JP2009209815A - エンジンの制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】主噴射後にパティキュレートフィルタ再生のための後噴射を行うエンジンの制御装置において、フィルタ再生時間の短縮とオーバーヒートの回避とを両立させる。
【解決手段】S21において、水温センサ26等各センサから各種信号を読込み、S22でエンジン水温がLowモード開始温度以上か判定した後、Lowモード開始温度以上でフィルタ再生作動中であればS24に移行し、エンジン温度の上昇度合い、エンジントルク、外気温度及び車速に応じてHighモード開始温度を設定する。夫々のテーブルにより、最も低いHighモード開始温度をHighモード開始温度として設定する。Highモード開始温度の設定後、S25において、エンジン水温とHighモード開始温度とを比較し、高い場合、Highモードによる冷却ファンの作動を行い、低い場合、Lowモードによる冷却ファンの作動を行う。
【選択図】 図10

Description

本発明は、排気通路にパティキュレートフィルタを備えたエンジンの制御装置に関する。
パティキュレートフィルタは、パティキュレート(排気微粒子)の捕集量が所定量以上になったときに、その捕集したパティキュレートを燃焼除去することにより、フィルタを再生する必要がある。このフィルタの再生に関して、特許文献1には、燃料の主噴射後の第1後噴射、所謂ポスト噴射により酸化触媒を加熱し、その後の第2ポスト噴射により未燃燃料を酸化触媒に供給するもので、エンジン水温が第1所定値以上で第1ポスト噴射を抑制し、第1所定値より低い第2所定値以下まで下がった時に第1ポスト噴射の抑制を解除することが提案されている。
特許文献1では、第2ポスト噴射による未燃燃料を効率良く酸化燃焼させると共に、エンジン水温が第1所定値以上で第1ポスト噴射を抑制するため、燃料供給量が減少できエンジンのオーバーヒートが回避できる。すなわち、エンジン水温が高いときにはフィルタ再生のためのポスト噴射を規制するようにされている。
特開2004−346755号公報
しかしながら、通常でもパティキュレートフィルタ再生には所定の期間、例えば5分程度は必要であり、前述した特許文献1のようにオーバーヒート回避を主眼としたポスト噴射抑制制御を実行した場合、更にフィルタ再生の追加期間が必要となる。すなわち、燃料制御の観点からすると、フィルタ再生時間の短縮とオーバーヒートの回避とは相反する課題であり、2つの課題を燃料制御によって同時に解決するには限界がある。
本発明の目的は、主噴射後にパティキュレートフィルタ再生のための後噴射を行うエンジンの制御装置において、フィルタ再生時間の短縮とオーバーヒートの回避とを両立させることである。
請求項1のエンジンの制御装置は、エンジンの排気通路に設けられた酸化触媒と、この酸化触媒の下流側に設けられたパティキュレートフィルタと、このパティキュレートフィルタに堆積したすすが所定量以上になった時、燃料の主噴射の後にフィルタ再生用の後噴射を行いフィルタに堆積したすすを燃焼して除去すると共にエンジン温度が後噴射を抑制する後噴射抑制温度以上に上昇した時は後噴射を抑制するフィルタ再生手段とを有する装置であって、エンジンを冷却する冷却ファンと、温度検出手段により検出されたエンジン温度が第1所定値以上になった時、冷却ファンを作動させる冷却ファン制御手段とを備え、冷却ファン制御手段は、フィルタ再生手段の作動時、第1所定値を後噴射抑制温度よりも低くすることを特徴としている。
請求項2のエンジンの制御装置は、請求項1の発明において、冷却ファン制御手段は、エンジン温度が第1所定値以上になった時、冷却ファンを所定回転数で作動させると共に、エンジン温度が第1所定値より低い第2所定値以上になった時、冷却ファンを所定回転数よりも低い回転数で作動させると共に、フィルタ再生手段の作動時、第1所定値のみを後噴射抑制温度よりも低くすることを特徴としている。
請求項3のエンジンの制御装置は、請求項1又は2の発明において、冷却ファン制御手段は、フィルタ再生手段作動時のエンジン温度の上昇度合い、エンジントルク、外気温度及び車速の内の、少なくとも1つのパラメータに応じて第1所定値の低下度合いを変更することを特徴としている。
請求項1の発明によれば、エンジン温度が後噴射を抑制する後噴射抑制温度以上に上昇した時は、フィルタ再生用の後噴射を抑制するフィルタ再生手段とを有する装置であって、温度検出手段により検出されたエンジン温度が第1所定値以上になった時、冷却ファンを作動させる冷却ファン制御手段は、フィルタ再生手段の作動時、第1所定値を後噴射抑制温度よりも低くするため、フィルタ再生時間の短縮とオーバーヒートの回避とを両立させることができる。すなわち、フィルタに堆積したすすが所定量以上になった時であっても、エンジン温度が後噴射抑制温度以上、所謂オーバーヒートの可能性がある状態では、後噴射を抑制する必要が生じるものの、フィルタ再生手段の作動時には冷却ファンの作動温度を後噴射抑制温度よりも低く設定することで、冷却ファンの作動を用いてエンジン温度が後噴射抑制温度以上になることを強制的に抑えている。従って、エンジン温度が後噴射抑制温度以上になることを防止でき、フィルタ再生手段の作動を阻害することなく、オーバーヒートの回避が図れる。
請求項2の発明によれば、エンジン温度が第1所定値以上になった時、冷却ファンを所定回転数で作動させると共に、第1所定値より低い第2所定値以上になった時、冷却ファンを所定回転数よりも低い回転数で作動させると共に、フィルタ再生手段の作動時、第1所定値のみを後噴射抑制温度よりも低くするため、冷却ファンの回転数が高くなる状態を抑えられ、冷却ファン回転による騒音を防止できる。すなわち、オーバーヒートの可能性が高い領域のみ冷却ファンの作動領域を拡大し、オーバーヒートの可能性が低い領域では冷却ファンの作動領域の拡大を抑制し、オーバーヒートの回避を行いつつ騒音防止が可能としている。
請求項3の発明によれば、フィルタ再生手段作動時のエンジン温度の上昇度合い、エンジントルク、外気温度及び車速の内の、少なくとも1つのパラメータに応じて第1所定値の低下度合いを変更するため、確実にエンジン温度の上昇を抑制できる。すなわち、エンジン温度の上昇し易さ、所謂エンジン温度上昇傾向に影響を与えるパラメータにより、エンジンの温度上昇を予測した冷却ファン制御ができる。
以下、本発明の実施例について図面に基づいて説明する。
図1に示すように、多気筒のディーゼルエンジン1は、吸気通路2及び排気通路3を備え、エンジン1のピストン4の頂面には深皿形燃焼室5が形成されている。尚、便宜上、図1には1気筒のみを示している。エンジン1のシリンダヘッドには、圧縮行程上死点付近で気筒内燃焼室5に燃料を直接噴射供給することができるように燃料噴射弁7が設けられているとともに、エンジン冷間時に吸入空気を暖めるためのグロープラグ8が設けられている。
吸気通路2には、その上流側から下流側に向かって順に、エアクリーナー9、エアフローセンサ10、ターボ過給機11のブロア11a、インタークーラ12、吸気絞り弁13、外気温度に関連するパラメータ値を検出する手段としての吸気温度センサ14及び吸気圧力センサ15が配設されている。排気通路3には、その上流側から下流側に向かって順に、ターボ過給機11のタービン11b、酸化触媒16及びパティキュレートフィルタ17が配設されている。
パティキュレートフィルタ17の上流側と下流側とには、排気圧力センサ18,19が配設されている。この排気圧力センサ18,19はパティキュレート捕集量検出手段を構成している。すなわち、この両センサ18,19で検出される排気圧力の差圧に基づいてパティキュレートフィルタ17に捕集されたパティキュレート量を検出するようになっており、差圧が大きいほど捕集量が大と判定することができる。
排気通路3の上記タービン11bよりも上流側の部位と吸気通路2の吸気圧力センサ15よりも下流側の部位とが、排気ガスの一部を吸気系に戻すための排気ガス還流通路21によって接続されている。以下、排気ガス還流をEGRという。このEGR通路21の途中には負圧アクチュエータ式のEGR弁22と、排気ガスをエンジンの冷却水によって冷却するためのクーラ23とが配設されている。
燃料噴射弁7には、燃料噴射ポンプ(図示略)から蓄圧手段としてのコモンレール(図示略)を介して燃料供給管25により燃料が供給され、燃料戻し管24で燃料タンク(図示略)に戻される。各種センサとして、エンジン水温を検出する水温センサ26、エンジン回転数を検出するクランク角センサ27、酸化触媒16に流入する排気ガス温度を検出する第1排気ガス温度センサ28、パティキュレートフィルタ17に流入する排気ガス温度を検出する第2排気ガス温度センサ29、パティキュレートフィルタ17から流出する排気ガス温度を検出する第3排気ガス温度センサ30が設けられている。
車両前方には、エンジンの冷却水を外気と熱交換させるラジエータ6が配置され、水温センサ26により検出された温度に基づき制御され、ラジエータ6内の冷却水を強制冷却する冷却ファン20が設置されている。冷却ファン20は図示しない電動モータによって回転駆動され、エンジン水温に応じて低回転駆動されるLowモードと高回転駆動されるHighモードとに切替え可能となっている。
ECU35による燃料噴射弁7を用いた燃料噴射制御には、エンジン出力発生のために圧縮行程上死点付近で燃料を噴射する主噴射制御と、パティキュレートフィルタ17の再生のための後噴射制御とがある。
主噴射制御は、基本的にはエンジン回転数とエンジン負荷とに基づいて行なわれ、さらにエンジン水温や吸気温度等に基づいて補正される。エンジン負荷については、アクセル開度(アクセルペダルの踏み込み量)を検出するアクセル開度センサ31からECU35に検出信号が与えられるようになっている。
後噴射制御、すなわち、フィルタ再生制御は、吸気温度センサ14、排気圧力センサ18,19、水温センサ26、クランク角センサ27、排気ガス温度センサ28〜29、アクセル開度センサ31等に基づいて行なわれる。このフィルタ再生制御のために、ECU35には再生手段36及び閾値補正手段37が設けられている。
(フィルタ再生制御)
以下、フィルタ17の再生制御について具体的に説明する。
再生手段36は、フィルタ17のパティキュレート捕集量が所定値以上になったときに、燃料噴射弁7を作動させて、酸化触媒16に流入する排気ガス温度が上昇するように燃料を噴射する第1後噴射と、酸化触媒16に未燃燃料が供給されるように燃料を噴射する第2後噴射とを実行する。
再生手段36は、フィルタ17の再生中にエンジン水温が第3所定値以上になったと判定したときは、第1後噴射及び第2後噴射を抑制し、エンジン水温が第1所定値よりも小さな第4所定値以下になったと判定したときは第1後噴射の抑制を解除し、第2後噴射の抑制についてはエンジン水温が第3所定値と第4所定値との中間の第5所定値以下にあると判定したときに解除するよう構成されている。
また、閾値補正手段37は、吸気温度センサ14によって検出される外気温度が高くなるほど第3所定値及び第4所定値を低下させるように構成されている。すなわち、図3に示すように、外気温度が0℃以下の場合は第3所定値及び第4所定値は略一定の高い温度に設定されているが、外気温度が0℃を越えて上昇していくことに伴って、第3所定値及び第4所定値は漸次低下していく。但し、第3所定値と第4所定値との温度差は外気温度の高低に拘わらず略一定となるように設定されている。
図4はフィルタ再生制御のフローチャートを示す。尚、Si(i=1,2,…)は各ステップを示す。
スタート後のS1において、パティキュレートフィルタ17の前後の排気圧力センサ18,19で検出される圧力に基づいて差圧ΔPを求め、S2で差圧ΔPに基づいてパティキュレート捕集量Mを算出する。S3で水温センサ26によって検出されるエンジン水温TWを読み込む。
次のS4においてパティキュレート捕集量Mが所定値α(例えばフィルタ1L当たり10g)以上になっているか否かを判定する。捕集量Mが所定値α以上になっていないときはリターンする。捕集量Mが所定値α以上になっているときは、S5に進んで第1後噴射A及び第2後噴射Bを実行する。但し、排気ガス温度センサ28の出力に基づいて酸化触媒16に流入する排気ガス温度が所定値(酸化触媒16が所定の活性を呈する温度)以上になっていることを条件としてS5に進む。
第1後噴射A及び第2後噴射Bの噴射量及び噴射時期はエンジン運転状態に基づいてマップを参照して設定する。図5は第1後噴射量マップの一例を示し、図6は第2噴射量マップの一例を示す。図5及び図6の各領域に付した数値は1気筒1ストローク(1膨張行程)当たりの燃料噴射量を表す。これらマップでは、基本的にエンジン負荷が低くなるほど、また、エンジン回転数が低くなるほど後噴射量が多くなるように設定されている。これは、エンジン負荷が低くなるほど、また、エンジン回転数が低くなるほど主噴射による排気ガス温度が低くなり、また、排気ガス量が少なくなるからである。但し、第2後噴射量は第1後噴射量よりも総体的に少なくなるようにしている。
図7は第1後噴射時期マップの一例を示し、図8は第2噴射時期マップの一例を示す。図7及び図8の各領域に付した値はATDC(圧縮行程上死点後)のクランク角を表している。第1後噴射時期については、エンジン出力への影響(トルクショック)を避けながら排気ガス温度を高めるべく、ATDC20〜35゜CA(クランク角)の範囲において、エンジン負荷が高くなるほど、また、エンジン回転数が高くなるほど、遅くなるように設定している。一方、第2後噴射時期については、当該後噴射燃料を酸化触媒で燃焼しやすいように若干熱分解させて排出すべく、ATDC50〜120゜CAの範囲において、エンジン負荷が高くなるほど、また、エンジン回転数が高くなるほど、遅くなるように設定している。
第1後噴射Aの実行により、エンジン1の排気ガス温度が上昇し、それに伴って酸化触媒16は温度が上昇して高い活性を示すようになる。よって、第2後噴射Bによって酸化触媒16に供給される未燃燃料が効率良く酸化燃焼し、フィルタ17に流入する排気ガス温度が高くなって、パティキュレートが着火燃焼し、該フィルタ17の再生が進んでいく。
S5に続くS6では、水温センサ26によって検出されるエンジン水温TWが第3所定値以上になっているか否かを判定する。エンジン水温TWが第3所定値以上になっていないときはS7に進み、パティキュレート捕集量Mが所定値β(例えばフィルタ1L当たり1g)以下になっているか、つまりフィルタ17の再生が終了したか否かを判定する。フィルタ17の再生が終了したときはS8に進んで後噴射A,Bを停止し、リターンする。フィルタ17の再生が終了していないときはS5に戻って後噴射A,Bによるフィルタ17の再生を継続する。
一方、S6においてエンジン水温が第3所定値以上になっていると判定されたときは、S9に進んで第1後噴射A及び第2後噴射Bを抑制する。すなわち、後噴射A,Bを停止する(後噴射量の減量でもよい)。これにより、図9に示すように、第1後噴射Aの実行に伴って上昇していたエンジン水温はオーバーヒートゾーンに入る前に下降していく。
S10ではエンジン水温が第5所定値以下に下がったか否かを判定する。エンジン水温が第5所定値以下になったときはS11に進んで第2後噴射Bの抑制を解除する(第2後噴射Bを再開する)。これにより、酸化触媒16に未燃燃料が供給され、その酸化燃焼熱によって該酸化触媒16及びフィルタ17の温度の過度の低下が防止され、若しくは酸化触媒16及びフィルタ17の温度上昇が図れる。
S12ではエンジン水温TWが第4所定値以下に下がったか否かを判定する。エンジン水温TWが第4所定値以下に下がったときはS13に進んで第1後噴射Aの抑制を解除して(第1後噴射Aを再開して)S7に進む。この場合、前述の如く事前に第2後噴射Bが再開されて酸化触媒16及びフィルタ17の温度低下が防止されているから、第1後噴射Aの再開により、酸化触媒16の温度が高くなったときに、未燃燃料の効率良い酸化燃焼が速やかに始まり、フィルタ17の再生効率が高まる。
また、第3所定値及び第4所定値は、外気温度が0℃を越えて高くなっていくと、閾値補正手段37による補正によって漸次低下していくことから、外気温度が高いときには、エンジン水温が上昇し始めたときに早めに第1後噴射が抑制されることになり、第1後噴射Aによってエンジン水温が過度に上昇しオーバーヒートを招くことが防止される。また、外気温度の変化に対して、第2所定値も第3所定値に連動して略一定の温度差を保って変化するから、第1後噴射Aの実行・停止が頻繁に繰り返されるハンチングが避けられる。
(冷却ファン制御)
以下、冷却ファン20の制御について説明する。
図2に示すように、ECU35内には各センサの信号に基づき冷却ファン20を制御する冷却ファン制御手段38が設けられている。この冷却ファン制御手段38は、冷却ファン20を低回転駆動するLowモードと高回転駆動するHighモードとの2段階に切替える冷却ファン制御を実行するように設定されている。 通常時は、ECU35に入力された水温センサ26の検出信号に基づいて、冷却ファン制御手段38がラジエータファン20を通常冷却ファン制御(図11の○印の実線を参照)のマップに従って駆動制御する。尚、本冷却ファン制御において、Lowモード開始温度は100℃(第2所定値に相当)、Highモード開始温度は108℃(第1所定値に相当)に設定されている。
更に、本冷却ファン制御は、前述した通常冷却ファン制御に加え、フィルタ再生作動中か否かによってHighモード領域を変更する再生時冷却ファン制御(図11の×印の破線を参照)を実行するようになっている。つまり、冷却ファンが駆動している、少なくともエンジン水温が低温ではない状態で、且つフィルタ再生作動中であれば、Highモード開始温度を後噴射抑制開始温度よりも低温側に設定するものである。例えば、後噴射抑制開始温度が108℃の場合、フィルタ再生作動中のHighモード開始温度を104℃に変更し、早期にHighモード制御に入るようになっている。
図10に基づいて、冷却ファン制御のフローチャートを説明する。尚、Si(i=21,22,…)は各ステップを示す。また、本冷却ファン制御は前述したフィルタ再生制御で用いた各種信号や検出結果等を用いているが、基本的に両制御は独立しており、並行処理されるようになっている。
スタート後のS21において、水温センサ26等各センサから各種信号を読込み、S22でエンジン水温がLowモード開始温度(100℃)以上か判定し、Lowモード開始温度以上であればS23に移行する。尚、Lowモード開始温度以上でなければS29に移行し、冷却ファン作動を停止してスタートにリターンする。
次のS23において、フィルタ再生作動中であるか判定する。フィルタ再生作動中か否かの判定は、前述のフィルタ再生制御によって判定した結果を使用している。尚、別途排気圧力センサ18,19の検出信号を用いて判定することも可能である。
フィルタ再生作動中であればS24に移行し、フィルタ再生作動中でない場合には、S27に移行してHighモード開始温度を基本冷却ファン制御同様108℃に設定する。ここで、フィルタ再生作動中とは、フィルタ再生用の後噴射制御を実行しているだけでなく、後噴射抑制制御を実行している場合も含んでいる。
S24において、エンジン温度の上昇し易さに関連するパラメータである、エンジン温度の上昇度合い、エンジントルク、外気温度及び車速に応じてHighモード開始温度を設定する。図12〜図15に示すように、エンジン温度の上昇度合いΔTとモード別開始温度テーブル、エンジントルクとモード別開始温度テーブル、外気温度とモード別開始温度テーブル及び車速とモード別開始温度テーブルとが予め設定され、ECU35内に記憶されている。
図12に示すように、エンジン温度の上昇度合いΔTが大(図中×印)または中(図中△印)の場合、Lowモード開始温度は96℃、ΔTが小(図中○印)の場合、Lowモード開始水温は100℃に設定されている。また、Highモード開始温度は、ΔTが大で100℃、ΔTが中で104℃、ΔTが小で108℃となっている。エンジントルク、外気温度及び車速についても、同様に3通りのモードがテーブルとして設定されている。
夫々のパラメータのテーブルにより、現時点におけるHighモード開始温度を夫々求めた後、最も低い温度を再生時冷却ファン制御で用いるHighモード開始温度として設定する(図11の×印の破線を参照)。尚、本再生時冷却ファン制御では、ファンの回転騒音防止を図るためHighモード開始温度のみの設定としたが、Lowモード開始温度についても前記各テーブルから設定することも可能である。
Highモード開始温度の設定後、S25において、エンジン水温が前記Highモード開始温度より高いか判定し、高い場合、S26においてHighモードによる冷却ファンの作動を行い、低い場合、S28においてLowモードによる冷却ファンの作動が行われてスタートにリターンする。
本冷却ファン制御の実験結果を図16に示す。
破線はフィルタ再生時における後噴射制御補正を行わない場合のエンジン水温の推移、一点鎖線は後噴射制御補正を行う場合のエンジン水温の推移、実線は本冷却ファン制御におけるエンジン水温の推移を示している。
図に示すように、所定時間経過後は、本冷却ファン制御と燃料供給を抑制する後噴射制御補正を用いるフィルタ再生制御とは同様に安定したエンジン水温を得られる。しかし、本冷却ファン制御では、早期に冷却ファンによる強制冷却を開始することから、フィルタ再生制御初期段階におけるエンジン水温上昇の抑制と安定化が図れることが分かる。
本冷却ファン制御の実施例2について図17に基づき説明する。
実施例1と異なる部分は、低回転駆動されるLowモードと高回転駆動されるHighモードとの2段階のモード開始温度がフィルタ再生作動時、双方共低温側に変更される点である。
本冷却ファン制御では、図12〜図15に示す各テーブルによって、パラメータ毎に現時点におけるHighモード及びLowモードの開始温度を夫々求めた後、最も低い温度をHighモードとLowモード開始温度として設定する。その後、フィルタ再生作動と判定された場合、前述した現時点におけるHighモード及びLowモードの開始温度にて冷却ファンの回転数を制御する。これにより、エンジン水温が高温になる前の早い段階から、フィルタ再生による後噴射を考慮した冷却ファン制御が可能となり、更なるエンジン水温上昇の抑制と安定化が図れる。
次に、前記実施例を部分的に変更した変形例について説明する。
1〕前記実施例1,2においては、冷却ファンがHighモード及びLowモードの2段階に制御される例について説明したが、冷却ファンの回転数がデューティ制御され、リニアに回転数が変更されるものにも本制御を適用可能である。
2〕前記実施例1においては、エンジン温度の上昇度合い、エンジントルク、外気温度及び車速のパラメータテーブルによってHighモード開始温度を設定する例について説明したが、前記パラメータに限られるものではなく、エンジン温度の上昇し易さに関連するものであれば他の要素であっても良く、また、何れか1つのみを用いることも可能である。
3〕その他、当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱することなく、前記実施例に種々の変更を付加した形態で実施可能であり、本発明はそのような変更形態も包含するものである。
本発明の実施例1に係るエンジンの制御装置の全体構成図である。 本制御装置のフィルタ再生制御に係るブロック図である。 フィルタ再生制御の第3及び第4の所定値と外気温度との関係を示す図である。 フィルタ再生制御のフローチャートである。 フィルタ再生制御における第1後噴射量の制御マップ図である。 フィルタ再生制御における第2後噴射量の制御マップ図である。 フィルタ再生制御における第1後噴射時期の制御マップ図である。 フィルタ再生制御における第2後噴射時期の制御マップ図である。 フィルタ再生制御におけるエンジン水温の経時変化を示すグラフ図である。 本冷却ファン制御のフローチャートである。 通常冷却ファン制御と再生時冷却ファン制御のマップ図である。 エンジン温度の上昇度合いΔTとモード別開始温度テーブル図である。 エンジントルクとモード別開始温度テーブル図である。 外気温度とモード別開始温度テーブル図である。 車速とモード別開始温度テーブル図である。 本冷却ファン制御の実験結果を示す図である。 本発明の実施例2に係る通常冷却ファン制御と再生時冷却ファン制御のマップ図である。
符号の説明
1 エンジン
3 排気通路
6 ラジエータ
7 燃料噴射弁
14 吸気温度センサ
16 酸化触媒
17 パティキュレートフィルタ
18,19 排気圧力センサ
20 冷却ファン
35 ECU
36 再生手段
37 閾値補正手段
38 冷却ファン制御手段

Claims (3)

  1. エンジンの排気通路に設けられた酸化触媒と、この酸化触媒の下流側に設けられたパティキュレートフィルタと、このパティキュレートフィルタに堆積したすすが所定量以上になった時、燃料の主噴射の後にフィルタ再生用の後噴射を行いフィルタに堆積したすすを燃焼して除去すると共にエンジン温度が後噴射を抑制する後噴射抑制温度以上に上昇した時は後噴射を抑制するフィルタ再生手段とを有するエンジンの制御装置であって、
    エンジンを冷却する冷却ファンと、温度検出手段により検出されたエンジン温度が第1所定値以上になった時、冷却ファンを作動させる冷却ファン制御手段とを備え、
    前記冷却ファン制御手段は、フィルタ再生手段の作動時、第1所定値を前記後噴射抑制温度よりも低くすることを特徴とするエンジンの制御装置。
  2. 前記冷却ファン制御手段は、エンジン温度が第1所定値以上になった時、冷却ファンを所定回転数で作動させると共に、エンジン温度が第1所定値より低い第2所定値以上になった時、冷却ファンを前記所定回転数よりも低い回転数で作動させると共に、フィルタ再生手段の作動時、前記第1所定値のみを前記後噴射抑制温度よりも低くすることを特徴とする請求項1に記載のエンジンの制御装置。
  3. 前記冷却ファン制御手段は、フィルタ再生手段作動時のエンジン温度の上昇度合い、エンジントルク、外気温度及び車速の内の、少なくとも1つのパラメータに応じて前記第1所定値の低下度合いを変更することを特徴とする請求項1又は2に記載のエンジンの制御装置。
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