JP4795192B2 - リール - Google Patents

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Description

本発明は、主にコンピューター等の記録再生媒体として使用される磁気テープ等の記録テープが巻装されるリールに関する。
従来、コンピューター等のデータ記録再生媒体(データバックアップ)として使用される磁気テープ等の記録テープを合成樹脂製のリールに巻装し、そのリールをケース内に単一で収容してなる記録テープカートリッジが知られている。このような記録テープカートリッジにおいて、記録テープが巻回されるリールの寸法形状には高精度が要求される(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、リールは、樹脂材で成形されているため、成形時において誤差が生じやすい。例えばハブと下フランジが一体に成形されるリールでは、ハブの上端が自由端になるため、ハブの上下で強度が異なる。また、ハブと上フランジが一体に成形されるリールでは、ハブの強度が確保されるが、環状のリールギアが形成される底壁において、樹脂の応力分布が均一にならない場合がある。
すなわち、ブレーキ部材の制動を解除する解除部材の脚部が挿通可能な孔部が、リールギアの一部を欠いて形成されているリール(例えば、特許文献2参照)では、その孔部が形成されている(リールギアの歯が無い)エリアと、リールギアの歯が形成されているエリアとでは、リールギアの歯の分だけ厚さに差が生じてしまう。そのため、樹脂の応力分布が均一にならず、樹脂の収縮差による変形が生じてしまうおそれがある。そして、これにより、底壁側に設けられる下フランジの面振れ幅が増大化してしまう問題がある。
特開2005−50487号公報 特開2006−228350号公報
そこで、本発明は、このような問題点に鑑み、底壁に形成されるリールギアに、部分的に歯の無いエリアが形成されていても、その底壁における樹脂の収縮差を緩和でき、フランジの面振れ幅を抑制できるリールを得ることを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明に係る請求項1に記載のリールは、記録テープが巻装される円筒状のハブと、前記ハブの一方の端部に設けられる第1フランジと、前記ハブの他方の端部に設けられる第2フランジと、所定の円周上に沿って形成されるとともに歯の無いエリアが部分的に形成されるリールギアを備えた底壁と、を有するリールにおいて、前記リールギアの歯の無いエリアにおける前記底壁の厚さが、該底壁全体の厚さが均一化されるように、前記リールギアの歯が形成されているエリアにおける前記底壁の厚さよりも厚く形成されていることを特徴としている。
請求項1に記載の発明によれば、底壁に形成されるリールギアに、部分的に歯の無いエリアが形成されていても、リールギアを含む底壁全体の厚さを均一化できるので、底壁における樹脂の応力分布を略均一にできる。したがって、樹脂の収縮差を緩和することができ、フランジの寸法精度を高精度に維持できる。よって、フランジの面振れ幅を抑制することができる。
また、請求項2に記載のリールは、請求項1に記載のリールにおいて、前記第1フランジが、前記ハブの一方の端部周縁に一体に延設され、前記第2フランジが、前記底壁を有して、前記ハブの他方の端部に溶着されることを特徴としている。
請求項2に記載の発明によれば、ハブの強度を確保しつつ、底壁における樹脂の応力分布を略均一にできる。したがって、樹脂の収縮差を更に緩和することができ、フランジの寸法精度を高精度に維持できる。
また、請求項3に記載のリールは、請求項1又は請求項2に記載のリールにおいて、前記リールギアの歯の無いエリアが等間隔に複数形成されていることを特徴としている。
請求項3に記載の発明によれば、底壁における樹脂の応力分布を略均一にできる。したがって、樹脂の収縮差を緩和することができ、フランジの寸法精度を高精度に維持できる。
以上のように、本発明によれば、底壁に形成されるリールギアに、部分的に歯の無いエリアが形成されていても、その底壁における樹脂の収縮差を緩和でき、フランジの面振れ幅を抑制できるリールを提供することができる。
以下、本発明の最良な実施の形態について、図面に示す実施例を基に詳細に説明する。まず最初に、記録テープカートリッジ10の概略構成について説明する。なお、説明の便宜上、記録テープカートリッジ10のドライブ装置への装填方向を矢印Aで示し、それを記録テープカートリッジ10の前方向(前側)とする。そして、矢印A方向と直交する方向を矢印Bで示し、それを記録テープカートリッジ10の右方向(右側)とする。
図1〜図3で示すように、記録テープカートリッジ10は、ケース12を備えている。ケース12は、上ケース14と下ケース16とを接合して構成されている。具体的には、上ケース14は、平面視略矩形状の天板14Aの外縁に沿って略枠状の周壁14Bが立設されて構成されており、下ケース16は、天板14Aに略対応した形状の底板16Aの外縁に沿って略枠状の周壁16Bが立設されて構成されている。そして、ケース12は、周壁14Bの開口端と周壁16Bの開口端とを突き当てた状態で、超音波溶着やビス止め等によって上ケース14と下ケース16とが接合されて、略矩形箱状に形成されている。
このケース12には、ドライブ装置への装填方向先頭側の隅角部において、天板14A、周壁14B、底板16A、周壁16Bがそれぞれ切り欠かれて、その装填方向に対して傾斜した開口18が形成されている。また、底板16Aの略中央部には、底板16Aを貫通する円形状のギア開口20が設けられており、後述するリールギア44の露出用とされている。底板16Aにおけるギア開口20の縁部には、環状リブ22がケース12の内方へ向けて突設されており、後述するリール30の位置決め用及び防塵用とされている。
また、ケース12の底板16Aの外面における前端近傍には、一対の位置決め穴24、26が開口している。一対の位置決め穴24、26は、底板16Aからケース12内方に立設された突部(図示省略)内に袋状に設けられ、矢印B方向における仮想線上で互いに離隔して配置されている。そして、開口18に近い側の位置決め穴24は、ドライブ装置の位置決めピン(図示省略)に外接する底面視略正方形状とされ、位置決め穴26は、上記仮想線に沿って長手で、かつ幅が位置決めピンの直径に対応する長穴とされている。したがって、記録テープカートリッジ10がドライブ装置に装填されて位置決め穴24、26にそれぞれ位置決めピンが挿入されると、ドライブ装置内で水平方向(左右及び前後)に正確に位置決めされる構成である。
更に、底板16Aにおける位置決め穴24、26周りは、他の部分(意匠面)よりも平滑に仕上げられた基準面24A、26Aとされている。基準面24A、26Aは、位置決め穴24、26に位置決めピンが挿入されたときに、位置決めピン周りに設けられたドライブ装置の基準面(図示省略)に当接するようになっている。これにより、記録テープカートリッジ10のドライブ装置内における鉛直方向の位置決めがなされる構成である。
また、ケース12内には、図2、図3で示すように、後述するリール30が1つだけ回転可能に収容される。このリール30には、磁気テープ等の記録テープTが巻装されており、図1で示すように、記録テープTの先端には、リーダー部材としてのリーダーブロック28が取り付けられている。リーダーブロック28は、記録テープカートリッジ10の不使用時には、ケース12の開口18の内側に収容保持されている。そして、この状態で、リーダーブロック28は、開口18を閉塞し、ケース12内への塵埃等の侵入を阻止している。
また、リーダーブロック28は、その先端に係合凹部28Aが形成されており、ドライブ装置内で記録テープTを引き出す際には、係合凹部28Aに係合する引出手段(図示省略)によってケース12から引き出されてドライブ装置の巻取リール(図示省略)に誘導されるようになっている。更に、リーダーブロック28は、その係合凹部28Aとは反対側の端面が円弧面28Bとされており、巻取リールのリールハブに嵌入されることにより、記録テープTを巻き取る巻取面の一部を構成するようになっている。
次に、リール30及び不使用時にリール30の回転を阻止する制動手段について説明する。図4〜図7、図10、図11で示すように、リール30は、その軸心部を構成する略円筒状のリールハブ32を備えている。リールハブ32は、外周面に記録テープTが巻装される円筒部34と、円筒部34の下端部からリールハブ32の中心に向かって所定幅で一体に環状に延設された環状延設部36(中心に貫通孔37を有する底壁)とを有している。
なお、環状延設部36の外周縁部には、所定高さ下方に突出する環状突起35が形成され、その環状突起35の内周面側は、テーパー面35Aとされている。また、環状突起35を含む環状延設部36の幅W(図7参照)は、リールハブ32の外径から、後述するクラッチ用ボス部54の外径を減算した大きさとされている。つまり、リールハブ32の底壁中央には、クラッチ用ボス部54が嵌挿可能な貫通孔37が形成されている。そして、その底壁である環状延設部36の幅Wは、係合ギア48及び立リブ52が余裕を持って形成できる程度とされている。
また、環状延設部36の下面で、かつリールハブ32の中心側には、被係合部としての環状凹部36Aが所定深さで形成されている。そして、その環状凹部36Aには、径方向にその面積が略矩形状に拡開された拡開凹部36Bが、所定間隔を隔てて(等間隔に)複数個(図示のものは3個)形成されており、その拡開凹部36Bに、樹脂材の注入口とされたゲートGが形成されている。また、リールハブ32の上端部周縁には、上フランジ38が、その径方向外側に向かって同軸的かつ一体に延設されている。つまり、リールハブ32と上フランジ38は樹脂材により一体成形されている。
一方、リールハブ32の下端部には、後述するリールプレート46が固着された下フランジ40が接合(溶着)されるようになっている。図4、図5、図8〜図11で示すように、下フランジ40は、その外径が上フランジ38の外径と同径とされ、軸心部にはリールハブ32の外径から環状突起35の幅D分、小径とされた外径を有する底壁42が形成されている。なお、底壁42の外周面側は、テーパー面35Aに当接可能なテーパー面42Cとされている。
また、底壁42の上面で、かつ中心側には、環状凹部36Aに係合する係合部としての環状凸部42Aが所定高さで形成されており、環状凸部42Aの外周部には、拡開凹部36Bに嵌合する略矩形状(平面視で後述するエリア44Aの形状と略同形状)の拡開凸部42Bが、所定間隔を隔てて(等間隔に)複数個(図示のものは3個)径方向に形成されている。この拡開凸部42Bの直下(下フランジ40の下面側)の後述するリールギア44上に、樹脂材の注入口とされたゲートGが形成されており、ゲートGが形成されているエリア44Aには、リールギア44の歯が形成されないようになっている。
また、図8〜図11で示すように、後述するリールプレート46の存在領域内(外周縁部46Bと内周縁部46Cとの間)における環状凸部42Aの上面の所定位置には、超音波溶着用のリブであるエネルギーダイレクター(以下「ED」という)41が等間隔に複数個(図示のものは9個)環状に突設されている。したがって、リールハブ32の環状延設部36の下面に下フランジ40の底壁42の上面を溶着する際には、拡開凸部42Bに拡開凹部36Bを嵌合させて、ED41を溶融することにより、リールハブ32に対して下フランジ40(後述するリールギア44)を位置決めしつつ、環状凹部36Aと環状凸部42Aとを溶着できる。これにより、上フランジ38と下フランジ40との対向面間において、リールハブ32の円筒部34の外周面に記録テープTが巻回可能とされる。
また、図9で示すように、下フランジ40における底壁42の下面(外面)には、リールハブ32に接合したときに、そのリールハブ32と同軸的な環状となるリールギア44が所定の円周上に沿って形成されている。リールギア44は、図2、図3で示すドライブ装置の回転シャフト100の先端に設けられた駆動ギア108と噛合可能とされている。このリールギア44は、その歯先が下フランジ40の下面よりも下方へ突出するとともに、歯底が下フランジ40の下面よりも上側に位置しており、各歯の径方向外端部分が歯高方向中央部から歯底にかけて下フランジ40に連続するテーパー部43によって連結されている。
また、リールギア44の所定部位(拡開凸部42Bの直下)には、上記したように、樹脂材の注入口とされたゲートGが複数個(図示のものは3個)、そのリールギア44の一部を欠いて(部分的に)形成されており、そのゲートGが形成されているエリア44Aは、リールギア44の歯の無いエリア44Aとされている。そして、図10で示すように、そのリールギア44の歯の無いエリア44Aにおける底壁42の板厚(厚さ)H1が、拡開凸部42Bによって、リールギア44の歯が形成されているエリア44Bにおける底壁42の板厚(厚さ)H2よりも厚くなるように構成されている。
なお、ここで言う底壁42の板厚H1、H2には、リールギア44の厚さ(高さ)は含まれない(図10参照)。また、拡開凸部42Bによって厚くする量は、欠けている歯の分とされ、拡開凸部42Bの形状は、平面視でエリア44Aの形状と略同一、好ましくは同一とされる。つまり、この拡開凸部42Bは、リールギア44を含む底壁42全体の厚さを均一化できる程度に形成される。
更に、リールギア44の内側には、磁性材料でできた環状金属板であるリールプレート46が、インサート成形によって下フランジ40の底壁42に同軸的かつ一体的に固着されている。リールプレート46には、固着部としての小孔56が、周方向に所定間隔を隔てて複数個(図示のものは4個)形成されており、その小孔56の内周面には、下側の開口径が上側の開口径よりも大径となるような段差部(図示省略)が形成されている。したがって、このリールプレート46は、図示しない金型内にセットされた後、樹脂材が小孔56内に入り込み、その樹脂材が段差部の下面に回り込んで固化されることにより、底壁42に固着される。
また、下フランジ40における底壁42の中央(軸心部)には、後述するクラッチ部材84を挿通させる貫通孔50が形成されており、その貫通孔50の縁部に沿って、ガイド壁部としての短円筒状のクラッチ用ボス部54が上方に向かって立設されている。このクラッチ用ボス部54については、後述するクラッチ部材84と共に説明する。なお、リールプレート46の軸心部は透孔46Aとされており、図10、図11で示すように、透孔46Aの内径は貫通孔50の内径よりも僅かに小さく形成されている。
また、図6で示すように、リールハブ32に形成された環状延設部36の上面には、リールハブ32と同軸的な環状とされた係合ギア48が形成されている。係合ギア48は、後述するブレーキ部材60の制動ギア66と噛合可能とされている。また、係合ギア48の径方向外側には、それぞれリール30の軸線方向に沿って、円筒部34の内面及び環状延設部36の上面に連続する立リブ52が、周方向に等間隔で複数個(図示のものは6個)設けられている。この立リブ52の存在により、係合ギア48は、リールギア44よりも径方向内側に位置することになる。なお、立リブ52については、ブレーキ部材60と共に後述する。
また、図2、図3で示すように、リール30はケース12に収容されており、不使用時には環状リブ22上に載置されるようになっている。具体的には、リール30は、底壁42におけるテーパー部43の外側部分が環状リブ22の上端面に当接するようになっており、環状リブ22の上端内縁部がテーパー部43に対応したテーパー面22Aとされることで、径方向の移動が規制されている。そして、そこからの塵埃等の侵入を抑止する構成になっている。
この状態で、リール30は、全体としてケース12内に位置してリールギア44、リールプレート46をギア開口20から露出させている(図1(B)参照)。すなわち、リールギア44は、底板16Aの外面(下面)から突出することなく、ギア開口20からケース12外に臨んでいる。また、リールプレート46の透孔46Aを通じて貫通孔50がギア開口20に臨んでいる。
これにより、ケース12の外部よりリール30の操作、即ちチャッキング(保持)及び回転駆動が可能とされている。また、この状態で、リール30の円筒部34(リールハブ32)の上部には、天板14Aから立設された環状の規制リブ58が入り込んでいる。規制リブ58は、その外周面を円筒部34(リールハブ32)の内周面に近接させており、ケース12内におけるリール30のガタつきを防止する構成である。
また、記録テープカートリッジ10は、不使用時にリール30の回転を阻止する制動手段としてのブレーキ部材60を備えている。ブレーキ部材60は基部62を有しており、その基部62は、下方に開口した略有底円筒状に形成されている。基部62の外周部における軸線方向中間部からは、環状に形成された平板部64が全周に亘り径方向外側に延設されており、平板部64の下面には、全周に亘り制動ギア66が設けられている。すなわち、制動ギア66は、全体として環状に形成されており、リール30の係合ギア48と噛合可能に構成されている。
また、基部62の下面における軸心部には摺接突部68が突設されている。摺接突部68は、その先端部が略球面状に形成されており、後述するクラッチ部材84と略点接触するようになっている。一方、基部62の上面には、内部に平面視略十字状に溝が形成された十字突起70が立設されている。また、基部62の上面には環状のリブ72が立設されており、リブ72と十字突起70との間の上面が、後述する圧縮コイルスプリング76の一端部が当接するバネ受面74とされている。
このようなブレーキ部材60は、リールハブ32の円筒部34内に、上下方向(リール30の軸線方向)に移動可能に、かつ略同軸的に挿設されている。すなわち、ブレーキ部材60は、上下方向に移動することで、その制動ギア66をリールハブ32の係合ギア48と噛合する位置(回転ロック位置)と、その噛合を解除する位置(回転許容位置)とを取り得るようになっている。
また、ブレーキ部材60の十字突起70の溝内には、ケース12の天板14Aから下方へ突設された十字リブ80が入り込むようになっている。十字リブ80は、2つの薄板片を互いに直交するように交差させた回り止め形状とされ、十字突起70の溝壁と係合することで、ブレーキ部材60のケース12に対する回転を阻止するようになっている。したがって、ブレーキ部材60は、その制動ギア66をリールハブ32の係合ギア48と噛合させた状態で、リール30の回転を阻止できる。
なお、十字リブ80は、ブレーキ部材60の上下方向の全移動ストロークに亘って溝内に入り込んだ状態が維持されるようになっており、ブレーキ部材60の移動方向を上下方向にガイドする機能も果たす構成である。また、ブレーキ部材60は、回転ロック位置に位置するときには、リール30の立リブ52によって径方向の移動が規制され、回転許容位置に位置するときには、リール30と共に回転する立リブ52と干渉しないように構成されている。
つまり、立リブ52は、回転ロック位置に位置するブレーキ部材60の平板部64の外周縁に近接して位置するようになっており、かつ回転許容位置に位置するブレーキ部材60の外周縁との間隔が所定値以上となるように、その上部が切り欠かれている。これにより、リール30は、ケース12に直接的に移動規制されるのみならず、その重心位置近傍において、ブレーキ部材60を介してケース12に対する径方向の移動が規制されるようになっており、縦置きされた(リール30の軸線を水平方向とする)ドライブ装置にも安定して装填可能とされている。
また、ブレーキ部材60のバネ受面74と天板14Aとの間には、広義には付勢手段として把握される圧縮コイルスプリング76が配設されている。圧縮コイルスプリング76は、その一端部がバネ受面74に当接するとともに、他端部が天板14Aに当接しており、この他端部は天板14Aにおける十字リブ80の外側に突設された環状壁部78の内側に位置して、径方向に位置ずれしないようになっている。
この圧縮コイルスプリング76の付勢力によって、ブレーキ部材60が下方に付勢され、通常は制動ギア66を係合ギア48に噛合させてリール30の不用意な回転を確実に防止する構成である(ブレーキ部材60を回転ロック位置に位置させる構成である)。また、この付勢力によって、係合ギア48においてブレーキ部材60と噛合しているリール30も下方に付勢され、環状リブ22に当接されてケース12内でガタつかないようになっている。
また、記録テープカートリッジ10は、ブレーキ部材60によるリール30のロック状態を解除するときに外部から操作される解除部材としてのクラッチ部材84を備えている。クラッチ部材84は、リールギア44がドライブ装置の駆動ギア108に噛合する動作に伴って、後述するドライブ装置の解除突部110に押圧されて上方へ移動するようになっており、リール30の底壁42とブレーキ部材60との間に配設されている。
すなわち、このクラッチ部材84は、透孔46A及び貫通孔50に挿通される略円柱状に形成され、その外径がリールプレート46の透孔46A、即ちクラッチ用ボス部54の内径と一致する貫通孔50の内径よりも若干小さくされている。また、このクラッチ部材84は、その平坦な軸心部上端面が、ブレーキ部材60の摺接突部68と常に当接する摺接面86とされ、下方に開口して設けられた肉抜き穴周りの平坦な下端面が、押圧操作面88とされている。したがって、クラッチ部材84は、その押圧操作面88が押圧されると、圧縮コイルスプリング76の付勢力に抗して上方へ移動し、ブレーキ部材60を回転許容位置へ移動させる構成である。
また、このクラッチ部材84は、その外周面よりも径方向外側に張り出した回転規制リブ90を備えている。回転規制リブ90は、クラッチ部材84の周方向に等間隔で複数個(本実施形態では6個)設けられ、各回転規制リブ90は平面視で放射状に配置されている。そして、各回転規制リブ90は、クラッチ部材84の摺接面86周りの上端面と、その上端面近傍の外周面とに跨る(それぞれに連続する)ように、摺接面86よりも上方に突出している。
また、各回転規制リブ90は、それぞれクラッチ用ボス部54の内縁部に凹設された回転規制溝82(図4、図8、図10、図11参照)に入り込むようになっている。すなわち、各回転規制溝82は、クラッチ用ボス部54の周方向に等間隔で6つ設けられており、クラッチ用ボス部54の上端で上方に開口している。これにより、クラッチ部材84は、その回転規制リブ90において、クラッチ用ボス部54の回転規制溝82にガイドされつつ、上下方向の移動が可能とされている。
また、各回転規制リブ90は、クラッチ部材84が上方に移動してブレーキ部材60を回転許容位置に位置させるときにも、クラッチ用ボス部54の回転規制溝82に入り込んだ状態を維持するようになっている。これにより、クラッチ部材84は、リール30に対する相対回転不能、即ち常にリール30と一体に回転する構成とされている。また、各回転規制溝82がクラッチ用ボス部54の下端部において閉塞されていることから、回転規制リブ90と回転規制溝82とによって、クラッチ部材84のリールハブ32からの脱落が防止されている。
なお、図2、図3で示すように、ドライブ装置の回転シャフト100は、回転軸102を備えており、回転軸102の上端には、円板状の回転テーブル104が一体に延設されている。回転テーブル104の上面で、かつ外周縁部には、記録テープカートリッジ10のリールギア44と噛合可能な駆動ギア108が環状に形成されている。また、回転テーブル104の上面で、駆動ギア108の径方向内側には、略円板状に形成されたマグネット106が同軸的に配設されており、回転テーブル104の軸心部には、クラッチ部材84の押圧操作面88に当接する解除突部110が形成されている。
次に、以上のような構成のリール30を備えた記録テープカートリッジ10の作用について説明する。記録テープカートリッジ10では、不使用時には、圧縮コイルスプリング76の付勢力によって、ブレーキ部材60が回転ロック位置に位置して制動ギア66を係合ギア48に噛合させている。このため、リール30は、ケース12に対する回転が阻止されている。このとき、リール30のリールギア44がギア開口20から露出するとともに、クラッチ部材84が貫通孔50、透孔46Aに挿通されてギア開口20に臨んでいる。
一方、記録テープTを使用する際には、記録テープカートリッジ10を矢印A方向に沿ってドライブ装置のバケット(図示省略)へ装填する。そして、記録テープカートリッジ10がバケットに所定深さまで装填されると、バケットは下降し、ドライブ装置の回転シャフト100がケース12のギア開口20に向って相対的に接近(上方へ移動)してリール30を保持する。具体的には、回転シャフト100は、マグネット106によって非接触でリールプレート46を吸着保持しつつ、その駆動ギア108をリールギア44と噛合させる。
このリールギア44と駆動ギア108との噛合、即ちケース12に対する回転シャフト100の軸方向近接側の相対移動に伴って、回転シャフト100の解除突部110がクラッチ部材84の押圧操作面88に当接し、圧縮コイルスプリング76の付勢力に抗してクラッチ部材84を上方に押し上げる。これにより、摺接突部68においてクラッチ部材84に当接しているブレーキ部材60も上方に移動し、制動ギア66と係合ギア48との噛合が解除されるとともに、リール30に対する相対的な回転許容位置へ移動する。
すなわち、回転シャフト100が上方へ相対移動すると、圧縮コイルスプリング76の付勢力に抗して、リール30がクラッチ部材84、ブレーキ部材60と共に(相対位置を変化させないまま)上方に持ち上げられ、ブレーキ部材60が(ケース12に対する)回転許容位置へ達するとともに、下フランジ40が環状リブ22(テーパー面22A)から離隔する。これにより、リール30は、ケース12内で浮上して、ケース12の内面と非接触状態で回転可能となる。
また、このとき、バケット、即ち記録テープカートリッジ10のドライブ装置内での下降によって、ケース12の各位置決め穴24、26にそれぞれドライブ装置の位置決めピンが入り込むとともに、ケース12の各基準面24A、26Aにドライブ装置の基準面が当接する。これにより、記録テープカートリッジ10は、ドライブ装置に対する水平方向及び鉛直方向が位置決めされる。すると、ドライブ装置の引出手段が、リーダーブロック28の係合凹部28Aに係合しつつ、そのリーダーブロック28をケース12から抜き出してドライブ装置の巻取リールに誘導する。
そして、リーダーブロック28は、巻取リールのリールハブに嵌入されて、その円弧面28Bが記録テープTを巻き取る巻取面の一部を構成する。この状態で、リーダーブロック28が巻取リールと一体に回転すると、記録テープTが巻取リールのリールハブに巻き取られつつ、開口18を通じてケース12から引き出される。なお、このとき、記録テープカートリッジ10のリール30は、リールギア44に噛合する駆動ギア108によって伝達される回転シャフト100の回転力によって、巻取リールと同期して回転する。
そして、ドライブ装置の所定のテープ経路に沿って配設された記録再生ヘッド(図示省略)により、記録テープTへの情報の記録、又は記録テープTに記録された情報の再生がなされる。なお、このとき、ケース12に対して回転不能であるブレーキ部材60の摺接突部68は、リール30と共にケース12に対して回転するクラッチ部材84の摺接面86と摺接している。つまり、クラッチ部材84は、リールギア44が駆動ギア108と噛合している状態では、その押圧操作面88における解除突部110との当接状態が維持されて、ブレーキ部材60を回転許容位置に保持する構成である。
そして、リール30の回転時には、リール30と一体に回転するクラッチ部材84とリール30を駆動する回転シャフト100との間には相対回転がなく、押圧操作面88と解除突部110とは互いに摺接することがない構成であり、クラッチ部材84の摺接面86と、ケース12に対して回転不能なブレーキ部材60の摺接突部68とが互いに摺接する構成になっている。このように、回転軸102とクラッチ部材84との間には相対回転がないため、解除突部110や押圧操作面88が摩耗されるような不具合はない。
一方、記録テープTへの情報の記録、又は記録テープTに記録された情報の再生が終了すると、記録テープTがリール30に巻き戻されて、リーダーブロック28がケース12の開口18近傍に保持される。そして、記録テープカートリッジ10が装填されたバケットが上昇する。すると、リールギア44と駆動ギア108との噛合が解除されるとともに、解除突部110とクラッチ部材84の押圧操作面88との当接が解除され、クラッチ部材84が圧縮コイルスプリング76の付勢力によってブレーキ部材60と共に(当接状態を維持しつつ)下方へ移動する。
これにより、ブレーキ部材60の制動ギア66が係合ギア48と噛合し、ブレーキ部材60がケース12に対してリール30の回転を阻止する回転ロック位置へ復帰する。また、ブレーキ部材60とクラッチ部材84が圧縮コイルスプリング76の付勢力によって移動する動作に伴って、リール30も下方へ移動して、その下フランジ40を環状リブ22に当接させつつ、リールギア44をギア開口20から露出させる初期状態に復帰する。この状態で、記録テープカートリッジ10がドライブ装置(バケット)から排出される。
ここで更に、リール30について説明する。リール30は、上フランジ38とリールハブ32とが一体成形され、その上フランジ38が一体成形されたリールハブ32に、底壁42を有する下フランジ40が溶着されることによって作製される。下フランジ40の底壁42の下面(外面)側には、予めリールプレート46がインサート成形によって固着されている。つまり、段差部を有する小孔56内に樹脂材が入り込んで固化することにより、リールプレート46が底壁42の下面(外面)に一体的に固着されている。
下フランジ40をリールハブ32に溶着する際には、まず、下フランジ40の溶着面(ED41が設けられている面であり、この場合は環状凸部42Aの上面)直下のリールプレート46の所定領域(平坦領域)を受け台(図示省略)で支持する。そして、下フランジ40の底壁42中央に突設されているクラッチ用ボス部54を、上フランジ38が一体成形されたリールハブ32の底壁中央に形成されている貫通孔37に嵌挿しつつ、また、拡開凸部42Bに拡開凹部36Bをそれぞれ嵌合させつつ、環状凹部36Aに環状凸部42Aを嵌合し、そのリールハブ32の被溶着面(ED41が設けられていない面であり、この場合は環状凹部36Aの下面)を、下フランジ40の溶着面に突設されているED41に接触させる。
次いで、ホーン(図示省略)を係合ギア48よりも径方向内側(リール30の中心側)の環状延設部36の上面に当接させ、そのホーンから発生される超音波によって、ED41を溶融する。これにより、リールハブ32に下フランジ40が溶着され、リール30が製造されるが、下フランジ40の溶着面において、ED41が設けられる領域は、リールプレート46の存在領域内とされる。すなわち、例えば図8、図9で示すように、平面視又は底面視で、リールプレート46の外周縁部46Bと内周縁部46Cとの間とされる。
このように、リールハブ32(環状凹部36A)と下フランジ40(環状凸部42A)との接合箇所(溶着部位)の直下に、リールプレート46が介在するように構成されていると、リールハブ32が、記録テープTの巻き締まりによって変形されようとしても、剛性が高い金属製のリールプレート46で、その変形を抑止することができる。したがって、下フランジ40の変形(撓み)を抑制することができ、それに伴って、リールハブ32の変形が抑制される(剛性を向上させられる)ため、上フランジ38の変形(撓み)も抑制することができる。
つまり、リールプレート46の存在領域内(外周縁部46Bと内周縁部46Cとの間)をリールハブ32と下フランジ40も溶着部位とすると、リールハブ32に記録テープTを巻回して行ったときに生じる巻き締まりにより、上フランジ38及び下フランジ40が変形して記録テープTに接触するような不具合の発生を防止することができる。なお、リールハブ32の内部構造等により、リールプレート46の存在領域内で、リールハブ32と下フランジ40を溶着することが困難な場合でも、リールプレート46の外周縁部46Bに可能な限り近づけた位置で溶着すれば、ある程度は、下フランジ40の変形量を低減させる(撓み角を小さくする)ことができる。
また、リールハブ32に下フランジ40を溶着する際には、リールハブ32の環状延設部36に形成された環状凹部36A及び拡開凹部36Bに、下フランジ40の底壁42に形成された環状凸部42A及び拡開凸部42Bを嵌合させるので、下フランジ40の底壁42に形成されているリールギア44に対するリールハブ32の位置決めができる。このように、リールプレート46の直下で位置決めができると、環状凹部36A(拡開凹部36Bを含む)と環状凸部42A(拡開凸部42Bを含む)とのクリアランスを小さくしても(例えば0.05mm以下にしても)、リールハブ32の巻き締まり変形による上フランジ38及び下フランジ40の変形(撓み)を防ぐことができる。
したがって、リールギア44に対するリールハブ32の位置決め精度を向上させることができ、リールギア44とリールハブ32の同軸度を好適に確保することができる。なお、拡開凸部42Bに拡開凹部36Bを嵌合させることで、下フランジ40とリールハブ32の相対回転が防止される効果もある。また、上記実施形態のリール30では、ED41を下フランジ40の環状凸部42Aに突設する構成としたが、ED41は、リールハブ32の環状凹部36Aに突設する構成としてもよい。
また、下フランジ40において、底壁42の下面側に、リールギア44の歯が一部欠落しているエリア44Aが、等間隔に複数個(図示のものは3個)形成され、その歯が無いエリア44Aに樹脂材の注入口とされたゲートGが形成されている。そして、そのゲートGが形成されている(リールギア44の歯が無い)エリア44Aにおける底壁42の板厚H1が、リールギア44の歯が形成されているエリア44Bにおける底壁42の板厚H2よりも、所定量(欠落している歯の分)厚くなるように、そのエリア44Aの直上(下フランジ40の上面側)に、平面視でエリア44Aと略同形状となる拡開凸部42Bが形成されている。
したがって、底壁42の下面側に、所定の円周上に沿って形成されるリールギア44に、部分的に歯が無いエリア44Aが形成される構成のリール30であっても、リールギア44を含む底壁42全体の厚さを均一化することができ、底壁42における樹脂の応力分布を略均一にすることができる。つまり、これにより、樹脂の収縮差を緩和することができ、下フランジ40の寸法精度を高精度に維持することができる。よって、下フランジ40の面振れ幅を抑制することができる。
なお、リールハブ32の底壁にリールギア44が形成され、そのリールハブ32の底壁に環状の下フランジ40が溶着されるリール(図示省略)の場合は、リールハブ32の寸法精度を高精度に維持できる。したがって、この場合も同様に、下フランジ40の面振れ幅を抑制することができる。また、ゲートGが形成されているエリア44Aの直上(下フランジ40の上面側)に、拡開凸部42Bとは別の凸部(図示省略)を形成し、そのエリア44Aにおける底壁42の板厚H1を、リールギア44の歯が形成されているエリア44Bにおける底壁42の板厚H2よりも厚くする構成にしてもよい。
更に、上記実施形態の記録テープカートリッジ10では、リーダー部材としてリーダーブロック28を有する構成としたが、記録テープカートリッジ10は上記実施形態に限定されるものではなく、例えばリーダー部材として円柱状とされたリーダーピン(図示省略)を有する構成としてもよく、開口18を開閉する遮蔽部材(所定の直線又は円弧に沿って移動するスライドドア等:図示省略)を有する構成としてもよい。また、記録テープTは、情報の記録及び記録した情報の再生が可能な長尺テープ状の情報記録再生媒体として把握されるものであれば足り、記録テープカートリッジ10(リール30)が如何なる記録再生方式の記録テープTにも適用可能であることは言うまでもない。
(A)記録テープカートリッジを上方から見た概略斜視図、(B)記録テープカートリッジを下方から見た概略斜視図 記録テープカートリッジのリールが回転ロック位置にあるときの概略断面図 記録テープカートリッジのリールが回転許容位置にあるときの概略断面図 リールを上方から見た概略分解斜視図 リールを下方から見た概略分解斜視図 上フランジとリールハブの概略平面図 上フランジとリールハブの概略底面図 下フランジの概略平面図 下フランジの概略底面図 リールの概略分解断面図 リールの概略断面図
符号の説明
10 記録テープカートリッジ
12 ケース
30 リール
32 リールハブ
34 円筒部
35 環状突起
36 環状延設部
36A 環状凹部
36B 拡開凹部
37 貫通孔
38 上フランジ(第1フランジ)
40 下フランジ(第2フランジ)
42 底壁
42A 環状凸部
42B 拡開凸部
44 リールギア
44A エリア
44B エリア
46 リールプレート
46A 透孔
46B 外周縁部
46C 内周縁部
48 係合ギア
50 貫通孔
54 クラッチ用ボス部
56 小孔
60 ブレーキ部材
84 クラッチ部材
T 記録テープ

Claims (3)

  1. 記録テープが巻装される円筒状のハブと、
    前記ハブの一方の端部に設けられる第1フランジと、
    前記ハブの他方の端部に設けられる第2フランジと、
    所定の円周上に沿って形成されるとともに歯の無いエリアが部分的に形成されるリールギアを備えた底壁と、
    を有するリールにおいて、
    前記リールギアの歯の無いエリアにおける前記底壁の厚さが、該底壁全体の厚さが均一化されるように、前記リールギアの歯が形成されているエリアにおける前記底壁の厚さよりも厚く形成されていることを特徴とするリール。
  2. 前記第1フランジが、前記ハブの一方の端部周縁に一体に延設され、
    前記第2フランジが、前記底壁を有して、前記ハブの他方の端部に溶着されていることを特徴とする請求項1に記載のリール。
  3. 前記リールギアの歯の無いエリアが等間隔に複数形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のリール。
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