a、13b、13c、13dは、はんだ14でしっかりと接続されることとなり、これらの接続箇所においての抵抗値を小さくすることができるので、共振器のQ値を高くできる。従って、信号のロスが小さくでき、挿入損失の小さなフィルタ装置を実現できる。そしてさらに共振素子12がネジなどの緩みを発生せず、振動に対しても特性変化の小さなフィルタ装置を得ることができる。また、枠体11にはメッキ鋼板を用いているので、厚みも薄くでき、重量も軽量化することができる。
さらにこの構成により、接合部12bや接合部13a、13b、13c、13dにおいて電荷の集中を小さくできるという効果も奏する。一般的に電荷は接合部12aや接合部13a、13b、13c、13dのような角部分に集中することが知られている。そして特にこの角部分の角度が鋭角なほど、またその先端が尖っているほど、より電荷の集中度合いは大きくなる。そこで、接合部材によって接続することにより、接合部12bや接合部13a、13b、13c、13dにおける角の先端形状は、R形状となる。また、底部11cと側板11dとの折り曲げ部にもR形状を有するように加工されている。これにより、接合部12bや接合部13a、13b、13c、13dにおいての電荷の集中度合いが小さくできるので、接合部12bや接合部13の寄与度が小さくなり、さらに信号のロスを小さくでき、挿入損失の小さなフィルタ装置を実現できる。
加えて本実施の形態では、共振素子12はバレルメッキにより全面がメッキで覆われている。これにより特に電荷の集中する発振素子12の先端部12dにおいて切断面が露出し難くなり、先端部12dでの電気抵抗を小さくできる。このように、共振素子12は単独で全面にメッキ処理を施しておくことにより、挿入損失の小さなフィルタ装置を実現できる。そして共振素子12の先端部12dがメッキされているので、別途先端部12dにはんだ等を塗布する作業も必要も無く、低価格なフィルタ筐体11を得ることができる。
なお、本実施の形態では、枠体11aと蓋体11bとの間もはんだ14付けによって接続したが、これはねじなどにより固定しても良い。この場合、蓋体11bの取り外しが可能となり、修理などが容易となる。また、本実施の形態において共振素子12は底部11cに取り付けたが、これは側板11dや蓋体11bに取り付けても良い。ただし、調整用ネジ15の中心軸と共振素子12の中心軸とがほぼ一直線上となるようにしておくことが望ましい。
では次に、以上のように構成されたフィルタ装置の製造方法について説明する。プレス加工工程では、鋼板を打ち抜いて、折り曲げて枠体11a、蓋体11b、仕切り板11eや共振素子12を得る工程である。なお共振素子12はこのプレス加工工程の後でメッキ処理される。そしてロウ付け工程は、このようにして得られた枠体11aに共振素子12や仕切り板11e、蓋体11bをロウ付け固定する工程である。
このロウ付け工程において最初に、はんだ塗布・組み立てが行われる。このはんだ塗布・組み立て工程は、プレス加工工程の後で、共振素子12や仕切り板11eを枠体11aの底面11cに装着し、この接合部12bや接合部13a、13b、13c、13dに対してそれぞれクリームはんだ14を塗布するとともに、蓋体11bが枠体11aへ装着される。なお本実施の形態ではクリーム状のはんだ14を用いてディスペンサで塗布したが、これは蓋体11bのような平板形状のものであればスクリーン印刷法などにより塗布しても良い。この場合、安定した量のクリーム半田を塗布できる。またクリームはんだ14に代えて、棒状のはんだ14を用いても良い。この場合、さらにはんだ14の量が安定する。
次にロウ付け工程では、はんだ14塗布・組み立て工程の後で、加熱してはんだ14を溶融することで、共振素子12や蓋体11bが枠体11aに対して接続・固定される。また、枠体11aにおける接合部13a、13b、13c、13dもはんだ14によって接続・固定される。なお、本実施の形態でははんだ14ペーストによるロウ付けを行ったが、棒状はんだ14や銀ロウ材料によるロウ付けとしても良い。ただし銀ロウ材料を用いた場合には、約900℃の雰囲気の還元炉により接合させることが望ましい。このように本実施の形態では、側板11d同士の接合と、底部11cと共振素子12との接合、共振素子12の隙間12cをはんだ14で覆うという作業を1つの工程で行うことができるため、量産性が良好となる。
次に調整工程は、ロウ付け工程の後で蓋体11bに周波数調整用ネジ15を取り付け、この周波数調整用ネジ15と共振素子12との距離を調整することにより、フィルタ装置の周波数特性を調整し、フィルタ装置が完成する。
図4(a)は、メッキ面の片側のみで接合された接合部の拡大断面図であり、図4(b)はメッキ面の両側で接合された接合部の拡大断面図である。ここで図4(a)は、接合部13a、13cを示し、図4(b)は接合部13bを示している。図4(a)、図4(b)において、図1から図3と同じものには同じ番号を用いて、その説明は簡略化している。図4(a)、図4(b)において、枠体11aをプレス切断するときに、切断用金型のクリアランスを調整することにより、接合部13a、13b、13c、13dでは、切断面側へメッキ面の材料を巻き込む領域17が形成される。これにより側板11d同士や、仕切り板11eと蓋体11bあるいは仕切り板とフィルタ筐体11における各接続部において、容易にはんだ14で接続することができることとなる。
ここで、本実施の形態ではメッキ鋼板を用いているので、破断面を有している。そして、接合部13a、13b、13c、13dにおいて、破断面はメッキ面と対向するように配置されることとなる。これによりこの破断面では、はんだ14の馴染みが悪いので、はんだ14の流動が防止され、はんだの不要な広がりを防止できる。従って、接合部13a、13b、13c、13dにおいて、安定した適度な形状を得ることができる。従って、挿入損失性能のばらつきを小さくできる。加えて、接合部12a、13a、13b、13c、13dには、はんだ14の流れ広がりを防止するために、V溝19を設けている。これにより、溶けたはんだ14がV溝を越えて広がり難くでき、各接合部において安定した形状と大きさのR形状を実現できる。従って、挿入損失が小さくかつそのばらつきも小さくできる。なお、本実施の形態においてはんだ14の広がり防止手段としてV溝19を用いたが、これは突起やレジスト膜などでも良い。ただし、はんだ14の広がり防止手段として突起を用いた場合、この突起に電荷が集中しないように、尖った箇所を作らないようにしておくことが望ましい。
本実施の形態における仕切り板11eには隣接するキャビティ同士を結合させるための結合窓18が設けられている。そして本実施の形態ではさらに仕切り板11eの結合窓18側の端部18aにもメッキ面の材料が巻き込まれている。これによりメッキ面間の距離が短くなり、抵抗値を小さくできる。
そしてさらに本実施の形態でははんだ塗布・組み立て工程においてこの端部18aの破断面にもクリーム状のはんだ14が塗布される。これにより電位が高くなり易い仕切り板11eの先端部において、さらに抵抗値を小さくできるので、さらに挿入損失の小さなフィルタ装置を実現できる。なお、切断面にメッキの材料を巻き込む領域17は広い方が良いが、切断面の30%より広い方が望ましく、より好ましくは50%以上が望ましく、このようにすることにより、安定して切断面全体をはんだ14で覆うことができる。また、メッキの厚みは、メッキの材料を切断面に巻き込むためには厚い方が望ましいが、メッキ鋼板の厚みの0.5%以上とすることで、安定して切断面の30%以上巻き込むことができるようになる。
さらに本実施の形態では、隙間12cを0.3mmと小さくしている。このようにしておけば隙間12cはバレルメッキの工程において、メッキ金属でつながることとなる。このような場合には、別途はんだを隙間12cに塗布する必要が無いので、生産性が良好となる。ただし、隙間12cの加工ばらつきなどによりメッキ金属で隙間12cが埋まらない場合には、さらにはんだを塗布して隙間12cを埋めることとなる。この場合、既にメッキ金属によって隙間12cの間隔は狭められているので、毛細管現象によって切断面全体を覆いながら共振素子12の頂部に向かって吸い上がり易くなる。これにより、容易に隙間12cに対してもロウ付けが可能となる。
以上のように、本実施の形態におけるフィルタ装置は、共振素子12と枠体11aの内側との空間で共振を起こすことにより、共振器を構成し、これらを組み合わせることにより、フィルタ特性を得るものである。このときフィルタ筐体11における内側のメッキ面同士がはんだによって接続され、また共振素子12下端部とフィルタ筐体11の内側メッキ面とが接続されることにより、共振素子12を含むループの一部における電気抵抗を小さくできるので、共振器のQ値が高く、挿入損失の小さなフィルタ装置を実現できるものである。
なお、メッキおよびロウ付けの材料については、フィルタ装置の特性の観点から電気抵抗の低いのが望ましいが、メッキ材料の融点とロウ付け材料の融点との差が大きいことが望ましい。ロウ付け温度はそれらの融点間の温度に設定する必要があるため、この温度差が小さいとロウ付け材料の粘度が十分に小さくならず、広がりにくいためである。これらを考慮すると、メッキ材料として銅(融点約1050℃)を用い、ロウ付け材料として銀ロウ(融点約800℃)あるいは、はんだ14(融点約180〜240℃)を用いると、ロウ材の粘度を十分に小さくし、安定して切断面全体をロウ材で覆うことが可能となる。
また、本実施の形態1では枠体の底面に共振素子12をロウ付けしたが、これは蓋体11bや側板11dにロウ付けしても同様のフィルタを得ることができる。また本実施の形態では周波数調整用ネジ15を蓋体11bに取り付けたが、これも側板11dあるいは底部11cでも良い。ただし、精度良く周波数の調整を行うためには、共振素子12を設けた面と対向する面に周波数調整用ネジ15を取り付けることが望ましい。また、周波数調整用ネジ15は、共振素子12の中心と周波数調整用ネジ15の中心とがほぼ一直線上となる位置に配置すると良い。
さらに、切断面全体にロウ材を行き渡らせるために、全ての部分にロウ材を付着させて、還元炉に入れることによりロウ材を溶融させる。あるいは、接合部12b、13a、13b、13c、13dと接合部でない切断部との間を、細い溝でつないでも良い。そして接合部にロウ材を付着させて還元炉に入れば、溶融したロウ材が毛細管現象によって細い溝を通じて接合部でない切断部に伝わる。このようにすれば切断面全体を容易にロウ材で覆わせることができる。なおこの溝は枠体11あるいは共振素子12のプレス加工工程で同時に形成することができるので、余計な手間がかかることはない。
(実施の形態2)
以下、実施の形態2について図面を用いて説明する。図5は本実施の形態におけるフィルタ装置の断面図であり、図6は同、枠体の展開図である。図5、図6において、図1と同じものには、同じ番号を用いて、その説明は簡略化している。
実施の形態1では枠体11aは底部11cから側板11dが折り曲げられることによって、一体に形成されている。それに対し本実施の形態における枠体11aは、底部11cと側板11dとが分離されている。ただし、本実施の形態における側板11dは天面11fを有し、4つの側板11dはこの天面11fの周縁から折り曲げて立設されている。そして、蓋体11bは、天面11fに対してネジ止めで固定されている。そして底部11cと側板11dとの接合部22ははんだ14によって接合されている。
次に本実施の形態における共振素子21は、実施の形態1と同様に底部11cにはんだ14でロウ付けされている。図6(a)から(c)において、共振素子21はプレス加工により折り曲げて整形され、全面に銅メッキが施されている。ここで共振素子21は、シボリ加工により整形され、搭載面21aと、この搭載面21aの周縁に設けられた筒部とから構成される。そして、この共振素子21は、搭載面21aが底部11c側となり、開口側が蓋体11bに向く方向で底部11c上に搭載される。本実施の形態における枠体11a、蓋体11bには銅メッキ鋼板が用いられ、共振素子21には全面にメッキ処理されているので、搭載面21aや筒部の外側メッキ面と底部11cの内側メッキ面との間や、側板11dの開口側先端部の内側メッキ面と底部11cの内側メッキ面とがはんだ14によってロウ付けされる。
さらに、本実施の形態では天面11fの上面と蓋体11bの下面とが対向し接する箇所にクリームはんだを塗布し、蓋体11bと天面11fとを接合している。ここで、天面11fの穴16aにより段差が生じるが、この穴の破断面もはんだで接合しておくことが望ましい。そこで、本実施の形態において、天面の穴16aの切断面に対しメッキ面が巻き込まれるようにしておく。このようにすることにより、穴16aの周囲においてもはんだが回り易くなり、段差部分への電位の集中を少なくできる。従って、損失の小さなフィルタ装置を実現できる。このとき、メッキ面が巻き込まれる側が蓋体11bに対向する側としておくと良い。このようにすれば、さらに接合部に対し容易にロウ付けできる。
なお、本実施の形態のはんだ塗布・組み立て工程では、最初に底部11cと蓋体11bとにクリーム状のはんだ14が塗布される。底部11cにおいては、共振素子12との接合部12aや底部11cと側板11dとの接合部22に対して供給される。一方蓋体11bに対しては、天面11fと対向する位置にクリーム状のはんだ14が塗布される。ここで本実施の形態の底部11、蓋体11bは平板状としているので、スクリーン印刷によって容易にはんだ14を塗布することができ、生産性が良好である。なお、本実施の形態では、蓋体11bに対してはんだ14を塗布したが、これは天面11fにおいて蓋体11bと対向する位置にはんだを塗布しても良い。そしてこの場合においても、天面11fの上面は平坦であるので、スクリーン印刷などにより、容易にはんだ14を塗布することができる。
そしてその後に、共振素子21、仕切り板(図示せず)や側板11dが装着され、その後に側板11d同士の接合部13a、13b、13c、13dへクリーム状のはんだ14が供給される。
(実施の形態3)
以下本実施の形態について図面を用いて説明する。図7は本実施の形態におけるフィルタ装置の断面図である。図7において、本実施の形態におけるフィルタ装置は、実施の形態1に対し、共振素子31が蓋体11b側に装着され、周波数調整用ネジ15が底部11cに取り付けられている点と、仕切り板11eの先端部18aの形状が異なっている。
図8(a)は、本実施の形態における共振素子の第2に共振素子31の展開図であり、図8(b)は同共振素子の側面図である。図8に示すように共振素子31の先端は曲げ内側の方向へ折り曲げられている点である。これにより、共振素子31の先端部分31aに尖った部分が無くなるので、先端部分31aにおいて電位が集中し難くなる。従って、フィルタ装置の挿入損失を小さくできる。なお本実施の形態において折り曲げ長さは、約3mmとしている。
ここで、図8(a)に示すように、共振素子31の展開状態において、折り曲げ側端部近傍にはCカットされている。これにより共振素子31を折り曲げたときの材料干渉を小さくでき、寸法精度の良好な共振素子31を実現できる。
図9(a)は、本実施の形態におけるフィルタ装置の上から見た断面図であり、図9(b)は、同仕切り板の先端部の拡大断面図である。図9(a)、図9(b)において、図1と同じものには同じ番号を用いており、それらについては同じ番号を用いている。
ここで、仕切り板11eの端部と側板11dとの間に設けられた結合窓18は、仕切り板11eで仕切られた各キャビティ間を連結するためのものである。そしてこの仕切り板11eの先端部18aにおいても電位が高くなり易い。そこで、本実施の形態では、仕切り板11eの先端部18aにおいて、切断面側へメッキ面の材料を巻き込むために、プレス加工の工程において先端部18を両面側からV字型に面押し32を行う。そしてV字形状の頂点近傍で切断すれば、面押し32にはメッキ面が形成されることとなり、仕切り板11eの先端部18aにおいて、破断面の露出を小さくできる。従って電位の高くなり易い場所における抵抗値を小さくできるので、挿入損失の小さなフィルタ装置を実現できる。なお、この場合において従来と同様に先端部18aにはんだ14を塗布し、はんだ14により覆うとさらによい。
図10は本実施の形態において、第2の例の仕切り板を用いた場合のフィルタ装置の上から見た断面図である。図10においては、仕切り板41は、仕切り板41の先端部において折り返されている。これにより、仕切り板41の先端部分はメッキ面となるので、抵抗値が小さくなる。従って、さらに挿入損失の小さなフィルタ装置を実現できる。
本発明にかかるフィルタ装置は、メッキ鋼板を用いて枠体を構成しても、挿入損失の劣化がなく、量産性に優れたフィルタ装置を得ることができるという効果を有し、マイクロ波、準マイクロ波通信装置等のフィルタ装置に有用である。
本発明の実施の形態1におけるフィルタ装置の断面図 同、枠体の展開図 (a)同、共振素子の展開図、(b)同、共振素子の上面図、(c)同、共振素子の側面図 同、接合部の拡大断面図 実施の形態2におけるフィルタ装置の断面図 同、枠体の展開図 実施の形態3におけるフィルタ装置の断面図 (a)同、共振素子の展開図、(b)同、共振素子の側面図 (a)同、フィルタ装置を上から見た断面図、(b)同、仕切り板先端部の拡大断面図 同、第2の例におけるフィルタ装置を上から見た断面図 従来のフィルタ装置の断面図
符号の説明
11 フィルタ筐体
11a 枠体
11b 蓋体
11c 底部
11d 側板
11e 仕切り板
12 共振素子
12a 接合部
13a〜13d 接合部
14 はんだ

Claims (8)

  1. 少なくとも上方が開放された枠体とこの枠体の前記開放側を覆うとともに前記枠体に取り付けられた蓋体とからなるフィルタ筐体と、このフィルタ筐体内に設けられた共振素子とを備え、少なくとも前記フィルタ筐体の内側にメッキ面が形成されたフィルタ装置において、前記枠体は、底部とこの底部から立設されるとともに、互いにほぼ直交して配置された第1と第2の側板とを有し、鋼板の両面にメッキ面が形成されたメッキ鋼板がプレス加工により切断されて整形されるとともに、前記第1と第2の側板における内側のメッキ面同士が接続部材でロウ付けされ、前記共振素子は金属製の円筒体であり、少なくとも前記円筒体の外周面と上面とにはメッキ面を有した金属製の円筒体を用い、前記共振素子の下端部と前記フィルタ筐体の内側のメッキ面とが前記接合部材でロウ付けされたフィルタ装置。
  2. 前記枠体内には、前記底面に立設されるとともに前記第1の側板に対しほぼ直交して配置された第3の側板と、この第3の側板で仕切られた空間同士を連結する結合窓部とを設け、前記第3の側板は鋼板の両面にメッキ面が形成されたメッキ鋼板が用いられ、前記第3の側板は前記メッキ鋼板がプレス加工により切断されて整形されるとともに、前記第3の側板の両面において前記枠体と前記接合部材でロウ付けされた請求項1に記載のフィルタ装置。
  3. 少なくとも前記仕切り板の連結窓側端部の一部には、前記メッキ面が形成された請求項2に記載のフィルタ装置。
  4. 仕切り板の連結窓側端部における前記メッキ面は、前記仕切り板側面のメッキ面がプレス加工により巻き込まれて形成された請求項3に記載のフィルタ装置。
  5. 仕切り板の連結窓側端部における前記メッキ面は、前記仕切り板を折り返して整形することで形成された請求項3に記載のフィルタ装置。
  6. 共振素子は鋼板が筒状に折り曲げられて整形されるとともに、全面にメッキが施された請求項3に記載のフィルタ装置。
  7. 共振素子の側面に形成される隙間は、接合部材でロウ付けされた請求項6に記載のフィルタ装置。
  8. 共振素子の側面に形成される隙間は、メッキ材料によって接合された請求項7に記載のフィルタ装置。
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