JP2009205112A5 - - Google Patents
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Description
本発明は、入射端に入力される光をコア幅広導波路により導波させて出射端から出力する光導波体、および、このような光導波体の製造方法に関するものである。
一般にレーザ光源から出力されるレーザ光のビーム断面形状は円形または楕円形である。これに対して、用途によっては、ビーム断面形状が一方向に長い矩形であって一定幅であるレーザ光を照射対象物へ照射したい場合がある。このような用途では、レーザ光源から出力されるレーザ光のビーム断面形状の変換が低損失で行われることが重要であり、また、照射対象物へ照射されるレーザ光のビーム断面における強度分布の均一性が高いことが重要である。
例えば、所定形状の開口部を有するマスクを用いてレーザ光のビーム断面形状を変換することも可能であるが、この場合には、マスクによりレーザ光の一部が遮断されるのでレーザ光の損失は大きい。また、シリンドリカルレンズを用いてレーザ光のビーム断面形状を変換することも可能であるが、この場合にはビーム断面形状変換後におけるレーザ光の強度分布の均一性は低い。
特許文献1に開示された光照射装置は、レーザ光源から出力されるレーザ光を矩形のビーム断面とするものであって、レーザ光源から出力されるレーザ光をカライドスコープの入射端に入力させ、そのカライドスコープの内部でレーザ光を導波させた後、そのカライドスコープの出射端からレーザ光を出力させ、その出射端から出力されるレーザ光を結像光学系により照射対象物において結像させる。
カライドスコープは、四角筒または四角柱の形状を有していて、その互いに対向する上面および下面が入射端または出射端となる。カライドスコープは、入射端に入力されるレーザ光を内部で繰返し全反射させながら導波させ、その導波させたレーザ光を出射端から出力する。カライドスコープの内部でレーザ光が繰返し全反射されることにより、カライドスコープの出射端から出力されるレーザ光は、矩形のビーム断面において強度分布が均一化される。
しかし、カライドスコープの出射端から出力されるレーザ光の矩形のビーム断面の一部領域では、レーザ光の干渉縞に因る強度分布が生じる。そこで、特許文献1に開示された光照射装置では、その干渉縞領域を遮断するマスクがカライドスコープの出射端に設けられて、強度分布の均一性が高い他の領域のレーザ光が選択的に出力される。
特開平11−212021号公報
しかしながら、特許文献1に開示された光照射装置は、レーザ光の一部を遮断するものであるので、ビーム断面形状の変換を低損失で行うことができない。また、本発明者による知見によれば、特許文献1に開示された光照射装置では、カライドスコープの出射端から出力されるレーザ光のビーム断面のうち干渉縞領域をマスクにより遮断したとしても、マスクの開口部を通過して出力されるレーザ光のビーム断面における強度分布の均一性は充分ではない。
本発明は、上記問題点を解消する為になされたものであり、レーザ光源から出力されるレーザ光のビーム断面形状の変換を低損失で行うことができ且つビーム断面における強度分布の均一性が高いレーザ光を出力することができる光照射装置において好適に用いられる光導波体を提供することを目的とする。
本発明に係る光導波体は、入射端に入力される光をコア幅広導波路により導波させて出射端から出力する光導波体であって、コア幅広導波路のコアが延在する平面上であって入射端から出射端に向う方向に垂直な方向の所定直線に沿って、コア幅広導波路における導波光に対する実効屈折率が不均一な分布を有していることを特徴とする。また、光照射装置は、レーザ光を出力するレーザ光源と、上記の本発明に係る光導波体と、レーザ光源から出力されるレーザ光を光導波体の入射端に入力させる結合光学系と、を備える。なお、レーザ光源は1個であってもよいし複数個であってもよい。結合光学系は好適には光ファイバを含んで構成される。また、光導波体の出射端の側に、光導波体の出射端から出力されるレーザ光を結像する結像光学系が設けられるのが好適である。
このような光導波体を備える光照射装置では、レーザ光源から出力されるレーザ光は、結合光学系により光導波体の入射端に入力される。その入力されたレーザ光は、光導波体のコア幅広導波路により入射端から出射端へ導波されて、該出射端から出力される。ここで、本発明に係る光導波体は、コア幅広導波路のコアが延在する平面上であって入射端から出射端に向う方向に垂直な方向の所定直線に沿って、コア幅広導波路における導波光に対する実効屈折率が不均一な分布を有している。入力されたレーザ光は、その不均一な分布の部分で屈折、回折、反射の作用を受け波面が乱雑化される。このことにより、光導波体における導波光の強度分布は均一化され、光導波体の出射端から出力されるレーザ光のビーム断面における強度分布の均一性が高くなる。また、レーザ光のビーム断面を遮断する必要がないので、レーザ光のビーム断面形状の変換を低損失で行うことができる。
本発明に係る光導波体は、上記所定直線に沿ってコア幅広導波路のコアの高さが不均一な分布を有していてもよいし、上記所定直線に沿ってコア幅広導波路のコアの屈折率が不均一な分布を有していてもよい。後者の場合、感光性材料でコア幅広導波路のコアを形成し、その感光性材料の屈折率を変化させ得る波長の光をコアに照射して、上記所定直線に沿ってコア幅広導波路のコアの屈折率を不均一な分布とすることができる。或いは、コア幅広導波路のコアに添加する不純物の種類または濃度を不均一とすることで、上記所定直線に沿ってコア幅広導波路のコアの屈折率を不均一な分布とすることができる。また、或いは、コア幅広導波路のコアを形成した後、そのコアの一部を除去し、その除去後の空間に異なる屈折率を有する材料を充填することで、上記所定直線に沿ってコア幅広導波路のコアの屈折率を不均一な分布とすることができる。
本発明によれば、レーザ光源から出力されるレーザ光のビーム断面形状の変換を低損失で行うことができ、且つ、ビーム断面における強度分布の均一性が高いレーザ光を出力することができる。
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図1は、本実施形態に係る光導波体を備えた光照射装置1の構成を示す図である。この図に示される光照射装置1は、N個のレーザ光源101〜10N、N個のレンズ201〜20N、N本の光ファイバ301〜30N、光導波体40および結像光学系50を備える。ここで、Nは1以上の整数であり、また、以下に登場するnは1以上N以下の整数である。
各レーザ光源10nは、レーザ光を出力するものである。各レーザ光源10nとして、任意のタイプのものが用いられ得るが、小型化の点で有利な半導体レーザ光源が好適に用いられる。N個のレーザ光源101〜10Nそれぞれから出力されるレーザ光の波長は、互いに略同一であってもよいし、互いに異なっていてもよい。各レンズ20nは、レーザ光源10nと光ファイバ30nの入射端30aとの間に設けられていて、レーザ光源10nから出力されるレーザ光を光ファイバ30nの入射端30aに集光して、そのレーザ光を該入射端30aから光ファイバ30n内に入力させる。
各光ファイバ30nは、レンズ20nから出力されて入射端30aに入力されるレーザ光を導波させて、そのレーザ光を出射端30bから出力する。各光ファイバ30nは、レーザ光源10nから出力されるレーザ光の波長において伝搬損失が小さいのが好ましく、例えば、純石英ガラスからなるコアを有するものであるのが好ましい。各光ファイバ30nは、シングルモード光ファイバであってもよいし、マルチモード光ファイバであってもよい。各光ファイバ30nの出射端30bは、光導波体40の入射端40aと光学的に接続されている。レンズ201〜20Nおよび光ファイバ301〜30Nは、レーザ光源101〜10Nから出力されるレーザ光を光導波体40の入射端40aに入力させる結合光学系を構成している。
光導波体40は、互いに対向する面に入射端40aおよび出射端40bを有していている。なお、この図1および以降の各図には、光導波体40について説明する際の便宜のためにxyz直交座標系が示されている。光導波体40は、N本の光ファイバ301〜30Nそれぞれの出射端30bから出力されて入射端40aに入力されるレーザ光をコア幅広導波路により導波させて、そのレーザ光を出射端40bから出力する。結像光学系50は、光導波体40の出射端40bから出力されるレーザ光を照射対象物2の表面上に結像する。
図2は、本実施形態に係る光導波体40の構成を示す斜視図である。光導波体40は、コア41と、このコア41を包囲するクラッド42と、を有する。コア41の屈折率はクラッド42の屈折率より高い。光導波体40は、レーザ光源101〜10Nから出力されるレーザ光の波長において伝搬損失が小さいのが好ましく、石英ガラスからなるのが好ましい。また、クラッド42の一部(例えばコア41に対して+y方向側の部分)は空気であってもよい。
入射端40aおよび出射端40bそれぞれはxy平面に平行である。コア41は、xz平面に平行な方向に延在していて、入射端40aから出射端40bまでz方向に沿って設けられていて、断面が一方向に長いコアを有するコア幅広導波路を構成している。コア41のx方向の幅はz方向に沿って均一である。例えば、コア41のx方向の幅は数百μm〜10mmであり、コア41のy方向の高さは数μm〜10μmであり、また、コア41のz方向の長さは数十mmである。
図3は、本実施形態に係る光導波体を備えた光照射装置1に含まれる光ファイバ30nと光導波体40との光結合を説明する断面図である。各光ファイバ30nは、コア31と、このコア31を包囲するクラッド32と、を有する。コア31の屈折率はクラッド32の屈折率より高い。例えば、コア31の径は数μm〜10μmであり、クラッド32の径は50μm〜125μmである。一般に光ファイバのクラッド径は125μmであるが、各光ファイバ30nのクラッド32の径を小さくすることにより、光導波体40の入射端40aにおいてコア41に対して、より多数の光ファイバを光結合させることができる。
各光ファイバ30nの出射端30bにおけるコア31と、光導波体40の入射端40aにおけるコア41とは、互いに対向して光学的に結合している。両者は、融着接続されているのが低損失の点で好ましいが、レンズを介して光結合されていてもよい。また、融着接続される場合、各光ファイバ30nのコア31の径は、光導波体40のコア41のy方向の高さと比べて同程度または小さいのが好ましく、このようにすることにより、各光ファイバ30nから光導波体40への光結合が低損失となる。
図4は、本実施形態に係る光導波体を備えた光照射装置1に含まれる光ファイバ30nと光導波体40との光結合部における光ファイバ301〜30Nの配列を説明する図である。この図は、当該光結合部において並列配置された光ファイバ301〜30Nの出射端30bを見たものである。光導波体40の入射端40aにおいてコア41はy方向の高さが限られていてx方向に長い形状となっているので、このようなコア41の形状に合わせて光ファイバ301〜30Nそれぞれの出射端30bもx方向に配列される必要がある。そこで、この配列を容易にするために保持部材33が用いられる。この保持部材33は、全体的には平板状の部材であって、その一方の主面上に各々断面V字形状のN本の溝が互いに平行に形成されている。このような保持部材33の主面上のN本のV溝は精度よく形成され得るので、各V溝に光ファイバ30nを配置することで、光ファイバ301〜30Nそれぞれの出射端30bも精度よく配置され得る。
このように構成される光照射装置1では、各レーザ光源10nから出力されたレーザ光は、レンズ20nにより光ファイバ30nの入射端30aに集光されて、この入射端30aから光ファイバ30n内に導入される。各光ファイバ30n内に導入されたレーザ光は、光ファイバ30nにより導波された後、光ファイバ30nの出射端30bから出力されて、光導波体40の入射端40aから光導波体40内に導入される。
入射端40aから光導波体40内に導入されたレーザ光は、コア41に閉じ込められて導波され、出射端40bまで達して該出射端40bから出力される。そして、結像光学系50により、光導波体40の出射端40bから出力されるレーザ光の像が照射対象物2の表面上に形成される。このとき、光導波体40の出射端40bにおけるコア41の形状はx方向に長い矩形であるから、照射対象物2の表面上に形成される像も一方向に長い矩形となる。また、照射対象物2の表面上に形成される像は、光導波体40の出射端40bにおけるコア41からの出射光の強度分布の像である。
ここで、本実施形態と対比されるべき比較例について説明する。比較例では、光導波体40のコア41からなるコア幅広導波路における導波光に対する実効屈折率は、x方向およびy方向の双方に対して均一であるとする。図5は、比較例の光導波体における導波光の強度分布の計算結果を示す図である。この図は、導波光の強度分布を濃淡で示しており、濃いほど光強度が弱いこと示している。この図に示されるように、比較例の光導波体において、コアに閉じ込められる導波されるレーザ光の干渉により、導波光の強度分布は均一性が悪い。したがって、この場合には、照射対象物の表面上に形成される像における強度分布も均一性が悪くなる。特許文献1に開示された光照射装置は、このような問題を有している。
そこで、このような問題を解消すべく、本実施形態に係る光導波体40は、図6(a)に示されるように、コア41の幅方向(x方向)の或る所定直線に沿って、コア41からなるコア幅広導波路における導波光に対する実効屈折率が不均一な分布を有している。実効屈折率の不均一分布の実現方法としては、図6(b)に示されるようにコア41の高さを不均一分布としてもよいし、図6(c)に示されるようにコア41の屈折率を不均一分布としてもよい。
コア41の高さを不均一分布とするには、コアを一旦形成した後、機械的または化学的な手法によりコアの一部領域の高さを減じて、その後に上部のクラッド42を形成すればよい。また、コア41の屈折率を不均一分布とするには、感光性材料(例えばGeO2やClが添加された石英ガラス)でコアを形成し、その感光性材料の屈折率を変化させ得る波長の光(紫外光またはX線)をコアに照射して、コアの屈折率を不均一な分布とすることができる。コアに添加する不純物の種類または濃度を不均一としてもよい。或いは、コアを形成した後、そのコアの一部を除去し、その除去後の空間に異なる屈折率を有する材料を充填してもよい。
図7は、本実施形態に係る光導波体40の一実施例を示す図である。また、図8は、本実施形態に係る光導波体40における導波光の強度分布の計算結果を示す図である。この光導波体40では、コア41のx方向の幅は250μmであり、コア41のy方向の高さは10μmであり、コア41のz方向の長さは30mmであり、また、クラッド42に対するコア41の比屈折率差は0.68%である。光導波体40の入射端40aにおいてコア41の中央に10×10μmのレーザ光が入力されるとする。また、レーザ光の波長は0.445μmであるとする。以上の条件は、比較例(図6)の場合と同様である。
しかし、本実施形態に係る光導波体40では、図7に示されるように、入射端40aから距離1.5mm付近のところで、コア41の一部領域41A(図中で破線で示された9個の楕円領域)の屈折率は、コア41の他の領域より高くなっている。このような場合の光導波体40における導波光の強度分布の計算結果が図8に示されている。この図でも、導波光の強度分布を濃淡で示しており、濃いほど光強度が弱いこと示している。図5に示された比較例の場合の導波光の強度分布と比較すると、この図8に示される本実施形態の場合の導波光の強度分布は、均一性が高くなっている。
比較例(図5)および本実施形態(図8)の何れの場合にも、光導波体の入射端の1箇所から光導波体内にレーザ光が入力されるとした。しかし、光導波体の入射端の複数箇所それぞれから相互間の干渉性が無いレーザ光が光導波体内に入力される場合、比較例では、間隔が広い干渉縞による強度分布が加算されることになって、その結果の全体の強度分布の均一性が更に悪くなる。これに対して、本実施形態では、間隔が狭い干渉縞による強度分布が加算され、その結果、全体の強度分布の均一性が改善される。なお、上述した例では屈折率分布はx、y方向に不均一なものの例を示したが、屈折率分布がz方向にも不均一であってもよいことは言うまでもない。
以上のように、本実施形態に係る光導波体を備えた光照射装置は、光導波体40の出射端40bから出力されるレーザ光のビーム断面における強度分布の均一性が高くなる。また、特許文献1に開示された光照射装置は、マスクを用いてレーザ光のビーム断面の一部を遮断するのでレーザ光の損失が生じるが、これに対して、本実施形態に係る光照射装置1は、レーザ光のビーム断面を遮断する必要がないので、レーザ光のビーム断面形状の変換を低損失で行うことができる。
1…光照射装置、101〜10N…レーザ光源、201〜20N…レンズ、301〜30N…光ファイバ、40…光導波体、50…結像光学系。
Claims (6)
- 入射端に入力される光をコア幅広導波路により導波させて出射端から出力する光導波体であって、
前記コア幅広導波路のコアが延在する平面上であって前記入射端から前記出射端に向う方向に垂直な方向の所定直線に沿って、前記コア幅広導波路における導波光に対する実効屈折率が不均一な分布を有している、
ことを特徴とする光導波体。 - 前記所定直線に沿って前記コア幅広導波路のコアの高さが不均一な分布を有していることを特徴とする請求項1に記載の光導波体。
- 前記所定直線に沿って前記コア幅広導波路のコアの屈折率が不均一な分布を有していることを特徴とする請求項1に記載の光導波体。
- 請求項3に記載の光導波体を製造する方法であって、
感光性材料で前記コア幅広導波路のコアを形成し、その感光性材料の屈折率を変化させ得る波長の光をコアに照射して、前記所定直線に沿って前記コア幅広導波路のコアの屈折率を不均一な分布とする、
ことを特徴とする光導波体製造方法。 - 請求項3に記載の光導波体を製造する方法であって、
前記コア幅広導波路のコアに添加する不純物の種類または濃度を不均一とすることで、前記所定直線に沿って前記コア幅広導波路のコアの屈折率を不均一な分布とする、
ことを特徴とする光導波体製造方法。 - 請求項3に記載の光導波体を製造する方法であって、
前記コア幅広導波路のコアを形成した後、そのコアの一部を除去し、その除去後の空間に異なる屈折率を有する材料を充填することで、前記所定直線に沿って前記コア幅広導波路のコアの屈折率を不均一な分布とする、
ことを特徴とする光導波体製造方法。
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