JP2009209827A - 真空ポンプ、及び真空ポンプの製造方法 - Google Patents

真空ポンプ、及び真空ポンプの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】保護網の形状の安定化を図ることによって保護網や回転翼の機械的な損傷を抑えた真空ポンプと、その真空ポンプの製造方法とを提供する。
【解決手段】吸気口に取付けられた円環状の鍔部22と鍔部22の内側に形成された網部23とからなる保護網とを備えた真空ポンプであって、網部23は、鍔部22の径方向において区画されて、軸Cに近づくに連れて回転翼との間の距離が大きくなるように、軸Cの方向における位置を異にする複数の平坦部23fと、軸Cの径方向において隣り合う平坦部23fを軸Cの略軸方向に沿って連結する複数の段差部23sとを備えた。
【選択図】図2

Description

本発明は、真空ポンプ、及び真空ポンプの製造方法に関する。
大型FPD(Flat Panel Display )の製造技術には、広い圧力領域で大きな排気量を
得るため、真空ポンプとしてのターボ分子ポンプが広く利用されている。ターボ分子ポンプの吸気口には、一般的に、処理空間から侵入する異物と回転翼との衝突を防ぐため、吸気口の全体を覆うように保護網が取付けられている。
吸気口に取付けられる保護網は、処理空間から飛来する粒子との衝突によって加熱されることから、温度勾配に応じた熱的な膨張を来たして変形してしまう。そして、熱的に膨張する保護網が吸気口から回転翼に向けて変形する場合には、保護網と回転翼との衝突を招いて、終には、保護網や回転翼に機械的な損傷を来たしてしまう。そこで、ターボ分子ポンプにおいては、従来から、上記問題を解決するための提案がなされている。
特許文献1の保護網は、鍔部に絞り加工が施されて、網部の中心部が処理空間へ膨らむ円弧状(以下単に、凸曲面状と言う。)に形成されている。これによれば、処理空間に向かうストレスが保護網の網部に加えられることから、熱的な膨張によって発生する網部の座屈が、処理空間に向けて、すなわち、回転翼から離間する方向へ起き易くする。
特開2005‐344512号公報
特許文献1の保護網では、絞り加工によって鍔部の内縁に大きな残留応力が与えられる一方、鍔部の内側、すなわち、凸曲面状の網部には殆ど応力が与えられない。そのため、凸曲面状に形成される網部では、処理空間から回転翼へ向かう外力が一度に加わると、鍔部の内縁が拘束箇所となり、凸曲面状の網部が回転翼に向けて膨らむ円弧状(以下単に、凹曲面状と言う。)に反転してしまう。例えば、ターボ分子ポンプを用いた排気動作を開始するとき、網部の全体には、処理空間の圧力とポンプの内圧との差圧に応じた押圧力が加えられる。また、処理空間からの異物が網部へ飛来する場合にも、網部の全体には、異物からの衝撃に応じた押圧力が加えられる。この結果、特許文献1の保護網では、凸曲面状の網部が容易に凹局面状へ反転してしまい、保護網と回転翼との衝突を十分に防ぎ難いという問題があった。こうした問題は、保護網を厚くすることによって解決可能と考えられるが、保護網を厚くする場合には、保護網の厚みの分だけ、保護網の生産コストや真空ポンプの吸気抵抗が増大してしまう。
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、保護網の形状の安定化を図ることによって保護網や回転翼の機械的な損傷を抑えた真空ポンプと、その真空ポンプの製造方法とを提供することを目的とする。
請求項1に記載する真空ポンプは、処理室内の気体を吸気する吸気口と前記気体を排気する排気口とを有する筐体と、前記筐体内に設けられた回転軸を中心に回転することによって前記吸気口における圧力を前記排気口における圧力よりも低くする回転翼と、前記吸気口に取付けられた円環状の鍔部と前記鍔部の内側に形成された網部とからなる保護網とを備えた真空ポンプであって、前記網部は、前記鍔部の径方向において区画されて、前記回転軸に近づくに連れて前記回転翼との間の距離が大きくなるように、前記回転軸の軸方
向における位置を異にする複数の平坦領域と、前記径方向において隣り合う前記平坦領域を前記回転軸の略軸方向に沿って連結する複数の段差領域とを備えた。
請求項1に記載する真空ポンプによれば、鍔部の径方向において、網部が複数の段差領域により区画される分だけ、該径方向における平坦な領域が小さくなり、平坦領域ごとの受圧面積が小さくなる。そして、受圧面積の小さい各平坦領域が、それぞれ段差領域によって支えられる。したがって、真空ポンプは、各平坦領域の回転翼に向かう方向への変形を抑えられることから、保護網の形状の安定化を図ることができ、ひいては、保護網や回転翼の機械的な損傷を抑えられる。
請求項2に記載する真空ポンプは、請求項1に記載する真空ポンプであって、前記平坦領域が、前記回転軸に対して軸対称である。
請求項2に記載する真空ポンプによれば、平坦領域が軸対称になることで保護網の剛性の均一化を図ることができる。この結果、保護網は、外力に対しての耐力に関して、部位ごとの差を生じ難くなり、熱変形を生じる場合であっても、変形度合いを均一化でき、局所的に大きな変形を回避できる。
請求項3に記載する真空ポンプは、請求項1又は2に記載する真空ポンプであって、前記平坦領域が、前記軸方向から見て前記回転軸を中心とする同心円環状であり、前記段差領域が、前記軸方向から見て前記回転軸を中心とする同心円状である。
請求項3に記載する真空ポンプによれば、平坦領域が同心円状になることから、他の軸対称型に比べて、圧力分布の均一化を図ることができる。
請求項4に記載する真空ポンプは、請求項1又は2に記載する真空ポンプであって、前記保護網と前記回転翼との間に設けられて前記回転軸を回転可能に支持する軸受け部を備え、前記段差領域が、前記軸方向から見て前記軸受け部の縁と重畳する。
請求項4に記載する真空ポンプによれば、軸受け部と平坦領域との間の流路抵抗を大きくできることから、処理室内の圧力分布の均一化を一層に図ることができる。したがって、保護網の形状の安定性を、より一層に向上できる。
請求項5に記載する真空ポンプの製造方法は、処理室内の気体を吸気する吸気口と前記気体を排気する排気口とを有する筐体に、前記筐体内に設けられた回転軸を中心に回転することによって前記吸気口における圧力を前記排気口における圧力よりも低くする回転翼を設け、円環状の鍔部と前記鍔部の内側に形成された網部とからなる保護網を前記吸気口に取付けた真空ポンプの製造方法であって、前記網部にプレス加工を施して前記網部を前記鍔部の径方向において区画し、前記回転軸に近づくに連れて前記網部と前記回転翼との間の距離が大きくなるように、前記回転軸の軸方向に置ける位置を異にする複数の平坦領域と、前記径方向において隣り合う前記平坦領域を前記回転軸の略軸方向に沿って連結する複数の段差領域とを前記網部に形成した。
請求項5に記載する真空ポンプの製造方法によれば、網部に施すプレス加工によって、径方向における平坦な領域が段差部によって区画され、平坦領域ごとの受圧面積が小さくなる。そして、各段差部には、プレス加工によって、回転翼から離れる方向への応力が与えられる。したがって、この真空ポンプの製造方法によれば、受圧面積の小さい各平坦領域が、残留応力を回転翼から離れる方向へ意図的に残すことができるから、より低い製造コストの下で、保護網の形状の安定化を図ることができ、ひいては、保護網や回転翼の機械的な損傷を抑えられる。
上記したように、本発明によれば、保護網の形状の安定化を図ることによって保護網や回転翼の機械的な損傷を抑えた真空ポンプと、その真空ポンプの製造方法とを提供できる。
(第一実施形態)
以下、本発明を具体化した第一実施形態を図面に従って説明する。図1は、真空ポンプとしてのターボ分子ポンプ10を模式的に示す側断面図である。図2(a)は保護網20を模式的に示す平面図であり、図2(b)は図2(a)のA−A断面図である。
図1において、ターボ分子ポンプ10は、大型FPDや大型光電変換装置等の各種大型パネルの製造工程を実行するための処理室Tに搭載されている。ターボ分子ポンプ10は、ゲートバルブVを介して処理室Tの内部空間(以下単に、処理空間Sと言う。)に連結され、ゲートバルブVが開くときに、処理空間Sに対する排気処理を実行し、ゲートバルブVが閉じるときに、処理空間Sから隔絶される。
ターボ分子ポンプ10は、有底円柱状をなす筐体11を有している。筐体11の上側に設けられた吸気口フランジ11aは処理室Tに連結され、筐体11の下側に設けられた排気口フランジ11bは後段の真空系に連結されている。筐体11の内部と処理空間Sとの間は、円形孔状の吸気口12を介して連通している。また、筐体11の内部と、図示しない後段の真空系との間は、排気口13を介して連通している。本実施形態においては、吸気口12の口径を、吸気径Rと言う。
筐体11の内部には、吸気口12の径方向の内側へ延びる複数段の静翼11cが、筐体11の内側面の全周方向にわたり固設されている。筐体11の内部に配設された有蓋円筒状のロータ14は、回転モータMとピボット軸受け15とによって軸支され、回転モータMからの駆動力を受けるとき、軸Cを中心にして高速回転する。ロータ14の外周面には、筐体11の径方向外側へ延びる複数段の回転翼16が、それぞれ上下方向に沿って固設されている。複数段の静翼11cと複数段の回転翼16とは、それぞれ上下方向において交互に配置されている。
吸気口12から筐体11へ進入する気体は、ロータ14が高速回転するときに、回転翼16の回転によって下段の静翼11cへ順に送られて最終的に排気口13から排気される。これによって、ターボ分子ポンプ10は、吸気口12に高真空を形成すると共に、排気口13に低真空を形成する。
最上段の回転翼16とゲートバルブVとの間には、吸気口12の全体を覆う保護網20が、Cリング等の止め具21によって吸気口フランジ11aに固定されている。保護網20は、処理空間Sから飛来する異物を捕獲することにより、回転翼16や静翼11c等の機械的な損傷を防ぐ。本実施形態においては、保護網20の下端とゲートバルブVの下端との間の距離を、許容段差高Hと言う。
図2において、保護網20は、吸気口フランジ11aに取付けられる円環状の鍔部22と、鍔部22の内側に張設された網部23とからなる。保護網20の鍔部22は、内径が吸気径Rより若干大きく形成されて、吸気口12の領域に網部23のみを配置させる。これによって、保護網20は吸気口12における流路抵抗の増大、すなわち、保護網20の取り付けに伴う吸気抵抗の増大を抑える。
保護網20の網部23は、格子状の金網(メッシュ)であり、鍔部22の径方向において、2つの段差部23sによって3つの平坦部23fに区画されている。3つの平坦部2
3fと2つの段差部23sとは、それぞれ全体が平坦に形成された格子状の金網にプレス加工を施すことによって形成されている。これによれば、保護網20を製造する上において、絞り加工を行う必要がなく、より低いコストと、より高い生産性とが実現できる。
3つの平坦部23fは、それぞれ略水平方向に沿って張設された格子状の金網からなり、軸Cに対して軸対称になるように、軸Cの方向から見て、軸Cを中心にする同一円環状に形成されている。3つの平坦部23fは、それぞれ鍔部22の径方向において等しい幅(以下単に、平坦幅R1と言う。平坦幅R1=吸気径R/5)を有し、鍔部22の径方向に沿って等配されている。網部23は、下方への押圧力を受けるとき、該押圧力を3つの平坦部23fへ分散させる。
3つの平坦部23fは、軸Cに近づくに連れて回転翼16との間の距離が大きくなるように、軸Cの方向における位置を異にする。すなわち、3つの平坦部23fは、それぞれ軸Cに近いほど、該平坦部23fと最上段の回転翼16との間の距離を大きくする。これによれば、軸Cの方向における各平坦部23fの位置が、それぞれ鍔部22の下端よりも上方になることから、保護網20と回転翼16との間の距離を短くでき、ひいては、筐体11の小型化を図ることができる。
本実施形態においては、鍔部22の下端と、最上段の平坦部23fとの間の距離を、総段差高Haと言う。総段差高Haは、最上段の平坦部23fが上方の部材と接触しないように設定されている。例えば、本実施形態における総段差高Haは、最上段の平坦部23fとゲートバルブVとが接触しないように、総段差高Ha<許容段差高Hを満たすように設定されている。これによれば、保護網20と回転翼16との間の距離を短くでき、かつ、保護網20と他の部材との接触を回避できる。
2つの段差部23sは、それぞれ平坦部23fから連続する格子状の金網からなり、径方向において隣り合う平坦部23fの間に、軸Cの略軸方向に沿って、張設されている。2つの段差部23sは、軸Cに対して軸対称になるように、軸Cの方向から見て、軸Cを中心にする同心円状に形成されている。2つの段差部23sは、それぞれ平坦部23fの面方向から見て、その幅(以下単に、段差高Hsと言う。)が等しくなるように形成され、かつ、その段差高Hsが許容段差高Hの半分以下になるように形成されている。これによれば、回転する回転翼16と各平坦部23fとの間の距離、すなわち、流路抵抗が、軸Cの周方向において均一になる。よって、保護網20は、処理空間Sの圧力分布の均一化を図ることができ、保護網20の形状の安定性を向上できる。
2つの段差部23sには、それぞれ網部23のプレス加工によって、回転翼16から離れる方向への残留応力が与えられている。これによれば、受圧面積の小さい各平坦部23fが、その外周及び内周の全体にわたり、それぞれ回転翼16から離れる方向への応力を受け続ける。
そして、保護網20が下方への押圧力を受けるとき、該押圧力が3つの平坦部23fへ分散し、各平坦部23fがそれぞれ該押圧力に抗する応力を段差部23sから受ける。したがって、保護網20は、各平坦部23fにおいて回転翼16の側への変形を確実に抑えられ、網部23の全体にわたり、形状の安定化を図ることができる。
上記第一実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)第一実施形態における網部23は、鍔部22の径方向において区画されて、軸Cに近づくに連れて回転翼との間の距離が大きくなるように、軸Cの方向における位置を異にする複数の平坦部23fと、軸Cの径方向において隣り合う平坦部23fを軸Cの略軸方向に沿って連結する複数の段差部23sとを備えた。
したがって、ターボ分子ポンプ10によれば、鍔部22の径方向において、網部23が複数の段差部23sによって区画される分だけ、平坦部23fごとの受圧面積が小さくなる。そして、受圧面積の小さい各平坦部23fが、それぞれ段差部23sによって支えられる。すなわち、各平坦部23fは、最上段の回転翼16から離れる方向へ、残留応力を意図的に残すことができる。この結果、ターボ分子ポンプ10は、各平坦部23fの回転翼16への変形を抑えられることから、保護網20の形状の安定化を図ることができ、ひいては、保護網や回転翼の機械的な損傷を抑えられる。
(2)第一実施形態における網部23は、軸Cに対して軸対称の平坦部23fを有する。したがって、回転する回転翼16と保護網20との間の流路抵抗が軸Cに対して軸対称になる。この結果、ターボ分子ポンプ10は、平坦部23fが軸対称になることで保護網20の剛性の均一化を図ることができる。よって、保護網20は、外力に対しての耐力に関して、部位ごとの差を生じ難くなり、熱変形を生じる場合であっても、変形度合いを均一化でき、局所的に大きな変形を回避できる。
(3)第一実施形態における平坦部23fは、軸Cの方向から見て軸Cを中心とする同心円環状であり、段差部23sは、同軸方向から見て軸Cを中心とする同心円状である。したがって、保護網20は、他の軸対称型に比べて、圧力分布の均一化を図ることができる。
(第二実施形態)
以下、本発明を具体化した第二実施形態を図面に従って説明する。第二実施形態は、第一実施形態におけるロータ14の軸受けと保護網20とを変更したものである。そのため、以下においては、その変更点について詳しく説明する。図3は、第二実施形態のターボ分子ポンプ10を模式的に示す側断面図である。図4(a)は第二実施形態の保護網20を模式的に示す平面図であり、図4(b)は図4(a)のA−A断面図である。
図3において、筐体11の内部に配設されたロータ14の下部は、ピボット軸受け24を介して筐体11に回転可能に支持されている。また、ロータ14の上部は、磁気軸受け25を介して支持部26に回転可能に支持されている。本実施形態においては、磁気軸受け25と支持部26とによって軸受け部が構成されている。
図4において、支持部26は、吸気口12の内縁に頂点を有した略三角形板状に形成されて、吸気口12の内側に架設されている。保護網20の網部23は、格子状の金網であり、軸Cの方向から見て、支持部26と対向する三角板状の平坦部23fと、支持部26の縁に重なる段差部23sとを有する。保護網20の網部23は、支持部26と対向する平坦部23fを、段差高Hsの分だけ、支持部26から均一に離間させ、支持部26と平坦部23fとの間の流路抵抗を均一に低減させる。これによって、ターボ分子ポンプ10は、支持部26の上における流路抵抗を、段差高Hsの分だけ低くでき、回転翼16と保護網20との間に支持部26を配設する場合であっても、処理空間Sの圧力分布の均一化を図ることができる。ひいては、保護網20の形状の安定性を向上できる。
上記第二実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(4)第二実施形態におけるターボ分子ポンプ10は、保護網20と回転翼16との間に設けられてロータ14を回転可能に支持する支持部26を有する。そして、網部23の段差部23sが、軸Cの方向から見て、支持部26の縁に重なるように形成されている。したがって、ターボ分子ポンプ10によれば、支持部26と平坦部23fとの間の流路抵抗を段差高Hsの分だけ、均一に大きくできる。この結果、ターボ分子ポンプ10は、処理空間Sの圧力分布の均一化を図ることができ、ひいては、保護網20の形状の安定性を、より一層に向上できる。
尚、上記実施形態は、以下の態様で実施しても良い。
・上記第一実施形態において、各平坦部23fの平坦幅R1は、それぞれ同じサイズであるが、これに限らず、各平坦部23fの平坦幅R1は、それぞれ異なる値であっても良い。例えば、保護網20は、相対的に高い温度領域に、狭い幅からなる平坦部23fを設け、相対的に低い温度領域に、広い幅からなる平坦部23fを設ける構成であっても良い。これによれば、各平坦部23fがそれぞれ温度に応じた受圧面積を有することから、保護網20の熱的変形を、さらに抑えられる。
・上記第一実施形態においては、各段差部23sの段差高Hsがそれぞれ同じサイズに形成されている。これに限らず、各段差部23sの段差高Hsは、それぞれ異なる値であっても良い。
・上記実施形態においては、平坦部23fと段差部23sとが、それぞれ軸Cに対して軸対称をなすが、これに限らず、平坦部23fと段差部23sとが、軸Cに対して非対称をなす構成であっても良い。また、上記実施形態における網部23は、複数の平坦部23fと複数の段差部23sとを有するが、これに限らず、網部23が1つの平坦部23fと1つの段差部23sとを有する構成であっても良い。
図5(a)は変更例の保護網20を模式的に示す平面図であり、図5(b)は図4(a)のA−A断面図である。図5において、網部23は軸Cに向かう渦巻き状に形成された1つの平坦部23fを有する。渦巻き状をなす平坦部23fは、軸Cに近いほど、回転翼16と平坦部23fとの間の距離を大きくする。渦巻き状をなす平坦部23fの縁は、渦巻き状に形成された1つの段差部23sによって連結されている。
1つの段差部23sには、プレス加工によって、回転翼16から離れる方向への応力が与えられている。渦巻き状をなす1つの平坦部23fは、鍔部22の径方向において、段差部23sにより、受圧面積の小さい複数の平坦領域に区画される。これによって、保護網20が下方への押圧力を受けるとき、該押圧力が鍔部22の径方向において平坦部23fの各領域へ分散し、平坦部23fの各領域がそれぞれ押圧力に抗する応力を段差部23sから受ける。したがって、保護網20は、平坦部23fに関する回転翼16の側への変形を抑えられ、網部23の全体にわたり、形状の安定化を図ることができる。
・上記実施形態における保護網20の直上には、ゲートバルブVが配設されるが、これに限らず、保護網20の直上には、基板を支持するための支持ステージ等が配設される構成であっても良い。
第一実施形態の真空ポンプを模式的に示す側断面図。 (a)、(b)は、それぞれ第一実施形態の保護網を示す平面図、側断面図。 第二実施形態の真空ポンプを模式的に示す側断面図。 (a)、(b)は、それぞれ第二実施形態の保護網を示す平面図、側断面図。 (a)、(b)は、それぞれ変更例の保護網を示す平面図、側断面図。
符号の説明
C…回転軸としての軸、T…処理室、10…真空ポンプとしてのターボ分子ポンプ、11…筐体、12…吸気口、13…排気口、14…回転軸を構成するロータ、16…回転翼、20…保護網、22…鍔部、22f…平坦領域としての平坦部、22s…段差領域とし
ての段差部、23…網部。

Claims (5)

  1. 処理室内の気体を吸気する吸気口と前記気体を排気する排気口とを有する筐体と、前記筐体内に設けられた回転軸を中心に回転することによって前記吸気口における圧力を前記排気口における圧力よりも低くする回転翼と、前記吸気口に取付けられた円環状の鍔部と前記鍔部の内側に形成された網部とからなる保護網とを備えた真空ポンプであって、
    前記網部は、
    前記鍔部の径方向において区画されて、前記回転軸に近づくに連れて前記回転翼との間の距離が大きくなるように、前記回転軸の軸方向における位置を異にする複数の平坦領域と、
    前記径方向において隣り合う前記平坦領域を前記回転軸の略軸方向に沿って連結する複数の段差領域とを備えたことを特徴とする真空ポンプ。
  2. 請求項1に記載する真空ポンプであって、
    前記平坦領域は前記回転軸に対して軸対称であることを特徴とする真空ポンプ。
  3. 請求項1又は2に記載する真空ポンプであって、
    前記平坦領域は、前記軸方向から見て前記回転軸を中心とする同心円環状であり、
    前記段差領域は、前記軸方向から見て前記回転軸を中心とする同心円状であることを特徴とする真空ポンプ。
  4. 請求項1又は2に記載する真空ポンプであって、
    前記保護網と前記回転翼との間に設けられて前記回転軸を回転可能に支持する軸受け部を備え、
    前記段差領域は、前記回転軸から見て前記軸受け部の縁と重畳することを特徴とする真空ポンプ。
  5. 処理室内の気体を吸気する吸気口と前記気体を排気する排気口とを有する筐体に、前記筐体内に設けられた回転軸を中心に回転することによって前記吸気口における圧力を前記排気口における圧力よりも低くする回転翼を設け、円環状の鍔部と前記鍔部の内側に形成された網部とからなる保護網を前記吸気口に取付けた真空ポンプの製造方法であって、
    前記網部にプレス加工を施して前記網部を前記鍔部の径方向において区画し、前記回転軸に近づくに連れて前記網部と前記回転翼との間の距離が大きくなるように、前記回転軸の軸方向に置ける位置を異にする複数の平坦領域と、前記径方向において隣り合う前記平坦領域を前記回転軸の略軸方向に沿って連結する複数の段差領域とを前記網部に形成したことを特徴とする真空ポンプの製造方法。
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