JP2009202895A - 殺菌済原料の貯蔵方法、殺菌済原料における汚染の検出方法及び殺菌済原料貯蔵システム - Google Patents

殺菌済原料の貯蔵方法、殺菌済原料における汚染の検出方法及び殺菌済原料貯蔵システム Download PDF

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Abstract

【課題】
殺菌済原料を充填可能な容器の出し入れ口を、より安全に、安価にかつ衛生的に維持し、汚染の有無を検出可能にする。
【解決手段】
出し入れ口管及びこれを覆うバリア管を具備した原料容器に殺菌済原料を貯蔵する方法であって、前記バリア管により前記出し入れ口管を覆い、前記バリア管に電解水又は次亜塩素酸ナトリウム液を充填し、前記出し入れ口管を密封することを特徴とする貯蔵方法を提供する。電解水としては、ナトリウムイオン濃度が200ppm以下、有効塩素濃度が10〜30ppm、pHが4.5〜6.8を好ましい一態様とする。
【選択図】図3

Description

本発明は、殺菌済原料の貯蔵方法、殺菌済原料における汚染の検出方法及び殺菌済原料貯蔵システムに関する。特に、殺菌済原料を格納する容器の出し入れ口を電解水又は次亜塩素酸ナトリウム液を用いて封止することにより、容器内が汚染されることを防止しつつ、容器内の原料における汚染が検出できる殺菌済原料の貯蔵方法、殺菌済原料における汚染の検出方法及び殺菌済原料貯蔵システムに関する。
今日、果汁、果肉、各種エキス類などの食品工業の分野で用いられる原料は、原料工場で生産され、使用工場で使用がされる。すなわち生産がされる工場と使用される工場とが分離している。このように原料工場と使用工場とを分離することにより、使用工場での加工作業が少なくなり、また、需要者の近くに使用工場を建設することができ、いわゆるフレッシュ&ナチュラルな状態で加工食品を需要者に提供することができる。
このように原料工場と使用工場とが分離されている状況において、原料工場では、使用工場の生産ラインに接続できる形態の容器に原料を充填し、その容器に充填された状態で使用工場に輸送される。このため、容器に原料を充填し使用がされるまでの輸送の期間を含む貯蔵期間に、容器の出し入れ口からの原料の汚染を防ぎ、また、汚染があった場合にはその検出ができるようにする必要がある。
汚染の防止に関しては、特許文献1に、以下のような殺菌済製品を無菌で貯蔵する方法が開示されている。すなわち、殺菌済製品を複数の静止貯蔵タンク、または道路、河川および海上輸送システムで輸送するために設計された容器に無菌で貯蔵する方法として、化学洗浄剤を吹き付けて容器の内部エリアを洗浄し、該容器内に含まれた全ての空気を追い出す間、洗浄された該容器を清潔な飲料水で完全に満たし、該容器内の水を追い出すためおよび加圧された不活性ガス状態を作るために不活性ガスで該容器を封止して加圧する。さらに液体殺菌剤を該容器の全ての内部表面に吹き付け、加圧された不活性ガス体を維持する間に前記液体殺菌剤を除去し、殺菌済製品を容器内に供給し、内部の加圧された不活性ガス体で上記容器を封止することからなる方法である。
特表2005−517598号公報
しかし、上記特許文献1の方法においては、貯蔵された殺菌済製品に腐敗が発生したか、あるいは、排出口や注入口から殺菌済製品が漏れたことは、容器内の圧力の変化を検出することでしか行えない。このため、圧力の変化には現れない程度の微量の殺菌済製品がなんらかの理由により漏れた場合や、殺菌済原料が漏れた量に相当する物質が容器外部から容器内部に入り込んで汚染が発生した場合を検出することが困難である。
そこで、本発明では、容器内の材料が汚染されることを防止しつつ、容器の圧力の変化の検出に加えて、あるいは、容器の圧力の変化の検出に代えて、汚染の発生を検出できる貯蔵方法、汚染の検出方法、貯蔵システムなどを提供することを目的とする。
前記課題を解決する本願第一の発明は、出し入れ口管及びこれを覆うバリア管を具備した原料容器に殺菌済原料を貯蔵する方法であって、バリア管に電解水又は次亜塩素酸ナトリウム液を充填し、出し入れ口管を密封することを特徴とする貯蔵方法である。そして、バリア管に充填する電解水は、以下の(1)〜(3)を満たすことを好ましい態様としている。
(1)ナトリウムイオン濃度が200ppm以下であること、
(2)有効塩素濃度が10ppm以上30ppm以下であること、
(3)pHが4.5〜6.8であること。
また、前記第一の発明においては、殺菌済原料が、殺菌済の果汁、殺菌済の果肉、および殺菌済のエキス類からなる群より選択される1以上であることも好ましい態様としている。
前記課題を解決する本願第二の発明は、出し入れ口管及びこれを覆い電解水又は次亜塩素酸ナトリウム液が充填されたバリア管を具備した原料容器に貯蔵された殺菌済原料における汚染を検出する方法であって、貯蔵中又は貯蔵後に該電解水又は次亜塩素酸ナトリウム液の有効塩素濃度が10ppm未満である場合に殺菌済原料に汚染があると判定することを特徴とする検出方法である。
前記課題を解決する本願第三の発明は、出し入れ口管及びこれを覆い電解水又は次亜塩素酸ナトリウム液が充填されたバリア管を具備した原料容器に貯蔵された殺菌済原料における汚染を検出する方法であって、貯蔵中又は貯蔵後に該バリア管内に充填された電解水又は次亜塩素酸ナトリウム液と、これとは別のバリア管に充填された電解水又は次亜塩素酸ナトリウム液の有効塩素濃度をそれぞれ測定し、測定した有効塩素濃度が相違する場合に殺菌済原料に汚染があると判定することを特徴とする検出方法である。
前記課題を解決する本願第四の発明は、殺菌済原料が貯蔵される容器本体と、前記容器本体から延び、出し入れ口バルブが設けられた出し入れ口管と、前記出し入れ口管の先端に設けられた出し入れ口を覆い、液注入口を有するバリア管と、前記バリア管内にバリア液を充填する手段、を有する殺菌済原料の貯蔵システムであって、バリア液が、バリア管の液注入口に着脱可能なカートリッジに充填された電解水又は次亜塩素酸ナトリウム液であること、又は、バリア管の液注入口に接続された陰極および陽極が配置された無隔膜電解槽内で塩酸添加原水を電気分解する電解水製造装置によって供給される電解水であることを好ましい態様としている。
本発明によれば、電解水又は次亜塩素酸ナトリウム液を用いることにより、殺菌済原料を充填可能な容器の出し入れ口を衛生的な状態に維持することができる。また、殺菌済原料における汚染の有無を検出することもできる。
次に、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の好ましい実施形態に限定されず、本発明の範囲内で自由に変更することができるものである。尚、本明細書において百分率は特に断りのない限り質量による表示である。また、百万分率(ppm)の表示は、特に断りのない限り、μg/mlを意味する値である。
[殺菌済原料について]
本発明を説明するにあたっては、まず、本発明の対象となる殺菌済原料について説明する。
本発明において容器に貯蔵される殺菌済原料とは、食品の原料である。また、容器本体への充填、排出を効率よく行うためなどのために、流動性のある原料が主に想定される。原料は容器本体に充填される前に殺菌機などにより殺菌され、殺菌済原料となる。原料の具体的な例を挙げると、果汁、果肉、果実エキスの他、緑茶、麦茶などのお茶類、牛乳、脱脂乳、乳飲料などの乳製品、コーヒー、ジュース、乳酸飲料、清涼飲料水などを使用することができる。中でも、本貯蔵方法が、長期間保存が可能な原料を衛生的に製造工場に運搬するのに適していることから、果汁、果肉、果実エキスなどの原料に好適に使用することができる。
[電解水又は次亜塩素酸ナトリウム液について]
本発明において、バリア管に充填する電解水又は次亜塩素酸ナトリウム液は、原料容器の出し入れ口を封止又はバリアするという用途から、単に「バリア液」と表現することも可能である。なお、本発明において「バリア液」と記載した場合は、電解水又は次亜塩素酸ナトリウム液のいずれかである場合、若しくは両者を含む場合のいずれも含まれるものである。
本発明における電解水とは、電解質を含む水に電流を流し、電気化学反応により得られる液体をいう。そのような液体は、殺菌作用を有することが知られており、強酸性強酸化水、弱酸性強酸化水、強アルカリ性強還元水、弱アルカリ性弱還元水などが知られている。本発明の一実施形態においては電解水として、塩酸を添加した原水を電気分解して得られるものを用いる。より具体的には、塩酸を添加した原水を陰陽両極間に隔膜がない無隔膜槽により電気分解して得られる微酸性次亜塩素酸水を用いるのがよい。
本発明の一実施形態において用いる微酸性次亜塩素酸水の製造装置が無隔膜式の装置であれば、隔膜式の装置におけるような隔膜の劣化が無くなり、またスケール付着による交換が不要となる。また、隔膜式に比べて部品数が少なくなり、比較的メンテナンスが容易となる。また、捨て水が発生せず、全量使用が可能であることから、排水設備が必須ではない。このため、衛生環境が整っていれば、本発明の一実施形態におけるバリア管の脱着を、他の制限なく行うことができる。したがって、本発明の一実施形態においては、電解水としては微酸性次亜塩素酸水を使用することが特に好ましい。
原水としては、精製水、蒸留水、地下水、伏流水、脱塩水、上水道水などを用い、より好ましくは、実質的に塩化ナトリウムを有していないもの、すなわち、人為的に塩化ナトリウムが添加されていないもの、を用いる。電気分解時に原水に塩酸を添加する際には、塩酸の濃度は2%〜6%になるのが好ましく、通電は直流あるいは5Hz以下の交流が用いられるのが好ましい。通電量は、塩酸を添加した原水1mlあたり0.4〜6.0クーロンの割合で行われるのが好ましい。このような条件での電解水の生成については、例えば特開平10−128336号公報に開示されているものが例示される。
また、次亜塩素酸ナトリウム液は、塩素と水酸化ナトリウムとを好ましくは15℃以下の環境での化学反応により得られる。あるいは、塩化ナトリウム水溶液を電気分解することによっても得られる。
なお、上述の電解水の有効塩素濃度の範囲は、10ppm〜30ppmとすることができる。これは10mg/l〜30mg/lと言い換えることができる。また、電解水の比重は1に近いので、10mg/kg〜30mg/kgと言い換えることができる。
微酸性次亜塩素酸水も次亜塩素酸ナトリウム液も、ともに塩素を含む液体であり、殺菌作用があることが知られている。微酸性次亜塩素酸水は、有効塩素濃度10ppm〜30ppm及びpH5.0〜6.5において、食品添加物として使用することができる。また、次亜塩素酸ナトリウム液を食品添加物として使用する際の有効塩素濃度については規定されておらず、任意の有効塩素濃度で使用することができる。したがって、これらの物質は、食品加工、製造の技術分野において安全に使用することができる。
本発明の一実施形態で用いられる電解水の性質としては、有効塩素濃度が10ppm〜100ppmであることが好ましく、現行の食品添加物としての微酸性次亜塩素酸水の濃度として規定されている10ppm〜30ppmがさらに好ましい。また、次亜塩素酸ナトリウム液は、上述のように任意の有効塩素濃度において使用することができるが、より安全性に配慮して、市販品などとして入手できる次亜塩素酸ナトリウム液を、作業者が安全に使用することができるように、適当な濃度に希釈したものを使用することが好ましい。具体的には、10ppm(0.001%)〜5000ppm(0.5%)程度で使用することが好ましい。
より具体的には、本発明の一実施形態で用いられる電解水の一例としては、ナトリウムイオン濃度が200ppm以下であり、有効塩素濃度が10ppm〜30ppmであり、pH値が4.5〜6.8である。電解水の製造方法では、電解効率向上のために食塩を使用することがあるが、本発明においては食塩を使用せずに塩酸を使用するのが好ましい。このため、原水として上水道を用いる場合には、ナトリウムイオン濃度は上水道の水質基準と同一の200ppm以下となる。このようにすることにより、電解水を除去した後でも、塩化ナトリウムの残留がない。仮に電解水が残留したとしても、食品の風味に影響を与えることはない。
pH値は特に好ましくは、5.0〜6.5であるのがよい。電解水のpH値がこの範囲内であれば食品添加物の指定範囲に含まれるので、原料工場、使用工場などの食品工場で安全に取り扱える。
本発明において、「有効塩素」とは、殺菌消毒作用を有する塩素系化学種をまとめたものを意味し、遊離塩素[HOCl(次亜塩素酸)+ClO(次亜塩素酸イオン)+Cl(aq)(溶存酸素)]と結合塩素(クロラミン等)の総和で示される。従って、有効塩素濃度の測定は、遊離塩素濃度と結合塩素濃度の総和によって求められるものである。しかしながら、従来からの慣習では、結合塩素は別個に扱うことが多く、遊離塩素だけを有効塩素(残留塩素)として呼ぶ場合が多いことから、前記「遊離塩素」を「有効塩素」として定義することも可能である(「電解水の基礎と利用技術」、技報堂出版株式会社、第1版、第1刷、2000年1月25日発行、23−25ページ)。
有効塩素濃度を測定する方法としては、例えば、ヨウ素滴定法(社団法人日本水道協会、「上水試験方法 1993年版」、平成5年11月15日、218−219ページ)を用いることにより測定ができる。また、より簡便な方法としては、試験紙を用いることもでき、これにより有効塩素濃度が10ppm以上であるかどうかを知ることができる。この試験紙としては、共立理化学研究所社製の分析用試験紙残留塩素(低濃度)、東洋濾紙社製のヨウ化カリウムデンプン紙、バイエルメディカル社製のアクアチェック5などを用いることができる。
[殺菌済原料の貯蔵システムについて]
次に、本願第四の発明である殺菌済原料の貯蔵システムについて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る殺菌済原料の貯蔵システムの概念的な構成図である。殺菌済原料貯蔵システム100は、容器本体101と、出し入れ口管102と、バリア管104とを有する。
容器本体101は、殺菌済原料が貯蔵される容器である。貯蔵される殺菌済原料は、食品の原料である。また、容器本体への充填、排出を効率よく行うためなどのために、流動性のある原料が主に想定される。原料は容器本体101に充填される前に殺菌機などにより殺菌され、殺菌済原料となる。
出し入れ口管102は、容器本体101にその一方の端が接続されている管である。他方の端には、出し入れ口103が設けられている。容器本体に貯蔵される殺菌済原料は、出し入れ口103から出し入れ口管102を経て容器本体101へ充填される。容器本体から殺菌済原料が取り出されるときには逆の経路を経ることになる。出し入れ口管102には、出し入れ口バルブが設けられており、容器本体に殺菌済原料が貯蔵される際には、その出し入れ口バルブが閉じられ、殺菌済原料が流出などしないようにされる。
バリア管104は出し入れ口103に接続される。これにより出し入れ口103はバリア管104により覆われる。バリア管104の出し入れ口103に接続される端を一方の端とした場合、他方の端には蓋がされる。これにより、バリア管104に注入されるバリア液が漏れないようにされる。このことを、そのバリア液でバリア管104を封入する、あるいは封止するという。
本発明では、バリア管104に注入されるバリア液としては、電解水又は次亜塩素酸ナトリウム液を用いることを主な特徴とする。なお、「電解水又は次亜塩素酸ナトリウム液」とは、電解水又は次亜塩素酸ナトリウム液のいずれかである場合、若しくは両者を含む場合のいずれも含まれるものである。
また、バリア管104には、その一方の端の開口と他方の端の開口以外に、図1には図示されていない注入口が存在する。この注入口から、図1には示されていない注入手段を用いて、電解水又は次亜塩素酸ナトリウム液がバリア管104の内部に注入される。その後、注入口には蓋がされ、注入口からも電解水又は次亜塩素酸ナトリウム液が漏れないようにされる。注入手段としては、後述のように、電解水製造装置101に接続された管、電解水製造装置で製造された電解水を一時的に貯蔵するタンクから延びる管や、電解水又は次亜塩素酸ナトリウム液が注入されたカートリッジなどが用いられる。
なお、バリア管104は、出し入れ口103に接続される開口と注入口とのみを有し、その他に開口が無いように製造されてもよい。すなわち、バリア管104の開口を出し入れ口103に接続し、注入口の蓋を閉じるだけで、バリア管104の内部に注入された液体が外部に漏れないようにできるようになっていてもよい。ただし、バリア管104内部の洗浄を容易にする観点からは、一方の端と他方の端とに開口が備わっている方がよい。
図2は、より具体的な殺菌済原料貯蔵システムの断面図である。殺菌済原料貯蔵システム200は、容器本体201を有する。容器本体201は耐腐食性のある金属製であることが望ましく、また、耐圧性も有しているのが望ましい。具体的には、ステンレス製の耐圧容器が一例である。
容器本体201の底面には、出し入れ口バルブ203が設けられている出し入れ口管202,204が接続されている。底面に設けられているのは、容器本体201に貯蔵されている殺菌済原料を取り出しやすいからである。また、容器本体201の底面は角錐型又は円錐型でありその頂点に相当する位置に出し入れ口管202が接続されているのが望ましい。貯蔵されている殺菌済原料をなるべく残留させないように排出ができるようにするためである。
出し入れ口バルブ203としては、容器本体201に殺菌済原料を充填した後、容器本体201の内部を大気圧より20kPa(キロパスカル)程度の加圧状態にし、トラックなどによる輸送を行っても、殺菌済原料が流出しないようにできるものを用いる。具体的な例としては、ストローク式のダイヤフラムバルブ、あるいは回転式のバタフライバルブを用いることができる。
出し入れ口管204には、出し入れ口205があり、この出し入れ口205を介して殺菌済原料の容器本体201への充填、容器本体201からの排出が行われる。殺菌済原料が容器本体201に充填され、出し入れ口バルブ203が閉じられると、出し入れ口管204が出し入れ口205から洗浄液を用いて洗浄がされる。洗浄を終える際には、バリア液として用いられる液体、例えば電解水又は次亜塩素酸ナトリウム液、によるすすぎを行うのが好ましい。これにより、残留する液体による電解水又は次亜塩素酸ナトリウム液の希釈や変質を防止できる。洗浄が終わると、出し入れ口205には、バリア管206が接続される。接続に際しては、予めバリア管206の内部は洗浄されている。そして、出し入れ口205にバリア管206が接続される前あるいは後に、バリア管206のもう一方の開口部207に蓋209が設置される。
バリア管206は液注入口208を有しており、この液注入口208から電解水又は次亜塩素酸ナトリウム液が注入される。電解水又は次亜塩素酸ナトリウム液は満液になるまで注入される。そして蓋210により密閉される。これにより、バリア管206の内部が電解水又は次亜塩素酸ナトリウム液で封入される。以上により、出し入れ口管204が密封される。
容器本体201の上部には、空気出し入れ管211が接続される。空気出し入れ管211は、容器本体201に殺菌済原料を充填する際に容器本体201内の空気を排出し、また、殺菌済原料を容器本体201から排出する際に空気を容器本体201内に導入するために用いられる。
空気出し入れ管211にはエアフィルタ212が接続される。殺菌済原料を容器本体201から排出する際に容器本体201内に空気が導入される際に、雑菌などが容器本体201内に入らないようにするためである。
エアフィルタ212には、圧力計213を有するバルブ214が設けられる。バルブ214と出し入れ口バルブ203とを閉じることにより、容器本体201の内部が外界から遮断される。
圧力計213は、殺菌済原料を容器本体201に充填した後、例えば、容器本体201の内部の圧力を調整するために用いられる。また、圧力計213は、バルブ214と出し入れ口バルブ203とを閉じる前と後の圧力を比較し、殺菌済原料の漏れの有無、殺菌済原料の腐敗の有無を判断の一つの材料とするために用いられる。
バルブ214は、開口216を有する管215が接続され、工場にて容器本体201内部に蒸気や圧縮空気を導入するためのラインなどに接続される。
なお、出し入れ口205にバリア管206が接続されているように、開口216に別のバリア管が接続され、その中に電解水又は次亜塩素酸ナトリウム液が満液になるまで注入され、管215が密封されるようになっていてもよい。
図3は、バリア管206部分の拡大図である。図2のバリア管206が符号301を付したバリア管に、液注入口208が注入部302の口に、蓋210が蓋303に、出し入れ口管204が出し入れ口管305に、蓋209が蓋306に相当する。
出し入れ口管305とバリア管301が接続されると、その接続が容易に外れないようにするために、クランプ307が取り付けられる。また、蓋306、蓋303が容易に外れないように、クランプ308,クランプ309が取り付けられる。クランプの代わりにボルトなどを用いることができるようになっていてもよい。
出し入れ口管305とバリア管301が接続され、また、蓋306が設置されると、液注入口302から電解水又は次亜塩素酸ナトリウム液310がバリア管301内部に導入され、蓋303が設置され、密閉される。
図4は、液注入口208に電解水を導入する手段の一つを示す。なお、図2と図4とで同じ構成には同じ符号を用いている。図4では、電解水製造装置で製造された電解水が液注入口208に導入される様子が示されている。
電解水製造装置は、電極401a、401bを隔てる隔膜のない無隔膜槽401を有する。無隔膜槽401には、貯留する塩酸貯留槽402に貯留された塩酸がポンプ403により導入され、電極401a、401bにより電気分解がされ、電解水が生成される。隔膜がないことにより、電極401a、401bにより発生する両方の液体が混合し、陽極側で発生した液体の殺菌作用がそのまま残存する電解水が得られる。生成された電解水は、排出管路404を経て、液注入口208に注入される。あるいは、無隔膜槽401に生成された電解水は、一時的に貯留タンクに貯留され、その貯留タンクから液注入口208に注入され、バリア管206にバリア液としての電解水などが充填されるようになっていてもよい。
図5は、液注入口208に電解水を導入する別の手段を示す。なお、図2、図4及び図5とで同じ構成には同じ符号を用いている。図5(a)は、電解水製造装置で製造された電解水がカートリッジ501に注入される様子を示す。カートリッジ501はペットボトルなどの容器である。また、その容器は、電解水の分解を防止するために遮光性を有するのが好ましい。カートリッジ501の口は、液注入口208に接続可能な形状となっていたりして、カートリッジ501に充填された電解水が液注入口208から注入が可能となっている。図5(b)はカートリッジ501に注入された電解水が液注入口208に注入されている様子を示す。
カートリッジ501に充填されているものは、電解水に限定されるものではなく、次亜塩素酸ナトリウム液であってもよい。また、電解水と次亜塩素酸ナトリウム液を混合したものであってもよい。また、電解水が充填されているカートリッジと次亜塩素酸ナトリウム液が充填されているカートリッジがあり、これらのカートリッジを適度に組み合わせてバリア管に充填を行ってもよい。
図6は、電解水を用いる場合における殺菌済原料貯蔵システムの容器本体へ殺菌済原料を充填し、出し入れ口バルブ203を閉じ、出し入れ口205より洗浄を行った後の工程を示す。ステップS601の工程として、出し入れ口205をバリア管206で覆うことを行う。覆うとは、出し入れ口205とバリア管206の開口とが接続可能となっていることを利用して、出し入れ口205にバリア管206を接続することをいう。そして、ステップS602の工程として、バリア管206の内部を電解水又は次亜塩素酸ナトリウム液で封入する。
なお、図6に示す工程のかわりに、先にバリア管206の内部に電解水又は次亜塩素酸ナトリウム液を充填し、バリア管206を出し入れ口205に接続し、出し入れ口管204を密封するようにしてもよい。図2では、出し入れ口205は水平方向を向いているが、この点を改良して下向きにしてもよい。このようにすることにより、出し入れ口205に雑菌や埃が容易に入らないようにすることができる。この場合には、先にバリア管206の内部に電解水又は次亜塩素酸ナトリウム液を充填し、バリア管206を出し入れ口205に接続することが考えられる。
あるいは、出し入れ口205に接続するバリア管206の開口部に弁などを設けておき、先にバリア管206の内部に電解水又は次亜塩素酸ナトリウム液を充填し、出し入れ口205に接続するようにしてもよい。また、出し入れ口管204の外径とバリア管206の内径とを等しくしておき、バリア管206により出し入れ管204を覆うように、逆に言えば、バリア管206の内部に出し入れ管204を挿入するようにして接続を行ってもよい。この場合、接続の前にバリア管206の内部に電解水又は次亜塩素酸ナトリウム液を充填することで、わずかに存在するかもしれないバリア管206の内側と出し入れ口管204の外側との隙間を電解水又は次亜塩素酸ナトリウム液で満たすことができ、汚染を防ぐことができる。
原料工場では、殺菌済原料貯蔵システムの容器本体へ殺菌済原料を充填し密封した後、この状態で使用工場へ輸送する。
使用工場では、液注入口208の蓋を取り外し、バリア管206内部に充填されていた電解水又は次亜塩素酸ナトリウム液について汚染状態を確認する。汚染がないと判断されれば、バリア管206及び蓋217を取り外し、使用工場のラインに接続し、容器本体201に充填されている殺菌済原料を使用する。
なお、本発明においてバリア液として使用される電解水や次亜塩素酸ナトリウム液は、成分中に殺菌効果を持つ次亜塩素酸(HOCl)や次亜塩素イオン(OCl)を含んでいる。これらは、有機物、鉄、有機性窒素等と反応すると、有効塩素濃度が減少する。
そこで本発明は、有機物、鉄、有機性窒素等との反応により、前記のバリア液中の有効塩素濃度が減少するという特有の性質に着目したことにより、殺菌作用を有するバリア液としての効果の他に、殺菌済原料が原料容器の出し入れ口から漏れていた場合やバリア管への汚染物の滲入等について、バリア液の有効塩素濃度を指標として確認することができるという効果も享受できる。この点において、後の実施例により示されるように、一般的に殺菌性のあることが知られているエタノール等をバリア液として利用する場合に比して有利な効果を有する。
また、電解水をバリア管206に注入した場合には、バリア管206内部に存在する液体のpH値、ナトリウムイオン濃度も確認し、バリア管206内部に存在する液体が充填されたときの電解水と同様の物性であるかどうかを調べてもよい。例えば、有効塩素濃度が充填時と同じ範囲内、例えば、10ppmから30ppm、に属するかどうかを調べる。また、pHやナトリウムイオン濃度なども調べてもよい。さらに色調を調べて異常がないかどうかを確認してもよい。
汚染がないと判断されれば、バリア管206を取り外し、また、蓋217も取り外して、使用工場のラインに接続し、容器本体201に充填されている殺菌済原料を使用する。
また、使用工場にて、殺菌済原料を使い残す場合には、原料工場での手順のように、ラインから取り外し、出し入れ口バルブ203を閉じ、出し入れ口205より洗浄を行った後、図6に示された工程を実行する。
図7は、使用工場にて、容器本体201に充填された殺菌済原料への汚染の有無を判断する工程の流れを示す。ステップS701の工程として、バリア管206の注入口を開けるために、蓋210を取り外す。ステップS702の工程として、バリア管内部の液体の有効塩素濃度を測定する。そして、ステップS703の工程として、ステップS702で測定された有効塩素濃度に基づいて、汚染の有無を判断することができる。
図8は、バリア管301と同様の形状、材質、密閉性などを有する容器の一例を示す。図3に示した出し入れ口に接続されたバリア管と同一の材質、大きさの管801を別に用意する。本来は出し入れ口に接続される端に蓋805を設置しクランプ807を取り付ける。また、もう一方の端にも蓋806を設置し、クランプ808を取り付ける。液注入口802から電解水又は次亜塩素酸ナトリウム液311を注入し、蓋803を設置し、クランプ809を取り付ける。
この管801を殺菌済原料の貯蔵システムとともに輸送、保管することができる。
[殺菌済原料の貯蔵方法について]
次に、本願第一の発明でもある、前記殺菌済原料の貯蔵システムにおいて貯蔵された殺菌済原料の貯蔵方法について説明する。
本願第一の発明は、出し入れ口管及びこれを覆うバリア管を具備した原料容器に殺菌済原料を貯蔵する方法であって、該バリア管に電解水又は次亜塩素酸ナトリウム液であるバリア液を充填し、出し入れ口管を密封することを特徴とする方法である。
ここで、前記電解水においては、以下の(1)〜(3)を満たすことを好ましい態様としている。
(1)ナトリウムイオン濃度が200ppm以下であること、
(2)有効塩素濃度が10ppm以上30ppm以下であること、
(3)pHが4.5〜6.8であること。
また、前記殺菌済原料が、殺菌済の果汁、殺菌済の果肉、および殺菌済のエキス類からなる群より選択される1以上であることも好ましい態様としている。
なお、殺菌済原料を貯蔵するにあたっては、原料を衛生的に長期間保存するために、原料容器を4〜10℃に冷蔵保存しておくことが望ましい。但し、貯蔵温度は特に限定されず、充填された原料に適した任意の温度で貯蔵することができる。また、原料容器の輸送中には原料の液温が上昇することがあるが、原料の温度管理基準の範囲内において輸送する。このような温度条件であれば、本発明で使用する電解水又は次亜塩素酸ナトリウム液であるバリア液は、殺菌効果を十分に発揮することができる。
また、バリア液は日光にさらされると徐々に分解するため、バリア管やバリア液を一時的に貯蔵するための容器等は、遮光できる素材を使用することが好ましく、充填後はこれらを冷暗所で保管することがさらに好ましい。
また、バリア管に充填された電解水又は次亜塩素酸ナトリウム液は、貯蔵中、又は貯蔵が完了した時点で、適宜有効塩素濃度を測定することができる。ここで、液体の有効塩素濃度が、10ppm未満であると判断される場合には、バリア管へ漏れた殺菌済原料や外部から侵入した汚染物質の有機物、鉄、有機性窒素等との反応などにより有効塩素濃度が減少したと推定できる。そのため、このような場合は、殺菌済原料の貯蔵システムに充填された殺菌済原料を使用しないとすることもできる。したがって、殺菌済原料を貯蔵するにあたっては、電解水又は次亜塩素酸ナトリウム液の有効塩素濃度を管理することが重要である。
[殺菌済原料における汚染を検出する方法について]
次に、本願第二及び第三の発明でもある、前記殺菌済原料の貯蔵システムにおいて貯蔵された殺菌済原料における汚染を検出する方法について説明する。
本発明の汚染の検出方法における汚染の判断基準は、殺菌済原料の貯蔵中又は貯蔵後に、バリア管内に充填された電解水又は次亜塩素酸ナトリウム液を採取し、色調に問題のないことを確認した後に、有効塩素濃度を測定することによって判定することができる。
また、電解水又は次亜塩素酸ナトリウム液が殺菌剤として効果的に作用し充分な殺菌効果を有していることを判断基準とするならば、有効塩素濃度が10ppm未満である場合に殺菌済原料に汚染があると判定することもできる。
なお、バリア液を封入した際に測定した有効塩素濃度と、原料使用時に測定した有効塩素濃度の差が経時変化を超えるものでは無い場合にも汚染はないと判断することができる。この他、pH値、ナトリウムイオン濃度も確認し、使用前と物性に変化がないことを確認してもよい。
さらに、本発明の汚染を検出する他の方法としては、原料容器の出し入れ口管を覆うバリア管の内部を電解水又は次亜塩素酸ナトリウム液で封入したものとは別に、前記バリア管と同様の形状、材質、密閉性などを有する容器を用意し、これに電解水又は次亜塩素酸ナトリウム液を充填し、本発明における殺菌済原料の貯蔵方法と同様の方法と同じ環境で単独で輸送、保管をする。そして、貯蔵中又は貯蔵後、もしくは使用工場にて殺菌済材料を使用する際に、殺菌済原料が貯蔵された原料容器の出し入れ口管を覆うバリア管の内部に充填された電解水又は次亜塩素酸ナトリウム液と、単独で保管されたバリア管の内部に充填された電解水又は次亜塩素酸ナトリウム液の有効塩素濃度を測定し、各々の有効塩素濃度を比較し、当該有効塩素濃度が相違した場合に汚染があったと判定する方法が例示される。
また、電解水をバリア管に注入した場合には、バリア管内部に存在する液体(バリア液)のpH値、ナトリウムイオン濃度も確認し、バリア管内部に存在するバリア液が本発明に用いられる電解水としての条件を満たしているかどうかについて適宜調べてもよい。また、さらに色調を調べて異常がないかどうかを確認してもよい。
その他、バリア液の有効塩素濃度が10ppm未満である場合に殺菌済原料に汚染があると判定する方法と、原料容器に接続したバリア管内のバリア液の有効塩素濃度と、単独で保管されたバリア管内のバリア液の有効塩素濃度とを測定し、各々の有効塩素濃度を比較し当該有効塩素濃度が相違する場合に汚染があると判定する方法を組み合わせて判定することが可能であり、このような組み合わせによって殺菌済み原料の使用の可否をより一層確実に判断することが可能である。
なお、ここまでの説明においては、バリア液として電解水又は次亜塩素酸ナトリウム液を使用することを主に説明してきた。別の選択肢としては、殺菌作用に着目して例えばエタノールを用いることが考えられる。しかし、エタノールと電解水又は次亜塩素酸ナトリウム液とを比較すると、一般的にはエタノールの方が高価である。また、エタノールは芽胞菌の芽胞やウイルスには有効ではないという問題点がある。
次に実施例を示して本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、上述の本発明の一実施例の有効性を確認したところ、以下に示す実施例1〜7により、本願発明の有効性が確認できた。
実施例1として、バリア管にエタノールを封入して異常が検出されない場合、バリア管に電解水又は次亜塩素酸ナトリウム液を封入しても異常が検出されないことの確認を行った。
ヤスダファインテ社製のバルク容器を3つ用意し、それぞれを容器本体として用いた。それぞれの容器本体を殺菌洗浄し、それぞれの中に、森永エンジニアリング社製のチューブラー式殺菌機を用いて表1に示す殺菌済原料を充填した。
Figure 2009202895
そして、それぞれの容器本体内部の圧力を大気圧に比べて20kPa加圧した状態に調整し、出し入れ口をバリア管で覆い、1つについてはそのバリア管内部を電解水で封入し、別の1つについては次亜塩素酸ナトリウム液で封入し、残りの1つについてはエタノールで封入した封入時の電解水、次亜塩素酸ナトリウム液の有効塩素濃度はともに30ppmであった。また、封入時のエタノールの濃度は73V/V%であった。これらの容器をトラックで約1000キロメートル離れた工場に冷蔵輸送し、その工場で冷蔵保管した。殺菌済原料を充填した日から30日後にそれぞれのバリア管の封入剤(電解水、次亜塩素酸ナトリウム液、エタノール)を検査したところ、以下の結果が得られた。
Figure 2009202895
エタノールについての検査の結果から、エタノールで封入したバリア管の容器本体に充填された殺菌済原料には汚染がないと判断された。そして、電解水、次亜塩素酸ナトリウム液で封入したバリア管中のバリア液の有効塩素濃度を検査紙で検査したところ、10ppm以上であることがわかり、また、定量的に分析したところ、それぞれ28ppm、25ppmとなった。
この結果から、エタノールでの封入で異常が検出されない場合には、電解水、次亜塩素酸ナトリウム液での封入によっても異常が検出されないことが確認された。したがって、電解水又は次亜塩素酸ナトリウム液は、一般的に殺菌作用の存在が知られているエタノールの代わりに使用することが可能であることが明らかとなった。
実施例2として、バリア管に封入された電解水又は次亜塩素酸ナトリウム液の有効塩素濃度が長期に亘り維持され、殺菌力が維持されることの確認を行った。
実施例1と同じ容器、同じ配合割合の原料を同じ圧力に調整し、出し入れ口をバリア管で覆い、電解水又は次亜塩素酸ナトリウム液で封入し、バルク容器を冷蔵庫で保管し、バリア管の液注入口から経時的に液体を採取し、有効塩素濃度を測定することを行う。本実施例では、電解水について3回行った。その結果は表3に示す通りとなった。
Figure 2009202895
表3より、いずれの測定の時も、特に60日を経過しても、有効塩素濃度は封入時である0日目の80%以上を示し、10ppm以上である。したがって、電解水が約2ヶ月間に亘り維持可能であり、殺菌力も持続することが確認できた。
実施例3として、本発明を用いて実際に貯蔵した殺菌済原料を用いて食品を製造することを行った。
実施例1と同じ容器、同じ配合割合の原料を同じ圧力に調整し、出し入れ口をバリア管で覆い、電解水で封入し、その容器をトラックで約1000キロメートル離れた工場に冷蔵輸送し、その工場で30日間冷蔵保管した。そして、バリア管の内部の液体を検査したところ、試験紙では10ppm以上の有効塩素濃度を有していることが確認され、定量的に有効塩素濃度を測定したところ、28ppmであった。
そして、以下の配合のゼリーベースを製造し、森永エンジニアリング社製のプレート式UHT殺菌機で殺菌した後70℃に調整したものと、容器内部に充填された殺菌済原料とを重量比で50対50の割合でラインブレンディングした。得られたものをGASTI社製のカップ充填機でプラスチックカップに100gずつ充填し、アルミ箔蓋をヒートシールして密封し、冷蔵庫で10℃に冷却してラズベリーゼリーを2000個製造した。
Figure 2009202895
製造されたラズベリーゼリーを37℃の恒温室で5日間保管し、2000個全てについての腐敗の有無を官能評価した。その結果、腐敗したものは皆無であった。
したがって、本願発明を用いて殺菌済原料を貯蔵することにより、原料を殺菌済の状態で貯蔵できることが実証された。
また、このように製造されたラズベリーゼリーは、その原料は原料工場でのみ殺菌処理され、使用工場では再度殺菌を行っていない。したがって本願発明を用いて新鮮な風味及び色調が維持することができる。
実施例4として、カートリッジなどの容器に一旦蓄積した電解水をバリア管に封入しても問題がないことの確認を行った。
森永エンジニアリング社製の電解水製造装置ピュアスター(登録商標)により、21重量%、または3重量%の塩酸を貯留したタンクを設置した。そして、水道水量毎時1.2立方メートル、電解液流量毎時1.81立方メートル、21重量%塩酸流量毎時100ml及び12アンペアの電流の条件でピュアスター(登録商標)を運転して、有効塩素濃度が30ppmでpH値が6.0の電解水を製造した。なお、ピュアスター(登録商標)を用いる場合、タンクに21重量%の塩酸を貯留する場合には水で希釈する必要がある。また、ピュアスター(登録商標)を用いる場合、タンクに3重量%の塩酸を貯留すると、連続して電気分解をして電解水を製造することが可能である。
このようにして製造された電解水を、カートリッジとしての500ml入りの遮光性のあるペットボトルに常法通り充填して閉栓した。
このペットボトルに充填された電解水を、実施例1と同一の方法で製造した殺菌済原料が充填された容器本体の出し入れ口に接続したバリア管の液注入口から注入して封入した。
30日間冷蔵保管した後、バリア管の内部の液体を調べたところ、有効塩素濃度は試験紙では10ppm以上あることが確認できた。また、無色であった。有効塩素濃度は定量的な測定でも23ppmであった。
これより、一旦、遮光性のあるペットボトルなどのカートリッジに電解水を充填して使用しても問題がないことが判明した。
実施例5として、電解水又は次亜塩素酸ナトリウム液を用いることにより、エタノールを用いるよりも高い感度で容器本体に充填された殺菌済原料における汚染を検出できることの確認を行った。
有効塩素濃度が30ppmの電解水、同じく有効塩素濃度が30ppmの次亜塩素ナトリウム液、濃度が73%のエタノールを用意した。それぞれに、汚染物質として森永乳業製の牛乳を添加した後、電解水と次亜塩素酸ナトリウム液については試験紙で有効塩素濃度の検出を試み、エタノールについては、比重計による検出を試みた。
その結果、電解水と次亜塩素酸ナトリウム液については、電解水又は次亜塩素酸ナトリウム液の重量に対して0.1%の牛乳を添加して、試験紙で有効塩素濃度を確認したところ、有効塩素は検出されないことが判明した。
一方、エタノールについては、比重計による比重変化は測定できなかった。そこで、牛乳の添加量を増加させて再度測定したところ、添加量が0.8%の時に比重計の測定結果が0.002変化したことが確認できた。
これより、電解水又は次亜塩素酸ナトリウム液を用いる場合には、エタノールを用いる場合よりも、約10倍以上は汚染の検出感度が高いことが判明した。
実施例1により、電解水が約2ヶ月間に亘り維持可能であり、殺菌力も持続することが確認できたが、より長期間の維持が可能であるかどうかの確認を行った。
図8に示すバリア管にバリア液として電解水を満杯に充填して密閉し、10℃に保持した。液注入口から経時的に蓋を開けてバリア液を採取し、有効塩素濃度を測定した。この結果は、表5に示す通りである。
Figure 2009202895
表5より、10℃で保管した場合、193日を経過してもバリア管に充填された電解水の有効塩素濃度は25ppmを有しており、少なくとも約7ヶ月に亘って殺菌力を維持できることが判明した。
実施例5では、牛乳による汚染の検出の可能性を確認したが、実施例7として、実際に用いられる殺菌済原料における汚染の検出や殺菌済原料の漏れの検出が可能であるかどうかの確認を行った。
すなわち、バリア液として20ppmの有効塩素濃度の電解水を図8に示す管801に充填し、10℃の環境で保管した。そして、表1に示す配合割合の原料を液注入口から、電解水の重量に対して0.1%添加して、液注入口から経時的にバリア液を採取し、有効塩素濃度を測定した。この結果は、表6に示す通りである。
Figure 2009202895
この結果、実際に用いられる殺菌済原料が0.1%混入した場合、30日後には、有効塩素濃度が10ppmを下回り、バリア液として充填した電解水の殺菌効果が低減したとともに、バリア液における原料の混入を数値的に確認することができた。
以上のように、殺菌済原料の出し入れ口管の出し入れ口を封止するために、バリア管にバリア液を充填して保存する方法などについて説明を行った。バリア液としては、殺菌作用があり、食品に混合しても安全なものが好ましく、例えば、電解水又は次亜塩素酸ナトリウム液を用いることができる。電解水又は次亜塩素酸ナトリウム液を用いることによる副次的な効果として、殺菌済原料における汚染の有無を高い感度で検出することが可能であることが挙げられる。これにより汚染した食品原料の使用を避けることが可能となる。また、電解水又は次亜塩素酸ナトリウム液は安価に製造することができ、食品製造のコストの上昇を防ぐことができる。
本発明の一実施形態に係る殺菌済原料貯蔵システムの概念的な構成図である。 本発明の一実施形態に係る殺菌済原料貯蔵システムの具体的な断面図である。 本発明の一実施形態に係る殺菌済原料貯蔵システムのバリア管の拡大図である。 本発明の一実施形態に係る殺菌済原料貯蔵システムのバリア管の液注入口に電解水を導入する一例図である。 (a)は本発明の一実施形態に係る電解水製造装置で製造された電解水をカートリッジに注入する一例図であり、(b)は本発明の一実施形態に係るカートリッジを用いてバリア管の液注入口に電解水又は次亜塩素酸ナトリウム液を導入する一例図である。 本発明の一実施形態に係る殺菌済原料貯蔵方法の工程図である。 本発明の一実施形態に係る殺菌済原料における汚染検出方法の工程図である。 本発明の一実施形態に係る殺菌済原料貯蔵システムのバリア管の拡大図である。
符号の説明
301 バリア管
302 液注入口
303 蓋
305 出し入れ口管
306 蓋
307 クランプ
308 クランプ
309 クランプ
310 電解水又は次亜塩素酸ナトリウム液

Claims (8)

  1. 出し入れ口管及びこれを覆うバリア管を具備した原料容器に殺菌済原料を貯蔵する方法であって、前記バリア管に電解水又は次亜塩素酸ナトリウム液を充填し、前記出し入れ口管を密封することを特徴とする貯蔵方法。
  2. 前記電解水が、以下の(1)〜(3)を満たすことを特徴とする請求項1に記載の貯蔵方法。
    (1)ナトリウムイオン濃度が200ppm以下であること、
    (2)有効塩素濃度が10ppm以上30ppm以下であること、
    (3)pHが4.5〜6.8であること。
  3. 前記殺菌済原料が、殺菌済の果汁、殺菌済の果肉、および殺菌済のエキス類からなる群より選択される1以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の貯蔵方法。
  4. 出し入れ口管及びこれを覆い電解水又は次亜塩素酸ナトリウム液が充填されたバリア管を具備した原料容器に貯蔵された殺菌済原料における汚染を検出する方法であって、貯蔵中又は貯蔵後に該電解水又は次亜塩素酸ナトリウム液の有効塩素濃度が10ppm未満である場合に殺菌済原料に汚染があると判定することを特徴とする検出方法。
  5. 出し入れ口管及びこれを覆い電解水又は次亜塩素酸ナトリウム液が充填されたバリア管を具備した原料容器に貯蔵された殺菌済原料における汚染を検出する方法であって、貯蔵中又は貯蔵後に該バリア管内に充填された電解水又は次亜塩素酸ナトリウム液と、これとは別のバリア管に充填された電解水又は次亜塩素酸ナトリウム液の有効塩素濃度をそれぞれ測定し、測定した有効塩素濃度が相違する場合に殺菌済原料に汚染があると判定することを特徴とする検出方法。
  6. 殺菌済原料が貯蔵される容器本体と、
    前記容器本体から延び、出し入れ口バルブが設けられた出し入れ口管と、
    前記出し入れ口管の先端に設けられた出し入れ口を覆い、液注入口を有するバリア管と、
    前記バリア管内にバリア液を充填する手段と、
    を有する殺菌済原料の貯蔵システム。
  7. バリア液が、バリア管の液注入口に着脱可能なカートリッジに充填された電解水又は次亜塩素酸ナトリウム液である請求項6に記載の殺菌済原料の貯蔵システム。
  8. バリア液が、バリア管の液注入口に接続された陰極および陽極が配置された無隔膜電解槽内で塩酸添加原水を電気分解する電解水製造装置によって供給される電解水である請求項6に記載の殺菌済原料の貯蔵システム。
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