図1は、本発明の実施形態に係るロータリジョイント(直接駆動ロータリジョイント)5を備えた回転カメラ1の概略構成を示す図である。
回転カメラ1は、部屋の天井51等の静止した物体に一体的に取り付けられる固定部(固定部材)2と、この固定部材2に対し所定の軸(たとえば鉛直方向に延びている軸)CL1を回転中心にして回転する回転部(回転部材)3とを備えて構成されている。
回転カメラ1のカメラヘッド部4は、回転部材3の箇体の一部を成す透明ドーム6の内部で、パン回転(軸CL1を中心とした回転)とチルト回転(軸CL1に対して直交している軸CL2を中心とした回転)とを行えるようになっている。
パン回転についてカメラヘッド部4は、ロータリジョイント5により一方向に連続回転可能である。また、ロータリジョイント5では、固定部材2に対する回転部材3の回転中心軸CL1と、カメラヘッド部4の回転中心軸とは一致している。さらに、ロータリジョイント5では、固定部材2からの回転部材3への電力供給と、双方向信号伝送を行うようになっている。
図2は、ロータリジョイント5の概略構成を示す図である。
ロータリジョイント5では、従来導電リングとブラシによる摺動接触によって伝送していた映像信号(カメラヘッド部4からの映像信号)を、第1の信号伝達手段53によって回転部材3から固定部材2に伝送し、制御信号(パン&チルト駆動部8やカメラヘッド部4の制御信号等)を、第2の信号伝達手段55によって固定部材2から回転部材3に伝送するようになっている。なお、これらの信号の伝送には、光が使用されるようになっている。
また、ロータリジョイント5では、電磁誘導を利用した電力伝送手段57によって、たとえば固定部材2から回転部材3に電力を供給(伝送)するようになっている。
電力伝送手段57では、巻き線11a、11bを備えた2つのフェライトコア10(10a、10b)が対向しわずかなギャップ(隙間)G1をもって配置されており、回転部材3側に固定された回転部材側フェライトコア10aと固定部材2側に固定された固定部材側フェライトコア10bとは、数十ミクロンから数百ミクロンのギャップG1を維持しながら回転軸CL1を回転中心にして回転するようになっている。固定部材側フェライトコア10bに備わる巻き線11bは固定部材側回路に繋がっており、回転部材側フェライトコア10aに備わる巻き線11aは回転部側回路に繋がっている。
フェライトコア10は、たとえば肉厚の円筒状に形成されており、中心部に貫通穴(中心軸が軸CL1と一致する円柱状の貫通孔)が開いている。DDモータ(ダイレクト駆動モータ)20の中央シャフト(回転シャフト)21も、たとえば、円筒状に形成されている中空構造である。そして、各信号伝達手段53、55は、フェライトコア10の前記貫通孔と、DDモータ20の中央シャフト21の回転中心軸(軸CL1と一致している回転中心軸)まわりの空間とを利用して光伝送を行ようになっている。
カメラヘッド部4を備えた回転部材3側から固定部材2側へ送られる信号(たとえば、カメラヘッド部4の映像信号)は、パラレル→シリアル変換部7(図1参照)で、シリアルデータに変換され、回転部材3側に設けられている発光部の例である回転側LED34にて光信号となり、導光管30の端面38より入射し、導光管30内を伝播して他方の端面37より出射し、受光部の例である固定側PD(フォトダイオード)32に入射するようになっている。この後、シリアル→パラレル変換部9(図1参照)で、パラレルデータに変換されるようになっている。
なお、本実施形態においては、導光管30として、PC(ポリカーボネイト)製の直径1.5mm、長さ44mmの射出成形品を用いたが、導光管30の材質は、PMMA(アクリル)のように信号光(回転側LED34が発する光)を透過する材質であればよい。
また、導光管30は、固定側PD32から導光管保持部材36で保持する部分までは、回転中心軸CL1に一致して配置されており(延伸しており)、回転部材3の回転につれて回転しても、固定側PD32に対向して配置されて導光管30の端面37の位置は変わらないようになっている。そして、導光管保持部材36よりも回転部材3側では、中心軸CL1からオフセットして配置されている。
本実施形態における前記オフセット量は1.25mmであるが、これは、内径8mmの直接駆動電動機(DDモータ)20の中空回転軸(中央シャフト)21内で、光の送受信のためのスペース効率良く行うために、回転側LED(回転部材側)34を回転中心CL1からオフセットして配置しているためである。
これにより、中空空間(中空部)を通過して到来する光信号を受信可能なように回転側PD(回転部材3に一体的に設けられたフォトダイオード)35を配置することができる。射出成形により導光管30を製造すれば、オフセットした形状を保つため保持が容易である。
LED保持部材39によりオフセットした導光管30の回転側端面38を保持しているLED保持部材39は、回転側LED34が発した光が回転側PD35に入射しないようにすべく信号光を透過しにくい有色の樹脂にて作られており、LED保持部材39内の中空部で回転側LED34が発した光が導光管30の端面38に入射するように構成されている。信号光を通さなければ金属構成されていてもよい。
このように中空回転軸21内で回転側LED34をオフセット配置することにより(回転側PD35もオフセットすることにより)、配置自由度が大きくなり、デバイス(ロータリジョイント5を構成する回転側LED34や回転側PD35等の部品)のサイズより起因する制約条件が緩和され、デバイス選択の自由度が増す。そして、VCSELやAPDのような高速伝送対応のデバイスを選択すれば、Gbps(Giga bit per second)級の高速伝送が可能である。
一方、固定部材2側から回転部材3側への信号伝送は、導光管30の周囲空間(中空部の空間)を利用して行われる。固定側LED31より出射した信号光は、反射面を備えたシールドケース33にて反射して、導光管30の周囲空間方向に向かう(図2の下方に向かう)ようになっている。図2の下方に向った光(信号光)は導光管保持部材36に当たるが、この部品(導光管保持部材36)は光透通性樹脂で作られているので、信号光は導光管保持部材36に入射し(導光管保持部材36の図2における上端から入射し)、導光管保持部材36の他端(図2における下端)より出射し、DDモータ20の中央シャフト21内に出射するようになっている。
中央シャフト21内に出射された光の一部が回転側PD35に入射する事により信号が伝わるようになっている。固定部材2側から回転部材3側への光伝送は、導光管30と前記中空部の隙間を利用した空間伝送となり、本実施形態では125Mbpsで伝送するようになっている。
なお、導光管30の上端側とフォトダイオード32は、シールドケース33内のほぼ閉じた空間内に設けられており、固定側LED31が発した光が、フォトダイオード32には到達しないようになっている。また、シールドケース33の上記反射面は、たとえば水平方向に対して45°傾いている斜めの平面で構成されている。
回転部材3側の回転側LED34と回転側PD35は、中央シャフト21と一体となり、回転する構造となっており、さらに、導光管30および導光管保持部材36は、回転側フェライトコア(回転部材側フェライトコア)10aと一体となっていて回転するようになっている。
ここで導光管保持部材36は、導光管30を回転軸CL1に沿って保持する機能がある。したがって、導光管30は固定部材2(固定側PD32)には接触せずに回転軸CL1まわりを回転し、一端より固定側PD32に光信号を伝えるようになっている。なお、導光管保持部材36が存在しないかまたは導光管保持部材36による導光管30の保持が不十分であると、回転部材3の回転によって、導光管30の上方部位(固定側PD32と対向している端面37等)において振れが生じ、導光管30の一端37から出射した光信号が固定側PD32に伝わらなくなってしまう。
図4に、導光管保持部材36の保持が十分でない場合の例を示す。図4では、導光管30を保持する回転軸CL1に沿った方向の長さが短いため、振れを抑えきれず、導光管30の固定部材2側の一端37が固定側PD32の正面から外れてしまう。
図3では、導光管30の保持部位を図2の場合よりも長くとってある。導光管保持部材36が固定側フェライトコア(固定部材側フェライトコア)10bの中空部にまで入り込んだ構造である。このように導光管30を保持する長さを大きく取ることによって、回転部材3の回転による導光管30の振れを抑えることができる。本実施形態においては、回転部材3側から固定部材2側への信号伝送を125Mbpsとした場合、固定側PD32の受光素子面の大きさは一辺が2mmの正方形となり、導光管30の直径が1.5mmである事から、導光管30の回転による振れ量を0.2mmから0.3mm程度以下に抑えるように保持部の長さを決定した。
図5は、回転側と固定側のフェライトコア10(10a、10b)を実装している構造を示す断面図である。図5に示すように、導電巻き線11a、11bをフェライトコア10(10a、10b)の円環状の凹部に内蔵してある。中心部に貫通穴が設けてあるフェライトコア10(10a、10b)が回転部材3側と固定部材2側に備えられてお互いが対向しているが、本実施形態では、約500μmのギャップG1(図2参照)をもって配置してある。フェライトコア10(10a、10b)の外周と貫通穴の中心軸は回転軸CL1と一致させてある。導光管保持部材36は、導光管30を保持すると同時に、中央シャフト21とフェライト(フェライトコア)10aとに一体的に設けられておりフェライト10aを保持する機能を備えている。また、近赤外線の信号光(固定側LED31が発した光)を透過するように、導光管保持部材36は、PMMA製であるが、フェライトコア10aと接着により一体化する場合は光透過率において若干劣るが耐薬品性に勝るPCを用いても良く、光透過性に関する性能を確保できれば他の材料でもよい。
図6は、DDモータ20の中央シャフト21および中央シャフト21の中空部をより太くし、回転軸CL1まわりの空間を拡張して非接触電力伝送部(電力伝送手段57や各信号伝達手段53、55)を搭載した、ロータリジョイント5aの概略構成構造を示す図である。
図2に示すロータリジョイント5は、フェライトコア10の下側に中央シャフト21が配置されているが、図6に示す直接駆動ロータリジョイント5aは、中央シャフト21の中空部分に電力伝送部(フェライトコア10)を収納したので、ロータリジョイント全体の薄型化(図6における上下方向の寸法を小さくすること)に寄与する構造である。また、導光管30は、光透通性樹脂による成形品で、図6に示すように一端を曲げる使い方も曲げRを十分に確保すれば可能であり、回転側LED34等の柔軟な配置が可能になっている。
図5に示すように、本実施形態で用いるフェライトコア10は、中空部と、導電巻き線11の収納部を備えた形状であり、固定部材2側と回転部材3側に同じ形状のものを用いているが、異なる形状のものであってもよい。また、導電巻き線11の材質、直径、巻き数等を、伝送する電力の仕様により異なるものにしてもよい。本実施形態では、フェライトコア10の外形の中心軸と中空穴の中心軸と回転軸CL1とがお互いにが一致するように構成してあるので、回転側フェライトコア10aが固定側フェライトコア10bに対して回転しても位置関係は変わらず、非接触で電力を伝送できる。しかし、前述したようにフェライトコア10a、10b間のギャップG1は500ミクロンと僅かであり、フェライトコア10の本体(巻き線11を除く部分)は酸化鉄を主原料にして焼き固めた一種の磁器であり、割れ易い性質があるため、回転部材3側から伝わる衝撃や振動によりフェライトコア10が割れないようにする必要がある。
図7は、上述したロータリジョイント5において、カメラ固定部との取り付け面に(固定部材2の上部側部位69と下部側部位67との間に)緩衝機能部材40を設けたものである。回転カメラの回転部と固定部はロータリジョイント部のみで繋がっているため、回転部材3の振動や衝撃等は、前記ロータリジョイン卜部を介して固定部材2側に伝わる。しかし、回転部材3側の振動や衝撃により回転側フェライト10aと固定側フェライト10bとお互いにが衝突し、衝突によるエネルギーを逃がす緩衝機構がない場合、フェライト10に割れや欠けが生ずる恐れがある。そこで本実施形態では、回転カメラ固定部の取り付け部に緩衝機能部材40を設けて、フェライト10同士の衝突による破損を防止するようになっている。緩衝機能部品としては皿ばねを用いている。なお、皿バネを何枚か重ねて所望の緩衝性能を引き出してもよい。緩衝機能部材40は、他に、硬質ゴムのように弾性のあるクッション材で作ったワッシャー形状のものでもよい。
図8と図9とは、緩衝機能部材40の配置の例である。図8はロータリジョイント断面のうち、箇体部取り付け部を示し、取り付け部フランジ形状をカメラヘッド側から見た図である。回転軸CL1を中心に様々な方向に振動や衝撃が加わっても均一に近い形でロータリジョイント5の回転部材3側の動きを受けられるように緩衝機能部材40が中心軸CL1について均等な角度で配置されている。
図10は、図8や図9とは異なる緩衝機能部材40の配置の例である。板状で円環状の緩衝機能部材(クッション材)40を同心円状に配置した図である。回転カメラ固定部と接していれば、回転軸CL1に対してどの方向に倒れる振動や衝撃に対しても均一に緩衝できる。
図11は、フェライト10の外周部にフェライト保持部材41を設けて、回転部材3からの振動や衝撃によりフェライト10a、10b同士が衝突することを防止する構造とした例である。フェライト10のギャップ面より保持部材41が僅かに凸になっており(図11に示すΔt1だけ凸になっており)、先に保持部材同士41が衝突するようになっている。本実施形態では突出量(凸量)Δt1は100μmである。また、保持部材41は、耐衝撃性等の機械的性質に優れるPOM(ポリアセタール)の樹脂部品で構成されているが、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)やHIPS(ハイインパクトポリスチレン)、PP(ポリプロピレン)等の機械的な強度に優れる材料(樹脂)で構成されていればよい。回転部材3側の保持部材41であるが、光透過性材料(固定側LED31が発生する光を透過する材料)を用いれば導光管保持部材36と一体構造でもよい。
図12は、固定側フェライト10bを保持する部材にコイルスプリング(コイルバネ;圧縮コイルバネ)42を設けて、フェライト10bが力を受けた時に動いて衝撃を吸収する機構の例である。本実施形態のように固定部材2側に可動機構を入れて緩衝してもよいし、機構を配置できれば回転部材3側のフェライト10aが可動になっている機構であってもよいし、両方のフェライト10a、10bが可動になっている機構であってもよい。
コイルスプリング42の中心部の空いた空間を光伝送に利用できるので、伝送路を阻害せずにフェライト10の中心軸に部に沿って緩衝機能を付加できる。図12に示す実施形態では、コイルスプリング42がフェライト固定部材43を介して固定側フェライト10bを下方向に付勢しているが、通常ではストッパー44により、各フェライト10a、10bは正しいギャップG1(500μm)を保つようになっている。
ここで、図2を参照して、ロータリジョイント5についてさらに説明する。
ロータリジョイント5は、前述したように、固定部材2と回転部材3とダイレクト駆動モータ20と電力伝送手段57と第1の信号伝達手段53と第2の信号伝達手段55とを備えて構成されている。
固定部材2を構成している天井部材59が、たとえば部屋の天井等にボルト等の締結部材で一体的に固定されることにより、固定部材2が、前記天井に一体的に固定されるようになっている。
回転部材3は、ベアリング61を介して固定部材2の下側で固定部材2に支持されており、軸CL1を中心にして固定部材2に対して回転自在になっている。
ダイレクト駆動モータ(DDモータ)20は、固定部材2の下側に設けられている。ダイレクト駆動モータ20の固定子63は、固定部材2に一体的に設けられており、ダイレクト駆動モータ20の回転子65は回転部材3に一体的に設けられている。そして、ダイレクト駆動モータ20で回転部材3を回転駆動するようになっている。
DDモータ20は、減速機を用いて最終的な回転出力を得るのではなく、減速機を用いることなく直接負荷につないで最終的な回転出力を得るタイプのモータであり、減速機を用いて最終的な回転出力を得るモータに比べて、低回転で高トルクを発生するようになっている。減速機によるバックラッシュがないので、回転部材(負荷)3の回転精度や回転停止精度を高精度にすることができるのである。
なお、回転子65の回転中心軸と回転部材3の回転中心軸CL1とはお互いが一致している。また、電力伝送手段57で回転子65に電力を供給することによって回転子65が回転駆動するようになっているが、回転子65に電力を供給することに代えてまたは加えて、固定子63に電力を供給することによって回転子65が回転駆動するようになっていてもよい。
なお、図2では、リング状の回転子65の外側にリング状の固定子63を離して設けた構成であるが(図13も併せて参照)、リング状の回転子65とリング状の固定子63とを、回転軸CL1の延伸方向(たとえば上下方向)で対向させた構成であってもよい(図14参照)。
電力伝送手段57は、電磁誘導によって固定部材2と回転部材3との間で電力を伝送する(たとえば、固定部材2から回転部材3へ電力を供給する)ものである。電力伝送手段57を構成しているフェライト10b(固定部材側構成部品)は、固定部材2の内部でまた高さ方向では固定部材2の中間部で、固定部材2に一体的に設けられている。電力伝送手段57を構成しているフェライト10a(回転部材側構成部品)は、固定部材2の内部でまた高さ方向ではフェライト10bの下側(回転部材3の上側)で、回転部材3に一体的に設けられている。そして、前述したように、フェライト10aとフェライト10bとは、お互いがごく僅かな隙間G1を隔てて非接触で対向している。
第1の信号伝達手段53は、固定部材2に一体的に設けられている固定部材側構成部品(フォトダイオード32等)と、回転部材3に一体的に設けられている回転部材側構成部品(回転側LED34、導光管30等)とを備えて構成されている。前記固定部材側構成部品と前記回転部材側構成部品とがお互いに非接触であり(離れており)、回転中心軸CL1およびこのごく近傍で光(たとえば、近赤外線;遠赤外線よりも波長の短い赤外線、可視光線または紫外線でもよい。)を通過させることにより、回転部材3から固定部材2に信号(たとえば、カメラヘッド部4の映像信号等)を伝達するようになっている。
第2の信号伝達手段55は、固定部材2に一体的に設けられている固定部材側構成部品(固定側LED31、シールドケース33等)と、回転部材3に一体的に設けられている回転部材側構成部品(フォトダイオード35、導光管保持部材36)とを備えて構成されている。前記固定部材側構成部品と前記回転部材側構成部品とがお互いに非接触であり(離れており)、回転中心軸CL1近傍であって第1の信号伝達手段53で光が通過する部位の外側(導光管30な外周部に存在している中空部)で光を通過させることにより、固定部材2から回転部材3に信号(カメラヘッド部4の制御信号等)を伝達するようになっている。
なお、各信号伝達手段53、55に使用する各光は、お互いに遮光されており、たとえば、第1の信号伝達手段53で使用する光が、第2の信号伝達手段55に悪影響を与えることは無く、第2の信号伝達手段で55使用する光が、第1の信号伝達手段53に悪影響を与えることは無い。前記遮光は、たとえば、導光管30の円筒状外周を鏡面並の平滑面で構成しているので、導光管端面より入射した光は外周面で内部反射を繰り返しながら他端に進行する他に、コーティングすることやシールドケース33によって相互干渉防止がなされている。このように、導光管30の両端面37、38以外から導光管30の内部に光の出入りが無いようになっており、固定側LED31が発した光がシールドケース33の内部には入り込まないようになっている。また、各信号伝達手段53、55では、同じ波長の光を使用しているが、異なった波長の光を使用してもよい。
ところで、上記説明とは逆に、回転中心軸CL1およびこのごく近傍で光を通過させることによって第2の信号伝達手段55で信号を伝達し、回転中心軸CL1近傍であって第2の信号伝達手段55で光が通過する部位の外側で光を通過させることによって第1の信号伝達手段53で信号を伝達する構成であってもよい。
また、ロータリジョイント5では、前述したように、固定部材2と回転部材3とダイレクト駆動モータ20と電力伝送手段57を構成する構成部品(フェライト10)とは、中空状(筒状)に形成されており、回転中心軸CL1およびこの回転中心軸CL1のまわりに中空部が位置している。
第1の信号伝達手段53は、回転部材3の下側で回転部材3に一体的に設けられた発光部(回転側LED34)と、固定部材2の上側で固定部材2に一体的に設けられた受光部(フォトダイオード32)と、導光管30とを備えて構成されている。導光管と30は、回転側LED34が発した光をフォトダイオード32まで伝達するために、一端部(端面)38が回転側LED34側(回転側LED34のごく近傍)に設けられ他端部(端面)37がフォトダイオード32側(フォトダイオード32のごく近傍)に設けられ、導光管保持部材36に保持されて回転中心軸CL1に沿って前記各中空部を通り、図2の上下方向に細長く延びている。
第2の信号伝達手段55は、固定部材2の上側で固定部材2に一体的に設けられた発光部(固定側LED31)と、回転部材3に一体的に設けられた受光部(フォトダイオード35)とを備えており、固定側LED31が発した光が導光管30のまわりに存在する前記中空部を通ってフォトダイオード35まで到達するように構成されている。
第1の信号伝達手段53を構成する回転側LED34は、回転中心軸CL1から僅かにはずれたところ(オフセット)で回転部材3に一体的に設けられている。第1の信号伝達手段53を構成するフォトダイオード32は、回転中心軸CL1の延長上で固定部材2に一体的に設けられている。第2の信号伝達手段55を構成する固定側LED31は、回転中心軸CL1からはずれたところで固定部材2に一体的に設けられている。第2の信号伝達手段55を構成するフォトダイオード35は、回転中心軸CL1に対して第1の信号伝達手段53を構成する回転側LED34とほぼ対称な位置で、回転部材3に一体的に設けられている。
導光管30は、前述したように、固定部材2側(図2の上側)では回転中心軸CL1とほぼ一致して延びており、回転部材3側(図2の下側)では回転中心軸CL1から第1の信号伝達手段53を構成する回転側LED34側に僅かにずれて延びている。
また、鍔部を備えて円筒状に構成された導光管保持部材36は、回転部材3といっしょに回転するフェライト10aの下側で一部がフェライト10aの中空部に入り込んで嵌合しフェライト10aに一体的に設けられていると共に、中央シャフト21の上部側で中央シャフト21に一体的に設けられている。導光管保持部材36は、第2の信号伝達手段55を構成する固定側LED31が発光する光が透過する材料で構成されている。また、導光管保持部材36は、回転中心軸CL1に沿って導光管30を貫通させて導光管30を一体的に保持している。
ロータリジョイント5、5aによれば、光を用いて固定部材2と回転部材3との間で信号の伝達をする構成なので、スリップリング等の接触部を用いることなく信号伝達に伴う接触を無くす事ができ、回転部材3の回転抵抗を小さくすることができ、DDモータ20の起動トルクを含め必要トルクが大きくなることを防止することができ、DDモータ20の大型化を防ぐことができる等、ロータリジョイント5のコストアップを防ぐことができる。また、DDモータ20の消費電力を少なくすることができる。さらに、回転部材3の回転抵抗が小さく変動が小さいので、DDモータ20の制御が容易になり、回転部材3を高精度(繰り返し精度精度等)で回転位置決め停止させることができる。光信号による伝送を用いるので摺動接触では困難なGbps級の信号伝送にも対応可能である。加えて、信号伝送に伴う接触が無いので磨耗による接触部劣化が無く信頼性の面でも優れる。
また、ロータリジョイント5、5aによれば、複数のブラシを同時に扱う必要がないので、組み立て作業やメンテナンスの作業が容易になり、さらに、固定部材2と回転部材3との間で信号の伝達をするのに、回転中心軸CL1およびこの近傍に光を通す構成なので、光信号の発光部や受光部を回転中心軸CL1の箇所やこの近傍に固定すればよく、装置(ロータリジョイント)の構成が簡素になり、装置の小型化をはかることができる。
また、ロータリジョイント5、5aによれば、第1の信号伝達手段53で使用する光と第2の信号伝達手段55で使用する光とがお互いに干渉することがないので、回転部材3から固定部材2に、また、固定部材2から回転部材3に信号を確実に送ることができる。
また、ロータリジョイント5、5aによれば、回転中心軸CL1のまわりの中空部(中空構造)が形成されており、この中空部を用いて固定部材2と回転部材3との間での信号の伝達がなされ、中空部のまわりで電力伝送手段57による電力の伝送がなされるので、DDモータ20やカメラヘッド部4への電力の供給を簡素な構成で行うことができる。なお、電力の供給も信号の伝達と同様にお互いが非接触の構成部品を用いてなされるので、回転部材3の回転抵抗を小さく変動の小さいものにすることができる。
さらに、ロータリジョイント5、5aによれば、第1の信号伝達手段53を構成する発光部と、第2の信号伝達手段55を構成する受光部とが、回転中心CL1に対してほぼ対称な位置に設けられているので、回転部材3における第1の信号伝達手段53を構成する発光部と、第2の信号伝達手段55を構成する受光部との設置スペースを小さくすることができ、装置の小型化をはかることができる。
また、ロータリジョイント5、5aによれば、導光管保持部材36が、導光管30を保持すると共に、第2の信号伝達手段55を構成する発光部が発光する光を透過するという2つの機能を兼ねているので、装置の構成が簡素化されている。
次に、緩衝機構を備えたロータリジョイント5について、図7〜図10を用いて、さらに説明する。
固定部材2は、回転部材3側に位置しベアリング61を介して回転部材3を支持している回転部材側部位67と、部屋の天井51等の静止した物体に一体的に取り付けられる反回転部材側部位(固定部材側部位;電力伝送手段57の構成部品のうちで固定部材2に一体的に設けられているフェライト10bが一体的に取り付けられる部位)69とで構成されている。回転部材側部位67と反回転部財側部位69とは別体であり、ロータリジョイント5を分解すると、お互いは別部品になる。回転部材側部位67と固定部材側部位69との間には、緩衝機構が設けられている。すなわち、回転部材側部位67と反回転部財側部位69との間に緩衝機能部材40が挟まれて設けられている。
このように、緩衝機構を設けることによって、回転部材3で発生した振動や衝撃で電力伝送手段57の各構成部品(フェライト10)がお互いに衝突した場合であって、この衝突エネルギーを吸収することができ、電力伝送手段57の各構成部品の破損を防止することができる。
なお、前述したように、上記緩衝機構は、回転部材側部位67と固定部材側部位69との間に複数の弾性体(緩衝機能部材)40を挟み込んだ構成であり、各弾性体40は、回転中心軸CL1と直交する1平面上で、回転中心軸CL1を中心にして前記1つの平面上に描いた所定の半径の円の円周を等分割する位置に配置されている(図8、図9参照)。
また、弾性体40を、厚さの薄いリング状に形成し、回転中心軸CL1と直交する1平面上で、中心が回転中心軸CL1と一致するように設けられていてもよい(図10参照)。
さらに、図12に示すように、電力伝送手段57を構成する各構成部品(フェライト10)のうちで回転部材3に一体的に設けられている構成部品(フェライト10a)と、電力伝送手段57を構成する各構成部品のうちで固定部材2に一体的に設けられている構成部品(フェライト10b)とは、お互いが近接した状態で対向している。これを、図12に示すように、回転部材側構成部品(フェライト10a)、固定部材側構成部品(フェライト10b)のうちの少なくとも一方が、コイルバネ42等の弾性体によって、回転部材側構成部品と固定部材側構成部品とお互いに接近する方向に付勢されており、コイルバネ42は回転中心軸CL1の方向の縮むことによって前記付勢をしており、コイルバネ42の内側を各信号伝達手段53、55による光の伝達がなされるような構成であってもよい。これにより、フェライト10同士の衝突による破損を防止することができる。
また、電力伝送手段57を構成する構成部品のうちで回転部材3に一体的に設けられている構成部品(フェライト10a)と、電力伝送手段57を構成する構成部品のうちで固定部材2に一体的に設けられている構成部品(フェライト10b)とは、お互いが近接した状態で対向しており、回転部材側構成部品(フェライト10a)の固定部材側構成部品(フェライト10b)に対向している平面(フェライト10aの上側の面)と、固定部材側構成部品(フェライト10b)の回転部材側構成部品(フェライト10a)に対向している平面(フェライト10bの下側の面)とは、回転中心軸CL1に対して直交している。これを、図11に示すように、フェライト10a外側に筒状の保持部材(回転部材側保持部材)41を一体的に設け、回転部材側保持部材41の端面(上面)をリング状の平面に形成し、この平面が、フェライト10aの上面よりもごく僅かに上方に突出(Δt1だけ突出)するように構成してもよい。
同様にして、フェライト10b外側に筒状の保持部材(回転部材側保持部材)41を一体的に設け、回転部材側保持部材41の端面(下面)をリング状の平面に形成し、この平面が、フェライト10bの下面よりもごく僅かに下方に突出するように構成してもよい。これにより、フェライト10同士の衝突による破損を防止することができる。
ところで、ロータリジョイント5,5aのたとえば第2の信号伝達手段55において、発光部31と受光部35との光路の間に、発光部31が発光し受光部35で受光する光の放射強度分布を高めるための光学手段を設けた構成であってもよい。この光学手段は、たとえば、発光部31から発した光をほぼ平行光線にして受光部35に送る機能を備えたものであり、次に説明するように、凹面状の反射面や凸レンズを用いて構成されている。
図15は、凹面状の反射面33aを用いて光学手段を構成したロータリジョイント5bの概略構成を示す図である。
ロータリジョイント5bは、シールドケース33の反射面を凹面状の反射面33aで構成した点が、図2等に示すロータリジョイント5や図6に示すロータリジョイント5aと異なり、その他の点は、ロータリジョイント5,5aとほぼ同様に構成されている。
すなわち、図15に示すロータリジョイント5bでは、シールドケース33に凹面状の反射面33aが設けられている。反射面33aの中心部には、導光管30の外径よりも僅かに大きな貫通孔が設けられており、この貫通孔を導光管30が通過している。導光管30とシールドケース33(凹面33aを構成している凹面鏡)とは非接触になっている。
さらに説明すると、固定側LED31より出射した広がりのある信号光が、凹面形状を有する反射面33aを備えたシールドケース33で収束および反射され、導光管30の周囲空間方向に向かう。やがて信号光は導光管保持部材36の一端に当たるが、導光管保持部材36は光透過性樹脂で作られているので、信号光は導光管保持部材36に入射し、導光管保持部材36の他端より出射し、図15では示していないが図2に示す場合と同様にして、DDモータ20の中央シャフ21内に出射されるようになっている。この中央シャフト21内に出射された光の一部がフォトダイオード35に入射する事により信号が伝わるようになっている。
なお、シールドケース33の反射面33aの形状は、図15に示す通りの凹面形状でもよいが、鋸歯状のフレネル反射面でもよい。すなわち、フレネルの凹面鏡を用いて、シールドケース33の反射面を構成してもよい。あるいは、回折効果を用いた鋸歯状または階段状の回折反射面を採用してもよい。
図16は、シールドケース33の反射面を、図15に示す凹面形状の反射面33aとした場合における信号伝送手段の構成例と光線追跡図である。
LED31として、たとえば、直径φ5mmの樹脂製ランプを採用している。そして、半値全角で約20度の角度で信号光が放射されるようになっている。反射面33aは、LED31の樹脂製ランプの頂点から約3mmの位置に反射中心が配置されており、反射面33aは半径で約30mmの凹面形状を有している。
図15で示すように、反射面33aを凹面形状とすることで、LED31より出射した広がりのある信号光が、凹面形状の反射面33aで平行に近い光束に収束され、高い放射強度分布で導光管30の周辺空間方向に反射される。これによりフォトダイオード35に入射される光束が増加し、フォトダイオード35での感度の向上がなされる。具体的には、図15に示した構成においては、反射面を図2に示すように平面とした場合に比べて約2倍に感度が上昇する。
なお、反射面33aの凹面形状は、図15では、球面形状であるが、1軸方向のみ曲面としたシリンドリカル面とすることで、生産性を向上し安価にすることが可能である。また、曲面形状を非球面多項式に基づく非球面形状や自由曲面とすることで、球面形状よりも更に感度を向上させることが可能である。
図17は、シールドケース33の反射面33aを、鋸歯状のフレネル反射面(フレネルの凹面鏡の反射面)とした場合の信号伝送手段の構成例と光線追跡図である。
LED31は、図15に示したLEDと同じ特性を有する。フレネルの凹面鏡の反射面は、LED31の樹脂製ランプの頂点から約2mmの位置に反射中心が配置され、半径で約30mmの球面を基本とした鋸歯状のフレネル反射面である。
図17で示すように、反射面を鋸歯状のフレネル反射面とすることで、LED31より出射した広がりのある信号光が、鋸歯状のフレネル反射面で平行に近い光束に収束され、高い放射強度分布で導光管30の周辺空間方向に反射される。これによりフォトダイオード35に入射される光束が増加し、フォトダイオード35での感度の向上がなされる。具体的には、図17に示した構成において、反射面を図2に示すように平面とした場合に比べて約2倍に感度が向上する。
なお、鋸歯状のフレネル反射面は、図17では、球面を基本としているが、1軸方向のみ曲面としたシリンドリカル面を基本とすることで、生産性を向上し安価にすることが可能である。また非球面多項式に基づく非球面形状や自由曲面を基本とすることで、球面の場合と比較し、更に感度を向上させることが可能である。
また、反射面を鋸歯状のフレネル面とすることで、反射面を凹面状とした場合と比較し、反射面の厚みを薄くすることができ、生産性の向上や、材料費用の低減、製作のための金型費用の低減、環境温度による形状変化の低減をはかることができるとともに、反射面が薄くなった分、反射面にLED31を近づけることが可能となり、LED31の広がりのある信号光の反射面での取り込み角を拡大し、より多くの信号光を反射し、フォトダイオード35に伝送することが可能となる。また、LED31と反射面を近づけることで、信号伝送手段の小型化、更には、装置の小型化を実現することができる。
なお、鋸歯状のフレネル反射面は、鋸歯の間隔を、波長以下、或いは波長の数倍程度とし、回折効果により入射光を収束および反射する回折効果による反射面としてもよい。反射面を回折反射面とすることで、鋸歯形状を複数の階段状のバイナリー形状とし、半導体製造装置などを用いて安価で高精度に反射面を製作することができる。
図18は、凸レンズ45を用いて光学手段を構成したロータリジョイント5cの概略構成を示す図である。
ロータリジョイント5cは、シールドケース33の平面状の反射面とLED31との間に凸レンズ45を設けた点が、図2等に示すロータリジョイント5や図6に示すロータリジョイント5aと異なり、その他の点は、ロータリジョイント5,5aとほぼ同様に構成されている。
すなわち、図18に示すロータリジョイント5cでは、シールドケース33とLED31との間に凸レンズ45が設けられている。LED31の中心と凸レンズ45の中心とシールドケース33の反射面の中心とは、ほぼ一直線上に存在している。
さらに説明すると、固定側LED31より出射した広がりのある信号光が、凸面形状を有する光学面を備えた凸レンズ45で収束した後、平面状の反射面を備えたシールドケース33で反射し、導光管30の周囲空間方向に向かう。以下図2や図15に示す場合と同様にして進み、フォトダイオード35に到達する。
凸レンズ45の凸面形状であるが、図18に示す通り凸面形状でもよいし、鋸歯状のフレネルレンズを採用してもよい。あるいは、回折効果を用いた鋸歯状または階段状の回折光学面でもよい。
図19は、凸レンズ45の凸面形状を、片面非球面とした場合の信号伝送手段の構成例と光線追跡図である。
LED31として、たとえば、直径がφ5mmの樹脂製ランプを採用している。そして、LED31から半値全角で約20度の角度で信号光が放射されるようになっている。凸レンズ45は、LED31の樹脂製ランプの頂点から約4mmの位置に光束入射面が配置され、半径で約6.8mm、コニック定数で0.19の非球面形状を有している。
図19で示すように、LED31と反射面を備えたシールドケース33の間に、たとえば非球面形状を有する凸レンズ45を配置することで、LED31より出射した広がりのある信号光が、非球面形状の凸レンズ45で平行に近い光束に収束されるとともに、高い放射強度分布で、導光管30の周辺空間方向に反射される。これによりフォトダイオード35に入射される光束が増加し、フォトダイオード35での感度の向上がなされる。具体的には、図19に示した構成において、凸レンズ45を用いず、LED31の信号光を図2に示すように直接的に反射面に入射した場合に比べて約4倍の感度の向上がなされる。
なお、凸レンズ45の凸面形状は、図19では、片面非球面の凸形状であるが、球面の凸形状や、一軸のシリンドリカル面とすることで、生産性を向上し安価にすることが可能である。また、両面を非球面とした凸形状や自由曲面とすることで、片面非球面形状よりも更に感度を向上させることが可能である。
図20は、凸レンズ45aの光学面を、鋸歯状のフレネル光学面とした場合(凸レンズ45aをフレネルレンズにした場合)の信号伝送手段の構成例と光線追跡図である。
LED31は、図19で示したLED31と同じ特性を有する。凸レンズ45aは、LED31の樹脂製ランプの頂点から約lmmの位置に光束入射面が配置され、半径で約6.6mm、コニック定数で約−0.68の非球面を基本とした鋸歯状のフレネル光学面を有する。
図20で示すように、光学面を鋸歯状のフレネル光学面とすることで、LED31より出射した広がりのある信号光が、鋸歯状のフレネル光学面で平行に近い光来に収束され、高い放射強度分布で導光管30周辺空間方向に反射される。これによりフォトダイオード35に入射される光束が増加し、フォトダイオード35での感度の向上がなされる。具体的には、図20に示した構成において、凸レンズ45aを用いず、LED31の信号光を図2に示すように直接的に反射面に入射した合に比べて、約3倍の感度の向上がなされる。
鋸歯状のフレネル光学面は、図20では、非球面を基本としているが、球面や一軸のシリンドリカル面を基本とすることで、生産性を向上し安価にすることが可能である。また両面を非球面とした場合や、自由曲面を基本とすることで、更に感度を上昇することが可能である。
また、凸レンズ45aを鋸歯状のフレネル面とすることで、凸レンズを凸面形状とした場合と比較し、光学面の厚みを薄くすることができ、生産性の向上や、材料費用の低減、製作のための金型費用の低減、環境温度による形状変化の低減を行うことができると共に、光学面が薄くなった分、凸レンズ45aにLED31を近づけることが可能となり、LED31の広がりのある信号光の凸レンズ45aでの取り込み角を拡大し、より多くの信号光を透過および反射し、フォトダイオード35に伝送することが可能となる。
また、LED31と凸レンズ45aとをお互いに近づけることで、信号伝送手段の小型化、更には、装置の小型化を実現することができる。
なお、鋸歯状のフレネル光学面は、鋸歯の間隔を、波長以下、或いは波長の数倍程度とし、回折効果により入射光を収束および反射する回折光学面としてもよい。光学面を回折光学面とすることで、鋸歯形状を複数の階段状のバイナリー形状とし、半導体製造装置などを用いて安価で高精度に凸レンズ45aを製作することができる。
図21は、導光管保持部材36の一端部(たとえば、フォトダイオード35側ではなくLED31側の端部)の形状を工夫して光学手段を構成したロータリジョイント5dの概略構成を示す図である。
ロータリジョイント5dは、導光管保持部材36の一端部の光(LED31が発した光)の入射面36aを凸状に形成した点が、図2等に示すロータリジョイント5や図6に示すロータリジョイント5aと異なり、その他の点は、ロータリジョイント5等とほぼ同様に構成されている。
すなわち、図21に示すロータリジョイント5dでは、導光管保持部材36の上端に凸状の面36aが形成されている。凸状の面36aの中心と、回転中心軸CL1とはお互いがほぼ一致している。
さらに説明すると、固定側LED31より出射した広がりのある信号光が、平面状の反射面を備えたシールドケース33で反射され、導光管30の周囲空間方向に向かう。やがて信号光は導光管保持部材36の入射面36aに当たるが、導光管保持部材36は光透過性樹脂で作られていると共に、入射面36aによって光を収束或いは発散する光学機能を有している。そして、導光管保持部材36に入射された信号光が平行に近い光束に変換され、導光管保持部材36の他端部から出射し、図15等で示す場合と同様にして、フォトダイオード35に到達するようになっている。なお、導光管保持部材36の上端に凸状の入射面36aを設けることに代えてもしくは加えて、導光管保持部材36の下端に凸状の出射面(LED31で出射され導光管保持部材36の内部を通ってきた光が出射する面)を設けてもよい。
導光管保持部材36の入射面(光学面)36aの形状は、図21に示す通り凸面形状でもよいし、鋸歯状のフレネル光学面でも良い。或いは、回折効果を用いた鋸歯状または階段状の回折光学面でもよい。
図22は、導光管30の保持部材36の入射面36aを凸形状とした場合の信号伝送手段の構成例と光線追跡図である。
LED31は直径φ5mmの樹脂製ランプになっており、半値全角で約20度の角度で信号光が放射されるようになっている。反射面を有するシールドケース33の反射中心は、LED31の樹脂製ランプの頂点から約2mmの位置に光束入射面が配置され、反射面は平面を有している。
導光管30の保持部材36の入射面36aは、半径約28mmの凸面形状を有し、LED31から出射され反射面で反射された広がりのある光束が、入射面36aの凸面形状で平行に近い光来に収束されるとともに、高い放射強度分布で、フォトダイオード35の周辺方向に放射されるようになっている。これによりフォトダイオード35に入射される光束が増加し、フォトダイオード35での感度の向上がなされる。具体的には、図22に示した構成においては、図2に示す場合と比較し、約1.1倍の感度の向上がなされる。
なお、導光管保持部材36の入射面36aは、図22では、球面の凸形状であるが、非球面の凸形状や、一軸のシリンドリカル面とすることで、生産性を向上し安価にすることが可能である。また、両面を球面や非球面とした凸形状や自由曲面とすることで、球面形状よりも更に感度を上昇することが可能である。
また、上記各ロータリジョイントにおいて、凹面状の反射面33a、凸レンズ45、凸状の入射面36aを適宜組み合わせた構成であってもよい。さらに、フォトダイオード35での感度が向上するのであれば、凹面状の反射面33a、凸レンズ45、凸状の入射面36aのうちのいずれかを、凹面面状の反射面33aの代わりに凸状の反射面にし、凸レンズ45の代わりに凹レンズにし、凸状の入射面36aの代わりに凹状の入射面にしてもよい。
なお、上述した各ロータリジョイント5,5a,5b,5c,5dは、固定部材と、所定の軸を回転中心にして前記固定部材に対し回転自在に設けられている回転部材と、前記固定部材に一体的に設けられている固定部材側構成部品と、前記回転部材に一体的に設けられている回転部材側構成部品とを備えて構成されており、前記固定部材側構成部品と前記回転部材側構成部品とがお互いに非接触であり、前記回転中心軸およびこの近傍で前記回転中心軸に沿って光を通過させることにより、前記固定部材と前記回転部材との間で信号の伝達をする信号伝達手段とを有するロータリジョイントの例である。