JP2009217869A - リール及び記録テープカートリッジ - Google Patents

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Abstract

【課題】樹脂製のリールハブの端面にクラックが生じることを抑制することができるリール、記録テープカートリッジを得る。
【解決手段】リール28は、外周面がテープ巻取面46Aとされた樹脂製のリールハブ45と、インサート成形によりリールハブ45に一体化された補強リング68とを備えている。このリール28では、リールハブ45を成形する樹脂材を金型に注入するためのゲートGtの跡であるゲート跡Gmが、補強リング68の外周面68Aに対し径方向にオーバラップするように配置されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えば磁気テープ等の記録テープを巻装するためのリール、及び、このようなリールを備えた記録テープカートリッジに関する。
磁気テープを巻き回す樹脂製のハブに、円筒状の金属挿入部を設ける技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2005−116163号公報
ところで、ハブに金属挿入部をインサートするリールを射出成形にて形成する際には、金属挿入部によってハブの周方向の収縮が抑制されるため、周方向に並列したクラックがハブの端面に生じやすい問題があり、歩留まり悪化の原因となる。
本発明は、上記事実を考慮して、樹脂製のリールハブの端面にクラックが生じることを抑制することができるリール、記録テープカートリッジを得ることが目的である。
請求項1記載の発明に係るリールは、外周面が被巻取物の巻取面とされた樹脂製のリールハブと、インサート成形により前記リールハブに一体化された補強リングとを備えたリールであって、前記リールハブを構成する樹脂材には、強化繊維が混入されており、前記補強リングの外周半径をR1、前記リールハブの軸心から前記リールハブを成形する樹脂材を金型に注入するためのゲートの跡までの距離をR2とした場合に、R2=R1の関係を満たす。
請求項1記載のリールでは、補強リングがセットされた金型内でゲートから注入された樹脂が固化されることで、補強リングが一体化されたリールハブが形成される。ここで、本リールでは、ゲートの跡が補強リングの外周と径方向にオーバラップするように配置されているので、ゲートから注入された樹脂剤の少なくとも一部は、金型におけるリールハブを形成するための空間を周方向に(周方向のベクトル成分を持って)流れる。これにより、本リールでは、樹脂中の強化繊維は、リールハブの周方向に沿って配向される。
このため、本リールでは、リールハブの周方向に並列する径方向に沿ったクラックの発生が効果的に抑制される。すなわち、リールハブは、強化繊維によって、周方向の引張りに対し効果的に補強されるため、リールハブの収縮が補強リングによって抑制される構成において、該収縮の抑制に伴いリールハブ径方向に沿ってクラックが生じることが抑制される。
このように、請求項1記載のリールでは、樹脂製のリールハブの端面にクラックが生じることを抑制することができる。
請求項2記載の発明に係る記録テープカートリッジは、ケースと、前記リールハブの巻取面に前記被巻取物として記録テープが巻き回されると共に、前記ケースに前記記録テープの引き出し巻き取り可能に収容された、請求項1記載のリールと、を備えている。
請求項2記載の記録テープカートリッジでは、リールのリールハブに巻き回された記録テープがケースから引き出されて情報の読み書き(何れか一方でも良い)が行われる。このリールとして請求項1〜請求項3の何れか1項記載のリールを適用したため、リールハブの端面へのクラック発生が抑制される。
このように、請求項2載の記録テープカートリッジでは、樹脂製のリールハブの端面にクラックが生じることを抑制することができる。
以上説明したように本発明に係るリール、樹脂製のリールハブの端面にクラックが生じることを抑制することができるという優れた効果を有する。
本発明の実施の形態に係るリール28、及びリール28が適用された記録テープカートリッジ10について、図1〜図9に基づいて説明する。先ず、記録テープカートリッジ10の概略全体構成を説明し、次いで、リール28の構成について説明し、その後、本発明の要部であるゲート跡部の攻勢を詳細に説明することとする。
図6(A)には、記録テープカートリッジ10を斜め上方から見た斜視図が示されており、図6(B)には、記録テープカートリッジ10を斜め下方から見た斜視図が示されている。また、図7には、図6(A)の7−7線に沿った断面図が示されている。なお、図6に示す矢印Aは、記録テープカートリッジ10のドライブ装置への装填方向を示しており、以下の説明では、便宜上、矢印Aにて示す側を前側ということとする。また、矢印Uにて示す側を上側ということとする。
これらの図に示される如く、記録テープカートリッジ10は、ケース12を備えている。ケース12は、上ケース14と下ケース16とを接合して構成されている。具体的には、上ケース14は、平面視略矩形状の天板14Aの外縁に沿って略枠状の周壁14Bが立設されて構成されており、下ケース16は、天板14Aに略対応した形状の底板16Aの外縁に沿って周壁16Bが立設されて構成されている。そして、ケース12は、周壁14Bの開口端と周壁16Bの開口端とを突き当てた状態で、超音波溶着やビス止め等によって上ケース14と下ケース16とが接合されて、略箱状に形成されている。
このケース12には、そのドライブ装置への装填方向先頭側の角隅部において、天板14A、周壁14B、底板16A、周壁16Bがそれぞれ切り欠かれて、該装填方向に対し傾斜した開口18が形成されている。また、底板16Aの略中央部には、該底板16Aを貫通する円形状のギヤ開口20が設けられており、後述するリールギヤ62の露出用とされている。底板16Aにおけるギヤ開口20の縁部には、環状リブ22がケース12の内方へ向けて突設されており(図7参照)、後述するリール28の位置決め用とされている。
さらに、ケース12の底板16Aの外面における前端近傍には、一対の位置決め孔24、26が開口している。一対の位置決め孔24、26は、底板16Aからケース12内方に立設された突部(図示省略)内に袋状に設けられ、上記装填方向に直交する仮想線上で互いに離間して配置されている。そして、開口18に近い側の位置決め孔24は、ドライブ装置の位置決めピンに外接する底面視略正方形状とされ、位置決め孔26は、上記仮想線に沿って長手でかつ幅が位置決めピンの直径に対応する長孔とされている。これにより、記録テープカートリッジ10がドライブ装置に装填されて位置決め孔24、26にそれぞれ位置決めピンが挿入されると、該記録テープカートリッジ10がドライブ装置内で水平方向(左右及び前後)に正確に位置決めされるようになっている。
さらに、底板16Aにおける位置決め孔24、26廻りの部分は、他の部分(意匠面)よりも平滑に仕上げられた位置決め面24A、26Aとされている。位置決め面24A、26Aは、位置決め孔24、26に位置決めピンが挿入されたときに該位置決めピン廻りに設けられたドライブ装置の位置決め面に当接するようになっている。これにより、記録テープカートリッジ10のドライブ装置内における鉛直方向の位置決めも為される構成である。
以上説明したケース12内には、図7に示される如く、後に詳述するリール28が回転可能に収容されている。リール28は、1つだけ設けられている。このリール28には、記録テープとしての磁気テープTが巻装されており、磁気テープTの先端には引出部材としてのリーダブロック30が取り付けられている。
リーダブロック30は、記録テープカートリッジ10の不使用時には、ケース12の開口18の内側に収容保持されるようになっている。この状態で、リーダブロック30は、開口18を閉塞し、ケース12内への塵芥等の侵入を阻止している。また、リーダブロック30は、その先端に係合凹部30Aが形成されており、ドライブ装置内で磁気テープTを引き出す際には、係合凹部30Aに係合する引出手段によってケース12から抜き出されてドライブ装置の巻取リールに誘導されるようになっている。さらに、リーダブロック30は、その係合凹部30Aとは反対側の端面が円弧面30Bとされており、上記巻取リールに嵌入されて磁気テープTを巻き取る巻取面の一部を構成するようになっている。
また、記録テープカートリッジ10は、不使用時にリール28の回転を阻止するためのブレーキ部材32を備えている。ブレーキ部材32は、円板状に形成された円板部34と、円板部34の周縁部に下向きに形成された制動ギヤ36と、円板部34の軸心部から上向きに突設された十字突起38と、円板部34の軸心部から下向きに突設された摺接突部35とを主要部としている。十字突起38には、その形状に対応して平面視で略十字形状に形成された挿入溝38Aが形成されており、挿入溝38Aには、天板14Aから垂下された十字リブ40が上下方向の相対移動(摺動)可能に挿入されている。これにより、ブレーキ部材32は、ケース12に対し回転不能で、かつ上下方向の相対変位可能とされている。
ブレーキ部材32は、その制動ギヤ36がリール28を構成する底板48に設けられた係合ギヤ52(何れも後述)に噛み合うことで、リール28のケースに対する回転を防止し、ケースに対し上下方向(リール28の軸線方向)に移動することで制動ギヤ36の係合ギヤ52との噛み合い、噛み合い解除を切り替える構成とされている。記録テープカートリッジ10は、ブレーキ部材32を底板48側に付勢する圧縮コイルスプリング42が設けられており、通常はブレーキ部材32の制動ギヤ36は、係合ギヤ52に噛み合わされた制動位置に偏倚されている。
また、記録テープカートリッジ10は、リール28の底板48の軸心部を貫通すると共に、該リール28に同軸的かつ一体回転可能で、リール28に対し軸線方向に相対変位可能で、かつ脱落不能に支持されたクラッチ部材44を備えている。クラッチ部材44は、制動ギヤ36を係合ギヤ52に噛み合わせたブレーキ部材32の摺接突部35に押圧されてその一部がリール28の外(下)側に突出している。この摺接突部35を上向きに押圧することで、ブレーキ部材32は、上方に移動して制動ギヤ36と係合ギヤ52との噛み合いが解除される解除位置に至る構成である。
この実施形態では、クラッチ部材44は、ドライブ装置の回転シャフト100の軸心部に設けられた解除面101によって上向きに押圧されて、ブレーキ部材32を制動位置から解除位置に移動させるようになっている。
回転シャフト100について補足すると、回転シャフト100は、回転軸102の上端に固定された回転テーブル104を有し、回転テーブル104の周縁部にはリール28のリールギヤ62(後述)に噛み合い可能な駆動ギヤ106が上向きに形成されている。これにより、回転シャフト100は、ケース12に対し相対的に上方に移動することで駆動ギヤ106をリールギヤ62に噛み合わせるようになっている。また、回転テーブル104における駆動ギヤ106の径方向内側には、円板状のマグネット108が配設されており、マグネット108は、軸心部を貫通して回転軸102に螺合した押えボルト110にて固定されている。上記した解除面101は、押えボルト110の頭部110Aで構成されている。
以上説明した記録テープカートリッジ10では、リール28の回転(磁気テープTの引き出し又は巻き取り)中には、ケース12に対し回転しない摺接突部35(ブレーキ部材32)と、リール28と共に回転する44との間に相対回転が生じる構成とされており、この相対回転によって摺接突部35の先端(下端)とクラッチ部材44の上面とが互いに摺接するようになっている。
(リールの構成)
図4及び図5に示される如く、リール28は、その軸心部を構成するリールハブ45を備えている。リールハブ45は、外周面が磁気テープTを巻き回すためのテープ巻取面46Aとされた円筒壁46と、該円筒壁46の下部を閉塞する底板48とを有する略有底円筒状に形成されている。リールハブ45の円筒壁46の上端からは、上フランジ50がその径方向外側に同軸的かつ一体に延設されている。
また、リールハブ45の底板48には、ブレーキ部材32の制動ギヤ36と噛み合い可能な係合ギヤ52が上向きに形成されている。すなわち、係合ギヤ52は、上記した通り、制動位置に位置するブレーキ部材32の制動ギヤ36に噛み合い、解除位置に位置するブレーキ部材32の制動ギヤ36との噛み合いが解除されて、リール28の自軸廻りの回転を許容する構成とされている。この実施形態では、係合ギヤ52は、平面視で歯が円環状に配置されて形成されている。
さらに、リールハブ45の底板48における係合ギヤ52の内側には、該底板48を板厚方向に貫通する貫通孔54が形成されている。この実施形態では、貫通孔54は、係合ギヤ52が形成された台座部52Aの内縁に沿って形成されている。また、底板48の下面側には、後述する下フランジ側部材60嵌合凸部65が嵌合する嵌合凹部55が下向き開口して形成されている。嵌合凹部55の内径は、貫通孔54(係合ギヤ52)の内径よりも大で、かつ係合ギヤ52の外径よりも小とされている。さらに、この実施形態では、底板48における嵌合凹部55の外側(嵌合凹部55と円筒壁46との間)には、下向きに開口する環状溝53が肉抜き部として形成されている。
以上説明したリールハブ45は、後述する補強リング68を除いて、図5に示される如く、円筒壁46、底板48、係合ギヤ52を主要部とする各部が樹脂成形にて一体に形成されている。
またさらに、図4及び図5に示される如く、リール28は、上フランジ50と対向する下フランジ56を有する。下フランジ56は、リールハブ45の底板48に接合(この接合構造については後述)されたセンタ部58から径方向外向きに一体に延設されており、該センタ部58を介してリールハブ45に固定的に保持されている。この下フランジ56とセンタ部58とでフランジ部材としての下フランジ側部材60が構成されている。
図5に示される如く、下フランジ側部材60のセンタ部58には、ドライブ装置の回転シャフト100の駆動ギヤ106に噛み合い可能なリールギヤ62が下向きに形成されている。リールギヤ62は、全体として下フランジ側部材60すなわちリール28と同軸的な円環状を成すように複数の歯が配列されて構成されている。なお、リールギヤ62は、周方向の一部に歯が形成されていない領域を有して構成されても良い。
また、図4及び図5に示される如く、センタ部58の軸心部からは、クラッチ部材44を支持するためのクラッチ用ボス部64が上向きに立設されている。クラッチ用ボス部64は、円筒状に形成されると共に、クラッチ部材44の上部から放射状に突出した複数の係合片44Aを入り込ませるスリット64Aが筒壁に形成されて構成されており、クラッチ部材44を軸線方向にスライド可能でかつ各スライド位置で、相対回転不能で、かつ脱落不能に支持する構成とされている。
さらに、図4及び図5に示される如く、センタ部58におけるクラッチ用ボス部64の周囲には、リールハブ45の嵌合凹部55に嵌合する嵌合凸部65が、クラッチ用ボス部64よりも低く突設されている。換言すれば、クラッチ用ボス部64は、嵌合凸部65の軸心部から突設されたものとして捉えることができる。この実施形態では、嵌合凹部55、嵌合凸部65は略同径の円形状の外縁を有する構成とされている。
以上説明した下フランジ側部材60は、下フランジ56、センタ部58、リールギヤ62、クラッチ用ボス部64、嵌合凸部65を主要部とする各部が、樹脂成形によって一体に形成されている。
さらに、図4及び図5に示される如く、センタ部58には、磁性体より成る金属プレートとしてのリールプレート66が固定的に設けられている。リールプレート66は、軸心部に透孔66Aを有する略円板状に形成されており、リールギヤ62の径方向内側に同軸的に配置されている。このリールプレート66は、ドライブ装置の回転シャフト100の回転テーブル104に磁力によって非接触で吸着される構成とされている。
リールプレート66は、インサート成形にてセンタ部58すなわち下フランジ側部材60に固定されている。具体的には、リールプレート66には、透孔66Aと同軸的な仮想円に沿って周方向に等間隔で配置された複数(本実施の形態では4つ)の図示しない小孔が板厚方向に貫通して形成されており、各小孔は、それぞれリールプレート66の下面側が拡径部とされて所謂いんろう形状を構成している。リールプレート66は、金型内に注入され各小孔に充填された樹脂材料が冷却固化されることで、下フランジ側部材60に強固に固定されている。なお、リールプレート66は、かしめ等によって下フランジ側部材60に固定される構造としても良い。
以上説明したリール28では、下フランジ側部材60は、上記の通り下フランジ56においてリールハブ45の底板48に接合されている。具体的には、この実施形態では図3に示される如く、下フランジ側部材60における嵌合凸部65の上面から溶着用突起(エネルギダイレクタ)70が突設されており、溶着用突起70が底板48における嵌合凹部55の底面に突き当てられた状態で超音波振動を付与することでリールハブ45と下フランジ側部材60とが溶着用突起70の設置部分で超音波溶着されるようになっている。
図5から、リールハブ45と下フランジ側部材60とは、リールプレート66の設置領域内で接合されていることがわかる。より具体的には、溶着用突起70すなわち溶着部位は、図4に示される如く、リール28と同軸的な仮想円に沿って間欠的に突設されている。
また、この実施形態では、リール28は、リールハブ45の円筒壁46にインサート成形により一体化された補強リング68を備えている。補強リング68は、金属製とされており、上端が開口している円筒壁46が磁気テープTの巻き圧によって径方向内側に倒れる方向に変形することを抑制する構造とされている。補強リング68は、例えばアルミニウムやアルミニウム合金等の引き抜き材にて構成されている。この実施形態では、補強リング68は、アルミニウム又はアルミニウム合金より成り、その径方向に沿った厚みが略1.0mmとされている。より具体的には、補強リング68は、350[N/mm]の耐力を有するアルミニウム材にて構成されている。この耐力は、リールハブ45のテープ巻取面46Aに巻き回される磁気テープTの巻き締まり(巻き圧)に対する該テープ巻取面46Aの変形量が許容量以下となる(へたりが生じない)ように設定されている。
一方、リールハブ45は、ポリカーボネイト(PC)にて構成されている。リールハブ45の円筒壁46の厚みは、1.0mm〜1.5mmの範囲で設定される。この実施形態では、厚みは略1.5mmとされている。この実施形態では、強化繊維としてのガラス繊維が10質量%混入されたポリカーボネイトによりリールハブ45、上フランジ50が形成されている。
なお、リールハブ45の円筒壁46の径方向の剛性を向上するための補強(補剛)部材として把握される補強リング68は、この機能を満たすものであれば、寸法(厚み)や材質(物性)に限定されることはない。したがって、例えば、補強リング68として鋼材を用いたり、樹脂や繊維強化樹脂等の非金属材を用いたりすることができる。なお、この実施形態では、アルミニウム材は腐食性を有するので、補強リング68の表面には、例えばメッキ等の腐食防止加工が施されている。
(ゲート跡部の構成)
図1及び図2に示される如く、リールハブ45には、該リールハブ45を射出成形する際の金型へのゲートGt(注入口)の跡であるゲート跡Gmが形成されている。ゲート跡Gmは、リールハブ45の円筒壁46の下端面(底板48の外縁近傍と捉えることもできる)に、複数形成されている。この実施形態では、3つのゲート跡Gmが円筒壁46の周方向に等間隔で形成されている。
図1に示される如く、各ゲート跡Gmは、リールハブ45の径方向において、補強リング68の外周面68Aにオーバラップするように配置されている。この実施形態では、補強リング68の外周面68Aの半径をR1、リールハブ45の軸心から各ゲート跡Gmの中心部Gmcまでの距離をR2とした場合に、R2=R1となるように各ゲート跡Gm、すなわち金型におけるGtの位置が設定されている。
次に、本実施の形態の作用を説明する。
上記構成の記録テープカートリッジ10では、不使用時には、圧縮コイルスプリング42の付勢力によって、ブレーキ部材32が回転ロック位置に位置して制動ギヤ36を係合ギヤ52に噛み合わせている。このため、リール28は、ケース12に対する回転が阻止されている。このとき、リール28のリールギヤ62がギヤ開口20から露出すると共に、クラッチ部材44の下部がクラッチ用ボス部64から突出してギヤ開口20に臨んでいる。
一方、磁気テープTを使用する際には、記録テープカートリッジ10を矢印A方向に沿ってドライブ装置のバケット(図示省略)へ装填する。そして、記録テープカートリッジ10がバケットに所定深さまで装填されると、該バケットは下降し、ドライブ装置の回転シャフト100がケース12のギヤ開口20に向かって相対的に接近(上方へ移動)してリール28を保持する。具体的には、回転シャフト100は、マグネット108によって非接触でリールプレート66を吸着保持しつつ、その駆動ギヤ106をリールギヤ62と噛み合わせる。
このリールギヤ62と駆動ギヤ106との噛み合い、すなわちケース12に対する回転シャフト100の軸方向近接側の相対移動に伴って、回転シャフト100が解除面101にて当接しているクラッチ部材44を上方へ押圧する。すると、この押圧力によって、クラッチ部材44は、その複数の係合片44Aにおいてクラッチ用ボス部64のスリット64Aにガイドされつつ、圧縮コイルスプリング42の付勢力に抗してリール28の軸線方向上側に移動する。
これにより、摺接突部35においてクラッチ部材44の上面に当接しているブレーキ部材32も上方に移動し、該ブレーキ部材32の制動ギヤ36と係合ギヤ52との噛み合いが解除される。すなわち、ブレーキ部材32は、リール28に対する相対的な回転許容位置に達する。回転シャフト100がさらに上方へ相対移動すると、圧縮コイルスプリング42の付勢力に抗して、リール28がクラッチ部材44、ブレーキ部材32と共に(相対位置を変化させないまま)上方に持ち上げられ、ブレーキ部材32が絶対的な(ケース12に対する)回転許容位置へ達すると共に、下フランジ56が環状リブ22から離間する。以上により、リール28は、ケース12内で浮上し該ケース12内面と非接触状態で回転可能となる。
また、上記バケットすなわち記録テープカートリッジ10のドライブ装置内での下降によって、ケース12の各位置決め孔24、26にそれぞれドライブ装置の位置決めピンが入り込むと共に、ケース12の各位置決め面24A、26Aにドライブ装置の位置決め面が当接する。これにより、記録テープカートリッジ10は、ドライブ装置に対し、水平方向及び鉛直方向に位置決めされる。すると、ドライブ装置の引出手段が、その引出ピン(図示省略)をリーダブロック30の係合凹部30Aに係合させつつ、該リーダブロック30をケース12から抜き出してドライブ装置の巻取リールに誘導する。さらに、リーダブロック30は、巻取リールに嵌入されて円弧面30Bが磁気テープTを巻き取る巻取面の一部を構成する。
この状態で、リーダブロック30が巻取リールと一体に回転すると、磁気テープTが巻取リールのリールハブに巻き取られつつ開口18を通じてケース12から引き出される。このとき、記録テープカートリッジ10のリール28は、リールギヤ62に噛み合う駆動ギヤ106によって伝達される回転シャフト100の回転力によって、巻取リールと同期して回転する。そして、ドライブ装置の所定のテープ経路に沿って配設された記録再生ヘッドによって、磁気テープTへの情報の記録、又は磁気テープTに記録された情報の再生が為される。このとき、ケース12に対し回転不能であるブレーキ部材32の摺接突部35は、リール28と共にケース12に対し回転するクラッチ部材44の上面と摺接する。
一方、磁気テープTがリール28に巻き戻されてリーダブロック30がケース12の開口18近傍に保持されると、記録テープカートリッジ10が装填されたバケットを上昇させる。すると、リールギヤ62と駆動ギヤ106との噛合が解除されると共に解除面101とクラッチ部材44との当接が解除され、該クラッチ部材44が圧縮コイルスプリング42の付勢力によってブレーキ部材32と共に下方へ移動する。これにより、ブレーキ部材32は、その制動ギヤ36が係合ギヤ52と噛み合う制動位置へ復帰する。また、ブレーキ部材32とクラッチ部材44とが圧縮コイルスプリング42の付勢力によって移動する動作に伴って、リール28も下方へ移動してその下フランジ56を環状リブ22に当接させつつリールギヤ62をギヤ開口20から露出させる初期状態に復帰する。この状態で、記録テープカートリッジ10は、バケットから排出される。
この記録テープカートリッジ10を構成するリール28を製造するに当たっては、先ず、リールハブ45、下フランジ側部材60をそれぞれ別個に射出成形にて形成する。リールハブ45は、補強リング68がインサート成形にて一体化されており、下フランジ側部材60は、リールプレート66がインサート成形にて一体化されている。次いで、下フランジ側部材60の嵌合凸部65をリールハブ45の嵌合凹部55に嵌合させ、リールハブ45に対し下フランジ側部材60をセンタリングする。この状態から溶着用突起70の設置部位に超音波振動を付加することで、リールハブ45と下フランジ側部材60とを超音波溶着する。これにより、リールハブ45と下フランジ側部材60とが固定され、テープ巻取面46Aに巻き回した磁気テープTを上フランジ50、下フランジ56にて保護するリール28が構成される。
リールハブ45の射出成形について補足すると、図9に示される如く、成型用金型80、82によって形成された空間(キャビティ)内に補強リング68をセットし、ゲートGtからガラス繊維が混入されたポリカーボネイト(以下、単にポリカーボネイトという場合がある)を注入する。このポリカーボネイトは、キャビティ内を図9に矢印で示す如く流動されて該キャビティ内に充填される(図示省略)。この後、ポリカーボネイトを冷却して固化させ、成形されたリールハブ45を成型用金型80、82から取り出す。
ところで、金属製の補強リング68がインサート成形されたリールハブ45では、上記した冷却、樹脂成形部分である円筒壁46の固化に伴う収縮が補強リング68によって抑制される。この実施形態では、リールハブ45(ガラス繊維入りポリカーボネイト)の熱膨張率55ppmに対し、補強リングの熱膨張率が23ppmであるため、円筒壁46における補強リング68との界面には、周方向への引張りに伴う内部応力が発生する。
ここで、リール28では、リールハブ45のゲート跡Gmが径方向において補強リング68の外周面68Aとオーバラップするように配置されているため、ポリカーボネイトの一部は、ゲートGtから径方向の流れを伴うことなく円筒壁46を成形するためのキャビティに流れ込む。これにより、円筒壁46を成形するためのキャビティにおいては、図3に矢印Fで示される如く、平面視で円筒壁46の周方向に沿ってポリカーボネイトが流れ、該ポリカーボネイトによって充填される。
特に、R2=R1となるように各ゲート跡Gmが配置されているため、ポリカーボネイトは、底板48を形成するためのキャビティ、円筒壁46を形成するためのキャビティにバランスよく注入され、円筒壁46を形成するキャビティでのポリカーボネイトの周方向への流れが維持されやすい。
したがって、リールハブ45では、円筒壁46を構成するポリカーボネイトを補強するガラス繊維は、該円筒壁46の周方向に沿って(長手となるように)配向される。すなわち、円筒壁46は、ガラス繊維によって周方向の引張りに対し効果的に補強される。このため、リール28の円筒壁46では、上記した補強リング68による成形時の収縮の抑制に起因して、ゲート跡Gm近傍の端面に、周方向に並列した(径方向に沿った)クラックが発生することが効果的に抑制される。
例えば、図10(A)及び図10(B)に示す如く底板48すなわち補強リング68に対する径方向内側にゲート跡Gmを配置した比較例に係るリール200では、その射出成形の際に、図10(C)に示される如く、ゲートGtを中心にしてポリカーボネイトが放射状に流動される。このため、ゲート跡Gmの近傍においては、ガラス繊維が円筒壁46の径方向に沿って配向されるので、該ガラス繊維による周方向の補強効果が小さい。このため、比較例に係るリール200では、上記した周方向への引張りに伴う内部応力が生じ、図10(B)に示される如く、ゲート跡Gm近傍の円筒壁46の端面に、周方向に並列したクラックCが生じやすい。
これに対してリール28では、上記の通り各ゲート跡Gmが補強リング68の外周面68Aにオーバラップする位置に形成される構造によって、ポリカーボネイトの一部が直接的に円筒壁46を形成するためのキャビティに流入されるので、円筒壁46の周方向への引張りに抗するようにガラス繊維が配向され、クラックCの発生(進展)が抑制される。また、仮にクラックが生じた場合においても、径方向に進展するクラックを周方向に配向されるガラス繊維(強化繊維)でブロックするため、クラックを抑制しリールハブ外表面でのひび割れ等が抑制される。これらにより、リール28では、クラックCの発生、進展に伴うテープ巻取面46Aの寸法変化や円筒壁46の強度不足等が抑えられる。換言すれば、歩留まりが向上する。
なお、上記した実施形態では、リールハブ45に上フランジ50が一体に形成された例を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、リールハブ45に下フランジ56が一体化されると共に別体の上フランジ50が接合される構成としても良く、また例えば、それぞれ別体として構成されたリールハブ45、上フランジ50、下フランジ56が接合される所謂3ピース構造を採る構成としても良い。
また、上記実施形態では、強化繊維としてガラス繊維が混入されたポリカーボネイトにてリールハブ45を成形した例を示したが、本発明はこれに限定されず、リールハブ45は、ポリカーボネイトに代えて、射出成形が可能な如何なる樹脂材にて構成されても良く、強化繊維として、ガラス繊維に代えて、炭素繊維やマイカ(雲母)等を採用しても良い。また、リールハブ45の円筒壁46は、上記実施形態とは異なる寸法(厚み)とされても良い。
さらに、上記実施形態では、リール28の軸心部に貫通孔54、クラッチ用ボス部64、透孔66Aが形成された例を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、リール28の軸心部は閉止されていても良い。したがって、リール28が適用される記録テープカートリッジ10におけるリール28の回転止め構造、回転止め解除構造は、上記実施形態の構造に限定されることはない。
本発明の実施形態に係るリールの要部を拡大して示す断面図である。 本発明の実施形態に係るリールの要部を拡大して示す斜視図である。 本発明の実施形態に係るリールの成形時の樹脂流れ方向を模式的に示す底面図である。 本発明の実施形態に係るリールの分解斜視図である。 本発明の実施形態に係るリールの分解断面図である。 本発明の実施形態に係るリールが適用された記録テープカートリッジの外観を示す図であって、(A)は上方から見た斜視図、(B)は下方から見た斜視図である。 本発明の実施形態に係るリールが適用された記録テープカートリッジにおけるリールの回転ロック時の断面図である。 本発明の実施形態に係るリールが適用された記録テープカートリッジにおけるリールの回転ロック解除時の断面図である。 本発明の実施形態に係るリールを構成するリールハブの射出成形過程を示す断面図である。 本発明の実施形態の比較例に係るリールを示す図であって、(A)はゲート跡の周囲を拡大して示す断面図、(B)はゲート跡の周囲を拡大して示す斜視図、(C)は成形時の樹脂流れ方向を模式的に示す底面図である。
符号の説明
10 記録テープカートリッジ
12 ケース
28 リール
45 リールハブ
46A テープ巻取面(被巻取物の巻取面)
68 補強リング
Gm ゲート跡(ゲートの跡)
T 記録テープ

Claims (2)

  1. 外周面が被巻取物の巻取面とされた樹脂製のリールハブと、インサート成形により前記リールハブに一体化された補強リングとを備えたリールであって、
    前記リールハブを構成する樹脂材には、強化繊維が混入されており、
    前記補強リングの外周半径をR1、前記リールハブの軸心から前記リールハブを成形する樹脂材を金型に注入するためのゲートの跡までの距離をR2とした場合に、R2=R1の関係を満たすリール。
  2. ケースと、
    前記リールハブの巻取面に前記被巻取物として記録テープが巻き回されると共に、前記ケースに前記記録テープの引き出し巻き取り可能に収容された、請求項1記載のリールと、
    を備えた記録テープカートリッジ。
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JP2019105249A (ja) * 2017-12-14 2019-06-27 愛三工業株式会社 キャニスタ

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