JP2009214850A - 乗用車用空気入りラジアルタイヤおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明の課題は、従来のタイヤと比較して、転がり抵抗を更に低減することができるラジアルタイヤを提供することにある。
【解決手段】本発明のラジアルタイヤTは、トレッド部1に形成された溝Dの底部に断熱層Iを設けたことを特徴とする。このラジアルタイヤTでは、転動時にトレッド部1で発生した熱が、トレッド部1から大気中に放散されようとするところ、溝Dの底部に断熱層Iが設けられているので、トレッド部1からの熱の放散が抑制される。その結果、転がり抵抗が低減される。
【選択図】図1
【解決手段】本発明のラジアルタイヤTは、トレッド部1に形成された溝Dの底部に断熱層Iを設けたことを特徴とする。このラジアルタイヤTでは、転動時にトレッド部1で発生した熱が、トレッド部1から大気中に放散されようとするところ、溝Dの底部に断熱層Iが設けられているので、トレッド部1からの熱の放散が抑制される。その結果、転がり抵抗が低減される。
【選択図】図1
Description
本発明は、乗用車用空気入りラジアルタイヤおよびその製造方法に関する。
従来、分割されたトレッド部を有する空気入りタイヤが知られている(例えば、特許文献1、特許文献2、および特許文献3参照)。このタイヤでは、トレッド部がタイヤの幅方向に3分割されており、3分割されたトレッド部のうち、中央のトレッド部を形成するセンターゴムと、両側のトレッド部を形成するショルダゴムの性質が相互に異なっている。さらに詳しくは、このタイヤは、ショルダゴムの損失正接(tanδ)よりも小さい損失正接を示すセンターゴムを使用して中央のトレッド部を形成することで、転がり抵抗を低減している。そして、このようなタイヤによれば、転がり抵抗が低減されるので、これを装着した自動車の燃費を低減することができる。
特開2005−199922号公報
特開2005−199949号公報
特開2006−240507号公報
その一方で、昨今では、省エネルギの更なる要請や、環境負荷の低減を考慮して、従来よりも増して自動車の低燃費化が望まれている。特に、乗用車用のタイヤにおいては、転がり抵抗の更なる低減化が望まれる。
そこで、本発明の課題は、従来のタイヤと比較して転がり抵抗を更に低減することができる乗用車用空気入りラジアルタイヤおよびその製造方法を提供することにある。
前記課題を解決する本発明の乗用車用空気入りラジアルタイヤは、トレッド部に形成された溝の底部に断熱層を設けたことを特徴とする。
また、前記課題を解決する本発明の製造方法は、トレッド部に形成された溝の底部に中空粒子を含むゴム組成物からなる断熱層を設けた乗用車用空気入りラジアルタイヤの製造方法であって、前記断熱層は前記トレッド部と共に加硫成形時に形成されることを特徴とする。
また、前記課題を解決する本発明の製造方法は、トレッド部に形成された溝の底部に中空粒子を含むゴム組成物からなる断熱層を設けた乗用車用空気入りラジアルタイヤの製造方法であって、前記断熱層は前記トレッド部と共に加硫成形時に形成されることを特徴とする。
本発明者らは、後記するように乗用車用空気入りラジアルタイヤが所定の温度を超えると、温度が高くなるほど乗用車用空気入りラジアルタイヤの転がり抵抗が小さくなることを確認している。その一方で、一般に、転動時にトレッド部で発生した熱は、自動車の走行風とタイヤ回転による気流により冷やされて大気中に放散される。
これに対して、本発明の乗用車用空気入りラジアルタイヤは、トレッド部に形成された溝の底部に断熱層を有しているので、トレッド部からの熱の放散が抑制される。その結果、本発明の乗用車用空気入りラジアルタイヤは、従来のタイヤ(例えば、特許文献1等参照)と比較して、トレッド部の温度を、より高く維持することができる。したがって、本発明の乗用車用空気入りラジアルタイヤでは、従来のタイヤ(例えば、特許文献1等参照)と比較して、転がり抵抗を更に低減することができる。
これに対して、本発明の乗用車用空気入りラジアルタイヤは、トレッド部に形成された溝の底部に断熱層を有しているので、トレッド部からの熱の放散が抑制される。その結果、本発明の乗用車用空気入りラジアルタイヤは、従来のタイヤ(例えば、特許文献1等参照)と比較して、トレッド部の温度を、より高く維持することができる。したがって、本発明の乗用車用空気入りラジアルタイヤでは、従来のタイヤ(例えば、特許文献1等参照)と比較して、転がり抵抗を更に低減することができる。
本発明によれば、従来のタイヤと比較して転がり抵抗を更に低減することができる乗用車用空気入りラジアルタイヤおよびその製造方法を提供することができる。
以下に、本発明に係る実施形態について適宜図面を参照しながら詳細に説明する。ここで参照する図面において、図1は、実施形態に係る乗用車用空気入りラジアルタイヤの回転軸に沿った断面を部分的に示す図である。
本発明の乗用車用空気入りラジアルタイヤは、トレッド部に形成された溝の底部に断熱層を設けたことを主な特徴とする。ここでは、溝の断熱層を説明するに先立って、この乗用車用空気入りラジアルタイヤの全体的な構成について説明する。
本発明の乗用車用空気入りラジアルタイヤは、トレッド部に形成された溝の底部に断熱層を設けたことを主な特徴とする。ここでは、溝の断熱層を説明するに先立って、この乗用車用空気入りラジアルタイヤの全体的な構成について説明する。
図1に示すように、本実施形態に係る乗用車用空気入りラジアルタイヤ(以下、単に「ラジアルタイヤT」という)は、トレッド部1と、ビード部2と、サイドウォール部5と、ショルダ部(バットレス部とも言われる)4とで主に構成されている。
トレッド部1は、路面と接するトレッド面10を規定する部分であり、このトレッド部1には、トレッドゴム1aが配置されている。そして、トレッド部1の外周面には、複数の溝Dが形成されている。このような溝Dの配置で決定されるいわゆるトレッドパターンとしては、特に制限はなく、例えば、リブ型、ラグ型、リブラグ型等が挙げられる。ちなみに、本実施形態に係るラジアルタイヤTでは、4本の溝Dがトレッド部1の周方向に延びたリブ型のトレッドパターンを想定している。そして、この溝Dの底部には後記するように断熱層Iが設けられている。
ビード部2は、空気室11の気密性を保つようにラジアルタイヤTをリム9に組み付けるためのものであり、リム9の周方向に沿うように環状に延びている。そして、ビード部2の内部には、ビードコア2aが配置されている。ビードコア2aは、その緊縮力でビード部2をリム9に固定するものであり、高炭素鋼等からなる線材が環状に束ねられて形成されている。また、このビードコア2aは、後記するカーカスプライ層6をビード部2で支持している。
サイドウォール部5は、ビード部2側からトレッド部1側に延びてラジアルタイヤTの両側壁を構成しており、カーカスプライ層6の外側にサイドウォールゴム5aが配置されて形成されている。
ショルダ部4は、サイドウォール部5とトレッド部1とを繋ぐように配置されており、トレッド部1がトレッド面10で路面と接した際に、路面と離隔するようになっている。
カーカスプライ層6は、ラジアルタイヤTの骨格となるものであり、リム9の周方向で延びるトロイド状の形状を呈している。そして、カーカスプライ層6の端部は、ビードコア2aを巻き込むように折り返されることによって、前記したようにビードコア2aで支持されることとなる。ちなみに、折り返されたカーカスプライ層6の内側には、ビードフィラー2bが充填されている。
トレッド部1のカーカスプライ層6の外側には、ベルト層7が配置されている。このベルト層7は、トレッド部1の周方向に沿うように配置されており、カーカスプライ層6をラジアルタイヤTの内側に向かって締め付けることによって、トレッド部1の外周面がラジアルタイヤTの幅方向に平坦になるようにしている。ちなみに、一般的な乗用車用のラジアルタイヤTではベルト層7が2層配置されている。
そして、ビード部2と、サイドウォール部5と、ショルダ部4と、トレッド部1とは一体となって、リム9の周方向にトロイド状に延びて環状の空気室11を画成している。ちなみに、ラジアルタイヤTの内壁面には、ビード部2、サイドウォール部5、ショルダ部4、およびトレッド部1の全体にわたってインナーライナー8が形成されている。
次に、溝Dに設けられた断熱層Iについて説明する。
この断熱層Iは、前記したように、トレッド部1の溝Dの底部に設けられている。つまり、本実施形態での断熱層Iは、トレッド部1の周方向に沿って環状に形成されている。そして、この断熱層Iは、トレッド面10が接地した際に路面と離隔するように溝Dの底部に配置されている。なお、断熱層Iは、少なくとも溝Dの底部に配置されていればよく、本発明の課題を阻害しない限りにおいて、溝Dの横壁に更に配置されていてもよい。
この断熱層Iは、前記したように、トレッド部1の溝Dの底部に設けられている。つまり、本実施形態での断熱層Iは、トレッド部1の周方向に沿って環状に形成されている。そして、この断熱層Iは、トレッド面10が接地した際に路面と離隔するように溝Dの底部に配置されている。なお、断熱層Iは、少なくとも溝Dの底部に配置されていればよく、本発明の課題を阻害しない限りにおいて、溝Dの横壁に更に配置されていてもよい。
断熱層Iは、例えば、良断熱性材料を含む組成物で形成することができる。この良断熱性材料としては、例えば、シリカ、ガラス、セラミック、樹脂等が挙げられる。中でも径が500μm以下の中空粒子からなるものが特に望ましく、セラミックバルーン、中空樹脂粒子、および中空ガラスビーズは特に望ましい。このような良断熱性材料を含む組成物のマトリックス材料としては、例えば、樹脂、ゴム等が挙げられる。
そして、この断熱層Iは、溝Dの底部に断熱塗量を塗布して形成した塗膜であってもよい。この断熱塗量は、上市品を使用することもできる。
そして、この断熱層Iは、溝Dの底部に断熱塗量を塗布して形成した塗膜であってもよい。この断熱塗量は、上市品を使用することもできる。
次に、本実施形態に係るラジアルタイヤT(図1参照)の作用について説明する。
このラジアルタイヤTを装着した自動車が走行を開始すると、転動するラジアルタイヤTは、主に、トレッド部1を形成するトレッドゴム1a等のヒステリシスロスによって発熱する。
ここで図2を参照しながらトレッドゴム1aの温度と損失正接(tanδ)との関係を説明する。図2は、トレッドゴムの温度(℃)と損失正接(tanδ)との関係を示すグラフである。測定は、195/65R15規格のタイヤの50km/hでのトレッドゴム入力周波数に略相当する50Hzの加振で、雰囲気温度20℃で実施した。ちなみに、損失正接(tanδ)とは、粘弾性体であるゴムの貯蔵弾性率Eに対する損失弾性率E´の比(E´/E)で表される値であり、δは、ゴムの動的ひずみに対する応力の位相遅れを表している。
図2に示すように、トレッドゴムの温度(℃)が上昇すると、損失正接(tanδ)は−20℃付近で最大となる。その後、損失正接(tanδ)は、急激に減少すると共に所定の温度を超えるとなだらかに減少していく。
したがって、図1に示すトレッド部1の温度が高い領域で、ラジアルタイヤTの転がり抵抗は効率的に低減されることとなる。
このラジアルタイヤTを装着した自動車が走行を開始すると、転動するラジアルタイヤTは、主に、トレッド部1を形成するトレッドゴム1a等のヒステリシスロスによって発熱する。
ここで図2を参照しながらトレッドゴム1aの温度と損失正接(tanδ)との関係を説明する。図2は、トレッドゴムの温度(℃)と損失正接(tanδ)との関係を示すグラフである。測定は、195/65R15規格のタイヤの50km/hでのトレッドゴム入力周波数に略相当する50Hzの加振で、雰囲気温度20℃で実施した。ちなみに、損失正接(tanδ)とは、粘弾性体であるゴムの貯蔵弾性率Eに対する損失弾性率E´の比(E´/E)で表される値であり、δは、ゴムの動的ひずみに対する応力の位相遅れを表している。
図2に示すように、トレッドゴムの温度(℃)が上昇すると、損失正接(tanδ)は−20℃付近で最大となる。その後、損失正接(tanδ)は、急激に減少すると共に所定の温度を超えるとなだらかに減少していく。
したがって、図1に示すトレッド部1の温度が高い領域で、ラジアルタイヤTの転がり抵抗は効率的に低減されることとなる。
一方、本実施形態に係るラジアルタイヤT(図1参照)では、転動時にトレッド部1で発生した熱が、トレッド部1から大気中に放散されようとするところ、溝Dの底部に断熱層Iが設けられているので、トレッド部1からの熱の放散が抑制される。その結果、本実施形態に係るラジアルタイヤTは、従来のタイヤ(例えば、特許文献1等参照)と比較して、トレッド部1の温度を、より高く維持することができる。したがって、本実施形態に係るラジアルタイヤTは、従来のタイヤ(例えば、特許文献1参照)と比較して、転がり抵抗を更に低減する。
次に、本実施形態に係るラジアルタイヤTの製造方法について説明する。ここで参照する図3は、本実施形態に係るラジアルタイヤの製造方法を説明する図であって、(a)は、グリーンタイヤを製造する工程を説明するための模式図、(b)は、グリーンタイヤに加硫成形を施す工程を説明するための模式図、(c)は、(b)中の溝の付近の様子を示す部分拡大図である。
本実施形態に係るラジアルタイヤTの製造方法としては、例えば、グリーンタイヤを加硫成形して溝Dを形成した後に、この溝Dの底部に断熱層Iを配置する第1の製造方法と、グリーンタイヤを加硫成形する際に、溝Dを形成すると同時にこの溝Dの底部に断熱層Iを形成する第2の製造方法とが挙げられる。
一般に、空気入りタイヤは、金型内でグリーンタイヤを加硫成形することで得られる。そして、一般に、この加硫成形時にタイヤの溝は形成される。
本実施形態に係るラジアルタイヤTの前記した第1の製造方法は、グリーンタイヤを加硫成形して溝Dを形成した後、良断熱性材料を含む組成物(前記した断熱塗量等)をこの溝Dの底部に付与することによって断熱層Iを形成するものである。したがって、この第1の製造方法は、市販品のラジアルタイヤの溝の底部に断熱層Iを形成するものであってもよい。
本実施形態に係るラジアルタイヤTの前記した第1の製造方法は、グリーンタイヤを加硫成形して溝Dを形成した後、良断熱性材料を含む組成物(前記した断熱塗量等)をこの溝Dの底部に付与することによって断熱層Iを形成するものである。したがって、この第1の製造方法は、市販品のラジアルタイヤの溝の底部に断熱層Iを形成するものであってもよい。
第2の製造方法は、例えば、前記した中空粒子等の良断熱性材料を含むゴム組成物をトレッドゴムに配置してグリーンタイヤを形成する工程(グリーンタイヤ形成工程)と、 グリーンタイヤに加硫成形を施して断熱層をトレッド部と一体にこの加硫成形時に形成する工程(断熱層形成工程)とで主に構成することができる。
グリーンタイヤ形成工程では、図3(a)に示すように、リムフランジを有する所定の成型機Mの周りにグリーンタイヤGが組み立てられる。グリーンタイヤGは、ビードコア2aおよびビードフィラー2bを巻き込むように折り返されたカーカスプライ層6に、サイドウォールゴム5aおよびインナーライナー8が設けられた組立体と、ベルト層7,7を含むトレッドゴム1aとが組み付けられて製造される。
グリーンタイヤ形成工程では、図3(a)に示すように、リムフランジを有する所定の成型機Mの周りにグリーンタイヤGが組み立てられる。グリーンタイヤGは、ビードコア2aおよびビードフィラー2bを巻き込むように折り返されたカーカスプライ層6に、サイドウォールゴム5aおよびインナーライナー8が設けられた組立体と、ベルト層7,7を含むトレッドゴム1aとが組み付けられて製造される。
グリーンタイヤGのトレッドゴム1aには、良断熱性材料を含むゴム組成物Cが所定の位置に予め組み込まれる。このゴム組成物Cは、次の断熱層形成工程でグリーンタイヤGに加硫成形が施される際に、溝Dの底部に配置されると共に、トレッド部1(図1参照)と一体化した断熱層Iとなるものである。したがって、このゴム組成物Cを配置する位置は、溝Dが形成される位置に対応する位置に設定することができる。ちなみに、トレッドゴム1aに対してこのゴム組成物Cを所定の位置に組み込む方法としては、例えば、グリーンタイヤGの組み立てに使用するトレッドゴム1aを所定幅で押出し成形する際に、トレッドゴム1aとゴム組成物Cとを押出し成形機(図示省略)に供給する方法が挙げられる。
次に、断熱層形成工程では、図3(b)に示すように、グリーンタイヤGを金型20aおよび金型20bに配置する共に、金型20aおよび金型20b側にブラダー20cをインフレートさせる。この際、グリーンタイヤGが所定の温度下に加圧されて加硫成形されることで本実施形態に係るラジアルタイヤTが形成される。この加硫成形の際に、トレッド部1には溝Dが形成されることとなる。ちなみに、図3(b)中、符号1は、トレッドゴム1aからなるトレッド部であり、符号5は、サイドウォールゴム5aからなるサイドウォールであり、符号2aはビードコアであり、符号2bはビードフィラーであり、符号6はカーカスプライ層であり、符号7はベルトであり、符号8はインナーライナーである。
そして、図3(c)に示すように、この断熱層形成工程では、トレッド部1に形成された溝Dの底部に良断熱性材料を含むゴム組成物Cからなる断熱層Iが形成される
つまり、この第2の製造方法では、溝Dと断熱層Iとが同時に形成されることとなる。
そして、図3(c)に示すように、この断熱層形成工程では、トレッド部1に形成された溝Dの底部に良断熱性材料を含むゴム組成物Cからなる断熱層Iが形成される
つまり、この第2の製造方法では、溝Dと断熱層Iとが同時に形成されることとなる。
また、この第2の製造方法では、得られたラジアルタイヤTのトレッド面10(図1参照)に良断熱性材料を含むゴム組成物Cが付着することを想定していないが、本発明の製造方法は、前記した断熱層形成工程後に、トレッド面10(図1参照)に付着した良断熱性材料を含むゴム組成物Cを除去する除去工程を更に有するもの(以下、変形例という)であってもよい。ここで参照する図4は、変形例に係る製造方法を説明する図であって、(a)は、グリーンタイヤを製造する工程を説明するための模式図、(b)は、グリーンタイヤに加硫成形を施すことによってトレッド部に形成された溝の付近の様子を示す部分拡大図、(c)は、トレッド面に付着したゴム組成物を除去した後の様子を示す部分拡大図である。なお、前記した図3(a)から(c)に示す要素と同様の要素については同じ符号を付してその詳細な説明は省略する。
この変形例に係る製造方法のグリーンタイヤ形成工程では、図4(a)に示すように、グリーンタイヤGの組み立てに使用されるトレッドゴム1aの外側面(グリーンタイヤGの外周側となる面)が良断熱性材料を含むゴム組成物Cからなる層で被覆される。そして、このようなゴム組成物Cからなる層を有するグリーンタイヤGが次の断熱層形成工程に供される。つまり、図4(b)に示すように、このグリーンタイヤGに加硫成形が施されることで、トレッドゴム1aからなるトレッド部1には、金型20aによって溝Dが形成される。この際、トレッドゴム1aの外側面を被覆するゴム組成物Cからなる層が溝Dの底部に押し込まれることによって、溝Dの底部にはゴム組成物Cからなる断熱層Iが形成される。そして、この断熱層形成工程(加硫成形工程)を経て形成されたトレッド部1のトレッド面10には、ゴム組成物Cからなる層が形成されることとなる。
次に、この変形例に係る製造方法の除去工程では、図4(c)に示すように、トレッド部1のトレッド面10からゴム組成物C(図4(b)参照)からなる層が除去される。このゴム組成物Cからなる層の除去方法としては、特に制限はなく、例えばトレッド部1から金型20a(図4(b)参照)を取り外した後、ゴム組成物C(図4(b)参照)からなる層をバフ研磨によって除去する方法等が挙げられる。そして、この変形例に係る製造方法では、この除去工程を経た後に溝Dにのみ断熱層Iを備えた、特に本実施形態では溝Dの底部にのみ断熱層Iを備えたラジアルタイヤT(図1参照)が得られる。
以上のような製造方法で得られたラジアルタイヤTによれば、前記したように、従来のタイヤ(例えば、特許文献1参照)と比較して転がり抵抗を更に低減することができるので、これを装着した自動車の走行抵抗を確実に低減することができる。つまり、このラジアルタイヤTを装着した自動車は、更なる省エネルギ化(低燃費化)を図ることができると共に、環境負荷を低減することができる。
また、このようなラジアルタイヤTによれば、溝Dの底部に断熱層Iが設けられており、言い換えれば、路面と接触しない部分に断熱層Iが設けられているので、制動性能や、乗り心地、操縦安定性等を損なうことなく転がり抵抗を低減することができる。
また、このようなラジアルタイヤTは、断熱層Iとして中空粒子を含むものを使用することで、転がり抵抗を低減することができると共に、ロードノイズを低減することができる。
次に、実施例を示しながら本発明をさらに具体的に説明する。
(実施例1)
この実施例1では、グリーンタイヤに加硫成形を施す常法によって195/65R15規格のラジアルタイヤを作製した。なお、このラジアルタイヤのトレッドゴムとしては、天然ゴム50質量部、ブタジエンゴム50質量部、カーボンブラック50質量部、老化防止剤3質量部、プロセスオイル15質量部、酸化亜鉛3質量部、ステアリン酸1質量部、硫黄2.5質量部、および加硫促進剤1.5質量部からなるゴム組成物を使用した。なお、この実施例1で使用した加硫成形用の金型と、後記する実施例2、実施例3、および比較例で使用した加硫成形用の金型とは、同様のものを使用した。
そして、得られたラジアルタイヤの溝の底部に断熱塗量を塗布して断熱層を形成することで図1に示すラジアルタイヤTが製造された。なお、断熱塗量には、株式会社日信産業製のシスターコート(中空セラミック粒子含有塗料)が使用された。断熱層の厚さは、断熱塗量の乾燥厚さで1.0mmとした。
(実施例1)
この実施例1では、グリーンタイヤに加硫成形を施す常法によって195/65R15規格のラジアルタイヤを作製した。なお、このラジアルタイヤのトレッドゴムとしては、天然ゴム50質量部、ブタジエンゴム50質量部、カーボンブラック50質量部、老化防止剤3質量部、プロセスオイル15質量部、酸化亜鉛3質量部、ステアリン酸1質量部、硫黄2.5質量部、および加硫促進剤1.5質量部からなるゴム組成物を使用した。なお、この実施例1で使用した加硫成形用の金型と、後記する実施例2、実施例3、および比較例で使用した加硫成形用の金型とは、同様のものを使用した。
そして、得られたラジアルタイヤの溝の底部に断熱塗量を塗布して断熱層を形成することで図1に示すラジアルタイヤTが製造された。なお、断熱塗量には、株式会社日信産業製のシスターコート(中空セラミック粒子含有塗料)が使用された。断熱層の厚さは、断熱塗量の乾燥厚さで1.0mmとした。
次に、製造したラジアルタイヤTについて、転がり抵抗試験を行った。この転がり抵抗試験は、リム組みしたラジアルタイヤTについて、室内ドラム式タイヤ転がり試験機を使用して行った。この転がり抵抗試験では、断熱層Iを有しない後記する比較例のタイヤの転がり抵抗を100(基準)とした場合の実施例1のラジアルタイヤTの転がり抵抗の比(以下、転がり抵抗比という)を求めた。その結果を表1に示す。なお、この転がり抵抗試験は、ラジアルタイヤTの空気圧を220kPaに設定し、ドラムに対するラジアルタイヤTの押付け荷重を4.51kNに設定して行った。ドラムの回転速度は、80km/hの車両走行速度に相当する回転速度に設定した。
そして、この実施例1では、転動後のラジアルタイヤTの溝D(図1参照)の底部の温度と、空気室11(図1参照)の温度とを測定した。これらの温度は、前記した室内ドラム式タイヤ転がり試験機にて前記した転がり抵抗試験と同様の条件でラジアルタイヤTを30分回転させた後に測定した。そして、溝Dの底部の温度は、接触式温度計で4点測定した温度の算術平均を求めた。また、空気室11の温度は、空気室11内に配置したHIOKI社製のボタン電池型温度計で測定した。これらの測定結果を、表1中、「溝の底部の温度(℃)」および「空気室の温度(℃)」として記す。
また、この実施例1では、ラジアルタイヤTを使用した際のロードノイズが測定された。この測定では、リム組みしたラジアルタイヤTを排気量2000ccの乗用車に4輪装着し、この乗用車を乾燥したアスファルト舗装の路面で60km/hの速度で走行させた際の車室内の音圧[dB]を求めた。なお、この音圧は周波数が100Hz付近のものを求めた。その結果をロードノイズ[dB]として表1に示す。なお、表1には、断熱層Iを有しない後記する比較例のロードノイズ[dB]との差をノイズ差[dB]として併記した。
(実施例2)
この実施例2では、前記した変形例に係る製造方法(図4(a)から(c)参照)を使用して図1に示すラジアルタイヤTを製造した。なお、この実施例2で使用したラジアルタイヤTの材料(断熱層Iの断熱塗量を除く)は、実施例1と同様のものを使用した。そして、図4(b)に示すゴム組成物Cとしては、トレッドゴムに使用したゴム組成物(実施例1参照)に更にセラミックバルーン(林化成株式会社製、SL150)5質量部を混合したセラミックバルーン配合ゴムを使用した。
そして、製造したラジアルタイヤTについて、実施例1と同様に、転がり抵抗比、溝Dの底部の温度、空気室11の温度、ロードノイズ、およびノイズ差を求めた。その結果を表1に示す。
この実施例2では、前記した変形例に係る製造方法(図4(a)から(c)参照)を使用して図1に示すラジアルタイヤTを製造した。なお、この実施例2で使用したラジアルタイヤTの材料(断熱層Iの断熱塗量を除く)は、実施例1と同様のものを使用した。そして、図4(b)に示すゴム組成物Cとしては、トレッドゴムに使用したゴム組成物(実施例1参照)に更にセラミックバルーン(林化成株式会社製、SL150)5質量部を混合したセラミックバルーン配合ゴムを使用した。
そして、製造したラジアルタイヤTについて、実施例1と同様に、転がり抵抗比、溝Dの底部の温度、空気室11の温度、ロードノイズ、およびノイズ差を求めた。その結果を表1に示す。
(実施例3)
この実施例3では、図4(b)に示すゴム組成物Cとして、実施例2のセラミックバルーン5質量部に代えて、中空樹脂粒子(積水化学社製、ADVANCELL EM)5質量部を使用した以外は実施例2と同様のもの(表1中、「中空樹脂粒子配合ゴム」と記す)を使用した。そして、このゴム組成物Cを使用した以外は、実施例2と同様にしてラジアルタイヤTを製造した。
そして、製造したラジアルタイヤTについて、実施例1と同様に、転がり抵抗比、溝Dの底部の温度、空気室11の温度、ロードノイズ、およびノイズ差を求めた。その結果を表1に示す。
この実施例3では、図4(b)に示すゴム組成物Cとして、実施例2のセラミックバルーン5質量部に代えて、中空樹脂粒子(積水化学社製、ADVANCELL EM)5質量部を使用した以外は実施例2と同様のもの(表1中、「中空樹脂粒子配合ゴム」と記す)を使用した。そして、このゴム組成物Cを使用した以外は、実施例2と同様にしてラジアルタイヤTを製造した。
そして、製造したラジアルタイヤTについて、実施例1と同様に、転がり抵抗比、溝Dの底部の温度、空気室11の温度、ロードノイズ、およびノイズ差を求めた。その結果を表1に示す。
(比較例)
この比較例では、断熱層Iを設けなかった以外は実施例1のラジアルタイヤTと同様のもの、つまり溝Dに断熱塗量を塗布する前のラジアルタイヤを作製した。
そして、このラジアルタイヤについて、実施例1と同様に、転がり抵抗比、溝Dの底部の温度、空気室11の温度、ロードノイズ、およびノイズ差を求めた。その結果を表1に示す。
この比較例では、断熱層Iを設けなかった以外は実施例1のラジアルタイヤTと同様のもの、つまり溝Dに断熱塗量を塗布する前のラジアルタイヤを作製した。
そして、このラジアルタイヤについて、実施例1と同様に、転がり抵抗比、溝Dの底部の温度、空気室11の温度、ロードノイズ、およびノイズ差を求めた。その結果を表1に示す。
(実施例および比較例で作製されたラジアルタイヤの評価)
表1に示すように、溝Dの底部に断熱層Iを設けた実施例1から実施例3のラジアルタイヤTは、断熱層Iを有していない比較例のラジアルタイヤと比較して、転動後の溝の底部の温度(トレッド部の温度)および空気室の温度が2〜4℃程度高くなっており、これに伴って転がり抵抗比が小さくなっていることが確認された。
また、中空粒子を含む断熱層Iを設けた実施例1から実施例3のラジアルタイヤTは、断熱層Iを有していない比較例のラジアルタイヤと比較して、路面を走行する際のロードノイズの発生が少なくなっていることが確認された。
表1に示すように、溝Dの底部に断熱層Iを設けた実施例1から実施例3のラジアルタイヤTは、断熱層Iを有していない比較例のラジアルタイヤと比較して、転動後の溝の底部の温度(トレッド部の温度)および空気室の温度が2〜4℃程度高くなっており、これに伴って転がり抵抗比が小さくなっていることが確認された。
また、中空粒子を含む断熱層Iを設けた実施例1から実施例3のラジアルタイヤTは、断熱層Iを有していない比較例のラジアルタイヤと比較して、路面を走行する際のロードノイズの発生が少なくなっていることが確認された。
1 トレッド部
1a トレッドゴム
5 サイドウォール部
10 トレッド面
D 溝
G グリーンタイヤ
I 断熱層
T ラジアルタイヤ(車両用空気入りラジアルタイヤ)
C ゴム組成物
1a トレッドゴム
5 サイドウォール部
10 トレッド面
D 溝
G グリーンタイヤ
I 断熱層
T ラジアルタイヤ(車両用空気入りラジアルタイヤ)
C ゴム組成物
Claims (4)
- トレッド部に形成された溝の底部に断熱層を設けたことを特徴とする乗用車用空気入りラジアルタイヤ。
- 前記断熱層が断熱塗量からなることを特徴とする請求項1に記載の乗用車用空気入りラジアルタイヤ。
- トレッド部に形成された溝の底部に中空粒子を含むゴム組成物からなる断熱層を設けた乗用車用空気入りラジアルタイヤの製造方法であって、
前記断熱層は前記トレッド部と共に加硫成形時に形成されることを特徴とする乗用車用空気入りラジアルタイヤの製造方法。 - 加硫成形の後に、トレッド面に付着した前記中空粒子を含むゴム組成物を除去することを特徴とする請求項3に記載の乗用車用空気入りラジアルタイヤの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008063437A JP2009214850A (ja) | 2008-03-13 | 2008-03-13 | 乗用車用空気入りラジアルタイヤおよびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008063437A JP2009214850A (ja) | 2008-03-13 | 2008-03-13 | 乗用車用空気入りラジアルタイヤおよびその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2009214850A true JP2009214850A (ja) | 2009-09-24 |
Family
ID=41187173
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2008063437A Pending JP2009214850A (ja) | 2008-03-13 | 2008-03-13 | 乗用車用空気入りラジアルタイヤおよびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2009214850A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2018079811A (ja) * | 2016-11-17 | 2018-05-24 | 横浜ゴム株式会社 | 空気入りタイヤの製造方法 |
-
2008
- 2008-03-13 JP JP2008063437A patent/JP2009214850A/ja active Pending
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JP2018079811A (ja) * | 2016-11-17 | 2018-05-24 | 横浜ゴム株式会社 | 空気入りタイヤの製造方法 |
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