JP2009214545A - 単結晶インゴットとスライス台の接着装置及び接着方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】インゴットをスライス台に接着するときの位置ずれを防止し、結晶軸精度を向上させる。
【解決手段】上部ジャッキ1でインゴット4に対して押し下げ力を発生させ、下部ジャッキ11でスライス台6に対して押し上げ力を発生させる。上部ジャッキ1の押し下げの方向はインゴット4の長手方向と直交する方向とし、下部ジャッキ11の押し上げの方向はその対向方向とする。インゴット4とスライス台6は、上部ジャッキ1と下部ジャッキ11によって対向する二方向から押しつけられて接着される。
【選択図】図1
【解決手段】上部ジャッキ1でインゴット4に対して押し下げ力を発生させ、下部ジャッキ11でスライス台6に対して押し上げ力を発生させる。上部ジャッキ1の押し下げの方向はインゴット4の長手方向と直交する方向とし、下部ジャッキ11の押し上げの方向はその対向方向とする。インゴット4とスライス台6は、上部ジャッキ1と下部ジャッキ11によって対向する二方向から押しつけられて接着される。
【選択図】図1
Description
本発明は、結晶軸を調整した単結晶インゴットとスライス台とを接着する単結晶インゴットとスライス台の接着装置及び接着方法に関する。
半導体基板となるウェーハは、円柱状の単結晶インゴット(以下、単に「インゴット」という)をワイヤーソーでスライスすることによって形成される。このスライスの際に必要とされる条件は、インゴットの結晶軸に対してスライス面を垂直にすることである。ところが、インゴットの長手方向中心軸とインゴットの結晶軸とは必ずしも平行ではない。したがって、インゴットをその長手方向に対して垂直にスライスしてもインゴットの結晶軸とスライス面は垂直にならない。
そこで、通常は次のようにしてインゴットの結晶軸とスライス面とを垂直にする。まずインゴットの結晶軸を測定する。つぎに図3に示すように、インゴット4の長手方向に沿う周面(以下、単に「周面」という)にスライス台6を接着する。インゴット4とスライス台6との接着の際には、測定したインゴットの結晶軸とプレート状のスライス台の長手方向とが平行になるようにする。スライス台6はワークプレート7と一体となっている。ワイヤーソーのベース30にワークプレート7を取り付けると、ワイヤーソーの機械中心軸とスライス台6の長手方向が平行になる。つまり、ワイヤーソーの機械中心軸とインゴット4の結晶軸は平行になる。この状態でベース30をワイヤー31側に移動させてインゴット4をスライスすれば、インゴットの結晶軸とスライス面とは垂直になる。
下記特許文献1には結晶軸の測定装置に関する技術が説明されており、ここには単結晶インゴットとスライス台の接着装置が開示されている。図4にこの単結晶インゴットとスライス台の接着装置20を示す。
同図4を用いて、インゴット4とスライス台6の接着作業について説明する。 インゴット4の直径よりも小さく且つスライス台6の幅よりも大きな間隔が設けられた二つのワーク支持ローラ5にインゴット4を載置する。また、X軸方位調整部9上に設けられた接着プレート8にワークプレート7を載置する。X軸方向とは、インゴット4の長手方向及び上下方向に対する垂直方向のことをいい、図4では左右方向のことをいう。ワーク支持ローラ5を回転させてインゴット4を軸中心に回転させ、またX軸方位調整部9を調整してスライス台6をX軸方向に回転させて結晶軸の修正作業を行う。
結晶軸の修正作業が終了したら、インゴット4の上部にインゴット押さえブロック3を載置し、さらにその上部にインゴットブロック押さえ2を載置する。インゴットブロック押さえ2には、接着装置20に固定され且つ長手方向が上下方向である二つの支柱12が挿通されている。このため、インゴットブロック押さえ2は支柱12に沿って摺動自在である。インゴット押さえブロック3にインゴットブロック押さえ2を載置したら、クランプ21によってインゴットブロック押さえ2を支柱12に固定する。こうしてインゴット4は所定位置で固定される。
上下面に接着剤を塗布したスライス台6をワークプレート7に載置し、下部ジャッキ11のハンドルを回転させて押し上げ力を発生させる。すると、テーブル10、X軸方位調整部9、接着プレート8、ワークプレート7、スライス台6が上昇し、インゴット4の周面とスライス台6とが接する。
この際、下部ジャッキ11の押し上げ力はインゴットブロック押さえ2にも作用するが、インゴットブロック押さえ2は支柱12にクランプ21で保持されている。クランプ21の保持力が下部ジャッキ11の押し上げ力よりも大きい場合は、インゴットブロック押さえ2は保持される。したがって、インゴット4は所定位置に保持され、インゴット4とスライス台6とが接着される。
従来の接着装置20によると、クランプ21の固定が不十分である場合にクランプ21の保持力は非常に小さい。このような場合に、下部ジャッキ11の押し上げ力はクランプ21の保持力を超えてしまい、インゴットブロック押さえ2が上方にずれる。すると、インゴット4とスライス台6との押しつけが不十分となり、インゴット4とスライス台6とがずれる原因となる。
また、そもそも下部ジャッキ11は非常に大きな押し上げ力を発生させる。このため、下部ジャッキ11の押し上げ作業を注意深く行わないと、インゴットブロック押さえ2に作用する押し上げ力がクランプ21の保持力を容易に超えてしまう。この場合も、インゴットブロック押さえ2が上方にずれ、インゴット4とスライス台6とがずれる原因となる。
このように、インゴット4及びスライス台6を保持しつつ一方向から押しつけ力を作用させる装置は、押しつけ力が保持力を超えた場合にインゴット4とスライス台6の相対位置がずれ、結晶軸精度が低下するという問題が発生する。
本発明はこうした実状に鑑みてなされたものであり、インゴットとスライス台の相対位置のずれを防止し、結晶軸精度を向上させることを解決課題とするものである。
第1発明は、
結晶軸を調整した単結晶インゴット4とスライス台6とを接着すると共にスライス台6とワークプレート7とを接着する単結晶インゴットとスライス台の接着装置において、
単結晶インゴット4の長手方向と直交する第1の方向に押しつけ力を発生させる第1の押圧手段1と、
前記第1の方向と対向する第2の方向に押しつけ力を発生させる第2の押圧手段11と、
前記第1の押圧手段1の端部のうち前記第2の方向の端部と接触し、前記第1の押圧手段1が前記第2の方向へ移動することを規制する第1の規制手段13と、
前記第2の押圧手段11の端部のうち前記第1の方向の端部と接触し、前記第2の押圧手段11が前記第1の方向へ移動することを規制する第2の規制手段14と、を備え、
前記第1の押圧手段1と前記第2の押圧手段11で単結晶インゴット4とスライス台6とを互いに押しつけて接着すると共にスライス台6とワークプレート7とを互いに押しつけて接着し、単結晶インゴット4とスライス台6とワークプレート7を一体にすること
を特徴とする。
結晶軸を調整した単結晶インゴット4とスライス台6とを接着すると共にスライス台6とワークプレート7とを接着する単結晶インゴットとスライス台の接着装置において、
単結晶インゴット4の長手方向と直交する第1の方向に押しつけ力を発生させる第1の押圧手段1と、
前記第1の方向と対向する第2の方向に押しつけ力を発生させる第2の押圧手段11と、
前記第1の押圧手段1の端部のうち前記第2の方向の端部と接触し、前記第1の押圧手段1が前記第2の方向へ移動することを規制する第1の規制手段13と、
前記第2の押圧手段11の端部のうち前記第1の方向の端部と接触し、前記第2の押圧手段11が前記第1の方向へ移動することを規制する第2の規制手段14と、を備え、
前記第1の押圧手段1と前記第2の押圧手段11で単結晶インゴット4とスライス台6とを互いに押しつけて接着すると共にスライス台6とワークプレート7とを互いに押しつけて接着し、単結晶インゴット4とスライス台6とワークプレート7を一体にすること
を特徴とする。
図1を用いて第1発明を説明する。
上部ジャッキ(第1の押圧手段)1はインゴット4に対して押し下げ力を発生させ、下部ジャッキ(第2の押圧手段)11はスライス台6に対して押し上げ力を発生させる。上部ジャッキ1の押し下げの方向はインゴット4の長手方向と直交する方向であり、下部ジャッキ11の押し上げの方向はその対向方向である。図1によれば、インゴット4の長手方向は紙面の垂直方向であり、上部ジャッキ1の押し下げの方向は図面下方向であり、下部ジャッキ11の押し上げの方向は図面上方向である。インゴット4とスライス台6は、上部ジャッキ1と下部ジャッキ11によって対向する二方向から押しつけられて接着される。
上部ジャッキ(第1の押圧手段)1はインゴット4に対して押し下げ力を発生させ、下部ジャッキ(第2の押圧手段)11はスライス台6に対して押し上げ力を発生させる。上部ジャッキ1の押し下げの方向はインゴット4の長手方向と直交する方向であり、下部ジャッキ11の押し上げの方向はその対向方向である。図1によれば、インゴット4の長手方向は紙面の垂直方向であり、上部ジャッキ1の押し下げの方向は図面下方向であり、下部ジャッキ11の押し上げの方向は図面上方向である。インゴット4とスライス台6は、上部ジャッキ1と下部ジャッキ11によって対向する二方向から押しつけられて接着される。
第2発明は、
結晶軸を調整した単結晶インゴット4とスライス台6とを接着すると共にスライス台6とワークプレート7とを接着する単結晶インゴットとスライス台の接着装置において、
単結晶インゴット4の長手方向と直交する第1の方向に押しつけ力を発生させる第1の押圧手段1と、
前記第1の方向と対向する第2の方向に押しつけ力を発生させる第2の押圧手段11と、
単結晶インゴット4を支持する支持手段5と、
前記第1の押圧手段1の端部のうち前記第2の方向の端部と接触し、前記第1の押圧手段1が前記第2の方向へ移動することを規制する第1の規制手段13と、
前記第2の押圧手段11の端部のうち前記第1の方向の端部と接触し、前記第2の押圧手段11が前記第1の方向へ移動することを規制する第2の規制手段14と、を備え、
前記支持手段5で単結晶インゴット4を支持しつつ、前記第1の押圧手段1と前記第2の押圧手段11で単結晶インゴット4とスライス台6とを互いに押しつけて接着すると共にスライス台6とワークプレート7とを互いに押しつけて接着し、単結晶インゴット4とスライス台6とワークプレート7を一体にすること
を特徴とする。
結晶軸を調整した単結晶インゴット4とスライス台6とを接着すると共にスライス台6とワークプレート7とを接着する単結晶インゴットとスライス台の接着装置において、
単結晶インゴット4の長手方向と直交する第1の方向に押しつけ力を発生させる第1の押圧手段1と、
前記第1の方向と対向する第2の方向に押しつけ力を発生させる第2の押圧手段11と、
単結晶インゴット4を支持する支持手段5と、
前記第1の押圧手段1の端部のうち前記第2の方向の端部と接触し、前記第1の押圧手段1が前記第2の方向へ移動することを規制する第1の規制手段13と、
前記第2の押圧手段11の端部のうち前記第1の方向の端部と接触し、前記第2の押圧手段11が前記第1の方向へ移動することを規制する第2の規制手段14と、を備え、
前記支持手段5で単結晶インゴット4を支持しつつ、前記第1の押圧手段1と前記第2の押圧手段11で単結晶インゴット4とスライス台6とを互いに押しつけて接着すると共にスライス台6とワークプレート7とを互いに押しつけて接着し、単結晶インゴット4とスライス台6とワークプレート7を一体にすること
を特徴とする。
第3発明は、第2発明において、
前記第1の押圧手段1は単結晶インゴット4を前記支持手段5に押しつけ、前記第1の押圧手段1の押しつけ力は前記第2の押圧手段11の押しつけ力以上であること
を特徴とする。
前記第1の押圧手段1は単結晶インゴット4を前記支持手段5に押しつけ、前記第1の押圧手段1の押しつけ力は前記第2の押圧手段11の押しつけ力以上であること
を特徴とする。
図1を用いて第2、第3発明を説明する。
上部ジャッキ(第1の押圧手段)1はインゴット4に対して押し下げ力を発生させ、下部ジャッキ(第2の押圧手段)11はスライス台6に対して押し上げ力を発生させる。上部ジャッキ1の押し下げの方向はインゴット4の長手方向と直交する方向であり、下部ジャッキ11の押し上げの方向はその対向方向である。図1によれば、インゴット4の長手方向は紙面の垂直方向であり、上部ジャッキ1の押し下げの方向は図面下方向であり、下部ジャッキ11の押し上げの方向は図面上方向である。インゴット4はワーク支持ローラ(支持手段)5で支持されており、上部ジャッキ1によってワーク支持ローラ5に押しつけられる。また、インゴット4とスライス台6は、上部ジャッキ1と下部ジャッキ11によって対向する二方向から押しつけられて接着される。
上部ジャッキ(第1の押圧手段)1はインゴット4に対して押し下げ力を発生させ、下部ジャッキ(第2の押圧手段)11はスライス台6に対して押し上げ力を発生させる。上部ジャッキ1の押し下げの方向はインゴット4の長手方向と直交する方向であり、下部ジャッキ11の押し上げの方向はその対向方向である。図1によれば、インゴット4の長手方向は紙面の垂直方向であり、上部ジャッキ1の押し下げの方向は図面下方向であり、下部ジャッキ11の押し上げの方向は図面上方向である。インゴット4はワーク支持ローラ(支持手段)5で支持されており、上部ジャッキ1によってワーク支持ローラ5に押しつけられる。また、インゴット4とスライス台6は、上部ジャッキ1と下部ジャッキ11によって対向する二方向から押しつけられて接着される。
この際、上部ジャッキ1の押し下げ力を下部ジャッキ11の押し上げ力以上にすれば、インゴット4は下方向への移動をワーク支持ローラ5で規制され、上方向への移動を上部ジャッキ1で規制される。したがってインゴット4及びスライス台6は所定位置に固定される。
第4発明は、
結晶軸を調整した単結晶インゴットと4スライス台6とを接着すると共にスライス台6とワークプレート7とを接着する単結晶インゴットとスライス台の接着方法において、
単結晶インゴット4を支持部材5で支持する支持工程と、
第1の押しつけ部材1、2、3を用いて、単結晶インゴット4の長手方向と直交する第1の方向に押しつけ力を発生させて、単結晶インゴット4を前記支持部材5に押しつけ、同時に、前記第1の押しつけ部材1、2、3の端部のうち前記第1の方向と対向する第2の方向の端部を押さえつつ前記第1の押しつけ部材1、2、3が前記第2の方向へ移動することを規制する第1の押圧工程と、
第2の押しつけ部材8、9、10、11を用いて、前記第2の方向に押しつけ力を発生させて、スライス台6を単結晶インゴット4に押しつけると共にワークプレート7をスライス台6に押しつけ、同時に、前記第2の押しつけ部材8、9、10、11の端部のうち前記第1の方向の端部を押さえつつ前記第2の押しつけ部材8、9、10、11が前記第1の方向へ移動することを規制する第2の押圧工程と、を備えたこと
を特徴とする。
結晶軸を調整した単結晶インゴットと4スライス台6とを接着すると共にスライス台6とワークプレート7とを接着する単結晶インゴットとスライス台の接着方法において、
単結晶インゴット4を支持部材5で支持する支持工程と、
第1の押しつけ部材1、2、3を用いて、単結晶インゴット4の長手方向と直交する第1の方向に押しつけ力を発生させて、単結晶インゴット4を前記支持部材5に押しつけ、同時に、前記第1の押しつけ部材1、2、3の端部のうち前記第1の方向と対向する第2の方向の端部を押さえつつ前記第1の押しつけ部材1、2、3が前記第2の方向へ移動することを規制する第1の押圧工程と、
第2の押しつけ部材8、9、10、11を用いて、前記第2の方向に押しつけ力を発生させて、スライス台6を単結晶インゴット4に押しつけると共にワークプレート7をスライス台6に押しつけ、同時に、前記第2の押しつけ部材8、9、10、11の端部のうち前記第1の方向の端部を押さえつつ前記第2の押しつけ部材8、9、10、11が前記第1の方向へ移動することを規制する第2の押圧工程と、を備えたこと
を特徴とする。
第4発明は、第2発明の装置の発明を、方法の発明に置換したものである。
本発明によれば、インゴット及びスライス台を保持しつつ一方向から押しつけ力を作用させるのではなく、インゴット及びスライス台に対して対向する二方向から押しつけ力を作用させているため、インゴットとスライス台との接着を確実に行うことができる。したがって、インゴットとスライス台の相対位置のずれを防止でき、結晶軸精度を向上させることができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は本実施形態に係る単結晶インゴットとスライス台の接着装置の構成図である。
なお、図1に示す接着装置1はインゴット4に対して上方向及び下方向の押しつけ力を作用させるものであるとして以下の説明をする。また、上とは図面の上方を意味し、下とは図面の下方を意味する。また、図1の紙面に対する垂直方向をインゴット4の長手方向とする。
なお、図1に示す接着装置1はインゴット4に対して上方向及び下方向の押しつけ力を作用させるものであるとして以下の説明をする。また、上とは図面の上方を意味し、下とは図面の下方を意味する。また、図1の紙面に対する垂直方向をインゴット4の長手方向とする。
上部ジャッキ1はハンドルの正回転によって上下方向に押し拡げられ、逆回転によって縮められる。上部ジャッキ1の上端は二つの支柱12に固定された上部ジャッキ固定部13に取り付けられており、上部ジャッキ1の下端はインゴットブロック押さえ2に取り付けられている。したがって、上部ジャッキ1は上部ジャッキ固定部13によって上方への移動を規制されており、インゴットブロック押さえ2に対して下方への押し下げ力を加える。
インゴットブロック押さえ2には、接着装置1に固定され且つ長手方向が上下方向である二つの支柱12が挿通されている。このため、インゴットブロック押さえ2は、上部ジャッキ1の拡開によって支柱12に沿って上方及び下方へ摺動する。インゴットブロック押さえ2が下方へ移動され、インゴット押さえブロック3に接すると、上部ジャッキ1の押し下げ力をインゴット押さえブロック3に伝達する。
インゴット押さえブロック3は取り付け及び取り外し自在の部材であって、インゴット4の周面に載置される。このインゴット押さえブロック3はインゴットブロック押さえ2を介して伝達された上部ジャッキ1の押し下げ力をインゴット4に伝達する。
二つのワーク支持ローラ5は上下方向と直交する同一水平面内に設けられ且つ接着装置1に取り付けられている。二つのワーク支持ローラ5の間隔はインゴット4の直径よりも小さく且つスライス台6の幅よりも大きい。このため、二つのワーク支持ローラ5によってインゴット4を下方から支持可能であると共に、インゴット4に対してスライス台6を下方から接着可能である。ワーク支持ローラ5に載置されたインゴット4の長手方向は上下方向と直交する。ワーク支持ローラ5は図示しない駆動装置により回転自在にされており、自身の回転によって載置されたインゴット4を回転させる。
下部ジャッキ11はハンドルの正回転によって上下方向に押し拡げられ、逆回転によって縮められる。下部ジャッキ11の下端は接着装置2に固定された下部ジャッキ固定部14に取り付けられており、下部ジャッキ11の上端はテーブル10に取り付けられている。したがって、下部ジャッキ11は下部ジャッキ固定部14で下方への移動を規制されており、テーブル10に対して上方への押し上げ力を加える。
テーブル10は下部ジャッキ11の拡開によって上方へ移動する。テーブル10にはX軸方位調整部9のベース部9aが固定されている。
X軸方位調整部9はベース部9aとX軸修正ハンドル9bと駆動部9cとを有する。駆動部9c上には接着プレート8が設けられている。X軸修正ハンドル9bの正逆回転によって、駆動部9cは接着プレート8をX軸方向に回転させる。接着プレート8にはワークプレート7が載置され、ワークプレート7にはスライス台6が載置される。下部ジャッキ11の押し上げ力は、テーブル10、X軸方位調整部9、接着プレート8、ワークプレート7を介してスライス台6に伝達される。
次に、接着装置1を用いてインゴット4とスライス台6とを接着する手順について説明する。
インゴット4を接着装置1にセットする前に、図示しない結晶軸測定装置でインゴット4の結晶軸を測定し、ワーク支持ローラ5及びX軸方位調整部9によるインゴット4の結晶軸修正作業の際の修正値を算出しておく。結晶軸はノッチやオリフラを基準として測定する。
修正値の算出が終了したら、接着プレート8にワークプレート7をセットし、またワーク支持ローラ5にインゴット4を載置する。そして、ワーク支持ローラ5を回転させてインゴット4を回転させる。インゴット4の回転角度はエンコーダによって測定し、インゴット4の回転角度が回転方向の修正値と一致するまでワーク支持ローラ5を回転させる。次に、X軸修正ハンドル9aをX軸方向の修正値と一致するまでX軸修正ハンドル9aを回転させる。
結晶軸の修正作業が終了したら、インゴット4の上部にインゴット押さえブロック3を載置し、上部ジャッキ1のハンドルを回転させてインゴットブロック押さえ2を下降させる。インゴットブロック押さえ2とインゴット押さえブロック3が接したら、更に上部ジャッキ1のハンドルを回転させ、インゴット4に対して押し下げ力を加える。すると、インゴット4はワーク支持プレート5に押しつけられ固定される。
上下面に接着剤を塗布したスライス台6をワークプレート7に載置し、下部ジャッキ11のハンドルを回転させてテーブル10、X軸方位調整部9、接着プレート8、ワークプレート7、スライス台6を上昇させる。スライス台6とインゴット4が接したら、更に下部ジャッキ11のハンドルを回転させ、スライス台6に対して押し上げ力を加える。すると、スライス台6はインゴット4に押しつけられる。
この時、下部ジャッキ11の押し上げ力よりも上部ジャッキ1の押し下げ力の方が大きくなるように、上部ジャッキ1及び下部ジャッキ11の押しつけ力を調整する。上部ジャッキ1の押し下げ力を下部ジャッキ11の押し上げ力以上にすれば、インゴット4は下方向への移動をワーク支持ローラ5で規制され、また上方向への移動を上部ジャッキ1で規制される。したがってインゴット4及びスライス台6は所定位置に固定される。
この状態で、図示しないヒータを作動させて接着部分を乾燥させる。乾燥が終了したら、上部ジャッキ1のハンドルを逆回転させてインゴットブロック押さえ2を上昇させる。そして、一体となったインゴット4、スライス台6、ワークプレート7を回収する。
図2(a)は本実施形態による結晶軸のずれの分布を示す図であり、図2(b)は従来の装置による結晶軸のずれの分布を示す図である。
図2(a)、(b)を具体的に説明する。
本実施形態によれば、N(試料数)=34とした場合に、
Ave(平均)=−0.017
Std(標準偏差)=0.031
Cp(工程能力)=3.53
という結果が得られたのに対し、従来装置によれば、N=49とした場合に、
Ave=−0.035
Std=0.064
Cp=1.71
という結果が得られた。
本実施形態によれば、N(試料数)=34とした場合に、
Ave(平均)=−0.017
Std(標準偏差)=0.031
Cp(工程能力)=3.53
という結果が得られたのに対し、従来装置によれば、N=49とした場合に、
Ave=−0.035
Std=0.064
Cp=1.71
という結果が得られた。
図2(a)、(b)から、本実施形態は従来装置よりも結晶軸がずれる割合が少ないといえる。
なお、本実施形態では押圧手段を上部ジャッキ1、下部ジャッキ11として説明したが、上部ジャッキ1、下部ジャッキ11の代わりにシリンダ及びピストンからなる装置を押圧手段として用いてもよい。また、上部ジャッキ1の代わりに下部ジャッキ11の押し上げ力よりも大きい押し下げ力を発生させるウェイトを押圧手段として用いてもよい。
本実施形態によれば、インゴット及びスライス台を保持しつつ一方向から押しつけ力を作用させるのではなく、インゴット及びスライス台に対して対向する二方向から押しつけ力を作用させているため、インゴットとスライス台との接着を確実に行うことができる。したがって、インゴットとスライス台の相対位置のずれを防止でき、結晶軸精度を向上させることができる。
1 上部ジャッキ
4 インゴット
5 支持ローラ
6 スライス台
11 下部ジャッキ
4 インゴット
5 支持ローラ
6 スライス台
11 下部ジャッキ
Claims (4)
- 結晶軸を調整した単結晶インゴット(4)とスライス台(6)とを接着すると共にスライス台(6)とワークプレート(7)とを接着する単結晶インゴットとスライス台の接着装置において、
単結晶インゴット(4)の長手方向と直交する第1の方向に押しつけ力を発生させる第1の押圧手段(1)と、
前記第1の方向と対向する第2の方向に押しつけ力を発生させる第2の押圧手段(11)と、
前記第1の押圧手段(1)の端部のうち前記第2の方向の端部と接触し、前記第1の押圧手段(1)が前記第2の方向へ移動することを規制する第1の規制手段(13)と、
前記第2の押圧手段(11)の端部のうち前記第1の方向の端部と接触し、前記第2の押圧手段(11)が前記第1の方向へ移動することを規制する第2の規制手段(14)と、を備え、
前記第1の押圧手段(1)と前記第2の押圧手段(11)で単結晶インゴット(4)とスライス台(6)とを互いに押しつけて接着すると共にスライス台(6)とワークプレート(7)とを互いに押しつけて接着し、単結晶インゴット(4)とスライス台(6)とワークプレート(7)を一体にすること
を特徴とする単結晶インゴットとスライス台の接着装置。 - 結晶軸を調整した単結晶インゴット(4)とスライス台(6)とを接着すると共にスライス台(6)とワークプレート(7)とを接着する単結晶インゴットとスライス台の接着装置において、
単結晶インゴット(4)の長手方向と直交する第1の方向に押しつけ力を発生させる第1の押圧手段(1)と、
前記第1の方向と対向する第2の方向に押しつけ力を発生させる第2の押圧手段(11)と、
単結晶インゴット(4)を支持する支持手段(5)と、
前記第1の押圧手段(1)の端部のうち前記第2の方向の端部と接触し、前記第1の押圧手段(1)が前記第2の方向へ移動することを規制する第1の規制手段(13)と、
前記第2の押圧手段(11)の端部のうち前記第1の方向の端部と接触し、前記第2の押圧手段(11)が前記第1の方向へ移動することを規制する第2の規制手段(14)と、を備え、
前記支持手段(5)で単結晶インゴット(4)を支持しつつ、前記第1の押圧手段(1)と前記第2の押圧手段(11)で単結晶インゴット(4)とスライス台(6)とを互いに押しつけて接着すると共にスライス台(6)とワークプレート(7)とを互いに押しつけて接着し、単結晶インゴット(4)とスライス台(6)とワークプレート(7)を一体にすること
を特徴とする単結晶インゴットとスライス台の接着装置。 - 前記第1の押圧手段(1)は単結晶インゴット(4)を前記支持手段(5)に押しつけ、前記第1の押圧手段(1)の押しつけ力は前記第2の押圧手段(11)の押しつけ力以上であること
を特徴とする請求項2記載の単結晶インゴットとスライス台の接着装置。 - 結晶軸を調整した単結晶インゴットと(4)スライス台(6)とを接着すると共にスライス台(6)とワークプレート(7)とを接着する単結晶インゴットとスライス台の接着方法において、
単結晶インゴット(4)を支持部材(5)で支持する支持工程と、
第1の押しつけ部材(1、2、3)を用いて、単結晶インゴット(4)の長手方向と直交する第1の方向に押しつけ力を発生させて、単結晶インゴット(4)を前記支持部材(5)に押しつけ、同時に、前記第1の押しつけ部材(1、2、3)の端部のうち前記第1の方向と対向する第2の方向の端部を押さえつつ前記第1の押しつけ部材(1、2、3)が前記第2の方向へ移動することを規制する第1の押圧工程と、
第2の押しつけ部材(8、9、10、11)を用いて、前記第2の方向に押しつけ力を発生させて、スライス台(6)を単結晶インゴット(4)に押しつけると共にワークプレート(7)をスライス台(6)に押しつけ、同時に、前記第2の押しつけ部材(8、9、10、11)の端部のうち前記第1の方向の端部を押さえつつ前記第2の押しつけ部材(8、9、10、11)が前記第1の方向へ移動することを規制する第2の押圧工程と、を備えたこと
を特徴とする単結晶インゴットとスライス台の接着方法。
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN110893648A (zh) * | 2019-12-10 | 2020-03-20 | 安徽省含山民生瓷业有限责任公司 | 一种陶瓷粘结装置 |
Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH11207732A (ja) * | 1998-01-23 | 1999-08-03 | Tokyo Seimitsu Co Ltd | 接着装置 |
JP2003205516A (ja) * | 2002-01-15 | 2003-07-22 | Nippei Toyama Corp | シリコンインゴットに対する中間ステー接着装置及び接着方法 |
-
2009
- 2009-05-11 JP JP2009114622A patent/JP2009214545A/ja active Pending
Patent Citations (2)
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