JP2009211798A - 薄膜磁気ヘッドの検査方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】薄膜磁気ヘッドの磁気的特性の検査方法において高い周波数の交番磁界を十分に模擬する。
【解決手段】(1)第1の磁界印加素子71の磁極先端部が対応する薄膜磁気ヘッドの磁界センサ部と対向し、かつ第2の磁界印加素子72の磁極先端部が対応するラッピングガイドLと対向するように、磁界印加バーB’をローバーBに対して対向配置し、(2)ラッピングガイドLに通電しながら、第2の磁界印加素子72からラッピングガイドLに磁界を印加し、少なくとも1つのラッピングガイドLの出力電圧が最大となるように磁界印加バーB’とローバーBとを相対移動させ、(3)磁界センサ部に通電しながら、第1の磁界印加素子71から薄膜磁気ヘッドの磁界センサ部に、磁界強度を変化させながら交番磁界を印加し、磁界強度と磁界センサ部の出力電圧との関係を得る。
【選択図】図7
【解決手段】(1)第1の磁界印加素子71の磁極先端部が対応する薄膜磁気ヘッドの磁界センサ部と対向し、かつ第2の磁界印加素子72の磁極先端部が対応するラッピングガイドLと対向するように、磁界印加バーB’をローバーBに対して対向配置し、(2)ラッピングガイドLに通電しながら、第2の磁界印加素子72からラッピングガイドLに磁界を印加し、少なくとも1つのラッピングガイドLの出力電圧が最大となるように磁界印加バーB’とローバーBとを相対移動させ、(3)磁界センサ部に通電しながら、第1の磁界印加素子71から薄膜磁気ヘッドの磁界センサ部に、磁界強度を変化させながら交番磁界を印加し、磁界強度と磁界センサ部の出力電圧との関係を得る。
【選択図】図7
Description
本発明は薄膜磁気ヘッドの磁気的特性の検査方法に関し、特に、薄膜磁気ヘッドをローバーの状態で検査する方法に関する。
従来、薄膜磁気ヘッドは以下のステップで製造されている。まず、ウエハ工程によって、基板上に磁界センサ部(読込部)及び書込部を含む積層体を形成する。次に、ウエハを切断してローバーに分離する。ローバー内には複数のスライダが長手方向に沿って配列しており、個々のスライダはウエハ工程で形成された薄膜磁気ヘッドを備えている。ローバーは媒体対向面を形成するラッピング工程における作業単位である。ラッピングが終わると、ローバーは個々のスライダに分離され、さらに、ヘッドジンバルアセンブリに組み立てられ、最終的にハードディスク装置に搭載される。
薄膜磁気ヘッドは、スライダとして完成し後工程に送り出される前に磁気的特性その他の検査を受ける。従来は、個々のスライダをスピンスタンドと呼ばれる専用の検査装置に取付け、一つひとつ検査を行っていた。この方法によれば、実際にハードディスク装置に搭載されたのと同じ環境でスライダの検査が可能であるが、検査効率の観点から不利であった。そのため、大量に生産されるスライダを一括して検査する方法が提案されている。
特許文献1には擬似静特性テスト(QST:Quasi Static Test)と呼ばれる検査方法が開示されている。これは、ハードディスク装置としての最終組立て前に実際の使用環境を模擬して行うテストであり、具体的には、記録媒体からの磁界の代わりに、磁界発生手段で発生させた交番磁界(交番的に変化する磁界をいう。)を外部から印加して、複数のスライダの各種磁気特性をローバーの状態で一括して測定、評価するものである。磁界発生手段としてはヘルムホルツコイルが使われる。ヘルムホルツコイルに高周波の交流電流を印加することによって、ヘルムホルツコイルからは交番磁界が発生する。ローバーはヘルムホルツコイルの前面にセットされ、磁界センサ部には交番磁界が印加される。交番磁界は、磁界センサ部が実際の使用環境で回転する磁気ディスクから受ける、信号の「0」、「1」に対応した変動磁界を模擬している。磁界センサ部にはプローブを介してセンス電流が流される。磁界の強度を変えていくと、磁気抵抗効果によって、磁界センサ部の出力電圧が変化する。このようにして外部磁界と信号出力(出力電圧)との関係が得られる。磁界センサ部の磁気的特性はこのデータを利用して評価され、不良のスライダが後工程に流れることが防止される。
特開平06−150264号明細書
近年、ハードディスク装置の超高記録密度化が進んでいる。超高記録密度化を達成するためには超高線記録密度化が不可欠である。超高線記録密度化は、薄膜磁気ヘッドが受ける交番磁界の高周波数化を意味する。従って、超高線記録密度化を実現する薄膜磁気ヘッドの検査は、超高周波数の交番磁界環境下で実施されることが望ましい。しかし、従来用いられていたヘルムホルツコイルは、その特性上交番磁界の高周波数化には限界がある。ヘルムホルツコイルの場合、数百kHzのオーダーの周波数は実現可能であるが、1MHZzを超える周波数の実現は困難である。一方、ハードディスク装置における実際の使用環境下では数MHzのオーダーの交番磁界が生じており、もはや従来のQSTでは、実際の使用環境を十分に模擬することが困難となっている。スピンスタンドを用いれば、このような高周波数も実現可能であるが、検査の非効率化につながる。
本発明の目的は、高い周波数の交番磁界を十分に模擬することができ、かつ効率的な、薄膜磁気ヘッドの磁気的特性の検査方法を提供することである。本発明の他の目的は、かかる磁気ヘッドの磁気的特性の検査方法に好適に用いることのできる磁界印加バーを提供することである。
本発明の一実施態様によれば、薄膜磁気ヘッドの磁気的特性をローバーの状態で測定する方法は、薄膜磁気ヘッドが形成されたスライダが長手方向に沿って複数個設けられ、隣接スライダ間またはローバーの端部の少なくとも2つの位置に磁気抵抗効果を奏するラッピングガイドが設けられたローバーを準備するステップと、各薄膜磁気ヘッドに対応する第1の磁界印加素子と、少なくとも2つのラッピングガイドに対応する少なくとも2つの第2の磁界印加素子とを備えた磁界印加バーを準備するステップと、第1の磁界印加素子の磁極先端部が対応する薄膜磁気ヘッドの磁界センサ部と対向し、かつ第2の磁界印加素子の磁極先端部が対応するラッピングガイドと対向するように、磁界印加バーをローバーに対して対向配置する第1の位置決めステップと、第1の位置決めステップの後に、ラッピングガイドに通電しながら、第2の磁界印加素子からラッピングガイドに磁界を印加し、少なくとも1つのラッピングガイドの出力電圧が最大となるように磁界印加バーとローバーとを相対移動させる第2の位置決めステップと、第2の位置決めステップの後に、磁界センサ部に通電しながら、第1の磁界印加素子から薄膜磁気ヘッドの磁界センサ部に、磁界強度を変化させながら交番磁界を印加し、磁界強度と磁界センサ部の出力電圧との関係を得る測定ステップと、を有している。
このような検査方法によれば、第1の磁界印加素子の磁極先端部が薄膜磁気ヘッドの磁界センサ部と対向するように配置され、個々の薄膜磁気ヘッドの磁界センサ部には、対応する第1の磁界印加素子から個別に磁界が印加される。すなわち、個々の第1の磁界印加素子は対応する薄膜磁気ヘッドの磁界センサ部のみに所要の磁界を印加すればよく、しかも磁界印加バーはローバーと対向配置されるので、発生する磁界は小さなもので十分である。このため、極めて高周波の交番磁界を容易に発生させることができ、従来のような大型のヘルムホルツコイルを用いた場合と比べて、ハードディスク装置における実際の使用環境下で生じる交番磁界をより高精度で模擬することが可能となる。
また、この検査方法は、2種類の位置決めステップを有している。第1の位置決めステップは、磁界印加バーをローバーに対して対向配置する、いわば機械的精度の範囲内での位置決めステップである。第1の位置決めステップによって、第1の磁界印加素子と対応する薄膜磁気ヘッドの磁界センサ部との位置関係を大雑把に調整することができる。第2の位置決めステップはラッピングガイドを利用した位置決めステップであり、磁気的性質を利用したより高精度な位置決めステップである。ここで、ラッピングガイドとは、ラッピング工程において、特に磁界センサ部の素子高さを所定の範囲に収めるために設けられている素子である。ラッピングガイドは、ラッピングの進行と共に素子高さが減少し、電気抵抗が増加する性質を利用して、電気抵抗をモニターしながらラッピング量を制御するために用いられる。本実施形態ではラッピングガイドは磁気抵抗効果を奏する材料で構成されている。このため、第2の磁界印加素子からラッピングガイドに磁界を印加し、磁界印加バーとローバーとを相対移動させると、ラッピングガイドが受ける磁界強度が磁気抵抗効果によって変化し、ラッピングガイドの出力電圧が変化する。この出力電圧が最大となるように磁界印加バーとローバーとの相対位置関係を調整することによって、ラッピングガイドは第2の磁界印加素子にほぼ正対する位置に位置決めされる。この結果、第1の磁界印加素子も薄膜磁気ヘッドの磁界センサ部にほぼ正対する位置に位置決めされる。
このように、第1の磁界印加素子と薄膜磁気ヘッドの磁界センサ部との位置合わせが重要なのは、磁界センサ部のトラック幅方向寸法が極めて小さいことによる。近年の薄膜磁気ヘッドにおいては、トラック幅方向寸法は数十nmオーダーであり、第1の磁界印加素子と薄膜磁気ヘッドの磁界センサ部との位置合わせは通常の機械的方法では不可能に近い。これは、ヘルムホルツコイルを用いて磁界を一括して印加する技術では生じなかった課題である。しかし、本実施態様の検査方法はこのような要求にも容易に対処することができる。
本発明の他の実施態様によれば、薄膜磁気ヘッドの磁気的特性をローバーの状態で測定する方法は、第2の位置決めステップの後であって測定ステップの前に、磁界センサ部に通電しながら、第1の磁界印加素子から薄膜磁気ヘッドの磁界センサ部に磁界を印加し、磁界センサ部の出力電圧が最大となるように磁界印加バーとローバーとを相対移動させる第3の位置決めステップを有している。一般に、磁界センサ部の寸法はラッピングガイドの寸法と比べて大幅に小さい。このため、第2の位置決めステップと同様のプロセスを磁界センサ部と第1の磁界印加素子とを用いて行うことによって、第1の磁界印加素子を薄膜磁気ヘッドの磁界センサ部に、より正確に、ほぼ正対する位置に位置決めすることが可能となる。
本発明の他の実施態様によれば、磁界印加バーは、薄膜磁気ヘッドが形成されたスライダが長手方向に沿って複数個設けられ、隣接スライダ間またはローバーの端部の少なくとも2つの位置に磁気抵抗効果を奏するラッピングガイドが設けられたローバーの状態で、薄膜磁気ヘッドの磁気的特性を測定するために用いられる。磁界印加バーは、磁界印加バーをローバーに対して対向配置したときに、磁極先端部が薄膜磁気ヘッドの磁界センサ部と対向するように位置が決められた複数の第1の磁界印加素子と、磁極先端部が少なくとも2つのラッピングガイドと対向するように位置が決められた少なくとも2つの第2の磁界印加素子と、を有している。第1の磁界印加素子は、対向する薄膜磁気ヘッドの磁界センサ部に磁界強度を変化させながら交番磁界を印加することができ、第2の磁界印加素子は対向する前記ラッピングガイドに磁界を印加することができる。
本発明によれば、高い周波数の交番磁界を十分に模擬することができ、かつ効率的な、薄膜磁気ヘッドの磁気的特性の検査方法を提供することができる。本発明によれば、かかる磁気ヘッドの磁気的特性の検査方法に好適に用いることのできる磁界印加バーを提供することができる。
まず、本発明が対象とする薄膜磁気ヘッドの概要を説明する。本発明は磁気抵抗効果を用いた任意の素子を備える薄膜磁気ヘッドに適用することができる。これらの素子の一例として、例えば、膜面に平行にセンス電流を流すCIP(Current in Plane)−GMR素子、膜面に垂直にセンス電流を流すCPP(Current Perpendicular to the Plane)−GMR素子及びTMR(Tunnel Magneto-resistance)素子が挙げられる。ここでは、本発明が特に好適に適用可能な薄膜磁気ヘッドの例について述べる。この薄膜磁気ヘッドの磁気抵抗効果素子においては、後述するように、外部磁界に応じて磁化方向が変化する上下方向に積層された一対の磁性膜と、この一対の磁性膜に挟まれた中間層と、が磁界センサ部として機能する。
図1は、このような薄膜磁気ヘッドの要部断面図である。図2は、図1に示す薄膜磁気ヘッドの磁気抵抗効果素子の、媒体対向面側から見た要部斜視図である。図3は、図2の部分拡大斜視図である。媒体対向面とは、薄膜磁気ヘッドの、記録媒体との対向面である。
薄膜磁気ヘッド9は、基板91上に形成された、磁気抵抗効果素子(磁界検出素子)1と書込部2とを有している。磁気抵抗効果素子1は、多数の層が積層されたMR(Magneto Resistive)積層体5と、MR積層体5を膜面直交方向(積層方向)Pに挟むように設けられた上部シールド電極層3及び下部シールド電極層4と、を有している。MR積層体5の先端部は媒体対向面ABSに露出して配置されている。MR積層体5は、上部シールド電極層3と下部シールド電極層4との間にかかる電圧によって、センス電流が膜面直交方向Pに流れるようにされている。MR積層体5と対向する位置における記録媒体(図示せず)の磁界は、記録媒体の回転につれて変化する。この磁界の変化は磁気抵抗効果に基づく電気抵抗変化として検出される。磁気抵抗効果素子1は、この原理を利用して、記録媒体に書き込まれた磁気情報を読み出す。MR積層体5の媒体対向面から見た裏面には、MR積層体5にバイアス磁界を印加するバイアス磁性層6が設けられている。磁気抵抗効果素子1の主要部の膜構成を表1に示す。
図2,3を参照すると、MR積層体5は、外部磁界に応じて磁化方向が変化する一対の上下磁性層(積層下側に設けられた第1の磁性層54、及び積層上側に設けられた第2の磁性層56)を備えている。第1、第2の磁性層54,56の間にはZnOまたはMgOからなる中間層55が設けられている。第1の磁性層54と下部シールド電極層4の間には、交換結合伝達層51と、ギャップ調整層52と、交換結合調整層53とが設けられている。同様に、第2の磁性層56と上部シールド電極層3の間には、交換結合調整層57と,ギャップ調整層58と、交換結合伝達層59と、が設けられている。交換結合伝達層51,59は膜厚0.8nm程度のルテニウム(Ru)からなる。ギャップ調整層52,58は膜厚1nm程度のCoFeからなる。交換結合調整層53,57は膜厚0.9nm程度の銅(Cu)からなる。
上部シールド電極層3と下部シールド電極層4とは、互いに反平行の向きに磁化されている。ここで、反平行とは、磁界の向きが平行で、かつ逆方向を向いていることをいう。上部シールド電極層3及び下部シールド電極層4の磁化方向を反平行の向きに固定する方法は様々であるが、本実施形態では、図2に示すように、上部シールド電極層3及び下部シールド電極層4をトラック幅方向Tに細長い形状として、形状異方性効果を用いて単磁区化し、磁化方向が反平行となるようにしている。この他、反強磁性層を上部シールド電極層3及び下部シールド電極層4に隣接して設け、反強磁性結合を利用して上部シールド電極層3及び下部シールド電極層4の磁化方向を固定してもよい。
第1の磁性層54は、第1の交換結合伝達層51、第1のギャップ調整層52、及び第1の交換結合調整層53を介して上部シールド電極層3との間で正の交換結合をしている。この結果、図2,3に矢印で示すように、第1の磁性層54は、下部シールド電極層4と同じ方向に磁化されようとする力を受ける。同様に第2の磁性層56は、第2の交換結合伝達層59、第2のギャップ調整層58、及び第2の交換結合調整層57を介して上部シールド電極層3との間で正の交換結合をしている。この結果、図2,3に矢印で示すように、第2の磁性層56は、上部シールド電極層3と同じ方向に磁化されようとする力を受ける。
図4は、第1及び第2の磁性層の磁化を示す模式図である。バイアス磁性層6は、上述のように、媒体対向面ABSから見てMR積層体5の裏面側に設けられており、図中黒塗り矢印で示すように、媒体対向面ABSと直交する方向に磁化されている。この結果、第1及び第2の磁性層54,56は媒体対向面ABSと直交する方向の磁界を受ける。第1及び第2の磁性層54,56はこのようにして、上部シールド電極層3及び下部シールド電極層4と交換結合するとともに、バイアス磁性層6からのバイアス磁界を受ける。この結果、第1及び第2の磁性層54,56の磁化方向は、図4の実線矢印で示すように、破線矢印から互いに逆回りの方向に所定の角度θだけ回転し、理想的には互いに直交する。
この状態で、図中白抜き矢印で示すように外部磁界が印加されると、第1及び第2の磁性層54,56の磁化方向は、外部磁界の向きに応じて、互いに逆回りの方向に回転する。具体的には、図中A方向に外部磁界が印加されると、第1及び第2の磁性層54,56の磁化方向は図中a方向に回転し、図中B方向に外部磁界が印加されると、第1及び第2の磁性層54,56の磁化方向は図中b方向に回転する。このようにして、外部磁界に応じて第1及び第2の磁性層54,56の磁化方向のなす角度が変化し、磁気抵抗効果に基づき、センス電流の抵抗値が変動する。これによって、磁気抵抗効果素子1は外部磁界の向き及び強度を検出することができる。
このように、本実施形態の磁気抵抗効果素子1においては、外部磁界に応じて磁化方向が変化する一対の磁性膜54,56とこれらに挟まれた中間層55とが磁界センサ部7として機能する。中間層55として金属またはZnO等の半導体を用いた場合、磁気抵抗効果素子1はCPP−GMR素子として機能し、MgO等の絶縁体を用いた場合、磁気抵抗効果素子1はTMR素子として機能する。
再び図1を参照すると、磁気抵抗効果素子1の上には、スパッタ法等によって形成された素子間シールド層8を介して書込部2が設けられている。書込部2はいわゆる垂直磁気記録用の構成を有している。書込のための磁極層は主磁極層21と補助磁極層22とからなる。これらの磁極層21,22は、フレームめっき法等によって形成される。主磁極層21は、FeCoから形成され、媒体対向面ABSにおいて、媒体対向面ABSとほぼ直交する向きで露出している。主磁極層21の周囲には、絶縁材料からなるギャップ層24の上を延びるコイル層23が巻回しており、コイル層23によって主磁極層21に磁束が誘導される。コイル層23は、フレームめっき法等によって形成される。この磁束は主磁極層21の内部を導かれ、媒体対向面ABSから記録媒体に向けて放出される。主磁極層21は、媒体対向面ABS付近で、膜面直交方向Pだけでなく、トラック幅方向T(図1において、紙面直交方向)にも絞られており、高記録密度化に対応した微細で強い書込磁界を発生する。
補助磁極層22は主磁極層21と磁気的に結合した磁性層である。補助磁極層22はNi,Fe,Coのいずれか2つまたは3つからなる合金などで形成された、膜厚約0.01μm〜約0.5μmの磁極層である。補助磁極層22は主磁極層21から分岐して設けられ、媒体対向面ABS側ではギャップ層24及びコイル絶縁層25を介して主磁極層21と対向している。補助磁極層22の媒体対向面ABS側の端部は、補助磁極層22の他の部分より層断面が広いトレーリングシールド部を形成している。このような補助磁極層22を設けることによって、媒体対向面ABS近傍において、補助磁極層22と主磁極層21との間の磁界勾配がより急峻になる。この結果、信号出力のジッタが小さくなり、読み出し時のエラーレートを小さくすることができる。
以上説明した磁気抵抗効果素子1と書込部2が設けられていない部分には絶縁層92,93が形成されている。
次に、図5のフロー図を参照して、以上説明した薄膜磁気ヘッドの磁気的特性をローバーの状態で測定する方法を説明する。なお、以下に説明する測定方法は、薄膜磁気ヘッドの製造プロセスの一部として行われる。
(ステップS1)まず、薄膜磁気ヘッド9が形成されたスライダSが長手方向xに沿って複数個設けられたローバーBを準備する。ローバーBはウエハに多数形成されたスライダSの一部を切り出して作成される。図6は、スライダが多数形成されたローバーの斜視図である。図7は、ローバーの、後述する磁界印加ローバーと対向配置された状態での、概ね積層方向上面から見た概念図である。ただし、同図において、実際にローバーの上面に設けられているのはパッドだけである。その他の素子やコイルは便宜上ローバーの上面に表示しているが、実際にはローバーの内部にある。各スライダSには薄膜磁気ヘッド9の磁気抵抗効果素子1が形成されている。磁気抵抗効果素子1はウエハを切断したときに切断面に現れるように形成されており、この切断面を研磨面LSとして研磨することによって所定の素子高さMRH(図1参照)に仕上げられる。図を見やすくするため、ローバーBにはスライダSは12個しか設けられていないが、スライダSの数は任意であって、実際には50〜100個のスライダが設けられる場合が多い。図7を参照すると、スライダSの積層方向上面には、磁気抵抗効果素子1に接続された、センス電流印加用のパッド11a,11bと、書込素子2に接続された、コイル24への電流印加用のパッド12a,12bが設けられている。パッド12a,12bに隣接してスライダSの内部を局所的に加熱するヒータコイル用のパッド12c,12dが設けられている。パッド12c,12dの加熱によって、磁気抵抗効果素子(磁界検出素子)1と書込部2とが媒体対向面ABSにおいて数nm程度突出し、記録媒体との磁気的スペーシングを減少させることが可能となる。
一列に配列されたスライダSの間には素子間ギャップGが設けられている。素子間ギャップGは、ローバーBを各スライダSに分離する際の切り代としても利用される。素子間ギャップGには、研磨面LSに面してラッピングガイドLが設けられている。図示のローバーBでは、ラッピングガイドLは、ローバーBの各隣接スライダS間とローバーBの両端に設けられているが、ラッピングガイドLは隣接スライダS間及びローバーBの端部のうちの少なくとも2箇所に設けられていればよい。
ラッピングガイドLは一般にRLG(Resistance Lapping Guide)素子、またはELG(Electric Lapping Guide)素子と呼ばれ、センス電流が膜面に平行に流れるCIP素子の膜構成を有している。膜構成はMR積層体5と同様でも構わないが、センス電流は上下のシールド電極層ではなく、MR積層体5のトラック幅方向両側に設けられた一対のリード電極膜15a,15bから供給される構成となっている。ラッピングガイドLは磁気抵抗効果を奏し、ウエハ工程でMR積層体5と相前後して作成される。ラッピングガイドLの両端14a,14bは、素子間ギャップGの積層方向上面に設けられたパッド13a,13bと電気的に接続されており、パッド13a,13bにプローブを当接させることによって、ラッピングガイドLの両端14a,14bにかかる電圧を検出することができる。本ステップの前に行われるラッピング工程において、ラッピングガイドLに通電しながら研磨面LSをラッピングすると、MR積層体5とともにラッピングガイドLも研磨され、ラッピングガイドLの素子高さLH(図7参照)が減少し、電気抵抗が増加する。あらかじめラッピングガイドLの電気抵抗と研磨量との相関を求めておけば、所定の素子高さMRH(図7参照)を有するMR積層体5を得ることができる。ラッピングガイドLはラッピング時に電気抵抗の変化を検出するのが基本的な機能であるため、極端な微細構造とする必要はない。通常、ラッピングガイドLの長手方向xの幅は数μmのオーダーである。
(ステップS2)次に、各薄膜磁気ヘッド9に対応する第1の磁界印加素子71と、ラッピングガイドLに対応する少なくとも2つの第2の磁界印加素子72とを備えた磁界印加ローバーB’を準備する。後述するように、磁界印加ローバーB’をローバーBに対して対向配置したときに、第1の磁界印加素子71は薄膜磁気ヘッド9の磁界センサ部7と対向するように位置が決められており、第2の磁界印加素子72はラッピングガイドLと対向するように位置が決められている。第1の磁界印加素子71は全てのスライダSの数だけ設けられている。磁界印加ローバーB’はローバーBと同様、ウエハ工程によって形成されており、第1の磁界印加素子71及び第2の磁界印加素子72は極めて高い精度で位置決めされる。また、磁界印加ローバーB’はローバーBと同様にラッピングされて、ローバーBとの対向面が形成されている。
第2の磁界印加素子72は全てのラッピングガイドLと対向して設けられる必要はない。しかし、磁界印加ローバーB’はローバーBに対してバーの長手方向xに正確に位置決めされる必要があり、さらに、長手方向xと直交する膜面直交方向yにも正確に位置決めされる必要がある。このため、ローバーBと磁界印加ローバーB’との相対位置関係は少なくとも2箇所で監視する必要がある。この目的を達成するため、第2の磁界印加素子72は、ローバーBの両端のラッピングガイドLと対向するように、少なくとも磁界印加ローバーB’の両端に一つずつ設けられているのが望ましい。しかし、上記目的を達成可能であれば、第2の磁界印加素子72はスライダS間にあるラッピングガイドLと対向する位置に設けられていてもよい。さらに、位置決めの精度を高めるために、3つ以上の第2の磁界印加素子72を設けてもよい。例えば、磁界印加ローバーB’の両端の他、磁界印加ローバーB’を長手方向xに三等分して得られる2つの中間点の計4点(図6にP1〜P4として示す。)に第2の磁界印加素子72を設けてもよい。
第1の磁界印加素子71は、薄膜磁気ヘッド9の書込部2と同じ構造を有している。従って、詳細な説明は省略するが、磁極層は主磁極層21’と補助磁極層22’とからなり、主磁極層21’は、媒体対向面ABSにおいて、媒体対向面ABSとほぼ直交する向きで露出している。主磁極層21’の周囲には、絶縁材料からなるギャップ層24’の上を延びるコイル層23’が巻回しており、コイル層23’によって主磁極層21’に磁束が誘導される。トラック幅方向の幅が数十nmという極端に小さい磁界センサ部7に磁界を集中させるため、第1の磁界印加素子71のトラック幅方向(方向xと一致する。)の幅は、薄膜磁気ヘッド9の書込部2と同様、数十nm程度に絞られている。また、膜面直交方向Pに関しても磁界センサ部7に磁界を集中印加するため、膜面直交方向Pの幅も磁界センサ部7と同程度とすることが望ましい。これによって、上下シールド層3,4に大きな磁界が印加されることが防止される。第1の磁界印加素子71は、対向する薄膜磁気ヘッド9の磁界センサ部7に磁界強度を変化させながら交番磁界を印加することができる。交番磁界の周波数は、ハードディスク内における実際の環境に応じて適宜決めることができる。
第2の磁界印加素子72は、対向するラッピングガイドLに磁界を印加する。第2の磁界印加素子72は、薄膜磁気ヘッド9の書込部2と同じ構造を有している。従って、詳細な説明は省略するが、磁極層は主磁極層21”と補助磁極層22”とからなり、主磁極層21”は、媒体対向面ABSにおいて、媒体対向面ABSとほぼ直交する向きで露出している。主磁極層21”の周囲には、絶縁材料からなるギャップ層24”の上を延びるコイル層23”が巻回しており、コイル層23”によって主磁極層21”に磁束が誘導される。長手方向xの幅が数μmであるラッピングガイドLに有効に磁界を印加するため、長手方向xの幅はラッピングガイドLと同様、数μm程度の幅であることが望ましい。
本実施形態では、第1、第2の磁界印加素子71,72は、いわゆる垂直磁気記録方式の書込磁極層を備えているが、勿論、水平磁気記録方式の磁極構造を備えていてもよい。
(ステップS3)次に、第1の磁界印加素子71の磁極先端部73が対応する薄膜磁気ヘッド9の磁界センサ部7と対向し、かつ第2の磁界印加素子72の磁極先端部74が対応するラッピングガイドLと対向するように、磁界印加ローバーB’をローバーBに対して対向配置する(第1の位置決めステップ)。図8Aは、第1の磁界印加素子71が対応する薄膜磁気ヘッド9の磁界センサ部7と対向している、図7の8A−8A線に沿った断面図である。図8Bは、第2の磁界印加素子72が対応するラッピングガイドLと対向している、図7の8B−8B線に沿った断面図である。これらの図では磁界印加ローバーB’はローバーBから離れているが、密着していてもよい。また、ローバーBの媒体対向面を保護するため、これらの図のように磁界印加ローバーB’とローバーBとの間に微小ギャップが設けられていてもよい。
以下の各位置決めステップS3,S4,S5は、ローバーBの長手方向x及び膜面直交方向y方向と直交する方向をz方向としたときに、磁界印加ローバーB’とローバーBとの相対移動が、長手方向xの直線移動、膜面直交方向yの直線移動、及びz方向(z軸)周りの回転運動として行われるようにされている。このような運動を実現する手段は、ローバーBを適宜の固定手段に固定し、磁界印加ローバーB’を上記3自由度の運動の可能なx−yステージに固定するなど、適宜に選定することができる。z方向周りの回転運動は、ローバーBと磁界印加ローバーB’とが互いに斜めに取り付けられる場合もあるため、これを修正するために行われる。しかし十分な取付け精度が保証されており、z方向周りの回転角度の調整が不要な場合は、x方向の直線移動及びx方向の直線移動のみの調整でもかまわない。
本ステップにおける位置決めは、磁界印加ローバーB’をローバーBに対して大雑把に位置決めするものである。一例として、機械的手段あるいは光学的手段によって監視しながらローバーB’とローバーBの端部同士を合わせる方法が含まれる。位置決め精度はいわば機械的精度の範囲内に留まり、十分ではないが、簡易な手段で概略の位置決めが可能であり、後述する第2、第3の位置決めステップをより効率的に行うことができる。
(ステップS4)次に、第1の位置決めステップS3の後に、ラッピングガイドLに通電しながら、第2の磁界印加素子72からラッピングガイドLに磁界を印加し、少なくとも1つのラッピングガイドLの出力電圧が最大となるように磁界印加ローバーB’とローバーBとを相対移動させる(第2の位置決めステップ)。上述のように、ラッピングガイドLは磁気抵抗効果を奏する磁性膜を備えており、ラッピングガイドLに磁界を印加すると、磁界の強度に応じてセンス電流の電気抵抗が変化し、ラッピングガイドLの両端14a,14b間に生じる電圧が変動する。図9Aは、磁界印加ローバーB’をx方向に動かしたときのラッピングガイドLの出力電圧の変化を示す概念図である。磁界印加ローバーB’をx方向に動かし、第2の磁界印加素子72がx方向においてほぼラッピングガイドLと正対する位置に来ると、最大の磁界がラッピングガイドLに印加され、ラッピングガイドLの出力電圧も最大となる。同様に、図9Bは、磁界印加ローバーB’をy方向に動かしたときのラッピングガイドLの出力電圧の変化を示す概念図である。磁界印加ローバーB’をy方向に動かし、第2の磁界印加素子72がy方向においてほぼラッピングガイドLと正対する位置に来ると、最大の磁界がラッピングガイドLに印加され、ラッピングガイドLの出力電圧も最大となる。x方向の調整とy方向の調整はいずれを先に行ってもよいが、両方向の調整を行い、ともにラッピングガイドLの出力電圧が最大となるように位置調整が完了すると、第2の磁界印加素子72はほぼラッピングガイドLと正対する位置に来る。
以上のプロセスにより、調整対象となったラッピングガイドLの設けられている位置では、第2の磁界印加素子72はほぼ当該ラッピングガイドLと正対する位置に来る。しかし、実際には磁界印加ローバーB’とローバーBとが互いに対して斜めになっている可能性もある。そこで、一つのラッピングガイドLを基準として位置調整を行った後に、別のラッピングガイドLを基準として位置調整を行うことが望ましい。磁界印加ローバーB’を調整済みのラッピングガイドLの位置を中心として回転させることによって、磁界印加ローバーB’とローバーBとが平行になるように磁界印加ローバーB’の姿勢(回転角度)を調整することができる。勿論、複数のラッピングガイドLの出力電圧を同時にモニターしながら、x方向及びy方向の直線運動、並びにz軸周りの回転運動による位置調整を行うことも可能である。
このステップによって、第1の位置決めステップS3を上回る精度で、磁界印加ローバーB’とローバーBとの位置決めが可能となる。このステップの精度はラッピングガイドLの幅やラッピングガイドLの磁気抵抗変化率にも依存するが、このステップで十分な位置決め精度が得られる場合には次の第3の位置決めステップS5を省略して、測定ステップS6に進むこともできる。
(ステップS5)次に、磁界センサ部7に通電しながら、第1の磁界印加素子71から薄膜磁気ヘッド9の磁界センサ部7に磁界を印加し、磁界センサ部7の出力電圧が最大となるように磁界印加ローバーB’とローバーBとを相対移動させる(第3の位置決めステップ)。手順自体は第2の位置決めステップS4と同様であるが、ラッピングガイドLの出力電圧ではなく、磁界センサ部7の出力電圧を用いる点がステップS4と異なっている。具体的には、磁界印加ローバーB’をx方向に動かし、第1の磁界印加素子71がx方向においてほぼ、磁界センサ部と正対する位置に来ると、最大の磁界が磁界センサ部7に印加され、磁界センサ部7の出力電圧も最大となる。さらに、磁界印加ローバーB’をy方向に動かし、第1の磁界印加素子71がy方向においてほぼ磁界センサ部と正対する位置に来ると、最大の磁界が磁界センサ部7に印加され、磁界センサ部7の出力電圧も最大となる。x方向の調整とy方向の調整はいずれを先に行ってもよいが、両方向の調整を行い、ともに磁界センサ部7の出力電圧が最大となるように位置調整が完了すると、第1の磁界印加素子71はほぼ磁界センサ部7に正対する位置に来る。
図10Aは、磁界印加ローバーB’をx方向に動かしたときの磁界センサ部7の出力電圧の変化を示す概念図である。同様に、図10Bは、磁界印加ローバーB’をy方向に動かしたときの磁界センサ部7の出力電圧の変化を示す概念図である。これらの図を図9A,9Bと比較すると明らかな通り、x方向またはy方向の移動量に対する出力変化が高感度で生じる。これは磁界センサ部7のトラック幅方向幅がラッピングガイドLのそれと比べて大幅に小さいためである。上述のように、ラッピングガイドLのトラック幅方向幅は数μmのオーダーであるのに対し、磁界センサ部7のトラック幅方向幅は数十nmのオーダーであり、約2桁の違いがある。従って、ステップS5を行うことによって、第1の磁界印加素子71をほぼ完全に磁界センサ部7と正対する位置に合わせることができる。
なお、第1の磁界印加素子71は各磁界センサ部7に対応して、スライダSの数だけ設けられているが、全ての第1の磁界印加素子71をモニターする必要はない。磁界印加ローバーB’の両端付近の第1の磁界印加素子71と、ローバーBの両端付近の磁界センサ部7と、を用いて調整を行えば十分である。各スライダSの磁界センサ部7は、ウエハ工程によって、極めて正確な寸法及び配列ピッチで形成されており、また、磁界印加ローバーB’の第1の磁界印加素子71も、ウエハ工程によって、極めて正確な寸法及び配列ピッチで形成されている。このため、磁界印加ローバーB’の両端付近の第1の磁界印加素子71を用いて磁界印加ローバーB’の位置を調整すれば、他の第1の磁界印加素子71は、自動的に、対応する磁界センサ部7と正対する位置に来る。
(ステップS6)第3の位置決めステップの後に、磁界センサ部7に通電しながら、第1の磁界印加素子71から薄膜磁気ヘッド9の磁界センサ部7に、磁界強度を変化させながら交番磁界を印加し、磁界強度と磁界センサ部の出力電圧との関係を得る(測定ステップ)。磁界センサ部7から得られる出力電圧は、スライダSのパッド11a,11bからプローブ等を介して取り出される。この結果、図11に示すような測定結果がスライダS毎に得られる。同図は周波数1MHzの交番磁界を加えたときの出力電圧の一例を示したものであり、図中Fで示した線が磁界強度を増加させていったときの出力を、Rで示した線が磁界強度を減少させていったときの出力を示している。このステップは基本的に従来のQSTと同様の工程である。しかし、第1の磁界印加素子71は各スライダSに対応して複数個設けられており、個々の第1の磁界印加素子71が対応する磁界センサ部7に磁界を印加する点が従来のQSTと異なっている。
本実施形態によれば、第1の磁界印加素子71は従来の書込素子とほぼ同一構造の素子であり、数MHzの交番磁界も容易に発生させることができる。このため、ハードディスク装置内の実際の磁界の発生状況に極めて類似したテスト環境を作り出すことができ、試験の信頼性が向上する。
また、上述した薄膜磁気ヘッドに適用した場合の特有の効果として、以下の点が挙げられる。すなわち、上述の薄膜磁気ヘッドは互いに反平行の向きに磁化された上部及び下部シールド電極層を一対の磁性層と交換結合させ、その状態を維持しながら、一対の磁性層の磁化方向をバイアス磁界によって直交させ、外部磁界の作用によって当該一対の磁性層の磁化方向がなす角度を変化させるものである。このような薄膜磁気ヘッドでは、上部及び下部シールド電極層は単なる磁気シールドでなく、一対の磁性層の磁化状態に直接影響を及ぼすものであるため、試験中においても反平行の磁化状態を維持する必要がある。QSTによって印加される磁界強度はハードディスク装置内の実環境と比べても相当大きく、試験中に印加される磁化によって上部及び下部シールド電極層の磁化が擾乱され、磁気抵抗効果素子の特性に大きな影響を与え、適正な試験が不可能となる可能性がある。本実施形態では、第1の磁界印加素子は対応する磁界センサ部に局所的に磁界を及ぼし、上部及び下部シールド電極層に印加される磁界はQSTの場合と比べて格段に小さくなる。従って、上述の課題は容易に解決される。
磁界印加バーを用いた磁気的特性の測定方法は、このような長所を有しているが、個々の第1の磁界印加素子が対応する磁界センサ部に正確に正対している必要がある。これは磁界印加バーを用いた磁気的特性の測定方法における固有の課題であり、それ自体新規な磁界印加バーを用いた磁気的特性の測定方法に伴い初めて顕出した課題であることに留意されたい。しかしながら、この課題も、ラッピングガイドを位置決めセンサとして用いた磁気的な位置決め、さらに必要に応じて、磁気センサ部を位置決めセンサとして用いた磁気的な位置決めによって効果的に解決されている。ラッピングガイドは素子の研磨量監視用として従来の薄膜磁気ヘッドの製造プロセスでも一般的に採用されているものであり、一般的には新たな素子をウエハ工程で追加することにはならない。本実施形態は、基本的に、従来のヘルムホルツコイルを磁界印加バーに置換するだけで実施可能であることに留意されたい。
7 磁界センサ部
9 薄膜磁気ヘッド
71 第1の磁界印加素子
72 第2の磁界印加素子
73 磁極先端部
B ローバー
B’ 磁界印加ローバー
G 素子間ギャップ
L ラッピングガイド
S スライダ
9 薄膜磁気ヘッド
71 第1の磁界印加素子
72 第2の磁界印加素子
73 磁極先端部
B ローバー
B’ 磁界印加ローバー
G 素子間ギャップ
L ラッピングガイド
S スライダ
Claims (6)
- 薄膜磁気ヘッドの磁気的特性をローバーの状態で測定する方法であって、
薄膜磁気ヘッドが形成されたスライダが長手方向に沿って複数個設けられ、隣接スライダ間またはローバーの端部の少なくとも2つの位置に磁気抵抗効果を奏するラッピングガイドが設けられたローバーを準備するステップと、
各薄膜磁気ヘッドに対応する第1の磁界印加素子と、少なくとも2つの前記ラッピングガイドに対応する少なくとも2つの第2の磁界印加素子とを備えた磁界印加ローバーを準備するステップと、
前記第1の磁界印加素子の磁極先端部が対応する前記薄膜磁気ヘッドの磁界センサ部と対向し、かつ前記第2の磁界印加素子の磁極先端部が対応する前記ラッピングガイドと対向するように、前記磁界印加ローバーを前記ローバーに対して対向配置する第1の位置決めステップと、
前記第1の位置決めステップの後に、前記ラッピングガイドに通電しながら、前記第2の磁界印加素子から前記ラッピングガイドに磁界を印加し、少なくとも1つの該ラッピングガイドの出力電圧が最大となるように前記磁界印加ローバーと前記ローバーとを相対移動させる第2の位置決めステップと、
前記第2の位置決めステップの後に、前記磁界センサ部に通電しながら、前記第1の磁界印加素子から前記薄膜磁気ヘッドの磁界センサ部に、磁界強度を変化させながら交番磁界を印加し、磁界強度と前記磁界センサ部の出力電圧との関係を得る測定ステップと、
を有する方法。 - 前記第2の位置決めステップの後であって前記測定ステップの前に、前記磁界センサ部に通電しながら、前記第1の磁界印加素子から前記薄膜磁気ヘッドの磁界センサ部に磁界を印加し、該磁界センサ部の出力電圧が最大となるように前記磁界印加ローバーと前記ローバーとを相対移動させる第3の位置決めステップを有する、請求項1に記載の方法。
- 前記ローバーの前記長手方向をx方向、前記磁界印加ローバーの膜面直交方向をy方向、前記x及びy方向と直交する方向をz方向としたときに、前記磁界印加ローバーと前記ローバーとの相対移動は、前記x方向の直線移動、前記y方向の直線移動、または前記z方向周りの回転運動、またはこれらの組み合わせとして行われる、請求項1または2に記載の方法。
- 前記薄膜磁気ヘッドは、前記磁界センサ部として外部磁界に応じて磁化方向が変化する一対の磁性膜を備え、該一対の磁性膜を積層方向に挟んで設けられトラック幅方向に互いに反平行の向きに磁化された一対のシールド層を有し、前記一対の磁性膜の各々は、隣接する前記シールド層との間で交換結合をしている、請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
- 請求項1から4のいずれか1項に記載の方法を含む、薄膜磁気ヘッドの製造方法。
- 薄膜磁気ヘッドが形成されたスライダが長手方向に沿って複数個設けられ、隣接スライダ間またはローバーの端部の少なくとも2つの位置に磁気抵抗効果を奏するラッピングガイドが設けられたローバーの状態で、薄膜磁気ヘッドの磁気的特性を測定するために用いられる磁界印加ローバーであって、
前記磁界印加ローバーを前記ローバーに対して対向配置したときに、磁極先端部が前記薄膜磁気ヘッドの磁界センサ部と対向するように位置が決められた複数の第1の磁界印加素子と、磁極先端部が少なくとも2つの前記ラッピングガイドと対向するように位置が決められた少なくとも2つの第2の磁界印加素子と、を有し、
前記第1の磁界印加素子は、対向する前記薄膜磁気ヘッドの磁界センサ部に磁界強度を変化させながら交番磁界を印加することができ、前記第2の磁界印加素子は対向する前記ラッピングガイドに磁界を印加することができる、磁界印加ローバー。
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