JP2009200339A - 光送信機の制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】光送信機の起動時において、フィルタからの過大な透過光を回避するための光送信機の制御方法を提供する。
【解決手段】波長に応じて周期的に増減し順に並ぶ第1〜第3のピークを含む光透過率を有しLD2からの光信号を透過するOSR8を備える光送信機1の制御方法であり、起動時において目標電流値よりも所定量少ないバイアス電流をLD2に供給することによりLD2を第1及び第2のピーク間の波長の光を出力する温度とし、この後、バイアス電流を上記電流値に維持しつつOSR8の透過光量の増加率が閾値を超えるまでLD2の温度を段階的に上昇させ、この後、光信号の波長が第2のピークを通過するようにバイアス電流を目標電流値に至るまで段階的に上昇させ、この後、バイアス電流を目標電流値に維持しつつ変調電流をLD2に入力し、LD2の温度を目標温度になるよう調整する。
【選択図】図1
【解決手段】波長に応じて周期的に増減し順に並ぶ第1〜第3のピークを含む光透過率を有しLD2からの光信号を透過するOSR8を備える光送信機1の制御方法であり、起動時において目標電流値よりも所定量少ないバイアス電流をLD2に供給することによりLD2を第1及び第2のピーク間の波長の光を出力する温度とし、この後、バイアス電流を上記電流値に維持しつつOSR8の透過光量の増加率が閾値を超えるまでLD2の温度を段階的に上昇させ、この後、光信号の波長が第2のピークを通過するようにバイアス電流を目標電流値に至るまで段階的に上昇させ、この後、バイアス電流を目標電流値に維持しつつ変調電流をLD2に入力し、LD2の温度を目標温度になるよう調整する。
【選択図】図1
Description
本発明は、光送信機の制御方法に関する。
特許文献1には、LD(Laser Diode)の過剰発光を防止するためのLD保護回路をアノードコモン、カソードコモンの各タイプに共用できるバイアス電流制御回路が開示されている。また、特許文献2には、LDの起動時における近接波長とのクロストークの劣化を防止し得る波長安定化光源および発光素子の起動制御方法が開示されている。上記の従来技術によれば、起動時のLDの過剰発光が回避可能となる。
特開2000−208866号公報
特開2003−298524号公報
一方、最近では、チャープを抑制することによって比較的長い伝送距離を実現するCML(Chirp managed directly modulated laser diode)と称する技術が開発されている。CML技術においては、ファブリペローエタロンの光フィルタ(OSR:Optical Spectral Reshaping)を用いて光信号の「0」成分をカットすることにより必要な消光比を確保する。このOSRは、入射するLDの出力光の波長、すなわちLDの温度に応じて、周期的に変化する透過率のスペクトルを有する。
しかし、このようなCMLを用いた光送信機に対し上述の従来技術を適用しても、起動時のLDの過剰発光の回避は困難である。光送信機の起動時にはLDにバイアス電流が入力され、LDはこのバイアス電流により自己発熱する。ATC(Auto Temperature Control)制御が作動していてもLDの自己発熱による温度上昇の時定数がATC制御による温度制御の時定数よりも上回っていれば、LDの温度は、自己発熱により上昇を続け、OSRの透過光量がピーク(極大)となる波長の光を出力する温度となる場合がある。このように、CMLを用いた光送信機のLDの出力制御は、OSRの光透過特性を考慮しなければならないので、上述の従来技術を単にCMLに適用しただけでは、起動時のLDの過剰発光の回避は困難である。そこで本発明の目的は、光送信機の起動時において、フィルタからの過大な透過光を回避するための光送信機の制御方法を提供することである。
本発明は、バイアス電流と変調電流を重畳した駆動電流に応じた光信号を出射するレーザダイオードと、前記レーザダイオードの出射する光信号が入力され、前記光信号の波長の増加方向に順に並ぶ少なくとも第1〜第3のピークを含む周期的な光透過率を有するエタロンフィルタとを備える光送信機の制御方法であって、前記光送信機の起動時において、定常値よりも少ないバイアス電流を前記レーザダイオードに供給しつつ、前記レーザダイオードの温度を、前記光信号の波長が前記第1及び第2のピーク間にあるようにする第1のステップと、前記バイアス電流を前記第1のステップの電流値に維持しつつ、前記エタロンフィルタの透過光量の増加率が予め設定された閾値を超えるまで前記レーザダイオードの温度を上昇させる第2のステップと、前記光信号の波長が前記第2のピークに対応する波長を通過するように、前記バイアス電流を前記定常値に至るまで上昇させる第3のステップと、前記バイアス電流を前記定常値に維持しつつ、前記変調電流を前記レーザダイオードに入力し、前記レーザダイオードの温度を所定の定常温度になるよう調整する第4のステップとを含み、前記定常温度における前記光信号の波長は、前記第2及び第3のピークに対応する波長の間において波長の増加に伴い前記光透過率の減小する領域にある、ことを特徴とする。
本発明によれば、起動時のバイアス電流の供給によりレーザダイオードが自己発熱し、エタロンフィルタの透過光の光量がピークとなる波長の光を出力する温度に至っても、バイアス電流が定常値よりも下回るので、透過光の光量は、バイアス電流が定常値の場合よりも低減される。従って、起動時において、エタロンフィルタの透過光の光量が過大になることを回避しつつ、レーザダイオードを所定の定常温度に設定できる。
本発明は、バイアス電流と変調電流を重畳した駆動電流に応じた光信号を出射するレーザダイオードと、前記レーザダイオードの出射する光信号が入力され、前記光信号の波長の増加方向に順に並ぶ少なくとも第1〜第3のピークを含む周期的な光透過率を有するエタロンフィルタとを備える光送信機の制御方法であって、前記光送信機の起動時において、定常値よりも少ないバイアス電流を前記レーザダイオードに供給しつつ、前記レーザダイオードの温度を、前記光信号の波長が前記第1及び第2のピーク間にあるようにする第1のステップと、前記バイアス電流を前記第1のステップの電流値に維持しつつ、前記エタロンフィルタの透過光量の増加率が予め設定された閾値を超えるまで前記レーザダイオードの温度を上昇させる第2のステップと、前記バイアス電流を前記定常値に上昇させ、前記変調電流を前記レーザダイオードに入力し、前記レーザダイオードの温度を所定の定常温度になるよう調整する第3のステップとを含み、前記定常温度における前記光信号の波長は、前記第2及び第3のピークに対応する波長の間において波長の増加に伴い前記光透過率の減小する領域にある、ことを特徴とする。
本発明によれば、起動時に定常値よりも低い一定のバイアス電流をレーザダイオードに供給しつつレーザダイオードの温度を上昇させるが、エタロンフィルタの透過光の光量がピークとなる波長の光を出力する温度に至っても、バイアス電流が定常値よりも下回るので、透過光の光量は、バイアス電流が定常値の場合よりも低減される。従って、起動時において、エタロンフィルタの透過光の光量が過大になることを回避しつつ、レーザダイオードを所定の定常温度に設定できる。
本発明は、バイアス電流と変調電流を重畳した駆動電流に応じた光信号を出射するレーザダイオードと、前記レーザダイオードの出射する光信号が入力され、前記光信号の波長の増加方向に順に並ぶ少なくとも第1〜第3のピークを含む周期的な光透過率を有するエタロンフィルタとを備える光送信機の制御方法であって、前記光送信機の起動時において、定常値よりも少ないバイアス電流を前記レーザダイオードに供給しつつ、前記レーザダイオードの温度を、前記光信号の波長が前記第1及び第2のピーク間にあるようにする第1のステップと、前記バイアス電流を前記第1のステップの電流値に維持しつつ、前記エタロンフィルタの透過光量の増加率が極大になるまで前記レーザダイオードの温度を上昇させる第2のステップと、前記バイアス電流を前記定常値に上昇させる第3のステップと、前記バイアス電流を前記定常値に維持しつつ、前記変調電流を前記レーザダイオードに入力し、前記レーザダイオードの温度を所定の定常温度になるよう調整する第4のステップとを含み、前記定常温度における前記光信号の波長は、前記第2及び第3のピークに対応する波長の間において波長の増加に伴い前記光透過率の減小する領域にある、ことを特徴とする。
本発明によれば、起動時に定常値よりも低い一定のバイアス電流をレーザダイオードに供給しつつエタロンフィルタの透過光の光量がピークとなるまでレーザダイオードの温度を上昇させるので、レーザダイオードがこのピークに対応する波長の光を出力する温度に至っても、バイアス電流が定常値よりも確実に下回ることとなり、透過光の光量は、バイアス電流が定常値の場合よりも低減される。従って、起動時において、エタロンフィルタの透過光の光量が過大になることを回避しつつ、レーザダイオードを所定の定常温度に設定できる。
本発明によれば、光送信機の起動時において、フィルタからの過大な透過光を回避するための光送信機の制御方法が提供できる。
以下、図面を参照して、本発明に係る好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において、可能な場合には、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。実施形態に係る光送信機について説明する。図1は、光送信機1の構成を示す図である。
光送信機1は、半導体レーザモジュール100を含み、ホスト装置との間で電気信号を送受する。半導体レーザモジュール100は、過渡チャープを抑制することによって比較的長い伝送距離を実現するCMLである。この半導体レーザモジュール100は、比較的高いバイアス電流と比較的小さな変調電流とを重畳した駆動電流を用いてLD2を駆動することにより、過渡チャープを抑制する。そして、半導体レーザモジュール100は、OSR8を狭帯域光フィルタとして用いて光信号の「0」成分を低減することにより、断熱チャープを低減すると共に必要な消光比を確保する。
半導体レーザモジュール100は、LD2(LD:Laser Diode)、スプリッタ4、第1のPD6(PD:Photo Diode)、OSR8、第2のPD10、第1の帰還回路12及び第2の帰還回路20を備える。LD2は、例えばDFB(Distributed Feedback)レーザであり、バイアス電流供給回路28によって供給されるバイアス電流とLDドライバ32によって供給される変調電流とを重畳した駆動電流に応じた光信号を出射する。LD2から出力される光信号は、スプリッタ4及びOSR8を介して光ファイバFに導入される。なお、LD2からの光信号には「0」成分(Low信号に対応)と「1」成分(High信号に対応)とが含まれており、「0」成分の発振中心波長(単に「0」成分の波長という場合がある)は「1」成分の発振中心波長(単に「1」成分の波長という場合がある)よりも長い。「0」成分は、この発振中心波長の差によってOSR8により低減可能となる。
スプリッタ4は、LD2と光ファイバFとの間の光路上に配置されている。この光路上には、スプリッタ4及びOSR8が配置されており、LD2に近い側にスプリッタ4が配置され、光ファイバFに近い側にOSR8が配置されている。スプリッタ4は、LD2からの光信号を分岐してOSR8と第1のPD6とに導く。スプリッタ4は、OSR8の入射部8aからの戻り光を第2のPD10に導く。第1のPD6は、LD2から出力されスプリッタ4により分岐される光信号をモニタする。第1のPD6は、モニタ結果を示す電流信号を第1のI/V−C回路30に出力する。
OSR8は、エタロンフィルタであり、LD2からの光信号のうち主として「0」成分のみを低減する狭帯域光フィルタとして用いられる。OSR8は、入射部8aに入射する入射光の波長に依存して周期的に増減する光透過率のスペクトルを有しており、LD2からの光信号をその周期的な光透過率に応じて透過する。すなわち、OSR8は、LD2からの光信号の光量に光透過率を乗じた光量の光を出力する。ここで、OSR8の光透過率は、OSR8への入射光の光量に対する透過光の光量の割合であり、入射部8aからの戻り光のモニタ結果を示す第2のPD10から出力される電流信号の値によって表すことが可能である。
この電流信号の値が大きいほど、入射部8aからの戻り光の光量は多く、従って、OSR8の光透過率は小さい。逆に、電流信号の値が小さいほど、入射部8aからの戻り光の光量は少なく、従って、OSR8の光透過率は大きい。また、OSR8への入射光の光量がその波長に依存せず一定の場合、透過光の波長依存性は、透過率の波長依存性と同様となる。
第2のPD10は、OSR8からの戻り光をモニタする。第2のPD10は、モニタ結果を示す電流信号を第2のI/V−C回路34に出力する。第1の帰還回路12は、第1のTEC14、第1のサーミスタ16及び第1のTEC制御回路18を有する。第2の帰還回路20は、第2のTEC22、第2のサーミスタ24及び第2のTEC制御回路26を有する。第1のTEC14は、LD2の温度を調整するための熱電変換素子であり、LD2は第1のTEC14上に設けられている。第2のTEC22は、OSR8の温度を調整するための熱電変換素子であり、OSR8は第2のTEC22上に設けられている。
第1のサーミスタ16は、LD2の近傍に配置されており、第2のサーミスタ24は、OSR8の近傍に配置されている。第1のサーミスタ16は、LD2の温度をモニタするための素子である。第2のサーミスタ24は、OSR8の温度をモニタするための素子である。第1のサーミスタ16は、LD2の温度に応じて抵抗値が変化する抵抗を有しており、第1のサーミスタ16によるLD2の温度のモニタ結果はこの抵抗値によって示される。第2のサーミスタ24は、OSR8の温度に応じて抵抗値が変化する抵抗を有しており、第2のサーミスタ24によるOSR8の温度のモニタ結果はこの抵抗値によって示される。
第1のTEC制御回路18は、第1のサーミスタ16のモニタ結果(抵抗値)に基づいて第1のTEC14のATC制御を行う。このATC制御によって、LD2の温度は予め設定された温度に調整される。LD2の設定温度を示すデータは、演算回路36のメモリに読み出し/書き込み自在に格納されていている。
第2のTEC制御回路26は、第2のサーミスタ24のモニタ結果(抵抗値)に基づいて第2のTEC22のATC制御を行う。このATC制御によって、OSR8の温度は予め設定された温度に調整される。OSR8の設定温度を示すデータは、演算回路36のメモリに読み出し/書き込み自在に予め格納されていている。
光送信機1は、バイアス電流供給回路28、第1のI/V−C回路30、LDドライバ32、第2のI/V−C回路34及び演算回路36を更に備える。バイアス電流供給回路28は、過渡チャープを抑制するため比較的大きなバイアス電流をLD2に供給する。バイアス電流供給回路28は、演算回路36からの制御信号と、第1のI/V−C回路30から出力される電圧信号とに基づいてバイアス電流をLD2に供給する。第1のI/V−C回路30は、第1のPD6から出力される電流信号を電圧信号に変換し、この電圧信号をバイアス電流供給回路28に出力する電流/電圧変換回路である。LDドライバ32は、LD2に変調電流を供給する。この変調電流は、LD2の出力光にデータ(「0」成分と「1」成分とにより構成されるデータ)を重畳するためのものである。第2のI/V−C回路34は、第2のPD10から出力される電流信号を電圧信号に変換し、この電圧信号を演算回路36に出力する電流/電圧変換回路である。
演算回路36は、第1のTEC制御回路18を制御してLD2の温度を調整し、第2のTEC制御回路26を制御してOSR8の温度を調整する。演算回路36は、入射部8aからの戻り光を用いて、OSR8の透過光の光量を判断し、これに基づいて、第1のTEC制御回路18及びLDドライバ32を制御し、LD2の温度及びLD2のバイアス電流を調整する。
第1のTEC制御回路18は、演算回路36による制御に応じて、第1のTEC14及び第1のサーミスタ16を用いてLD2の温度を増減する。第2のTEC制御回路26は、演算回路36による制御に応じて、第2のTEC22及び第2のサーミスタ24を用いてOSR8の温度を増減する。演算回路36は、バイアス電流供給回路28を制御して、LD2に供給するバイアス電流を調整する。これらの温度、及び、バイアス電流は、演算回路36のメモリに読み出し/書き込み自在に予め格納されている。また、演算回路36は、LDドライバ32を制御することによりLD2に供給する変調電流のオン・オフを行う。
演算回路36は、以下に説明する光送信機1の制御方法(第1〜第3の制御方法の何れか一の制御方法)に従って、光送信機1の起動を行う。この光送信機1の制御方法は、プログラムとして演算回路36のメモリ(または、光送信機1に着脱可能な外部メモリ)に格納されている。以下、図2〜図7を参照して、第1〜第3の制御方法を説明する。図2、図4、図6は、第1、第2、第3の制御方法をそれぞれ説明するためのフローチャートであり、図3、図5、図7は、第1、第2、第3の制御方法におけるOSR8の入射光の波長と透過光の光量との相関をそれぞれ模式的に示す図である。
図3、図5、図7の横軸は、OSR8に入射する入射光(LD2からの光信号)の波長を表し、縦軸は、OSR8の透過光の光量を表す。LD2からの光信号の波長はLD2の温度にほぼ比例し、LD2の温度が高くなると、LD2からの光信号の波長も長くなる。したがって、図3、図5、図7の横軸は、LD2の温度にも対応している。よって、図3、図5、図7は、LD2の温度とOSR8の透過光の光量との相関も示している。ここで、透過光の光量の変化は、入射部8aからの戻り光の光量(第2のPD10のモニタ結果を示す電流信号の値)の変化の逆になっている。すなわち、透過光の光量が増加すると、入射部8aからの戻り光の光量は減小し、透過光の光量が減小すると、入射部8aからの戻り光の光量は増加する。
LD2は、光送信機1の起動直後において、所定のバイアス電流によって駆動される。この所定電流値(最終的な定常値であり、以下、目標電流値という場合がある)は、本実施形態においては70mAとするが、これに限らず他の値であってもよい。図3、図5、図7に示す図中符号G1の曲線は、電流値70mAのバイアス電流が供給されたLD2からの光信号に対するOSR8の透過光の光量(光透過率に対応)を表している。OSR8の透過光の光量は、波長に応じて周期的に増減する。OSR8の光透過率は、複数(少なくとも三つ)のピークを含む。例えば、図3,図5、図7には、波長の増加方向に順に並ぶ第1のピークF1、第2のピークF2及び第3のピークF3が示されている。
また、光送信機1の定常動作時において、LD2からの光信号に含まれる「0」成分(断熱チャープに対応)をOSR8を用いて低減するために、「1」成分の波長と「0」成分の波長との関係において、前者が透過率大の波長領域、後者が透過率小の波長領域にあるように、LD2の温度およびOSR8の温度が精密に制御される。以下に説明する第1〜第3の制御方法は、光送信機1の起動時において、OSR8の透過光の光量が過大になることを回避しつつ、「1」成分の波長が透過率大の波長領域(後述の波長P5)の値となるようにLD2の温度を調整するための方法である。
なお、演算回路36及び第1のTEC制御回路18は、入射部8aからの戻り光の光量、及び、第1のサーミスタ16の抵抗値をそれぞれ用いて、バイアス電流やLD2の温度を調整するが、以下では、便宜上、入射部8aからの戻り光の光量、及び、第1のPD6の抵抗値を、OSR8の透過光の光量、及び、LD2の温度(更に、LD2からの光信号の波長)にそれぞれ置き換えて説明する。
まず、図2及び図3を参照して第1の制御方法について説明する。図中符号G2、G3、G4、G5の曲線は、LD2のバイアス電流が30mA、40mA、50mA、60mAの場合の透過光の光量をそれぞれ表している。
ステップS1において、演算回路36は、LD2にバイアス電流を供給する前に、OSR8及びLD2の温度を予め調整しておく。まず、演算回路36は、OSR8の温度を予め設定された第1の目標温度とするよう第2のTEC22に対しATC制御を行う。以降のステップにおいて、OSR8はこの温度に維持される。そして、演算回路36は、LD2にバイアス電流を供給せずに第1のTEC14に対しATC制御を行い、LD2の温度を第2の目標温度に設定する(以上、ステップS1)。この第2の目標温度は、透過光の光量の第1のピークF1と第2のピークF2との間の波長の光信号を出力する時のLD2の温度に相当している。
ステップS1の後、演算回路36は、ステップS2において、定常値として予め設定された最終的な目標電流値(70mA)よりも所定量少ないバイアス電流をLD2に供給する。このバイアス電流の供給によってLD2は自己発熱し、LD2の温度は、ステップS1の場合よりも高くなるが、OSR8の透過光の光量の第1のピークF1と第2のピークF2との間にある波長P1の光信号を出力する温度となる(以上、ステップS2)。換言すれば、ステップS2では、光送信機1の起動時において、定常値よりも少ないバイアス電流をLD2に供給しつつ、LD2の温度を、LD2からの光信号の波長が第1のピークF1と第2のピークF2との間にあるようにする。
この波長P1は、第1のピークF1及び第2のピークF2をそれぞれ含む透過光の光量の山と山の間の波長領域F4にあるのが好ましい。そして、LD2の温度は、この温度で一旦安定となる。また、ステップS2におけるバイアス電流は、LD2の発振閾値電流(例えば、20mA程度)よりも10mA程度高い電流値が好ましく、本実施形態においては、例えば30mAとする。
ステップS2の後、演算回路36は、ステップS3において、バイアス電流をステップS2の電流値(30mA)に維持しつつ、OSR8の透過光の光量の増加率が予め設定された閾値を超えるまで(波長P2に対応)、LD2の温度を所定値ずつ段階的に徐々に上昇させる(ステップS3)。例えば、演算回路36は、LD2の温度を0.5度分だけ上昇させてLD2の温度が安定したら、更に0.5度分だけLD2の温度を上昇させる、という処理を、透過光の光量の増加率が閾値を越えるまで、すなわち、LD2からの光信号の波長が図3において波長P2に至るまで繰り返す。波長P2は、第2のピークF2を有する透過光の光量の山の立ち上がり部分に含まれている。
ステップS3の後、演算回路36は、ステップS4において、第1のTEC14に対するATC制御条件を維持しつつ、LD2からの光信号の波長が第2のピークF2に対応する波長P3を通過するように、バイアス電流を定常値である目標電流値(70mA)に至るまで所定値ずつ段階的に徐々に上昇させる(ステップS4)。例えば、演算回路36は、バイアス電流を5mA分だけ上昇させてLD2の温度が安定したら、更に5mA分だけバイアス電流を上昇させる、という処理を、バイアス電流が目標電流値に至るまで繰り返す。このようにバイアス電流が上昇すると、LD2は第1のTEC14により温度制御されているにも係わらず、その自己発熱により実際の温度は上昇し、このバイアス電流を上昇させる過程においてLD2からの光信号の波長が第2のピークF2に対応する波長P3を通過する。
ステップS4において、OSR8の透過光の光量は、図中符号F5に示す曲線に沿って変化する。この曲線は、図中符号G2〜G5の曲線を横切る。すなわち、LD2が、透過光の光量がピークとなる波長P3の光を出力する温度となった時、LD2に供給されているバイアス電流は目標電流値ではなく、目標電流値を下回る電流値(この場合、50mAを下回る電流値が好ましく、例えば、40mA程度)になっている。よって、バイアス電流の電流値が目標電流値に至る過程において、LD2の温度がこの波長P3に対応する温度に至っても、OSR8の透過光の光量は、バイアス電流が70mAの場合の透過光の光量のピーク値F6を下回る。
ステップS4においてバイアス電流が目標電流値に至って安定した後(波長P4に対応)、演算回路36は、ステップS5において、バイアス電流をステップS4の目標電流値に維持しつつ、変調電流をLDドライバ32からLD2に入力させ、ATC制御を行ってLD2の温度が最終的な定常温度として予め設定された第3の目標温度(波長P5に対応)となるよう調整する(ステップS5)。ステップS4およびステップS5において、LD2からの光信号の波長は、波長P2から増加して波長P3を通過し、波長P4に一旦到達した後に、増加から減小に転じて第3の目標温度に対応する波長P5に至る。
なお、第3の目標温度におけるLD2からの光信号の波長P5は、図3に示すように、第2のピークF2及び第3のピークF3に対応する波長の間にあって波長の増加に伴い透過光の光量(光透過率)が減小する領域にある。また、第3の目標温度は、より詳細には、バイアス電流が目標電流値の場合に、光信号の「1」成分の波長が波長P5となるLD2の温度である。「1」成分の波長が波長P5となる場合、この「1」成分はほとんどOSR8を透過する(透過率大)。これに対し、「1」成分の波長が波長P5となる場合、断熱チャープに対応する「0」成分はほとんどOSR8により反射される(透過率小)。従って、OSR8を透過することにより断熱チャープが十分に除去される。
以上説明したステップS1〜ステップS5を含む第1の制御方法を用いれば、LD2が、光送信機1の起動時のバイアス電流の供給により自己発熱し、OSR8の透過光の光量がピークとなる波長P3の光信号を出力する温度に至っても、バイアス電流が目標電流値よりも下回るので、OSR8の透過光の光量は、バイアス電流が所定の最終の値(目標電流値)の場合よりも低減される。従って、光送信機1の起動時において、OSR8の透過光の光量が過大になることを回避しつつ、LD2を、断熱チャープの除去可能な第3の目標温度に設定できる。
なお、第1〜第3の制御方法において用いる上記第1〜第3の目標温度(更にステップS3,S8で用いる複数の温度(温度の上昇分))と、第1〜第3の制御方法において用いる上記目標電流値を含むバイアス電流(例えばステップS4で用いる複数のバイアス電流)と、ステップS3で用いる上記閾値とは、何れも、演算回路36のメモリに予め格納されている。
次に、図4及び図5を参照して第2の制御方法について説明する。まず、演算回路36は、上述のステップS1〜S3を行う。そして、ステップS3の後、LD2の温度が波長P2の光信号を出力する温度になると、演算回路36は、ステップS6において、バイアス電流をステップS2の電流値(30mA程度)に維持しつつ、ATC制御を行い、LD2の温度を、第2のピークF2に対応する波長P3の光信号を出力する温度を越えて、第3の目標温度(波長P5に対応)またはその近傍に至るまで上昇させる(ステップS6)。ここで、第3の目標温度は最終バイアス電流(最終的な定常値のバイアス電流)に対する設定温度である。よって、この最終バイアス電流を下回る場合にLD2の温度を第3の目標温度に設定しても、このバイアス電流によるLD2の自己発熱は、最終バイアス電流による自己発熱に比較して少ないので、ステップS6におけるLD2からの光信号の波長は、第3の目標温度よりも低い温度に対応する波長P6となる。なお、ステップS2の後、ステップS3を行わずにステップS6を行ってもよい。
ステップS6の後、ステップS7において、演算回路36は、LD2の温度が第3の目標温度またはその近傍に至ると、バイアス電流を目標電流値に上昇させ、変調電流をLDドライバ32からLD2に入力させ、ATC制御を行ってLD2の温度を第3の目標温度になるよう調整する(ステップS7)。この場合、LD2からの光信号の波長は、波長P3から増加して波長P7に一旦到達した後に、増加から減小に転じて第3の目標温度に対応する波長P5に至る。ステップS6及びステップS7におけるOSR8の透過光の光量は、図中符号F7の曲線に沿って変化する。なお、第3の目標温度と、第3の目標温度に対応するLD2の波長P5との詳細については、上述した通りである。
以上説明したステップS1〜S3,S6,S7を含む第2の制御方法を用いれば、光送信機1の起動時に目標電流値よりも低い一定のバイアス電流をLD2に供給しつつLD2の温度を上昇させ、LD2が、OSR8の透過光の光量がピークとなる波長P3の光信号を出力する温度に至っても、バイアス電流が目標電流値よりも下回るので、透過光の光量は、バイアス電流が所定の最終の値(目標電流値)の場合よりも低減される。従って、光送信機1の起動時において、OSR8の透過光の光量が過大になることを回避しつつ、LD2を、断熱チャープの除去可能な第3の目標温度に設定できる。
次に、図6及び図7を参照して第3の制御方法について説明する。まず、演算回路36は、上述のステップS1およびステップS2を行う。そして、ステップS2の後、LD2が波長P1の光信号を出力する温度になると、演算回路36は、ステップS8において、バイアス電流をステップS2の電流値(30mA)に維持しつつ、OSR8の透過光の光量の増加率が極大になるまで(LD2からの光信号の波長が、光量の増加率が正から負に変わる波長P3に至るまで)、LD2の温度を段階的に徐々に上昇させる(ステップS8)。例えば、演算回路36は、ステップS8において、LD2の温度を0.5度分だけ上昇させてLD2の温度が安定したら、更に0.5度分だけLD2の温度を上昇させる、という処理を、OSR8の透過光の光量の増加率が極大になるまで繰り返す。
ステップS8の後、OSR8の透過光の光量の増加率が極大になると、演算回路36は、バイアス電流を目標電流値に上昇させ、LD2の温度を安定させる(ステップS9)。ステップS8及びステップS9におけるOSR8の透過光の光量は、図中符号F8の曲線に沿って変化する。ステップS9の後、LD2の温度が安定すると(波長P8に対応)、演算回路36は、バイアス電流を目標電流値に維持しつつ、変調電流をLDドライバ32からLD2に入力させ、ATC制御を行ってLD2の温度を第3の目標温度になるよう調整する(ステップS10)。この場合、LD2からの光信号の波長は、ステップS9において波長P3から増加して波長P8に一旦到達した後に、増加から減小に転じて第3の目標温度に対応する波長P5に至る。なお、第3の目標温度と、第3の目標温度に対応するLD2の波長P5との詳細については、上述した通りである。
以上説明したステップS1,S2,S8〜S10を有する第3の制御方法を用いれば、光送信機1の起動時に目標電流値よりも低い一定のバイアス電流をLD2に供給しつつOSR8の透過光の光量がピークとなるまでLD2の温度を上昇させるので、LD2がこのピークに対応する波長P3の光を出力する温度に至っても、バイアス電流が目標電流値よりも確実に下回ることとなり、透過光の光量は、バイアス電流が所定の最終の値(目標電流値)の場合よりも低減される。従って、光送信機1の起動時において、OSR8の透過光の光量が過大になることを回避しつつ、LD2を、断熱チャープの除去可能な第3の目標温度に設定できる。
以上、好適な実施の形態において本発明の原理を図示し説明してきたが、本発明は、そのような原理から逸脱することなく配置および詳細において変更され得ることは、当業者によって認識される。本発明は、本実施の形態に開示された特定の構成に限定されるものではない。したがって、特許請求の範囲およびその精神の範囲から来る全ての修正および変更に権利を請求する。
1…光送信機、10…第2のPD、100…半導体レーザモジュール、12…第1の帰還回路、14…第1のTEC、16…第1のサーミスタ、18…第1のTEC制御回路、2…LD、20…第2の帰還回路、22…第2のTEC、24…第2のサーミスタ、26…第2のTEC制御回路、28…バイアス電流供給回路、30…第1のI/V−C回路、32…LDドライバ、34…第2のI/V−C回路、36…演算回路、4…スプリッタ、6…第1のPD、8…OSR、8a…入射部、F…光ファイバ
Claims (3)
- バイアス電流と変調電流を重畳した駆動電流に応じた光信号を出射するレーザダイオードと、
前記レーザダイオードの出射する光信号が入力され、前記光信号の波長の増加方向に順に並ぶ少なくとも第1〜第3のピークを含む周期的な光透過率を有するエタロンフィルタと
を備える光送信機の制御方法であって、
前記光送信機の起動時において、定常値よりも少ないバイアス電流を前記レーザダイオードに供給しつつ、前記レーザダイオードの温度を、前記光信号の波長が前記第1及び第2のピーク間にあるようにする第1のステップと、
前記バイアス電流を前記第1のステップの電流値に維持しつつ、前記エタロンフィルタの透過光量の増加率が予め設定された閾値を超えるまで前記レーザダイオードの温度を上昇させる第2のステップと、
前記光信号の波長が前記第2のピークに対応する波長を通過するように、前記バイアス電流を前記定常値に至るまで上昇させる第3のステップと、
前記バイアス電流を前記定常値に維持しつつ、前記変調電流を前記レーザダイオードに入力し、前記レーザダイオードの温度を所定の定常温度になるよう調整する第4のステップと
を含み、
前記定常温度における前記光信号の波長は、前記第2及び第3のピークに対応する波長の間において波長の増加に伴い前記光透過率の減小する領域にある、ことを特徴とする光送信機の制御方法。 - バイアス電流と変調電流を重畳した駆動電流に応じた光信号を出射するレーザダイオードと、
前記レーザダイオードの出射する光信号が入力され、前記光信号の波長の増加方向に順に並ぶ少なくとも第1〜第3のピークを含む周期的な光透過率を有するエタロンフィルタと
を備える光送信機の制御方法であって、
前記光送信機の起動時において、定常値よりも少ないバイアス電流を前記レーザダイオードに供給しつつ、前記レーザダイオードの温度を、前記光信号の波長が前記第1及び第2のピーク間にあるようにする第1のステップと、
前記バイアス電流を前記第1のステップの電流値に維持しつつ、前記エタロンフィルタの透過光量の増加率が予め設定された閾値を超えるまで前記レーザダイオードの温度を上昇させる第2のステップと、
前記バイアス電流を前記定常値に上昇させ、前記変調電流を前記レーザダイオードに入力し、前記レーザダイオードの温度を所定の定常温度になるよう調整する第3のステップと
を含み、
前記定常温度における前記光信号の波長は、前記第2及び第3のピークに対応する波長の間において波長の増加に伴い前記光透過率の減小する領域にある、ことを特徴とする光送信機の制御方法。 - バイアス電流と変調電流を重畳した駆動電流に応じた光信号を出射するレーザダイオードと、
前記レーザダイオードの出射する光信号が入力され、前記光信号の波長の増加方向に順に並ぶ少なくとも第1〜第3のピークを含む周期的な光透過率を有するエタロンフィルタと
を備える光送信機の制御方法であって、
前記光送信機の起動時において、定常値よりも少ないバイアス電流を前記レーザダイオードに供給しつつ、前記レーザダイオードの温度を、前記光信号の波長が前記第1及び第2のピーク間にあるようにする第1のステップと、
前記バイアス電流を前記第1のステップの電流値に維持しつつ、前記エタロンフィルタの透過光量の増加率が極大になるまで前記レーザダイオードの温度を上昇させる第2のステップと、
前記バイアス電流を前記定常値に上昇させる第3のステップと、
前記バイアス電流を前記定常値に維持しつつ、前記変調電流を前記レーザダイオードに入力し、前記レーザダイオードの温度を所定の定常温度になるよう調整する第4のステップと
を含み、
前記定常温度における前記光信号の波長は、前記第2及び第3のピークに対応する波長の間において波長の増加に伴い前記光透過率の減小する領域にある、ことを特徴とする光送信機の制御方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008041769A JP2009200339A (ja) | 2008-02-22 | 2008-02-22 | 光送信機の制御方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2008041769A JP2009200339A (ja) | 2008-02-22 | 2008-02-22 | 光送信機の制御方法 |
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JP2009200339A true JP2009200339A (ja) | 2009-09-03 |
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JP2008041769A Pending JP2009200339A (ja) | 2008-02-22 | 2008-02-22 | 光送信機の制御方法 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2017511612A (ja) * | 2014-04-16 | 2017-04-20 | アルカテル−ルーセント | リング共振器に結合された直接変調レーザを備えるチューニング可能な発信デバイス |
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2008
- 2008-02-22 JP JP2008041769A patent/JP2009200339A/ja active Pending
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JP2017511612A (ja) * | 2014-04-16 | 2017-04-20 | アルカテル−ルーセント | リング共振器に結合された直接変調レーザを備えるチューニング可能な発信デバイス |
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