JP2009080900A - リール - Google Patents
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Abstract
【課題】金型での成形時に、ハブに設ける補強部材の変形を抑制できるリールの提供を課題とする。
【解決手段】外周面に記録テープTが巻回される有底円筒状の樹脂製のハブ32と、ハブ32の円筒部34から底部36に架けてインサート成形によって設けられた補強部材52と、ハブ32の少なくとも底部36における補強部材52の表面に設けられた樹脂層36Dと、平面視でハブ32の底部36における補強部材52に重なる位置に設けられたゲート跡Gmと、を備えたリール30とする。
【選択図】図8
【解決手段】外周面に記録テープTが巻回される有底円筒状の樹脂製のハブ32と、ハブ32の円筒部34から底部36に架けてインサート成形によって設けられた補強部材52と、ハブ32の少なくとも底部36における補強部材52の表面に設けられた樹脂層36Dと、平面視でハブ32の底部36における補強部材52に重なる位置に設けられたゲート跡Gmと、を備えたリール30とする。
【選択図】図8
Description
本発明は、主にコンピューター等の記録再生媒体として使用される磁気テープ等の記録テープが巻装されるリールに関する。
従来から、コンピューター等のデータ記録再生媒体(データバックアップ)として使用される磁気テープ等の記録テープを合成樹脂製のリールに巻装し、そのリールをケース内に単一で収容してなる記録テープカートリッジが知られている。この記録テープカートリッジに用いられるリールとしては、記録テープが巻回されるハブの剛性を高めるために、そのハブの内周面にインサート成形により筒状の補強部材を設けたものがある(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、ハブに筒状の補強部材をインサート成形する場合、樹脂材を注入するゲートは、主にその補強部材よりも径方向内側の底壁に設けられるため、補強部材の底壁側端部の内周面が、流動する樹脂材によって径方向外側へ押圧されてしまうおそれがあった。つまり、金型での成形時において、補強部材の底壁側端部が径方向外側へ変形してしまうおそれがあった。
特開2005−116163号公報
そこで、本発明は、上記事情に鑑み、金型での成形時に、ハブに設ける補強部材の変形を抑制できるリールを得ることを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明に係る請求項1に記載のリールは、外周面に記録テープが巻回される有底円筒状の樹脂製のハブと、前記ハブの円筒部から底部に架けてインサート成形によって設けられた補強部材と、前記ハブの少なくとも底部における前記補強部材の表面に設けられた樹脂層と、平面視で前記ハブの底部における前記補強部材に重なる位置に設けられたゲート跡と、を備えたことを特徴としている。
請求項1に記載の発明によれば、平面視でハブの底部における補強部材と重なる位置に設けられたゲートから注入された樹脂材は、その補強部材によってハブの径方向内側方向とハブの径方向外側方向に分散して向かう。これにより、補強部材の内周面に向かう樹脂圧が低減されるため、補強部材の内周面が径方向外側へ押圧されることが低減される。よって、補強部材の径方向外側への変形を抑制することができる。
また、請求項2に記載のリールは、請求項1に記載のリールにおいて、前記樹脂層が、金型から離型するときの被押圧部を有することを特徴としている。
請求項2に記載の発明によれば、金型から離型するときの被押圧部が樹脂層部分とされて、補強部材とされていないので、補強部材の摩耗・劣化を防止することができる。
また、請求項3に記載のリールは、請求項1又は請求項2に記載のリールにおいて、前記ハブの底部における前記補強部材が、ドライブ装置のマグネットに吸着されるリールプレートとされていることを特徴としている。
請求項3に記載の発明によれば、補強部材がリールプレートを兼用するので、別途リールプレートをインサート成形する必要がない。したがって、製造コストを低減することができる。
以上のように、本発明によれば、金型での成形時に、ハブに設ける補強部材の変形を抑制できるリールを提供することができる。
以下、本発明の最良な実施の形態について、図面に示す実施例を基に詳細に説明する。まず最初に、本実施形態に係るリール30を備えた記録テープカートリッジ10の概略構成について説明する。なお、説明の便宜上、図1で示すように、記録テープカートリッジ10のドライブ装置への装填方向を矢印Aで示し、それを記録テープカートリッジ10の前方向(前側)とする。そして、矢印A方向と直交する方向を矢印Bで示し、それを記録テープカートリッジ10の右方向(右側)とする。また、矢印A方向及び矢印B方向と直交する方向を矢印Cで示し、それを記録テープカートリッジ10及びリール30の上方向(上側)とする。
図1〜図3で示すように、記録テープカートリッジ10は、樹脂製のケース12を備えている。ケース12は、上ケース14と下ケース16とを接合して構成されている。具体的には、上ケース14は、平面視略矩形状の天板14Aの外縁に沿って略枠状の周壁14Bが立設されて構成されており、下ケース16は、天板14Aに略対応した形状の底板16Aの外縁に沿って略枠状の周壁16Bが立設されて構成されている。そして、ケース12は、周壁14Bの開口端と周壁16Bの開口端とを突き当てた状態で、超音波溶着やビス止め等によって上ケース14と下ケース16とが接合されて、略矩形箱状に形成されている。
このケース12には、ドライブ装置への装填方向先頭側の隅角部において、天板14A、周壁14B、底板16A、周壁16Bがそれぞれ切り欠かれて、その装填方向に対して傾斜した開口18が形成されている。また、底板16Aの略中央部には、底板16Aを貫通する円形状のギア開口20が設けられており、後述するリールギア44の露出用とされている。そして、底板16Aにおけるギア開口20の縁部には、環状リブ22がケース12の内方へ向けて突設されており、後述するリール30の位置決め用及び防塵用とされている。
また、ケース12の底板16Aの外面における前端近傍には、一対の位置決め穴24、26が開口している。一対の位置決め穴24、26は、底板16Aからケース12内方に立設された突部(図示省略)内に袋状に設けられ、矢印B方向における仮想線上で互いに離隔して配置されている。
そして、開口18に近い側の位置決め穴24は、ドライブ装置の位置決めピン(図示省略)に外接する底面視略正方形状とされ、位置決め穴26は、上記仮想線に沿って長手で、かつ幅が位置決めピンの直径に対応する長穴とされている。したがって、記録テープカートリッジ10がドライブ装置に装填されて位置決め穴24、26にそれぞれ位置決めピンが挿入されると、ドライブ装置内で水平方向(左右及び前後)に正確に位置決めされる構成である。
更に、底板16Aにおける位置決め穴24、26周りは、他の部分(意匠面)よりも平滑に仕上げられた基準面24A、26Aとされている。基準面24A、26Aは、位置決め穴24、26に位置決めピンが挿入されたときに、位置決めピン周りに設けられたドライブ装置の基準面(図示省略)に当接するようになっている。これにより、記録テープカートリッジ10のドライブ装置内における鉛直方向の位置決めがなされる構成である。
また、図2、図3で示すように、ケース12内には、例えばポリカーボネート(PC)等の樹脂製のリール30(詳細は後述する)が1つだけ回転可能に収容される。このリール30には、磁気テープ等の記録テープTが巻装されており、図1で示すように、記録テープTの先端には、リーダー部材としてのリーダーブロック28が取り付けられている。リーダーブロック28は、記録テープカートリッジ10の不使用時には、ケース12の開口18の内側に収容保持されている。そして、この状態で、リーダーブロック28は、開口18を閉塞し、ケース12内への塵埃等の侵入を阻止している。
また、リーダーブロック28は、その先端に係合凹部28Aが形成されており、ドライブ装置内で記録テープTを引き出す際には、係合凹部28Aに係合する引出手段(図示省略)によってケース12から引き出されてドライブ装置の巻取リール(図示省略)に誘導されるようになっている。更に、リーダーブロック28は、その係合凹部28Aとは反対側の端面が円弧面28Bとされており、巻取リールのリールハブに嵌入されることにより、記録テープTを巻き取る巻取面の一部を構成するようになっている。
次に、第1実施例のリール30及び不使用時にリール30の回転を阻止する制動手段について説明する。図2〜図5、図7、図8で示すように、リール30は、その軸心部を構成する略円筒状のリールハブ32を備えている。リールハブ32は、外周面に記録テープTが巻回される板厚D2の円筒部34と、円筒部34の下端部34Aにおける内周縁部からリールハブ32の中心に(径方向内側に)向かって所定幅W2で一体に環状に延設された底部としての環状延設部36とを有している。
つまり、リールハブ32の底部中央(中心)には、下フランジ40に形成されたクラッチ用ボス部56(後述)を挿通させる貫通孔37が形成されている。また、環状延設部36は、円筒部34の下端部34Aよりも径方向内側が所定高さ上方に盛り上がるように構成されており(図5、図7参照)、その部位の下面が被係合部としての環状凹部36Aとされている。そして、円筒部34の下端部34Aと環状凹部36Aとの間には、下フランジ40を接合するときの径方向の位置決めとなる環状規制壁36Cが形成されている。
また、図5で示すように、その環状規制壁36Cよりも径方向外側には、環状凹部36Aの面積を径方向外側へ拡開するような略矩形状の係合凹部36Bが、所定間隔を隔てて(等間隔に)複数個(図示のものは3個)形成されている。そして、その係合凹部36Bの径方向内側に、成形用樹脂材J(図9参照)の注入口とされたゲート跡Gmが形成されている。
また、図4で示すように、環状延設部36の上面には、リールハブ32と同軸的な環状とされた係合ギア48が形成されており、後述する制動部材60の制動ギア66と噛合可能とされている。そして、リールハブ32の上端部周縁には、上フランジ38が、その径方向外側に向かって同軸的かつ一体に延設されている。つまり、リールハブ32と上フランジ38は成形用樹脂材Jによって一体成形されている。
また、図6〜図8で示すように、リールハブ32の内周面には、金属製の補強部材52がインサート成形によって固着されている。この補強部材52は、高さがリールハブ32の高さとほぼ同等とされた円筒部53と、底部(環状延設部36)側端部である下端部53Aから径方向内側に向かって環状に延設された底部としての環状延設部54とを有しており、底部(環状延設部54)中央に貫通孔54Aが形成された略コップ型形状に形成されている。
なお、図7で示すように、第1実施例に係る補強部材52の板厚D1は、D1=0.7mmとされている。また、環状延設部54の幅W1は、成形用樹脂材Jの流動性と圧力損失との兼ね合いから、W1=5mm〜15mmとされている。更に、リールハブ32(円筒部34)の板厚D2は、成形用樹脂材Jの流動性と剛性確保の観点から、D2=1.0mm〜1.5mmとされており、第1実施例では、D2=1.3mmとされている。
また、この補強部材52は、アルミニウム又はアルミニウム合金、或いはステンレス等によって構成されており、第1実施例では、350[N/mm2]の耐力を有するアルミニウム材にて構成されている。この耐力は、リールハブ32(円筒部34)の外周面に巻回される記録テープTの巻き締まり力(巻圧)に対して、円筒部34の変形量が許容量以下となる(へたりが生じない)ように設定されている。
また、この補強部材52の底部(環状延設部54)中央に形成された貫通孔54Aの内径R2は、貫通孔37の内径R1よりも所定量(半径当たり1mm以上)大径とされており、金型92、94(図9参照)での成形時に、補強部材52に底部、即ち環状延設部54が形成されていても、その径方向内側において、成形用樹脂材Jの流動が可能となるようになっている。つまり、環状延設部54の上面(表面)側及び下面側(表面)には、樹脂層(環状延設部36)が形成されるようになっている。
また、リールハブ32の内周面側で、補強部材52よりも径方向内側には、上下方向が長手方向とされた薄板状の立リブ35が等間隔に複数形成されている。この立リブ35の高さは、不使用時において、後述する制動部材60の径方向の位置ズレを抑止できる程度の高さとされており、図示のものは、補強部材52の円筒部53の略半分の高さとされている。なお、円筒部53の内周面は、立リブ35を除いて露出する構成である。
また、図10、図11で示すように、補強部材52の底部(環状延設部54)中央の貫通孔54Aの内径R3を、貫通孔37の内径R1と同一か、それよりも僅かに大径とし、その貫通孔54Aの近傍に、貫通孔54Aよりも内径の小さい複数の貫通孔54Bを所定の間隔で(等間隔に)形成して、金型92、94(図9参照)での成形時に、成形用樹脂材Jが、その貫通孔54Bを通って流動するように構成してもよい。
一方、リールハブ32の底部(環状延設部36)には、後述するリールプレート46が固着された下フランジ40が接合(溶着)されるようになっている。下フランジ40の外径は、上フランジ38の外径と同径とされ、下フランジ40の軸心部は、下面にリールギア44が形成される底壁42とされている。そして、その底壁42の上面には、環状凹部36Aに係合する係合部としての環状凸部42Aが所定高さで形成されている(図4参照)。
環状凸部42Aの外周面は、環状規制壁36Cに当接する環状立壁42Cとされており、これによって、リールハブ32に対して下フランジ40の径方向の位置決めがなされる構成である。また、環状凸部42Aの外周面(環状立壁42C)の所定位置には、係合凹部36Bに嵌合する係合凸部42Bが、所定間隔を隔てて(等間隔に)複数個(図示のものは3個)、径方向外側へ向かって形成されており、これによって、リールハブ32に対して下フランジ40の周方向の回転止めがなされる構成である。
また、図5で示すように、環状凹部36Aの所定位置には、超音波溶着用のリブであるエネルギーダイレクター(以下「ED」という)41が所定間隔を隔てて(等間隔に)複数個(図示のものは9個)略環状に突設されている。したがって、環状凹部36Aと環状凸部42Aとを嵌合し、ED41を溶融することにより、リールハブ32に対して下フランジ40(後述するリールギア44)を位置決めしつつ溶着できる構成である。そして、これにより、上フランジ38と下フランジ40との対向面間において、リールハブ32の円筒部34の外周面に記録テープTが巻回可能とされる。
また、下フランジ40における底壁42の下面(外面)には、リールハブ32に接合したときに、そのリールハブ32と同軸的な環状となるリールギア44が形成されている。リールギア44は、図2、図3で示すドライブ装置の回転シャフト100の先端に設けられた駆動ギア108と噛合可能とされている。
このリールギア44は、その歯先が下フランジ40の下面よりも下方へ突出するとともに、歯底が下フランジ40の下面よりも上側に位置しており、各歯の径方向外側部分が歯の高さ方向中央部から歯底にかけて下フランジ40に連続するテーパー部43によって連結されている。なお、リールギア44上の所定位置には、成形用樹脂材Jの注入口とされたゲート跡Gmが所定間隔を隔てて(等間隔に)複数個(図示のものは3個)形成されている(図5参照)。
また、リールギア44の径方向内側には、磁性材料でできた環状金属板であるリールプレート46が、インサート成形によって下フランジ40の底壁42に同軸的かつ一体的に固着されている。リールプレート46には、固着部としての小孔46Bが、周方向に所定間隔を隔てて(等間隔に)複数個(図示のものは4個)形成されており、その小孔46Bの内周面には、下側の開口径が上側の開口径よりも大径となるような段差部46C(図13参照)が形成されている。したがって、このリールプレート46は、図示しない金型内にセットされた後、成形用樹脂材Jが小孔46B内に入り込み、その成形用樹脂材Jが段差部46Cの下面に回り込んで固化されることにより、底壁42に固着される構成である。
また、下フランジ40における底壁42の上面中央(軸心部)には、後述するクラッチ部材84を挿通させる貫通孔50が形成されており、その貫通孔50の縁部に沿って、ガイド壁部としての短円筒状のクラッチ用ボス部56が上方に向かって立設されている(図4参照)。このクラッチ用ボス部56については、後述するクラッチ部材84と共に説明する。なお、リールプレート46の軸心部は透孔46Aとされており、透孔46Aの内径は貫通孔50の内径よりも僅かに小さく形成されている。
また、図2、図3で示すように、リール30はケース12に収容されており、不使用時には環状リブ22上に載置されるようになっている。具体的には、リール30は、底壁42におけるテーパー部43の外側部分が環状リブ22の上端面に当接するようになっており、環状リブ22の上端内縁部がテーパー部43に対応したテーパー面22Aとされることで、径方向の移動が規制されている。そして、そこからの塵埃等の侵入を防止する構成になっている。
また、この状態で、リール30は、全体としてケース12内に位置してリールギア44、リールプレート46をギア開口20から露出させている(図1(B)参照)。すなわち、リールギア44は、底板16Aの外面(下面)から突出することなく、ギア開口20からケース12外に臨んでいる。また、リールプレート46の透孔46Aを通じて貫通孔50がギア開口20に臨んでいる。
これにより、ケース12の外部からリール30の操作、即ちチャッキング(保持)及び回転駆動が可能とされている。また、この状態で、リールハブ32(補強部材52)の上端部側における径方向内側には、天板14Aから立設された環状の規制リブ58が入り込んでいる。規制リブ58は、その外周面をリールハブ32(補強部材52)の内周面に近接させており、これによって、ケース12内におけるリール30のガタつきを抑止する構成である。
また、記録テープカートリッジ10は、不使用時にリール30の回転を阻止する制動手段としての制動部材60を備えている。制動部材60は基部62を有しており、その基部62は、下方に開口した略有底円筒状に形成されている。基部62の外周部における軸線方向中間部からは、環状に形成された平板部64が全周に亘り径方向外側に延設されており、平板部64の下面には、全周に亘り制動ギア66が設けられている。すなわち、制動ギア66は、全体として環状に形成されており、リール30の係合ギア48と噛合可能に構成されている。
また、基部62の下面における軸心部には摺接突部68が突設されている。摺接突部68は、その先端部が略球面状に形成されており、後述するクラッチ部材84と略点接触するようになっている。一方、基部62の上面には、内部に平面視略十字状に溝が形成された十字突起70が立設されている。また、基部62の上面には環状のリブ72が立設されており、リブ72と十字突起70との間の上面が、後述する圧縮コイルスプリング76の一端部が当接するバネ受面74とされている。
このような構成とされた制動部材60は、リールハブ32の円筒部34(補強部材52の円筒部53)内に、立リブ35によって径方向の移動を規制された状態で(略同軸となるように規制された状態で)、上下方向(リール30の軸線方向)に移動可能に挿設されている。すなわち、制動部材60は、上下方向に移動することで、その制動ギア66をリール30の係合ギア48と噛合する位置(回転ロック位置)と、その噛合を解除する位置(回転許容位置)とを取り得るようになっている。
また、制動部材60の十字突起70の溝内には、ケース12の天板14Aから下方へ突設された十字リブ80が入り込むようになっている。十字リブ80は、2つの薄板片を互いに直交するように交差させた回り止め形状とされ、十字突起70の溝壁と係合することで、制動部材60のケース12に対する回転を阻止するようになっている。したがって、制動部材60は、その制動ギア66をリール30の係合ギア48と噛合させることで、リール30の回転を阻止することができる。
なお、十字リブ80は、制動部材60の上下方向の全移動ストロークに亘って溝内に入り込んだ状態が維持されるようになっており、制動部材60の移動方向を上下方向にガイドする機能も果たす構成である。また、制動部材60のバネ受面74と天板14Aとの間には、広義には付勢手段として把握される圧縮コイルスプリング76が配設されている。圧縮コイルスプリング76は、その一端部がバネ受面74に当接するとともに、他端部が天板14Aに当接しており、この他端部は天板14Aにおける十字リブ80の外側に突設された環状壁部78の内側に位置して、径方向に位置ずれしないようになっている。
この圧縮コイルスプリング76の付勢力によって、制動部材60が下方に付勢され、通常は(不使用時には)制動ギア66を係合ギア48に噛合させてリール30の不用意な回転を防止する構成である(制動部材60を回転ロック位置に位置させる構成である)。また、この付勢力により、係合ギア48において制動部材60と噛合しているリール30も下方に付勢され、環状リブ22に当接されてケース12内でガタつかないようになっている。
また、記録テープカートリッジ10は、制動部材60によるリール30のロック状態を解除するときに外部から操作される解除部材としてのクラッチ部材84を備えている。クラッチ部材84は、リールギア44がドライブ装置の駆動ギア108に噛合する動作に伴って、後述するドライブ装置の解除突部110に押圧されて上方へ移動するようになっており、リール30の底壁42と制動部材60との間に配設されている。
すなわち、このクラッチ部材84は、透孔46A及び貫通孔50に挿通される略円柱状に形成され、その外径がリールプレート46の透孔46Aの内径とほぼ同一に、即ちクラッチ用ボス部56の内径と一致する貫通孔50の内径よりも若干小さく形成されている。また、このクラッチ部材84は、その平坦な軸心部上端面が、制動部材60の摺接突部68と常に当接する摺接面86とされ、下方に開口して設けられた肉抜き穴周りの平坦な下端面が、押圧操作面88とされている。したがって、クラッチ部材84は、その押圧操作面88が押圧されると、圧縮コイルスプリング76の付勢力に抗して上方へ移動し、制動部材60を回転許容位置へ移動させる構成である。
また、このクラッチ部材84は、その外周面よりも径方向外側に張り出した回転規制リブ90を備えている。回転規制リブ90は、クラッチ部材84の周方向に等間隔で複数(図示のものは6個)設けられ、各回転規制リブ90は平面視で放射状に配置されている。そして、各回転規制リブ90は、クラッチ部材84の摺接面86周りの上端面と、その上端面近傍の外周面とに跨る(それぞれに連続する)ように、摺接面86よりも上方に突出している。
また、各回転規制リブ90は、それぞれクラッチ用ボス部56の内縁部に凹設された回転規制溝82に入り込むようになっている。すなわち、各回転規制溝82は、クラッチ用ボス部56の周方向に等間隔で複数(図示のものは6個)設けられており、クラッチ用ボス部56の上端で上方に開口している。これにより、クラッチ部材84は、その回転規制リブ90において、クラッチ用ボス部56の回転規制溝82にガイドされつつ、上下方向の移動が可能とされている。
また、各回転規制リブ90は、クラッチ部材84が上方に移動して制動部材60を回転許容位置に位置させるときにも、クラッチ用ボス部56の回転規制溝82に入り込んだ状態を維持するようになっている。これにより、クラッチ部材84は、リール30に対する相対回転不能、即ち常にリール30と一体に回転する構成とされている。また、各回転規制溝82がクラッチ用ボス部56の下端部において閉塞されていることから、回転規制リブ90と回転規制溝82とによって、クラッチ部材84のリールハブ32からの脱落が防止されている。
また、図2、図3で示すように、ドライブ装置の回転シャフト100は、回転軸102を備えており、回転軸102の上端には、円板状の回転テーブル104が一体的かつ同軸的に設けられている。回転テーブル104の上面で、かつ外周縁部には、記録テープカートリッジ10のリールギア44と噛合可能な駆動ギア108が環状に形成されている。また、回転テーブル104の上面で、駆動ギア108の径方向内側には、略円板状に形成されたマグネット106が同軸的に配設されており、回転テーブル104の軸心部には、クラッチ部材84の押圧操作面88に当接する解除突部110が形成されている。
次に、以上のような構成の第1実施例のリール30及び制動手段を備えた記録テープカートリッジ10の作用について説明する。記録テープカートリッジ10では、不使用時には、圧縮コイルスプリング76の付勢力によって、制動部材60が回転ロック位置に位置して制動ギア66を係合ギア48に噛合させている。このため、リール30は、ケース12に対する回転が阻止されている。このとき、リール30のリールギア44がギア開口20から露出するとともに、クラッチ部材84が貫通孔50、透孔46Aに挿通されてギア開口20に臨んでいる。
一方、記録テープTを使用する際には、記録テープカートリッジ10を矢印A方向に沿ってドライブ装置のバケット(図示省略)へ装填する。そして、記録テープカートリッジ10がバケットに所定深さまで装填されると、バケットは下降し、ドライブ装置の回転シャフト100がケース12のギア開口20に向って相対的に接近(上方へ移動)してリール30を保持する。具体的には、回転シャフト100は、マグネット106によって非接触でリールプレート46を吸着保持しつつ、その駆動ギア108をリールギア44と噛合させる。
このリールギア44と駆動ギア108との噛合、即ちケース12に対する回転シャフト100の軸方向近接側の相対移動に伴って、回転シャフト100の解除突部110がクラッチ部材84の押圧操作面88に当接し、圧縮コイルスプリング76の付勢力に抗してクラッチ部材84を上方に押し上げる。これにより、摺接突部68においてクラッチ部材84に当接している制動部材60も上方に移動し、制動ギア66と係合ギア48との噛合が解除されるとともに、リール30に対する相対的な回転許容位置へ移動する。
すなわち、回転シャフト100が上方へ相対移動すると、圧縮コイルスプリング76の付勢力に抗して、リール30がクラッチ部材84、制動部材60と共に(相対位置を変化させないまま)上方に持ち上げられ、制動部材60が(ケース12に対する)回転許容位置へ達するとともに、下フランジ40が環状リブ22(テーパー面22A)から離隔する。これにより、リール30は、ケース12内で浮上して、ケース12の内面と非接触状態で回転可能となる。
また、このとき、バケット、即ち記録テープカートリッジ10のドライブ装置内での下降によって、ケース12の各位置決め穴24、26にそれぞれドライブ装置の位置決めピンが入り込むとともに、ケース12の各基準面24A、26Aにドライブ装置の基準面が当接する。これにより、記録テープカートリッジ10は、ドライブ装置に対する水平方向及び鉛直方向が位置決めされる。すると、ドライブ装置の引出手段が、リーダーブロック28の係合凹部28Aに係合しつつ、そのリーダーブロック28をケース12から抜き出してドライブ装置の巻取リールに誘導する。
そして、リーダーブロック28は、巻取リールのリールハブに嵌入されて、その円弧面28Bが記録テープTを巻き取る巻取面の一部を構成する。この状態で、リーダーブロック28が巻取リールと一体に回転すると、記録テープTが巻取リールのリールハブに巻き取られつつ、開口18を通じてケース12から引き出される。なお、このとき、記録テープカートリッジ10のリール30は、リールギア44に噛合する駆動ギア108により伝達される回転シャフト100の回転力によって、巻取リールと同期して回転する。
そして、ドライブ装置の所定のテープ経路に沿って配設された記録再生ヘッド(図示省略)により、記録テープTへの情報の記録、又は記録テープTに記録された情報の再生がなされる。なお、このとき、ケース12に対して回転不能である制動部材60の摺接突部68は、リール30と共にケース12に対して回転するクラッチ部材84の摺接面86と摺接している。つまり、クラッチ部材84は、リールギア44が駆動ギア108と噛合している状態では、その押圧操作面88における解除突部110との当接状態が維持されて、制動部材60を回転許容位置に保持する構成である。
そして、リール30の回転時には、リール30と一体に回転するクラッチ部材84とリール30を駆動する回転シャフト100との間には相対回転がなく、押圧操作面88と解除突部110とは互いに摺接することがない構成であり、クラッチ部材84の摺接面86と、ケース12に対して回転不能な制動部材60の摺接突部68とが互いに摺接する構成になっている。このように、回転軸102とクラッチ部材84との間には相対回転がないため、解除突部110や押圧操作面88が摩耗されるような不具合はない。
一方、記録テープTへの情報の記録、又は記録テープTに記録された情報の再生が終了すると、記録テープTがリール30に巻き戻されて、リーダーブロック28がケース12の開口18近傍に保持される。そして、記録テープカートリッジ10が装填されたバケットが上昇する。すると、リールギア44と駆動ギア108との噛合が解除されるとともに、解除突部110とクラッチ部材84の押圧操作面88との当接が解除され、クラッチ部材84が圧縮コイルスプリング76の付勢力によって制動部材60と共に(当接状態を維持しつつ)下方へ移動する。
これにより、制動部材60の制動ギア66が係合ギア48と噛合し、制動部材60がケース12に対してリール30の回転を阻止する回転ロック位置へ復帰する。また、制動部材60とクラッチ部材84が圧縮コイルスプリング76の付勢力によって移動する動作に伴って、リール30も下方へ移動して、その下フランジ40を環状リブ22に当接させつつ、リールギア44をギア開口20から露出させる初期状態に復帰する。この状態で、記録テープカートリッジ10がドライブ装置(バケット)から排出される。
次に、本実施形態に係る第1実施例のリール30の作用(製造方法を含む)について詳細に説明する。リール30は、上フランジ38とリールハブ32とが一体成形され、その上フランジ38が一体成形されたリールハブ32に、底壁42を有する下フランジ40が溶着されて構成される。したがって、下フランジ40の強度が確保される。なお、下フランジ40の底壁42の下面(外面)側には、予めリールプレート46がインサート成形によって固着されている。
下フランジ40をリールハブ32に溶着する際には、下フランジ40の底壁42中央に突設されているクラッチ用ボス部56を、リールハブ32の底部(環状延設部36)中央に形成されている貫通孔37に挿通しつつ、環状凹部36A(環状規制壁36C)に環状凸部42A(環状立壁42C)を嵌合させ、更に各係合凹部36Bに各係合凸部42Bをそれぞれ嵌合させる。
そして、そのリールハブ32の環状凹部36A(溶着面)に突設されているED41を下フランジ40の環状凸部42A(被溶着面)に接触させ、ホーン(図示省略)から発生される超音波によって溶融する。これにより、リールハブ32に下フランジ40が溶着される。なお、ここでは、ED41をリールハブ32の環状凹部36Aに突設する構成としたが、ED41は下フランジ40の環状凸部42Aに突設する構成としてもよい。
また、リールハブ32(円筒部34)の内周面には、補強部材52がインサート成形によって固着されている。この補強部材52の円筒部53の高さは、リールハブ32の高さとほぼ同じ高さとされている。すなわち、図7、図8の断面視で示すように、円筒部53の上端面53Bは、上フランジ38の上面と面一とされ、下端部53Aは、係合ギア48が形成された環状延設部36の上面36Dよりも低位となるように(下端部53A全周が埋設されるように)下方に向かって延在されている。したがって、リールハブ32の強度をほぼ全高に亘って補強することができ、リールハブ32の剛性を高めることができる。
また、補強部材52の円筒部53の下端部53Aから径方向内側に向かって所定幅W1(環状延設部36の幅W2よりも1mm以上小さい幅)の環状延設部54が延設されている。そして、図5で示すように、係合凹部36Bの径方向内側に、成形用樹脂材Jの注入口とされたゲート跡Gmが形成されている。つまり、平面視で環状延設部54に重なる位置(側面視で環状延設部54の直下)にゲート跡Gm(ゲートGt:図9参照)が設けられている。
したがって、図9の金型92、94で示すように、円筒部53よりも径方向内側に設けられている係合ギア48直下のゲートGt(ゲート跡Gm)から注入された成形用樹脂材Jは、補強部材52の環状延設部54の下面に当たって、その流動が径方向内側方向と径方向外側方向へ分散される。そして、径方向外側方向へ流動した成形用樹脂材Jは、ゲートGt(ゲート跡Gm)よりも径方向外側の環状延設部36と、リールハブ32の円筒部34と、上フランジ38を成形する。
一方、径方向内側方向へ流動した成形用樹脂材Jは、ゲートGt(ゲート跡Gm)よりも径方向内側の環状延設部36と、更に貫通孔54Aを通って上側(係合ギア48側)へ流動し、係合ギア48と、立リブ35を成形する。したがって、立リブ35を成形するときの成形用樹脂材Jの樹脂圧は、ゲートGtから注入されたときよりも低減され、円筒部53の下端部53A側の内周面が、その成形用樹脂材Jによって径方向外側へ押圧されることが低減される。よって、円筒部53の下端部53Aが径方向外側へ変形するのを抑制又は防止することができ、リールハブ32の寸法精度を確保することができる。
また、これにより、環状延設部54の上面(表面)及び下面(表面)には樹脂層(環状延設部36)が形成される。つまり、この環状延設部54は、環状延設部36に埋設されるようになっている。したがって、係合ギア48よりも径方向外側の環状延設部36の上面36D(樹脂層)を、金型94から成形品を離型するときの突き出しピン(図示省略)の被押圧部とすることができる。これによれば、補強部材52の環状延設部54を被押圧部として突き出す場合に比べて、補強部材52及び突き出しピンの摩耗・劣化を防止することができる。
なお、図10、図11で示したように、環状延設部54に形成する貫通孔54Aの内径R3を、貫通孔37の内径R1と同一か、それよりも若干大径とし、その貫通孔54Aの近傍に形成された複数の貫通孔54Bから成形用樹脂材Jを流動させるようにすると、上記作用(効果)に加えて、環状延設部36の強度を向上させることができるので好ましい。
また、この場合、貫通孔54Bを形成する位置は、ゲートGt(ゲート跡Gm)の直上位置を除く、ゲートGt(ゲート跡Gm)よりも径方向内側とすることが望ましい。貫通孔54BがゲートGt(ゲート跡Gm)の直上に形成されていると、ゲートGtから注入された成形用樹脂材Jは、高い樹指圧で貫通孔54Bを通って環状延設部54の上面へ流動するため、円筒部53の下端部53Aが、その成形用樹脂材Jによって径方向外側へ押圧されて変形してしまう可能性があるからである。
さて、上記第1実施例では、リールハブ32と上フランジ38が一体成形されているリール30について説明したが、リールハブ32と下フランジ40が一体成形されている第2実施例のリール31の場合でも同様に適用可能である。そこで次に、第2実施例のリール31について説明するが、この第2実施例のリール31において、上記第1実施例のリール30と同等の部位には同じ符号を付して詳細な説明(作用も含む)は省略する。
図12、図13で示すように、このリール31は、リールハブ32と下フランジ40とが一体成形され、リールハブ32の上端部に、環状の上フランジ38が超音波溶着されて構成されている。上フランジ38の内周縁部には、リールハブ32の上端部における内周縁部に係合させる短筒部39が下方に向かって延設されており、その短筒部39の径方向外側にED41が略環状に形成されている。
したがって、上フランジ38をリールハブ32の上端面に溶着した際、溶融したED41がリールハブ32の外周面に漏出しないように、リールハブ32の上端面の外周縁部には、漏出防止壁33が環状に形成されている。そして、そのリールハブ32内に、補強部材52がインサート成形により設けられている。なお、図示しないが、補強部材52の円筒部53の一部は、リールハブ32の内周面から露出している。これは、金型96、98内において、補強部材52を支持するためである。
また、補強部材52の円筒部53の高さは、リールハブ32の高さとほぼ同じ高さとされている。そして、この円筒部53の下端部53Aは、係合ギア48が形成された底壁(底部)42の上面42Dよりも低位となるように(下端部53A全周が埋設されるように)下方に向かって延在されている。したがって、リールハブ32の強度をほぼ全高に亘って補強することができ、リールハブ32の剛性を高めることができる。
また、補強部材52の円筒部53の下端部53Aから径方向内側に向かって所定幅W3(リールプレート46の外周面との間に径方向において所定の間隙Sが形成される程度の幅)の環状延設部54が延設されている。そして、図13で示すように、円筒部53よりも径方向内側に形成されるリールギア44上に、成形用樹脂材Jの注入口とされたゲートGtが設けられている。
したがって、図13の金型96、98で示すように、リールギア44上のゲートGtから注入された成形用樹脂材Jは、補強部材52の環状延設部54の下面に当たって、その流動が径方向内側方向と径方向外側方向へ分散される。そして、径方向外側方向へ流動した成形用樹脂材Jは、ゲートGtよりも径方向外側の底壁42(リールギア44を含む)と、補強部材52の円筒部53よりも径方向外側のリールハブ32と、下フランジ40を成形する。
一方、径方向内側方向へ流動した成形用樹脂材Jは、ゲートGtよりも径方向内側の底壁42(リールギア44を含む)と、更に上記間隙Sを通って上側(係合ギア48側)へ流動し、係合ギア48と、補強部材52の円筒部53よりも径方向内側のリールハブ32と、クラッチ用ボス部56を成形する。そして更に、リールプレート46の小孔46Bへ入り込み、リールプレート46を底壁42に固着する。
したがって、円筒部53よりも径方向内側のリールハブ32を成形するときの成形用樹脂材Jの樹脂圧は、ゲートGtから注入されたときよりも低減され、円筒部53の下端部53A側の内周面が、その成形用樹脂材Jによって径方向外側へ押圧されることが低減される。よって、円筒部53の下端部53Aが径方向外側へ変形するのを抑制又は防止することができ、リールハブ32の寸法精度を確保することができる。
また、これにより、環状延設部54の上面(表面)及び下面(表面)には樹脂層(底壁42)が形成される。つまり、この環状延設部54は、底壁42に埋設されるようになっている。したがって、係合ギア48よりも径方向外側の底壁42の上面42D(樹脂層)を、金型98から成形品を離型するときの突き出しピン(図示省略)の被押圧部とすることができる。これによれば、補強部材52の環状延設部54を被押圧部として突き出す場合に比べて、補強部材52及び突き出しピンの摩耗・劣化を防止することができる。
なお、図12で示すように、第2実施例に係る補強部材52の板厚D1は、D1=1.0mmとされている。また、環状延設部54の幅W3は、成形用樹脂材Jの流動性と圧力損失との兼ね合いから(間隙Sを設ける観点から)、W3=3mmとされている。更に、リールハブ32の板厚D2は、成形用樹脂材Jの流動性と剛性確保の観点から、D2=1.0mm〜1.5mmとされており、第2実施例では、D2=1.5mmとされている。
また、この補強部材52は、アルミニウム又はアルミニウム合金、或いはステンレス等によって構成されており、第2実施例では、350[N/mm2]の耐力を有するアルミニウム材にて構成されている。この耐力は、リールハブ32の外周面に巻回される記録テープTの巻き締まり力(巻圧)に対して、リールハブ32の変形量が許容量以下となる(へたりが生じない)ように設定されている。
また、この第2実施例のリール31において、環状延設部54とリールプレート46とを一体としてもよい。すなわち、図14〜図17で示すように、補強部材52を透孔46Aが底部中央に形成された略コップ型形状としてもよい。但し、この場合、補強部材52には、SUS430等の磁性を帯びた材料を使用することが必要となる。そして更に、ゲートGt(ゲート跡Gm)から注入した成形用樹脂材Jが所望とする領域へ流動するように、図15で示すような溝部46Dや、図16、図17で示すような貫通孔54Cが必要となる。
具体的に説明すると、例えば図15で示すように、ゲートGt(ゲート跡Gm)が底壁42の下面中央とされたときには、リールプレート46の外面(表面)に複数(図示のものは3本)の溝部46Dを所定の間隔で(等間隔に)形成する。このような構成にすれば、ゲートGtから注入された成形用樹脂材Jは、溝部46Dを通ってリールギア44と、下フランジ40と、円筒部53よりも径方向外側のリールハブ32を形成することができる。また、この場合、ゲートGtから円筒部53の内周面までの距離が長くなるので、その内周面に達するまでに成形用樹脂材Jの樹脂圧は低減される。よって、円筒部53の下端部53Aが径方向外側へ変形するおそれはない。
また、例えば図16で示すように、ゲートGt(ゲート跡Gm)が底壁42の下面中央とされたときには、環状延設部54に複数(図示のものは3個)の貫通孔54Cを所定の間隔で(等間隔に)形成する。このような構成にすれば、ゲートGtから注入された成形用樹脂材Jは、環状延設部54の上面から貫通孔54Cを通って環状延設部54の下面へ流動することができ、これによって、リールギア44と、下フランジ40と、円筒部53よりも径方向外側のリールハブ32を形成することができる。
また、この場合、ゲートGtから円筒部53の内周面までの距離が長くなり、かつ、その内周面の近傍には、成形用樹脂材Jを環状延設部54の下面側へ流動させるための貫通孔54Cが複数形成されているので、その内周面に達する成形用樹脂材Jの樹脂圧は低減される。よって、円筒部53の下端部53Aが径方向外側へ変形するおそれはない。
また、例えば図17で示すように、ゲートGt(ゲート跡Gm)がリールギア44上に所定間隔を隔てて(等間隔に)複数(図示のものは3個)設けられるときには、環状延設部54に複数(図示のものは3個)の貫通孔54Cを所定の間隔で(等間隔に)形成するとともに、ゲートGtと貫通孔54Cとの位置を周方向にずらす(ゲートGtの直上に貫通孔54Cが存在しないように構成する)。
このような構成にすれば、ゲートGtから注入された成形用樹脂材Jは、環状延設部54の下面に当たって分散され、その下面側を流動するので、リールギア44と、下フランジ40と、円筒部53よりも径方向外側のリールハブ32を形成することができる。そして、その成形用樹脂材Jは、複数の貫通孔54Cを通って環状延設部54の上面側へ流動できるので、係合ギア48等を形成することができる。
また、この場合、ゲートGtから注入された成形用樹脂材Jは、環状延設部54の下面に当たって分散され、その後、複数の貫通孔54Aから環状延設部54の上面に流動するので、円筒部53の内周面に達する成形用樹脂材Jの樹脂圧は低減される。よって、円筒部53の下端部53Aが径方向外側へ変形するおそれはない。
また、上記図14〜図17で示すような構成にすれば、補強部材52がリールプレート46を兼用するので(環状延設部54とリールプレート46とが一体化されるので)、別途リールプレート46をインサート成形する必要がない。したがって、リール31の製造コストを低減することができる。
なお、上記実施例に係る補強部材52は、アルミニウム板を絞り加工した後、底部中央部分をプレス打ち抜き加工することで安価に成形できるが、鋳物など、別の手段で成形することも可能である。また、この補強部材52の板厚D1や材料等は、上記実施例に限定されるものではなく、リールハブ32の剛性を高められるものであれば(剛性が樹脂材より高ければ)、例えば非金属材であってもよい。
但し、補強部材52に、上記実施例のようなアルミニウム材などの腐食性を有する材料を用いた場合には、その表面にメッキ処理等の腐食防止加工(アルマイト処理)を施すことが望ましい。また、リール30を成形する樹脂材も、ポリカーボネート(PC)に限定されるものではなく、射出成形が可能な他の樹脂材であっても構わない。
更に、上記実施例では、ゲートGt(ゲート跡Gm)をリール30の下面側に設けているが、ゲートGt(ゲート跡Gm)を設ける位置は、ゲートGtから注入される成形用樹脂材Jの樹脂圧が、補強部材52の円筒部53の(下端部53A側における)内周面に直接伝わらないようにできれば、図示の位置に限定されるものではなく、例えばリール30の上面側に設ける構成としてもよい。
但し、ゲートGt(ゲート跡Gm)の位置が上下逆になると、突き出しピンの被押圧部の位置も上下逆になる。すなわち、第1実施例のリール30の場合には、環状延設部36の下面が被押圧部となり、第2実施例のリール31の場合には、底壁42の下面が被押圧部となる。
また、上記実施例では、リールハブ32と、上フランジ38又は下フランジ40とが一体成形される、いわゆる2ピース構造のリール30、31について説明したが、リールハブ32と上フランジ38と下フランジ40がそれぞれ別構成の、いわゆる3ピース構造のリール(図示省略)にも適用可能である。
また、上記実施例では、高記録密度の記録テープTが巻回されるために高精度な寸法形状が要求されるリール30を備えた、コンピューターバックアップ用の1リール型の記録テープカートリッジ10について説明したが、2リール型の記録テープカセット(図示省略)にも適用可能である。
また、上記実施例では、リーダー部材をリーダーブロック28としたが、リーダー部材は、これに限定されるものではなく、例えば円柱状とされたリーダーピン(図示省略)としてもよい。そして、その場合、ケース12に、開口18を開閉する遮蔽部材(所定の直線又は円弧に沿って移動するスライドドア等:図示省略)を備える構成としてもよい。
更に、記録テープTは、情報の記録及び記録した情報の再生が可能な長尺テープ状の情報記録再生媒体として把握されるものであれば足り、記録テープカートリッジ10(リール30)が如何なる記録再生方式の記録テープTにも適用可能であることは言うまでもない。
10 記録テープカートリッジ
12 ケース
30 リール
31 リール
32 リールハブ(ハブ)
34 円筒部
36 環状延設部(底部)
36D 上面(樹脂層/被押圧部)
38 上フランジ
40 下フランジ
42 底壁(底部)
42D 上面(樹脂層/被押圧部)
44 リールギア
46 リールプレート
46D 溝部
48 係合ギア
52 補強部材
53 円筒部
53A 下端部
54 環状延設部(底部)
54A〜54C 貫通孔
60 制動部材
84 クラッチ部材
92〜98 金型
Gm ゲート跡
Gt ゲート
T 記録テープ
12 ケース
30 リール
31 リール
32 リールハブ(ハブ)
34 円筒部
36 環状延設部(底部)
36D 上面(樹脂層/被押圧部)
38 上フランジ
40 下フランジ
42 底壁(底部)
42D 上面(樹脂層/被押圧部)
44 リールギア
46 リールプレート
46D 溝部
48 係合ギア
52 補強部材
53 円筒部
53A 下端部
54 環状延設部(底部)
54A〜54C 貫通孔
60 制動部材
84 クラッチ部材
92〜98 金型
Gm ゲート跡
Gt ゲート
T 記録テープ
Claims (3)
- 外周面に記録テープが巻回される有底円筒状の樹脂製のハブと、
前記ハブの円筒部から底部に架けてインサート成形によって設けられた補強部材と、
前記ハブの少なくとも底部における前記補強部材の表面に設けられた樹脂層と、
平面視で前記ハブの底部における前記補強部材に重なる位置に設けられたゲート跡と、
を備えたことを特徴とするリール。 - 前記樹脂層が、金型から離型するときの被押圧部を有することを特徴とする請求項1に記載のリール。
- 前記ハブの底部における前記補強部材が、ドライブ装置のマグネットに吸着されるリールプレートとされていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のリール。
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JP2016091577A (ja) * | 2014-11-04 | 2016-05-23 | 日立マクセル株式会社 | テープカートリッジ |
-
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- 2007-09-26 JP JP2007250074A patent/JP2009080900A/ja active Pending
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