以下、本技術を実施するための形態(以下、実施の形態と称する)について説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.キャンセル処理の原理
2.本技術の基本的構成
3.本技術のシステムの一実施の形態の使用状態
4.トランスレータの基本的動作
5.本技術のシステムの一実施の形態の構成
6.本技術のシステムの一実施の形態の動作
7.ヘッドフォンの処理
8.モード選択処理
9.変形例
10.その他
<1.キャンセル処理の原理>
図2は、本技術のノイズキャンセリング機能の原理を説明する回路図である。図2に示されるように、情報処理システム51は、一方の情報処理装置としてのアクセサリ機器であるヘッドフォン61と、他方の情報処理装置としてのホスト端末62により構成されている。この実施の形態の場合、ホスト端末62はスマートフォンにより構成されている。
ヘッドフォン61は、マイク71(マイクアンプも含む)、スピーカ(もしくはドライバ)72、加算器73、および記憶部74により構成されている。ヘッドフォン71はユーザ93の耳に装着され、マイク71は周囲の騒音を収音し、電気信号に変換して出力する。すなわち周囲の環境の状態に対応する信号が出力される。スピーカ72は入力された電気信号に対応する音を出力する。加算器73は実際にはユーザ93の耳とそれを覆うヘッドフォン61の空間により構成される。つまり加算器73は、所定のノイズ源より発生されたノイズ成分である騒音をスピーカ72より出力された音に合成する。この合成音がユーザに実際の音響として聴取される。記憶部74は中間パラメータを記憶している。中間パラメータの詳細については後述する。
ホスト端末62は、フィルタ81、加算器82,パワーアンプ83を有している。フィルタ81は記憶部74に記憶されている中間パラメータからネイティブパラメータを生成する。このネイティブパラメータにはフィルタ係数が含まれており、そのフィルタ係数がフィルタ81に設定される。加算器82はフィルタ81の出力するノイズキャンセル信号を、本来ユーザ93が聴取する信号である音楽等の信号に加算する。パワーアンプ83は加算器82の出力信号をネイティブパラメータで指定される所定のゲインで増幅し、スピーカ72に出力する。
つまり、マイク71により収音されたノイズのマイク信号は、ネイティブパラメータが設定されたフィルタ81により演算された信号であるノイズキャンセリング信号となる。この環境信号としてのノイズキャンセリング信号は、加算器82を介してパワーアンプ83に供給され、そこで増幅された後、スピーカ72から出力される。また音楽等のソース信号も、加算器82を介してパワーアンプ83に供給され、そこで増幅された後、スピーカ72から出力される。すなわちノイズキャンセリング信号とソース信号を加算した信号に対応する音が、ユーザの耳の空間に供給される。一方ノイズ源からのノイズは直接ユーザの耳の空間に供給される。そしてこれらの音が、ユーザの耳の空間に形成される加算器73により加算され、ユーザの耳の鼓膜を振動させる。
加算器73の出力をP、音楽等のソース信号をS、ノイズをNとし、マイク71、フィルタ81、パワーアンプ83、およびスピーカ72の伝達関数をそれぞれM,α,A,Hとする。さらに、ノイズ源から加算器73までの音響空間とマイク71までの音響空間の伝達関数をそれぞれF,F’とする。このとき次式が成立する。
P=F’AHMαN + FN + AHS (1)
さらにフィルタ81のフィルタ係数を所定の値に調整することにより、次式を成立させる。
F≒−(F’AHMα) (2)
これにより、式(1)は、次式で表すことができる。
P≒AHS (3)
すなわち、ノイズキャンセリング信号が鼓膜の位置で打ち消し合うようにノイズキャンセリング演算が行われる。
<2.本技術の基本的構成>
図3は、本技術の基本的構成を示すブロック図である。図3に示されるように本技術の情報処理システム101は、アクセサリ機器111と、それに有線または無線で接続されるホスト端末112により構成される。
アクセサリ機器111は例えば不揮発性メモリなどにより構成される記憶部121を有している。記憶部121にはアクセサリ機器111の中間パラメータが記憶される。
中間パラメータは、アクセサリ機器111に固有のパラメータであって、複数のホスト端末112に共通のフォーマットのノイズキャンセル処理のためのパラメータである。つまりノイズキャンセリングコアやホスト端末の仕様に依存しない形式のパラメータである。このパラメータは、最終的により詳細なネイティブパラメータに変換されるという意味では中間パラメータと言える。また中間パラメータは、複数のホスト端末112に共通のフォーマットのパラメータであるという意味では共通パラメータということができる。逆に、ネイティブパラメータは、特定のホスト端末112とそのノイズキャンセリングコアの仕様に則した形式に特化して調整されたパラメータであるので調整パラメータと言うことができる。
中間パラメータは記憶部121に直接記憶させることもできるが、例えばURL(Uniform Resource Locator)等の中間パラメータにアクセスするのに必要な情報を記憶させ、そこから中間パラメータが提供できるようにしてもよい。
ホスト端末112はパラメータ変換部131と演算部132を有している。パラメータ変換部131はアクセサリ機器111の記憶部121から供給された中間パラメータをネイティブパラメータに変換する。つまりネイティブパラメータが生成される。演算部132はパラメータ変換部131から供給されたネイティブパラメータに基づいて、ノイズキャンセル処理に必要な演算を行う。
中間パラメータは、複数のホスト端末112に共通のフォーマットのノイズキャンセル処理のためのパラメータである。これに対してネイティブパラメータは、ホスト端末112に内蔵されているノイズキャンセル処理部(例えば後述する図4のノイズキャンセリングコア233)やその周辺回路部の特性にあったパラメータであって、ホスト端末112に固有のフォーマットのパラメータである。
中間パラメータのフォーマットは、複数のアクセサリ機器111のメーカやホスト端末112のメーカが協議し、規格化するなどして各社に共通のフォーマットにされている。アクセサリ機器111側の規格には、定められた内容の中間パラメータとして記述する必要があるパラメータの内容やドライバ感度などが規定される。ホスト端末112側の規格には、パラメータ変換部(トランスレータ)131の搭載、中間パラメータからノイズキャンセルフィルタリング特性を演算するノイズキャンセリングコアの搭載などが規定される。
アクセサリ機器111のメーカは、そのフォーマットに従ってノイズキャンセル処理のためのパラメータ(つまり、中間パラメータ)を記述するだけでよい。ホスト端末112やそのノイズキャンセル処理部の構成、仕様等に依存するネイティブパラメータは、ホスト端末112のメーカにより、具体的にはパラメータ変換部131により生成される。その結果、アクセサリ機器111は、その規格を満足する全てのホスト端末112との間においてノイズキャンセリング機能を実現することができる。
この情報処理システム101は、分離した2つの装置から構成される。アクセサリ機器111にはホスト端末112から電力を供給することができるので、電池を搭載しなくてもよく、安価に製造することが可能になる。
<3.本技術のシステムの一実施の形態の使用状態>
図4は、本技術のシステムの一実施の形態の使用状態を説明する図である。この情報処理システムとしてのノイズキャンセリングシステム201は、アクセサリ機器としてのヘッドフォン211と、それがプラグ223を介して接続されるスマートフォンからなるホスト端末212とにより構成されている。なお、ヘッドフォン211は、回路分離型ノイズキャンセリング(NC)機能に対応しているヘッドフォンである。そこで図4ではヘッドフォン211をNCヘッドフォン211と表記している(図4以降の図でも同様である)が、必要に応じて単にヘッドフォン211とも表記する。プラグ223は、後述する図8のプラグ523に対応している。
ヘッドフォン211は不揮発性メモリ221、多重化データインターフェース222、およびプラグ223を有している。ホスト端末212は多重化データインターフェース231、トランスレータ232、およびノイズキャンセリングコア(NC Core)233を有している。図示はしていないが、ホスト端末212は、ヘッドフォン211のプラグ223が接続されるジャック(後述する図8のジャック514に対応するジャック)を有している。
ヘッドフォン211のプラグ223をホスト端末212に接続すると、ヘッドフォン211とホスト端末212は、それぞれの多重化データインターフェース222と多重化データインターフェース231を介して多重化データ通信を行うことができる。この多重化通信を利用して、ノイズキャンセル処理が行われる。
多重化データ通信によりデジタル音響信号とデータとを重畳して、ヘッドフォン211からホスト端末212に供給することができる。後述する図8のマイク端子TP3とマイク端子TJ3を結ぶ線(多極プラグ)により、多重化データ通信が行われる。またホスト端末212からヘッドフォン211に電力とクロックを供給することができる。既存の多重化データ通信構造を利用することで、新たなプラグ等の構成を追加すること無く、ノイズキャンセリング機能を実現することができる。
図3の記憶部121に対応する不揮発性メモリ221には、製品情報として製品ID、製品機種名などの他、ノイズキャンセル処理に必要なアクセサリ機器としてのヘッドフォン211に固有のパラメータが、中間パラメータとして記憶されている。ヘッドフォン211からホスト端末212に、それぞれの多重化データインターフェース222と多重化データインターフェース231を介して多重化データ通信により中間パラメータが供給される。
ホスト端末212においては、図3のパラメータ変換部131に対応するトランスレータ232が、ヘッドフォン211から供給された中間パラメータをネイティブパラメータに変換する。図3の演算部132に対応する、ノイズキャンセリング演算部であるノイズキャンセリングコア233は、トランスレータ232からネイティブパラメータの供給を受けると、それを利用してノイズキャンセル処理を行う。すなわち、ホスト端末212からヘッドフォン211に供給されるソース音としての例えば音楽信号には、ノイズを相殺する信号が加算される。その結果、ヘッドフォン211のユーザ93は、ノイズがキャンセルあるいは抑制された音楽を聴取することができる。
ヘッドフォン211はA社製、ホスト端末212はS社製、トランスレータ232はY社製であるが、それぞれは各社により規格に従って製造されている。従ってヘッドフォン211は、ホスト端末212からのソース音のノイズをキャンセルし、良好な品質で聴取することができる。
以下、このように、中間パラメータを用いた規格に基づくノイズキャンセリングを、UNC(Universal Noise Canceling)という。またこの規格をUNC規格と記述する。
図5は、本技術のシステムの一実施の形態の使用状態を説明する図である。図5の実施の形態においては、情報処理システムとしてのノイズキャンセリングシステム201Aは、1台のヘッドフォン211Aと、3台のホスト端末212A,212B,212Cにより構成されている。もちろん使用時には、ヘッドフォン211Aは、3台のホスト端末212A,212B,212Cのいずれか1台に選択的に接続される。
UNC規格に従って製造されているヘッドフォン211AはA社の製品であり、不揮発性メモリ221A、多重化データインターフェース222A、およびプラグ223Aを有している。不揮発性メモリ221Aには製品情報が記憶されている。これには、製品ID、製品機種名などの他、アプリケーション ID、ダウンロードURLなどが含まれる。さらに製品情報としてヘッドフォン211Aに固有のノイズキャンセルのためのパラメータが中間パラメータとして記憶されている。
ホスト端末212Aとホスト端末212Bは、それぞれS社とT社の製品である。ホスト端末212AにはY社製のトランスレータ232Aとノイズキャンセリングコア233Aが、ホスト端末212BにはZ社製のトランスレータ232Bとノイズキャンセリングコア233Bが、それぞれ組み込まれている。これらはいずれもUNC規格に従って製造されている。またホスト端末212Aとホスト端末212Bは、それぞれ多重化データインターフェース231A,231Bを有している。
ヘッドフォン211Aとホスト端末212Aは、UNC規格に従って製造されている。従って、ヘッドフォン211Aのプラグ223Aがホスト端末212Aに接続された場合、不揮発性メモリ221Aに保持されている中間パラメータが多重化データインターフェース231Aを介してトランスレータ232Aに供給される。そしてトランスレータ232Aにより中間パラメータがホスト端末212A専用のネイティブパラメータに変換される。そしてノイズキャンセリングコア233Aは、そのネイティブパラメータを利用してノイズキャンセル処理を実行する。その結果、ノイズキャンセリング信号を含むソース信号に対応する音がホスト端末212Aからヘッドフォン211Aのユーザに提供され、周囲からのノイズ音がキャンセルされる。
ホスト端末212BもUNC規格に従って製造されている。従って、ヘッドフォン211Aのプラグ223Aがホスト端末212Bに接続された場合、不揮発性メモリ221Aに保持されている中間パラメータが多重化データインターフェース231Bを介してトランスレータ232Bに供給される。そしてトランスレータ232Bにより中間パラメータがホスト端末212B専用のネイティブパラメータに変換される。ノイズキャンセリングコア233Bは、そのネイティブパラメータを利用してノイズキャンセル処理を実行する。このようにして、ホスト端末212Aの場合と同様に、ホスト端末212Bからヘッドフォン211Aのユーザに、ノイズがキャンセルされた音が提供される。
ただし、ヘッドフォン211Aの不揮発性メモリ221Aに記憶されているのは、1セットの中間パラメータだけである。つまり、ホスト端末212A用の中間パラメータの1セットと、ホスト端末212B用の中間パラメータの1セットという、合計2セットの中間パラメータが保存されているわけではない。トランスレータ232Aがトランスレータ232Bと異なっているので、それぞれにより同じ中間パラメータが異なるネイティブパラメータに変換されるのである。つまり、中間パラメータを用いることで、ホスト端末212A,212Bとヘッドフォン211Aとの相互接続の互換性が実現される。
従って不揮発性メモリ221Aに保持させておく中間パラメータのデータ量を小さくし、不揮発性メモリ221Aの容量を小さくすることができる。また、データ量が少ないのでパラメータをアプリケーションに記憶させずに不揮発性メモリ221Aに直接保持しておくことができる。その結果、ネットワークを介してアプリケーションをダウンロードする必要が無く、ネットワークに接続可能な環境になくても、初回起動時からノイズキャンセリング機能が実現できる。
一方、ホスト端末212Cは重化データインターフェース231CとX社製のノイズキャンセリングコア233Cを有している。ホスト端末212CはS社の製品であるが、UNC規格に従って製造されていないので、トランスレータを有していない。
ヘッドフォン211Aのプラグ223Aがホスト端末212Cに接続された場合、ノイズキャンセリングコア233Cは、多重化データ通信によりヘッドフォン211Aの不揮発性メモリ221Aに保持されているダウンロードURLとアプリケーション IDを読み出す。アプリケーション IDに基づいて対応するヘッドフォン211Aとホスト端末212Cを特定することができる。そして、ホスト端末212Cは、ネットワーク(図示せず)を介してそのURLにアクセスし、アプリケーション IDに対応するアプリケーションを取得する。
このようにして取得されたA社製のアプリケーションには、ヘッドフォン211A専用のノイズキャンセル処理のためのネイティブパラメータが含まれている。このネイティブパラメータはX社のノイズキャンセリングコア(NC Core)により、S社のホスト端末212Cを対象として、ヘッドフォン211Aにおけるノイズキャンセル処理のためチューニングされた専用のパラメータである。ノイズキャンセリングコア233Cは、このアプリケーションに含まれるネイティブパラメータによりノイズキャンセル処理を実行する。
パラメータにアクセスするためのURLを保持しておくと、ネットワークに接続する機能が必要になる。これに対して中間パラメータを直接保持している場合、ネットワークに接続する環境は不要となる。
このように図5のヘッドフォン211Aにおいては、ノイズキャンセルのための規格を満足するホスト端末212A,212Bと、満足しないホスト端末212Cのいずれとの間においてもノイズキャンセリング機能を実現することができる。以下、不揮発性メモリに中間パラメータではなく、ネイティブパラメータ(それを取得するためのURLや、アプリケーションID等を含む)を保持させて行うノイズキャンセリングを、SNC(Specialized Noise Canceling)という。
すなわち、ヘッドフォン211Aは、UNCモードとSNCモードの両方のモードによるノイズキャンセリング処理が可能なように、中間パラメータとネイティブパラメータ、またはそれらにアクセスするための情報を有している。
ただし、ヘッドフォン211AがS社製のホスト端末212C用のためにチューニングしたネイティブパラメータまたはそれを取得するためのURL、アプリケーションID等を保持していない場合には、ヘッドフォン211Aはホスト端末212Cとの間でノイズキャンセル処理を実行することができない。
ノイズキャンセリングコア233A,233B,233Cは、ハードウエアによって構成される。そのノイズキャンセルフィルタの係数、データのビット長、精度はそれぞれによって異なる。またそれぞれに性能向上のため独自に開発された機能などもあり、仕様も異なっており、ノイズキャンセリングのためのパラメータは、形式、種類、数も異なっている。
ネイティブパラメータは各機種専用のパラメータであるのでヘッドフォン211Aが多くの種類のホスト端末とノイズキャンセリング機能を実現しようとすると、各機種毎にチューニングを行い、各機種毎のネイティブパラメータを生成する必要がある。そしてそのネイティブパラメータまたはそれにアクセするためのURL、アプリケーションID等を不揮発性メモリ221Aに保持させる必要がある。そうするとデータ量が多くなり、不揮発性メモリ212Aの容量を大きくする必要が生じ、高価となる。
さらにユーザはヘッドフォンを新たに購入しようとする場合、そのヘッドフォンがユーザ所有のホスト端末との間でノイズキャンセリング機能を実現できる機種であるかどうかを予め確認しなければならない。逆に、既にヘッドフォンを所有している場合において、新たなホスト端末を購入しようとする場合にも同様の確認作業が必要となり、不便である。ネイティブパラメータではなく中間パラメータを保持させるようにすれば、このような不都合が生じない。
図6は、本技術のシステムの一実施の形態の使用状態を説明する図である。図5の実施の形態は、1台のヘッドフォンに複数のホスト端末が接続される例を示しているが、図6の実施の形態は、1台のホスト端末に複数のヘッドフォンが接続される例を表している。
図6の情報処理システムとしてのノイズキャンセリングシステム201Bは、1台のホスト端末212Eと4台のヘッドフォン211E,211F,211G,211Hとにより構成されている。
ヘッドフォン211E,211F,211G,211Hは、それぞれ不揮発性メモリ221E,221F,221G,221H、多重化データインターフェース222E,222F,222G,222H、プラグ223E,223F,223G,223Hを有している。UNC規格を満足するホスト端末212Eは、多重化データインターフェース231E、X社製のトランスレータ232E、およびX社製のノイズキャンセリングコア233Eを有している。もちろん図示はしないが、ホスト端末212Eは、プラグ223E,223F,223G,223Hに接続するジャックを有している。
ヘッドフォン211E,221Fの不揮発性メモリ221E,221Fには、製品情報として、製品ID、製品機種名の他、アプリケーション ID、ダウンロード用URLが記憶されている。またヘッドフォン211E,221FはUNC規格を満足しているので、少なくともノイズキャンセル用の中間パラメータが記憶されている。従って、ヘッドフォン211E,221Fとホスト端末212Eとの間では、図5のヘッドフォン211Aとホスト端末212A,212Bの間における場合と同様にノイズキャンセル処理、つまりUNCが実行される。
一方、ヘッドフォン211G,211Hは、UNC規格を満足していない。従って、それらの不揮発性メモリ222G,222Hの製品情報には、製品ID、製品機種名の他、アプリケーション ID、ダウンロード用URLが記憶されているが、ノイズキャンセル用の中間パラメータは記憶されていない。
ヘッドフォン211Gの不揮発性メモリ221Gに記憶されているダウンロード用URLによりダウンロードされるアプリケーション IDのA社製のアプリケーションには、S社製のホスト端末212E用のネイティブパラメータが含まれている。このネイティブパラメータは、G社製のヘッドフォン211Gで、X社製のノイズキャンセリングコア233Eが組み込まれたホスト端末212Eからの信号に対してノイズキャンセルできるように、X社製のノイズキャンセリングコア233Eでチューニングすることで生成されたものである。従って、図5のヘッドフォン211Aとホスト端末212Cとの間で行われる場合と同様に、SNCが実行される。
同様に、ヘッドフォン211Hの不揮発性メモリ221Hに記憶されているダウンロード用URLによりダウンロードされるアプリケーション IDのD社製のアプリケーションには、S社製のホスト端末212E用のネイティブパラメータが含まれている。このネイティブパラメータは、D社製のヘッドフォン211Hで、X社製のノイズキャンセリングコア233Eが組み込まれたホスト端末212Eからの信号に対してノイズキャンセルできるように、X社製のノイズキャンセリングコア233Eでチューニングすることで生成されたものである。従って、図5のヘッドフォン211Aとホスト端末212Cとの間、およびヘッドフォン211Gとホスト端末212Eとの間で行われる場合と同様に、SNCが実行される。
<4.トランスレータの基本的動作>
図7は、トランスレータの基本的動作を説明する図である。以下、図7を参照してトランスレータ301(図3のパラメータ変換部131、図4のトランスレータ232、図5のトランスレータ232A,232B、図6のトランスレータ232Eに対応する)の基本的動作について説明する。図7に示されるように、中間パラメータは、伝達関数情報と物理的特性情報とにより構成されている。この実施の形態の場合、伝達関数情報には、s平面のノイズキャンセル処理の伝達関数の零点と極が含まれる。物理的特性情報には、マイク感度、ドライバ感度、およびヘッドフォンのインピーダンスが含まれる。
トランスレータ301は、伝達関数情報から伝達関数を復元し、復元した伝達関数をZ変換し、それからさらにフィルタ係数を算出する。算出したフィルタ係数がネイティブパラメータの一部を構成する。
トランスレータ301はまた、マイク感度、ドライバ感度、およびヘッドフォンのインピーダンス等のヘッドフォン211(211Aないし211H)の物理的特性情報、さらに出力インピーダンス等の情報からパラメータを算出する。これにより、ヘッドフォンアンプ(図2のパワーアンプ83、後述する図8のパワーアンプ532、アンプ5820,5821,5822,5823,5824に対応する)のゲイン、リミッタの設定値、ノイズキャンセリングのゲイン等のネイティブパラメータが生成される。
<5.本技術のシステムの一実施の形態の構成>
図8は、本技術のシステムの一実施の形態のより詳細な構成を示すブロック図である。
この情報処理システムとしてのノイズキャンセリングシステム501では、ジャック514及びプラグ523として、それぞれ、例えば、4極のジャック及びプラグ(多極プラグ)を採用することとする。ここではホスト端末510にアクセサリ機器としてのヘッドフォン520が接続されている。
すなわち、ジャック514は、2つ(ステレオ)の音響信号端子TJ1及びTJ2、1つのマイク端子TJ3、並びに、1つのグランド端子TJ4を有し、プラグ523も、2つの音響信号端子TP1及びTP2、1つのマイク端子TP3、並びに、1つのグランド端子TP4を有する。
音響信号端子TJ1及びTJ2、並びに、TP1及びTP2は、2チャンネルのアナログの音響信号をやりとりするための端子である。音響信号端子TJ1及びTP1は、L(Left)チャンネル用の端子であり、音響信号端子TJ2及びTP2は、R(Right)チャンネル用の端子である。
すなわち、音響信号端子TJ1は、Lチャンネルの音響信号を出力する端子であり、音響信号端子TJ2は、Rチャンネルの音響信号を出力する端子である。音響信号端子TP1は、Lチャンネルの音響信号の供給を受ける端子であり、音響信号端子TP2は、Rチャンネルの音響信号の供給を受ける端子である。
マイク端子TJ3及びTP3は、マイク(後述するマイク5810ないし5814のうちの1つである、例えば、マイク810)から得られるアナログの音響信号をやりとりするための端子である。
グランド端子TJ4及びTP4は、グランド(GND)に接続される端子である。
プラグ523がジャック514に挿入されたとき、音響信号端子TJ1とTP1とが接続され、音響信号端子TJ2とTP2とが接続され、マイク端子TJ3とTP3とが接続され、グランド端子TJ4とTP4とが接続される。
ここで、既存のヘッドセットの中には、L及びRチャンネルの音響を出力する音響出力部としてのドライバ(ヘッドフォンドライバ)(例えば、コイルと振動板等で構成される、音響信号を、空気の振動としての音響(音波)に変換するトランスデューサ)(スピーカと呼ばれることもある)と、マイクとが設けられ、4極のプラグを有するヘッドセットがある。
プラグ523としては、上述のような既存のヘッドセットが有する4極のプラグと同一のプラグを採用することができ、ジャック514としては、上述のような既存のヘッドセットが有する4極のプラグに対応する4極のジャックを採用することができる。
この場合、プラグ523は、4極の(プラグを有する)既存のヘッドセットを使用することができる、既存の音楽プレーヤ等のジャックデバイスのジャック(4極のジャック)に挿入することができる。また、ジャック514には、4極の既存のヘッドセットのプラグ(4極のプラグ)を挿入することができる。
なお、プラグ523は、マイク端子TJ3に相当するマイク端子がない3極のジャックに挿入した場合に、プラグ523の音響信号端子TP1及びTP2と、3極のジャックの音響信号端子とが接続されるとともに、プラグ523のグランド端子TP4と、3極のジャックのグランド端子とが接続され、プラグ523のマイク端子TJ3は、端子どうしをショートさせないように構成されている。ジャック514も同様である。
また、プラグ523は、既存のヘッドセットが有する4極のプラグと同一のプラグに限定されるものではなく、さらに、4極のプラグに限定されるものではない。すなわち、プラグ523としては、例えば、1つ(モノラル)の音響信号端子TP1、1つのマイク端子TP3、及び、1つのグランド端子TP4を有する3極のプラグや、2つの音響信号端子TJ1及びTJ2、1つのマイク端子TJ3、並びに、1つのグランド端子TJ4の他に、別個のマイク端子や、所定の信号用の端子を有する5極以上のプラグを採用することができる。但し、極数(端子数)の多いプラグは、構成が複雑になるので、プラグ523としては、4極や5極、6極等の、極端に多くない極数のプラグを採用することができる。
以上の点、ジャック514についても、同様である。
ここで、図8では、図を簡略化するため、4極のプラグ523が、ヘッドフォン520の本体に、いわば直接設けられているが、4極のプラグ523は、4芯のケーブルを介して、ヘッドフォン520の本体に接続することができる。
スマートフォンとしてのホスト端末510において、アナログ音響インターフェース512は、DAC(Digital Analog Converter)531、パワーアンプ(ヘッドフォンアンプ)532、及び、抵抗(R)533を有する。
DAC531には、信号処理ブロック511から、L及びRチャンネルのディジタルの音響信号、すなわち、例えば、音楽プレーヤとして機能するホスト端末510において再生された楽曲の音響信号や、ホスト端末510が電話機として受信した、電話の相手の音声の音響信号等が供給される。
DAC531は、信号処理ブロック511からのL及びRチャンネルのディジタルの音響信号をDA変換することにより、L及びRチャンネルのアナログの音響信号を得て、パワーアンプ532に供給する。
パワーアンプ532は、DAC531からのL及びRチャンネルのアナログの音響信号を必要に応じて増幅し、それぞれ、ジャック514の音響信号端子TJ1及びTJ2に出力する。
プラグ523がジャック514に挿入されている場合、上述したように、音響信号端子TJ1とTP1とが接続され、音響信号端子TJ2とTP2とが接続されるので、ジャック514の音響信号端子TJ1及びTJ2に出力されたL及びRチャンネルのアナログの音響信号は、それぞれ、プラグ523の音響信号端子TP1及びTP2に出力される。
抵抗533の一端は、電源VDに接続され、他端は、スイッチ541の端子541Aに接続されている。
スマートフォンとしてのホスト端末510において、多重化データインターフェース513は、スイッチ541、コンデンサ543、マイク検出部544、対応検出部545、インタラプタ546、送受信処理部547、レジスタ548、及び、I2Cインターフェース(I/F)549を有する。
スイッチ541は、端子541A及び541Bを有し、ジャック514のマイク端子TJ3に接続されている。スイッチ541は、端子541A又は541Bを選択することで、ジャック514のマイク端子TJ3と、端子541A又は541Bとを接続する。
スイッチ541は、デフォルト、すなわち、初期状態、待機状態、ジャック514に何も挿入されていない状態、及び、スイッチ541が端子541Bを選択するように切り替えが行われない状態では、端子541A及び541Bのうちの端子541Aを選択している。
端子541Aには、上述したように、抵抗533の他端が接続されている他、後述するマイク5810が出力するアナログの音響信号#0を受信するための信号線である音響信号線JAが接続されている。
音響信号線JAは、端子541Aと信号処理ブロック511とを接続しており、スイッチ541が、端子541A(ひいては、端子541Aに接続された音響信号線JA)を選択すると、信号処理ブロック511は、端子541Aに接続された音響信号線JA、及び、スイッチ541を介して、ジャック514のマイク端子TJ3に接続される。
なお、上述したように、端子541Aには、一端が電源VDに接続された抵抗533の他端も接続されており、スイッチ541が、端子541Aを選択すると、電源VDも、抵抗533、及び、スイッチ541を介して、ジャック514のマイク端子TJ3に接続される。
端子541Bには、ヘッドフォン520から送信されてくる多重化データを受信するための多重化データ信号線JBが接続されている。
多重化データ信号線JBには、端子541Bの他、電源VDと送受信処理部547とが接続しており、したがって、スイッチ541が、端子541B(ひいては、端子541Bに接続された多重化データ信号線JB)を選択すると、電源VD、及び、送受信処理部547は、多重化データ信号線JB、及び、スイッチ541を介して、ジャック514のマイク端子TJ3に接続される。
コンデンサ543は、その一端が、ジャック514のマイク端子TJ3に接続され、他端が、対応検出部545に接続されており、コンデンサ543を通る信号の直流成分をカットする。
マイク検出部544は、ジャック514のマイク端子TJ3の電圧を監視している。
プラグ523がジャック514に挿入されると、マイク端子TJ3とTP3とが接続し、ヘッドフォン520のマイク5810が、スイッチ571、プラグ523のマイク端子TP3、ジャック514のマイク端子TJ3、スイッチ541、及び、抵抗533を介して、電源VDに接続する。
この場合、ヘッドフォン520のマイク5810は、ホスト端末510にとって、数kオームの直流抵抗(成分)になり、ジャック514のマイク端子TJ3の電圧が変化する。マイク検出部544は、その電圧の変化によって、マイクが接続されたこと、すなわち、4極のプラグを有するヘッドセット等のマイクを有するプラグデバイス(のプラグ)が、ジャック514に挿入されたことを検出する。なお、マイク検出部544では、マイク端子TJ3の電圧の他、マイク端子TJ3に流れる電流等の、電圧以外の信号の変化に基づいて、マイクが接続されたことを検出することができる。
マイク検出部544は、マイクが接続されたことを検出すると、マイクの検出を表すマイク検出信号を、対応検出部545に供給する。
対応検出部545は、マイク検出部544からマイク検出信号が供給されると、すなわち、マイクを有するプラグデバイスのプラグが、ジャック514に挿入されると、そのプラグデバイスが対応デバイスであるかどうかを検出するためのハンドシェーク信号を出力する。
対応検出部545が出力するハンドシェーク信号は、コンデンサ543を介して、ジャック514のマイク端子TJ3に供給される。
ここで、ハンドシェーク信号としては、例えば、数十ないし数百kHzの正弦波等を採用することができる。
対応検出部545は、以上のように、マイク検出部544からマイク検出信号が供給され、ハンドシェーク信号を出力した後、ジャック514のマイク端子TJ3から、コンデンサ5543を介して、ハンドシェーク信号に応答する所定の信号を受信した場合、ジャック514にプラグが挿入されたプラグデバイスが対応デバイスであることを検出する。
ジャック514にプラグが挿入されたプラグデバイスが対応デバイスであることが検出されると、対応検出部545は、端子541Aを選択しているスイッチ541を、端子541Bを選択するように切り替えるとともに、そのスイッチ541の切り替えの旨を、インタラプタ546に供給する。
インタラプタ546は、対応検出部545から、スイッチ541が端子541Bを選択するように切り替えられた旨が供給されると、対応デバイス(のプラグ)が、ジャック514に挿入された旨を、信号処理ブロック511に供給する。
なお、ここでは、対応検出部545からインタラプタ546に対して、スイッチ541が端子541Bを選択するように切り替えられた旨が供給された場合に、インタラプタ546が、対応デバイスがジャック514に挿入された旨を、信号処理ブロック511に供給することとしたが、対応デバイスがジャック514に挿入されたがどうかについては、信号処理ブロック511から、インタラプタ546に対して、定期的に(又は不定期に)、ポーリングをかけることにより、問い合わせるようにすることができる。
信号処理ブロック511は、インタラプタ546から、対応デバイスが、ジャック514に挿入された旨が供給されると、対応デバイス用の信号処理を行う。
送受信処理部547には、クロック生成部515からクロックが供給され、送受信処理部547は、クロック生成部515からのクロックに同期して動作する。
そして、送受信処理部547は、スイッチ541が端子541Bを選択しているときに、ジャック514のマイク端子TJ3、スイッチ541、及び、多重化データ信号線JBを介して供給される多重化データを受信する。
さらに、送受信処理部547は、多重化データの多重化を解く(デシリアラズ)(復調)等の多重化データに適切な処理を行って、多重化データに含まれる元のデータとしての、例えば、ディジタルの音響信号#0,#1,#2,#3,#4、及び、付加データを分離する。
ここで、本実施の形態では、多重化データには、例えば、ディジタルの音響信号#0,#1,#2,#3,#4、及び、付加データが含まれる。
ディジタルの音響信号#0,#1,#2,#3,#4は、それぞれ、後述するマイク5810,5811,5812,5813,5814で収音される音響に対応するディジタルの音響信号である。
また、付加データには、後述するスイッチ580の操作を表すスイッチ(SW)信号や、後述するデバイス情報、その他のデータが含まれる。
送受信処理部547は、ディジタルの音響信号#0,#1,#2,#3,#4、及び、付加データに含まれるスイッチ信号を、信号処理ブロック511に供給するとともに、付加データに含まれるデバイス情報やその他のデータを、レジスタ548に供給し、又は、I2Cインターフェース549を介して、信号処理ブロック511に供給する。
ここで、信号処理ブロック511は、送受信処理部547から供給されるディジタルの音響信号#0,#1,#2,#3,#4、及び、スイッチ信号や、I2Cインターフェース549を介して供給されるデータ(情報)を必要に応じて用いて、デバイス情報に応じた様々な信号処理を行うことができる。
すなわち、信号処理ブロック11は、例えば、ディジタルの音響信号#1ないし#4を用い、DAC531に供給される楽曲の音響信号について、後述するようなNC(Noise Cancel)の処理を、デバイス情報に応じた信号処理として行うことができる。その他、信号処理ブロック511は、例えば、ディジタルの音響信号#01ないし#4を用い、ビームフォーミング等の処理を、デバイス情報に応じた信号処理として行うことができる。
送受信処理部547は、スイッチ541が端子541Bを選択しているときに、上述したように、多重化データを受信する他、信号処理ブロック511から、I2Cインターフェース549を介して供給される要求に応じて、対応デバイスに対するコマンドを、多重化データ信号線JB、スイッチ541、及び、ジャック514のマイク端子TJ3を介して、ジャック514にプラグが挿入された対応デバイスであるプラグデバイスに送信する。
レジスタ548は、送受信処理部547から供給されるデバイス情報等を一時記憶する。
I2Cインターフェース549は、送受信処理部547と信号処理ブロック511との間を、I2C(Inter-Integrated Circuit)の仕様で接続するインターフェースとして機能する。
ヘッドセットとしてのヘッドフォン520において、アナログ音響インターフェース521は、ドライバ561L及び561R、スイッチ(ボタン)580、並びに、マイク5810を有する。
ドライバ561L及び561Rは、音響を出力する音響出力部としてのドライバ(ヘッドフォンドライバ)(例えば、コイルと振動板等で構成される、音響信号を、空気の振動としての音響(音波)に変換するトランスデューサ)であり、それぞれ、プラグ523の音響信号端子TP1及びTP2から供給される音響信号に対応する音響を出力(放音)する。
上述したように、プラグ523がジャック514に挿入されている場合には、音響信号端子TJ1とTP1とが接続され、音響信号端子TJ2とTP2とが接続され、例えば、ホスト端末510において再生された楽曲の音響信号等が、信号処理ブロック511から、DAC531、パワーアンプ532、及び、ジャック514を介して、プラグ523の音響信号端子TP1及びTP2に出力される。
その結果、ドライバ561L及び561Rでは、ホスト端末510において再生された楽曲等の音響信号に対応する音響が出力される。
スイッチ580は、ユーザによって操作され、操作されている場合と、操作されていない場合とで、スイッチ580が接続している接続点PSの(直流)電圧としてのスイッチ信号(接続点PSから見たスイッチ80のインピーダンス)を変化させる。スイッチ580のスイッチ信号(H又はLレベル)は、スイッチ571の端子571A、及び、送信処理部578に供給される。
マイク5810は、物理量である音響(音波)を、電気信号である音響信号に変換するトランスデューサであり、マイク5810に入力する音響に対応するアナログの音響信号を出力する。
ここで、マイク5810は、例えば、ヘッドセットとしてのヘッドフォン520を装着するユーザの音声の収音を目的とする音声用マイクとして使用することができる。
マイク5810の出力端子は、アンプ5820、抵抗(R)5830、及び、スイッチ580のスイッチ信号が出力される接続点PSに接続されており、接続点PSは、スイッチ571の端子571Aに接続されている。
したがって、接続点PSにおいて、スイッチ580のスイッチ信号は、マイク5810が出力するアナログの音響信号に重畳され、スイッチ571の端子571Aに供給される。
なお、スイッチ580、及び、マイク5810は、上述のように、アナログ音響インターフェース521を構成するが、後述するように、多重化データインターフェース522をも構成する。
ヘッドセットとしてのヘッドフォン520において、多重化データインターフェース522は、スイッチ571、コンデンサ572、対応検出部573、LDO(Low Drop-Out regulator)574、制御部575、PLL(Phase Lock Loop)577、送信処理部578、スイッチ580、マイク5810,5811,5812,5813、及び、5814、アンプ5820,5821,5822,5823、及び、5824、抵抗5830,5831,5832,5833、及び、5834、ADC(Analog Digital Converter)5840,5841,5842,5843、及び、5844、並びに、不揮発性メモリ585を有する。
スイッチ571は、端子571A及び571Bを有し、プラグ523のマイク端子TP3に接続されている。スイッチ571は、端子571A又は571Bを選択することで、プラグ523のマイク端子TP3と、端子571A又は571Bとを接続する。
スイッチ571は、デフォルトでは、端子571A及び571Bのうちの端子571Aを選択している。
端子571Aには、マイク5810が出力するアナログの音響信号#0を送信するための信号線である音響信号線PAが接続されている。
音響信号線PAは、端子571Aと接続点PSとを接続しており、スイッチ571が、端子571A(ひいては、端子571Aに接続された音響信号線PA)を選択すると、接続点PSは、端子571Aに接続された音響信号線PA、及び、スイッチ571を介して、プラグ523のマイク端子TP3に接続される。
したがって、接続点PSにおいて、スイッチ580のスイッチ信号が重畳された、マイク5810が出力するアナログの音響信号は、音響信号線PA、及び、端子571Aを選択しているスイッチ571を介して、プラグ523のマイク端子TP3に出力される。
端子571Bには、ホスト端末510に、送信処理部578が出力する多重化データを送信するための多重化データ信号線PBが接続されている。
多重化データ信号線PBには、端子571Bの他、制御部575、PLL577、及び、送信処理部578が接続しており、したがって、スイッチ571が、端子571B(ひいては、端子571Bに接続された多重化データ信号線PB)を選択すると、制御部575、PLL577、及び、送信処理部578は、多重化データ信号線PB、及び、スイッチ571を介して、プラグ523のマイク端子TP3に接続される。
また、端子571Bには、多重化データ信号線PBの他、LDO574が接続しており、スイッチ571が、端子571Bを選択すると、LDO574も、スイッチ571を介して、プラグ523のマイク端子TP3に接続される。
コンデンサ572は、その一端が、プラグ523のマイク端子TP3に接続され、他端が、対応検出部573に接続されており、コンデンサ572を通る信号の直流成分をカットする。
対応検出部573は、プラグ523のマイク端子TP3から、コンデンサ572を介して、ハンドシェーク信号を受信すると、プラグ523が挿入されたジャックを有するジャックデバイスが対応デバイスであることを検出する。
プラグ523にジャックが挿入されたジャックデバイスが対応デバイスであることが検出されると、対応検出部573は、端子571Aを選択しているスイッチ571を、端子571Bを選択するように切り替えるとともに、ヘッドフォン520が対応デバイスであることを、プラグ523が挿入されたジャックを有するジャックデバイスに報知するために、コンデンサ572を介して、プラグ523のマイク端子TP3に、受信したハンドシェーク信号と同様の、又は、周波数が異なるハンドシェーク信号を出力する。
LDO574は、電圧レギュレータであり、プラグ523のマイク端子TP3からスイッチ571を介して供給される信号から、所定の電圧を生成し、電源となる電力を、抵抗583iを介して、アンプ582i等に供給するとともに、制御部575や、送信処理部578、ADC584i、その他の電源を必要とする多重化データインターフェース522のブロックに供給する。
したがって、ヘッドフォン520の多重化データインターフェース522は、ホスト端末510(の電源VD)から、電源となる電力の供給を受けて動作する。
なお、LDO574が各ブロックに電源となる電力を供給するための信号線は、図が煩雑になるのを避けるために、適宜省略してある。
制御部575は、レジスタ76を内蔵しており、そのレジスタ576の記憶値に従った処理を行う。
また、制御部575は、プラグ523のマイク端子TP3から、(端子571Bを選択している)スイッチ571、及び、多重化データ信号線PBを介して供給される信号(コマンド)に応じて、レジスタ576へのデータの書き込みや、レジスタ576、及び、不揮発性メモリ585からのデータの読み出し、その他の処理を行う。
ここで、レジスタ576からのデータの読み出しでは、制御部575は、レジスタ576からデータを読み出し、送信処理部578に供給する。送信処理部578では、制御部575からのデータが、多重化データに含められ、多重化データ信号線PB、及び、スイッチ571を介して、プラグ523のマイク端子TP3から送信される。
また、不揮発性メモリ585からのデータの読み出しでは、制御部575は、送信処理部578を制御することにより、不揮発性メモリ585からデータを読み出させ、多重化データに含めて、多重化データ信号線PB、及び、スイッチ571を介して、プラグ523のマイク端子TP3から送信させる。
なお、制御部575は、その他、必要に応じて、ヘッドフォン520の必要なブロックの制御を行う。制御部575が、必要なブロックの制御を行うための信号線は、図が煩雑になるのを避けるために、適宜省略してある。
PLL577には、スイッチ571が端子571Bを選択しているときに、プラグ523のマイク端子TP3、スイッチ571、及び、多重化データ信号線PBを介して、プラグ523が挿入されているジャックを有するジャックデバイス(対応デバイス)から信号が供給される。
PLL577は、プラグ523のマイク端子TP3、スイッチ571、及び、多重化データ信号線PBを介して供給される信号に同期したクロックを生成し、送信処理部578、その他の必要なブロックに供給する。
送信処理部578には、スイッチ580からスイッチ信号(スイッチ580が操作されているか否かを表すH又はLレベル)が供給されるとともに、ADC584i(i=0,1,2,3,4)から、マイク581iで収音された音響の、例えば、1ビットのディジタル信号である音響信号#iが供給される。
送信処理部578は、PLL577から供給されるクロックに同期して動作し、スイッチ580からのスイッチ信号、ADC584iからのディジタルの音響信号#i、レジスタ576から読み出されたデータ、及び、不揮発性メモリ585から読み出されたデータ(デバイス情報)を(時分割)多重化(シリアライズ)(変調)し、その他必要な処理を施して、その結果得られる多重化データを、多重化データ信号線PB、及び、スイッチ571を介して、プラグ523のマイク端子TP3から送信する。
ここで、上述したように、多重化データには、ディジタルの音響信号#0,#1,#2,#3,#4、及び、付加データが含まれる。スイッチ信号、レジスタ576から読み出されたデータ、及び、不揮発性メモリ585から読み出されたデータが、付加データである。
マイク581iは、物理量である音響(音波)を、電気信号である音響信号に変換するトランスデューサであり、マイク581iに入力する音響#iに対応するアナログの音響信号#iを出力する。
ここで、マイク5810は、例えば、上述したように、ヘッドセットとしてのヘッドフォン520を装着するユーザの音声の収音を目的とする音声用マイクとして使用することができる。
また、マイク5811ないし5814は、例えば、ホスト端末510の信号処理ブロック511で行われるNCの処理に用いるノイズ等の音響の収音を目的とするNC用マイクとして使用することができる。
マイク581iが出力するアナログの音響信号#iは、アンプ582iに供給される。
アンプ582iは、マイク581iからのアナログの音響信号#iを増幅し、ADC584iに供給する。
抵抗583iは、LDO574の出力端子と、マイク581iとアンプ582iとの接続点との間に接続されている。
ADC584iは、アンプ582iからのアナログの音響信号#iのAD変換を行い、その結果得られるディジタルの音響信号#iを、送信処理部578に供給する。
ここで、ADC584iのAD変換としては、例えば、1ビットのAD変換としてのΔΣ変調を採用することができる。
不揮発性メモリ585は、例えば、OTP(One Time Programmable)メモリや、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)等であり、不揮発性メモリ585には、デバイス情報が記憶される。
デバイス情報とは、ヘッドフォン520に関する情報であり、デバイス情報には、ヘッドフォン520の製造会社等を特定するベンダID(Identification)や、ヘッドフォン520(個体)の機種等を特定するプロダクトIDを含めることができる。さらにUNC用の中間パラメータ、SNC用のパラメータ(アプリケーションID等)も含めることができる。
さらに、デバイス情報には、ヘッドフォン520の構成や機能、用途を表す構成機能情報を含めることができる。
構成機能情報としては、例えば、ヘッドフォン520がヘッドセット等である旨や、ヘッドフォン520に設けられているマイク581i等のトランスデューサの数等を採用することができる。
また、デバイス情報には、ヘッドフォン520のプラグ523を、ホスト端末510のジャック514に挿入して、ヘッドフォン520を使用する場合に、信号処理ブロック511において、ヘッドフォン520にとって最適(又は適切)な処理が行われるようにするための処理情報等を含めることができる。
処理情報としては、例えば、音楽プレーヤとして機能するスマートフォンとしてのホスト端末510の信号処理ブロック511で、NCの処理が行われる場合において、ヘッドセットとしてのヘッドフォン520にとって最適なNCの処理が行われるようにするための、NCの処理のアルゴリズムや、NCの処理で用いられるフィルタのフィルタ係数、そのフィルタ係数を求めるのに用いることができるマイク581iの特性や、ドライバ561L及び561Rの特性等を採用することができる。
なお、図8では、ヘッドフォン520に、1つのスイッチ580が設けられているが、ヘッドフォン520には、2つ以上のスイッチを(接続点PSに並列に)設けることができる。また、ヘッドフォン520は、スイッチを設けずに構成することができる。
さらに、図8では、ヘッドフォン520に、5つのマイク5810ないし5814が設けられているが、ヘッドフォン520には、5つ以外の数の複数のマイクを設けることができる。
また、ヘッドフォン520には、マイク以外の、物理量を電気信号に変換するトランスデューサ、すなわち、例えば、加速度センサや、タッチセンサ、体温や脈拍等の生体に関する物理量をセンシングする生体センサ等を設けることができる。
図8のホスト端末510の多重化データインターフェース513は、それぞれ図4のホスト端末212の多重化データインターフェース231、図5のホスト端末212A,212B,212Cの多重化データインターフェース231A,231B,231C、図6のホスト端末212Eの多重化データインターフェース231Eにそれぞれ対応する。これらはマスターコア(Master Core)とも称する。
図8のヘッドフォン520の多重化データインターフェース522は、それぞれ図4のアクセサリ機器としてのヘッドフォン211の多重化データインターフェース222、図5のアクセサリ機器としてのヘッドフォン211Aの多重化データインターフェース222A、図6のアクセサリ機器としてのヘッドフォン211E,211F,211G,211Hの多重化データインターフェース222E,222F,222G,222Hにそれぞれ対応する。これらはスレーブコア(Slave Core)とも称する。
なお図4、図5および図6の実施の形態においては、多重化データインターフェース222,222A,222E,222F,222G,222Hの外に、対応する不揮発メモリ221,221A,221E,221F,221G,221Hが示されている。これに対して図8においては、不揮発性メモリ585が多重化データインターフェース522の内部に収容した状態で示されている。
<6.本技術のシステムの一実施の形態の動作>
UNC対応のヘッドフォン520には、ネイティブパラメータを算出するため、多重化データインターフェース522(Slave Core)内の不揮発性メモリ585に記憶させる中間パラメータとして、NCフィルタ特性が必要となる。中間パラメータは信号処理ブロック511に含まれるノイズキャンセリングコアやホスト端末510の仕様の影響を排除するため、s平面における特性とされる。また、フィルタ構成の影響を排除するため、伝達関数の零点と極が記憶される。伝達関数を次式に示す。
式(4)においては、例として零点が最大8個、極が最大8個で記述されている。
不揮発性メモリ585に記憶させるフォーマットの例を図9に示す。ここでは「中間パラメータ」というひとつのチャンクが定義される。もちろん、例えばホスト端末510が、接続されたNCヘッドフォンの機種に対応する中間パラメータを取得できればチャンク構造でなくともよいし、また不揮発性メモリ585が所持していなくとも、ネットワーク上のサーバーに取得しに行くなどしてもよい。
図9は、中間パラメータのフォーマットを説明する図である。図9に示されるように、中間パラメータのチャンクの先頭の8ビットのヘッダには、ファンクションID(Function ID)が、次のヘッダにはチャンク長(Chunk Length)が配置される。続いてノイズキャンセリングのs平面における伝達関数のゲインKの上位8ビットと下位8ビットが順次配置される。さらにノイズキャンセリングのs平面における伝達関数の零点の実数根の数(4ビット)と複素根の数(3ビット)、極の実数根の数(4ビット)と複素根の数(3ビット)が配置される。
その後に続けて、決められた順番で零点の実数根の上位8ビットと下位8ビットが記憶される。さらに零点の複素根の実数部の上位8ビットと下位8ビットと、虚数部の上位8ビットと下位8ビットが順次記憶される。さらに極の実数根の上位8ビットと下位8ビットが記憶される。続いて極の複素根の実数部の上位8ビットと下位8ビットと、虚数部の上位8ビットと下位8ビットが順次記憶される。
UNC対応のノイズキャンセリング機能つきホスト端末510には、中間パラメータをネイティブパラメータに変換してノイズキャンセリングコア(ノイズキャンセリングコア)に設定するトランスレータが搭載されている。また、ノイズキャンセリングコアに関しても中間パラメータを許容する程度の仕様が求められる。なお、図8の実施の形態では、これらはいずれも信号処理ブロック511内に含まれている。
例えば、規格における零点と極の数から自動的にNCフィルタに必要な次数が決定される。この実施の形態では零点と極ともに最大8個としているため、NCフィルタは8次相当の性能が必要になる。
図10は、ホスト端末とヘッドフォンの基本的動作を説明する図である。図10においては、音楽再生信号については本技術の本質と関わらないため簡略化のため図示は省略している。図10において、ドライバ605はノイズキャンセル処理を制御するドライバである。マネージャ603は、接続されたアクセサリ機器としてのヘッドフォン520に応じて対応する専用NCHPデバイスサービス607を起動し、その起動から終了までのライフサイクルを管理する。なお、図10において、専用NCHPデバイスサービス607は、ノイズキャンセリングヘッドフォン(NCHP)用のデバイスサービスであるため、NCHPデバイスサービスと表記されている。専用NCHPデバイスサービス607は、必要に応じて単に専用デバイスサービス607とも表記する。
専用NCHPデバイスサービス607は、主にヘッドフォン520の制御を行い、アプリケーション601に対してヘッドフォン520の機能を提供する。共通NCHPデバイスサービス602は、デバイスサービスのうち、UNCに関連する機能を提供する。共通NCHPデバイスサービス602も、ノイズキャンセリングヘッドフォン(NCHP)用の共通デバイスサービスであるため、図10において共有NCHPデバイスサービスと表記されている。共通NCHPデバイスサービス602は、必要に応じて単に共通デバイスサービス602とも表記する。専用デバイスサービス607は、デバイスサービスのうち、主にSNCに関連する機能を提供する。アプリケーション601は、ヘッドフォン520を使ったアプリケーションを実現する。
トランスレータ604の入力はヘッドフォン520の不揮発性メモリ575に記憶してある中間パラメータであり、出力はホスト端末510に搭載されているノイズキャンセリングコア608に対応したネイティブパラメータである。
トランスレータ604はまず、中間パラメータに記述された零点と極、ゲインの情報から、s平面における伝達関数を復元する。この伝達関数は上記式(4)で表される。トランスレータ604は、この伝達関数(式(4))を基に、ホスト端末510に搭載されているノイズキャンセリングコア608に対応したネイティブパラメータを生成する。
例えば、零点と極の最大個数が8個、並びにそれから求められる最低限のNCフィルタの構成から逸脱するが、説明のための簡単な例として、ノイズキャンセリングコア608のフィルタが、図11に示されるような構成であるとする。
図11は、NCフィルタの構成を示すブロック図である。このNCフィルタ801は、入力に係数(ゲイン)a0,a1,a2,b1,b2を乗算して加算器813に出力する乗算器8111,8112,8113,8114,8115と、入力を1クロック分遅延して出力する遅延回路8121,8122,8123,8124とにより構成されている。遅延回路8121は、NCフィルタ801への入力を遅延して乗算器8112に出力する。遅延回路8122は、遅延回路8121からの入力を遅延して乗算器8113に出力する。遅延回路8123は、加算器813からの出力を遅延して乗算器8114に出力する。遅延回路8124は、遅延回路8123からの入力を遅延して乗算器8115に出力する。加算器813は各乗算器8111,8112,8113,8114,8115からの出力を加算して、NCフィルタ801の出力とする。
いま図11に示されるNCフィルタ801により処理される中間パラメータとして、図12に示される中間パラメータを想定する。もちろん実際には、図11のNCフィルタではノイズキャンセリングを実現することはできないが、中間パラメータとトランスレータ604の動作を簡単に説明するためにこれを例とする。
図12は、中間パラメータの例を示す図である。図12の例においては、チャンクヘッダの先頭に8ビットのファンクションID(Function ID)が、次のチャンクヘッダに8ビットのチャンク長(Chunk Length)が配置されている。続く8×2ビットには、ノイズキャンセリングゲイン(K)の値が配置されている。さらに零点の実数根の数が4ビット、零点の複素根の数が3ビット、極の実数根の数が4ビット、極の複素根の数が3ビット配置されている。続いて2個の零点z0,z1と2個の極p0,p1が、8×2ビットずつ配置されている。
図12の例では、零点の実数根が2個、極の実数根が2個となっているため、伝達関数は次の式のように表すことができる。
上記式(5)から、デジタルフィルタの伝達関数となる式(6)を生成する。
トランスレータ604は、既知であるノイズキャンセリングコア608のサンプリング周波数f
Sを用いて、式(5)の双一次変換(式(7))等のz変換を行い、式を変形することで、式(6)の係数(ゲイン)a
0,a
1,a
2,b
1,b
2を求めることができる。
以上より求めたデジタルフィルタの伝達関数F(z)に、Noise Canceling Gain (K)をかけ、所望のノイズキャンセリングフィルタ特性を得ることができる。
もちろん実際には、ノイズキャンセリングコア608は、図11と異なるNCフィルタ構成を持つので、上記した例とは異なるネイティブパラメータ算出方法をノイズキャンセリングコア608の仕様に合わせてトランスレータ604に組み込む必要がある。
以上、トランスレータ604により、中間パラメータをノイズキャンセリングコア608に適したネイティブパラメータに変換する方法について説明したが、次に中間パラメータの作成方法について説明する。
2次Biquad IIRフィルタ1つを例に挙げる。その伝達関数は、次の式で表される。この式(13)は、式(5)と同じである。
式(13)の伝達関数から次のような零点zと極pを求める。
零点と極ともに複素根に成り得るが、そのときは複素共役数となる。例えば零点は実数根が2つ、極は複素根が2つとなった場合、中間パラメータを図13に示されるように ヘッドフォン520の不揮発性メモリ585に記憶させる。
図13は、中間パラメータの記述例を示す図である。実数根はそのまま不揮発性メモリ585に記憶させるため、実数根の数もそのまま不揮発性メモリ585に記憶される。図13の例においては、零点の実数根の数と極の実数根の数が、4ビットずつ記憶されている。複素根の場合、複素共役数となるため不揮発性メモリ585には虚数成分のプラスのもののみが記憶される。そのため、複素根の数は、実際の根の数の半分の値が不揮発性メモリ585に記憶される。
図13の例においては、零点の複素根の数と、極の複素根の数が、3ビットずつ記憶されている。さらに2個の零点z1,z2と2個の極p0,p1の実数部Re(p0),Re(p1)、虚数部Im(p0),Im(p1)が配置されている。トランスレータ604は中間パラメータに複素根が存在する場合、複素共役数に展開して処理を行う。
零点と極が取得できたら、例えば前述の式(5)のように、トランスレータ604はs平面での伝達関数を復元し、式(7)でz変換を行い、デジタルフィルタの伝達関数(式(6))および係数(式(8)〜式(12))を得る。係数はノイズキャンセリングコア608の係数フォーマットに従って変換する。例えば係数ビット長24ビットは、(3,21)のように変換される。(3,21)の「3」は整数のビット数を表し、「21」は小数のビット数を表す。変換後、その値がノイズキャンセリングコア608に設定される。
さらに図10のホスト端末510とヘッドフォン520におけるUNCモードの処理についてフローチャートに示して説明すると次のようになる。図14は、UNCモードの処理を説明するフローチャートである。
ステップS1においてホスト端末510のマネージャ603は、トランスレータ604を起動する。このときホスト端末510からの指示に基づいて、ヘッドフォン520の不揮発メモリ585に記憶されている中間パラメータが読み出され、送受信処理部578を介して多重化データ通信によりホスト端末510の送受信処理部547に供給される。送受信処理部547に供給された中間パラメータは、さらにドライバ605、マネージャ603、共通デバイスサービス602を介してトランスレータ604に供給される。
ステップS2においてトランスレータ604は、伝達関数F(s)(式(4))を復元する。ステップS3においてトランスレータ604は、ノイズキャンセリングコア(NC Core)608の仕様や構成に合わせてz変換し(式(6))、ノイズキャンセル用の係数(NC係数)を算出する(式(7)〜式(12))。つまりネイティブパラメータが算出される。
ステップS4においてトランスレータ604は、ステップS3で算出したノイズキャンセル用の係数を16進数(HEX)に変換する。さらにステップS5においてトランスレータ604は、ノイズキャンセリングコア608の仕様に合わせてゲイン(ノイズキャンセリングゲイン(K))を算出する。これもネイティブパラメータである。
ステップS6においてトランスレータ604は、ステップS5,S6の処理で算出されたネイティブパラメータを共通デバイスサービス602に出力する。ステップS7において共通デバイスサービス602は、ノイズキャンセリングコア608を設定する。すなわちステップS3,S4の処理で得られたノイズキャンセリング係数がドライバ605を介してノイズキャンセリングコア608に設定される。さらにステップS8においてデバイスサービス607は、ゲインを設定する。すなわちノイズキャンセリングゲイン(K)がドライバ605を介してノイズキャンセリングコア608に設定され、ヘッドフォンアンプ(パワーアンプ532)のゲインが設定される。
<7.ヘッドフォンの処理>
次にUNCモードが設定された場合のヘッドフォン520の処理について説明する。図15は、ヘッドフォンの動作を説明するフローチャートである。
ステップS31において不揮発性メモリ585は中間パラメータを記憶する。この処理はユーザがヘッドフォン520を購入する前に事前に行われる。ステップS32において送信処理部578は、中間パラメータを読み出し、出力する。すなわちホスト端末510からの指示に基づいて、不揮発性メモリ578に記憶されている中間パラメータが読み出される。そして上述したように、この中間パラメータに基づいてホスト端末510のノイズキャンセリングコア608やヘッドフォンアンプ532の設定が行われる。
ステップS33においてヘッドフォン520は、マイク581(5810,5811,5812,5813,5814)からの信号を出力する。すなわちヘッドフォン520のマイク581により収音された音に対応するマイク信号(音響信号)が送信処理部578からホスト端末510に多重化データ通信により供給される。ホスト端末510の送受信処理部547は入力されたマイク信号を、パラメータが設定されているノイズキャンセリングコア608に出力する。
また、ステップS34においてヘッドフォン520のドライバ561(561L,561R)は、ホスト端末510から入力されたソース信号を出力する。すなわち図2を参照して説明したように、ノイズキャンセル信号がソース信号と加算され、ヘッドフォンアンプ(HP AMP)532を介してヘッドフォン520のドライバ561(561L,561R)に供給される。ドライバ561はホスト端末510から受信した信号に対応する音を出力する。この音がユーザの耳に直接入力されるノイズ音と合成され、ノイズキャンセル処理が行われる。
ユーザにとって、購入しようとしている商品が自分の所有している機器に接続した際に目的の機能を実現できるかどうか(対応しているかどうか)を確認することは非常に煩わしい作業であり、また不安を払しょくできない。例えば多重化データ通信機能を有し、そのノイズキャンセリングヘッドフォン機種に固有のパラメータを保持している、上述してきたような回路分離型のノイズキャンセリングヘッドフォンにおいても同様のことが言える。
本技術により、上記のようにユーザは自身が所有する機器の対応状況を調べる必要がなく、ただUNC対応商品であるかどうかを確認すればよくなるため、ユーザに安心感を与えると共に、購買意欲を促進することができる。
アクセサリ機器を開発するベンダにおいても同様のことが言える。SNCの機能しか有しないアクセサリ機器の場合、各ホスト端末、ノイズキャンセリングコアの仕様に合わせたネイティブパラメータを作成する必要があった。このため、対応機種を増やすには各ホスト端末、信号処理演算部ハードウエアに関する知識が求められると共に、作成にも時間や手間を要する。その結果、すべてのホスト端末に対応するのは技術的に可能としても現実的に困難であった。
本技術により、アクセサリ機器のベンダは、中間パラメータをアクセサリ機器に保持させることにより、例えばヘッドフォンであれば、UNC対応のノイズキャンセリング機能を搭載するホスト端末すべてとの組み合わせにおいて、ノイズキャンセリング機能を実現できる。ホスト端末がどのベンダから発売されたものでも、またホスト端末に搭載されるノイズキャンセリングコアがどのベンダ製のものでも対応でき、より多くのユーザに購入してもらう機会が得られることになる。
<8.モード選択処理>
ホスト端末510とヘッドフォン520には、SNCとUNCのうちの一方だけのモードを持たせることが可能である。しかしその場合、ユーザの使い勝手が悪くなる。
そこで、ホスト端末510とヘッドフォン520をSNCとUNCの両方のモードで使用可能にすることが望まれる。例えば図5のヘッドフォン211A、ホスト端末212A,212B、図6のヘッドフォン211E,211F、ホスト端末212Eがその例である。つまり、ヘッドフォン520の不揮発性メモリ585や、ヘッドフォン211A,211E,211Fの不揮発性メモリ221A,221E,221F等には、中間パラメータとネイティブパラメータ(またはこれらにアクセスし、取得するために必要な情報)の両方を記憶している。この場合、一方のモードが他方のモードより自動的に優先的に設定されるようにすることができると、より便利となる。以下、この場合の処理について、図16ないし図18を参照して説明する。
図16ないし図18は、モード選択処理を説明するフローチャートである。ステップS51においてホスト端末510は、アクセサリ接続を検知する。すなわちヘッドフォン520が接続されたことが検知される。この検知は、具体的には上述したように、マイク検出部544によりマイク581が接続されたことで検知される。
ステップS52においてホスト端末510のマネージャ603は、スレーブコアからアクセサリ情報を取得する。すなわちホスト端末510からアクセサリ機器としてのヘッドフォン520に対して要求が出され、ヘッドフォン520の不揮発メモリ585からアクセサリ情報としての製品情報が読み出される。例えば機種名、中間パラメータ、SNC用のアプリケーションの情報等が読み出される。ステップS53においてマネージャ603はアクセサリ機種情報を抽出する。すなわちステップS52の処理で取得されたアクセサリ情報の中から、アクセサリ機種情報が抽出される。
ステップS54においてマネージャ603は、専用NCHPデバイスサービスID情報を抽出する。専用NCHPデバイスサービスとは、特定のヘッドフォン520とホスト端末510の組み合わせに専用のネイティブパラメータを処理する(SNCを実現する)専用NCHPデバイスサービス607のことである。この処理によりステップS52の処理で取得されたアクセサリ情報の中から専用NCHPデバイスサービスID情報として専用NCHPデバイスサービス607のID情報が抽出される。
ステップS55においてマネージャ603は、専用NCHP アプリケーション ID情報を抽出する。専用NCHP アプリケーションとは、特定のヘッドフォン520とホスト端末510の組み合わせに専用のネイティブパラメータを処理する(SNCを実現する)専用NCHP アプリケーション606のことである。なお専用NCHP アプリケーション606は、ノイズキャンセリングヘッドフォン(NCHP)用のアプリケーションであるため、NCHP アプリケーションと表記されている。専用NCHP アプリケーション606は、必要に応じて単に専用アプリケーション606とも表記する。この処理によりステップS52の処理で取得されたアクセサリ情報の中から専用NCHP アプリケーション ID情報として専用NCHP アプリケーション606のID情報が抽出される。
専用NCHPデバイスサービスID情報や専用NCHP アプリケーション ID情報から、専用NCHPデバイスサービスや専用NCHP アプリケーションの種類や存在の有無を判定することができる。
ステップS56においてマネージャ603は、専用NCHPデバイスサービス ID情報があるかを判定する。つまりステップS54において専用NCHPデバイスサービス ID情報が抽出されたかが判定される。
ステップS56において専用NCHPデバイスサービス ID情報が存在しないと判定された場合、処理はステップS57に進む。ステップS57においてマネージャ603は、共通NCHPデバイスサービス602を起動する。ステップS58においてマネージャ603は、UNCフラグをオンにする。UNCフラグがオンにされると、その後、SNCモードが設定されなければ、後述するステップS81,S83,S84,S85,S86においてUNCモードが設定される。
一方、ステップS56において専用NCHPデバイスサービス ID情報が存在すると判定された場合、ステップS59において、マネージャ603は専用NCHPデバイスサービスがインストール済みであるかを判定する。専用NCHPデバイスサービスがインストール済みである場合、ステップS62においてマネージャ603は、専用NCHPデバイスサービス607を起動する。
ステップS63において専用NCHPデバイスサービス607は、SNC対応のホスト装置とアクセサリ機器の組み合わせであるかを判定する。現在のホスト端末510とヘッドフォン520がSNC対応の組み合わせでない場合、SNCを利用することはできない。そこでステップS64においてマネージャ603は、UNCフラグをオンにする。UNCフラグがオンにされると、その後、SNCモードが設定されなければ、後述するステップS81,S83,S84,S85,S86においてUNCモードが設定される。
ステップS63においてホスト端末510とヘッドフォン520がSNC対応の組み合わせであると判定された場合、ステップS65において専用NCHPデバイスサービス607は、ノイズキャンセリングの設定をする。つまり、ノイズキャンセリングコア608にネイティブパラメータが設定される。ステップS66において専用NCHPデバイスサービス607は、ノイズキャンセリングをオンにする。そしてステップS67においてネイティブパラメータを用いたノイズキャンセル処理、すなわちSNCが開始される。
ステップS59において専用NCHPデバイスサービスID情報が存在するが、専用NCHPデバイスサービスがインストール済みではないと判定された場合、ステップS60においてマネージャ603は、UNCフラグをオンにする。UNCフラグがオンにされると、その後、SNCモードが設定されなければ、後述するステップS81,S83,S84,S85,S86においてUNCモードが設定される。さらにステップS61においてマネージャ603は、誘導フラグをオンにする。これにより、後述するように、ステップS87,S89以降の処理により、ユーザによる共通NCHPデバイスサービスのインストールが誘導される。
ステップS58,S61,S64の処理の後、ステップS68においてマネージャ603は、専用NCHP アプリケーション ID情報があるかを判定する。専用NCHP アプリケーション ID情報が存在しない場合、すなわちステップS55の処理で専用NCHP アプリケーション ID情報が抽出できなかった場合、ステップS69においてマネージャ603は、UNCフラグをオンにする。UNCフラグがオンにされると、その後、SNCモードが設定されなければ、後述するステップS81,S83,S84,S85,S86においてUNCモードが設定される。
一方、ステップS68において専用NCHP アプリケーション ID情報が存在すると判定された場合、ステップS70において、マネージャ603は専用NCHP アプリケーションがインストール済みであるかを判定する。専用NCHP アプリケーションがインストール済みである場合、ステップS71においてマネージャ603は、専用NCHP アプリケーション606を起動する。
ステップS72において専用NCHP アプリケーション606は、SNC対応のホスト装置とアクセサリ機器の組み合わせであるかを判定する。現在のホスト端末510とヘッドフォン520がSNC対応の組み合わせでない場合、SNCを利用することはできない。そこでステップS73においてマネージャ603は、UNCフラグをオンにする。UNCフラグがオンにされると、その後、SNCモードが設定されなければ、後述するステップS81,S83,S84,S85,S86においてUNCモードが設定される。
ステップS72においてホスト端末510とヘッドフォン520がSNC対応の組み合わせであると判定された場合、ステップS74において専用NCHP アプリケーション606は、ノイズキャンセリングの設定をする。つまり、ノイズキャンセリングコア608にネイティブパラメータが設定される。ステップS75において専用NCHP アプリケーション606は、ノイズキャンセリングをオンにする。つまり、SNCが実行される。
この場合、SNCが実行されることになるので、ステップS76においてマネージャ603は、UNCフラグをオフにする。またマネージャ603はステップS77において誘導フラグをオフにする。そしてステップS78においてネイティブパラメータを用いたノイズキャンセル処理、すなわちSNCが開始される。
ステップS70において、専用NCHP アプリケーションがインストール済みではないと判定された場合、ステップS79においてマネージャ603は、UNCフラグをオンにする。UNCフラグがオンにされると、その後、SNCモードが設定されなければ、後述するステップS81,S83,S84,S85,S86においてUNCモードが設定される。さらにステップS80においてマネージャ603は、誘導フラグをオンにする。これにより、後述するように、ステップS87,S89以降の処理により、ユーザによる共通NCHPデバイスサービスのインストールが誘導される。すなわちステップS60,S61における場合と同様の処理が行われる。
ステップS69,S73,S80の処理の後、ステップS81において共通NCHPデバイスサービス602は、UNCフラグがオンであるかを判定する。UNCフラグがオンではない(オフである)場合とは、ステップS65,S66,S67の処理、またはステップS74,S75,S76,S77、S78の処理でSNC処理が既に実行されている場合である。そこでUNCフラグがオンではない(オフである)場合、ステップS82においてノイズキャンセル処理は実行されない。
ステップS81においてUNCフラグがオンであると判定された場合、処理はステップS83に進む。UNCフラグがオンである場合とは、専用NCHPデバイスサービスID情報が存在しない場合(ステップS56でFALSEと判定された場合)か、専用NCHPデバイスサービスがインストールされていない合(ステップS59でFALSEと判定された場合)である。または、専用NCHP アプリケーション ID情報が存在しない場合(ステップS68でFALSEと判定された場合)か、専用NCHP アプリケーションがインストールされていない場合(ステップS70でFALSEと判定された場合)である。すなわち、ステップS67またはステップS78においてSNCモードが実行されていない場合である。
ステップS81においてUNCフラグがオンであると判定された場合、ステップS83においてマネージャ603は、トランスレータ604を起動する。ステップS84においてトランスレータ604は、中間パラメータをノイズキャンセリングコア608の仕様に則した形式のネイティブパラメータに変換し、共通NCHPデバイスサービス602に出力する。ステップS85において共通NCHPデバイスサービス602は、ノイズキャンセル処理の設定をする。つまり、ノイズキャンセリングコア608にネイティブパラメータが設定される。ステップS86において共通NCHPデバイスサービス602は、ノイズキャンセル処理をオンにする。すなわちUNCが実行される。
ステップS87においてマネージャ603は、誘導フラグがオンであるかを判定する。専用NCHPデバイスサービスID情報が存在するにも拘わらず専用NCHPデバイスサービスがインストールされていない場合、ステップS61で誘導フラグがオンにされている。同様に、専用NCHP アプリケーション ID情報が存在するにも拘わらず専用NCHP アプリケーションがインストールされていない場合、ステップS80で誘導フラグがオンにされている。
誘導フラグがオンではない(オフである)場合、ステップS88においてUNCモードが維持される。すなわちステップS83,S84,S85,S86の処理で設定されたUNCがそのまま保持される。
ステップS87において誘導フラグがオンであると判定された場合、処理はステップS89に進む。この場合は、専用NCHPデバイスサービスID情報が存在するにも拘わらず専用NCHPデバイスサービスがインストールされていない場合、および専用NCHP アプリケーション ID情報が存在するにも拘わらず専用NCHP アプリケーションがインストールされていない場合である。
ステップS89において共通NCHPデバイスサービス602は、ユーザをダウンロードURLに誘導する。つまり、例えばユーザにダウンロードサイトにアクセスさせるための所定の表示を行うなどして、ユーザにURLにアクセスして、専用NCHPデバイスサービスまたは専用NCHP Applicationをダウンロードするように促す。
ユーザがダウンロードを指示すると、ステップS90においてダウンロードが行われ、ステップS91においてそのインストールが行われる。
ステップS92においてマネージャ603は、専用NCHPデバイスサービス607または専用NCHP アプリケーション606を起動する。すなわち、インストールされた専用NCHPデバイスサービス607または専用NCHP アプリケーション606が起動される。ステップS93において専用NCHPデバイスサービス607または専用NCHP アプリケーション606は、対応機種をチェックする。
ステップS94において専用NCHPデバイスサービス607または専用NCHP アプリケーション606は、SNC対応のホスト装置とアクセサリ機器の組み合わせであるかを判定する。現在のホスト端末510とヘッドフォン520がSNC対応の組み合わせではない場合、SNCを利用することはできない。そこでステップS95においてマネージャ603は、メッセージを通知する。つまりユーザにSNCは非対応であることが通知される。そしてステップS96においてUNCモードが維持される。すなわちステップS83,S84,S85,S86の処理で設定されたUNCがそのまま維持される。
ステップS94においてホスト端末510とヘッドフォン520がSNC対応の組み合わせであると判定された場合、ステップS97において専用NCHPデバイスサービス607または専用NCHP アプリケーション606は、ノイズキャンセリングコア608を設定する。つまりネイティブパラメータに基づく設定が行われる。ステップS98において専用NCHPデバイスサービス607または専用NCHP アプリケーション606は、ノイズキャンセリングをオンする。そしてステップS99においてSNCモードが設定される。
以上のように、図16ないし図18のモード選択処理においては、専用NCHPデバイスサービス607または専用NCHP アプリケーション606がインストール済みの場合には、UNCモードとSNCモードのうち、SNCモードが優先的に設定される。専用に用意されたネイティブパラメータが用いられるので、SNCモードにおける方がUNCモードにおける場合より、より効果的なノイズキャンセル処理が可能になる。そこで自動的にSNCモードを設定させた方が、ユーザはより早く高品位の音を聴取することができる。
もちろん、逆に、UNCモードを優先させるようにすることもできる。例えば初回接続時に先ずUNCモードで起動するようにすれば、専用NCHPデバイスサービスまたは専用NCHP アプリケーションがインストールされるまでにおいても、ノイズキャンセリング効果を得ることが可能となる。
UNCモードとSNCモードのいずれを優先的に設定するかをユーザに選択させるようにしてもよい。つまりユーザにより選択された方を優先的に設定するようにしてもよい。ユーザは例えばUNCモードを優先させることで、所定の環境下でのUNCモードによるノイズキャンセリング効果を試すことができる。さらにUNCモードとSNCモードのいずれを設定するかをユーザに選択させるようにしてもよい。
本技術により、ヘッドフォンにおいて、相互接続互換性を実現するUNCと、特定の組み合わせ故に高い性能を期待できるSNCの優先度をつけた自動切り替えを可能にすることで、ユーザにいちはやくノイズキャンセリング効果の体験をしてもらうことが可能になる。
<9.変形例>
なお、アクセサリ機器とホスト端末の間で行われる中間パラメータの伝送は、多重化データ通信に限らず、また有線・無線を問うものではない。
また本技術は、イコライザや、補聴器、音楽用、その他のモニタにも適用することができる。例えばイコライザやモニタの中間パラメータをアクセサリ機器が保持し、イコライザやモニタのトランスレータをホスト端末が搭載しているような形態も、本技術によって実現が可能となる。規格の下で共通の中間パラメータが定められる機能であれば、機能の内容を問うものではない。そのため、本技術ではさまざまなアクセサリ機器とホスト端末との間において、対象の機能の相互接続互換性を実現し、ユーザの購入商品選択の幅を広げ、ベンダにとっても対応機器を数多く持ち、対象となるユーザ層を広げることが可能となる。
さらに本技術は、携帯音楽プレーヤ(例えばWalkman(登録商標))、モバイルゲーム機(例えばPlaystation Vita(登録商標))、ゲーム機のコントローラ(例えばPlay Station4(登録商標))等にも適用することができる。つまり、ヘッドフォンが接続される各種の情報処理装置に適用することができる。
ネットワークとは、少なくとも2つの装置が接続され、ある装置から、他の装置に対して、情報の伝達をできるようにした仕組みをいう。ネットワークを介して通信する装置は、独立した装置どうしであっても良いし、1つの装置を構成している内部ブロックどうしであっても良い。
また、通信とは、無線通信および有線通信は勿論、無線通信と有線通信とが混在した通信、即ち、ある区間では無線通信が行われ、他の区間では有線通信が行われるようなものであっても良い。さらに、ある装置から他の装置への通信が有線通信で行われ、他の装置からある装置への通信が無線通信で行われるようなものであっても良い。
また、本明細書において、システムとは、複数の構成要素(装置、モジュール(部品)等)の集合を意味し、すべての構成要素が同一筐体中にあるか否かは問わない。したがって、別個の筐体に収納され、ネットワークを介して接続されている複数の装置、及び、1つの筐体の中に複数のモジュールが収納されている1つの装置は、いずれも、システムである。
なお、本技術の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
例えば、本技術は、1つの機能をネットワークを介して複数の装置で分担、共同して処理するクラウドコンピューティングの構成をとることができる。
また、上述のフローチャートで説明した各ステップは、1つの装置で実行する他、複数の装置で分担して実行することができる。
さらに、1つのステップに複数の処理が含まれる場合には、その1つのステップに含まれる複数の処理は、1つの装置で実行する他、複数の装置で分担して実行することができる。
上述した一連の処理は、ハードウエアにより実行することもできるし、ソフトウエアにより実行することもできる。一連の処理をソフトウエアにより実行する場合には、そのソフトウエアを構成するプログラムが、コンピュータにインストールされる。ここで、コンピュータには、専用のハードウエアに組み込まれているコンピュータや、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な、例えば汎用のパーソナルコンピュータなどが含まれる。
図19は、上述した一連の処理をプログラムにより実行するコンピュータのハードウェアの構成例を示すブロック図である。
コンピュータにおいて、CPU(Central Processing Unit)921,ROM(Read Only Memory)922,RAM(Random Access Memory)923は、バス924により相互に接続されている。
バス924には、さらに、入出力インターフェース925が接続されている。入出力インターフェース925には、入力部926、出力部927、記憶部928、通信部929、及びドライブ210が接続されている。
入力部926は、キーボード、マウス、マイクロフォンなどよりなる。出力部927は、ディスプレイ、スピーカなどよりなる。記憶部928は、ハードディスクや不揮発性のメモリなどよりなる。通信部929は、ネットワークインターフェースなどよりなる。ドライブ930は、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、又は半導体メモリなどのリムーバブルメディア931を駆動する。
以上のように構成されるコンピュータでは、CPU921が、例えば、記憶部928に記憶されているプログラムを、入出力インターフェース925及びバス924を介して、RAM923にロードして実行することにより、上述した一連の処理が行われる。
コンピュータでは、プログラムは、例えば、パッケージメディア等としてのリムーバブルメディア931をドライブ930に装着することにより、入出力インターフェース925を介して、記憶部928にインストールすることができる。また、プログラムは、有線または無線の伝送媒体を介して、通信部929で受信し、記憶部928にインストールすることができる。その他、プログラムは、ROM922や記憶部928に、あらかじめインストールしておくことができる。
なお、コンピュータが実行するプログラムは、本明細書で説明する順序に沿って時系列に処理が行われるプログラムであっても良いし、並列に、あるいは呼び出しが行われたとき等の必要なタイミングで処理が行われるプログラムであっても良い。
<10.その他>
本技術は、以下のような構成もとることができる。
(1)
所定の機器に固有のパラメータであって、複数の情報処理装置に共通のフォーマットの中間パラメータを、前記機器から受信した場合、前記中間パラメータから自身の情報処理装置に適した調整パラメータを生成する生成部と、
前記生成部により生成された前記調整パラメータに基づき信号を演算する信号演算部と
を備える情報処理装置。
(2)
前記情報処理装置は、前記機器であるアクセサリ機器に接続されるホスト端末である
(1)に記載の情報処理装置。
(3)
前記中間パラメータは、前記情報処理装置の前記調整パラメータに基づき信号を演算する信号演算部の伝達関数に関するパラメータと、前記アクセサリ機器の物理的特性に関するパラメータとを含む
(1)または(2)に記載の情報処理装置。
(4)
前記情報処理装置は、前記機器に保持されている前記中間パラメータを受信するか、または前記中間パラメータにアクセスするのに必要な情報に基づいて前記中間パラメータを受信する
(1)、(2)または(3)に記載の情報処理装置。
(5)
前記情報処理装置は、さらに前記調整パラメータに基づき演算される環境の状態を表す環境信号を受信する
(1)ないし(4)のいずれかに記載の情報処理装置。
(6)
前記情報処理装置は、前記調整パラメータに基づき前記環境の状態による影響を軽減するための前記環境信号を受信する
(1)ないし(5)のいずれかに記載の情報処理装置。
(7)
前記アクセサリ機器は前記ホスト端末と多極プラグを介して多重化データ通信を行う
(1)ないし(6)のいずれかに記載の情報処理装置。
(8)
情報処理装置の情報処理方法であって、
所定の機器に固有のパラメータであって、複数の情報処理装置に共通のフォーマットの中間パラメータを、前記機器から受信した場合、前記中間パラメータから前記自身の情報処理装置に適した調整パラメータを生成し、
生成された前記調整パラメータに基づき信号を演算する
情報処理方法。
(9)
自身の情報処理装置に固有のパラメータであって、複数の機器に共通のフォーマットの中間パラメータを前記機器に供給するパラメータ供給部と、
前記機器において、前記中間パラメータから生成された前記機器に適した調整パラメータに基づき演算された演算信号を、前記機器から受信する受信部と
を備える情報処理装置。
(10)
前記情報処理装置は、前記機器であるホスト端末に接続されるアクセサリ機器である
(9)に記載の情報処理装置。
(11)
前記中間パラメータは、前記機器の前記調整パラメータに基づき信号を演算する信号演算部の伝達関数に関するパラメータと、前記アクセサリ機器の物理的特性に関するパラメータとを含む
(9)または(10)に記載の情報処理装置。
(12)
前記パラメータ供給部は、保持している前記中間パラメータを供給するか、または前記中間パラメータにアクセスするのに必要な情報を供給する
(9)、(10)または(11)に記載の情報処理装置。
(13)
前記情報処理装置は、前記調整パラメータに基づき演算される環境の状態を表す環境信号を前記機器に供給する環境信号供給部をさらに備える
(9)ないし(12)のいずれかに記載の情報処理装置。
(14)
前記環境信号供給部は、前記調整パラメータに基づき前記環境の状態による影響を軽減するための前記環境信号を供給する
(9)ないし(13)のいずれかに記載の情報処理装置。
(15)
前記アクセサリ機器は前記ホスト端末と多極プラグを介して多重化データ通信を行う
(9)ないし(14)のいずれかに記載の情報処理装置。
(16)
情報処理装置の情報処理方法であって、
自身の前記情報処理装置に固有のパラメータであって、複数の機器に共通のフォーマットの中間パラメータを前記機器に供給し、
前記機器において、前記中間パラメータから生成された前記機器に適した調整パラメータに基づき演算された演算信号を、前記機器から受信する
情報処理方法。