JP2009208023A - パターンシートの製造方法 - Google Patents

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良夫 阿部
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Abstract

【課題】基材シートの凹部にインクが充填されているパターンシートを製造するにあたり、凹部のインク表面に実質的に凹みがなく、かつ溝以外の部分にはインクが残らないようにする。
【解決手段】表面に溝15等の凹部が形成されている基材シート10の該凹部に光硬化性インク硬化物が充填されているパターンシートを製造する方法において、基材シート10の凹部形成面に光硬化性インク40を塗布する塗布工程、凹部以外にある光硬化性インク40を、そのインクの薄層が残るように除去する硬化前インク除去工程、光照射により酸素暴露下で光硬化性インク40を硬化する光照射工程、光照射工程後、未硬化の光硬化性インク40を除去する硬化後インク除去工程を行う。
【選択図】図1

Description

従来、ディスプレイの前面に設置する視野角制御シートとして、透光層と遮光層を交互に積層し、積層方法に対して垂直にスライスすることにより、ストライプ状の透光部と遮光部を交互に配列させた光学シートが知られている(特許文献1)。しかしながら、この方法では、光学シートを大面積に製造することが難しく、生産効率も非常に低い。
また、断面V字形の溝を多数並列させた透明基材シートを作製し、溝の並列面に遮光性材料としてインクを塗布して溝内にインクを充填し、次いで、余分なインクを掻き取り、インクを硬化させることによりストライプ状の透光部と遮光部を交互に配列させた光学シートを製造する方法が知られている(特許文献2)。この方法によれば、特許文献1の方法に比して大面積のシートを製造し易く、また、生産効率も高い。
このようなインクの掻き取り方法には、一般に、ゴム製スキージ、金属製の掻き取り刃等の掻き取り手段が用いられる。しかしながら、掻き取り時に、掻き取り手段の押圧力が大きすぎると、図7(a)のように、基材シート10の溝15内のインク40の表面に凹みが生じ、反対に押圧力が小さすぎると同図(b)のように溝15以外の部分にインク40が残ってしまう。したがって、同図(c)のように、溝15内のインク40の表面に実質的に凹みがなく、かつ溝15以外の部分にはインク40が残らない状態にすることが困難となっている。
また、インクとして紫外線硬化性インクを使用した場合、紫外線照射時に空気中の酸素により酸素阻害があると紫外線照射をしても硬化が進まなくなる。このため、紫外線照射後に存在する未硬化インクにより、光学シートの透明性が低下したり、取り扱い性が劣ったりするという問題が生じている。
これに対しては、溝15以外の部分にインク40が全く残らないように掻き取り手段の押圧力を強くすることが考えられるが、この押圧力を、溝15内のインク40の表面に凹みが生じない程度とする場合には、インク40と基材シート15との親和性により、基材シート10の表面にインクの薄層が残ることは避けられず、この薄層も除去できるように押圧力を強めると、図7(a)に示したように溝15内のインク40の表面に凹みが生じてしまう。
特開昭50−092751号公報 特開2006−178092号公報
上述の従来技術の課題に対し、本発明は、基材シートの凹部に光硬化性インク硬化物が充填されているパターンシートを製造するにあたり、凹部のインク硬化物表面に実質的に凹みがなく、溝以外の部分にはインク硬化物も未硬化インクも残らないようにすることを目的とする。
本発明者は、インクとして光硬化性インクを使用した場合に、光照射後にも掻き取りを行うことにより未硬化インクを除去すると、光照射前の掻き取り工程で凹部以外にインクの薄層を残し、凹部内のインク表面には実質的に凹みがないようにインクを除去すると上述の目的を達成できることを見いだした。
即ち、本発明は、表面に凹部が形成されている基材シートの該凹部に光硬化性インク硬化物が充填されているパターンシートの製造方法であって、
基材シートの凹部形成面に光硬化性インクを塗布する塗布工程、
凹部以外にある光硬化性インクを、そのインクの薄層が残るように除去する硬化前インク除去工程、
光照射により酸素暴露下で光硬化性インクを硬化する光照射工程、
光照射工程後、未硬化の光硬化性インクを除去する硬化後インク除去工程、
を有することを特徴とするパターンシートの製造方法を提供する。
本発明の方法によれば、光硬化性インクを使用し、基材シートに光硬化性インクを塗布した後、光照射前には凹部以外の光硬化性インクをその薄層が残る程度に除去するので、それにより凹部内のインク表面が凹むことはない。そして薄層として残したインクは光照射時の酸素阻害により光照射後にも未硬化インクとして残るが、光照射後に行うインクの除去では、この未硬化インクを容易に除去することができる。したがって、光照射前に凹部以外のインクを厳密に除去しなくても、凹部内にインク硬化物がその表面が凹むことなく充填され、凹部以外の部分には、インク硬化物も未硬化インクも残っていないパターンシートを容易に得ることができる。
以下、図面を参照しつつ、本発明を詳細に説明する。なお、各図中、同一符号は、同一又は同等の構成要素を表している。
図1は、本発明の一実施例の方法を行う装置の説明図である。
本実施例は、表面に複数の凹部が形成されている基材シートとして、図2に示すように、その片面に断面略V字形の複数の溝15がストライプ状に多数並設された透光性基材シート10を使用し、その溝15にインクを充填することにより、パターンシートとして、図3に示す光学シート1を製造する方法である。この光学シート1は、視野角制御フィルター、拡散性制御フィルター、コントラスト改善フィルター等として用いられる。
本実施例の方法では、図1に示すように、まず、溝15の延設方向と基材シート10の走行方向を略一致させた状態で、インク塗布装置30により基材シート10の溝形成面の略全面に光硬化性インク40を塗布する塗布工程を行う。
ここで、基材シート10としては、例えば、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリカーボネート樹脂等の熱可塑性樹脂を用いて押出成形により製造したものを使用することができる。また、押出成形に代えて、透明シートと成型用金型との間に紫外線硬化樹脂を充填し、転写成形する方法(2P成形法(Photo Polymerization process))により製造したものでもよい。
本発明において、基材シート表面の凹部の形状には特に制限はないが、本実施例の基材シート10では、光学シート1に要求される視野角や成形性の点から、断面略V字形の溝15の深さL1と溝15の幅L2 の比L1/L2 を2〜10程度とする。溝15のピッチは、光学シートに要求される高精細化と基材シート10の成型用金型の耐久性や成形性の点から、50〜500μmとすることが好ましい。また、基材シート10の厚さは、溝15の深さL1 の1.5〜3.5倍とすることが好ましい。
本発明において、凹部の断面形状としては、上述した実施例の略V字形の溝15の他、U字形、多角形等でもよい。また、凹部の配列は、直線状、点線状、波線状、格子状であってもよい。このほか、凹部は、ランダムあるいは特定のパターンに配列された穴でもよい。
インク塗布装置30としては、公知の手段を使用することができ、カーテンコータ、ロールコータ等をあげることができる。
光硬化性インク40としては、光硬化性樹脂、特に、紫外線硬化性樹脂等をバインダとし、遮光性材料を含有したものを使用できる。インク粘度は、0.1〜20Pa・秒(25℃、E型粘度計、0.5rpm)が好ましい。これより低いとインク中に泡が発生して欠陥が形成される場合があり、反対に、インク粘度がこれより高いと、基材シート10の溝15内に十分に光硬化性インク40を充填することが困難となる。
光硬化性インク40中の遮光性材料としては、染料、カーボン粒子、有色顔料、白色顔料、光拡散材等を使用できる。基材シート10の材料と遮光性材料との組み合わせによっては、基材シート10が染色される場合があるので、遮光性材料としては、顔料やカーボン粒子が好ましい。遮光性材料が顔料やカーボン粒子である場合に、その好ましい粒径は1〜20μmである。これより小さいと遮光性が不十分となる場合があり、これより大きいと、粒子自身が異物のように働き、インク塗布装置30や、後述するロールナイフのエッジ33aに詰まるなどの不具合を生じる場合がある。
基材シート10に光硬化性インクを塗布した後は、溝15以外の光硬化性インク40を、その薄層を残して除去する硬化前インク除去工程を行う。そのために使用するインク除去手段31としては、一般的なゴム製スキージ、金属性掻き取り刃、ゴムロール、金属ロール、ロールナイフ等を用いることができる。特に、図4に示すようなロールナイフ33を使用することが好ましい。
ロールナイフ33は、円柱ロールに、ロール幅方向に沿って溝を切り欠いた形状をしている。ロールナイフ33は、一般的なゴム製スキージや金属性掻き取り刃と比較して剛性が高く、掻き取り部(エッジ33a)がうねりにくいので掻き取りムラを少なくすることができる。また、エッジ33aが、円弧の一部である曲面と切欠部の平面である側面33bとで構成されるので、溝15へ光硬化性インクを充填する効果が高い。
ロールナイフ33には、基材シート10を挟んでバックアップロール32等の支持部材を対峙させることが好ましい。
ロールナイフ33とバックアップロール32を用いて掻き取りを行うと、これらで基材シート10に大きな押圧力をかけても、基材シート10がたわむ、うねるなどの変形が生じにくいので、十分に掻き取りをすることができる共に、掻き取りムラを少なくすることができる。
インク除去手段31と硬化手段50の間には、必要に応じて、補助インク除去手段35を設けても良い。補助インク除去手段35としては、前述のインク除去手段31と同様のものを用いることができる。
硬化前インク除去工程におけるインク除去の程度は、必ずしも図7(c)に示したように、溝15内の光硬化性インク40の表面に実質的に凹みがなく、かつ溝15以外の部分には光硬化性インク40が残っていない状態に厳密に制御することは不要であり、溝15以外にある光硬化性インク40の薄層が残る程度とする。より具体的には、インク除去手段31の基材シート10に対する押圧力を、溝15内の光硬化性インク40の表面に凹みを生じさせない最小限の押圧力程度に調整すればよい。それにより、溝15以外の部分には、光硬化性インク40と基材シート10との親和力により0.1〜3μm程度の薄層が残ることとなる。
次に、基材シート10の凹部形成面に塗布した光硬化性インク40を酸素暴露下で光照射し、インクの最表面には酸素阻害が起こるように硬化する光照射工程を行う。ここで光照射装置としては、光硬化性インクの硬化波長に応じた露光光を照射するものを使用し、光硬化性インクが紫外線硬化性インクの場合には、紫外線照射装置を使用する。
なお、光照射工程では、基材シート10の凹部形成面に塗布した光硬化性インク40の硬化が最表面以外は充分硬化されるように照射することが好ましい。
光照射工程後には、光照射後にもなお未硬化の光硬化性インクを除去する硬化後インク除去工程を行い、溝15内にインク硬化物を残し、光学シート1を得る。
そのための硬化後インク除去手段60としては、硬化前インク除去工程で用いるインク除去手段と同様とすることができるが、この場合のインク掻き取りの程度は、硬化前インク除去工程より大きくしたり、硬化後インク除去手段60における刃先の固さを硬くしても良い。これにより、溝以外の部分に硬化インクが残っていた場合に、それを積極的に除去することができる。
硬化後インク除去工程に用いるインク除去手段としては、硬化前インク除去工程で用いるロールナイフ、スキージ等のインク除去手段の他、粘着ロール、粘着シート等を用いることができる。
なお、一般に、基材シートの溝にインクを充填した光学シートには、その保管や移動中の光学シートの表面を保護するために、保護シートを積層する工程や、保護シートと共に巻き取る巻取工程が行われる場合があるが、その場合の保護シートとして、粘着シートを使用し、その粘着面を光学シートのインクの塗布面側に向けて重ね合わせても良い。その後、この光学シートの使用時に、粘着シートを剥離することにより、未硬化状態で残存していたインクを光学シートから除去することができるので、本来の保護シートとインク除去手段としての機能を兼ねさせることができるので効率的である。
本発明の方法は、光学シートを始め、光硬化性インクの充填パターンを有する種々のパターンシートの製造に適用することができる。また、本発明の方法により製造した光学シートには、必要に応じて、その片面又は両面に、光拡散性粒子を分散させた光学シート、着色シート、防眩シート等を配置してもよい。
本発明の方法により得られた光学シートは、プラズマディスプレイ、液晶ディスプレイ等のディスプレイパネルの前面に装着して、あるいは背面投写型スクリーンとして、用いることができる。その場合、光学シートの装着方向は、外光コントラストの向上、視野角制御などの目的に応じて、インクを充填した溝を、観察者側に向けたり映像光源側に向けたりすればよい。また、光学シートは、液晶ディスプレイ等のバックライトの拡散性制御シートとして用いることができる。
透明な125μm厚ポリエチレンテレフタレート製フィルム(以下、PETフィルムという)12と成形用金型との間に、ウレタンアクリレート系紫外線硬化性樹脂(以下、2P樹脂という)を充填し、紫外線照射で硬化させることにより金型の凹凸を2P樹脂に転写成形する方法(2P成形法)によって、図5に示すように、断面略V字形の溝15が複数並列している2P樹脂層11とPETフィルム12との積層体からなる基材シート10を作製した。
ここで、基材シート10の表面形状の寸法は次の通りである。

溝15の深さL1 :0.15mm
溝15の幅L2 :0.03mm
溝15の底幅L3 :0.005mm
溝のピッチL4 :0.10mm
溝15の底面とPETフィルムとの距離L5 :0.05mm
PETフィルム12の厚さL6 :0.125mm
次に、図1に示した装置を用い、インク塗布装置30として転写ロールコータを使用することにより基材シート10の溝形成面に光硬化性インクを塗布し、以下の仕様のロールナイフ33、バックアップロール32、及びステンレスブレードからなる補助インク除去手段35を用いて硬化前インク除去工程を行うことにより、溝15のみに光硬化性の黒色インクを充填した。
ここで、黒色インクとしては、基材シート10に用いたものとは異なる2P樹脂に平均粒径5μmのカーボン粒子を30wt%分散させたものを使用した。
次に、硬化手段50として紫外線照射装置を用いて黒色インクを硬化させ、さらに以下の仕様のステンレスブレードからなる硬化後インク除去手段60を用いて硬化後インク除去工程を行い、視野角制御シート1を得た。
ロールナイフ33の仕様
鉄ロール(表面クロムメッキ)
半径:125mm
エッジ形状:図4、切欠部の側面33bの高さLr1=5mm
バックアップロール32の仕様
ゴムロール
ゴム硬度(JIS K6253に準ずる):80度
半径:150mm
基材シート10に対するロールナイフ33の押し圧:1000N/m
ステンレスブレード(補助インク除去手段35,硬化後インク除去手段60)の仕様
ステンレスブレード本体の厚み:0.2mm
ブレード先端角:30度
ブレード傾き角:70度
押し圧:100N/m
ライン速度:3m/分
比較例1,2
実施例1と同様の基材シート10を作製した。
次いで、硬化後インク除去工程を行わない以外は実施例1と同様にして溝15のみに光硬化性の黒色インクを充填した。ただし、ロールナイフ33の押し圧は1300N/m(比較例1)と800N/m(比較例2)の二水準とした。
評価
実施例1及び比較例1、2で作製した視野角制御シートのインクの凹み量を測定した。ここで、インクの凹み量は、図6に示すように、視野角制御シート1の上面と、溝に充填されたインク40の表面で最も凹んでいる部分との距離L7 である。
また、実施例1及び比較例1、2の視野角制御シートを透過型液晶表示装置の前面に装着し、明室内で画面の明るさ、シートの外観及び外光コントラストを目視評価した。
結果を表1に示す。
Figure 2009208023
比較例1の帯状ムラはインクの凹み量が場所により異なることによるものと推定される。
実施例1によると、溝におけるインクの充填状態について、掻き取りムラが少なく、また掻き取り残りも無く、インクの凹み量が少なかった。
本発明は、ディスプレイやスクリーンの視野角制御シート、拡散制御シート、コントラスト改善シート等の光学シートの製造技術として有用である。
実施例の方法を行う装置の説明図である。 基材シートの斜視図である。 光学シートの斜視図である。 ロールナイフの斜視図である。 実施例で用いた基材シートの断面図である。 インクの凹み量の説明図である。 掻き取り後の基材シートの断面図である。
符号の説明
1 光学シート(視野角制御シート)
10 基材シート
11 2P樹脂層
12 PETフィルム
15 溝
30 インク塗布装置
31 インク除去手段
32 バックアップロール
33 ロールナイフ
33a エッジ
33b 切欠部の側面
35 補助インク除去手段
40 光硬化性インク
50 硬化手段
60 硬化後インク除去手段
L1 溝の深さ
L2 溝の幅
L3 溝の底幅
L4 溝のピッチ
L5 溝の底面とPETフィルムとの距離
L6 PETフィルムの厚さ
L7 凹み量
Lr1 ロールナイフの切欠部の側面の高さ

Claims (3)

  1. 表面に凹部が形成されている基材シートの該凹部に光硬化性インク硬化物が充填されているパターンシートの製造方法であって、
    基材シートの凹部形成面に光硬化性インクを塗布する塗布工程、
    凹部以外にある光硬化性インクを、そのインクの薄層が残るように除去する硬化前インク除去工程、
    光照射により酸素暴露下で光硬化性インクを硬化する光照射工程、
    光照射工程後、未硬化の光硬化性インクを除去する硬化後インク除去工程、
    を有することを特徴とするパターンシートの製造方法。
  2. 硬化前インク除去工程で、光硬化性インクを凹部以外の基材シート表面に0.1〜3μm残す請求項1記載の製造方法。
  3. 基材シートが透光性であり、表面の凹部として、複数並設された断面V字形の溝を有し、パターンシートが光学シートである請求項1又は2記載の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2013080021A (ja) * 2011-09-30 2013-05-02 Dainippon Printing Co Ltd 光学シートの製造方法
KR101456147B1 (ko) * 2013-04-01 2014-11-03 (주)피엔티 원단의 패턴 홈 충전 장치

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