JP2009212772A - ヘッドフォン装置、信号処理方法、音響再生システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】イヤーパッド側に対して、そのイヤーパッドの所定の種別ごとに異なる内容となる情報を記憶させておく。ヘッドフォン或いはヘッドフォンと接続される信号処理装置側では、イヤーパッドが接続されたときに、イヤーパッド側記憶情報を読み出し、該イヤーパッド側記憶情報に基づき、信号処理手段の信号処理特性を設定させる。これにより、ユーザ操作によらずイヤーパッドの別に応じた情報を自動的に取得することができ、該取得した情報に基づいて、接続されたイヤーパッドに対応する信号処理特性を設定することができる。
【選択図】図10
Description
また、上記特許文献2には、その基本構成として、ヘッドフォン装置外筐に取り付けたマイクロフォンにより収音して得た音声信号について所定の伝達関数による特性を与えてヘッドフォン装置から出力させるようにした構成、つまりフィードフォワード方式に対応したノイズキャンセリングシステムの構成が記載されている。
このとき、上記空間伝達関数としては、ヘッドフォン装置の音響管(ハウジング部)の構造などにより大きく左右されるものとなることから、ノイズキャンセリングのためのフィルタ特性は、同一構造を有する1種類のヘッドフォン構造を想定して設定するものとなる。換言すれば、ノイズキャンセリングシステムにおいて、フィルタ特性は、想定される1種のヘッドフォン構造に対して1対1の関係で設定されるべきものとなっている。
確認のために述べておくと、フィルタをアナログ回路で構成する場合には、フィルタ特性の変更にあたりそれぞれ別々のフィルタ特性を有するフィルタ回路を複数設けておき、それらをスイッチングしてフィルタ特性の変更を行うことになる。しかしながら、そのような構成は回路実装面積の点などから非現実的であり、結果として現状においては、信号処理装置とヘッドフォン装置は想定される1対1の組み合わせでしか使用できないものとなっている。
このような識別にあたっては、例えば使用するイヤーパッドの別の情報をユーザ操作に基づき取得することが考えられる。しかしながら、ユーザの入力情報に基づく識別を行う場合には、必然的にユーザに操作負担を強いるものとなり、利便性に欠けるシステムとなってしまう。
また、このようにユーザの操作入力に基づく識別を行う場合には、ユーザの勘違い等で実際に使用されるイヤーパッドとは別のイヤーパッドが選択されてしまう可能性もあり、その場合、適正なノイズキャンセリング効果を得ることができなくなってしまうといった問題が生じる。
つまり、本発明のヘッドフォン装置は、使用者の耳部分と接する接触部を着脱可能に構成されたヘッドフォン装置であって、振動板を備え音声出力を行う音声出力手段を備える。
また、上記音声出力手段に対して供給される信号に所要の信号特性を与えるようにして信号処理を行う信号処理手段を備える。
また、上記接触部に記憶され、上記接触部の所定の種別ごとに異なる情報内容となるようにされた接触部側記憶情報を読み取る情報読取手段を備える。
また、上記情報読取手段が読み取った上記接触部側記憶情報に基づき上記信号処理手段の信号処理特性が設定されるように制御を行う制御手段を備えるものである。
すなわち、本発明の音響再生システムは、使用者の耳部分と接する接触部を着脱可能に構成されたヘッドフォン装置と、上記ヘッドフォン装置が音声出力を行うにあって入力する信号を生成する信号処理装置とを備えて構成される音響再生システムであって、上記信号処理装置に備えられ、上記ヘッドフォン装置に対して供給される信号に所要の信号特性を与えるようにして信号処理を行う信号処理手段を備える。
また、上記接触部に記憶され、上記接触部の所定の種別ごとに異なる情報内容となるようにされた接触部側記憶情報を読み取る情報読取手段を備える。
また、上記信号処理装置に備えられ、上記情報読取手段が読み取った上記接触部側記憶情報に基づき上記信号処理手段の信号処理特性が設定されるように制御を行う制御手段を備えるものである。
そして、このように取得した接触部側記憶情報に基づき、信号処理手段の信号処理特性を、接続された接触部に応じた特性に設定(変更)するようにしている。これにより、使用する接触部の別に応じた適切な信号処理特性を本体側で自動的に設定することができる。
つまり本発明によれば、使用するイヤーパッドの別に応じた適切な信号処理特性を本体側で自動的に設定することができ、これによってユーザに操作負担を負わせることのない優れたシステムの実現が図られる。また、これと共に、ユーザの操作入力ミスなどにより誤った信号処理特性が設定されてしまい、適正な音響再生を行うことができなくなってしまうといった事態の発生も効果的に防止することができる。
実施の形態では、ヘッドフォン装置を備えて構成される音響再生システムとして、ノイズキャンセリングシステムを例に挙げる。そこで、以下では先ず、本実施の形態としてのシステムの構成を説明するのに先立ち、ノイズキャンセリングシステムの基本概念について説明を行っておく。
ノイズキャンセリングシステムの基本的な方式としては、フィードバック(FeedBack:FB)方式によりサーボ制御を行うようにされたものとフィードフォワード(FeedForward:FF)方式がそれぞれ知られている。先ず、図1により、FB方式について説明する。
ここでのヘッドフォン装置のRチャンネル側の構造としては、先ず、右耳に対応するハウジング部201内において、ヘッドフォン装置を装着したユーザ500の右耳に対応する位置にドライバ202を設けるようにされる。ドライバ202は振動板を備えたいわゆるスピーカと同義のものであり、音声信号の増幅出力により駆動(ドライブ)されることで音声を空間に放出するようにして出力するものである。
このとき、ハウジング部201に対しては、図のように当該ハウジング部201とユーザ500の耳部分(耳を覆う部分も含む)との間に挿入されるようにしてイヤーパッド201aが設けられる。
そして、マイクロフォン203によって収音して得られた音声信号から、例えば外部音声の音声信号成分に対して逆特性となる信号など、ハウジング内ノイズ302がキャンセル(減衰、低減)されるようにするための信号(キャンセル用オーディオ信号)を生成し、この信号について、ドライバ202を駆動する必要音の音声信号(オーディオ音源)に合成させるようにして帰還させる。これによりハウジング部201内における右耳に対応するとされる位置に設定されたノイズキャンセル点400においては、ドライバ202からの出力音声と外部音声の成分とが合成されることによって外部音声がキャンセルされた音が得られ、ユーザの右耳では、この音を聴き取ることになる。そして、このような構成を、Lチャンネル(左耳)側においても与えることで、通常のL,R2チャンネルステレオに対応するヘッドフォン装置としてのノイズキャンセリングシステムが得られることになる。
なお、このように音声信号Sにイコライジングを施すのは、FB方式では、ノイズ収音用のマイクロフォン203がハウジング部201内に設けられ、ノイズ音のみでなくドライバ202からの出力音声も収音されることに由来する。すなわち、このようにマイクロフォン203が音声信号Sの成分も収音することで、FB方式では音声信号Sに対しても伝達関数−βが与えられるものとなっており、このことで音声信号Sの音質劣化を招くこと虞がある。そこで、予め伝達関数−βによる音質劣化を抑制するために、イコライジングにより音声信号Sに所要の信号特性を与えるようにしているものである。
なお確認のために述べておくと、上記伝達関数Hは、ハウジング部201やイヤーパッド201aの構造(材質や形状、組み立て手法など)によって決定づけられるものである。すなわち、イヤーパッド201aを変更可能とする場合、この伝達関数Hも変化するものである。
1<<|ADHMβ|
で表されることとと、古典制御理論におけるNyquistの安定性判別と合わせると、[式2]については下記のように解釈できる。
ここでは、図1(b)に示されるノイズキャンセリングシステムの系において、ハウジング内ノイズ302であるNに関わるループ部分を一箇所切断して得られる、(−ADHMβ)で表される系を考える。この系を、ここでは「オープンループ」ということにする。一例として、マイクロフォン及びマイクロフォンアンプに対応する伝達関数ブロック101と、FBフィルタ回路に対応する伝達関数ブロック102との間を切断すべき箇所とすれば、上記のオープンループを形成できる。
このオープンループを対象とした場合、Nyquistの安定性判別に基づき、[式2]を満足するためには、下記の2つの条件を満たす必要がある。
条件1:位相0deg.(0 度)の点を通過するとき、ゲインは0dBより小さくなくてはならない。
条件2:ゲインが0dB以上であるとき、位相0deg.の点を含んではいけない。
例えば図2にあっては、位相0deg.の点を通過するときのゲインとしては0dBより小さくなっており、これに応じてゲイン余裕Ga 、Gbが得られている。しかしながら、例えば仮に位相0deg.の点を通過するときのゲインが0dB以上となってゲイン余裕Ga 、Gbが無くなる、あるいは位相0deg.の点を通過するときのゲインが0dB未満であるものの、0dBに近く、ゲイン余裕Ga 、Gbが小さくなるような状態となると、発振を生じる、あるいは発振の可能性が増加することになる。
同様にして、図2にあっては、ゲインが0dB以上であるときには位相0deg.の点を通過しないようにされており、位相余裕Pa、Pbが得られている。しかしながら、例えばゲインが0dB以上であるときに位相0deg.の点を通過してしまっている。或いは、位相0deg.に近くなり位相余裕Pa、Pbが小さくなるような状態となると、発振を生じる、あるいは発振の可能性が増加することになる。
ここでは、必要音として、例えば楽曲などのコンテンツとしてのオーディオ音源の音声信号Sが示されている。
なお、この音声信号Sとしては、音楽的、又はこれに準ずる内容のもののほかにも考えられる。例えば、ノイズキャンセリングシステムを補聴器などに適用することとした場合には、周囲の必要音を収音するために筐体外部に設けられるマイクロフォン(ノイズキャンセルの系に備えられるマイクロフォン203とは異なる)により収音して得られた音声信号となる。また、いわゆるヘッドセットといわれるものに適用する場合には、電話通信などの通信により受信した相手方の話し声などの音声信号となる。つまり、音声信号Sとは、ヘッドフォン装置の用途などに応じて再生出力すべきことが必要となる音声一般に対応したものである。
図3(a)は、FF方式によるノイズキャンセリングシステムのモデル例として、先の図1(a)と同様にRチャンネルに対応する側の構成を示している。
FF方式では、ハウジング部201の外側に対して、ノイズ音源301から到達してくるとされる音声が収音できるようにしてマイクロフォン203を設けるようにされる。そして、このマイクロフォン203により収音した外部音声、つまりノイズ音源301から到達してきたとされる音声を収音して音声信号を得て、この音声信号について適切なフィルタリング処理を施して、キャンセル用オーディオ信号を生成するようにされる。そして、このキャンセル用オーディオ信号を、必要音の音声信号と合成する。つまり、マイクロフォン203の位置からドライバ202の位置までの音響特性を電気的に模擬したキャンセル用オーディオ信号を必要音の音声信号に対して合成するものである。
そして、このようにしてキャンセル用オーディオ信号と必要音の音声信号とが合成された音声信号をドライバ202から出力させることで、ノイズキャンセル点400において得られる音としては、ノイズ音源301からハウジング部201内に侵入してきた音がキャンセルされたものが聴こえるようになる。
先ず、ハウジング部201の外側に設けられるマイクロフォン203により収音される音は、マイクロフォン203及びマイクロフォンアンプに対応する伝達関数Mを有する伝達関数ブロック101を介した音声信号として得られる。
次に、上記伝達関数ブロック101を経由した音声信号は、FF(FeedForward)フィルタ回路に対応する伝達関数ブロック102(伝達関数−α)を介して合成器103に入力される。FFフィルタ回路102は、マイクロフォン203により収音して得られた音声信号から、上記したキャンセル用オーディオ信号を生成するための特性が設定されたフィルタ回路であり、その伝達関数が−αとして表されているものである。
合成器103により合成された音声信号は、パワーアンプにより増幅され、ドライバ202に駆動信号として出力されることで、ドライバ202から音声として出力されることになる。つまり、この場合にも、合成器103からの音声信号は、パワーアンプに対応する伝達関数ブロック104(伝達関数A)を経由し、さらにドライバ202に対応する伝達関数ブロック105(伝達関数D)を経由して音声として空間内に放出される。
そして、ドライバ202にて出力された音声は、ドライバ202からノイズキャンセル点400までの空間経路(空間伝達関数)に対応する伝達関数ブロック106(伝達関数H)を経由してノイズキャンセル点400に到達し、ここでハウジング内ノイズ302と空間で合成されることになる。
これにより、ノイズキャンセル点400から例えば右耳に到達するものとされる出力音の音圧Pとしては、ハウジング部201の外部から侵入してくるノイズ音源301の音がキャンセルされるものとなる。
また、確認のために述べておくと、[式6]は、ノイズ音源301から耳までの経路の伝達関数を、伝達関数−αを含めた電気回路にて模倣することを意味している。
このようなことから、一般的にFF方式は、発振する可能性が低く安定度は高いが、十分なノイズ減衰量(キャンセル量)を得るのは困難であるとされている。一方、FB方式は大きなノイズ減衰量が期待できる代わりに、系の安定性に注意が必要であるとされている。このように、FB方式とFF方式とでは、それぞれに特徴を有するものである。
[ヘッドフォン装置の内部構成]
図4は、本発明のヘッドフォン装置の一実施形態としての、ヘッドフォン1の内部構成を示したブロック図である。
このヘッドフォン1は、後述するイヤーパッド15として、種々のタイプのイヤーパッドを着脱可能に構成されている。ここで、本例のヘッドフォン1が対応するイヤーパッドのタイプについて、次の図5に示しておく。
これらのうち、(2)のヒータ内蔵タイプのイヤーパッド15は、ヘッドフォン1と接続されたときにヒーターへの電力供給が為されるように構成されている。
また、(4)の高放熱タイプのイヤーパッド15としては、例えばペルチェ素子などの冷却素子を備えたものとすることができ、その場合、ヘッドフォン1と接続されたときに冷却素子への電力供給が為されるように構成される。
なお、以下の説明では、これら電力供給のためのヘッドフォン1側・イヤーパッド15側の構成についての図示による説明は省略するが、具体的な構成としては、ヘッドフォン1側の所定位置に電力供給のための供給端子を設け、イヤーパッド15側には、ヘッドフォン1と接続されたときに上記供給端子と接する位置に、電力供給を受けるための入力端子を備えるようにすればよい。
また、先にも触れたように、「耳部分」とは、耳自体のみならず耳を覆う部分(耳の周囲)も含むものであるとする。
図4において、ヘッドフォン1には、ノイズキャンセリングシステムに対応する構成として、マイクロフォンMICが設けられる。マイクロフォンMICによる収音信号は、マイクアンプ2で増幅された後、A/D変換器3にてデジタル信号に変換されてDSP(Digital Signal Processor)5に供給される。
図6(a)は、FF方式対応のヘッドフォン装置とされる場合、図6(b)はFB方式対応のヘッドフォン装置とされる場合のヘッドフォン1の構造について模式的に示している。
これらの図に示されるように、ヘッドフォン1としては、Lchハウジング部1L、Rchハウジング部1Rとを有する。そしてFF方式、FB方式の場合も共に、LchのドライバDRV-LはLchハウジング部1L内に設けられ、またRchのドライバDRV-RはRchハウジング部1R内に設けられる。
具体的に、DSP5は、図中のイコライザ(EQ)5bとして示す機能動作として、上記A/D変換器4から供給されるオーディオ信号(オーディオデータ)についてイコライジング処理を施す。例えばイコライザ5bは、FIR(Finite Impulse Response)フィルタなどで実現することができる。
また、図中のNC(ノイズキャンセリング)フィルタ5aとして示す機能動作として、上記マイクロフォンMICにより検出されマイクアンプ2→A/D変換器3を介して入力される収音信号(収音データ)に対し、ノイズキャンセリングのための信号特性を与える。このNCフィルタ5aとしても、例えばFIRフィルタなどで構成することができる。
さらに、図中の加算器5cとして示す機能動作として、上述したイコライザ5bにより処理されたオーディオデータと、上記NCフィルタ5aにより処理された収音データとを加算する。この加算器5cとしての加算処理により得られるデータを加算データと呼ぶ。該加算データは、上記NCフィルタ5aによりノイズキャンセリングのための特性が与えられた収音データが加算されたものとなる。従って、該加算データに基づく音声出力(音響再生)がドライバDRVにより行われることで、ヘッドフォン1を装着したユーザに、ノイズ成分がキャンセルされたものとして知覚させることができる。
なお、先の説明によれば、FF方式の場合にはオーディオデータに対するイコライジングは必須とはならないが、FF方式に対応するヘッドフォン1とされる場合、上記イコライザ5bとしては、例えば単に所要のイコライジング処理を行うものとして機能するものと考えればよい。
マイクロコンピュータ8は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、CPU(Central Processing Unit)などを備えて構成され、例えば上記ROM、又はメモリ10等の記憶手段に記憶されるプログラムに基づく各種の制御処理や演算を行うことで、ヘッドフォン1の全体制御を行う。
図示による説明は省略するが、上記パッド接続有無検出部9は、イヤーパッド15が接続されたことに応じ、上記イヤーパッド15に形成された例えば凸部によって押圧されるようにして設けられたメカスイッチを備えて構成される。このパッド接続有無検出部9は、上記イヤーパッド15が接続されたときにONとなり、上記イヤーパッド15が取り外された(接続が解除された)ときはOFFとなる。マイクロコンピュータ8は、このようなメカスイッチのON/OFFに応じて上記接続有無検出部9が出力するON/OFF信号に基づき、イヤーパッド15の接続の有無を判定する。
マイクロコンピュータ8は、該構造パターン検出部11からの検出信号を入力し、上記IDを取得するための処理を実行するものとなるが、これについては後述する。
このID−フィルタ特性対応情報10aは、図7に示されるように、先の図5にて提示した、ヘッドフォン1が対応可能とされる各タイプのイヤーパッド15ごとに付されるIDの情報と、そのIDにより特定されるタイプのイヤーパッド15が接続された場合にNCフィルタ5aにて設定されるべきとして定められたフィルタ特性の情報とが対応づけられた情報とされる。
図7に示されるように、ID:0に対してはtype0としてのフィルタ特性情報が対応づけられる。以下同様に、ID:1に対してはtype1、ID:2に対してはtype2、ID:3に対してはtype3、ID:4に対してはtype4としてのフィルタ特性情報が対応づけられている。
なお、確認のために述べておくと、フィルタ特性は、NCフィルタ5aとしての例えばFIRフィルタの構成(段数など)や、フィルタ係数によって定まるものである。上記フィルタ特性情報としては、これらフィルタ構成やフィルタ係数についてのパラメータ情報が格納されることになる。
ここで、本実施の形態では、ヘッドフォン1に対して接続されるイヤーパッド15として、複数種のイヤーパッド15に対応してそれぞれ適正なノイズキャンセリング効果が得られるようにすることを目的としている。
イヤーパッド15は、音響部品そのものであり、その材質や形状、組み立て手法が異なることによって外部からのノイズ音の遮蔽度合い、ドライバDRVから発生する音の吸収の度合い、ドライバDRVから見た音響インピーダンスの度合いなどに大きな影響を与えるものである。このため、使用するイヤーパッド15の種類を変更した場合には、先に述べたようにしてNCフィルタの特性を設定する上で前提とする各種の空間伝達関数(HやF)も変化し、結果として、使用するイヤーパッド15の種類を変更した場合には、NCフィルタ5aのフィルタ特性を変化させる必要がある。
このような識別にあたっては、例えば使用するイヤーパッド15の別の情報をユーザ操作に基づき取得することが考えられるが、ユーザの入力情報に基づく識別を行う場合には、必然的にユーザに操作負担を強いるものとなり、利便性に欠けるシステムとなってしまう。
また、このようにユーザの操作入力に基づく識別を行う場合には、ユーザの勘違い等で実際に使用されるイヤーパッド15とは別のイヤーパッド15が選択されてしまう可能性もあり、その場合、適正なノイズキャンセリング効果を得ることができなくなってしまうといった問題が生じる。
このような手法として、先ず、以下で説明する実施例1〜実施例3では、イヤーパッド15側に対してそのタイプの別を表すIDの情報(図5に示したID:0〜ID:4)を物理的な構造パターンによって記憶させ、ヘッドフォン1側には、上記構造パターンの別を検出するための検出部(構造パターン検出部11)を設け、該検出部の検出結果に基づき上記IDの情報を取得するという手法を提案する。
図8は、実施例1としてのヘッドフォン1、イヤーパッド15の構成について説明するための図として、図8(a)ではヘッドフォン1におけるLchハウジング部1Lの構造とイヤーパッド15の構造と斜視図により示しており、図8(b)ではヘッドフォン1側における各電極に対する内部の配線状態について模式的に示している。
先ず、この場合のLchハウジング部1Lには、イヤーパッド15と接続される面に対して、該イヤーパッド15を所定の位置関係により接続するための位置決め凸部Xh1,Xh2,Xh3が設けられる。そして、これに対応してイヤーパッド15側には、Lchハウジング部1Lと接続される面に対して、上記位置決め凸部Xh1,Xh2,Xh3を勘合する位置決め凹部Xp1,Xp2,Xp3が設けられる。すなわち、Xh1−Xp1、Xh2−Xp2、Xh3−Xp3の組でそれぞれが勘合することで、Lchハウジング部1Lに対しイヤーパッド15が、予め定められた所定の位置関係で接続されるようになっている。
この図の例では、第1導電部形成位置P1、第2導電部形成位置P2、第3導電部形成位置P3、第4導電部形成位置P4、第5導電部形成位置P5の全てに導電部が形成されている場合を示している。図のように第1導電部形成位置P1に形成されるのは第1導電部Ep1、第2導電部形成位置P2に形成されるのは第2導電部Ep2、第3導電部形成位置P3に形成されるのは第3導電部Ep3、第4導電部形成位置P4に形成されるのは第4導電部Ep4、第5導電部形成位置P5に形成されるのは第5導電部である。
この場合、各導電部Ep1、Ep2、Ep3、Ep4、Ep5は、導電性を有する金属板を貼り付けて形成している。
これら各電極Epとしては、上述した各位置決め凸部Xhと各位置決め凹部Xpとによりイヤーパッド15が所定の位置関係で接続された際に、上記[第1電極Eh1a・Eh1b]の組は上記第1導電部形成位置P1と接し、上記[第2電極Eh2a・Eh2b]の組は上記第2導電部形成位置P2と接し、上記[第3電極Eh3a・Eh3b]の組は上記第3導電部形成位置P3と接し、上記[第4電極Eh4a・Eh4b]の組は上記第4導電部形成位置P4と接し、上記[第5電極Eh5a・Eh5b]の組は上記第5導電部形成位置P5と接するようにして設けられる。
なお、図中「2.8V」の表記は、デジタルでH(High)として扱われる電圧レベルを表しているものである。
この場合、或る導電部形成位置Pに導電部Epが形成されるときには、Lchハウジング部1L側の電極Eh1a、Eh2a、Eh3a、Eh4a、Eh5aのうちの対応する電極Ehと接続されたラインがL(Low)となり、逆に導電部Epが形成されないときは対応する電極Ehと接続されたラインがHとなる。マイクロコンピュータ8は、それぞれの電極Ehと接続されるラインで得られる電気信号のH/Lの別を判定することで、イヤーパッド15側における導電部Epの有無で記憶されたID情報を取得することができる。
この場合においては、各導電部形成位置Pの表面上に形成された上記2つの電極について、それらを内部で配線(接続)する/しないことによって導電部Epの有無を表現することができる。図9の例では、全ての導電部形成位置Pにおける2つの電極が配線されている場合を示している。すなわち、各導電部形成位置Pに導電部Epが形成されている場合を例示している。
なお、図10において、図中マイクロコンピュータとして示す処理動作は、図4に示したマイクロコンピュータ8が例えば上述したROMなどに記憶されるプログラムに基づいて実行するものである。また、DSPとして示す処理動作は、DSP5がメモリ10に格納されたプログラムに基づき実行するものである。
ステップS202の処理を実行すると、この図に示すDSP5側の処理動作は終了となる。
続いては、実施例2について説明する。
なお、以下の説明において、既にこれまでにおいて説明した部分と同様となる部分については同一符号を付して説明を省略する。
図11は、実施例2の構成について説明するための図として、図11(a)はLchハウジング部1Lとイヤーパッド15の構造を示した斜視図であり、図11(b)はヘッドフォン1側における各メカスイッチに対する内部の配線状態について模式的に示した図である。
第1メカスイッチMSW1は、各位置決め部Xh・Xpによって位置決めされてイヤーパッド15が接続されたときに上記第1凸部形成位置P11と対向する位置に対して設けられる。同様に、第2メカスイッチMSW2は第2凸部形成位置12と対向する位置、第3メカスイッチMSW3は第3凸部形成位置13と対向する位置、第4メカスイッチMSW4は第4凸部形成位置14と対向する位置、第5メカスイッチMSW5は第5凸部形成位置15と対向する位置に対してそれぞれ設けられる。
さらに、上記メカスイッチMSW1〜MSW5のそれぞれは、イヤーパッド15が接続されたとき、対向する凸部形成位置Pに凸部Jが形成されている場合に、該凸部Jによって押圧されてON状態となり、また対向する凸部形成位置Pに凸部Jが形成されない場合、或いはイヤーパッド15が取り外された場合にはOFF状態となるようにして形成されている。
このような構成により、イヤーパッド15側における各凸部形成位置Pにおける凸部Jの有無を電気信号により検出するための、構造パターン検出部11が形成される。
具体的に、イヤーパッド15側における凸部形成位置Pに突起部Jが形成される場合には、対応するメカスイッチMSWと接続されたラインがLとなり、凸部Jが形成されない場合は対応するメカスイッチMSWと接続されたラインがHとなる。マイクロコンピュータ8は、それぞれのメカスイッチMSW(上記他方の端子)と接続されるラインで得られる電気信号のH/Lの別を判定することで、イヤーパッド15側における凸部Jの有無で記憶されたID情報を取得することができる。
このような構成とした場合も、マイクロコンピュータ8は、各メカスイッチMSWと接続されたラインで得られる電気信号のH/Lの別を判定することでID情報を取得することができる。
実施例3は、イヤーパッド15側の所定位置における導光材の有無によってID情報を記憶させ、それを読み取るものである。
図12は、実施例3の構成について説明するための図として、図12(a)はLchハウジング部1Lとイヤーパッド15の構造を示した斜視図であり、図12(b)はヘッドフォン1側の主にID情報の読み取りに係る部分の内部構成を抽出して示している。
各導光部Op1、Op2、Op3、Op4、Op5は透過性を有し、例えば透明ガラスや透明樹脂などで構成する。
各発光部Oh-E1、Oh-E2、Oh-E3、Oh-E4、Oh-E5は、例えばLED(Light Emitting Diode)などの発光素子を備えて構成される。また各光検出部Oh-D1、Oh-D2、Oh-D3、Oh-D4、Oh-D5は例えばフォトトランジスタなどの光検出素子(光電変換素子)を備えて構成される。
この場合のマイクロコンピュータ8は、各発光部Oh-E1、Oh-E2、Oh-E3、Oh-E4、Oh-E5の発光動作のON/OFF制御を行う。また、各光検出部Oh-D1、Oh-D2、Oh-D3、Oh-D4、Oh-D5からの検出信号(電気信号)のレベル検出を行う。
イヤーパッド15側における導光部形成位置Pに導光部Opが形成される場合は、対応する発光部Oh-Eにより発せられた光によって上記導光部Opが点灯し、この点灯光が対応する光検出部Oh-Dによって検出される。すなわち、該対応する光検出部Oh-Dによる検出信号がHとなる。一方、導光部形成位置Pに導光部Opが形成されない場合には、点灯部が無いことより、対応する光検出部Oh-Dによる検出信号はLとなる。
このようにしてマイクロコンピュータ8は、各光検出部Oh-Dによる検出信号のH/Lの別を判定することで、イヤーパッド15側における導光部Opの有無で記憶されたID情報を取得することができる。
なお、確認のために述べておくと、この場合における「導光」は、発光部Oh-Eにて発光された光を光検出部Oh-Dに対して導くという意で使用しているものである。
この場合の導光部Opの構造について、図13(b)では第1導光部Op1の構造を代表して示しているが、この場合の各導光部Opには2つの凸部が形成され、これら2つの凸部が接続面上に表出することで、それぞれ光入力部、光出力部として機能することになる。図13(a)(b)に示されるように、第1導光部Op1に形成されるのは第1光入力部Op1aと第1光出力部Op1bとする。同様に、図13(a)に示されているように第2導光部Op2に形成されるのは第2光入力部Op2aと第2光出力部Op2b、第3導光部Op3に形成されるのは第3光入力部Op3aと第3光出力部Op3b、第4導光部Op4に形成されるのは第4光入力部Op4aと第4光出力部Op4b、第5導光部Op5に形成されるのは第5光入力部Op5aと第5光出力部Op5bである。
なお、確認のために述べておくと、この場合のヘッドフォン1側において、各発光部Eh-Eは、イヤーパッド15が接続されたときに、対応する導光部Opの光入力部が形成されるべき位置と対向する位置に対して設けられる。同様に、光検出部Oh-Dとしては、対応する導光部Opの光出力部が形成されるべき位置と対向する位置に対して設けられることになる。
図14のフローチャートは、実施例3において実行されるべきフィルタ特性の変更設定処理の内容を示しているが、この図14と先の図10とを比較してわかるように、この場合のマイクロコンピュータ8側の処理としては、先ず、ステップS101でパッドが接続されたとした場合に、ステップS301により各発光部Oh-EをONとするための処理を実行するようにされる。そして、続くステップS302においては、ID読み取り処理として、各光検出部Oh-Dによる検出信号のH/Lの判定を行った結果からID情報を取得する処理を実行し、さらに次のステップS303において各発光部Oh-EをOFFとするための処理を実行する。
なお、マイクロコンピュータ8側における以降の処理、及びDSP5側の処理については図10にて説明したものと同様となるので改めての説明は省略する(内容が同様となる処理については同一ステップ番号を付している)。
ここで、これまでの説明では、イヤーパッド15側に形成した物理的な構造パターンによってイヤーパッド15の種類ごとに異なる情報を記憶させる場合について説明したが、実施例4は、イヤーパッド15側に設けたメモリ装置によってイヤーパッド15ごとの情報を記憶させるようにするものである。
なお、図15(b)において、ヘッドフォン1側の内部構成については、主にイヤーパッド15側に記憶される情報の読み取りに係る部分の構成を抽出して示している。
一方、ヘッドフォン1側に対しては、電源部12が設けられ、該電源部12に対して上述した電力供給端子Th-E、グランド端子Th-GNDが接続されている。さらに、マイクロコンピュータ8に対しては上記データ通信端子Th-Dが接続される。
このような構成により、Lchハウジング部1Lに対してイヤーパッド15が接続されたとき、不揮発性メモリ16に電源部12からの電力供給が行われ、また上記データ通信端子Th-D,Tp-Dを介し、不揮発性メモリ16からのデータ読み出しを行うことが可能とされている。
このようにID情報を記憶させる場合において、ヘッドフォン1に接続されたイヤーパッド15が未対応のものであるとき、すなわちヘッドフォン1側に該接続されたイヤーパッド15に対応したID情報及びフィルタ特性情報が記憶されていないときには、適正なノイズキャンセリング効果を得ることができなくなってしまうか、或いはID情報とフィルタ特性情報の追加を行う必要がある。これに対し、実施例4として、上記のようにイヤーパッド15側に対して直接的にフィルタ特性情報を記憶させる手法を採る場合には、ヘッドフォン1側では読み出したフィルタ特性情報に基づき直接的にNCフィルタ5aのフィルタ特性を設定できるので、そのような問題の発生を効果的に防止することができる。
この図16に示されるように、この場合のヘッドフォン1においては、先の図4の場合にメモリ10内に格納されていたID−フィルタ特性対応情報10aが省略されたものとなる。
なお、この図16においても先の図15(b)に示した電源部12、電力供給端子Th-E、グランド端子Th-GND、及びデータ通信端子Th-Dが示されている。
なお、この図17において、図中マイクロコンピュータとして示す処理動作は、図16に示すマイクロコンピュータ8が例えば自らが備えるROMなどに記憶されるプログラムに基づいて実行するものである。また、DSPとして示す処理動作は、図16に示されるDSP5がメモリ10に格納されたプログラムに基づき実行するものである。
また、この図においても、既に説明した処理と同様となる処理については同一のステップ番号を付している。
そして、続くステップS402において、読み取ったフィルタ特性情報をDSP5に対して転送する。このステップS402の処理を実行すると、この図に示されるマイクロコンピュータ8側の処理動作は終了となる。
このステップS502の処理を実行すると、この図に示すDSP5側の処理動作は終了となる。
以上で説明してきたように、本実施の形態によれば、接続されるイヤーパッド15の種別に応じて、そのイヤーパッド15に対応して設定されるべきNCフィルタ5aのフィルタ特性を可変的に設定することができる。
これにより、ノイズキャンセリング機能を有する音響再生システムとして、使用するイヤーパッド15を自由に変更可能な優れたシステムを実現することができる。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明としてはこれまでに説明した具体例に限定されるべきものではない。
これまでの説明では、NCフィルタ5aとしてのフィルタ処理を行う信号処理部がヘッドフォン装置に対して設けられる場合に対応して、イヤーパッド15に記憶される情報の読み取り、及びフィルタ特性の変更設定を行うための構成がヘッドフォン装置に対して設けられる場合を例示した。
しかしながら、本発明としては、フィルタ処理を行う信号処理部がヘッドフォン装置ではなく、ヘッドフォン装置に対するオーディオ信号の供給を行うオーディオプレイヤなどの信号処理装置側に備えられる場合にも好適に適用することができる。
以下、このように信号処理部が備えられた信号処理装置とヘッドフォン装置とを備えて構成される音響再生システムの構成を、これまでで説明した各実施例ごとの対応で、各変形例として説明する。なお、各変形例において、イヤーパッド15の構成は、各実施例で説明したものと同様とすればよいことから改めての図示による説明は省略する。
先ず、この場合、音響再生システムとしては、オーディオデータの再生を行うオーディオプレイヤ20と、ヘッドフォン30とを備えて構成されるものとする。
オーディオプレイヤ20には、各実施例として説明したヘッドフォン1側に備えられていたノイズキャンセリングのための構成、すなわちマイクアンプ2、A/D変換器3、DSP5、D/A変換器6、パワーアンプ7、メモリ10が備えられている。また、上記マイクアンプ2に対して供給されるべき収音信号を入力するためのマイク入力端子TMin、及び上記パワーアンプ2から出力されるオーディオ信号を出力するためのオーディオ出力端子TAoutが備えられる。
一方で、ヘッドフォン30には、マイクロフォンMIC、ドライバDRVが備えられると共に、上記マイクロフォンMICと接続され収音信号をオーディオプレイヤ20側に供給するためのマイク出力端子TMout、及び上記ドライバDRVと接続された上で、オーディオプレイヤ20側の上記オーディオ出力端子TAoutからのオーディオ信号の供給を受けるオーディオ入力端子Tinが設けられている。
また、この場合のヘッドフォン30には、実施例1に対応する構成として、電極Eha、電極Ehbが設けられている。ここでは電極Ehの個数(つまり導電部Epの個数)については限定せず、1組のみを代表的に示している。この場合、電極Ehaと接続されるラインは中継端子Th-Maと接続され、また電極Ehbと接続されるラインは中継端子Th-Mbと接続される。
オーディオプレイヤ20には、上述したノイズキャンセリングのための構成及び各端子TMin,TAoutに加え、図示するようにストレージ部21、再生処理部22、外部通信インタフェース23、表示部24、システムコントローラ25が備えられる。
上述したマイク入力端子TMinを介して入力された収音信号はマイクアンプ2→A/D変換器3を介してDSP5に供給される。この場合もDSP5は、図中NCフィルタ5aとして、このように供給された収音信号(収音データ)についてノイズキャンセリングのためのフィルタ処理を行う。またDSP5は、後述するようにして再生されるオーディオデータを入力し、イコライザ5bとしての機能動作により、該オーディオデータに対してイコライジング処理を行う。またDSP5は、図中の加算器5cとしての機能動作により、該イコライジング処理を施したオーディオデータと上記ノイズキャンセリングのためのフィルタ処理を施した収音データとを加算し、その結果得られる加算データをD/A変換器6に供給する。加算データは、該D/A変換器6→パワーアンプ7を介して上述のオーディオ出力端子TAoutに供給される。
具体的な構成としては、例えばフラッシュメモリなどの固体メモリに対するデータの書き込み(記録)/読み出しを行うように構成されても良いし、例えばHDD(Hard Disk Drive)により構成されてもよい。
また内蔵の記録媒体ではなく、可搬性を有する記録媒体、例えば固体メモリを内蔵したメモリカード、CD(Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disc)などの光ディスク、光磁気ディスク、ホログラムメモリなどの記録媒体に対応するドライブ装置などとして構成することもできる。
もちろん、固体メモリやHDD等の内蔵タイプのメモリと、可搬性記録媒体に対するドライブ装置の両方が搭載されてもよい。
このストレージ部21は、システムコントローラ25の制御に基づいてオーディオデータその他の各種データについての書き込み/読み出しを行う。
再生処理部22で再生処理されたオーディオデータは、DSP5(イコライザ5b)に供給される。
例えば、ストレージ部21に対するデータの書き込み/読み出し制御を行う。また、ストレージ部21、再生処理部22を制御してオーディオデータの再生開始/停止制御なども行う。
図示するようにして、システムコントローラ25に対しては、端子Ts−cが接続されている。該端子Ts−cは、オーディオプレイヤ20とヘッドフォン30とが接続されたときに、上述したヘッドフォン30側の端子Th−cと接するようにして設けられている。これによりシステムコントローラ25には、ヘッドフォン30が備えるパッド接続有無検出部9からのON/OFF信号が供給されるようになっている。
システムコントローラ25は、当該外部通信インタフェース23を介して得られた外部機器からの転送データを、ストレージ部21やメモリ10に対して記録させる。これにより、外部の例えばパーソナルコンピュータなどに格納されたオーディオデータをストレージ部21などに記録したり、或いはパーソナルコンピュータがネットワーク上からダウンロードした、オーディオプレイヤ20についてのアップロードプログラムなどのデータをメモリ10などに記録することが可能とされている。
図示するように、中継端子Ts-Mbはアースに接地され、中継端子Th-Maは、所定レベルによるバイアス電圧が与えられたラインを介してシステムコントローラ25と接続されている。
なお、この図ではシステムコントローラ25側の処理のみを示すが、DSP5側の処理内容は図10で説明したものと同様となるので図示は省略した。
また、この図においても既に説明した処理と同様の内容となる処理については同一のステップ番号を付している。
そして、上記ステップS101でパッドが接続されたとした場合は、ステップS102においてIDの読み取り処理を実行した後、ステップS601において、対応情報に合致するIDがあるか否かについて判別処理を行う。つまり、メモリ10内に格納されたID−フィルタ特性対応情報10aにおいて、上記ステップS102で読み取ったIDと合致するIDが存在するか否かを判別する。
このステップS601において、対応情報に合致するIDがないとして否定結果が得られた場合は、ステップS602に進んで未対応通知処理を実行する。すなわち、表示部24に、ヘッドフォン30に接続されたイヤーパッド15が未対応である旨を表す情報表示を実行させる。或いは、このように未対応である旨を表す情報と共に、外部の例えばパーソナルコンピュータなどのネットワーク接続が可能な情報処理装置に接続して、ID−フィルタ特性対応情報10aに追加すべきID情報・フィルタ特性情報のダウンロードを指示するための情報を表示させる。一方、上記ステップS601において、対応情報に合致するIDが存在するとして肯定結果が得られた場合は、ステップS603に進んでIDをDSP5に対して指示する。
上記ステップS602、又は上記ステップS603の処理を実行すると、この図に示すシステムコントローラ25の処理動作は終了となる。
先の図18と比較して分かるように、この場合はヘッドフォン30側に設けられていた電極Eha,Ehbに代えて、メカスイッチMSWが設けられる点が異なる。具体的に、メカスイッチMSWの一方の端子が中継端子Th-Maと接続され、他方の端子が中継端子Th-Mbと接続されている。
この場合としても、図中の一点鎖線で囲った部分(メカスイッチMSW、中継端子Th-Ma,Th-Mb、中継端子Ts-Ma,Ts-Mb、アースライン、及び中継端子Th-Maにバイアス電圧を与える回路部)が構造パターン検出部として機能する。
或いは、図19に示した処理動作によって未対応通知が可能となるようにすることもできる。
この場合は、先の図18の構成と比較して、ヘッドフォン30における中継端子Th-Maに対して発光部Oh-Eが接続され、中継端子Th-Mbには光検出部Oh-Dが接続される点が異なる。また、オーディオプレイヤ20側において、中継端子Ts-Maのラインに対するバイアス電圧が省略され、中継端子Ts-Mbがシステムコントローラ25に対して接続される点が異なる。
図中の一点鎖線で囲うように、この場合は発光部Oh-E、光検出部Oh-Dが構造パターン検出部として機能することになる。
先ず、この場合は、オーディオプレイヤ20側において、イヤーパッド15に備えられる不揮発性メモリ16に対して電力供給を行うための電源部26が設けられる。また、この場合、メモリ10内のID−フィルタ特性対応情報10aは省略されるものとなる。
また、ヘッドフォン30側には、上記オーディオプレイヤ20と接続されたときに上記電力供給端子Ts-Eと接するようにして設けられた中継端子ThM-E、及び上記グランド端子Ts-GNDと接するようにして設けられた中継端子ThM-GND、及び上記データ通信端子Ts-Dと接するようにして設けられた中継端子ThM-Dが備えられる。また、ヘッドフォン30には、実施例4としてのイヤーパッド15が接続されたときに、該イヤーパッド15に形成された電力入力端子Tp-E、グランド端子Tp-GND、データ通信端子Tp-Dとそれぞれ接するようにされた、先の図15(a)で説明したものと同様の電力供給端子Th-E、グランド端子Th-GND、及びデータ通信端子Th-Dが設けられる。
確認のために述べておくと、この場合はイヤーパッド15側にフィルタ特性情報16aが格納されているので、未対応通知のための処理は特に不要である。
或いは、Lch側とRch側の双方に情報読み取りのための構成を備えることもできる。双方に備える場合、イヤーパッド15側で記憶できる情報量はさらに多くすることができる。
ここで、イヤーパッド15の個体ごとの特性の具体例としては、音漏れ特性、外部からの遮音特性、上述した周波数ゲイン特性などを挙げることができる。例えば、これらの特性について、大まかに数タイプ程度の区分を定義しておく。工場出荷前における所要のタイミングで、イヤーパッド15のこれらの特性についての測定を行っておき、イヤーパッド15の個体ごとに、各特性がどの区分に属するか分別しておく。この場合の各イヤーパッド15には、その機種の別の情報と共に、このような測定結果に基づく各特性の各区分の情報も含めた情報を、ID情報として物理的構造パターンにより記憶させる。
ヘッドフォン1側、又はオーディオプレイヤ20側では、ID−フィルタ特性対応情報10aとして、上記のように機種の別と共に各特性ごとの区分も含めて識別するためのID情報と、それらのID情報ごとに対応して設定されるべきフィルタ特性の情報とを対応づけた情報を格納しておく。
なお、この場合も取得したID情報に基づきNCフィルタ5aのフィルタ特性を変更設定する処理については、実施例1〜3で説明したものと同様とすればよい。
このようにすることで、同一機種のイヤーパッド15について、さらにその個体ごとのバラツキをも考慮したフィルタ特性の変更設定を行うことができる。
このとき、周波数特性の別の情報に応じては、ヘッドフォン1又はオーディオプレイヤ20側でゲイン調整を行うようにしてもよい。このようなゲイン調整(補正)については、DSP5におけるデジタルゲイン調整、或いはアナログ信号に対するアナログゲイン調整の何れによっても実現できる。
また、実施例4においても同様に、例えば電力入力端子Tp-E、グランド端子Tp-GND、データ通信端子Tp-Dをそれぞれ独立したリング状で形成すれば、位置決め部Xは不要とすることができる。
このようにすることで、ノイズキャンセリングシステム以外の音響再生システムにおいても、使用するイヤーパッドに応じた最適な各種の音響効果を与えることができるシステムを実現することができる。
Claims (12)
- 使用者の耳部分と接する接触部を着脱可能に構成されたヘッドフォン装置であって、
振動板を備え音声出力を行う音声出力手段と、
上記音声出力手段に対して供給される信号に所要の信号特性を与えるようにして信号処理を行う信号処理手段と、
上記接触部に記憶され、上記接触部の所定の種別ごとに異なる情報内容となるようにされた接触部側記憶情報を読み取る情報読取手段と、
上記情報読取手段が読み取った上記接触部側記憶情報に基づき上記信号処理手段の信号処理特性が設定されるように制御を行う制御手段と、
を備えることを特徴とするヘッドフォン装置。 - 上記接触部側記憶情報は、上記接触部の種別を識別するための識別情報とされ、
上記接触部に記憶される上記識別情報と、該識別情報により特定される接触部に対応して上記信号処理手段に設定されるべきとして予め定められた信号処理特性との対応関係を表す対応関係情報が記憶された記憶手段をさらに備えると共に、
上記制御手段は、
上記対応関係情報に基づき、上記情報読取手段が読み取った上記識別情報に対応する信号処理特性が上記信号処理手段に設定されるように制御を行う、
ことを特徴とする請求項1に記載のヘッドフォン装置。 - 上記識別情報は、上記接触部における上記ヘッドフォン装置側との接続部分に形成された物理的な構造パターンによって記憶されており、
上記物理的な構造パターンに応じた電気信号が検出されるようにして構成された構造パターン検出部をさらに備えると共に、
上記情報読取手段は、
上記構造パターン検出部により検出した電気信号に基づいて上記識別情報を取得する、
ことを特徴とする請求項2に記載のヘッドフォン装置。 - 上記識別情報は、上記接触部における上記接続部分の所定位置における導電部の有無としての物理的構造パターンにより記憶されており、
上記構造パターン検出部は、
上記接触部と接続されたときに双方が上記所定位置と接するようにして設けられた2つの電極を備えることで、上記構造パターンに応じた電気信号が検出されるように構成されている、
ことを特徴とする請求項3に記載のヘッドフォン装置。 - 上記識別情報は、上記接触部における上記接続部分の所定位置における凸部又は凹部の有無としての物理的構造パターンにより記憶されており、
上記構造パターン検出部は、
上記接触部と接続されたときに上記所定位置と対向する位置に対して設けられて上記凸部又は上記凹部に応じてON/OFFするようにされたスイッチを備えることで、上記構造パターンに応じた電気信号が検出されるように構成されている、
ことを特徴とする請求項3に記載のヘッドフォン装置。 - 上記識別情報は、上記接触部における上記接続部分の所定位置における導光材の有無としての物理的構造パターンにより記憶されており、
上記構造パターン検出部は、
上記接触部と接続されたときに上記所定位置と対向するようにして設けられた発光素子と受光素子とを備えることで、上記構造パターンに応じた電気信号が検出されるように構成されている、
ことを特徴とする請求項3に記載のヘッドフォン装置。 - 上記接触部はメモリ装置を備え、該メモリ装置に上記接触部側記憶情報を記憶しており、
上記情報読取手段は、
上記接触部と接続されたとき、上記メモリ装置に記憶された上記接触部側記憶情報を読み取る、
ことを特徴とする請求項1に記載のヘッドフォン装置。 - 上記接触部は、上記接触部側記憶情報として、上記接触部の所定の種別に応じて上記信号処理手段に設定されるべきとして予め定められたフィルタ特性情報を上記メモリ装置に記憶しており、
上記制御手段は、
上記情報読取手段が読み取った上記接触部側記憶情報としての上記フィルタ特性情報に基づき上記信号処理手段の信号処理特性が設定されるように制御を行う、
ことを特徴とする請求項7に記載のヘッドフォン装置。 - さらにマイクロフォンを備え、
上記信号処理手段は、上記マイクロフォンから供給される信号にノイズキャンセリングのための信号特性を与えるようにして信号処理を行う、
ことを特徴とする請求項1に記載のヘッドフォン装置。 - 使用者の耳部分と接する接触部を着脱可能に構成されると共に、振動板を備え音声出力を行う音声出力手段と、上記音声出力手段に対して供給される信号に所要の信号特性を与えるようにして信号処理を行う信号処理手段とを備えたヘッドフォン装置における信号処理方法であって、
上記接触部に記憶され、上記接触部の所定の種別ごとに異なる情報内容となるようにされた接触部側記憶情報を読み取る情報読取ステップと、
上記情報読取ステップにより読み取った上記接触部側記憶情報に基づき上記信号処理手段の信号処理特性が設定されるように制御を行う制御ステップと、
を備えることを特徴とする信号処理方法。 - 使用者の耳部分と接する接触部を着脱可能に構成されたヘッドフォン装置と、上記ヘッドフォン装置が音声出力を行うにあって入力する信号を生成する信号処理装置とを備えて構成される音響再生システムであって、
上記信号処理装置に備えられ、上記ヘッドフォン装置に対して供給される信号に所要の信号特性を与えるようにして信号処理を行う信号処理手段と、
上記接触部に記憶され、上記接触部の所定の種別ごとに異なる情報内容となるようにされた接触部側記憶情報を読み取る情報読取手段と、
上記信号処理装置に備えられ、上記情報読取手段が読み取った上記接触部側記憶情報に基づき上記信号処理手段の信号処理特性が設定されるように制御を行う制御手段とを備える、
ことを特徴とする音響再生システム。 - 使用者の耳部分と接する接触部を着脱可能に構成されたヘッドフォン装置と、上記ヘッドフォン装置に対して供給される信号に所要の信号特性を与えるようにして信号処理を行う信号処理手段を備えた信号処理装置とを備えて構成される音響再生システムにおける信号処理方法であって、
上記接触部に記憶され、上記接触部の所定の種別ごとに異なる情報内容となるようにされた接触部側記憶情報を読み取る情報読取ステップと、
上記情報読取ステップにより読み取った上記接触部側記憶情報に基づき上記信号処理手段の信号処理特性が設定されるように制御を行う制御ステップと、
を備えることを特徴とする信号処理方法。
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