JP7363202B2 - ロール体およびロール体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明の実施形態は成形物品を連続的に製造するためのロール体、及びロール体の製造方法に関する。
従来、マイクロレンズ等の光学製品を連続的に製造するために、成形用のロール体を用いている。ロール体には凹凸面を有したレリーフ層が備えられており、そのようなロール体を量産する方法として、ロールツーロールのUVナノインプリント法を用いた方法が知られている。
この方法は、まず紫外線硬化性組成物を含む塗工液を基材または原版に塗工し、次いで、基材と原版とを塗工液を介して圧接する。そして、塗工液に紫外線を照射した後、硬化した塗工液を基材とともに原版から剥離する。これによって、基材とレリーフ層とを備えるロール体を得る(例えば、特許文献1)。
しかしながら、上記の方法ではロール体を巻き取る際に、表面の絵柄の凹凸によって巻き取りの圧力が不均一な部分が生じることで正常に巻き取られず、巻きズレを生じることがあった。また長尺のロールを分割するため、スリットを入れる際にも巻きズレが発生しやすいという問題があった。また巻きズレに伴い、ロール体にたわみが生じ、ロール体を加工装置内で搬送する際に蛇行する等の不具合のおそれがあった。
また、巻きズレによりフィルムロールに傷が入ると、絵柄領域の凹凸構造が表現する光学効果が損なわれるという問題もある。
特開2003-305736号公報
上記の問題点に鑑み、本発明は、ロール体の巻きズレによる製品の傷を防止し、フィルムロールの巻き姿が良好なロール体を提供することを課題とする。また、巻きズレを防止するための手段を有するロール体の製造方法を提供することを課題とする。
本発明はこれらの課題を解決すべくなされたものである。
すなわち本発明の第1の側面は、
少なくとも片面にエンボス面を有するエンボス層を備えるフィルムが巻かれたロール体であって、
エンボス面には、光を複数の方向に反射する凹凸状の反射構造により構成される絵柄を有する複数の絵柄記録領域と、
ロール体の幅方向に延在し、側面と頂面からなる突起状のリブ状構造を有する複数のリブ領域とを備え、
複数のリブ領域の間に絵柄記録領域が配置され、リブ状構造の頂面は平坦であり、リブ状構造の高さは、反射構造の頂点より高いことを特徴とするロール体である。
また、第2の側面は、
前記リブ状構造の頂部は、光を散乱する散乱構造であるロール体である。
第3の側面は、
前記リブ状構造の側面は傾斜しており、側面と頂面との間に曲面を有することを特徴とするロール体である。
第4の側面は、
前記リブ状構造の側面の断面形状は、傾斜してかつ丸みを有しており、前記丸みはリブ状構造の中心に向かって凸の曲線となっていることを特徴とする請求項1または2に記載のロール体である。
第5の側面は、
前記リブ領域と前記絵柄記録領域の間に平坦面を有することを特徴とするロール体である。
第6の側面は、
前記絵柄記録領域のロール端側に台形構造を有することを特徴とするロール体である。
第7の側面は、
前記絵柄記録領域は、前記反射構造の凹凸の高さ(または深さ)/ピッチ比で表されるアスペクト比が0.3以上3.0以下で、反射構造の凹凸のピッチが0.1μm以上15μm以下であることを特徴とするロール体である。
第8の側面は、
前記絵柄記録領域は、250nm以上410nm以下の波長領域の紫外線を吸収し、硬化する紫外線硬化性樹脂からなることを特徴とするロール体である。
第9の側面は、
前記リブ領域は、300nm以上410nm以下の波長領域の紫外線を吸収し、硬化する紫外線硬化性樹脂からなることを特徴とするロール体である。
第10の側面は、
前記ロール体の製造方法であって、
ロール体のエンボス層にエンボス面を転写形成するための凹凸構造成型層と積層体用基材とを有する積層体を作製する積層体作製工程と、
前記積層体の凹凸構造成型層の上に紫外線硬化性樹脂からなるエンボス層を塗布形成するエンボス層塗布工程と、
エンボス層の上に基材をラミネートするラミネート工程と、
基材上から紫外線を照射してエンボス層を硬化させる紫外線硬化工程と、
積層体用基材を剥離しながらロール体を巻き取る巻き取り工程とを備え、
前記エンボス層塗布工程から前記巻き取り工程までの工程がロールツーロール方式で行われることを特徴とする、ロール体の製造方法である。
第11の側面は、
前記ロール体の製造方法において、
前記積層体作製工程が、
積層体用基材上にリブ領域を塗布形成するリブ領域形成工程と、
紫外線硬化性樹脂からなる凹凸構造成型層を塗布し、前記反射構造を転写するための賦形版を用いて熱圧成形することで、凹凸構造成型層に反射構造を転写形成する熱圧成形工程と、
紫外線照射によって凹凸構造成型層を硬化させる紫外線照射工程と、
積層体と賦形版をロール状に巻き取ることで離型する巻き取り工程とを備える、
ことを特徴とするロール体の製造方法である。
本発明のロール体は、リブ領域のリブ状構造によって、ロール体が巻き取られる際の巻き取り圧力がリブ領域にかかり、絵柄記録領域では巻き取り圧力が緩和されることにより、巻きの形が崩れて巻きズレとなることを防止し、これによる製品の傷を防止し、フィルムロールの巻き姿が良好なロール体が得られる。
また、本発明によるリブ状構造によって、巻き取り工程におけるセンサーマークとして絵柄記録領域を検出できることにより、ロール体の次工程への利用を想定した機能を持ち合わせることができる。
また、本発明によるリブ状構造によって、転写形成した積層体のリブ領域において良好な形状が得られる。
本発明の実施形態に係るロール体の構造を示す概略断面図である。 ロール体を剥離ロールから剥離した後の平面図である。 本発明の実施形態に係る積層体の製造方法の例を示すフローチャートである。 本発明の実施形態に係るロール体の製造方法の例を示すフローチャートである。 (a)リブ構造領域層に凹凸構造成型層を塗工した積層体の断面図である。(b)本発明の実施形態に係る積層体の例を示す断面図である。(c)本発明の実施形態に係る積層体の例を示す平面図である。 本発明の実施形態における凹凸状の反射構造から成るパターン形状の例を示す平面図である。 本発明の実施形態における凹凸状の反射構造から成るパターン形状の例を示す断面図である。 図7に示す凹凸状の反射構造のX-X切断面の例を示す断面図である。 本発明の実施形態に係る製造工程の例を示す概略図である。 積層体にキャスト材料を塗工した積層体の断面図である。 積層体にキャスト材料を塗工し、基材でラミネートした積層体の断面図である。 図11のラミネート基材側から紫外線照射する際の積層体の断面図である。 本発明の実施形態に係るロール体の例を示す立体図である。 ロール体剥離後の積層体の断面図である。 ロール体の一面図である。 本発明の実施形態に係る製造工程の例を示す概略図である。 センサーによるセンサーマーク読み取りを示す概略図である。 (a)リブ構造領域層を基材に塗工した積層体の断面図である。(b)リブ構造領域層を基材に塗工した積層体の断面図である。(c)リブ構造領域層を基材に塗工した積層体の断面図である。 (a)積層体とキャスト材料の界面で剥離し、得られたロール体の断面図である。(b)積層体とキャスト材料の界面で剥離し、得られたロール体の断面図である。 (a)リブ構造領域層を基材に塗工した積層体の断面図である。(b)リブ構造領域層を基材に塗工した積層体の断面図である。 (a)~(g)積層体の形成工程及びロール体の剥離工程を示す断面工程図である。 (a)~(g)積層体の形成工程及びロール体の剥離工程の他の例を示す断面工程図である。
以下、本発明の実施形態について図を参照しながら詳細を説明する。
(ロール体)
まず図1は、本発明の実施形態においてロール体の積層構成を示す概略断面図である。ロール体10は、樹脂フィルムからなる基材110の上に、エンボス面を有するエンボス層100が積層され、その上にリブ領域102として凹凸マクロ構造部41およびリブ構造形成層31が部分的に積層されている。
ここでロール体10はエンボス層100を備え、エンボス層100は少なくとも片面にエンボス加工を施したエンボス面を備えている。
更にエンボス面には、光を複数の方向に反射する反射構造を備えた複数の絵柄記録領域101と、前記ロール体10の幅方向(図1では紙面に直交する方向)に延在し、側面と頂面を有するリブ状構造を備えた複数のリブ領域102とを備えており、複数のリブ領域102の間に絵柄記録領域101があり、リブ状構造の頂面は平面であり、リブ状構造の高さは、絵柄記録領域101の反射構造の頂点より高い。
図2はロール体を剥離ロールから剥離した後の状態を示す平面図である。
リブ領域102のリブ状構造は、ロール体の長手方向(=巻取り方向)に垂直の方向に延在している。このリブ状構造は、図1に示すように頂面が平面、すなわち高さが一定であり、また絵柄形成領域より高いため、ロール体が巻き取られたときに、リブ状構造の頂面に巻き取りの圧力がかかる。このため、絵柄形成領域101では、巻き取りの圧力が緩和される。なお、図2のY-Y’方向における断面が図1に対応する。
また、リブ状構造の頂面に巻き取りの圧力が集中することで、そこでの摩擦が高まるため、巻きの形が崩れてロール体に皺ができたりすることを防止できる。また、頂点が平面であることで、過剰な圧力の集中を防止しつつ、リブ状構造のロール内での摩擦を高める。また、リブ状構造は、ロールの長手方向に垂直な方向、すなわちロールの幅方向に延在しているため、長手方向にカッター刃を入れ、幅方向に複数のストライプ状のロールに分割されるようにスリットした際にも、各ストライプにリブ状構造が残る。そのため、特に巻きズレの問題が発生しやすいスリット後での巻きズレを防止できる。
また、リブ領域102とリブ領域102の間に絵柄があるため、ストライプから、絵柄記録領域101を被転写体に転写する際に、リブ領域102のリブ状構造をセンサーマークとして、絵柄記録領域101を転写装置のセンサーで検出することができる。
図17に、センサー160によりロール体10上のセンサーマーク161(=リブ領域)を検出する状態を示す。
リブ領域102と絵柄記録領域101の間には、反射構造を設けない非構造形成領域を設けてもよい。非構造形成領域を設けることで、センサーが絵柄記録領域101の構造をリブ状構造のセンサーマークと誤認識することによる誤作動を防止できる。
リブ領域102は、絵柄記録領域101のロール体の幅方向の絵柄の最大幅より長くできる。この最大幅をロール有効幅とする。これにより、ロール体中の絵柄が記録されているロール有効幅全域で、リブ領域とリブ領域の間では、巻き姿が崩れないため、有効幅でのロール体のたわみ等を防止できる。ロール体のたわみは、ロール体を順次、加工機中で搬送する際に、搬送の蛇行等の原因となる。そのため、このたわみを抑制することは、加工適性向上につながる。
尚、絵柄形成領域101のロール体幅方向での両端に、絵柄を設けないマージン領域を設けてもよい。マージン部分のロール体の厚みは、絵柄記録領域101の最大厚みより薄くできる。このように絵柄記録領域101より薄いマージン領域は、ロール体の巻きの状態では、マージン同士が接触せず、浮きのある状態となる。
浮きのある状態で巻かれた部分は、浮きがなく接触した状態で巻かれた部分より密度が小さいため、剛性が低い。つまり、剛性の高い絵柄記録領域に対して、その両端の剛性が低い、すなわちマージン領域は柔軟な領域となる。
このマージン領域は、巻き状態で保管する際のクッションとなる。このクッションは、巻き状態で保管した際に、剛体が衝突した際に、絵柄記録領域を保護することができる。また、ロール有効幅より長いリブ状構造は、マージン領域に剛体が衝突した際に絵柄記録領域101が変形することを防止する。このマージンの柔軟性と、絵柄記録領域101の剛性は相乗的にロール体を保護する機能を発揮する。
リブ領域102のリブ構造形成層31は、さらに、光を散乱する材料で形成される。絵柄記録領域101が反射構造による光学的効果を有することで意匠性を高める効果があるのに対し、リブ領域102が光を散乱して反射が小さくなり目立たなくなることで、絵柄記録領域101の意匠性が一層高められるという効果を発揮する。また、リブ領域102と絵柄記録領域101は、濃淡が異なる材料で形成されてもよい。リブ領域102に散乱性や濃淡といった効果を加えることで、後工程においてリブ領域102をセンサーマークとして活用できる。
なお、具体的な材料については後述する。
次に、ロール体10を製造するための転写形成に用いられる、積層体20について説明する。
(積層体)
図5(a)、(b)に、積層体20の形成工程の断面図を示す。
図5(a)では、積層体用基材30上に、後の工程でロール体10のリブ領域102に相当するリブ構造領域層31が形成されており、さらにリブ構造領域層31を覆うように凹凸構造成型層40が積層されている。このとき凹凸構造成型層40の表面はフラットな状態である。
次に図5(b)では、凹凸構造成型層40の表面に凹凸構造が形成されている。詳しくは後述するが、別途用意される賦形版を用いて熱圧成形を施すことにより、このような凹凸構造が形成される。凹凸構造は、凹凸マクロ構造部41と、リブ状構造部42からなる。
なお、図5の積層体を図1のロール体と対応させると、凹凸マクロ構造部41はロール体10の絵柄記録領域101に対応し、リブ状構造部42はロール体10のリブ領域102に対応する。
図5(c)は、積層体20の平面図を示している。積層体の幅方向に延在するリブ状構造部42と、凹凸マクロ構造部41とが、巻取り方向に繰り返し形成されている。凹凸マクロ構造部41の中には、ロール体10の絵柄に相当する凹凸構造形成部61がある。
(基材)
積層体用基材30は、プラスチックフィルムを用いることができる。プラスチックフィルムは、実質的に透明で、特に紫外線領域及び、紫外線近辺の可視領域で透過性にできる。特に、g線=436nm、h線=405nm、i線=365nmの波長の光を透過するものにできる。また、250nm以上、450nm以下の波長の紫外線、可視光を透過するものにできる。
積層体用基材30は、熱圧成型時の温度に耐えられる材料であればいずれも用いることができ、具体的には、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート、アクリル樹脂などを例示することができる。またプラスチックフィルムは、二軸延伸フィルムとすることができる。
二軸延伸フィルムの延伸倍率は、高いほど強度が大きくなりやすいが、熱圧成型時に収縮しやすい。そのため、強度と、熱圧成型時の収縮の観点から、延伸倍率は、2.0以上、6.0以下とすることができる。
また、積層体用基材30は、凹凸構造成型層40を硬化させるための紫外線を20%以上透過することが望ましい。これは、凹凸構造成型層40を硬化させる紫外線の照射が、積層体用基材30側から実施されるためであり、透過率が低すぎると、凹凸構造成型層40の硬化に時間を要することとなるためである。
このような積層体用基材30の厚さは、16~100μmのものが好適に用いられる。また、積層体用基材30は、サンドブラスト処理や溶剤処理法などによる表面凹凸処理、あるいはコロナ放電処理、オゾン・紫外線照射処理などの表面の酸化処理、または帯電防止処理や易接着層の塗布処理など、各種処理が施されてあっても何ら問題ない。
(リブ構造領域層)
リブ構造領域層31の材料としては、耐熱性の高いもの(耐熱性樹脂)が使用され、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、紫外線あるいは耐熱性の高い熱硬化性樹脂や電子硬化性樹脂あるいは熱可塑性樹脂の中でも耐熱性の高い、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、環状ポリオレフィン共重合体、編成ノルボルネン系樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリイミド樹脂、ニトロセルロース樹脂等の使用が望まれる。
リブ構造領域層は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、紫外線あるいは電子線硬化性樹脂とすることができる。これらの材料は、容易に基材から剥離できるようにしてもよい。また柔軟性、箔切れ性の観点からは、熱可塑性樹脂が適する。
熱可塑性樹脂は、例えば熱可塑ポリアクリル酸エステル樹脂、塩化ゴム系樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂、セルロース系樹脂、塩素化ポリプロピレン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂、ニトロセルロール系樹脂、スチレンアクリレート系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂の単独、混合物あるいは、複合物とすることができる。
また、リブ構造領域層の材料には、ワックス、パウダー、滑材、フィラーを添加することもできる。
例えば箔切れ性や耐摩耗性を考慮し、ワックスは、石油系ワックス、植物系ワックスとできる。滑材は、ステアリン酸等の高級脂肪酸の金属塩、シリコンオイルとできる。パウダーは、フッ素樹脂パウダー、ポリエチレンパウダーとできる。フィラーは、ポリマーフィラーまたは、無機フィラーとできる。ポリマーフィラーは、シリコーン粒子やアクリルニトリル粒子とできる。無機フィラーは、シリカ粒子とできる。
なお、このリブ構造領域層31は前述のロール体10に備えたリブ構造領域層31と同じものであり、積層体20からロール体10に移転される。また、リブ構造領域層31は光を散乱することで、絵柄記録領域101の意匠性が一層高められる効果を奏するので、さらに光を散乱する材料とすることがある。
(凹凸構造成型層)
凹凸構造成型層40は、熱による軟化性および紫外線照射による硬化性を有する樹脂であればいずれも用いることができる。溶剤を含む塗布液として、基材上に塗布ならびに乾燥することによって形成することができる。
積層体用基材30上に凹凸構造成型層40を塗布する方法は、特に制限は無く、公知の方法、例えばグラビアコート法、バーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法などを塗布する塗布液の粘度や厚みに応じて適宜選定して用いることができる。
塗布ならびに乾燥した後の凹凸構造成型層40の厚みとしては、0.1~50μmであり、さらには0.1~30μmの厚さでよいが、凹凸構造の設計高さによって適宜設定膜厚を変更することができる。
凹凸構造成型層40を硬化するための紫外線は、少なくとも300nm以上410nm以下の波長領域に吸収を示し、さらには、360nm以上370nm以下の波長領域に吸収を示す。
凹凸構造成型層40は、さらに、250nm以上300nm以下の波長領域の紫外線を20%以上透過する。
凹凸構造成型層40は、常温においてタックフリーであり、熱による軟化性と紫外線照射による硬化性を有する樹脂であればいずれも用いることができる。
ここで、タックフリーとは、例えばエタノール等で洗浄した指先で塗布膜に触れた際に、指先に付着しない状態と言えるが、さらに望ましくは、凹凸構造成型層40を塗布した積層体用基材30を複数枚重ね合わせ、25℃、65%RHの恒温恒湿槽に16時間程放置してもブロッキングが認められないものであることが望ましいと言える。
これは、ブロッキングにより、生産性が低下するほか、凹凸構造成型層40の塗布面に面荒れが発生し、成形性にも影響を与えるためである。
紫外線硬化性の樹脂には、溶剤を用いてもよい。溶剤を樹脂に添加することで、すなわち液状の紫外線硬化樹脂を用いた場合には、成形層の厚みを均一にしやくなる。さらには平坦構造と高アスペクト構造の境界部分において、気泡の混入を防止することができる。そのため、気泡の混入による硬化不良などの不具合の発生を低減できる。
これは、液状の紫外線硬化樹脂を賦形版と基材の間に供給するため、賦形版の凹部に残された空気が逃げ道を失い、凹凸マクロ構造部と平坦部の境界にたまり易く、また、空気中に含まれる酸素の影響で、硬化が十分に進まない部分が発生するためと思われる。
常温においてタックフリーであり、熱による軟化性と紫外線照射による硬化性を有する樹脂としては、特に限定するものではないが、ウレタン樹脂アクリレート、アクリル樹脂アクリレートやエポキシ樹脂アクリレートなどのポリマー型アクリレートなどを例示することができ、中でもアクリル樹脂アクリレートを含むことが望ましいと言える。
アクリル樹脂アクリレートとは、アクリル骨格の側鎖に反応性の官能基を有する反応性アクリルポリマーであり、常温におけるタックフリー性と、凹凸構造の成形性等を考慮すると、重量平均分子量(Mw)が50,000以上であり、且つベース樹脂主鎖のガラス転移温度(Tg)が65℃以上であることが望ましい。
凹凸構造成型層40は、必ずしも単独の樹脂からなる必要はなく、複数の樹脂を組み合
わせて用いられてあってもよい。
また、凹凸構造成型層40には、光重合開始剤のほか、増感剤、粘度調整剤、各種溶媒などが添加されてあっても良い。
凹凸構造成型層40は、硬化させるために照射するLED光を吸収する必要があり、少なくとも300nm以上410nm以下の波長領域に吸収を示し、さらには、360nm以上370nm以下の波長領域に吸収を示す。
光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、メチル-o-ベンゾイルベンゾエート、4-メチルベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン、2-(ジメチルアミノ)-2-〔(4-メチルフェニル)メチル〕-1-〔4-(4-モルホリニル)フェニル〕-1-ブタノンなどのアルキルフェノン系、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイドなどのアシルフォスフィンオキサイド系、1,2-オクタンジオン,1-〔4-(フェニルチオ)-2-(0-ベンゾイルオキシム)〕、エタノン,1-〔9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル〕-1-(0-アセチルオキシム)などのオキシムエステル系、などの各種光重合開始剤を例示することができるが、これらに限定されるものではない。
上述のような凹凸構造成型層40は、溶媒を含む塗布液として、積層体用基材30上に塗布ならびに乾燥することによって形成することができる。
塗布ならびに乾燥した後の凹凸構造成型層40の厚みとしては、0.1~50μmであり、さらには0.1~30μmの厚さである。
この厚みは、設計した凹凸マクロ構造部41の構造高さ、あるいは深さによって変わる。しかし、0.1μm以下であると成形硬化時に凹凸構造成型層40表面が酸素阻害を受け、十分な硬化反応が望めない。さらに、50μm以上であると均一な凹凸構造成型層40を設けることが困難となる。
凹凸構造成型層40に用いる紫外線硬化性の樹脂として、無溶剤型の樹脂を用いることは適しない。無溶剤型の樹脂、すなわち液状の紫外線硬化樹脂を用いた場合には、成形層の厚みを均一にすることが難しく、さらには平坦構造と高アスペクト構造の境界部分において、気泡が入り易く、それに起因する硬化不良などの不具合が発生しやすい。
図6では、凹凸マクロ構造部41において、2種類の凹凸構造形成部61、61’によって、パターン形状が形成されている例を示している。
なお、本事例では凹凸構造形成部は61と61’の2種類が示されており、それぞれは凹凸構造の高さや配列ピッチ、形状が異なることを示すが、これに限定されず、このような凹凸構造が3種類以上であっても構わない。
図7ならびに図8に示す凹凸マクロ構造部41は、凹凸構造形成部61と平坦部62とからなる例を示している。図7のX-Xで示す線分で切った断面図が図8である。
それぞれ半径の異なる円周状に、三角形状(鋸刃状)の凸部が設けられたフレネルレンズ状の構成が示されている。
この凹凸マクロ構造部41では、必ずしも凸形状である必要はなく、凹部として設けられていても良い。
また、凹部または凸部の断面形状も、必ずしも三角形である必要はなく、四角形や台形などの矩形形状、半円または半楕円形、紡錘形状、五角形以上の多角形など任意の形状からなる凹部または凸部を、任意のピッチで、直線状、破線状、曲線状、点状、格子状などに配列することができ、また配列された凹部または凸部によって任意のパターン形状を形成することができる。
特に凹部または凸部の断面形状が台形形状である場合は、後述の製造工程において積層体とロール体とを剥離して離型する際に剥離しやすく、剥離性の向上という利点を有する。
また、形成されたパターン形状内において、前記直線状、破線状、曲線状、点状、格子状などの配列形態は、単独の配列形態であっても良く、また2つ以上の複数の配列形態が混在する形で配列されてあっても良い。また各配列方向を複数組み合わせて用いることができる。
そしてこのような凹凸マクロ構造部41は、図8に示す三角形状の高さまたは深さbとピッチaの比、すなわちアスペクト比(b/a)が、0.3以上3.0以下の構造であることが望ましい。
また、凹凸マクロ構造部41は、凹凸マクロ構造部41が設けられた領域内において、凸部または凹部の高さまたは深さbが同じであっても良いし、用途に応じて、任意にその高さまたは深さbを変化させることができる。
また、凹凸マクロ構造部41は、その形状において、高さまたは深さbが、0.1μm以上20μm以下の凹凸構造を有することが望ましい。
(積層体の製造方法)
次に、本発明の実施形態に係る製造方法について詳しく説明する。
図3は、本発明の実施形態に係る積層体の製造方法のフロー図である。
図3に示すように、積層体20の製造方法は、凹凸マクロ構造用の賦形版を作製する工程F1と、基材上に剥離層を塗布した後、リブ構造領域層を塗布形成する工程F2と、リブ構造領域層付き基材を巻き出す工程F3、その上に凹凸構造成型層用塗布液を基材に塗工する工程F4と、凹凸構造成型層が塗布された基材を巻き出す巻出工程F5と、凹凸構造成型層に前記賦形版を熱圧着して成形する工程F6と、この積層体に紫外線を照射する工程F7と、積層体を腑形版から離型する工程F8と、成形された積層体を巻き取る巻取工程F9とからなる。
(工程F1)
凹凸マクロ構造用賦形版の作製工程F1は、従来公知の賦形版作製方法をいずれも用いることができる。例えば、直接金属表面を切削あるいはレーザ加工する方法や、金属表面に感光材料を塗布した後、レーザやマスク版を介して紫外線を照射するなどしてパターニングし、感光材料を現像した後、金属表面をエッチングする方法、あるいは塗布された感光材料に対し、レーザ光やマスク版を介して紫外線を照射するなどしてパターニングし、感光材料を現像した後、感光材料表面に金属薄膜を形成して、電鋳法などにより金属版を形成する方法など、任意の手法を用いて賦形版を作製することができる。
(工程F2)
まず積層体用基材30上に、離型用の剥離層(図示せず)を塗布、乾燥した後、リブ構造領域層31を塗布形成する。剥離層およびリブ構造領域層31の塗布方法はいずれも、
先に述べたように従来公知のコーティング方法を用いて行うことができる。
(工程F3)
工程F3では、工程F2によりリブ構造領域層31が形成された基材を巻き出す。表面状態がタックフリーの場合は、続けて凹凸構造成型層40を塗布することが可能なため、工程を省略することが可能である。
(工程F4)
巻き出された積層体用基材30上に、凹凸構造成型層40を塗布する。凹凸構造成型層40の塗布方法は、同様に従来公知のコーティング方法を用いて行うことができる。
(工程F5)
得られた凹凸構造成型層40が塗布された積層体を巻き出して、熱圧成型装置に接続する。
以降の工程については、図9に示す製造工程も参照しながら説明する。図9は、成形装置に積層体を巻き出し、凹凸構造成型層において凹凸構造を形成する工程を示す概略図である。
(工程F6)
工程F1で作製された賦形版を成形装置の成型ロール93に取り付け、凹凸構造成型層付き基材91を成型ニップロールで巻き出し、成型ロール93により加熱された賦形版に対して、凹凸構造成型層付き基材91を圧着することにより、賦形版の凹凸マクロ構造を凹凸構造成型層40に転写成形する。
(工程F7)
この時、LED光源94によって、凹凸構造成型層付き基材91における積層体用基材30側から紫外線の照射を実施し、凹凸構造成型層40を硬化させる。このため、積層体用基材30は、LED光源94から放出される紫外線に対して透過率20%以上を有することが必要となる。
ここで、LED光源94は、300nm~410nmの波長領域の紫外線を発光するものであり、さらには360nm~370nmの範囲の光源が好適に用いられる。
これは、上述の範囲の発光波長のLED光源が、入手容易性、基材厚、紫外線硬化性樹脂の硬化速度などの点から好ましいためである。
LED光源は、超高圧水銀ランプやメタルハライドランプなどに比べて、発光波長が非常に狭いという特徴があり、熱線の放出が少ないことから、効率良く、また積層体用基材30や凹凸構造成型層40などからなるワークへの熱ダメージを与えることなく、凹凸構造成型層40の硬化を行うことが可能となる。
(工程F8)
賦形版から、紫外線硬化した凹凸構造成型層40を剥離ロール95により離型して、凹凸構造成型後の積層体20を得る。
(工程F9)
成型後の積層体20を巻取り用ロール(図示せず)に巻き取る。
(ロール体の製造方法)
次に、本発明の実施形態に係るロール体の製造工程について説明する。
図4は、本発明の実施形態に係るロール体の製造方法のフロー図である。
また図10、図11、図12はそれぞれ積層体20からロール体10を作製する製造工程の一部を示す断面図であり、さらに図15は積層体20からロール体10を作製する工程を示す概略図である。これらの図を参照しながら以下に説明を述べる。
(工程F10)
まず、前述の図3に示す工程で作製した積層体20を巻き出す。
(工程F11)
次に、図10の断面図に示すように、巻き出した積層体20の凹凸構造成型層40の上に、エンボス層100を塗布する。塗布方法は前述と同様に、従来公知の塗布方法でよい。
エンボス層100の材料としては、前述の凹凸構造成型層40の材料と同様の、常温においてタックフリーであり、熱による軟化性と紫外線照射による硬化性を有する樹脂であればいずれも用いることができる。
(工程F12)
続いて、図11の断面図に示すように、エンボス層100の上に基材110をラミネートにより積層する。
(工程F13)
さらに、図12の断面図に示すように、LED光源121によって、ラミネートした基材110側から紫外線の照射を実施する。このため、基材110は、LED光源121から放出される紫外線に対して透過率20%以上を有することが必要となる。
なおLED光源121については、前述のLED光源94と同様の特性を有するものを用いればよい。なお本実施形態では光源をLEDとしたが、本工程ではさらに、光源に高圧水銀ランプやメタルハライドランプを使用しても構わない。
(工程F14)
図12で示す構造の積層体から、積層体用基材30を離型して、図1に示すロール体10を得る。離型する際、積層体用基材30と共に、絵柄記録領域101の領域に存在した凹凸構造成型層40が剥離する。これにより、ロール体10の絵柄記録領域101では、エンボス層100のエンボス面が露出する。
(工程F15)
上記の工程で作製したロール体10を、ロール体用巻取りロール(図示せず)により巻き取る。
(工程F16)
ロール体10を離型した状態の積層体を、積層体用巻取りロール(図示せず)により巻き取る。
図16は、積層体からロール体を作製する製造工程を示す概略図であり、図の左から右へ、積層体が巻かれる方向に工程が進む。
まず積層体150を出発点として、塗工ヘッド151から紫外線硬化性樹脂が塗布されてエンボス層152が形成される。この上に、ラミネート基材153がラミネートロール154によって圧着されてラミネートされる。ここで、積層体150は前記積層体20に相当し、ラミネート基材153はロール体の基材110に相当する。
ラミネート後、LED光源155から紫外線が照射され、エンボス層152が硬化する。そして、剥離ロール156によってロール体(剥離後)157と積層体(剥離後)158に離型して、ロール体が得られる。
図14は、図16に示した工程で得られた積層体(剥離後)158の断面図である。
積層体用基材30上に、ロール体を剥離後の凹凸構造成型層140が残っている状態を示す。
また図15は、剥離後の積層体を示す平面図であり、剥離後の凹凸構造成型層140が残存し、リブ領域102のリブは剥離して残っていない。
ロール体10の基材110は、実質的に透明で、熱圧成型時の温度に耐えられる基材であれば、いずれも用いることができ、具体的には例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート、アクリル樹脂などを例示することができる。
また、基材110は、エンボス層100を硬化させるための紫外線を20%以上透過することが望ましい。これは、エンボス層100を硬化させる紫外線の照射が、基材110側から実施されるためであり、透過率が低すぎると、エンボス層100の硬化に時間を要することとなるためである。
このような基材110の厚さは、16~100μmのものが好適に用いられる。また、基材110は、サンドブラスト処理や溶剤処理法などによる表面凹凸処理、あるいはコロナ放電処理、オゾン・紫外線照射処理などの表面の酸化処理、または帯電防止処理や易接着層の塗布処理など、各種処理が施されてあっても何ら問題ない。
(リブ構造の形状)
図18は積層体のリブ構造のパターン断面形状を示している。図18(a)のリブ構造領域層31のパターン断面形状は側面が垂直な矩形であり、これが基本的な形状である。図18(b)では、パターン断面形状が逆台形であり、図18(c)では、台形になっている。
また図19はロール体のリブ構造の断面形状を示している。図19(a)のリブ構造領域層31のパターン断面形状は、図18(b)のリブ構造を有する積層体を用いて前述の製造工程によりロール体を形成した場合に対応する。この場合、図18(b)のリブ構造が逆台形であるため、図19(a)では台形になる。
同様に、図19(b)は図18(c)に対応する。
図20に、他の実施形態におけるリブ構造のパターン断面形状を示す。
図20(a)のリブ構造領域層31aのパターン断面形状は、底部(下側)の幅よりも頂部(上側)の幅が大きく、かつ、側面のエッジが丸みを帯びており、パターン中心に向かって凸な曲線となっている。
また、図20(b)のリブ構造領域層31bのパターン断面形状は、(a)とは逆に底部の幅の方が頂部の幅よりも大きく、かつ、側面のエッジが丸みを帯びており、パターン中心に向かって凸な曲線となっている。
このような断面形状であることで、このロール体を用いて転写形成した剥離後の積層体158において、パターン側面の形状は裾引きのない良好な形状が得られる。
ロール体の転写工程については前述の図5、及び図10~12に関する記載において概略を述べているが、転写工程はこれに限らず、他の方法を採用しても構わない。
例えば、ここで図20(a)のリブ構造領域層31aを例にとって、図21(a)~(g
)の工程フローを説明する。
まず図21(a)では、基材30上に凹凸構造成型層40を積層するが、このとき凹凸構造成型層40は、リブ構造領域層を形成する位置を空けて積層する。凹凸構造成型層40は、前述のように硬化性樹脂を塗布して形成した場合に、そのパターンのエッジ部分は(a)に示すように丸みを帯びた形状となる。
そして、この凹凸構造成型層40の積層されていない位置にリブ構造領域層31aを積層することによって、リブ構造領域層31aは凹凸構造成型層40のエッジに沿って賦形され、(b)に示すような形状となる。なおこのとき、凹凸構造成型層40の基材面からの高さはリブ構造領域層31aよりも高くする。
次に、前述の賦形版(図示せず)を用いて熱圧成形により凹凸構造成型層40に凹凸構造を形成すると、凹凸構造成型層40がリブ構造領域層31aの上側にはみ出して全体を覆い、(c)に示すような凹凸構造となる。そしてこの上に、エンボス層100を塗布積層することで(d)に示す構成となり、さらに基材110をラミネートして、(e)に示す積層体が得られる。
これに、(f)に示すようにLED光源121によって基材110側から紫外線を照射して、凹凸構造成型層40を硬化させた後、凹凸構造成型層40とエンボス層100の間を境界として剥離を行い、(g)に示す構成のロール体10aと積層体158aが得られる。
ここで、リブ構造領域層31aのエッジが丸みを帯びていることで、剥離しやすく、かつ剥離した積層体158aの形状も良好となる。即ち(g)に示すように、剥離後の積層体158aのリブ領域170はきれいに剥離し、底部で裾引き形状にはならず、急峻な角度のいわゆるキレの良い断面形状が得られる。なお裾引きは、剥離時にリブ構造とともにリブ構造以外の部分の樹脂が付着して剥離されることで発生するものである。
また、他の転写工程を採用することもできる。
例えば、図22(a)に示す構成のリブ構造領域層31を基材30上に積層し、次に(b)に示すように、このリブ構造領域層31上には積層されないようにして凹凸構造成型層40を基材30上に積層する。
そして賦形版を用いて凹凸構造成型層40に(c)に示すような凹凸構造を形成する。このとき凹凸構造成型層40がリブ構造領域層31の上側にはみ出してしまわないようにするには、例えば賦形版の凸部分がリブ構造領域層31に密着して接するようにしておけばよい。または、凹凸構造成型層40のエッジがリブ構造領域層31と少し離れた位置になるようにしてもよい。
以降の転写工程は、図21に示した工程と同様である。図22(d)においてエンボス層100を積層した後、(e)のように基材110を積層して積層体を得た後、(f)においてLED光源121によって基材110側から紫外線を照射し、凹凸構造成型層40を硬化させる。次に凹凸構造成型層40とエンボス層100の間を境界として剥離を行い、(g)に示す構成のロール体10aと積層体158aが得られる。この場合も、剥離後の積層体158aのリブ領域170はキレの良い良好な断面形状が得られる。
本発明の実施形態に係るロール体について、実施例を以下に示す。
リブ構造領域層として熱可塑性ポリアクリル酸エステル樹脂を、50μmPET基材(E5100/東洋紡)上にグラビアコーターで乾燥後の膜厚が約2μmとなるように塗工および乾燥し、ロール状に巻き取った。
凹凸構造成型層用塗布液として、アクリル樹脂アクリレートであるヒタロイド7975(日立化成製、樹脂分33%)に重合開始剤イルガキュア379(BASF製)をMEKにNv40%となるように調整した重合開始剤溶液を固形分に対して3%添加した。
さらに表面改質剤としてBYK-378(ビッグケミージャパン製)をヒタロイド7975に対して2%添加した凹凸構造成型層用塗布液を用い、グラビアコーターで、リブ状構造領域層が塗布された基材に、乾燥後の膜厚が約10μmとなるように塗工および乾燥し、ロール状に巻き取った。
凹凸構造成型層に対して、鋸刃状の凹凸構造(構造サイズ3cm、深さ8μm一定、ピッチ6~11μm)を有する円筒状のNi版を押し付け、成型温度160℃、プレススピード0.5m/minにて熱圧成型を実施した。
熱圧成型をしながら、基材越しに、光源として出力60%に設定したLED光源(HOYA
CANDEO OPTRONICS)を用いて紫外線を照射し、凹凸構造成型層を硬化させた。
得られた積層体にロール体成型層としてPAK-01(東洋合成株式会社)をUV硬化後の膜厚が約10μmとなるようにグラビアコーターで塗工し、50μm易接着PET基材A4100(東洋紡)でラミネートした後に、光源としてメタルハライドランプ(Nordson)300mJ/cmを使用し、UV照射した後に剥離し、巻き取ることでロール体を得た。
剥離は、リブ状構造領域層部分はPET基材とリブ状構造領域層界面で、それ以外の部分は凹凸構造成型層とロール体成型層の界面で剥離した。
以上により、本発明の実施形態に係るロール体が得られた。このロール体は巻取りの際の巻きズレがなく、良好な巻き姿のロール体であった。
本発明におけるロール体は、微細な凹凸構造から成る光学フィルムとして利用できる。また、本発明のロール体は装飾性が高く、例えば紙幣、カード、商品券などのセキュリティ媒体や、パスポートなどの公的文書などの偽造防止や複写を防止するための表示体としても用いることができる。
10、10a ロール体
20 積層体
30 積層体用基材
31 リブ構造領域層
31a、31b リブ構造領域層
40 凹凸構造成型層
41 凹凸マクロ構造部
42 リブ状構造部
61、61´ 凹凸構造形成部
62 平坦部
63 境界部
91 凹凸構造成型層付き基材
92 成型ニップロール
93 成型ロール
94 LED光源
95 剥離ロール
96 凹凸構造成型後基材
100 エンボス層
101 絵柄記録領域
102 リブ領域
110 基材
121 LED光源
140 剥離後の凹凸構造成型層
150 積層体
151 塗工ヘッド
152 エンボス層付き積層体
153 ラミネート基材
154 ラミネートロール
155 LED光源
156 剥離ロール
157 ロール体(剥離後)
158、158a 積層体(剥離後)
160 センサー
161 センサーマーク

Claims (11)

  1. 少なくとも片面にエンボス面を有するエンボス層を備えるフィルムが巻かれたロール体であって、
    前記エンボス面には、
    光を複数の方向に反射する凹凸状の反射構造により構成される絵柄を有する複数の絵柄記録領域と、
    前記ロール体の幅方向に延在し、側面と頂面からなる突起状のリブ状構造を有する複数のリブ領域とを備え、
    複数のリブ領域の間に前記絵柄記録領域が配置され、
    前記リブ状構造の頂面は平坦であり、
    前記リブ状構造の高さは、前記反射構造の頂点より高い、
    ロール体。
  2. 前記リブ状構造の頂部は、光を散乱する散乱構造である請求項1に記載のロール体。
  3. 前記リブ状構造の側面は傾斜しており、側面と頂面との間に曲面を有することを特徴とする請求項1または2に記載のロール体。
  4. 前記リブ状構造の側面の断面形状は、傾斜してかつ丸みを有しており、前記丸みはリブ状構造の中心に向かって凸の曲線となっていることを特徴とする請求項1または2に記載のロール体。
  5. 前記リブ領域と前記絵柄記録領域の間に平坦面を有することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のロール体。
  6. 前記絵柄記録領域の凹凸状の反射構造が台形構造を有することを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のロール体。
  7. 前記絵柄記録領域は、前記反射構造の凹凸の高さ(または深さ)/ピッチ比で表されるアスペクト比が0.3以上3.0以下で、反射構造の凹凸のピッチが0.1μm以上15μm以下であることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のロール体。
  8. 前記絵柄記録領域は、250nm以上410nm以下の波長領域の紫外線を吸収し、硬化する紫外線硬化性樹脂からなることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載のロール体。
  9. 前記リブ領域は、300nm以上410nm以下の波長領域の紫外線を吸収し、硬化する紫外線硬化性樹脂からなることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載のロール体。
  10. 請求項1から9のいずれかに記載のロール体の製造方法であって、
    ロール体のエンボス層にエンボス面を転写形成するための凹凸構造成型層と積層体用基材とを有する積層体を作製する積層体作製工程と、
    前記積層体の凹凸構造成型層の上に紫外線硬化性樹脂からなるエンボス層を塗布形成するエンボス層塗布工程と、
    エンボス層の上に基材をラミネートするラミネート工程と、
    基材上から紫外線を照射してエンボス層を硬化させる紫外線硬化工程と、
    積層体用基材を剥離しながらロール体を巻き取る巻き取り工程とを備え、
    前記エンボス層塗布工程から前記巻き取り工程までの工程がロールツーロール方式で行われることを特徴とする、ロール体の製造方法。
  11. 請求項10のロール体の製造方法において、
    前記積層体作製工程が、
    積層体用基材上にリブ領域を塗布形成するリブ領域形成工程と、
    紫外線硬化性樹脂からなる凹凸構造成型層を塗布し、前記反射構造を転写するための賦形版を用いて熱圧成形することで、凹凸構造成型層に反射構造を転写形成する熱圧成形工程と、
    紫外線照射によって凹凸構造成型層を硬化させる紫外線照射工程と、
    積層体と賦形版をロール状に巻き取ることで離型する巻き取り工程とを備える、
    ことを特徴とするロール体の製造方法。
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