JP2009204404A - 透光性部材、時計、および透光性部材の製造方法 - Google Patents

透光性部材、時計、および透光性部材の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】反射防止機能を備え、かつ硬度が十分に高く耐傷性が確保された透光性部材、時計、および透光性部材の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の透光性部材1は、透光性を有する基材10を備え、基材10の表面には、F、H、B、SiおよびCから選択された少なくともいずれかのイオンが注入されて反射防止機能を有する無機膜13が形成され、無機膜13における前記イオンの濃度は、無機膜13の内部に最大値を有する。
【選択図】図3

Description

本発明は、カバーガラスなどの透光性部材、時計、および透光性部材の製造方法に関する。
従来、時刻表示などの視認性を高めるため、カバーガラス(風防)と呼ばれる透光性部材に反射防止膜(減反射膜)を形成することが知られている(特許文献1)。反射防止膜は、屈折率の異なる無機膜が数層〜数十層積層されて構成されることが一般的であり、カバーガラスのように高い硬度が求められる場合には、光透過率が高いうえ低屈折率でかつ比較的硬度が高いSiOが反射防止膜の最表層に成膜されることが多い。特許文献1には、SiOを最表層および最下層とし、SiO膜とSi膜とが交互に積層された反射防止膜が記載されている。
特開2004−271480号公報
ここで、カバーガラスに多用されるサファイア基板の硬度はISO14577準拠の測定値で約52269N/mm(5330kgf/mmを換算した値。以下同様)と高硬度であるが、SiO膜の硬度はISO14577準拠の測定値で約13700N/mm〜約19600N/mm程度と、耐傷性を確保するのに十分な硬度とは言い難い(EB蒸着によるSiO層は約13700N/mm(1400kgf/mm)、スパッタによるSiO層は約19600N/mm(2000kgf/mm))。また、このような反射防止膜をカバーガラスの外側の面に形成すると、外部からの衝撃等で膜が剥離するなどして光透過率が低下し、時刻表示等の視認性が低下するおそれがあるため、反射防止膜をカバーガラスの外側の面に形成することは難しい。このため、SiOを最表層とする反射防止膜が形成される箇所は、実質、カバーガラスの内側の面に限定されていた。すなわち、耐傷性が要求される部分への反射防止層の形成が難しかった。
一方、硬度が高いSi、AlおよびZrOなどの無機化合物は屈折率が高く、これらの無機化合物からなる無機膜では、反射防止機能に劣る。
以上に鑑みて、本発明の目的は、反射防止機能を備え、かつ硬度が十分に高く耐傷性が確保された透光性部材、時計、および透光性部材の製造方法を提供することにある。
本発明は、透光性を有する基材を備える透光性部材であって、前記基材の表面には、F、H、B、SiおよびCから選択された少なくともいずれかのイオンが注入されて反射防止機能を有する無機膜が形成されていることを特徴とする。
ここで、本発明に係る無機膜は、注入された前記イオンが存在することにより反射防止機能を有する反射防止部分(以下、「反射防止層」ともいう。)を有する。この反射防止層は、無機膜の体表面から無機膜の内部に亘って所定深さで形成された層状の領域である。
なお、透光性部材の基材としては、サファイアガラス(以下、単に「サファイア」ともいう。)、石英ガラス、ソーダガラス等が挙げられる。
この発明では、無機膜に注入された前記イオンを含んで反射防止層が形成される。ここで、無機膜にイオンが注入されることにより形成された反射防止層の屈折率は、無機膜における反射防止層以外の部分(イオン非注入部)の屈折率よりも小さい。このため、無機膜と空気との屈折率の差を小さくでき、これによって光透過率を増大させることが可能となるので、反射率を低減することが可能となる。また、基材自体が高屈折率であったとしても、その上に、反射防止機能を有する無機膜が形成されるので、サファイア等の高屈折率基材にも適用が可能である。
また、本発明では、無機膜に前記イオンが注入されることにより無機膜の硬度が向上する。すなわち、耐傷性と反射防止機能とを併せ持つ透光性部材を実現できる。それ故、本発明の透光性部材をカバー部材として使用する場合に、そのカバー部材の外側の部分に反射防止機能と耐傷性を付与することが可能となる。
そして、本発明の透光性部材が機器の情報表示部のカバー部材として設けられる場合には、透光性部材の反射防止機能によって情報の視認性が向上する。この視認性は、透光性部材の耐傷性によって長期に亘り維持される。
そして、本発明の透光性部材が機器の情報表示部のカバー部材として設けられる場合には、透光性部材の反射防止機能によって情報の視認性が向上する。この視認性は、透光性部材の耐傷性によって長期に亘り維持される。
本発明の透光性部材においては、前記無機膜が、SiO、MgF、LiF、NaAlF、NaF、CaF、LaF、NdF、Al、CeF、およびSiOで示されるいずれかの無機化合物からなることが好ましい。
無機膜を構成する無機化合物が上述のいずれかであると、それらの優れた基本特性(硬度や屈折率)を生かした上で、前記したイオン注入により、低屈折率かつ高硬度の無機膜を提供することが可能となる。また、上述した無機膜は、サファイア、石英ガラス、ソーダガラス等からなる基材との接着性に優れる点でも好ましい。特にサファイアを基材とする場合には、無機膜構成材料としてAlを選定することが好ましい。
本発明の透光性部材においては、前記無機膜における前記イオンの濃度は、該無機膜の内部に最大値を有することが好ましい。
すなわち、本発明によれば、イオン濃度が反射防止層の最表層部よりも反射防止層の内部に最大値を持ち、そこからあらためて最下層部に向かって次第に小さくなる。すなわち、基材の体表面(深さゼロ)からの所定深さに濃度のピークを持つようにイオンが分布していることを意味する。このようなイオン濃度分布を持たせることで、基材の表面をできるだけもとの状態に保ちながら反射防止層を形成できる。例えば、イオン注入により反射防止層の屈折率低減に寄与したとしても、同時に無機膜表面の硬度が低下してしまう場合において、イオン濃度のピーク位置を深くすることで、基材表面の硬度を維持することが可能となる。
また、本発明のように基材の体表面からの深さに応じてイオン濃度が異なること、微視的には反射防止層の内部において、屈折率が互いに異なる複数の光学層が形成されたものと想定できる。これらの光学層により、屈折率が異なる多層構造の反射防止層を形成することなく、広範囲な波長および広範囲な入射角の光に対応した反射防止効果が得られる。そして、このような反射防止効果が本発明によって簡易にかつ安価に得られる。
本発明の透光性部材において、前記イオンの濃度が最大値を示す前記無機膜の体表面からの深さは、30nm以上、150nm以下であることが好ましい。
本発明のようにイオンが無機膜のある程度深い位置にまで、しかも高濃度に注入されることにより、微視的には反射防止層の内部で、反射防止機能に寄与する実効的な屈折率を有し、屈折率が互いに異なる多数の層が形成される。このような多層構造により、より広範囲な波長およびより広範囲な入射角の光に対応した反射防止効果が得られる。
ここで、本発明のように前記深さ(イオン注入ピーク深さ)が30nm〜150nmであることにより、可視光領域略全体に亘って良好に反射率を低減できる。これにより、透光性部材の無色透明化を図ることができる。
なお、前記イオン注入ピーク深さが30nm未満の場合には、特に青の帯域における反射率が大きくなるおそれがある。また、前記イオン注入ピーク深さが150nmを超えた場合には、特に赤の帯域における反射率が大きくなるおそれがある。
本発明の透光性部材において、前記無機膜が形成された基材の表面硬度は、24500N/mm(約2500kgf/mm)以上であることが好ましい。
この発明によれば、携帯される腕時計、懐中時計などの時計や、携帯情報機器などの実用に十分な耐傷性が得られる。
ここで、前記表面硬度は、ISO14577に準拠した方法で測定された値である。この測定には、圧子と、圧子への荷重を制御する荷重制御機構と、圧子の変位を検出するセンサとを有するナノインデンターが使用される。
本発明の透光性部材において、前記無機膜が形成された基材の表面硬度は、前記イオンの注入前の無機膜が形成された基材の硬度よりも大きいことが好ましい。
この発明では、イオンが注入された前記体表面部の表面硬度が、前記イオンの注入前における前記基材の硬度よりも大きい。これにより、透光性部材の耐傷性をより一層向上させることができる。例えば、イオン注入により基材の体表面部の圧縮応力を増大させることで、基材の表面硬度をイオン注入前の硬度よりも大きくすることができる。
本発明の透光性部材において、前記透光性部材は、カバー部材とされ、前記無機膜は、前記カバー部材の内側の部分および外側の部分のうち、少なくとも外側の部分に形成されることが好ましい。
本発明によれば、カバー部材の外側から入射する光の反射を入射側で防止できるため、カバー部材の内側である射出側の部分に反射防止層が形成された場合よりも良好な反射防止効果が得られる。
また、外部に露出するためより高い耐傷性が要求されるカバー部材の外側の部分に反射防止機能を持った無機膜が形成されることで、耐傷性確保の意義を大きくできる。
本発明の透光性部材において、前記無機膜には、電場で加速された前記イオンが注入されることが好ましい。
ここで、イオンを電場で加速する方法(装置)としては、半導体用として汎用的に用いられるイオン注入装置が好ましく適用できる。このようなイオン注入装置は、元素のイオンを発生させるチャンバー、イオンを高エネルギーまで電気的に加速する加速器、対象となる物質(ターゲット)にイオンを打ち込むチャンバーから成り立っている。イオンの加速エネルギーは10〜500KeVの範囲とすることが好ましい。1〜10KeVの範囲でも使用することは可能であるが、イオンが表面数nm程度のところで停止してしまうので、本発明においては、あまり実用的ではない。
なお、サファイア等の基材は絶縁体であるため、基材の近傍に導体を配置し、この導体を電極として電圧を印加することにより、無機膜が形成された基材への電荷印加が可能となる。
この発明によれば、イオンを発生させ、基材への電荷印加によってイオンを基材に注入することにより、前述したような無機膜の内部においてイオン濃度が最大となるイオン分布や、前記イオン注入ピーク深さを容易に制御できる。すなわち、本発明によれば、加熱によるイオン拡散処理などの他の方法によるイオン注入処理と比べて、イオンをより深い注入ピーク深さで高濃度に注入することが可能となる。
また、本発明の手法により、基材の平面方向において均一にイオンを注入することが可能となる。
本発明の時計は、前述の透光性部材を備え、前記透光性部材は、時計体を収容するケースに設けられることを特徴とする。
この発明によれば、前述の透光性部材を備えることにより、前述と同様の作用および効果を享受できる。ここで、透光性部材は、例えばカバーガラス(風防)としてケースに設けられる。
本発明の透光性部材の製造方法は、上述したいずれかの透光性部材の製造方法であって、前記基材表面に無機膜を形成する無機膜形成工程と、F、H、B、SiおよびCから選択された少なくとも1種を含む原料ガスから、イオンを発生させるイオン化工程と、イオン加速装置により、前記無機膜表面に前記イオンを注入するイオン注入工程と、を備えることを特徴とする。
この発明によれば、前述の透光性部材を製造する際に、無機膜が基材の表面に形成され、その無機膜に反射防止機能と耐傷性を付与できるので、基材の物性にかかわらず、耐傷性と反射防止機能とを併せ持つ透光性部材を容易に実現できる。
また、所定の原料からイオンを発生させ、基材への電荷印加によってイオンを基材に注入することにより、前述したような無機膜の内部においてイオン濃度が最大となるようなイオン分布や、前述したイオン注入ピーク深さを容易に制御できる。さらに、本発明によれば、加熱によるイオン拡散処理などの他の方法によるイオン注入処理と比べて、イオンをより深い注入深さで高濃度に注入することが可能となる。また、本発明により、無機膜(基材)の平面方向において均一にイオンを注入することもが可能となる。
このような本発明によれば、反射防止機能と耐傷性とを併せ持つ透光性部材、これを備えた時計、および透光性部材の製造方法を提供できる。
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
〔1.イオン注入装置の構成〕
図1は、透光性部材としてのカバーガラス1を加工するイオン注入装置2の概略を模式的に示したものである。この注入装置2は、半導体用として汎用的に使用されるイオン注入装置であり、原料ガスから所定のイオンを発生させるイオン化室21と、イオンを加速する加速器室22と、加速されたイオンが注入される基材10を載置するターゲット室23とを含んで構成される。
イオン化室21では、F、B、H、およびSiから選択された少なくとも1種を含む原料ガスから所定の元素イオンが生成する。この元素イオンは、導管部221を通って加速管222に導入され、加速管222の高電圧によって加速された元素イオンは、導管部223を通って、ターゲット室23内の基材10に注入される。
〔2.カバーガラスの製造方法〕
図2は、本実施形態のカバーガラス1の製造方法に係る各工程を示す。また、図3には、この製造方法により得られたカバーガラス1の模式図を示す。カバーガラス1は、基材10と、その表面に形成された無機膜13とを含んで構成されるが詳細は後述する。
本実施形態の製造方法は、基材10の表面に無機膜13を形成する無機膜形成工程S1と、原料ガスからイオンを発生させるイオン化工程S2と、イオンをカバーガラス1の基材に注入するイオン注入工程S3とを備える。
なお、基材10の表面に無機膜13を形成する工程S1の前に、基材10を洗浄することが好ましい。本実施形態では、基材10を120℃の熱硫酸中に10分間浸漬し、純水でよくリンスした後、120°に設定した大気中オーブンで30分間乾燥することによって基材10を洗浄する。
無機膜形成工程S1により基材10の表面に形成される無機膜13の構成材料としては、例えば、SiO、MgF、LiF、NaAlF、NaF、CaF、LaF、NdF、Al、CeF、およびSiOが挙げられる。
無機膜形成工程S1として適用可能な方法には、真空蒸着やスパッタリングなど薄膜形成法として知られる種々の方法が挙げられ、特に制限はないが、強い(剥がれにくい)膜とするためにはスパッタリングが好ましい。本実施形態では、スパッタリングにより無機膜13を形成する。
スパッタリングを行う際は、図示しないスパッタチャンバー内に、前述した無機化合物をターゲットとして載置し、対向して置かれた基材10に対して常法によりスパッタリングを行う。
無機膜13の厚みとしては、後述するイオン注入による反射防止層形成や表面硬度の向上を考慮して100nm〜1μmとすることが好ましい。
イオン化工程S2では、イオン化室21内を例えば、4×10−4Paまで減圧したうえで、原料ガスをイオン化室21内に導入する。そして、イオン化室21内のガス圧を例えば2.4Paとした状態で、図示しない高周波電源からの高周波パルス(本実施形態では13.56MHz)を印加する。これによりイオン化室21内で気体放電によってプラズマが発生し、使用した原料ガスに応じてF、H、B、SiおよびCの少なくともいずれかの種類の正イオンが発生する。
ここで、原料ガスは、次の通り、注入するイオン種に応じて適宜決められる。
Fイオンを注入する場合には、例えばCFまたはFを原料ガスとして使用できる。
Bイオンを注入する場合には、例えばBFまたはBHを原料ガスとして使用できる。
Hイオンを注入する場合には、例えばHを原料ガスとして使用できる。
Siイオンを注入する場合には、例えばHMDSO(ヘキサメチルジシロキサン)を原料ガスとして使用できる。
Cイオンを注入する場合には、例えばCHを原料ガスとして使用できる。
なお、例示を省略するが、F、B、H、およびSiから選択された2種以上のイオンを注入する場合の原料ガスについても、適宜決められる。
イオン化工程S2によりイオン化が行われたら、イオン注入工程S3を実施する。このイオン注入工程S3では、イオンの加速エネルギーを10〜500KeVの範囲とする。イオン化室21で生成したイオンは、導管部221を拡散しながら加速管222に導入され、加速管222内部の高電圧によって加速されたイオンは、導管部223を通って、ターゲット室23内の基材10に高速で注入される。印加時間(注入時間)は、例えば5〜10分間である。
なお、印加電圧および印加時間は、基材10の体表面における単位面積あたりの注入イオン数を示すイオン注入量に基づいて決められる。このイオン注入量は、イオン注入状態を示す指標である。本実施形態におけるイオン注入量は、1.0E15〜1.0E21ions/cmに設定される。
〔3.カバーガラスの構成〕
図3は、上述の製造方法により製造された本実施形態のカバーガラス1の断面を示す模式図である。図4には、カバーガラス1を備えた腕時計の断面を示す。カバーガラス1は、時計体(ムーブメント)3を収容するケース4に設けられる。ケース4には裏蓋5が設けられている。
本実施形態のカバーガラス1は、サファイア製の基材10から形成され、上述のイオン注入処理は、基材10の体表面部のうち前面部10Aに対して行われる。なお、無機膜の構成材料としてAlを用いた場合、イオン注入処理前における基材10(無機膜13)の硬度は、21575N/mm(2200kgf/mm)であり、イオン注入処理前における無機膜13の屈折率は1.62である。
ここで、本実施形態において、カバーガラス1は、基材10表面に形成された無機膜13の表層である前面部10A、後面部10B、および側面部10Cからなる。前面部10Aは、カバーガラス1の外側の部分に相当する。後面部10Bは、カバーガラス1の内側の部分に相当し、文字板6および指針7に対向する。
前面部10Aには、無機膜13にイオンが注入されることによって反射防止層11(図3)が形成されている。この反射防止層11は、無機膜13の体表面Aから無機膜13の内部に亘って所定深さで形成された層状の領域であり、無機膜13に注入された状態のイオンを含む。無機膜13は、この反射防止層11と、イオンが注入されていないイオン非注入部12とを有して構成される。
ここで、図3は、無機膜13の体表面(深さゼロ)からの深さ(反射防止層11の厚み方向の寸法)とイオン濃度との関係を模式的(視覚的)に示したものであり、反射防止層11におけるイオン分布は、最表層部111から若干深い位置でイオン濃度が最大となっている。
また、本実施形態では、イオン濃度が最大値となる無機膜13の体表面Aからの深さ(図3のイオン注入深さ)は、30nm以上150nm以下である。本実施形態では、イオンを高電圧で加速する加速器(イオンガン)を使用するので、無機膜13の深い位置にまでイオンを高濃度に注入できる。
図5は、無機膜13に打ち込む元素イオンとして、F、HおよびSiを選択した場合に、基材10深さ方向におけるイオン濃度が具体的にどのようになるかをシミュレーションした結果を示したものである。ここで、イオン注入条件は以下の通りである。
F:印加エネルギー 65KeV、注入量 1.0E17ions/cm
H:印加エネルギー 10KeV、注入量 1.0E17ions/cm
Si:印加エネルギー 105KeV、注入量 1.0E17個ions/cm
このように最表層部111より数十nm(0.05〜0.1μm)の深さでイオン濃度が最大となるが、最表層部111でもある程度のイオン濃度が保たれるので、最表層部111における屈折率を1.59以下と低くできる。
そして、イオンが基材10の深い位置にまで、しかも高濃度に注入されることにより、微視的には、反射防止層11の内部で、反射防止機能に寄与する実効的な屈折率を有し、屈折率が互いに異なる多数の光学層が形成されるものと想定できる。このような多層構造によって光の波長や無機膜13表面への入射角への依存性が少なくなり、可視光領域略全体に亘って反射率を良好に低減できる。
なお、カバーガラス1の反射率は、例えば、カバーガラス1に入射した光の強度と、カバーガラス1で反射する光の強度との割合に基づいて測定可能である。そして、標準光の反射率と視感感度とを可視光領域の各波長において掛け合わせた値の積算値に基づいて評価用の反射率を求め、この反射率を使用してカバーガラス1の光学特性を評価することが好ましい。これにより、目視の場合の反射防止性能を適切に評価できる。
イオンが注入された無機膜13の前面部10Aの表面硬度は、ナノインデンターを使用したISO14577準拠の測定値で24500N/mm(約2500kgf/mm)以上である。ここで、イオン注入により無機膜13の体表面部の圧縮応力が増すことで、表面硬度がイオン注入前よりも大きくなる。
上述したような無機膜13(反射防止層11)による反射防止機能により、カバーガラス1を通して文字板6および指針7がはっきりと視認可能となり、視認性が向上する。ここで、カバーガラス1の前面部10Aの表面硬度が腕時計の使用上十分な硬度(24500N/mm(約2500kgf/mm)以上)であるため、カバーガラス1は優れた耐傷性を有する。これにより、外部衝撃を受けた際に光学特性が変化して透過率が低下することなく、長期に亘って優れた視認性を維持できる。
なお、反射防止層11は無機膜13自体であり、外部衝撃で反射防止層11が無機膜から剥離し、透過率が低下するなどの問題は生じない。
〔4.本実施形態による効果〕
以上の本実施形態によれば、次のような効果が得られる。
(1)カバーガラス1の反射防止層11は、基材10の表面に形成された無機膜13に注入された所定のイオンを含んで無機膜13の一部を構成する。それ故、反射防止層11の硬度が無機膜13自体の硬度となる。つまり、基材10の材質を直接改変せず、腕時計の実用に十分な硬度を確保しつつ、基材10に反射防止機能を付与することが可能となる。これにより、耐傷性と反射防止機能とを併せ持つカバーガラス1を実現できる。
(2)カバーガラス1の反射防止機能により、時刻情報の視認性が向上する。この視認性は、カバーガラス1の耐傷性によって長期に亘り維持できる。
(3)無機膜の体表面Aからの深さに応じてイオン濃度が異なることで、微視的には反射防止層11の内部において、屈折率が互いに異なる複数の光学層が形成されたものと想定できるため、高価な多層構造の反射防止膜を形成することなく、広範囲な波長および広範囲な入射角の光に対応した反射防止効果が得られる。このような反射防止効果が反射防止層11によって簡易にかつ安価に得られる。
(4)イオン濃度が最大となる位置(イオン注入ピーク深さ)は、反射防止層11(無機膜13)の最表層部111ではなく、反射防止層10の体表面Aからの深さで、30nm以上150nm以下である。それ故、可視光領域略全体に亘って良好に反射率を低減でき、透光性部材の無色透明化を図ることができる。
(5)また、無機膜13に打ち込まれたイオンの量(注入量)を増やして反射防止効果をより高くできるとともに、反射防止層11(無機膜13)の最表層部111におけるイオン濃度をあまり高くしなくても済むため、無機膜13表面の物性を無機膜13本来の物性とほぼ同じように保つことが可能となる。
(6)基材10の前面部10Aの表面硬度が24500N/mm(約2500kgf/mm)以上であることにより、腕時計の実用に十分な硬度が得られる。
(7)カバーガラス1の前面部10Aに形成された反射防止層11によって、カバーガラス1の外側から基材10に入射する光の反射を入射側で防止できる。このため、カバーガラス1の後面部10Bに反射防止層が形成された場合よりも良好な反射防止効果が得られる。
(8)半導体用イオン注入装置を用いてイオンを無機膜13に注入することにより、前述したような反射防止層11の内部においてイオン濃度が最大となるイオン分布や、前述したイオン注入深さを容易に実現できる。すなわち、本実施形態のようなイオン注入処理によれば、加熱によるイオン拡散処理などの他の方法によるイオン注入処理と比べて、イオンをより深い注入深さで高濃度に注入することが可能となる。
また、本実施形態のイオン注入処理により、無機膜13の平面方向において均一にイオンを注入することが可能となる。
〔本発明の変形例〕
本発明は、以上述べた実施形態には限定されず、本発明の目的を達成できる範囲で種々の改良および変形を行うことが可能である。
前記実施形態では、カバーガラス1の前面部10Aに形成された無機膜13にのみに反射防止層11が形成されていたが、後面部10Bに無機膜を形成してイオン注入を行い、反射防止層を形成してもよい。このように後面部10Bにイオン注入を行う場合には、図1中、後面部10Bを加速管222に向けた状態で基材10を載置する。なお、前面部10Aと後面部10Bとの両方に反射防止層を形成することにより、カバーガラス1の反射防止性能をより一層高くできる。
前記実施形態では風防としてのカバーガラス1に本発明が適用された例を示したが、本発明の透光性部材は、風防としてのカバーガラスに限定されない。機械式時計などでは、裏蓋5(図4)が設けられる位置にカバー部材としての透光性部材が設けられ、この透光性部材を介して時計体の内部の機構を視認可能なシースルーバック仕様とされていることがある。このような場合、この透光性部材に本発明を適用できる。
なお、透光性部材の基材としては、高硬度のサファイアが好適であるが、このほか、石英ガラス、ソーダガラス等の使用も検討してよい。
ここで、石英ガラス、ソーダガラス等が使用され、サファイア等と比べて基材の硬度が低い場合でも、本発明に係るイオン注入によって基材の最表面部の硬度が大きくなるため、腕時計の実用に十分な硬度を確保できる。
また、本発明の透光性部材は、時計に使用されるカバー部材に限らず、携帯電話、携帯情報機器、計測機器、ディジタルカメラ、プリンタ、プロジェクタ、ダイビングコンピュータ、脈拍計等の各種機器における情報表示部のカバー部材として好適に使用できる。
なお、本発明の透光性部材は、カバー部材には限定されない。本発明に係る反射防止層は、透光性部材の基材において硬度確保と反射防止機能とが要求される任意の箇所に形成される。
以下に説明する実施例1〜3では、前記実施形態と同様にサファイア製の基材を使用し、スパッタリングにより基材上に無機膜を形成した後、イオン注入装置2(図1)を使用して基材にイオンを無機膜に注入することによってカバーガラスを製造した。
具体的には、前記実施形態と同様の方法で基材を洗浄した後、前記実施形態と同様に無機膜形成工程S1、イオン化工程S2およびイオン注入工程S3を実施することにより、F、B、H、SiおよびCのいずれかのイオン種を無機膜に注入した。これにより、カバーガラスの外側の部分に相当する基材(無機膜)の前面部に反射防止層を形成した。以下に、詳細に説明する。
〔実施例1〕
〔カバーガラスの製造条件〕
洗浄後の基材およびターゲット(Al)をスパッタリングチャンバー内に載置した後、Arガスを9.0sccm、酸素ガスを9.5sccmを導入した。チャンバー内の圧力を0.2mTorrとした後、1500Wでスパッタリングを行い、Alからなる無機膜を基材の表面に形成した。
その後、この基材表面の無機膜に対して、各種のイオンを打ち込んだ。イオン注入における条件を、イオン種ごとに表1に示す。イオン注入状態の指標としてのイオン注入量は、1.0E15ions/cmと、1.0E17ions/cmの2通りである。
なお、注入ピーク深さ、屈折率、反射率、および表面硬度のそれぞれの意味を下記に示す。
注入ピーク深さ(nm):基材をその表面(体表面)から深さ方向に二次イオン質量分析法(SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometry)で分析してイオン濃度を測定し、このイオン濃度に基づいて求めたイオン注入深さであり、イオン濃度が反射防止層の内部で最大となる基材表面からの深さである。イオン濃度は、測定分解能に応じた深さごとのイオン数から求められる。
屈折率:反射防止層の最表層部の屈折率である。
反射率(%):基材表面に対して90°の入射角で入射する標準光の反射率を求め、この反射率と、入射角90°の場合の視感感度とを可視光領域の各波長において掛け合わせた値の積算値に基づいて算出した値である。
表面硬度(N/mm):ナノインデンターを使用して基材の体表面部の表面硬度を測定した値であり、ISO14577に準拠する。
〔カバーガラスの光学特性の評価〕
上記の製造条件で製造されたカバーガラスについて、光学特性の評価を行った。下記の表1に、屈折率と、反射率と、表面硬度とをそれぞれ示す。
なお、表中の試験No.0は、イオンが注入されていない無機膜(Al膜)自体の屈折率、反射率、および表面硬度を示す(実施例2においても同じ)。
上記表に示すように、本実施例では前記イオン注入深さは50nmである。上記表の通り、イオン注入によって基材表面(反射防止層の最表層部)の屈折率が低下するとともに、基材(無機膜)の反射率が低下する。ここで、Fを注入した場合に低屈折率化の効果が最も大きいことがわかる。また、イオン注入量を増やすことで屈折率はより低下し、それにつれて反射率も低下する。ここで、屈折率を1.58以下にすると、反射率を3.0%以下にできるので好ましい。より好ましくは、屈折率を1.50以下として反射率を1.5%以下にする。
なお、本実施例では、Siを注入した場合(試験No.4、8)の反射率が他のイオン種を注入した場合の反射率と比べてやや劣っている。
上記の表に示すように、イオン注入によって基材(無機膜)表面の硬度が注入前よりも大きくなる。これは、イオン注入により無機膜の体表面部の圧縮応力が増したためと考えられる。
次に、上記表1のNo.0〜8のそれぞれのカバーガラスについて、以下に示す耐傷性試験1および耐傷性試験2を行った。
〔耐傷性試験1〕
文具用カッターの刃を基材の表面に垂直に当て、当該カッターに980N(10kgf)の荷重をかけながら、カッターの刃で無機膜表面を切るように直線的に移動させる。このようなカッターの刃の移動動作を10回行った後、実体顕微鏡で基材表面の傷の有無を観察した。
(その試験結果)
上記表1におけるNo.0のカバーガラス(イオン注入を行っていない無機膜(Al単独膜))では、無機膜表面に傷が付いたが、No.1〜8のいずれのカバーガラスについても、傷はつかなかった。
〔耐傷性試験2〕
次のような落砂試験を行った。水平面に対してカバーガラスを45°の傾斜角度で配置する。この際、反射防止層が形成された側が上面側になるようにカバーガラスを配置する。このように配置したカバーガラスの反射防止層に向かって、水平面より1mの高さから砂を落下させた。その後、カバーガラスを洗浄し、試験前におけるカバーガラスの光線透過率と、試験後におけるカバーガラスの光線透過率との差ΔT(%)に基づいて、耐傷性を評価した。
なお、使用する砂の材質は、黒色炭化ケイ素インゴットおよび緑色炭化ケイ素インゴットを粉砕、分級して製造されたカーボランダムである。この試験では、中心粒径が600〜850μmのカーボランダム#24を800cm使用した。
(その試験結果)
以下に示すように、無機膜にイオンを注入したNo.1〜8のカバーガラスは、いずれも耐傷性が良好であった。
No.0 :ΔT=2.1%
No.1〜4:ΔT=1.0%
No.5〜8:ΔT=0.8%
以上の耐傷性試験1および耐傷性試験2から、無機膜に所定のイオンを注入した本実施例のカバーガラスはいずれも実用上十分な耐傷性を有することがわかる。
〔実施例2〕
〔カバーガラスの製造条件〕
洗浄後の基材およびターゲット(SiO)をスパッタリングチャンバー内に載置した後、Arガスを9.0sccm、酸素ガスを9.5sccm導入した。チャンバー内の圧力を0.2mTorrとした後、1500Wでスパッタリングを行い、SiOからなる無機膜を基材の表面に形成した。
その後、この基材表面の無機膜に対して、C(炭素イオン)を打ち込んだ。イオン注入における条件を、表2に示す。イオン注入状態の指標としてのイオン注入量は、1.0E15ions/cmと、1.0E17ions/cmの2通りである。その他の条件は、実施例1と同じである。No.0は、SiOからなる無機膜へのイオン注入を行わなかったカバーガラスである。
〔カバーガラスの光学特性の評価〕
上記の製造条件で製造されたカバーガラスの光学特性の評価を行った結果を、下記の表2に示す。なお、表中の注入ピーク深さ、屈折率、反射率、および表面硬度のそれぞれの意味は、実施例1で既に述べた通りである。
上記表2のNo.0に示すように、SiOのみからなる無機膜では、表面硬度は、19613N/mm(2000kgf/mm)と柔らかいが、No.1、2のように炭素イオンを打ち込んだSiO膜では、表面硬度が24517N/mm(2500kgf/mm)および26478N/mm(2700kgf/mm)と向上している。また、SiO膜の屈折率も炭素イオンの打ち込みにより低下しており、反射率も、それにともなって顕著に低下している。表面硬度および反射率ともに、イオン注入量が多い、No.2でより顕著である。
表2の結果より、屈折率が1.40以下であると、反射率が0.4%以下になることがわかる。好ましくは、屈折率を1.32以下として反射率を0.3%以下にする。
〔耐傷性の試験〕
上記表2のNo.0〜2のそれぞれのカバーガラスについて、実施例1で述べた耐傷性試験1および耐傷性試験2を行ったところ、No.0では、無機膜(SiO単独膜)表面に傷が付いたが、No.1、2のいずれのカバーガラスについても、傷はつかなかった。
また、以下に示すように、無機膜にイオンを注入したNo.1、2のカバーガラスは、いずれも耐傷性が良好であった。
No.0:ΔT=4.5%
No.1:ΔT=1.0%
No.2:ΔT=0.8%
以上の耐傷性試験1および耐傷性試験2から、無機膜に所定のイオンを注入した本実施例のカバーガラスはいずれも実用上十分な耐傷性を有することがわかる。
〔実施例3〕
〔カバーガラスの製造条件〕
洗浄後の基材およびターゲット1(TiO)をスパッタリングチャンバー内に載置した後、Arガスを9.0sccm、酸素ガスを9.5sccmを導入した。チャンバー内の圧力を0.2mTorrとした後、1500Wでスパッタリングを行い、TiOからなる無機膜を基材の表面に形成した。次に、チャンバー内にターゲット2(SiO)を載置して、同じ条件でスパッタリングを行い、SiOからなる無機膜を前記したTiO膜の表面に形成した。
その後、この基材表面の無機膜に対して、C(炭素イオン)を打ち込んだ。イオン注入における条件を、表3に示す。イオン注入状態の指標としてのイオン注入量は、1.0E15ions/cmと、1.0E17ions/cmの2通りである。その他の条件は、実施例1と同じである。No.0は、SiOからなる無機膜へのイオン注入を行わなかったカバーガラスである。
〔カバーガラスの光学特性の評価〕
上記の製造条件で製造されたカバーガラスの光学特性の評価を行った結果を、下記の表3に示す。なお、表中の注入ピーク深さ、屈折率、反射率、および表面硬度のそれぞれの意味は、実施例1で既に述べた通りである。
上記表3のNo.0に示すように、TiOおよびSiOのみからなるからなる無機膜(最表面はSiO膜)では、表面硬度は、19613N/mm(2000kgf/mm)と柔らかいが、No.1、2のように炭素イオンを打ち込んだSiO膜では、表面硬度が24517N/mm(2500kgf/mm)および26478N/mm(2700kgf/mm)と向上している。また、屈折率も炭素イオンの打ち込みにより低下しており、反射率も、それにともなって顕著に低下している。表面硬度および反射率ともに、イオン注入量が多い、No.2でより顕著である。
表3の結果より、屈折率が1.40以下であると、反射率を0.2%以下にできることがわかる。好ましくは、屈折率を1.32以下として反射率を0.1%以下にする。
〔耐傷性の試験〕
上記表3のNo.0〜2のそれぞれのカバーガラスについて、実施例1で述べた耐傷性試験1および耐傷性試験2を行ったところ、No.0では、無機膜(SiO単独膜)表面に傷が付いたが、No.1、2のいずれのカバーガラスについても、傷はつかなかった。
また、以下に示すように、無機膜にイオンを注入したNo.1、2のカバーガラスは、いずれも耐傷性が良好であった。
No.0:ΔT=4.5%
No.1:ΔT=1.0%
No.2:ΔT=0.8%
以上の耐傷性試験1および耐傷性試験2から、無機膜に所定のイオンを注入した本実施例のカバーガラスはいずれも実用上十分な耐傷性を有することがわかる。
本発明の一実施形態に係るイオン注入装置の概略構成を示す図。 前記実施形態のカバーガラス製造方法に係る製造工程を示す図。 前記実施形態に係るカバーガラスの断面を示す模式図。 前記実施形態に係るカバーガラスを備えた腕時計の断面図。 カバーガラスの基材の体表面部からの深さとイオン濃度との関係を示すグラフ。
符号の説明
1…カバーガラス(透光性部材)、2…イオン注入装置、4…ケース、5…裏蓋、6…文字板、7…指針、10…基材、10A…前面部、10B…後面部、10C…側面部、11…反射防止層、12…イオン非注入部、21…イオン化室、22…加速器室、23…ターゲット室、111…最表層部、221…導管部、222…加速管、223…導管部、S1…無機膜形成工程、S2…イオン化工程、S3…イオン注入工程、A…体表面

Claims (10)

  1. 透光性を有する基材を備える透光性部材であって、
    前記基材の表面には、F、H、B、SiおよびCから選択された少なくともいずれかのイオンが注入されて反射防止機能を有する無機膜が形成されている、
    ことを特徴とする透光性部材。
  2. 請求項1に記載の透光性部材において、
    前記無機膜が、SiO、MgF、LiF、NaAlF、NaF、CaF、LaF、NdF、Al、CeF、およびSiOで示されるいずれかの無機化合物からなることを特徴とする透光性部材。
  3. 請求項1または請求項2に記載の透光性部材において、
    前記無機膜における前記イオンの濃度は、該無機膜の内部に最大値を有する
    ことを特徴とする透光性部材。
  4. 請求項3に記載の透光性部材において、
    前記イオンの濃度が最大値を示す深さは、前記無機膜の体表面から30nm以上、150nm以下である
    ことを特徴とする透光性部材。
  5. 請求項1〜請求項4のいずれかに記載の透光性部材において、
    前記無機膜が形成された基材の表面硬度は、24500N/mm以上である
    ことを特徴とする透光性部材。
  6. 請求項1〜請求項5のいずれかに記載の透光性部材において、
    前記無機膜が形成された基材の表面硬度は、前記イオンの注入前の無機膜が形成された基材の硬度よりも大きい
    ことを特徴とする透光性部材。
  7. 請求項1〜請求項6のいずれかに記載の透光性部材において、
    前記透光性部材は、カバー部材とされ、
    前記無機膜は、前記カバー部材の内側の部分および外側の部分のうち、少なくとも外側の部分に形成される
    ことを特徴とする透光性部材。
  8. 請求項1〜請求項7のいずれかに記載の透光性部材において、
    前記無機膜には、電場で加速された前記イオンが注入される
    ことを特徴とする透光性部材。
  9. 請求項1〜請求項8のいずれかに記載の透光性部材を備え、
    前記透光性部材は、時計体を収容するケースに設けられる
    ことを特徴とする時計。
  10. 請求項1〜請求項8のいずれかに記載の透光性部材の製造方法であって、
    前記基材表面に無機膜を形成する無機膜形成工程と、
    F、H、B、SiおよびCから選択された少なくとも1種を含む原料ガスから、イオンを発生させるイオン化工程と、
    イオン加速装置により、前記無機膜表面に前記イオンを注入するイオン注入工程と、を備える
    ことを特徴とする透光性部材の製造方法。
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