JP2009198678A - 光学素子の固定構造及び固定方法、レーザビーム走査装置、及び、画像形成装置 - Google Patents

光学素子の固定構造及び固定方法、レーザビーム走査装置、及び、画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】接着固定用の柱状樹脂を確実に硬化させることができ、かつ、特性の安定した光学素子の固定構造及び固定方法、レーザビーム走査装置、及び、画像形成装置を得る。
【解決手段】レーザダイオード20と、該レーザダイオード20から放射されたビームを整形するコリメータレンズ21、レーザダイオード20を保持するホルダ26と、該ホルダ26及びコリメータレンズ21を固定した基材30とを備えたレーザビーム走査装置。ホルダ26は基材30に設けた突片31にて光軸方向Xに挟み込まれ、隙間T,T’に光硬化型の柱状樹脂35が配置され、該柱状樹脂35は同時に硬化されている。
【選択図】図6

Description

本発明は、光学素子の固定構造、特に、レーザダイオードなどの発光素子やコリメータレンズなどのビーム整形素子の固定構造及び固定方法、前記固定構造を備えたレーザビーム走査装置、及び、該レーザビーム走査装置を搭載した複写機、プリンタ、ファクシミリなどの画像形成装置に関する。
複写機、プリンタ、ファクシミリなどの画像形成装置に搭載されるレーザビーム走査装置において、その光源部は発光素子(レーザダイオード)とコリメータレンズなどの光学素子を備えている。
この種の光学素子を位置決めして固定する構造としては、特許文献1,2に記載の技術が知られている。特許文献1,2には、レーザダイオードを取り付けた放熱板とレンズを取り付けたレンズホルダの間に中間ホルダを設け、放熱板と中間ホルダ、中間ホルダとレンズホルダをそれぞれ位置調整した後に接着固定する構造が記載されている。
しかしながら、特許文献1,2に記載の固定構造においては、レーザダイオードを取り付けた放熱板とレンズホルダとの間に中間ホルダを設けているために部品点数が増加するとともに、放熱板が中間ホルダに密着固定されているために放熱効果が十分でないという問題点を有している。特に、接着剤としては、精度よく素早く硬化させることのできる光硬化型接着剤を使用することが好ましい。しかし、これらの固定構造では接着部分に照射光が届かないので光硬化型接着剤を使用することができない、あるいは、完全な硬化が期待できず、製作には時間がかかり、その間の安定性が悪く精度を確保できないという問題点を有している。
また、接着固定に光硬化型の樹脂を使用した場合の問題点として位置調整した後に硬化させる際の収縮あるいは経時的な収縮を配慮する必要がある。結合する二つの面を密着させずに光の照射進路を確保できる隙間を形成すると、樹脂は柱状に設けられ、高さ方向に収縮する。光学系がこの収縮方向に光学的な感度を持つ場合、硬化前の調整状態を維持できず、光学系としての使用が困難になる。さらに、光学系として使用中の温度や湿度の変化により膨張や収縮が微量ではあるが発生し、光学性能の劣化を生じる。
図14に示すように、レーザダイオード20を固定したホルダ26を、コリメータレンズ21を固定した基材30に柱状樹脂35で接着固定した場合、調整完了時点では、コリメータレンズ21を透過したビームは平行光aに整形されていても、硬化時に柱状樹脂35が光軸方向Xに収縮すると、レーザダイオード20が光軸方向Xに移動することになる。これにて、平行光aが発散光bになってしまう。
特開平5−136952号公報 特開平5−273483号公報
そこで、本発明の目的は、接着固定用の柱状樹脂を確実に硬化させることができ、かつ、特性の安定した光学素子の固定構造及び固定方法、レーザビーム走査装置、及び、画像形成装置を提供することにある。
以上の目的を達成するため、本発明の一形態である光学素子の固定構造は、
少なくとも一つの発光素子を保持するホルダと該ホルダを取り付けるための基材とを光硬化型の柱状樹脂で締結した光学素子の固定構造において、前記ホルダと前記基材のいずれか一方を他方で光軸方向に挟み込むように配置し、前記挟み込みによって形成された光軸方向の前後に位置する隙間に光硬化型の柱状樹脂が配置され、該柱状樹脂は同時に硬化されていること、を特徴とする。
前記光学素子の固定構造においては、柱状樹脂が適度な弾性を有している状態で光学素子を3軸方向(調芯及び光軸方向)に調整され、その後柱状樹脂が硬化される。光軸方向の前後に位置する隙間に光硬化型の柱状樹脂を配置したため、柱状樹脂の硬化収縮が光軸方向にプラス側及びマイナス側にほぼ均等に作用し、結果として光学素子が光軸方向に位置変化することが防止される。
本発明の他の形態である光学素子の固定方法は、少なくとも一つの光学素子を保持するホルダと該ホルダを取り付けるための基材とを光硬化型の柱状樹脂で締結する光学素子の固定方法において、前記ホルダと前記基材のいずれか一方を他方で光軸方向に挟み込むように配置するステップと、前記挟み込みによって形成された光軸方向の前後に位置する隙間に未硬化状態の光硬化型の柱状樹脂を配置するステップと、前記光学素子の位置を調整するステップと、前記光硬化型の柱状樹脂を同時に硬化させるステップと、を備えたことを特徴とする。
本発明のさらに他の形態であるレーザビーム走査装置は、前記光学素子の固定構造を備えたことを特徴とする。本発明のさらに他の形態である画像形成装置は、前記レーザビーム走査装置を搭載したことを特徴とする。
以下、本発明に係る光学素子の固定構造及び固定方法、レーザビーム走査装置、及び、画像形成装置の実施例について、添付図面を参照して説明する。
(全体構成、図1及び図2参照)
図1及び図2に、本発明に係るレーザビーム走査装置及び画像形成装置の一実施例を示す。このレーザビーム走査装置1は、概略、光源ユニット2と、ポリゴンミラー3と、走査レンズ4a,4bと、カバーガラス5と、これらの部材を保持するためのハウジング10とで構成されており、画像形成装置100に搭載されている。
画像形成装置100は、いわゆる4サイクル方式のカラープリンタであり、感光体ドラム50の周囲に、帯電器102、レーザビーム走査装置1、YMCKの4色のトナーを内蔵したロータリ式の現像器103、中間転写ベルト104などを配置した周知のものである。レーザビーム走査装置1によって感光体ドラム50上にYMCKの静電潜像が順次形成され、該静電潜像は現像器103で所定の色に現像され、中間転写ベルト104に順次1次転写されて合成される。合成されたトナー像は、給紙部105から1枚ずつ給紙される用紙上に、2次転写ローラ106から付与される電界によって2次転写される。続いて、この用紙は、定着器107でトナー像の加熱定着を施され、プリンタ本体の上面に排出される。
光源ユニット2から放射されたビームは、主走査方向Yにほぼ平行な光に整形されており、ポリゴンミラー3に入射する。ポリゴンミラー3に入射したビームは主走査方向Yに等角速度に偏向され、走査レンズ4a,4bを透過することで収差を補正され、カバーガラス5を透過して感光体ドラム50上で結像する。感光体ドラム50は所定速度で回転駆動され、ビームによる主走査とドラム50の回転による副走査にて2次元の画像(静電潜像)が形成される。
(光源ユニットの調整、図3及び図4参照)
ここで、光源ユニット2の調整について説明する。光源ユニット2は、図3に示すように、概略、レーザダイオード20とレンズホルダ25に保持されたコリメータレンズ21とシリンドリカルレンズ22とで構成されている。これらの素子は従来から周知のものである。
ここで、コリメータレンズ21とシリンドリカルレンズ22とが個別に取り付けられている場合の調整について図4を参照して説明する。なお、この調整自体は従来行われていた方法である。
まず、レーザダイオード20の中心とコリメータレンズ21の光軸を位置合わせする調芯作業が行われる。これは副走査方向Z及び主走査方向Yの調整であり、図4(A)において点線から実線へコリメータレンズ21を移動させた状態を示している。さらに、レーザダイオード20とコリメータレンズ21との間隔を調整し、コリメータレンズ21からのビームが主走査方向Y及び副走査方向Zで光軸方向Xに沿った平行光となるように調整する。平行光であるため、コリメータレンズ21から光軸方向Xには、ビームの状態はほとんど変化しない。そのため、ここまでの調整は後段のシリンドリカルレンズ22などには影響されない。
このような平行光発生部では、通常、レーザダイオード20の位置を基準にしてコリメータレンズ21の位置を調整するため、レーザダイオード20の位置調整は不要で、従来では、少なくともレーザダイオード20に対して光軸方向Xに自由度を持たせた調整を行っていない。
一方、図4(B)に示すように、シリンドリカルレンズ22の位置調整は、ポリゴンミラー3の反射面から所定の距離だけ離れた位置に、機械的精度で傾きや芯ズレがないように行われる。シリンドリカルレンズ22は、主走査方向Yには光学的なパワーを持たず、副走査方向Zの光学的なパワーもコリメータレンズ21よりも光軸方向Xのズレの感度が小さいため、機械的精度でも十分配置できる。この調整もコリメータレンズ21に左右されることなく調整される。
その後、先に調整したコリメータレンズ21の軸とシリンドリカルレンズ22の軸を調芯して集光部分の調整が完了する。このとき、コリメータレンズ21とシリンドリカルレンズ22の距離に精度は不要であるため、基本的にコリメータレンズ21の光軸方向Xの調整は不要である。
ところで、本実施例においては、集光光学素子として、コリメータレンズ21のみを有していても、あるいは、コリメータレンズ21とシリンドリカルレンズ22を単一のレンズホルダ25に固定した構成のいずれであってもよい。あるいは、コリメータレンズ機能とシリンドリカルレンズ機能を合わせ持ったDOE(Diffractive Optical Element)を用いてもよい。
以下に、光源ユニット2におけるレーザダイオード20及びコリメータレンズ21の様々な固定構造及び固定方法の実施例について説明する。なお、各実施例を示す各図において同じ部材、部分には同じ符号を付し、重複する説明は省略する。
(第1実施例、図5〜図7参照)
第1実施例である光源ユニット2は、図5及び図6に示すように、レーザダイオード20を保持するホルダ26(放熱板)と該ホルダ26を取り付けるための基材30と該基材30に接着固定されたコリメータレンズ21とで構成されている。レーザダイオード20から放射されたビームはコリメータレンズ21で平行光に整形され、かつ、図示しないシリンドリカルレンズにて副走査方向Zに集光される。
ホルダ26は、例えばステンレスからなり、レーザダイオード20のフランジ部を延伸した状態の平板形状をなしている(図7参照)。レーザダイオード20はホルダ26に形成した図示しない穴に圧入することでホルダ26に固定されている。基材30は樹脂成形品であり、ホルダ26をその両主面を挟み込むように配置された二対の突片31と、コリメータレンズ21を保持するための突片32とを有している。
ホルダ26の両主面と突片31との隙間T,T’には柱状に形成された樹脂35が左右上下に都合8箇所に配置されている。柱状樹脂35は、例えば、紫外線硬化タイプの光硬化型接着剤である。所定の位置に塗布された柱状樹脂35が未硬化常温状態(25℃)にあるとき、樹脂材料の張力を利用して、予め基材30に固定されているコリメータレンズ21に対するレーザダイオード20の調芯や光軸方向の位置を3軸方向(主走査方向Y、副走査方向Z、光軸方向X)に調整した後、紫外線を照射して柱状樹脂35を硬化させる。これにて、光源ユニット2が精度よく製作されることになる。その後、光源ユニット2は、基材30をハウジング10に位置調整したうえで固定される。
より詳しくは、ホルダ26の両主面と基材30の突片31とは光軸方向Xに直交する方向で向かい合い、隙間T,T’に柱状樹脂35が未硬化状態で介在した状態で、ホルダ26を光軸方向Xに移動させることによりビームの整形状態を調整し、さらにホルダ26を光軸方向Xに直交する方向に移動させることにより調芯状態を調整する。その後、柱状樹脂35に紫外線を照射して硬化させる。
従来では、図14に示したように、ホルダ26を基材30の一面に樹脂35で接着する構造が一般的である。しかし、この固定構造では、樹脂35の硬化収縮や経時変化による膨張収縮に伴うレーザダイオード20の光軸方向Xの変位による光学性能の劣化を解消できない。
これに対して、第1実施例においては、ホルダ26を基材30の突片31にて光軸方向Xに挟み込むように配置し、この挟み込みによって形成された光軸方向Xのマイナス側の隙間Tとプラス側の隙間T’に柱状樹脂35を配置している。隙間T,T’は、例えば、0.5mmであり、光軸方向Xの調整代は0.1mm程度を見込んでいる。調整後に柱状樹脂35を同時に硬化させると、柱状樹脂35には光軸方向Xのプラス側及びマイナス側に硬化収縮力が生じる。柱状樹脂35の高さや太さはほぼ同じであるため、硬化収縮力もほぼ同じである。よって、レーザダイオード20の位置変化は両側の柱状樹脂35の硬化収縮の差分に基づく極僅かな量であり、調整時の状態が維持される。
この光源ユニット2を備えたレーザビーム走査装置1が画像形成装置100に搭載され、実際の使用時に温度上昇すると柱状樹脂35は膨張し、冷えると収縮する。しかし、その膨張や収縮はホルダ26に対しては光軸方向Xにプラス側及びマイナス側にほぼ均等に作用し、膨張力や収縮力が打ち消し合うように作用するので、レーザダイオード20は調整時の位置が実用上問題のない範囲で維持される。
ところで、柱状樹脂35の断面積は、樹脂の塗布量と隙間T,T’(樹脂の高さ)によって決まる。このことは、柱状樹脂35が一面に複数箇所配置されている場合であっても同様である。複数箇所配置の場合は合計の総断面積を考慮する必要がある。それぞれの隙間T,T’に配置された柱状樹脂35は総断面積がほぼ等しいことが好ましい。硬化収縮力は、柱状樹脂35の断面積と相関関係にあり、それぞれの隙間T,T’における総断面積が同じであれば、硬化収縮力は相殺される。隙間T,T’における総断面積を同じにする方法としては、(1)隙間T,T’を同じ寸法にして、樹脂の塗布量を同じにするか、(2)隙間T,T’に差があれば、その差に応じて塗布量を変えればよい。
また、柱状樹脂35は、一方の隙間T及び他方の隙間T’において、光軸方向Xに対称に配置することにより硬化収縮力の方向がバランスされ、レーザダイオード20の変位を効果的に防止できる。
また、レーザダイオード20を保持するホルダ26を隙間T,T’をもって配置することにより、放熱性が向上し、描画の高速化によるレーザダイオード20の高出力化に伴う温度上昇の影響を抑えることができる。なお、レーザダイオード20をホルダ26に固定するには、圧入以外に溶接や接着などであってもよい。コリメータレンズ21は基材30に対して必ずしも事前に固定されている必要はなく、適宜手段で仮固定しておき、レーザダイオード20との位置関係を調整する際に、調芯調整を実施してから基材30に対して固定してもよい。
(第2実施例、図8及び図9参照)
第2実施例である光源ユニット2は、図8及び図9に示すように、レーザダイオード20を保持したホルダ26に設けた突片26a,26bにて、基材30の一端に設けた突片33を光軸方向Xに挟み込むように配置し、隙間T,T’に光硬化型の柱状樹脂35を配置したものである。他の構成は前記第1実施例と同様である。また、作用効果は第1実施例と同様である。
本第2実施例では、隙間Tには1個の柱状樹脂35が配置され、隙間T’には2個の柱状樹脂35が配置され、隙間T,T’における柱状樹脂35の総断面積はほぼ等しい。但し、隙間T,T’において柱状樹脂35の総断面積がほぼ等しいことが必ずしも要求されるわけではない。
(第3実施例、図10参照)
第3実施例である光源ユニット2は、図10に示すように、コリメータレンズ21を保持するホルダ39を基材40に設けた突片42間に前記第1実施例と同様の構造にて柱状樹脂35で接着固定した。レーザダイオード20を保持するホルダ26も基材40に設けた突片41間に前記第1実施例と同様に柱状樹脂35にて固定されている。さらに、レーザビーム走査装置1のハウジング10に突片11を設け、該突片11にて基材40を光軸方向Xに挟み込み、突片11と基材40の両端面の間に形成された隙間T,T’に柱状樹脂35が配置されている。
本第3実施例によれば、レーザダイオード20及びコリメータレンズ21がそれぞれの柱状樹脂35によって変位なく位置を維持されるとともに、基材40自体も柱状樹脂35によって変位なく位置を維持される。
(柱状樹脂に要求される特性)
ところで、前記固定構造において、隙間T,T’としては、ホルダ26及び基材30の加工誤差を少なくとも0.1mmと想定すると、それ以上の寸法に設定する必要がある。この隙間に未硬化状態の樹脂を柱状に形成する場合、樹脂にはある程度の粘度が求められる。隙間の寸法や組立て工程に応じて求められる粘度は異なってくる。隙間を0.1〜1.0mmに想定すると、常温環境下(25℃)で、6,000〜30,000ミリパスカル秒は必要である。また、柱状樹脂が硬化時に発生する応力を緩和することを考慮すると、樹脂のガラス転移点は低いことが望ましい。一方、常温使用環境を想定すると、ガラス転移点は60℃程度あるいはそれ以上が望ましい。さらに、過酷環境をも想定すると、ガラス転移点があまりにも高いと、剥がれの原因になる。これらのことから、柱状樹脂の材料に求められるガラス転移点は110℃以下であることが望ましい。
ところで、接着剤は、通常、二つの物品を平面的に密着させて締結するために使用されるのであるが、本固定構造において柱状樹脂には、空中接着機能、即ち、物品(ホルダと基材)を所定の間隔に保持するスペーサとしての機能あるいは構造体としての機能を持たせている。本発明者は、本願発明に至る各種実験の結果、この機能を持たせるためには、以下のような各種条件が存在する旨の知見を有するに至った。
まず、(1)ホルダと基材のいずれに対しても親和力(接着力)があること、(2)ホルダと基材との線膨張差に耐えられること、つまり、必要な弾性を有し、ホルダと基材の中間的な線膨張にすること、あるいは、弾性の比較的小さいホルダと同等以上の硬さで比較的弾性の大きい基材の変形を規制できること、(3)未硬化状態である程度の形状を保持する粘度を有すること、(4)不可逆変形(クリープ)が小さいこと、を満たす必要がある。
通常の接着剤を部材に未硬化状態で肉盛り塗布すると、例えば、初期に直径3mm、高さ1mmであっても、数分で直径7mm以上、高さ0.5mm程度まで拡がり、柱状に形成することは困難である。より粘度の高い樹脂を使用して高さを維持する方法が考えられるが、粘度が高いことが原因となり、塗布量の制御が困難になる。そこで、以下の塗布方法を用いることにより、柱状樹脂の高さを維持できる。
(1)一方の部材に樹脂を肉盛り塗布し、他方の部材を直ちに該樹脂に接触させて所望の間隔になるようにゆっくりと隙間を広げて張力を発生させ、樹脂の連結(柱状)を維持する。(2)それぞれの部材に樹脂を肉盛り塗布し、互いの樹脂を接触させて張力を発生させ、樹脂の連結(柱状)を維持する。(3)両部材間に隙間を設けた状態で一方の部材から他方の部材に伝わるように端部において樹脂を塗布し、連結させる。この場合、柱状樹脂の形成位置は部材の端部である。
本発明者らの実験の結果、前記(1),(2),(3)のいずれの方法でも樹脂の粘度に頼って高さを維持させる方法に比べて、広い間隔を持たせて柱状を維持できた。特に前記(2),(3)の方法が好ましく、常温環境下(25℃)で、6,000〜30,000ミリパスカル秒の粘度において、間隔1.0mm程度まで柱状に形成できた。
また、図6(B)に示すように、突片31又はホルダ26の端部から柱状樹脂35の中心までの距離Dと隙間Tとは、T≧0.2×Dの関係を満足することが好ましい。柱状樹脂35として光硬化型接着剤を用いる場合、距離Dが大きくなれば隙間Tを比例的に大きくして、柱状樹脂35に光を有効に照射して硬化させることが必要となる。光源ユニット2の組立ての都合上、例えば、矢印E方向から傾斜して光を照射する場合、距離Dが大きくて柱状樹脂35が奥側に隠れてしまうと、光が柱状樹脂35に届かなくなることを回避するためである。例えば、隙間Tを0.1mm、寸法Dを0.5mmとする。
柱状樹脂としては、紫外線硬化タイプの光硬化型接着剤を用いることが好ましい。この種の樹脂は位置調整後短時間で接合状態を形成でき、硬化するまでの調整ズレを防止することができるうえ、短い時間での生産が容易になる。また、紫外線硬化用の単色のLED型照射器が容易に入手でき、発熱などを抑えて硬化させることが可能である。
(柱状樹脂を配置するための構造、図11〜図13参照)
図11は、前記基材30の突片31に柱状樹脂35を配置するための窪み31aを形成したものである。この窪み31aは柱状樹脂35の直径よりも小さく形成されているが、同じ直径であってもあるいは大きい直径であってもよい。窪み31aは樹脂を塗布する際の目印になり、かつ、未硬化状態での垂れを防止できる。さらに、同じ投影面積でも柱状樹脂35の接地面積が増加し、接合強度が高くなる。また、窪み31aは樹脂35に硬化収縮が生じても未硬化樹脂を供給する作用をするため、硬化時の剥離が防止される。なお、窪み31aを前記ホルダ26に形成しても同様の効果が得られる。
図12は、前記ホルダ26に柱状樹脂35を配置するための突起26cを形成したものである。この突起26cは柱状樹脂35の直径よりも小さく形成されているが、同じ直径であってもあるいは大きい直径であってもよい。突起26cは前記窪み31aと同じく塗布時の目印になるとともに、硬化のために光を進入させる隙間を大きく形成することができる。隙間が大きくなれば、硬化用光照射器の位置決めを高精度にすることなく、安定した光硬化を実現できる。なお、突起26cを基材30の突片31に形成しても同様の効果が得られる。
図13は、基材30の突片31及びホルダ26に柱状樹脂35の直径よりも小さい穴31b,26dを形成したものである。その作用効果は前記窪み31aと同様であり、さらに、光照射の窓部としても機能する。また、この穴31bから樹脂を注入することも可能である。
(実施例のまとめ)
前記光学素子の固定構造及び固定方法において、一方の隙間に配置された光硬化型の柱状樹脂と他方の隙間に配置された光硬化型の柱状樹脂は、それぞれの総断面積がほぼ等しいことが好ましい。また、柱状樹脂は、一方の隙間及び他方の隙間において、光軸方向に対称に配置されていることが好ましい。
光学素子としては、発光素子又はビーム整形素子であってもよい。発光素子であれば、そのホルダは隙間を有して基材に固定されるので、放熱性が良好になる。ホルダは発光素子とビーム整形素子を保持するものであってもよい。この場合、ホルダはレーザビーム走査装置のハウジングに取り付けられることになる。
柱状樹脂としては、紫外線硬化型接着剤を好適に用いることができる。紫外線硬化型接着剤は塗布から硬化までの間にほとんど変質することがない。未硬化状態で柱状を維持し、剥離や垂れなどが生じないために、柱状樹脂はガラス転移点が110℃以下であること、未硬化常温状態(25℃)における粘度が6,000〜30,000ミリパスカル秒であり、高さ寸法が0.1〜1.0mmであることが好ましい。
ホルダ又は基材の端部から柱状樹脂の中心までの距離Dと該端部での前記隙間Tとが、T≧0.2×Dの関係を満足することにより、即ち、距離Dが大きくなれば隙間を比例的に大きくすることにより、柱状樹脂に光を効果的に照射して安定した光硬化を実現できる。
ホルダ及び基材の少なくとも一方には、柱状樹脂を配置するための窪み又は突起が形成されていてもよく、あるいは、柱状樹脂が配置される箇所に該柱状樹脂の基部よりも小さい穴が形成されていてもよい。窪みや突起は樹脂を塗布する際の目印になり、未硬化状態での垂れを防止できる。さらに、同じ投影面積でも柱状樹脂の接地面積が増加し、接合強度が高くなる。特に、窪みは硬化時の収縮に際して未硬化樹脂を供給する働きをするため、硬化時の剥離を防止できる。突起はその上に柱状樹脂が形成されることにより、実質的な間隔を大きくでき、硬化のための光の進路が広がる。
なお、本発明に係る光学素子の固定構造、固定方法、レーザビーム走査装置及び画像形成装置は前述した実施例に限定するものではなく、その要旨の範囲内で種々に変更することができる。
例えば、柱状樹脂の配置や形状は任意である。また、光源ユニット以外の構成は任意であることは勿論であり、複数の光源ユニットを備えたマルチビーム方式のレーザビーム走査装置であってもよい。
特に、第1実施例において、ホルダ26は単純な平板形状ではなく、部分的に突起や段差部が形成されていてもよい。また、前記ホルダ26は放熱性を考慮して金属製(ステンレス製)としたが、放熱性に問題がなければ金属以外の樹脂成形品であってもよい。さらに、前記ホルダ26はレーザダイオード20と一体的に構成されたものであってもよい。
本発明に係る画像形成装置の一実施例を示す概略構成図である。 本発明に係るレーザビーム走査装置の一実施例を示す概略斜視図である。 コリメータレンズとシリンドリカルレンズを備えた光源ユニットを示す副走査方向の断面図である。 コリメータレンズとシリンドリカルレンズを個別に調整する方法を示す説明図である。 本発明に係る光学素子の固定構造の第1実施例を示す斜視図である。 前記第1実施例を示し、(A)は平面図、(B)は正面図である。 前記第1実施例を構成するホルダを示す斜視図である。 本発明に係る光学素子の固定構造の第2実施例を示す斜視図である。 前記第2実施例を示し、(A)は平面図、(B)は正面図である。 本発明に係る光学素子の固定構造の第3実施例を示す正面図である。 光学素子の固定構造の細部の第1例を示し、(A)は正面図、(B)は要部の斜視図である。 光学素子の固定構造の細部の第2例を示し、(A)は正面図、(B)はホルダの斜視図である。 光学素子の固定構造の細部の第3例を示す正面図である。 本発明に先行する光源ユニットの固定構造を示す正面図である。
符号の説明
1…レーザビーム走査装置
2…光源ユニット
10…ハウジング
20…レーザダイオード
21…コリメータレンズ
26…ホルダ
26c…突起
26d…穴
30,40…基材
31a…窪み
31b…穴
35…柱状樹脂
T,T’…隙間

Claims (15)

  1. 少なくとも一つの光学素子を保持するホルダと該ホルダを取り付けるための基材とを光硬化型の柱状樹脂で締結した光学素子の固定構造において、
    前記ホルダと前記基材のいずれか一方を他方で光軸方向に挟み込むように配置し、
    前記挟み込みによって形成された光軸方向の前後に位置する隙間に光硬化型の柱状樹脂が配置され、該柱状樹脂は同時に硬化されていること、
    を特徴とする光学素子の固定構造。
  2. 一方の隙間に配置された光硬化型の柱状樹脂と他方の隙間に配置された光硬化型の柱状樹脂は、それぞれの総断面積がほぼ等しいことを特徴とする請求項1に記載の光学素子の固定構造。
  3. 前記光硬化型の柱状樹脂は、一方の隙間及び他方の隙間において、光軸方向に対称に配置されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の光学素子の固定構造。
  4. 前記光学素子は、発光素子又はビーム整形素子であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の光学素子の固定構造。
  5. 前記ホルダは発光素子とビーム整形素子を保持し、前記基材はレーザビーム走査装置のハウジングであることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の光学素子の固定構造。
  6. 前記柱状樹脂は紫外線硬化型接着剤であることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の光学素子の固定構造。
  7. 前記柱状樹脂はガラス転移点が110℃以下であることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の光学素子の固定構造。
  8. 前記柱状樹脂は未硬化常温状態における粘度が6,000〜30,000ミリパスカル秒であり、高さ寸法が0.1〜1.0mmであることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の光学素子の固定構造。
  9. 前記ホルダ又は前記基材の端部から前記柱状樹脂の中心までの距離Dと該端部での前記隙間Tとが、T≧0.2×Dの関係を満足することを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の光学素子の固定構造。
  10. 前記ホルダ及び前記基材の少なくとも一方に、前記柱状樹脂を配置するための窪みが形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれかに記載の光学素子の固定構造。
  11. 前記ホルダ及び前記基材の少なくとも一方に、前記柱状樹脂を配置するための突起が形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれかに記載の光学素子の固定構造。
  12. 前記ホルダ及び前記基材の少なくとも一方に、前記柱状樹脂が配置される箇所に該柱状樹脂の基部よりも小さい穴が形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれかに記載の光学素子の固定構造。
  13. 少なくとも一つの光学素子を保持するホルダと該ホルダを取り付けるための基材とを光硬化型の柱状樹脂で締結する光学素子の固定方法において、
    前記ホルダと前記基材のいずれか一方を他方で光軸方向に挟み込むように配置するステップと、
    前記挟み込みによって形成された光軸方向の前後に位置する隙間に未硬化状態の光硬化型の柱状樹脂を配置するステップと、
    前記光学素子の位置を調整するステップと、
    前記光硬化型の柱状樹脂を同時に硬化させるステップと、
    を備えたことを特徴とする光学素子の固定方法。
  14. 請求項1ないし請求項12のいずれかに記載の光学素子の固定構造を備えたことを特徴とするレーザビーム走査装置。
  15. 請求項14に記載のレーザビーム走査装置を搭載したことを特徴とする画像形成装置。
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