JP2009212024A - 開閉装置 - Google Patents

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Akihiko Maruyama
昭彦 丸山
Yasuhiro Koga
康裕 古閑
Yuichi Yamaji
祐一 山地
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Abstract

【課題】投入状態が長期に亘って維持される開閉装置に対しても、可動部分がグリースの劣化や腐食などの原因によって固着することを未然に防ぐことができ、動作不良の発生を防止した開閉装置を提供する。
【解決手段】可動接点を操作するための駆動軸51を該駆動軸の軸方向に駆動する電磁操作装置5を有する開閉装置において、上記駆動軸を該駆動軸のまわりに所定角度回動する電磁回動機構6と、この電磁回動機構を動作させる回動操作手段である回動操作回路7とを備えたことを特徴とする。
【選択図】図1

Description

この発明は、電磁操作機構を用いた例えば真空遮断器などの開閉装置に関する。
従来の開閉装置として、操作回路によって制御される電磁操作機構の開極用コイルに電流を流すことにより、閉極状態を保持するための永久磁石による磁束を打ち消すと共に可動子を所定の方向に吸引することで可動子を駆動し、可動子に連結された開閉器の可動接点を開極するようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
電磁操作機構と開閉器の可動接点は、上記のように駆動軸などのリンク機構で機械的に連結されている。可動子や、駆動軸などの可動部分は、軸受によって動作をガイドされている。このような軸受部などの可動部と固定部が接触する部分には摩擦が発生し、可動部のスムースな動作を妨げる。このために、接触面にグリースを塗布したり、低摩擦部材の使用が行われている。グリースを用いるものでは経年的な特性の劣化、使用部材の腐食/さび、異物の混入などによって、摩擦力が増大する問題がある。開閉装置の動作の信頼性を確保するためには、定期的なメンテナンスを実施する必要があり、メンテナンスの際には、開閉装置を実際に動作させて、可動部の動作特性を計測し、可動部分の動作特性を示す数値が基準範囲内にあることを検証している。また、可動部分の動作特性を常時監視するセンサを取り付けて、開閉装置が運用されている中で動作する際の動作特性を計測する方式もある。
特開2007−149369号公報(図1〜図2、第5頁)
開閉装置の運用はユーザーの使用条件によって異なる。毎日、定期的に開閉動作を行うことが期待される開閉装置もあり、開閉装置の製品寿命に至るまでに数回しか動作しない開閉装置も存在する。定期的に開閉動作を行う開閉装置においては、上記のような常時監視センサの設置によって、開閉装置の駆動機構部の動作信頼性を検証することが可能である。一方、長期間に亘って動作することが無い開閉装置に関しては、定期的なメンテナンスを行って、動作の健全性を確認する必要があった。近年、メンテナンスの省力化、装置のライフ・サイクル・コストの低減の点から、TBM(Time Based Maintenance)方式、すなわち定期的なメンテナンスによる保守方式から、CBM(Condition Based Maintenace)方式、すなわち機器の状態を常時監視して異常兆候があった場合に保守を実施する方式の採用が進んでいるが、このような機器が存在することによってCBM方式への移行が妨げられていた。また、メンテナンスを実施してから、次のメンテナンスを実施するまでの期間は、動作の健全性を検証する方法が無いため、機器の異常状態となっても次回の定期メンテナンスの実施までは異常状態を把握することができないため、開閉装置の動作不良が発生する恐れがあった。
この発明は上記のような実情に鑑みなされたもので、投入状態が長期に亘って維持される開閉装置に対しても、可動部分がグリースの劣化や腐食などの原因によって固着することを未然に防ぐことができ、動作不良の発生を防止した開閉装置を提供することを目的としている。
この発明に関わる開閉装置は、駆動軸を該駆動軸の軸方向に駆動する電磁操作装置を有する開閉装置において、上記駆動軸を該駆動軸のまわりに所定角度回動する電磁回動機構と、この電磁回動機構を動作させる回動操作手段とを備えるようにしたものである。
この発明においては、駆動軸を回動する電磁回動機構と、この電磁回動機構を動作させる回動操作手段とを備えたことにより、駆動軸の回動操作を開閉装置本体の動作と独立して定期的に行うことが可能となり、長期に亘って投入状態を維持する必要がある開閉装置に対しても、可動部分がグリースの劣化や腐食などの原因によって固着することを未然に防ぐことができ、開閉装置の動作不良の発生を防ぐことができる。
実施の形態1.
図1〜図9はこの発明の実施の形態1に係る開閉装置としての電磁操作式真空遮断器を説明する図であり、図1は真空遮断器の開極状態を模式的に示す要部断面図、図2は図1の真空遮断器の投入状態を模式的に示す要部断面図、図3は図1に示された電磁操作装置の近傍を拡大して示す詳細断面図、図4は図3のIV−IV線における矢視断面図、図5は図4に示された可動子の安定状態を説明する図、図6は図1に示された電磁回動機構の近傍を拡大して示す詳細断面図、図7、図8は図1に示された電磁回動機構の動作説明図、図9は開極時の電磁回動機構の回動子位置を示す図である。図において、開閉装置1は所定の間隔を設けて対向配置された固定接点(固定電極)21及び可動接点(可動電極)22を有する真空バルブ2と、可動接点22に対して絶縁部材3及び接圧ばね4を介して連結された駆動軸51を有する電磁操作装置(アクチュエータ)5と、閉極状態のときに駆動軸51を該駆動軸51のまわりに回動し得る電磁回動機構6と、この電磁回動機構6を動作させる回動操作手段である回動操作回路7を備えている。
真空バルブ2は真空容器の中に固定接点21と可動接点22を収容したものである。なお、図1に示された真空バルブ2と電磁操作装置5及び電磁回動機構6との連結体は、例えば3相分、所定間隔を設けて並列に配列されている(詳細図示省略)。電磁操作装置5には、駆動電源50が接続されており、外部からの開閉指令信号に応じて駆動電源50から電磁操作装置5へ電流が供給されることで、後述する駆動軸51を図の上方、又は下方に駆動して真空バルブ2を開極状態から投入状態へ、又は投入状態から開極状態へ移行させるものである。なお、図1において電磁操作装置5は、開極位置で静止しており、接圧ばね4は伸張した状態である。開閉装置1の投入状態では、電磁操作装置5は図2に示すように投入位置で静止しており、真空バルブ2内部の固定電極21と可動電極22は電気的に接触した状態となっている。また、このとき接圧ばね4は、所定量だけ圧縮された状態となっており、可動電極22は接圧ばね4の反発力によって固定電極21に押し付けられている。
電磁操作装置5は図3に詳細に示すように、駆動軸51と、この駆動軸51に固定された磁性体からなる可動子52と、この可動子52を含む磁気回路を形成するように設けられたヨーク53と、上記磁気回路内に介装され可動子52を駆動軸51の軸方向に平行なZ方向に離間された第1の位置(例えば図1の開極位置)及び第2の位置(例えば図2の投入位置)の任意の一方に保持し得る永久磁石54と、可動子52が第1の位置にあるときに第2の位置に移動し得る第1のコイル(以下、ここでは投入操作コイルという)55aと、可動子52が第2の位置にあるときに第1の位置に移動し得る第2のコイル(以下、ここでは開極操作コイルという)55bを備えてなり、駆動軸51は図示省略している支持部材に対して回動及び軸方向の移動自在に保持され、支持部材との間にグリースなどの潤滑材(図示省略)が塗布されている。投入操作コイル55a、及び開極操作コイル55bは、駆動電源50にそれぞれ電気的に接続され、外部からの開極/投入の指令に応じて、駆動電源50から、投入操作コイル55a、又は、開極操作コイル55bに電流が通電される。
可動子52と永久磁石54の間には、可動子52の軸方向へのスムースな動作を可能とするために図4に示すように微小な隙間gが設けられている。この隙間gが大きくなると永久磁石54が発生する磁力の作用が低下し、電磁操作装置5の開状態、又は閉状態を保持する力が低下するため、隙間gは例えば0.1mm〜1mm程度に設定される。図4では、可動子52と永久磁石54の間には、隙間gが左右とも均等に開いているように図示されているが、実際には永久磁石54が発生する磁力のため、可動子52は、図5(a)、又は図5(b)のように、駆動軸51の回りに回動して、一端または両端が永久磁石54に当接した状態で静止する。図5(a)、図5(b)の状態は、何れも安定な状態であるが、外部から駆動軸51に回動力を与えることで、図5(a)から図5(b)へ、又は、図5(b)から図5(a)へ移行させることが可能である。例えば、可動子52と永久磁石54の隙間gが左右均等に0.5mmずつ設けられていたとして、可動子52が1辺50mmの正方形断面であるとした場合、図5(a)から図5(b)へ回動するためには、可動子52が駆動軸51の回りに約1.2度回動すれば良く、回動角は微小である。
上記電磁回動機構6は、電磁操作装置5の図1の下部側に付設されている。該電磁回動機構6は、この実施の形態1では真空バルブ2が図1に示すように投入状態にあるときに電磁操作装置5の駆動軸51を微小角度回動させるように構成された装置であり、図6に示すように、この例では棒状で中央部が円柱状に膨らんだハブ状に形成され、該中央部で駆動軸51に固定された回動子61と、この回動子61の各両端部一側にそれぞれ対向して配設された2つの磁極62a、62bと、これら磁極62a、62bを相互に連結するように配設され、中央部が回動子61の中央部のハブ状部分の方向に突出形成された固定ヨーク63と、2つの磁極62a、62bにそれぞれ卷回された回動用コイル64a、64bから構成されている。なお、上記回動子61、固定ヨーク63、及び磁極62a、62bは、例えば鉄材などの強磁性体で構成されている。
そして、上記回動用コイル64a、64bは、図1、図2のように回動操作回路7と電気的に接続されている。回動操作回路7は、外部からの指令に応じて、回動用コイル64a、又は、64bに通電を行う。図7(a)の状態において、回動用コイル64aに通電が行われると、磁極62a下面から、回動子61左端に入り、回動子61の中央部から固定ヨーク63を通って、磁極62aに戻る磁束が作られ、回動子61の左端部を磁極62aに吸引する電磁力が発生する。回動用コイル64aへの通電電流が十分大きくなると、可動子52が永久磁石54によって吸引されている力、及び、可動子52が電磁操作装置5のヨーク53に吸着されていることに起因する摩擦力に打ち勝って、図7(b)に示す位置に回動する。回動子61、駆動軸51、及び可動子52は相互に固定されているので、回動子61の回動に伴って可動子52も、図5(a)の状態から図5(b)の状態となる。なお、図5(b)の状態は、可動子52が永久磁石54に吸着された安定状態であるので、回動用コイル64aへの通電を終了しても、この状態が維持される。
同様に、図7(b)の状態において、回動用コイル64bに通電することで、回動子61を図7(a)の状態へ、可動子52を図5(a)の状態へ移行させることができる。要するに回動子61は可動子52と共に同一の駆動軸51に固定されているため、回動子61を図7(a)→図7(b)へ回動させたときに、電磁操作装置5の可動子52も、図5(a)→図5(b)へ回動される。なお、図7(a)では、回動子61の右端部と磁極62bが近接した配置となるが、回動子61と磁極62bとの間には、例えば1mm程度の隙間tが設けられており、電磁操作装置5を動作させたときに駆動軸51の上下方向への移動に伴って、回動子61も支障なく上下方向に移動できるように構成されている。同様に、図7(b)の状態では、回動子61の左端部と磁極62aが1mm程度の隙間tをあけて近接するように配置され、両者が当接しないように構成されている。
一方、回動操作回路7は、回動用コイル64a、又は64bへ通電した際の電流値を計測する電流センサ(図示省略)を備えており、該電流センサの検知出力は、信号処理回路71へ送られる。信号処理回路71では、回動操作回路7から送られた信号をデジタル値に変換し時系列データに変換する計測部、データを記憶するメモリ、及び計測された電流波形の時系列データを分析する信号処理部(何れも図示省略)などから構成され、通電時の通電電流のデジタル化された電流波形データを内部メモリに保存し、回動操作が完了した後に、蓄積されたメモリ上の電流波形データを読み出して、可動子52従って回動子61が回動を開始した時点の電流値、及び回動子61を回動させるために要した回動力の推定、これらの値から回動に要した回動力の算出と、過去の回動操作を行った際の回動力データの記録から、回動力の異常を判定する機能を有している。なお、真空バルブ2の可動接点22は、真空封止されたベローズ(図示せず)を介して真空バルブ2から支持されているため、可動接点22を軸の回りに回動させることができない。このため、電磁操作装置5側の駆動軸51が微小回動をしても、接圧ばね4から真空バルブ2側は回動しないように、接圧ばね4部分が回動摺動可能に構成されている(詳細図示省略)。
次に、上記のように構成された実施の形態1の動作について説明する。まず、電磁操作装置5による真空バルブ2の開閉動作について説明する。図1のように真空バルブ2が開極状態にあるときに、可動子52はヨーク53の下側に当接した状態で静止している。このとき、永久磁石54が作る磁束は、可動子52の上部側面から下面に抜けて、ヨーク53に入り再び永久磁石54に戻る経路を作り、可動子52を図中下方向に押し付ける力を発生する。これにより電磁操作装置5は図1の開極状態を保持している。次に、駆動電源50に投入指令が入力されると、駆動電源50から投入操作コイル55aに電流が通電される。このとき投入操作コイル55aが発生する磁束は、可動子52の下面から可動子52の上面に抜けて、ヨーク53を通り、再び可動子52に戻る経路を作り、可動子52の下面において、永久磁石54が発生する磁束と逆方向の磁束を発生させて相殺し、永久磁石54による可動子52の下方向への吸引力を失わせる。
さらに、投入操作コイル55aが発生する磁束により可動子52は上方向への吸引力を受けるため、可動子52は上方向に移動する。可動子52は上方向に移動した後、図2に示すようにヨーク53に当接した状態で静止する。このとき、永久磁石54が発生する磁束は、可動子52の下部側面から可動子52の上面に抜ける方向となり、投入操作コイル55aが作る磁束と同方向である。駆動電源50からの電流の供給が停止した後も、永久磁石54が作る磁束により、可動子52は図中上方向に吸引され、投入状態が保持される。また、投入状態から開極状態に移動する場合にも同様に、可動子52は下方向に移動して、開極状態を保持する。なお、上記説明では、便宜上、永久磁石54、投入操作コイル55aが作る磁束の方向を1方向に規定して説明したが、磁束の方向を全て逆にしても同様の動作が得られる。
次に、電磁回動機構6によって駆動軸51を軸θのまわりに回動させ、回動時の回動力を判定することによって、グリースの劣化や腐食などによる摩擦力の増大を検出し、開閉装置の異常状態を検知する動作について説明する。電磁回動機構6は、真空バルブ2が投入位置で静止しているときに、回動操作回路7によって好ましくは所定の時間間隔で定期的に動作させて、駆動軸51を時計回り、又は反時計回りに、1回、又は複数回動作させる。なお、電磁回動機構6は、軸方向の力は発生しないため、真空バルブ2は投入状態が維持される。具体的には、図7(a)から図7(b)の状態に回動させるために回動操作回路7から回動用コイル64aに電流を通電するときに、回動操作回路7からの通電を、例えば放電用コンデンサ(図示省略)の放電電流によって行う場合、もしも回動子61が動かなければ、放電電流の波形は放電用コンデンサ容量Cと回動用コイル64aの自己インダクタンスLによるLC放電となる。この場合、放電波形は図8の実線で示す曲線Aのようなサイン波形となる。ただし、厳密には回動用コイル64aやコンデンサ、配線などが抵抗値を持つために、サイン波に抵抗値Rによる減衰項が重畳された波形となる。
一方、同様の通電で回動子61が正常に回動する場合、放電開始初期の回動用コイル64a(または64b)への電流が少ない時点では、電磁回動機構6の回動力が、電磁操作装置5の永久磁石54の磁力、及び摩擦力よりも小さいため、回動子61は動作せず、電流波形は回動子61が動作しない場合のサイン波形と一致する。回動用コイル64aへの電流が十分大きくなり、回動子61が動作を開始して図7(a)→図7(b)へ回動すると、回動子61の左端部と磁極62aの隙間が小さくなり、回動用コイル64aの自己インダクタンスが次第に増大する。このために、電流波形は、図8の破線で示す曲線Bのように変化する。信号処理回路71は、回動子61が動作しない場合の理想的なサイン波形と、実際の電流波形を比較することで、回動子61の動作開始時点Pを検知し、この動作開始時点Pの電流値から回動子61を回動させるための回動力を算出する。
また、上記動作開始時点Pに応じて、曲線Bの電流波形のピーク電流値や、放電が完了する時間も変化するため、これらの値から回動力を推定することも可能である。また、電流波形がサイン波形であった場合には、回動操作に対して、回動子61が動作しなかったと判定することができる。ただし、図7(a)の状態から、回動用コイル64bに通電する場合は、回動子61は回動しない。このため、回動子61が回動操作を行ったにも関わらず、回動しなかった場合は、回動用コイル64a、64bへの通電を交互に行って、何れの場合にも回動動作しなかった場合について、回動しなかったと判定する。信号処理回路71では、このようにして算出された回動力を、予め決められた回動力の上限値と比較し、この上限値を超えた回動力が発生した場合、及び回動しなかった場合には異常と判断して警報信号を出力し、開閉装置の管理担当者に緊急のメンテナンスの実施を要求する。例えば、図示省略している操作盤に設けられた警報ランプやディスプレイなどの視覚表示手段、あるいはブザー、スピーカなどの聴覚報知手段等を適宜用いて知らせることができる。
また、回動操作回路7は、定期的、例えば1ヶ月に1回の割合で回動用コイル64a、64bへの通電を交互に行うようにプログラムすることが可能である。各動作時の電流波形は、信号処理回路71で処理され、回動力の算出を行う。この定期的に回動操作を行った際の回動力データは、信号処理回路71内部の図示省略しているメモリに保存される。信号処理回路71では、この時系列の回動力のトレンドデータを解析し、回動力が増加傾向にある場合には、回動力の上限値に達するまでの時間を推定する。回動力が上限に達するまでの時間が、決められた値以下になった場合、例えば、2年以下になった場合は、メンテナンス要求信号を出力し、開閉装置1の管理担当者に対して、例えば1年〜2年以内にメンテナンスを実施することを要求(報知)する。
上記のような回動操作を投入状態で定期的に行うことによって、長期に亘って投入状態を維持する必要がある開閉装置に対しても、可動部分がグリースの劣化や腐食などの原因によって固着することを未然に防ぐことができ、開閉装置の動作不良の発生を防ぐことができる。また、回動操作時の回動力を判定することによって、グリースの劣化や腐食などによる摩擦力の増大を自動的に検出することができ、開閉装置が異常状態に近づいた場合には、即座にメンテナンスを実施することが可能となる。これによって、開閉装置の動作不良の発生を防ぐことができる。また、回動操作時の回動力の変化傾向から、メンテナンスが必要な時期を予め推定することが可能となるため、開閉装置全体のメンテナンス計画を効率良く立案することが可能となり、メンテナンス・コストを低減することができる。
なお、上記説明では、開閉装置が投入状態にあることを前提として説明した。開極状態の場合は、図9のように、回動子61は固定ヨーク63や回動用コイル64a、64bから離れた位置に移動し、回動操作を行うことはできない。これは、開閉装置が投入状態で長期間に亘って動作を行わない場合において、電力系統の事故が発生しても開閉装置が正常に動作することを担保するためである。開閉装置が開極状態で長期間動かないケースでは、事故遮断などの緊急操作を行う必要がなく、投入動作前に動作試験を行うことが可能であるために、このような回動操作を行う必要はない。
上記説明したように、この実施の形態1によれば駆動軸51を該駆動軸のまわりに所定角度回動する電磁回動機構6と、この電磁回動機構を動作させる回動操作回路7とを備えたことにより、駆動軸51の微小回動操作を投入状態で定期的に行うことができるので、この操作によって、長期に亘って投入状態を維持する必要がある開閉装置に対して開閉装置を操作しなくても、軸受け部など可動部と固定部が接触している部分がグリースの劣化や腐食などの原因によって固着することを未然に防ぐことができ、開閉装置の動作不良の発生を防ぎ開閉装置の動作信頼性を高めることができる。また、電磁回動機構6に通電された電流を検知する電流センサと、この電流センサによって検知された信号から駆動軸51の回動操作力を推定する信号処理回路71を備えたことにより、通電された電流波形の分析により回動操作時の回動力の判定ができ、これによって、グリースの劣化や腐食などによる摩擦力の増大を自動的に検出することができ、開閉装置が異常状態に近づいた場合には、即座にメンテナンスを実施するように促すことが可能となる。これによって、開閉装置の動作不良の発生を防ぐことができる。
また、回動操作を投入状態で定期的に行うようにしたので、長期に亘って投入状態を維持する必要がある開閉装置に対しても、可動部分がグリースの劣化や腐食などの原因によって固着することを未然に防ぐことができ、開閉装置の動作不良の発生を防ぐことができる。さらに、電磁回動機構6に通電された電流を計測する電流センサと、この電流センサの信号を読み取り、電流信号から回動操作力を推定する信号処理回路71を備え、この信号処理回路は、回動力の時系列データから、電磁操作装置のメンテナンス時期を算出する機能を備えたことにより、回動操作時の回動力の変化傾向から、メンテナンスが必要な時期を予め推定することが可能となるため、開閉装置全体のメンテナンス計画を効率良く立案することが可能となり、メンテナンス・コストを低減することができる。また、回動操作時に回動操作回路7から通電された電流波形を分析することによって、回動に要した回動力が、突発的に異常値を示した場合や、軸が回動しなかった場合には、重故障信号を出力して、即時のメンテナンス実施を要求することにより、開閉装置の動作不良の発生を防ぐこともできる。
実施の形態2.
図10はこの発明の実施の形態2に係る開閉装置である電磁操作式真空遮断器の電磁回動機構を示す要部断面図である。この実施の形態2における電磁回動機構6Aは、回動子61の両側に磁気回路を設けたものであり、回動操作を行う固定ヨーク63、磁極62a、62b、回動用コイル64a、64bに対して、駆動軸51に回動対称に、固定ヨーク63A、磁極62c、62d、及び回動用コイル64c、64dが配設されている。駆動軸51を回動させるときには、回動用コイル64aと回動用コイル64d、又は回動用コイル64bと回動用コイル64cが同時に励磁される。その他の構成は実施の形態1と同様であるので説明を省略する。
上記のように構成された実施の形態2においては、駆動軸51を回動させるための磁気回路を回動子61の両側に設けたので、駆動軸51には、上下方向の力が発生せず、ほぼ回動力のみが駆動軸51に与えられ、実施の形態1よりも小さな電流で回動力を効率良く伝達することができる。このため、回動操作回路7(図1)から供給する通電電流量を低減することが可能で、回動操作回路7を小型化することができる。また、回動操作回路7を低コストに製作することができる。
実施の形態3.
この実施の形態3は、上記実施の形態1における図7に示された電磁回動機構6、又は上記実施の形態2における図10に示された電磁回動機構6Aに用いる磁気回路を構成する鋼板などの材料として、公知の渦電流の発生を抑制する部材を用いた他は実施の形態1又は実施の形態2と同様に構成したものである(図示省略)。以下、図7、図10を参照して説明する。上記のように構成された実施の形態3においては、回動子61、磁極62a、62b、62c、62d、固定ヨーク63、63A内の渦電流の発生が抑制され、回動用コイル64a、64b、64c、64dに流れる電流に対して、効率良く電磁力を発生することができる。このため、回動操作回路7から供給する通電電流量が低減され、回動操作回路7を小型化できる。また、回動操作回路7を低コストに製作することができる。また、渦電流による電磁力のばらつきが抑えられ、回動力の推定精度が向上するという効果も得られる。
実施の形態4.
図11は、この発明の実施の形態4に係る開閉装置である電磁操作式真空遮断器の電磁回動機構を示す要部断面図、図12はその変形例を示す断面図である。図11において、電磁回動機構6Bは、回動用コイル64a、64b、及び回動子61から構成され、磁極及び固定ヨークは省略されている。なお、回動子61は、導電性の高い非磁性金属、例えば、銅やアルミ等の金属からなる。
回動用コイル64a、又は64bに急峻に変化する電流を通電すると、回動子61の回動用コイルに対向する面には渦電流が流れ、回動用コイルが発生する磁束と逆向きの磁束が発生し、回動用コイルと回動子61の間に電磁反発力が発生する。この実施の形態4は、この電磁反発力を用いて、回動操作を行うようにしたものである。
この実施の形態4においては上記構成により、回動子61をアルミなどの軽量の金属、銅などの金属で構成することができるため、駆動軸51に固定された可動部の重量を低減することができる。また、渦電流は、回動用コイル64a、又は64bに対向する回動子61の表面にのみ発生するので、回動子61をパイプ状の構造とした場合には、さらに軽量に構成することができる。これにより、電磁操作装置5の駆動負荷が低減され、駆動電源50から電磁操作装置5に供給する通電電流量を低減することが可能で、駆動電源50を小型化することができる。また、駆動電源50を低コストに製作することができる。また、可動部重量が低減すると、動作完了時に発生する衝撃力が低減されるため、装置の機械的な寿命が向上する。なお、図11では、回動用コイル64a、64bを空芯としたが、図12の変形例に示すように、電磁回動機構6Cを、図11の回動用コイル64a、64bに対して、積層鋼板などの渦電流抑制効果を持った鉄心65a、65bを設けた構成とすることにより、より効率よく電磁反発力を発生させることができる。
実施の形態5.
この実施の形態5は、上記実施の形態1と同様のハード構成とし、図2に示す投入状態で電磁回動機構6により駆動軸51を微小回動させる際に、回動操作回路7から回動用コイル64a、又は64bへの通電に連動して、電磁操作装置5の投入用コイル55aに駆動電源50から通電を行うように構成したものである。以下、実施の形態1の図面(図1〜図7)を参照して説明する。
上記のような操作を行うことによって、実施の形態5においては駆動軸51を微小回動させるときの駆動軸51の投入保持力が増強され、電磁回動機構6の動作に伴って、駆動軸51に回動力以外の方向の力が発生して、永久磁石54による投入保持力が低下されるような現象が発生しても、投入状態を確実に維持することができ、開閉装置の信頼性を一層向上させることができる。
実施の形態6.
この実施の形態6は、上記実施の形態1と同様のハード構成において、信号処理回路71が、図1、図2に示す電磁操作装置5による真空バルブ2の操作に連動して、回動操作回路7から回動用コイル64a又は64bに電流を通電し、その通電波形から電磁操作装置5の駆動特性を算出するように構成したものである。なお、この時の通電電流は、回動子61が回動しない程度の小さい電流値とした。以下、実施の形態1の図面(図1〜図7)を参照して説明する。
この実施の形態6では上記のように電磁操作装置5に連動させて電磁回動機構6を動作させるようにしたことにより、電磁操作装置5の動作時には、駆動軸51は回動しないが、回動用コイル64a、又は64bと回動子61の相対的な位置が変化するため、回動用コイル64a、64bの自己インダクタンスは、電磁操作装置5の駆動軸51の動作に伴って変化する。信号処理回路71にて、電磁操作装置5の動作時の回動用コイル64a、64bに流れた電流波形を調べるように構成することにより、この自己インダクタンスの時間的な変化を抽出することができる。電磁操作装置5の位置と回動用コイル64a、64bの自己インダクタンスとの関係を予め求めておくことにより、この自己インダクタンスの時間的な変化情報から、電磁操作装置5の動作特性を求めることができる。この動作特性データから、電磁操作装置5が正常な動作を行っているかを推定し、異常時には警報出力を行うことにより、開閉装置1の動作不良を未然に防ぐことが可能となると共に、開閉装置のメンテナンス、コストを低減することができる。
なお、上記実施の形態ではこの発明を真空遮断器に適用した場合について説明したが、必ずしもこれに限定されるものではなく、他の開閉装置にも同様に適用できることは言うまでもない。また、駆動軸51を軸方向に動作させる可動子52の移動を投入操作コイル(第1のコイル)55aと、開極操作コイル(第2のコイル)55bの2つのコイルを用いて行う方式について例示したが、1つのコイルを用い、電流の向きを反転させることで行うように構成したものでもよい。同様に、回動子61を回動させるために回動用コイル64a、64bの複数のコイルを用いたが、1つのコイルで動作するように構成しても差し支えない。さらに、駆動軸51を微小角度(例えば1.5度)回動させるようにした場合について例示したが、回動角度はこれに限定されないことは当然であり、例えば軸θのまわりに自由に回転できるものであっても差し支えない。その他種々の変形や変更ができることは勿論である。
この発明の実施の形態1に係る開閉装置としての電磁操作式真空遮断器の開極状態を模式的に示す要部断面図。 図1に示された真空遮断器の投入状態を模式的に示す要部断面図。 図1に示された電磁操作装置の近傍を拡大して示す詳細断面図。 図3のIV−IV線における矢視断面図。 図4に示された可動子の安定状態を説明する図。 図1に示された電磁回動機構の近傍を拡大して示す詳細断面図であり、(a)は正面断面図、(b)は(a)のVIb−VIb線における矢視断面図。 図1に示された電磁回動機構の動作説明図。 図1に示された電磁回動機構の動作を説明する図であり、回動用コイルの電流波形の例である。 図1に示された電磁回動機構の開極時の回動子位置を示す図。 この発明の実施の形態2に係る開閉装置である電磁操作式真空遮断器の電磁回動機構を示す要部断面図。 この発明の実施の形態4に係る開閉装置である電磁操作式真空遮断器の電磁回動機構を示す要部断面図。 図11に示された電磁回動機構の変形例を示す断面図。
符号の説明
1 開閉装置、 2 真空バルブ、 21 固定接点(固定電極)、 22 可動接点(可動電極)、 3 絶縁部材、 4 接圧ばね、 5 電磁操作装置(アクチュエータ)、 50 駆動電源、 51 駆動軸、 52 可動子、 53 ヨーク、 54 永久磁石、 55a 投入操作コイル(第1のコイル)、 55b 開極操作コイル(第2のコイル)、 6、6A、6B、6C 電磁回動機構、 61 回動子、 62a、62b 磁極、 63 固定ヨーク、 64a、64b 回動用コイル、 7 回動操作回路、 71 信号処理回路、 g、t 隙間。

Claims (6)

  1. 駆動軸を該駆動軸の軸方向に駆動する電磁操作装置を有する開閉装置において、上記駆動軸を該駆動軸のまわりに所定角度回動する電磁回動機構と、この電磁回動機構を動作させる回動操作手段とを備えたことを特徴とする開閉装置。
  2. 上記電磁操作装置は、上記駆動軸に固定された磁性体からなる可動子と、この可動子を含む磁気回路を形成するように設けられたヨークと、上記磁気回路内に介装され上記可動子を上記軸方向に離間された第1の位置及び第2の位置の任意の一方に保持し得る永久磁石と、上記可動子をこの永久磁石の保持力に抗して上記第1の位置及び上記第2の位置の任意の一方に移動し得るコイルとを備えていることを特徴とする請求項1に記載の開閉装置。
  3. 上記回動操作手段は、所定の時間毎に上記駆動軸を回動させるようにしたものであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の開閉装置。
  4. 上記電磁回動機構に通電された電流を検知する電流センサと、この電流センサによって検知された信号から上記駆動軸の異常を検知する信号処理回路を備えたことを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載の開閉装置。
  5. 上記信号処理回路は、上記回動操作力の時系列データから上記電磁操作装置のメンテナンス時期を算出する機能を備えたことを特徴とする請求項4に記載の開閉装置。
  6. 上記信号処理回路は、上記電磁操作装置による上記駆動軸の駆動に連動して、上記電磁回動機構に電流を通電し、その通電波形から上記電磁操作装置の駆動特性を算出することを特徴とする請求項4に記載の開閉装置。
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